JP3788671B2 - 中華饅頭 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は常温、冷蔵またはチルド状態で保存、流通される中華饅頭および当該中華饅頭用の穀粉組成物に関する。より詳細には、本発明は、具材を生地で包むいわゆる「包み」の工程における作業性が良くて、自動包あん機を用いて具材の包み工程を行った場合にも具材の生地からのはみ出しなどがなく、生産性良く包あん作業を行うことができ、しかも皮の艶が良く、ふっくらとし、弾力があり、ソフトで歯切れの良い、良好な外観、触感および食感を有する中華饅頭を得ることができ、その上得られた中華饅頭製品を常温、冷蔵またはチルド状態で保存、流通してから、再度蒸しても表面がべたついたり、しわが寄ったりせず、良好な状態に蒸し上げることができ、また電子レンジで加熱した際にも、硬くならず、ふっくらとした良好な状態に温めることのできる、常温品、冷蔵品またはチルド品の中華饅頭、および前記中華饅頭の製造に用いられる穀粉組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
中華饅頭の製造は、通常、強力小麦粉などの汎用の小麦粉に食塩、糖類、油脂類、化学膨張剤、イースト、水等を加えて混捏して生地をつくり、次いで発酵、分割、丸め、包み、ホイロ、蒸し等の工程を経て製造される。そして、前記した生地の製法の違いにより中種法とストレート法に大別される。中種法およびストレート法のいずれの場合も、生地で具材を包む「包み」の工程および具材を包んだ成形物をホイロ後に蒸し上げる「蒸し」の工程が重要であり、それらの工程によって製品の品質が左右され易い。
【0003】
すなわち、強力小麦粉などの汎用の小麦粉に食塩、糖類、油脂類、化学膨張剤、イースト、水等を加えて生地をつくる上記した従来法による場合は、「包み」の工程での作業性に問題があり、特に現在広く用いられている自動包あん機で包みの工程を行うと、具材が生地からはみ出したり、生地が機械に付着したり、生地が分割できないなどのトラブルが生じ易く、包みの工程を生産性よく行うことができない。
【0004】
さらに、強力小麦粉などの汎用の小麦粉に食塩、糖類、油脂類、化学膨張剤、イースト、水等を加えて調製した生地を用いる上記した従来法による場合は、ホイロ後の「蒸し」の工程で、中華饅頭の表面にしわが発生して、外観や食感などが不良になり易く、蒸し時間の調整や蒸気の温度管理などに多大の注意を払う必要がある。
【0005】
また、中華饅頭は、常温、冷蔵温度、チルド温度(氷点下以下で食品が凍らない温度)で保存、流通、販売されることが広く行われているが、いずれの場合も、喫食時には、各家庭、販売店、飲食店などにおいて、通常、再度蒸したり、電子レンジで再加熱したりして、温かくして供されることが多い。
しかしながら、従来の中華饅頭では、常温品、冷蔵品、チルド品のいずれの場合も、再度の蒸しを行う場合に、蒸し時間を適切に調整することが難しく、しかも蒸した後の製品では、表面がべたついたり、しわが寄ったりして、ふっくらと蒸し上がらず、外観、触感、食感が不良になり、中華饅頭本来の特性が大きく損なわれることが多い。
また、中華饅頭の常温品、冷蔵品、チルド品を電子レンジで加熱して温めた場合には、乾燥して、ソフトさに欠ける硬い不良な食感になり、やはり中華饅頭本来の特性が大きく損なわれることが多い。
【0006】
品質に優れる中華饅頭の提供を目的として、従来から色々な提案がなされており、そのような従来技術としては、蒸し物生地主材にスクレロガムを添加する方法(特開昭57−163441号公報)、小麦粉と米粉の混合物を生地として使用する方法(特開昭59−130171号公報)、蒸し物生地主材にジエランガムを添加する方法(特開昭62−111670号公報)、生地の表面、内面に油脂を塗布する方法(特開平2-156847号公報)、油脂と卵白を配合する方法(特開昭2−222669号公報)、副原料として油脂を混練するとともに生地に植物繊維粉末を混入させる方法(特開平3−22941号公報)、ゲル状食品を添加する方法(特開平4−287669号公報)、小麦粉にα化澱粉を加える方法(特開平8−66148号公報)などを挙げることができる。
【0007】
しかしながら、上記した従来法は、いずれも一長一短があり、例えば、生地による具材の包み工程時の作業性が不良であったり、外観、食感および/または触感が充分に良好ではないなどの問題がある。さらに、再度蒸したり、電子レンジで加熱して温めたときに、外観、触感、食感などが不良になり、中華饅頭本来の特性を発現させにくいという欠点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、生地による具材(あん)の包み工程を良好な作業性で行うことができて、自動包あん機を用いた場合にも、具材が生地からはみ出したり、生地が機械に付着するなどのトラブルが生じず、包み工程を生産性良く行うことのできる、常温品、冷蔵品またはチルド品の中華饅頭を提供することである。
そして、本発明の目的は、皮に艶があって、シワがなく、ふっくらとし、弾力があって、外観および触感に優れ、その上ソフトでありながら歯切れの良い良好な食感を有する、常温品、冷蔵品またはチルド品の中華饅頭を提供することである。
さらに、本発明の目的は、常温、冷蔵温度、チルド温度で保存、流通、販売されている中華饅頭を再度蒸して温める際に、蒸し時間の正確な調整が要らず、長時間蒸した場合であっても、表面のべたつきや、シワの発生がなく、ふっくらとしていて弾力のある良好な外観や触感を有し、しかもソフトでありながら歯切れの良い良好な食感を有するものに蒸しあげることのできる、常温品、冷蔵品またはチルド品の中華饅頭を提供することである。
また、本発明の目的は、常温、冷蔵温度、チルド温度で保存、流通、販売されている中華饅頭を電子レンジで加熱して温めた時に、硬くならず、ソフトで歯切れのよい食感を保ち得る、常温品、冷蔵品またはチルド品の中華饅頭を提供することである。
そして、本発明の目的は、上記した中華饅頭用の穀粉組成物を提供することである。
【0009】
【課題を解決する手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく種々検討を重ねてきた。その結果、中華饅頭の製造において従来汎用されてきた強力小麦粉などの穀粉類と共に、デュラム小麦粉を特定の割合で用いて生地をつくり、その生地を用いて中華饅頭を製造すると、生地による具材の包み工程を作業性良く円滑に行うことができること、そしてそれにより得られる中華饅頭が、皮に艶があり、シワがなくてふっくらとし、弾力があり、しかもソフトで歯切れが良く、外観、触感および食感に優れていることを見出した。
さらに、本発明者らは、デュラム小麦粉を用いて得られる上記の中華饅頭は、常温、冷蔵温度、チルド温度で保存、流通、販売して、再度蒸して温めるときに、蒸し時間を正確に調整する必要がなく、長時間蒸した場合であっても、表面のべたつきやシワが発生せず、ふっくらとしていて弾力があり、ソフトで歯切れがよく、外観、触感および食感に優れるものに蒸し上がることを見出した。
また、本発明者らは、デュラム小麦粉を用いて得られる上記の中華饅頭は、常温、冷蔵温度、チルド温度で保存、流通、販売して、電子レンジで加熱したときに、硬くならず、良好な、外観、触感、食感を有するものに温めることができることを見出し、それらの知見に基づいて本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、デュラム小麦粉(但しモチ性デュラム小麦粉を除く)の配合割合が内割で5〜50重量%である穀粉類を用いて得られる、常温品、冷蔵品またはチルド品の中華饅頭である。
【0011】
そして、本発明は、デュラム小麦粉(但しモチ性デュラム小麦粉を除く)および他の穀粉類を5:95〜50:50の重量比で含有することを特徴とする、常温品、冷蔵品またはチルド品の中華饅頭用の穀粉組成物である。
ここで、上記「常温品、冷蔵品またはチルド品の中華饅頭」とは、常温、冷蔵温度またはチルド温度で保存、流通される中華饅頭をいう(以下、本発明の「常温品、冷蔵品またはチルド品の中華饅頭」を単に「中華饅頭」という)。
そして、上記のように、本発明の中華饅頭、および中華饅頭用の穀粉組成物では、デュラム小麦粉として、モチ性ではないデュラム小麦を用いる(以下、本発明で用いる、「モチ性ではないデュラム小麦粉」を単に「デュラム小麦粉」ということがある)。
【0012】
本発明の中華饅頭は、生地用の穀粉原料に対してデュラム小麦粉を内割で5〜50重量%の割合で用いて生地をつくり、前記生地を使用して常法によって中華饅頭を製造することにより得ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下で本発明について詳細に説明する。
本発明でいう“中華饅頭”には、中華饅頭として従来から取り扱われている、常温品、冷蔵品またはチルド品の中華饅頭のいずれもが包含される。限定されるものではないが、本発明の中華饅頭には、典型的には、強力小麦粉やその他の澱粉質を含有する穀粉類(穀類原料)に、デュラム小麦粉を配合し、これに必要に応じて更にイースト、化学膨張剤、食塩、糖類、油脂類、卵や卵製品、牛乳やその他の乳製品、乳化剤、香料、調味料などの添加剤の1種または2種以上を加え、水を用いて混捏して生地をつくり、生地の発酵、分割、丸め、具材の包み、ホイロなどの工程を経て、最後にそれを蒸して得られる、常温品、冷蔵品またはチルド品の中華饅頭が包含される。
【0014】
従来の中華饅頭では、上記したように強力小麦粉や準強力小麦粉などの汎用の小麦粉が一般に用いられているが、強力小麦粉などの汎用の小麦粉は、植物学的に分類した場合にいずれも「普通系小麦」に属する6組のゲノムを有する小麦を製粉して得られたものである。そして、そのような普通系小麦の代表例としては、アメリカ産のハード・レッド・ウインター・ホィート、ハード・レッド・スプリング・ホィート、カナダ産のウエスタン・レッド・スプリング・ホィート、オーストラリア産のプライム・ハードなどの高蛋白質含量の強力系や準強力系の小麦;アメリカ産のウエスタン・ホワイト・ホィート、オーストラリア産のスタンダード・ホワイト・ホィートなどの蛋白質含有量の少ない薄力系小麦を挙げることができる。
【0015】
これに対して、本発明で用いるデュラム小麦粉の原料小麦であるデュラム小麦は、植物学的に分類した場合に「二粒系小麦」に属し、4組のゲノムを有している点で、上記した普通系小麦と植物学的に種類が異なる。デュラム小麦は米国のノースダコタ州を中心にモンタナ州およびサウスダコタ州の諸州を主要生産地として産出され、その他米国以外の国でも産出されているが、硝子質粒を60%以上(大半のものが75%以上)含有し、その蛋白含有率も平均で14%を越える硬質で高蛋白質含量の小麦である。かかるデュラム小麦は、その黄色色素の高含量や高硬度等の特性から、これまでは特に硬質で弾力性のある食感が要求されるスパゲッティやマカロニ等のパスタ類の製造にセモリナの形態(すなわち最終的な粉にまで粉砕する前の粗粉砕物の形態)で用いられており、かかる点で、デュラム小麦から得られるデュラム小麦粉は、パン類などのベーカリー製品や中華饅頭などに用いられている強力小麦粉などの汎用の小麦粉とは、その内容や性質が大きく異なっている。
【0016】
よって、上記した点から、硬質で且つ蛋白質含有量の極めて高いデュラム小麦から得られるデュラム小麦粉を用いて中華饅頭を製造すると、生地で具材を包む包あん作業が円滑に行われ得ることは全く予想外の効果であった。しかも、デュラム小麦粉を用いると、シワがなくてふっくらとし、弾力があり、しかもソフトで歯切れが良く、外観、触感および食感に優れる中華饅頭が得られること、さらには製造した中華饅頭を再度蒸したり、電子レンジで加熱して温めたときに、べたつき、シワ、硬質化が生じず、ふっくらとしていて弾力があり、しかもソフトで歯切れのよい、外観、触感および食感に優れた状態に温め得るという上記した効果も、デュラム小麦粉の上記した特性からは、やはり全く予想外のことであった。
【0017】
本発明で用いるデュラム小麦粉はその産地、種類、デュラム小麦粉の調製方法はいずれでもよく特に制限されない。
そして、本発明では、生地の調製に用いる穀粉類に対してデュラム小麦粉を内割で5〜50重量%の割合で用いて生地をつくり、その生地を使用して中華饅頭を製造することが必要であり、生地の調製に用いる穀粉類に対してデュラム小麦粉を内割で15〜35重量%の割合で用いることが好ましい。
デュラム小麦粉の割合が内割で5重量%未満であると、生地で具材を包む包あん工程での作業性が不良になり、しかも得られる中華饅頭では皮に艶がなくなり、シワが発生し易くなって、ふっくらせず、弾力がなくなり、ソフトさに欠け、歯切れの悪いものとなり易い。しかも、中華饅頭の常温品、冷蔵品、チルド品を再度蒸して温めたときに、べたつきやシワが発生し、また電子レンジで再加熱したときにソフトさに欠ける硬い不良な食感になる。
一方、デュラム小麦粉の割合が生地の製造に用いる穀粉類に対して内割で50重量%を超えると、生地で具材を包む際の作業性が不良になって具材のはみ出しが生じ易くなり、しかも皮に艶のない、シワの多い、弾力の少ない中華饅頭しか得られなくなる。そして、中華饅頭の常温品、冷蔵品、チルド品を再度蒸したときに、表面にべたつきやシワが発生し、また電子レンジで再加熱したときに乾燥してソフトさに欠ける硬い不良な食感になる。
【0018】
本発明において、生地の調製にデュラム小麦粉と共に用いられる他の穀粉類としては、デュラム小麦粉以外の穀類から得られる粉、澱粉類などのいずれもが使用でき、例えば強力小麦粉、準強力小麦粉、中力小麦粉、薄力小麦粉、大麦粉、ライ麦粉、ソバ粉、大豆粉、トウモロコシ粉等の穀粉類、各種澱粉類などを挙げることができる。そのうちでも、他の穀粉類としては、強力小麦粉および/または準強力小麦粉が好ましく用いられる。
【0019】
本発明では、中華饅頭の生地の製造に際して、デュラム小麦粉および上記した他の穀粉類と共に、さらに必要に応じて中華饅頭の製造に際して従来から用いられている他の成分を使用することができる。本発明で用い得る他の成分としては、例えば、イースト;化学膨張剤;食塩;砂糖、蜂蜜、水あめ、その他の糖類;牛乳、脱脂粉乳、コンデンスミルク、その他の乳製品;ショートニング、バター、マーガリン、ラード、植物油、その他の動植物性油脂類;卵や卵製品;香料;活性グルテンなどの蛋白強化剤;ビタミン、ミネラル、アミノ酸などの栄養強化剤;保存剤;着色料などを挙げることができ、それらの成分の1種または2種以上を用いることができる。
【0020】
その場合に、化学膨張剤としては、食品において用いられている化学膨張剤のいずれもが使用でき、例えば、炭酸水素ナトリウムに酒石酸、酒石酸水素カリウム、第一リン酸カルシウム、焼ミョウバン、グルコノデルタラクトンなどの酸性剤を加えてなる一剤式ベーキングパウダー、炭酸水素ナトリウムと前記の酸性剤を別包とした二剤式ベーキングパウダーなどを挙げることができる。化学膨張剤の使用量は中華饅頭の種類などに応じて調節し得るが、一般に、穀粉類100重量部に対して、外割で、約0.5〜7重量部程度とするのが、上記した良好な品質を有する中華饅頭を得る上で好ましい。
【0021】
デュラム小麦粉、強力小麦粉などの他の穀粉類および上記した他の成分は、生地の製造時に任意の順序で混合して生地を製造することができる。
または、デュラム小麦粉と、強力小麦粉などの他の穀粉類、および場合により上記した他の成分(特に乾燥状態にあるもの)を混合して、デュラム小麦粉を生地用の穀粉類原料に対して内割で5〜50重量%の割合で含有する中華饅頭用の穀粉組成物(中華饅頭用ミックス粉)を予め調製しておき、その穀粉組成物を用いて中華饅頭を製造してもよく、したがって本発明は、デュラム小麦粉と他の穀粉類を5:95〜50:50の重量比で含有することを特徴とする中華饅頭用の穀粉組成物(中華饅頭用ミックス粉)を本発明の範囲に包含する。この穀粉組成物は、そのままで、保存、流通、販売することができる。
そして、前記した穀粉組成物(中華饅頭用ミックス粉)を用いる場合は、中華饅頭の製造時に強力小麦粉などの他の穀粉類にデュラム小麦粉を所定量混合するなどという手間をかけずに、該穀粉組成物をそのまま用いるだけで、上記した優れた品質を有する中華饅頭を簡単に製造することができる。
【0022】
本発明における中華饅頭で用いる具材は、中華饅頭において従来から使用されている具材のいずれであってもよく特に制限されず、例えば、肉と野菜を調味した肉あん、小豆あん、カレーあん、ピザあん等を挙げることができる。
【0023】
本発明の中華饅頭の生地の製造に当たっては、その具体的な製法は特に制限されず、中華饅頭の製造において従来から使用されて製法のいずれも使用でき、例えば、ストレート法、中種法などのいずれの方法も採用でき、それらの方法で製造した生地を発酵させ、分割、丸め、具材の包み、ホイロ、蒸し工程などを経て製造される。また、製造条件や製造装置なども特に制限されず、中華饅頭の製造に従来から採用されている製造条件、製造装置などを適宜採用して行うことができる。
【0024】
デュラム小麦粉を含有する穀粉類を用いて得られる生地を使用する本発明による場合は、自動包あん機で行う「包み」工程で具材(あん)が生地外に飛び出す等の不良品の発生がほとんどなく、「包み」工程の作業性を高めることができ、中華饅頭を生産性良く製造することができる。そのため、本発明では具材の包み工程を自動包あん機を使用して行うことが好ましく採用される。しかしながら、それに限定されず、具材の包み工程を勿論手作業などで行ってもよい。
【0025】
本発明では、中華饅頭の種類は特に制限されず、上記したように従来から中華饅頭の範疇に入るものとして取り扱われている製品であればいずれでもよく、例えば、肉まん、あんまん、カレーまん、ピザまんなどを挙げることができる。
また、本発明では、中華饅頭の重量、形状、寸法なども特に制限されず、適宜決めることができる。
本発明の中華饅頭は、必要に応じて適宜の材料で包装して、一般に、常温、冷蔵温度、またはチルド温度で保存、流通、販売することができる。そして、それらの中華饅頭を再度蒸したり、電子レンジで加熱することによって、温めて喫食に供することができる。
【0026】
【実施例】
以下に例を挙げて本発明について具体的に説明するが、本発明はそれにより何ら限定されない。以下の例では、特に断らない限り、部は重量部を、%は重量%を表す。
【0027】
《実施例1》
(1) 下記の表1に示す生地用配合を用いて、下記の表2に示す中種法によって中華饅頭(あんまん)を製造した。なお、この実施例1では、生地で包む具材(あん)として、予め製造したおいたつぶしあんを用いた。また、分割した生地であんを包む成形工程は、自動包あん機(レオン自動機株式会社製「N−280型」)を用いて行った(1時間当たりの包あん数1800個)。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
(2) 上記(1)で中華饅頭を製造する際の包あん工程における作業性、および上記(1)において蒸し工程を経た直後の中華饅頭の品質を下記の表3に示す評価基準にしたがって5名のパネラーに評価してもらい、その平均値を採ったところ、下記の表4に示すとおりであった(小数点第1位を四捨五入)。
【0031】
(3) 上記(1)で得られた中華饅頭を常温下に5時間放置した後、家庭用の蒸し器で5分間蒸して、その品質を下記の表3に示す評価基準にしたがって5名のパネラーにより評価してもらい、その平均値を採ったところ、下記の表4に示すとおりであった(小数点第1位を四捨五入)。
(4) 上記(1)で得られた中華饅頭を常温下に5時間放置した後、電子レンジ(出力500W)を用いて30秒間加熱して、その品質を下記の表3に示す評価基準にしたがって5名のパネラーにより評価してもらい、その平均値を採ったところ、下記の表4に示すとおりであった(小数点第1位を四捨五入)。
【0032】
(5) 上記(1)で得られた中華饅頭を常温まで冷却した後、ビニール包装して−2℃の冷蔵庫で3日間チルド保存した後、冷蔵庫から取り出して、家庭用の蒸し器で8分間蒸して、その品質を下記の表3に示す評価基準にしたがって5名のパネラーにより評価してもらい、その平均値を採ったところ、下記の表4に示すとおりであった(小数点第1位を四捨五入)。
(6) 上記(1)で得られた中華饅頭を常温まで冷却した後、ビニール包装して−2℃の冷蔵庫で3日間保存した後、冷蔵庫から取り出して、電子レンジ(出力500W)を用いて40秒間加熱して、その品質を下記の表3に示す評価基準にしたがって5名のパネラーにより評価してもらい、その平均値を採ったところ、下記の表4に示すとおりであった(小数点第1位を四捨五入)。
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】
【0035】
上記の表4の結果から、生地用の穀粉原料に対してデュラム小麦粉を内割で5〜50%の割合で用いて中華饅頭を製造している実験番号3〜6の場合は、自動包あん機を用いた場合には、包あん時の作業性が良好で、生産性よく製造できることがわかる。また、該実験番号3〜6の場合は、皮の艶が良く、シワがなく、ソフトで歯切れの良い、外観、触感および食感に優れる高品質の中華饅頭が得られることがわかる。さらに、該実験番号3〜6の中華饅頭は、それを常温、冷蔵温度(チルド温度)で保存してから、再度蒸したり、または電子レンジで加熱して温めたときに、表面がべたついたり、シワが寄ったりせず、または硬くならず、ふっくらとした良好な外観を有し、しかもソフトで、弾力があり、歯切れの良い状態に蒸し上がることがわかる。
【0036】
それに対して、デュラム小麦粉を用いずに製造した実験番号1の中華饅頭、デュラム小麦粉を用いていてもその割合が穀粉類に対して内割で5%未満である実験番号2の中華饅頭の場合は、包あん時の作業性に劣り、しかも得られる中華饅頭は皮に艶がなく、シワがあり、ソフトさおよび弾力に欠け、歯切れも悪く、外観、触感および食感のすべてにおいて劣っていることがわかる。そして、この実験番号1および実験番号2の中華饅頭の場合は、常温または冷蔵温度(チルド温度)で保存してから、再度蒸したり、電子レンジで加熱して温めた場合に、表面がべたついたり、シワが寄ってふっくらとせず、または硬くなり、外観、触感、食感が劣ったものとなることがわかる。
【0037】
さらに、デュラム小麦粉を用いていても、その割合が穀粉類に対して内割で50%を超える実験番号7および実験番号8の場合は、包あん時に具材が生地からはみ出すなどして作業性が悪いこと、しかも得られる中華饅頭は皮に艶がなく、シワがあり、ソフトさおよび弾力に欠け、歯切れも悪く、外観、触感および食感のすべてにおいて劣っていることがわかる。そして、この実験番号7および実験番号8の中華饅頭の場合は、常温または冷蔵温度(チルド温度)で保存後に、再度蒸した場合、および電子レンジで加熱した場合に、表面がべたついたり、シワが寄って、ふっくらとせず、または硬くなり、外観、触感、食感が劣ったものとなることがわかる。
【0038】
《実施例2》
(1) 下記の表5に示すストレート法配合を用いて、下記の表6に示すストレート法によって中華饅頭を製造した。なお、この実施例2では、生地で包む具材(あん)として、挽肉に玉ねぎなどの野菜類と調味料、香辛料などを加えて製造した肉あんを用いた。また、分割した生地で具材を包む成形工程は、実施例1で使用したのと同じ自動包あん機を用いて行った(1時間当たりの包あん数1800個)。
【0039】
【表5】
【0040】
【表6】
【0041】
(2) 上記(1)で中華饅頭を製造する際の包あん工程における作業性、および上記(1)において蒸し工程を経た直後の中華饅頭の品質を上記の表3に示した評価基準にしたがって5名のパネラーに評価してもらい、その平均値を採ったところ、下記の表7に示すとおりであった(小数点第1位を四捨五入)。
(3) 上記(1)で得られた中華饅頭を常温下に5時間放置した後、家庭用の蒸し器で5分間蒸して、その品質を上記の表3に示した評価基準にしたがって5名のパネラーにより評価してもらい、その平均値を採ったところ、下記の表7に示すとおりであった(小数点第1位を四捨五入)。
(4) 上記(1)で得られた中華饅頭を常温下に5時間放置した後、電子レンジ(出力500W)を用いて30秒間加熱して、その品質を上記の表3に示した評価基準にしたがって5名のパネラーにより評価してもらい、その平均値を採ったところ、下記の表7に示すとおりであった(小数点第1位を四捨五入)。
【0042】
(5) 上記(1)で得られた中華饅頭を常温まで冷却した後、ビニール包装して−2℃の冷蔵庫で3日間保存(チルド保存)した後、冷蔵庫から取り出して、家庭用の蒸し器で8分間蒸して、その品質を上記の表3に示した評価基準にしたがって5名のパネラーにより評価してもらい、その平均値を採ったところ、下記の表7に示すとおりであった(小数点第1位を四捨五入)。
(6) 上記(1)で得られた中華饅頭を常温まで冷却した後、ビニール包装して−2℃の冷蔵庫で3日間保存(チルド保存)した後、冷蔵庫から取り出して、電子レンジ(出力500W)を用いて40秒間加熱して、その品質を上記の表3に示した評価基準にしたがって5名のパネラーにより評価してもらい、その平均値を採ったところ、下記の表7に示すとおりであった(小数点第1位を四捨五入)。
【0043】
【表7】
【0044】
上記の表7の結果から、生地用の穀粉類に対してデュラム小麦粉を内割で5〜50%の割合で用いてストレート法によって中華饅頭を製造している実験番号11〜14の場合は、皮の艶が良く、シワがなく、ソフトで歯切れの良い、外観、触感および食感に優れる高品質の中華饅頭を、良好な包あん作業でもって、生産性よく製造できることがわかる。そして、実験番号11〜14の中華饅頭は、それを常温または冷蔵温度(チルド温度)で保存してから、再度蒸した場合、および電子レンジで加熱した場合に、表面がべたついたり、シワが寄ったりせずに、ふっくらとした良好な外観を有し、しかもソフトで、弾力があり、歯切れの良い、良好な触感および食感を有することがわかる。
【0045】
それに対して、デュラム小麦粉を用いずに製造した実験番号9の中華饅頭、デュラム小麦粉を用いていてもその割合が穀粉類に対して内割で5%未満である実験番号10の中華饅頭の場合は、皮に艶がなく、シワがあり、ソフトさおよび弾力に欠け、歯切れも悪く、外観、触感および食感のすべてにおいて劣っていることがわかる。そして、この実験番号9および実験番号10の中華饅頭の場合は、常温または冷蔵温度(チルド温度)で保存してから、再度蒸した場合、および電子レンジで加熱した場合に、表面がべたついたり、シワが寄って、ふっくらとせず、または硬くなり、外観、触感、食感が劣ったものとなることがわかる。
【0046】
さらに、デュラム小麦粉を用いていても、その割合が穀粉類に対して内割で50%を超える実験番号15および実験番号16の場合は、包あん時に具材(肉あん)が生地からはみ出すなどして作業性が悪いこと、しかも得られる中華饅頭は皮に艶がなく、シワがあり、ソフトさおよび弾力に欠け、歯切れも悪く、外観、触感および食感のすべてにおいて劣っていることがわかる。そして、この実験番号15および実験番号16の中華饅頭の場合は、常温または冷蔵温度(チルド温度)で保存してから、再度蒸した場合、および電子レンジで加熱した場合に、表面がべたついたり、シワが寄って、ふっくらとせず、または硬くなり、外観、触感、食感が劣ったものとなることがわかる。
【0047】
【発明の効果】
生地用の穀粉類として、デュラム小麦粉を内割で5〜50重量%の割合で含む穀粉類を用いる本発明による場合は、生地による包み工程を円滑に行うことができ、自動包あん機を使用した場合にも、具材が生地からはみ出したり、包あん機に付着するなどの問題を回避することができ、良好な作業性で生産性良く、本発明の常温品、冷蔵品またはチルド品の中華饅頭を製造することができる。
そして、本発明の常温品、冷蔵品またはチルド品の中華饅頭は、皮に艶があって、シワがなく、ふっくらとし、弾力があり、ソフトでありながら、歯切れがよくてサックリとしており、外観、触感および食感に優れている。
さらに、本発明の常温品、冷蔵品またはチルド品の中華饅頭は、常温、冷蔵、チルド状態で保存、流通した後に、再度蒸して温める場合に、長時間蒸しても、べたつき、シワの発生がなく、ふっくらとし、弾力があり、ソフトでありながら歯切れのよい、良好な外観、触感および食感を有するものに蒸し上げることができる。
また、本発明の常温品、冷蔵品またはチルド品の中華饅頭は、常温、冷蔵、チルド状態で保存、流通した後に、電子レンジにより加熱して温める場合に、硬くならず、ふっくらとし、弾力があり、ソフトでありながら歯切れのよい、良好な外観、触感および食感を有する。
Claims (2)
- デュラム小麦粉(但しモチ性デュラム小麦粉を除く)の配合割合が内割で5〜50重量%である穀粉類を用いて得られる、常温品、冷蔵品またはチルド品の中華饅頭。
- デュラム小麦粉(但しモチ性デュラム小麦粉を除く)および他の穀粉類を5:95〜50:50の重量比で含有することを特徴とする、常温品、冷蔵品またはチルド品の中華饅頭用の穀粉組成物。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012029575A (ja) * | 2010-07-28 | 2012-02-16 | Nisshin Flour Milling Inc | 電子レンジ加熱に適したパン類およびそのためのパン類用穀粉組成物 |
-
1997
- 1997-07-29 JP JP21806397A patent/JP3788671B2/ja not_active Expired - Lifetime
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