JPH09188917A - 高吸湿性ポリアミド繊維及びその製造方法 - Google Patents

高吸湿性ポリアミド繊維及びその製造方法

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JPH09188917A
JPH09188917A JP31132696A JP31132696A JPH09188917A JP H09188917 A JPH09188917 A JP H09188917A JP 31132696 A JP31132696 A JP 31132696A JP 31132696 A JP31132696 A JP 31132696A JP H09188917 A JPH09188917 A JP H09188917A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 未染色状態における黄色度を低減させて色
調が優れた高吸湿性ポリアミド繊維を得る。そして染色
後の色くすみが抑制され色調の良好な高吸湿性衣料製品
とすることができる。 【解決手段】 イソプロピルアルコールを溶媒として
合成されたピロリドン含有率0.1wt%以下かつK値
20〜70のポリビニルピロリドンを、ポリアミドに対
し3〜15wt%含有させることにより、未染色状態で
の黄色度が10以下、かつ、水溶性成分の溶出率が5%
以下である高吸湿性ポリアミド繊維を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、快適なインナーウ
ェアやレッグウェア等の素材として最適な高吸湿性ポリ
アミド繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】合成繊維の一つであるポリアミド繊維
は、高強度、細繊度、耐摩耗性、ソフトさ、光沢特性、
染色鮮明性などの優れた特徴を持っている。そのため
に、パンティストッキング等のレッグウェアやインナー
ウェア、スポーツウェア等の衣料用途に好まれて用いら
れてきている。特に、インナーウェアについては、ポリ
アミド繊維の有するしなやかさ、ドレープ性や表面のな
めらかなタッチ、着用時のひんやり感等が好まれ、女性
用のランジェリーやファンデーションとして多く用いら
れてきている。
【0003】一方、綿や羊毛等に代表される天然繊維は
その風合いや着心地の良さが好まれ、特に、肌に直接当
たるインナーウェアや中衣には適度な吸湿性を有する綿
が多く用いられている。
【0004】しかし、綿のインナーウェアは、しなやか
さ、ドレープ性、光沢感等の審美性に欠けると共に、表
面のなめらかなタッチ、着用時のひんやり感等について
も不十分であり、特に女性のインナーウェア用には不向
きであった。
【0005】これに対し、ポリアミド繊維、ポリエステ
ル繊維等の熱可塑性合成繊維は、強度や染色堅牢性など
に優れた特性を有するものの、天然繊維に比べ吸湿性が
劣っている。そのため、着用により生じた水蒸気は十分
吸湿されないので衣服外に放出されず、特に夏の高温多
湿時の蒸れ感は大きく不快を感じるものであった。ポリ
アミド繊維は、ポリエステル繊維よりも平衡水分率(標
準状態での吸湿性)が高いものの、それでも着用の快適
感の観点からは未だ不十分であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明者らは、
先に、ポリアミド繊維の吸湿性を向上すべくポリアミド
にポリビニルピロリドン(PVP)とポリエーテルアミ
ド(PEA)および/またはポリエーテルエステルアミ
ド(PEEA)とを添加する技術を提案した(特開平7
−150414号公報)。しかし、この技術では、目標
とする吸湿特性は得られるものの、色調が悪いので審美
性を追及する衣料製品には不満足なものであり、しか
も、より高い品質風合いを目指し、極細糸や高変形糸を
製造しようとすると糸切れが多発し、安定生産が困難で
あるという問題があった。
【0007】また同様に、本発明者らは特開平7−15
0415号公報に記載のごとく、還元剤を併用して練込
むことにより白度の良好な吸湿性ポリアミド繊維が得ら
れる技術を先に提案した。そこに記載した技術によると
明るさの点で白に近い繊維は得られるものの、黄色っぽ
い色調を消すことは困難であるので、依然、未染色状態
での黄色度については不満足なものであった。さらに加
えて、極細糸や高変形糸などを製糸する際の糸切れが多
く、生産性を十分満足させることは困難であった。
【0008】そこで、本発明者らは、上記のような従来
技術の欠点の解消についてさらに検討を続けた結果、本
発明をなすに至ったものである。
【0009】即ち、本発明は、高吸湿性を有するととも
に優れた色調を有するポリアミド繊維を提供すること、
さらに、製糸性良く安定生産が可能な高吸湿性繊維を効
率的に製造する方法を提供することを主な目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するた
め、本発明の高吸湿性ポリアミド繊維は、ポリビニルピ
ロリドンを、ポリアミドに対し3〜15wt%の量で含
有するポリアミドからなり、かつ、該ポリアミド中のピ
ロリドンの含有率がポリビニルピロリドン含有量の0.
1wt以下であることを特徴とする。
【0011】さらに、その製造方法は、ピロリドン含有
率が0.1wt%以下かつK値が20〜70であるポリ
ビニルピロリドンを、低酸素濃度の環境下で練り混み法
によりポリアミドと混合させ、ポリビニルピロリドン濃
度が10〜50wt%である高濃度マスタポリマを製造
した後、チップブレンド法により所定濃度のポリマ組成
物とし、溶融紡糸により製糸することを特徴とする。
【0012】また、その溶融紡糸による製糸は、溶融紡
糸の後、1000m/分以上の速度で紡糸引取りし一旦
巻き取ることなく引き続いて延伸し巻取る方法により、
あるいは、溶融紡糸の後、3000m/分以上の速度で
紡糸引取りし実質的に延伸することなく巻取る方法によ
り行うことが好適である。
【0013】このように、本発明では、従来とは異なる
特定のポリビニルピロリドンを用いることが必要であ
り、これによって、従来のポリアミド繊維の長所を具備
したままで、かつ、黄色度が低くて色調に優れ、吸湿性
に優れ、染色性や洗濯耐久性等も良好であり、しかも、
極細糸や高変形糸などの安定的製糸が可能となるもので
ある。
【0014】その特定のポリビニルピロリドンは、その
中に含まれるピロリドンの量が0.1wt%以下と極め
て少ないことを特徴とするものであり、これは、イソプ
ロピルアルコールを重合時溶媒として用いる合成法によ
って得ることができる。
【0015】これに対し、従来のポリビニルピロリドン
は、水を重合時溶媒として製造された物であるので、そ
の製造時の重合工程において副生成物としてのピロリド
ンの発生が多く、その結果、得られるポリビニルピロリ
ドンはピロリドン含有率が0.13〜0.30wt%程
度と多い物であった。このようにピロリドン含有率が多
いと、それをポリアミドに添加して繊維とした場合、当
然にポリアミド中のピロリドン含有量が多くなって黄色
度が高くなるので、黄色度を10以下に低減させること
は困難である。この結果、黄色度が高くて染色後の色調
にくすみ感がでてしまい、審美性が追及される衣料用途
には不満足なものとなる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の吸湿性ポリアミド繊維で
は、所望の吸湿特性を得るためにポリアミドに対し3〜
15wt%の量のポリビニルピロリドン(以下PVPと
いう)を含有することが必要である。さらに、前記した
ようにピロリドン含有量が極端に少ないPVPを用いる
ので、本発明の吸湿性ポリアミド繊維では、繊維中に含
まれるピロリドンの含有率が、PVP量の0.1wt%
以下と少ない。
【0017】PVPは、所望の高吸湿特性を繊維に付与
するために、ポリアミドに対し3〜15wt%含有させ
ることが必要であり、特に4〜8wt%が好ましい。P
VPの含有率が3wt%未満と少な過ぎると十分な吸湿
性が得られない。また15wt%を越える程に多過ぎる
とべたつき感が発現し感触不良となり、しかも、製糸性
が不良となって安定して生産することができなくなる。
【0018】また、ピロリドンの含有率はPVPの0.
1wt%以下とすることが必要であり、好ましくは0.
05wt%以下であり、さらに好ましくは0.03wt
%以下である。このピロリドン含有率が好ましい範囲に
ある場合は、未染色状態での黄色度を10以下とするこ
とができ、衣料用に適した色調良好な繊維が得られるの
である。即ち、未染色状態でのポリアミドフィラメント
の黄色度が10を越えないと、染色した後の色調にくす
み感がなく、色調が良好で高級感のある繊維製品が得ら
れるのである。
【0019】本発明で用いるピロリドン含有率0.1w
t%以下のPVPは、イソプロピルアルコールを重合時
溶媒として製造することによって得られる。また、その
際、重合開始剤として過酸化水素系の触媒を含まないこ
とが、黄色度の原因となる副生成物のピロリドンの発生
をさらに抑制するために好ましい。
【0020】また、本発明で用いるPVPは、そのK値
が20〜70であることが好ましく、特に20〜60で
あることがより好ましい。K値が低過ぎるPVPはポリ
アミド中に練り込んでも、後述するポリアミド分子鎖と
の絡み合いが弱く、練り混み後のガットの冷却水処理に
よりその多くが溶出し易いので、所望の高吸湿特性を得
るには多くのPVPを練り込まねばならず生産効率が低
下する。一方、K値が高過ぎると、ポリアミド中に練り
込む際の増粘が大きく、溶融吐出によるチップ化が困難
となるので、やはり生産効率が低下する。
【0021】さらに、本発明のポリアミドフィラメント
は水溶性成分の溶出率が5%以下であることが好まし
く、特に3wt%以下がより好ましい。この溶出率は、
本発明のポリアミドフィラメントを沸騰水中で30分間
処理した際の重量変化率から求めた水溶性成分溶出率の
値である。
【0022】PVPは極めて水溶性が高いので、ポリマ
中に含有させた後でも、ポリマ表面へブリードアウトし
易い性質を持っている。また、副生成物のピロリドンも
きわめて水溶性が高く、同様にポリマ表面へブリードア
ウトし易い。
【0023】従って、PVPの含有による高吸湿性ポリ
アミド繊維では、その中に含有するPVPやピロリドン
の溶出を抑えることが、吸湿特性の保持、及び、良好な
繊維風合や感触の保持のために好ましい。例えば、溶出
率が5%以下のポリアミドフィラメントでは、繊維製品
とした後の着用時にPVPがフィラメント表面に実質的
に析出せず、しなやかな風合いとなめらかな感触の点で
極めて良好なものとなる。
【0024】溶出率を所望の低水準とするためにはPV
Pとナイロンポリマとの分子鎖の絡み合いを強くする手
段をとることが好ましい。例えば、PVPをエクストル
ーダーによりポリアミド中に練り混みマスタポリマとす
る方法が、ナイロン分子鎖とPVP分子鎖の絡み合いを
強くすることができ、好ましいものである。
【0025】その練込みは、15%以下のような低酸素
濃度での練り混み法により行うことが紡糸時の糸切れを
低減させるために好ましい。これに対し、大気中の酸素
濃度(約20%)と同水準あるいはそれ以上の高い酸素
濃度の環境下で練り込みをしたマスタポリマを用いる場
合は、紡糸時の糸切れが多発し、安定した生産が困難と
なる。その低酸素濃度の水準は、例えば15%以下、好
ましくは10%以下であればよく、そのためには、窒素
のごとき不活性気体をホッパーやシリンダーに流して酸
素濃度を低減させる方法をとればよい。
【0026】マスタポリマ中のPVPの練り込み濃度は
10〜50wt%とする。10wt%未満ではマスタポ
リマの本来の効果が奏し難く生産性が劣る。50wt%
を超えると安定して練り込むことが困難である。
【0027】このようにして得られたPVP含有ポリア
ミドマスタポリマチップは、次に、実質的に無添加のチ
ップとチップブレンドされて濃度調整するチップブレン
ド法によって濃度調整された後に、溶融紡糸に供給され
る。
【0028】なお、特開平7−150414公報に記載
したようにポリエーテルアミド(PEA)及び/又はポ
リエーテルエステルアミド(PEEA)を併用する場合
には、ポリアミドの重合前のカプロラクタム水溶液に、
PVPとPEA及び/又はPEEAとを添加する方法を
とることもできる。しかし、PEAやPEEAを併用し
ない場合には、溶出率を5wt%以下と抑えるために、
前記したマスタポリマ法を用いることが必要である。
【0029】所定濃度のPVPを含有するポリアミドは
通常の方法で溶融紡糸法により製糸される。その製糸方
法は、溶融紡糸、冷却、給油の後に、紡糸速度1000
m/分以上で引取り、一旦巻き取ることなく延伸して巻
取る直接紡糸延伸方法によってもよいし、また、300
0m/分以上の高速で紡糸引取りし、延伸することなく
巻取る高速紡糸法によってもよい。
【0030】これに対し、一旦巻き取った後に延伸する
2段製糸法では、未延伸糸巻取りパッケージの巻きフォ
ームが、その吸湿速度の速さのために大きく崩れ易く、
安定した製糸が困難である。
【0031】なお、製糸されて得られた高吸湿性ポリア
ミドフィラメントは、通常、マルチフィラメントとして
得られ、その単糸の断面形状は丸断面でもよく、三葉や
四葉のような変形断面でもよいが、本発明によると変形
断面の場合でも、安定した製糸が可能となる。また、そ
の繊度は特に限定されないが、単糸繊度が0.5〜8.
0デニール程度であるマルチフィラメントの場合に好適
である。
【0032】得られた高吸湿性マルチフィラメントは、
特別な条件をとることなく、通常の方法で後加工や製編
織され、縫製されて、各種衣料用製品とされる。なかで
も、直接肌に着用されるインナーウェア(ランジェリ
ー、ファウンデーション等)や靴下類(ストッキング、
パンティストッキング、タイツあるいはソックス等)、
あるいは、発汗し易い状態で着用されるスポーツウェア
(ウィンドブレーカー、テニスウェア、スキーウェア、
トレーニングウェア等)として好適である。
【0033】これら衣料用製品において吸湿効果を発揮
するためには、本発明の吸湿性ポリアミド繊維を30重
量%以上用いることが好ましい。
【0034】また、本発明の吸湿性ポリアミド繊維を含
む衣料製品は、乾燥速度が0.015cc/分以上と速
いことがべたつき感を抑え着用快適性に優れた製品とす
るために好適である。そのためにはPVP含有率や溶出
率が大き過ぎない適正水準となるように調整する等の手
段をとればよい。
【0035】ここで、本発明における各種特性値の測定
方法について述べる。 <ピロリドン含有率>繊維試料100mgにヘキサフル
オロイソプロパノール3mlとクロロホルム1mlとを
加え、繊維を溶解した。得られた溶液に、エタノールを
加えてポリマ成分を再沈させ20mlに定溶した。溶液
成分を定法によりガスクロマトグラム分析を行う。装置
はGC14A(島津製作所製)、カラムはNB−1(1
5m)を使用する。ピロリドンの定量にはバレロラクタ
ムの検量線をあらかじめ作成し、用いる。下記式により
ピロリドン含有率を求める。 ピロリドン含有率(wt%) =[(GCピーク面積/検量線
係数)(mg/ml) ×溶液量(ml)/試料量(mg)]×100 <K値>PVPを濃度1%の水溶液とし、その相対粘度
を測定し、Fikentscherの式により求める。 logZ=C[75k2 /(1+1.5kC)+k] 但し、Z:濃度Cの水溶液の相対粘度、k:K値×10
-3、C:水溶液濃度(W/V%)である。 <溶出率>ポリアミドフィラメントを110℃、8時間
乾燥した後、重量を測定する。その後、沸騰水で30分
間処理した後、再度110℃8時間乾燥し、処理前後の
重量減少率を溶出率とする。 <黄色度>27Gの筒編み機により、編み密度45本/
インチの筒編地を作成する。得られた筒編地を2つ折り
として日本電色工業製カラーメーターΣ80により、同
測定器所定の方法にて3刺激値X,Y,Zを測定し、下
記式により黄色度を求める。 YI(黄色度)=100×[1.28X−1.06Z]
/Y <最高吸湿率、標準吸湿率>ポリアミドフィラメントに
より27ゲージ筒編み試料を作製する。作製した試料を
精練し、油剤を除去した後、その約1gをガラス秤量瓶
(風袋重量F)にいれ、乾燥機中110℃2時間の条件
で乾燥する。瓶を密封し、デシケータ中で30分間放冷
した後、試料の入った秤量瓶の総重量(K)を測定す
る。次に、20℃65%RHに設定された恒温恒湿槽
((株)田葉井製作所製の恒温恒湿槽“レインボー”)
に開放状態で入れ、24時間放置する。その後再び密封
状態でデシケーター30分間放置後、試料の入った秤量
瓶の重量(H)を測定する。引続き、30℃90%RH
に設定された恒温恒湿槽に開放状態にした秤量瓶を入
れ、24時間後の総重量(S)を同様に測定する。以上
の各値から下記式により算出する。 最高吸湿率=[(S−K)/(K−F)]×100
(%) 標準吸湿率=[(H−K)/(K−F)]×100
(%) <乾燥速度>上述と同様に試料を作成し、乾燥・放冷・
秤量した後、1ccの蒸留水を試料に滴下し、試料の入っ
た秤量瓶の総重量(W0 )を測定する。次に、20℃6
5%RHに設定された恒温恒湿槽に開放状態で入れた時
から10分間隔で上述の方法と同様に試料の入った秤量
瓶の重量(WT :Tは時間(分))を90分間測定し続
ける。各乾燥時間Tに対応する水分率を下記式により求
める。 時間Tの時の水分率=[(WT −K)/(W0 −K)]
×100(%) 時間Tに対してWT をプロットして乾燥曲線を描き、得
られた乾燥曲線のT=0における接線の傾きから乾燥速
度(CC/min)を求める。このとき水分率100%の時の水
分量(cc)は滴下した蒸留水の量に等しいとする。
【0036】
【実施例】
[実施例1]PVPとして、イソプロピルアルコールを
溶媒として通常の方法で合成されたK値が30のPVP
(BASF社製“ルビスコール”K30スペシャルグレ
ード:以下K30SPと略記する)を用いた。このPVP
(K30SP)中のピロリドン含有量は0.02wt%で
あった。このPVPをエクストルーダー(φ40mm、2
条、2軸)を用いて、98%硫酸相対粘度ηr が2.7
2のナイロン6に練り混み、ガット状に押し出し、冷却
後にペレタイズすることで、PVP濃度30wt%のマ
スタポリマチップとした。この際、ホッパー、シリンダ
ーに窒素を流すことで、酸素濃度を8%以下とした。
【0037】回転式真空乾燥機中で、ナイロン6チップ
と上記マスタポリマチップとを所定の割合でブレンドし
ながら通常の方法で乾燥した。乾燥して得られたブレン
ドチップにおけるナイロン6に対するPVPの含有率
は、3、7、15wt%とした。
【0038】それぞれのブレンドチップを270℃で溶
融し、13ホールのY型孔口金より吐出して、紡糸速度
1300m/分、延伸倍率2.3倍、巻き取り速度30
00m/分の直接紡糸延伸法により製糸して、変形度
2.6の三葉断面で、30デニール13フィラメントの
PVP含有ポリアミドマルチフィラメントを得た(水準
No.3、4、5)。
【0039】得られたフィラメントにおける溶出率は
0.7〜2.9wt%と低いものであった。
【0040】表1に示すように、いずれの水準も、黄色
度も溶出率もともに十分に低く、最高吸湿率が8%以上
と高く、最高吸湿率と標準吸湿との差が4%以上と大き
く、色調、風合感触、吸湿特性ともに優れていた。ま
た、乾燥速度が0.015cc/分以上と高かった。
【0041】得られた繊維を通常の方法でターコイズブ
ルーに染色したところ、明度35、彩度40の良好な発
色性の繊維が得られた。
【0042】[比較例1]回転式真空乾燥機中でのポリ
マブレンド割合を変えPVPの含有率を0.5、2、1
8wt%とした以外は実施例1と同様にしてPVP含有
ポリアミドブレンドチップを得て、同様にマルチフィラ
メントを製糸し(水準 No.1、2、6)、筒編地として
実施例1と同様の測定を実施した。
【0043】表1に示すように0.5、2wt%の水準
( No.1、2)は最高吸湿率が7.2%以下と低過ぎ、
また標準吸湿率との差も3.2%以下と低過ぎ、吸湿特
性が劣っていた。また、18wt%の水準( No.6)
は、乾燥速度が低くてべたつき感があり、感触や風合が
劣っていた。
【0044】[比較例2]PVPの品種を変更し、水を
溶媒として合成され、ピロリドン含有率が0.15wt
%、K値が30のPVP(BASF社製“ルビスコー
ル”K30通常グレード:以下K30と略記する)を用
いた以外はすべて実施例1の No.3、4と同様に実施
し、PVPの添加率が3wt%、7wt%のポリアミド
マルチフィラメントを製造した。
【0045】得られたフィラメントを未染色状態で黄色
度(YI)を測定したところ、表1に示すように、1
5.0、21.2と極めて高かった。
【0046】得られた繊維を実施例1と同様に染色した
ところ、明度32、彩度28とくすんだ色調となった。
【0047】[実施例2]PVPの品種を変更し、イソ
プロピルアルコールを溶媒として合成され、ピロリドン
含有率が0.02wt%、K値が17、60又は90P
VP(BASF社製の“ルビスコール”K17グレー
ド、K60グレード又はK90グレード:以下それぞれ
K17、K60又はK90と略記する)を用い、また、
回転式真空乾燥機中でのポリマブレンド割合を変えPV
Pの含有率を5wt%とした以外はすべて実施例1と同
様に実施し、PVPの添加率が5wt%のポリアミドマ
ルチフィラメントを製造した(水準 No.9、10又は1
1)。
【0048】得られたフィラメントは、いずれの水準も
所望の色調及び吸湿特性ともに満足すめるものであっ
た。さらに、 No.10のフィラメントは、紡糸性も特に
問題なく生産性が良好であった。
【0049】ただし、 No.9及び No.11の場合は次の
とおり生産性の点で不十分なものであった。K17を練
り込んだマスタポリマはガットを冷却水に通過したとこ
ろ、ガットからPVPの一部が溶出し、吸湿特性が低下
した。一方、K90を練り込んだ場合はその練り混み時
の粘度上昇が高く、吐出安定性低下し、収率が低下し
た。
【0050】[請求項6の比較例]ナイロン6チップに
PVP粉末を10wt%ブレンドして乾燥する方法によ
り溶融紡糸に供するブレンドチップを製造した以外は、
実施例1と同様にして、PVP含有率10wt%のポリ
アミドフィラメントを製造したところ、得られたフィラ
メントは、溶出率が5.8%と大きくなり、フィラメン
ト表面にざらつき感が生じた。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【発明の効果】本発明によると、ポリビニルピロリドン
により高吸湿化したポリアミド繊維の黄色度を著しく低
減させることができ、色調に優れ、染色後の色くすみの
問題を解消することができる。
【0054】従って、吸湿性、色調等がともに優れ、着
用感に優れたポリアミド繊維製の衣料用布帛製品とする
ことができ、特に、吸湿性とともに審美性も要求される
各種衣料用ポリアミド繊維製品として、例えば、肌に直
接着用されるインナーウェアや靴下として、また、スポ
ーツウェアとして好適である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリビニルピロリドンを、ポリアミド
    に対し3〜15wt%の量で含有するポリアミドからな
    り、かつ、該ポリアミド中のピロリドンの含有率がポリ
    ビニルピロリドン含有量の0.1wt%以下であること
    を特徴とする高吸湿性ポリアミド繊維。
  2. 【請求項2】 ポリビニルピロリドンのK値が20〜
    70であることを特徴とする請求項1記載の高吸湿ポリ
    アミド繊維
  3. 【請求項3】 繊維の未染色状態での黄色度が10以
    下であり、かつ、水溶性成分の溶出率が5%以下である
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の高吸湿性ポリア
    ミド繊維。
  4. 【請求項4】 ポリビニルピロリドンとしてイソプロ
    ピルアルコールを溶媒として合成された物を用いること
    を特徴とする請求項1、2又は3記載の高吸湿性ポリア
    ミド繊維。
  5. 【請求項5】 変形断面糸であることを特徴とする請
    求項1、2、3又は4記載の高吸湿性ポリアミド繊維。
  6. 【請求項6】 ピロリドン含有率が0.1wt%以下
    かつK値が20〜70であるポリビニルピロリドンを、
    低酸素濃度の環境下で練り混み法によりポリアミドと混
    合させ、ポリビニルピロリドン濃度が10〜50wt%
    である高濃度マスタポリマを製造した後、チップブレン
    ド法によりPVPが所定濃度のポリマ組成物とし、溶融
    紡糸により製糸することを特徴とする高吸湿性ポリアミ
    ド繊維の製造方法。
  7. 【請求項7】 ポリビニルピロリドンがイソプロピル
    アルコールを溶媒として合成された物であることを特徴
    とする請求項6記載の高吸湿性ポリアミド繊維の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 溶融紡糸による製糸を、溶融紡糸の
    後、1000m/分以上の速度で紡糸引取りし一旦巻き
    取ることなく引き続いて延伸し巻取る方法により、ある
    いは、溶融紡糸の後、3000m/分以上の速度で紡糸
    引取りし実質的に延伸することなく巻取る方法により行
    うことを特徴とする請求項6又は7記載の高吸湿性ポリ
    アミド繊維の製造方法。
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