JPH09188620A - ヒノキチオール含有組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、ヒノキチオール含有製剤の経時的
着色を防止することにより商品性を高めたヒノキチオー
ル含有製剤を提供することを目的としている。 【解決手段】 有機酸を配合し、ｐＨを５．０〜６．０
に調節したことを特徴とするヒノキチオール含有液状組
成物。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】 本発明は、ヒノキチオール含有
製剤の経時的着色を防止した組成物に関する。

【０００２】

【従来の技術】ヒノキチオールはヒバなどの樹木に含有
されるテルペン系化合物であり、その抗菌作用を有する
性質から頭髪用剤、歯科用剤などに配合されている。し
かし、ヒノキチオールは製剤中で経時的に黄色から赤色
に着色し、商品性の低下を招き易いという欠点がある。
着色のメカニズムについては不明な点があるが、金属の
触媒する酸化反応であると推定される。一般的な化合物
の場合、この様な着色を防止するために、安定化剤とし
て抗酸化剤や金属イオン封鎖剤を使用する。しかし、ヒ
ノキチオールの着色に対してはこれらの安定化剤を配合
しても十分な着色防止効果が得られず、場合によっては
製品を窒素置換するなどの煩雑な方法の選択を余儀なく
されている。また、製剤に始めから着色して色の変化を
目立たなくする方法も考えられるが、商品の美感の問題
の他、外用剤として用いた場合には白髪が汚く見えるこ
とや、衣類や寝具を汚すなどの理由により始めから着色
することは好ましくない。

【０００３】さらに、製品によってはヒノキチオール以
外の成分を製剤中に同時配合する場合があり、その配合
される成分によっては着色を著しく促進してしまう。特
に着色を促進する成分として、血管拡張剤であるミノキ
シジルをあげることができる。ミノキシジルは外用育毛
剤としての使用が提案されている化合物であるので、抗
菌剤であるヒノキチオールと同時に配合することは充分
考えられることである。しかしながら、ミノキシジルを
ヒノキチオールと同時に配合した場合は、それぞれの成
分を単独で配合した場合に比べ著しく着色を促進させて
しまう。そのため、それらの着色を促進させる成分は事
実上ヒノキチオールと同時配合することが困難であるの
が現状である。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、経時
的な着色や分解の少ない、ヒノキチオール配合組成物を
提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討を
重ねた結果、ヒノキチオール含有液状製剤において、有
機酸を配合し、ｐＨを５．０〜６．０に調節した製剤で
は着色が大幅に軽減することを見いだし本発明を完成し
た。すなわち本発明は有機酸を配合し、ｐＨを５．０〜
６．０に調節したことを特徴とするヒノキチオール含有
液状組成物である。

【０００６】本発明では、着色の点からヒノキチオール
との同時配合が困難であったミノキシジルを同時に配合
しても着色が大幅に軽減される。

【０００７】

【発明の実施の形態】本発明において、ヒノキチオール
の配合量は製剤全体に対して０．０５〜１重量％が好ま
しい。また、有機酸の配合量は同時に配合する成分によ
り異なるが、通常は製剤全体の０．０５〜５重量％好ま
しくは０．１〜１重量％配合する。

【０００８】本発明の有機酸とは酸性有機化合物のうち
カルボン酸などであるが、ヒノキチオールの使用目的か
ら、生体に対して安全性の高いものでなければならな
い。具体的には、クエン酸、サリチル酸、乳酸、コハク
酸、酒石酸、リンゴ酸からなる群より選ばれる１種また
は２種以上の酸の使用が安全性および着色防止効果の点
から好ましい。本発明における有機酸は液剤中で実質的
に有機酸であればよいので、有機酸のアルカリ金属、ア
ルカリ土類金属などとの塩も含有する。

【０００９】本発明において液状組成物とは、ローショ
ン、トニック、乳剤、エアゾール、シャンプー、リンス
などの通常の液剤である。これらは通常用いる基剤を使
用して、常法に従って製造することができる。製造時に
は、ｐＨを調節するためにリン酸などの他の酸、ジイソ
プロパノールアミン、トリエタノールアミン、水酸化ア
ルカリなどの塩基を使用することもできる。

【００１０】また、本発明の組成物はその製品の使用目
的によっては、血管拡張剤（塩化カルプロニウム、ニコ
チン酸ベンジル、センブリ抽出物、オタネニンジンエキ
ス、ビタミンＥアセテート、トウガラシチンキなど）、
副腎皮質ホルモン（酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸プロピ
オン酸ヒドロコルチゾンなど）、抗男性ホルモン剤（シ
プロテロンアセテート、フィナステライド、オキセンド
ロン、スピロノラクトンなど）、抗ヒスタミン剤（塩酸
ジフェンヒドラミン、塩酸イソチペンジルなど）、抗炎
症剤（グリチルレチン酸、グアイアズレンなど）、角質
溶解剤（尿素、サリチル酸など）、殺菌剤（グルコン酸
クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール、第
４級アンモニウム塩、ピロクトンオラミンなど）、保湿
剤（ヒアルロン酸ナトリウム、グリセリン、コンドロイ
チン硫酸、冬虫夏草抽出物、サフラン抽出物など）、油
分（ミリスチン酸イソプロピル、レシチン、スクワラン
など）、界面活性剤（ポリオキシエチレンソルビタン脂
肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシ
エチレン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、
プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチ
レン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンラウリルエーテ
ル硫酸トリエタノールアミンなど）、生薬抽出物（ボタ
ンピ抽出物、アロエ抽出物、セイモッコウ抽出物、イチ
イ抽出物、ガラナ抽出物、コウボク抽出物など）、多価
アルコール（プロピレングリコール、グリセリン、マク
ロゴールなど）、抗酸化剤（ジブチルヒドロキシトルエ
ン、イソプロピルガレートなど）、金属イオン封鎖剤
（エチレンジアミンテトラアセテートまたはその塩な
ど）、清涼化剤（メントール、カンフルなど）、経皮吸
収促進剤、色素、香料などを本発明の効果をそこなわな
い限り配合することができる。

【００１１】

【実施例】以下、実施例および試験例に基づいて本発明
を更に詳細に説明する。

【００１２】実施例１ ヒノキチオール０．０５ｇ、グリチルレチン酸０．１
ｇ、パントテニールエチルエーテル０．２ｇ、グリセリ
ン０．５ｇ、プロピレングリコール２．０ｇおよびエタ
ノール６０ｇを混合溶解した。これに水酸化ナトリウム
０．１ｇ、クエン酸適量（ｐＨ５．５に調整）、精製水
５ｇを混合した液を加え、さらに精製水を加えて混合し
て全量１００ｍｌとし、育毛ローションを調製した。

【００１３】実施例２ ヒノキチオール０．１ｇ、ミノキシジル１ｇ、Ｌ−メン
トール０．１ｇ、１，３−ブタンジオール５ｇ、ポリオ
キシエチレン（６０）硬化ヒマシ油０．２ｇ、エタノー
ル５５ｇ、精製水１５ｇ、リンゴ酸ナトリウム０．１
ｇ、乳酸適量（ｐＨ５．０に調整）を混合撹拌溶解し、
さらに精製水を加えて混合して全量１００ｍｌとし、育
毛ローションを調製した。

【００１４】実施例３ カチオン化セルロース０．２ｇを撹拌しながら精製水２
０ｇに加えて分散させた。これをヒノキチオール０．１
ｇ、ラウリル硫酸トリエタノールアミン（含量２７％）
４０ｇ、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン（含量２
６％）１５ｇ、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド３ｇ、
プロピレングリコール２．０ｇ、コハク酸０．５ｇ、全
量１００ｍｌとなる量の精製水、ジイソプロパノールア
ミン適量（ｐＨ５．４に調整）を８０℃で融解撹拌混合
した液に撹拌しながら加え、撹拌しながら冷却し、５０
℃において香料０．２ｇ、ビタミンＥアセテート０．２
ｇを添加し、室温まで冷却してフケ止めシャンプーを調
製した。

【００１５】実施例４ ヒノキチオール０．１ｇ、グリチルリチンジカリウム
０．２ｇ、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム２．
０ｇ、ポリオキシエチレン（１０）セチルエーテル１．
５ｇ、グリセリルモノステアレート１．０ｇ、ステアリ
ルアルコール１．５ｇ、ジプロピレングリコール２．０
ｇ、ジメチルポリシロキサン０．２ｇ、パラオキシ安息
香酸メチル０．１ｇ、パラオキシ安息香酸ブチル０．１
ｇ、サリチル酸０．５ｇ、全量１００ｍｌとなる量の精
製水、酒石酸ナトリウム適量（ｐＨ６．０に調整）を８
０℃で融解撹拌混合し、撹拌しながら冷却し、５０℃に
おいて香料０．２ｇを添加し、室温まで冷却してフケ止
めリンスを調製した。

【００１６】実施例５ ヒノキチオール０．０５ｇ、グリチルレチン酸０．１
ｇ、パントテニールエチルエーテル０．２ｇ、グリセリ
ン０．５ｇ、プロピレングリコール２．０ｇ、エタノー
ル６０ｇを混合溶解した。これにクエン酸０．１ｇ、ク
エン酸ナトリウム適量（ｐＨ５．５に調整）、精製水５
ｇを混合した液を加え、さらに精製水を加えて混合し、
全量１００ｍｌとし、育毛ローションを調製した。

【００１７】実施例６〜１２ 実施例５の調製方法に準じ、表１に示す処方で実施例６
〜１２、表２に示す処方で対照例１〜４を調製した。

【００１８】

【表１】

【００１９】

【表２】

【００２０】試験例 ［経時的安定性試験］実施例６〜１２および対照例１〜
４の各サンプルを、それぞれ黒色プラスチック容器に充
填・密栓し、経時的安定性試験を実施した。保存条件は
室温とし、保存３ヶ月及び１２ヶ月後の製剤の着色の程
度について、目視（日本薬局方通則に準じて測定）と４
２０ｎｍ吸光度（セル長１ｃｍ、分光光度計で測定）に
より判定した。その結果を表３に示す。

【００２１】

【表３】

【００２２】表の結果から本発明のｐＨ範囲を外れると
安定性が低下する事が判る。

【００２３】

【発明の効果】上記試験例から明らかなように、本発明
により経時的安定性の優れたヒノキチオール配合液状組
成物を容易に提供することが可能になった。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 漆崎 文男 東京都豊島区高田３丁目24番１号 大正製 薬株式会社内

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 有機酸を配合し、ｐＨを５．０〜６．０
   に調節したことを特徴とするヒノキチオール含有液状組
   成物。
2. 【請求項２】 有機酸がクエン酸、サリチル酸、乳酸、
   コハク酸、酒石酸、リンゴ酸から選ばれる酸またはその
   塩の１種または２種以上である請求項１記載の組成物。
3. 【請求項３】 ミノキシジルを同時に配合した請求項１
   または２記載の組成物。
4. 【請求項４】 ヒノキチオールを配合した液状組成物に
   おいて、有機酸を配合し、ｐＨを５．０〜６．０にする
   ことを特徴とするヒノキチオールの安定化方法。