JPH09188574A - 生物培養用多孔質炭素材料およびその製造方法 - Google Patents

生物培養用多孔質炭素材料およびその製造方法

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JPH09188574A
JPH09188574A JP1817696A JP1817696A JPH09188574A JP H09188574 A JPH09188574 A JP H09188574A JP 1817696 A JP1817696 A JP 1817696A JP 1817696 A JP1817696 A JP 1817696A JP H09188574 A JPH09188574 A JP H09188574A
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porous carbon
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culturing
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Tadashi Kaneko
忠司 金子
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Tokai Carbon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生物の細胞あるいは微生物の培養や繁殖に適
した多孔質構造を有する生物培養用多孔質炭素材料およ
びその製造方法を提供する。 【解決手段】 気孔率が25〜75%で、気孔径5〜5
0μm 範囲の気孔体積が全気孔体積の80%以上の気孔
性状を有し、かつ嵩密度が0.3〜1.0g/cm3の特性
を備える多孔質炭素材からなる生物培養用多孔質炭素材
料。α−セルロースを主成分とする有機質物と水溶性抄
紙バインダーおよび水不溶性の熱揮散性バインダーを水
に分散させて抄紙するシート化工程、成形シートを残炭
率40%以上の熱硬化性樹脂溶液に浸漬し、積層して加
熱加圧する成形工程、成形体を非酸化性雰囲気中で加熱
する焼成炭化工程および賦活工程とからなる生物培養用
多孔質炭素材料の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生物の細胞、組織
あるいは微生物の培養や繁殖に適した多孔質構造を有す
る生物培養用多孔質炭素材料およびその製造方法に関す
る。
【0002】生物の細胞や組織あるいは微生物の培養や
繁殖を行う場合、通常、これらの細胞、組織あるいは微
生物を液体の培地に浸漬して培養や繁殖させる方法、あ
るいは液体培地を寒天等の有機ゲル化剤により固体状と
した固体培地の上に細胞などを固定化して培養や繁殖さ
せる方法、などにより最適培養条件の検討が行われてい
る。
【0003】この細胞や微生物などを固定し、担体とな
る培地には従来から炭水化物や蛋白質などの有機高分子
系のものが用いられてきたが、有機担持体は細菌や外部
の酵素によって分解され易く、更に耐熱性、耐久性に劣
る欠点がある。そのため、化学的安定性、耐菌性、強度
特性に優れたセラミックス多孔体を利用する研究も行わ
れており、例えばホウケイ酸ガラスの分相によってつく
られた多孔質シリカガラスが酵素固定用の担持体に用い
られている。酵素の固定化には細孔直径が150〜70
0オングストローム程度のものが使用されるが、微生物
を直接固定化するには細孔直径が5μm 以上あることが
好ましく、セラミックス多孔体では未だ充分なものが得
られていない。
【0004】
【従来の技術】そこで、植物の成育に有用な微生物を繁
殖させるために炭素系担体の開発が行われており、例え
ば椰子殻、樹皮、籾殻などを炭化した椰子殻炭、樹皮
炭、籾殻炭などが提案されている(特開昭58−187114号
公報、同60−49717 号公報)。しかしながら、これらの
炭素材はそのミクロな材質組織や気孔構造が原料によっ
て左右される要素が大きいため、ミクロ構造を調節制御
することが困難となる欠点がある。
【0005】また、特開昭62−146983号公報に
は石炭を低温乾留して得られる石炭系炭素材を用いる方
法が開示されている。しかしながら、この方法では気孔
率や気孔径などの気孔特性の調節が困難であるばかりで
はなく、原料石炭に含まれる灰分や揮発分の残留により
微生物に悪影響を及ぼす難点がある。
【0006】これらの欠点を排除するものとして、特開
平1−208377号公報には、コールタール系原料及
び/又は石油系重質油を炭化し、焼成して得られるコー
クス類、あるいは、このようにして得られたコークス類
と上記コールタール系原料及び/又は石油系重質油の混
合物を焼成して得られる炭素材であって多孔質粒状に形
成され、灰分含有量1重量%以下、揮発分含有量2重量
%以下及び炭素含有量98重量%以上であることを特徴
とする生物培養用炭素質材が提案されている。そして、
微生物の住拠を決定する上で重大な役割を果たす材質性
状として嵩密度0.1〜1.5g/ml、気孔率5〜95%
及び水銀ポロシメーターで測定した平均気孔径1000
オングストローム〜1mmの性状を特定している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、一般的
に微生物の大きさは1〜2μm 以上であり、微生物を直
接固定化して培養や繁殖させるためには気孔の直径が微
生物の大きさの約5倍以上あることが必要とされてい
る。したがって、微生物の住拠となる気孔径が小さいと
微生物を安定に固定化して培養や繁殖させることができ
ず、一方気孔径が大き過ぎても円滑な培養や繁殖に支障
を来すこととなる。また、気孔径の分布幅は狭くシャー
プな気孔径分布を有することが微生物を円滑に進入さ
せ、固定化する上で重要な要素となる。
【0008】本発明者は、細胞や微生物の培養、繁殖に
適した多孔質炭素材のミクロ構造組織について研究を重
ねた結果、気孔率および気孔径分布などの微細構造を特
定することにより、微生物などを安定して固定化し、培
養、繁殖できることを確認した。
【0009】本発明は上記の知見に基づいて開発された
もので、その目的とする課題は、生物の細胞、組織ある
いは微生物の培養、繁殖に適した多孔質炭素材料および
その製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めの本発明による生物培養用多孔質炭素材料は、気孔率
が25〜75%で、気孔径5〜50μm 範囲の気孔体積
が全気孔体積の80%以上の気孔性状を有し、かつ嵩密
度が0.3〜1.0g/cm3 の特性を備える多孔質炭素材
からなることを特徴とする。
【0011】また、本発明の生物培養用多孔質炭素材料
の製造方法は、α−セルロースを主成分とする有機質物
60〜90重量部、水溶性抄紙バインダー10〜40重
量部および水不溶性の熱揮散性バインダー1〜10重量
部を水に分散させて抄紙するシート化工程と、該シート
を残炭率40%以上の熱硬化性樹脂溶液に浸漬処理した
のち半硬化し、この半硬化シートの所定枚数を積層して
加熱、加圧する成形工程と、この成形体を非酸化性雰囲
気中で800℃〜2000℃の温度域で加熱処理する焼
成炭化工程と、得られた多孔質炭素材を賦活処理する賦
活工程を順次に施すことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明で特定した気孔性状のう
ち、気孔率が25〜75%の範囲は細胞や微生物などを
固定化する微細な気孔構造の存在比率を示すものであ
り、気孔率が25%未満であると細胞や微生物などを十
分に固定することができない。一方、気孔率が75%を
上回ると多孔質炭素材の強度が低くなり、使用時に材質
破損が発生し易くなる。
【0013】また、気孔径5〜50μm 範囲の気孔体積
が全気孔体積の80%以上の気孔性状は気孔径分布がシ
ャープであり、かつ細胞や微生物を固定するのに適した
気孔径の微細構造が相対的に多く存在する点に特徴があ
る。すなわち、気孔径が5μm を下回ると細胞や微生物
を担持、固定化して繁殖させるためには気孔が小さ過
ぎ、細孔内で十分に増殖することができない。しかしな
がら、気孔径が大き過ぎる場合には細孔内における円滑
な培養や繁殖に支障を来し、微生物などを安定に固定化
して繁殖させるためには気孔径として5〜50μm の範
囲が適切である。そして、この気孔径5〜50μm の気
孔は全気孔体積の80%以上の割合で存在することが必
要であり、80%未満では微生物などを固定化して円滑
に繁殖させるには不十分となる。
【0014】本発明の多孔質炭素材料は、上記の気孔性
状に加えて嵩密度が0.3〜1.0g/cm3 の範囲にある
ことが必要である。嵩密度が0.3g/cm3 を下回ると多
孔質炭素材の強度が十分でなく、一方1.0g/cm3 を越
える場合には所定の気孔性状のものを得ることが困難と
なるためである。更に、生物の細胞および微生物体内の
pH値、あるいは培地のpH値と近似させることによっ
て培養時に有害物質の溶出を防止するために本発明の多
孔質炭素材料のpH値は5.0〜8.5の範囲にあるこ
とが好ましい。
【0015】本発明の生物培養用多孔質炭素材料は、気
孔率および気孔径分布が生物の細胞、組織あるいは微生
物の培養や繁殖に適した気孔性状を有するものであり、
また強度も高く、更に有害物質の溶出も防ぐことができ
る。したがって、細胞や微生物の増殖に適した培地を提
供することが可能となる。
【0016】この生物培養用多孔質炭素材料は、下記の
シート化工程、成形工程、焼成炭化工程および賦活工程
を順次に施すことにより製造することができる。
【0017】(1) シート化工程:シートのフィラー成分
となるα−セルロースを主成分とする有機質物は、通常
の木材パルプのほかα−セルロースを90%以上含むレ
ーヨンパルプなどが用いられる。パルプ性状としては、
抄紙成形性および高気孔構造化を図るために太さ0.5
〜10デニール、長さ1〜10mmの繊維形状を有するも
のを選択使用することが好ましい。水溶性抄紙バインダ
ーは抄紙工程でシート成形の結合材として機能する成分
であり、例えばアカマツ、エゾマツ、トドマツ、カラマ
ツ、モミ、ツガなどの針葉樹系パルプ類が好ましく用い
られる。
【0018】水不溶性でかつ熱揮散性のバインダーは、
前記の水溶性抄紙バインダーの機能を補足してシートが
ウエット状態にあるときに十分な強度を付与するために
添加する第三成分で、ポリビニルアルコール、不溶性澱
粉、ミクロフィブリル化パルプなどが用いられる。これ
らのバインダー成分を併用することによってウエット時
における抄紙シートの強度が増大し、例えば連続抄紙操
作を適用してもシートの破断現象の発生を防止すること
ができる。
【0019】これら原料成分は、α−セルロースを主成
分とする有機質物60〜90重量部に水溶性抄紙バイン
ダー10〜40重量部および水不溶性の熱揮散性バイン
ダー1〜10重量部の割合で水中に混合分散させる。両
バインダー成分の混合割合がこの配合重量部を下回ると
抄紙シートの強度が低下して抄紙成形性が悪化し、また
この配合重量部を上回ると本発明の気孔性状を備える多
孔質組織の炭素材を得ることができない。特に、第三成
分として添加する水不溶性で熱揮散性のバインダーの配
合量は重要で、この配合割合が1重量部未満であるとウ
エット状態における適度なシート強度を確保することが
難しくシートの破断が起き易く、また10重量部を越え
ると気孔率、気孔径などが低下して目標とする気孔性状
の多孔質炭素材を得ることが困難となる。これらの原料
成分は水に分散させたのち、長網式、丸網式などの適宜
な方法で抄紙する。
【0020】(2) 成形工程 抄紙したシートは乾燥し、次いで残炭率40%以上の熱
硬化性樹脂溶液中に浸漬処理したのち、半硬化する。熱
硬化性樹脂の残炭率とは、樹脂を非酸化性雰囲気下で8
00℃の温度で焼成した時に残留する炭素分の重量%を
指し、この残炭率が40%を下回るときには、得られる
多孔質炭素材の強度を実用水準にまで向上させることが
困難となる。40重量%以上の残炭率を有する熱硬化性
樹脂としては、フェノール系樹脂、フラン系樹脂、ポリ
イミド系樹脂などが挙げられる。これらの熱硬化性樹脂
の溶液化に用いられる有機溶媒は樹脂の種類に依って選
定されるが、通常、メタノール、エタノール、アセト
ン、メチルエチルケトンのような低粘度で浸透性が高
く、容易に熱揮散する性質の有機溶媒が選定される。溶
液の樹脂濃度は、5重量%未満であると強度特性が減退
し、40重量%を越すと粘度が増大して含浸性を損ねる
うえ、気孔の閉塞を生じて気孔率、気孔径の調節が困難
となる。したがって、5〜40重量%の範囲に樹脂濃度
を設定することが好適である。
【0021】シートの浸漬処理は、例えば熱硬化性樹脂
溶液を満たした液槽中にシートを連続的に浸漬させて引
き上げる方法で行うことができ、引き上げ後の樹脂含浸
シートはロール間を通して余剰な樹脂溶液を除去すると
ともに含浸組織の均質化を図ることが好ましい。浸漬処
理後のシートは、50〜150℃の温度に保持された乾
燥器により水分などの未反応物や反応生成物を有機溶媒
とともに揮散除去し、同時にシートに担持された樹脂成
分を半硬化させる。次いで、半硬化シートの所要枚数を
積層して、例えばヒータを内蔵した平面加熱盤を用い、
油圧プレス、空気圧プレスなどの圧縮手段により熱圧成
形する。この場合、積層シートの厚さが圧縮前に比べて
70〜20%の厚さになるような圧縮条件で加圧するこ
とが好ましく、圧縮比率が70%を上回る程度の低圧縮
比率では実用的な強度性能を得難く、一方20%を下回
るような高圧縮比率になると組織が緻密化して気孔性状
の大幅低下を招くこととなる。また、成形時の温度は樹
脂の性状によって若干の差異はあるが、概ね80〜20
0℃の範囲で円滑に成形され、同時に樹脂が完全硬化す
る。
【0022】(3) 焼成炭化工程 このようにして得られた成形体は、窒素、アルゴンなど
の非酸化性雰囲気に保持された焼成炉に入れて800〜
2000℃の温度域で加熱処理して焼成炭化する。この
加熱処理により熱揮散性の成分を揮散させるとともに熱
硬化性樹脂成分を炭化して多孔質炭素材に転化させる。
加熱温度が800℃未満では原料成分の炭素化が十分に
進行せず、また2000℃を越える温度では次工程の賦
活処理において反応が進行し難くなるからである。
【0023】(4) 賦活工程 多孔質炭素材は、賦活処理を施してpHを5.0〜8.
5の範囲に調節する。賦活処理は焼成炭化と同時に行う
こともできるが、焼成炭化後に行うことがpHを調節す
るうえで好ましい。賦活処理は一酸化炭素ガスや水蒸気
などと接触させながら600〜1200℃の温度で適宜
時間加熱して所定のpHに調節する。
【0024】このようにして本発明の気孔率、気孔径な
どの気孔性状および嵩密度を有する多孔質炭素材料を製
造することができ、生物培養用の培地として使用する際
には、目的に応じて適宜な形状に加工もしくは適宜な粒
度に粉砕、分級して用いられる。
【0025】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と対比して具
体的に説明する。
【0026】実施例1〜2、比較例1〜2 (1)多孔質炭素材の製造:α−セルロースを主成分とす
る有機質物として太さ3デニール、長さ5mmのレーヨン
パルプ〔大和紡績(株)製〕75重量部、水溶性抄紙バ
インダーに晒し針葉樹パルプ(NBKP)20重量部、熱揮散
性バインダーにミクロフィブリル化パルプ5重量部の割
合で水に混合分散させたのち、長網式抄紙装置により抄
紙成形し、乾燥して縦横100mm、厚さ0.2mmのシー
トに成形した。なお、比較例2では太さ15デニール、
長さ3mmのレーヨンパルプ〔大和紡績(株)〕を用い
た。
【0027】残炭率45%のフェノール樹脂〔住友デュ
レズ(株)製“スミライトレジンPR940 ”〕をアセトン
に溶解した濃度20重量%の溶液に、前記の成形シート
を浸漬したのち引き上げ、ロール間を通して余剰の樹脂
液を除去した後100℃に保持した乾燥器に入れて含浸
樹脂成分を半硬化させた。次いで、半硬化状態のシート
を10枚積層し、140℃の温度に調節した加熱盤によ
り異なる圧縮比率で熱圧成形した。
【0028】得られた成形体を、表面平滑な黒鉛板に挟
んだ状態で電気炉に詰め、周囲をコークスパッキングで
被包し窒素ガス雰囲気下で1000℃の温度に加熱し
て、焼成炭化した。この炭素材を更に水蒸気流中で80
0℃の温度で1時間賦活処理して多孔質炭素材料を製造
した。
【0029】このようにして得られた多孔質炭素材の気
孔特性およびpHを測定して製造条件と対比して表1に
示した。なお、気孔率はJIS R2205、気孔体積
比は水銀圧入法により気孔径分布を測定して求めた。ま
た、嵩密度はJIS Z8807、pHはJIS K6
221により測定した。
【0030】
【表1】 (表注)*1 気孔径5〜50μm の気孔体積と全気孔体積との割合。
【0031】(2)試験例1 内容積500mlのプラスチック製ポットに水苔360ml
を入れ、これに実施例1の多孔質炭素材を粉砕し、篩分
けを行って、粒径約0.5mmの多孔質炭素材40mlを均
一に混合して本発明の培地を作成した。同様にして比較
例1の多孔質炭素材を用いて比較培地を作成した。
【0032】これらの培地に、発芽直後の鷺草の球根を
植え付けた。植え付けてから約2週間で全ての球根の第
1葉が展開し、以後3日に1度の割合で水1l に油糟
0.6g の割合で混合した肥料500mlを施した。植え
付けてから2ヵ月経過後に成長した鷺草の第2葉、第3
葉および第4葉の長さを測定して、鷺草の成長速度を比
較した。その結果を表2に示した。なお、参考例として
ポットに水苔のみを400ml入れて作成した参考培地に
ついての結果を示した。
【0033】
【表2】
【0034】表2の結果から、実施例1の多孔質炭素材
で作成した本発明培地は比較例1の多孔質炭素材で作成
した比較培地に比べて第2葉で約22%、第3葉で約2
8%、第4葉で約26%成長が早く、また水苔のみの参
考培地に比べれば著しく葉の成育が良いことが判る。
【0035】(3)試験例2 実施例2の多孔質炭素材を直径80mm、厚さ1.2mmの
円板状に加工し、これを直径90mmのガラスシャーレに
入れて培養基材とした。この培養基材にM.S基本培地
(Toshio Murashige and Folke Skoog. 1962. Physiolo
gia Plantarum.15:473-497)を0.5倍に希釈し、生理
活性物質として、NAA:0.02mg/l、Kineti
n:2mg/lを添加して作製した溶液13mlを注入して本
発明培地とした。また、比較例1の多孔質炭素材を用い
て同一の方法により比較培地を作成した。なお、参考例
として培養基材を用いずに固定化剤として2%寒天溶液
を加え、固形化して参考培地を作成した。
【0036】これらの培地に球根ベゴニアの葉の柵状細
胞を植え付け、カルスが形成される迄の日数を調べ、直
径5mm程度のカルスが形成される迄に要した日数を表3
に示した。また、70日間培養を続けた時点で3回の植
え代えを行ったが、その際に雑菌のコンタミネーション
が生じたシャーレの数を調査して、その割合を表3に併
載した。
【0037】
【表3】
【0038】表3の結果から、実施例2の多孔質炭素材
で作成した本発明の培地は比較例1の多孔質炭素材で作
成した比較培地に比べてカルス形成の速度が早くなるこ
とが認められ、更に、植え代え時に雑菌によるコンタミ
ネーションの発生が極めて少ないことが判る。また、多
孔質炭素材を使用しない参考培地に比較すればその効果
はより大きいことが判る。
【0039】
【発明の効果】以上のとおり、本発明の生物培養用多孔
質炭素材料によれば生物の細胞、組織あるいは微生物の
培養や繁殖に適した気孔性状を備えているので、微生物
などが極めて効果的に気孔内に固定化され、かつその増
殖に十分な気孔内空間があるので効率よく培養や繁殖を
行わせることができる。しかも、炭素材は化学的に安定
であり、微生物などに有害な物質を放出して培養や繁殖
に悪影響を及ぼすこともなく、生物培養用として優れた
培地を作成することが可能となる。また、本発明の製造
方法に従えば、この生物培養用多孔質炭素材料を工業的
に有利に製造することができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 気孔率が25〜75%で、気孔径5〜5
    0μm 範囲の気孔体積が全気孔体積の80%以上の気孔
    性状を有し、かつ嵩密度が0.3〜1.0g/cm3 の特性
    を備える多孔質炭素材からなることを特徴とする生物培
    養用多孔質炭素材料。
  2. 【請求項2】 α−セルロースを主成分とする有機質物
    60〜90重量部、水溶性抄紙バインダー10〜40重
    量部および水不溶性の熱揮散性バインダー1〜10重量
    部を水に分散させて抄紙するシート化工程と、該シート
    を残炭率40%以上の熱硬化性樹脂溶液に浸漬処理した
    のち半硬化し、この半硬化シートの所定枚数を積層して
    加熱、加圧する成形工程と、この成形体を非酸化性雰囲
    気中で800℃〜2000℃の温度域で加熱処理する焼
    成炭化工程と、得られた多孔質炭素材を賦活処理する賦
    活工程を順次に施すことを特徴とする生物培養用多孔質
    炭素材料の製造方法。
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JP2022087164A (ja) * 2017-12-13 2022-06-09 東洋炭素株式会社 微生物固定化担体

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