JPH09187618A - 脱臭装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 両端面間に貫通する複数のに貫通する小透孔
を有する２個以上の脱臭フィルターを用いて脱臭する際
に，圧力損失の増大が少なく，しかも脱臭効率が良好な
脱臭装置を提供する。 【解決手段】 両端面間に貫通する複数の小透孔１を有
する２個以上の脱臭フィルター２を，小透孔１が対向す
るように配置した脱臭装置である。そして，対向する脱
臭フィルター２間の間隔Ｄを最も短い脱臭フィルター長
さＬの１／20以上に設定した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は，空気調和機，空気
清浄機，脱臭機等に使用される脱臭フィルターを用いた
脱臭装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年，家庭内で発生する悪臭や工場内で
発生する有機溶剤ガス, クリーンルームにおける微量化
学物質等の除去についての関心が高まっている。これら
の除去手段として，吸着材又は触媒をフィルターとして
成型し，悪臭空気を通過させることによって除去する方
法が，設備やコスト面の有利さから多く用いられてい
る。これらに使用するフィルターは，圧力損失が高いと
ファン容量が大きくなり，エネルギー効率や騒音の問題
が生ずるため，特公昭59-35341号公報や特公昭59-51432
号公報記載の脱臭装置では，活性炭紙を段ボール状に成
型した後，積層して成型体を作製し，この成型体のシー
ト面と平行に流体を流すことで圧力損失を低下させ，か
つ，被吸着物との接触を保つようにしている。

【０００３】しかしながら，上記公報に記載された脱臭
装置では，貫通小孔は直線上の流路であり，悪臭空気は
この小孔の数だけ分散されてある程度シート面との接触
は得られるが，処理ガス量が増大した場合等には脱臭効
率の点の十分とはいえず，脱臭効率を向上させるために
は多数の成型体を必要とするので，装置全体が大型化す
るという欠点があった。

【０００４】また，アンモニア，硫化水素，アセトアル
デヒドといった性質の異なる物質を同時に除去する際に
は，それぞれ専用の脱臭フィルターを組み合わせた装置
て除去する方法が採られている。この場合，両端面間に
貫通する小孔を有するフィルターを間隙を介することな
く直接重ね合わせた装置が圧力損失面で有利なため多く
用いられるが，この装置でも，隣接するフィルターの各
小孔位置にズレを生じるため，圧力損失が必要以上に高
くなるという問題があった。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は，上記の問題
を解決し，圧力損失の増大が少なく，しかも脱臭効率が
良好な脱臭装置を提供することを技術的な課題とするも
のである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明者らは，上記の課
題を解決するために鋭意研究した結果，本発明に到達し
た。すなわち，本発明は，両端面間に貫通する複数の小
透孔を有する２個以上の脱臭フィルターを，小透孔が対
向するように配置した脱臭装置において，対向する脱臭
フィルター間の間隔を最も短い脱臭フィルター長さの１
／20以上としたことを特徴とする脱臭装置を要旨とする
ものである。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下，本発明について図面を用い
て詳細に説明する。図１は，本発明の脱臭装置の一実施
態様を示す説明図であり，図２に示すような両端面間に
貫通する複数の小透孔１を有する２個以上の脱臭フィル
ター２（図１では３個）で構成されている。そして，脱
臭フィルター２は，互いに小透孔１が対向するように配
置されており，対向する脱臭フィルター２，２間の間隔
Ｄは，最も短い脱臭フィルター長さ（小透孔方向の長
さ）Ｌの１／20以上に設定されている。なお，図２で示
した脱臭フィルター２は，図３で示したように波形状紙
３と平面状紙４とを片面段ボール状に成型した後，小透
孔１が全て同一方向に並ぶように渦巻き状に積層して得
られるものである。

【０００８】本発明の脱臭装置を使用して悪臭空気を処
理するに際しては，まず，悪臭空気は流路中で１段目の
脱臭フィルター２の小透孔１群の壁面に接触しながら通
過する。そして，２段目の脱臭フィルター２との間の脱
臭フィルター長さの１／20以上の空間で分散混合し，層
気流であった悪臭空気が乱気流に変わって２段目の脱臭
フィルター２の小透孔１群の壁面に接触しながら通過す
る。再び３段目の脱臭フィルターの前の空間で分散混合
し，乱気流を起こす。

【０００９】このように，悪臭空気は，脱臭フィルター
２の小透孔１群の通過と，脱臭フィルター長さの１／20
以上の空間での分散混合とを繰り返しながら脱臭装置を
通過していくので，対向する脱臭フィルター間に空間が
ない場合に比べ，小透孔１群の壁面の細孔や消臭成分に
効率よく接触し，圧力損失の増大も少なく，悪臭成分を
効率よく除去することができる。

【００１０】本発明で使用する脱臭フィルターは，両端
面間に貫通する複数の小透孔を有するものであれば，材
質，小透孔の形や大きさ，フィルター寸法等は特に限定
されるものではない。材質としては脱臭能力を有するも
のであればよく，例えば活性炭，ゼオライト，イオン交
換繊維等があり，小透孔の形は，ハニカム状，段ボール
状，格子状等がある。

【００１１】脱臭フィルターは全て同じ種類のものを組
み合わせてもよいが，種々のガスを一度に除去するため
に，少なくとも１つの脱臭フィルターに特定ガスの脱臭
作用を補助する物質が添着されたものを使用してもよ
い。特定ガス専用の脱臭フィルターとしては，たとえ
ば，アルデヒドの除去のためにアニリンを添着した活性
炭を素材として成型したものや，一旦成型した脱臭フィ
ルターにアニリンを添着したもの等があり，その作り方
や添着剤は目的に応じて選択すればよい。

【００１２】本発明において，対向する脱臭フィルター
間の間隔は，最も短い脱臭フィルター長さの１／20以上
とする必要があり，小透孔の大きさや流速によっても異
なるが，１／10〜３倍程度が好ましく，その上限は５倍
程度である。この間隔が最も短い脱臭フィルター長さの
１／20未満では，層気流が乱気流に変わることなく次の
脱臭フィルターに接触するため，悪臭成分の除去効果が
著しく低下する。

【００１３】また，悪臭成分の除去効率は，脱臭フィル
ターの面風速（ＬＶ）によって影響される。ＬＶの速い
条件で使用するときは，脱臭フィルター間隔を大きくす
る方が層気流を乱気流に変化させやすく，分散混合も起
こりやすいため，除去効率をよくすることができる。一
方，ＬＶが遅い場合は，最も短い脱臭フィルターの１／
20以上で，充分な除去効率を得ることができる。

【００１４】また，脱臭フィルターを３個以上使用する
場合，それぞれの間隔を一定にする必要はなく，最も短
い脱臭フィルターの１／20以上で，最も除去効率の高い
間隔にそれぞれ設定することが好ましい。

【００１５】

【実施例】次に，本発明を実施例により具体的に説明す
る。なお，実施例で使用した脱臭フィルターは，次に示
すとおりである。 (1) 脱臭フィルター ピッチ系活性炭繊維とパルプを重量比で７：３に混合し
たしたものを抄紙して得られた活性炭紙を段の高さが
3.7mmとなるように片面段ボール状に成型した後，小透
孔が全て同一方向に並ぶように渦巻き状に積層して，直
径Ａ50mm×長さＬ50mmとした円柱形フィルター。 (2) 脱臭フィルター 上記の活性炭紙に，硫化水素を除去するために，過マン
ガン酸カリウムを添着した紙を段の高さが 3.7mmとなる
ように片面段ボール状に成型した後，小透孔が全て同一
方向に並ぶように渦巻き状に積層して，直径Ａ50mm×長
さＬ50mmとした円柱形フィルター。 (3) 脱臭フィルター で使用した活性炭紙に，アセトアルデヒドを除去する
ために，アニリンを添着した紙を段の高さが 3.7mmとな
るように片面段ボール状に成型した後，小透孔が全て同
一方向に並ぶように渦巻き状に積層して，直径Ａ50mm×
長さＬ50mmとした円柱形フィルター。

【００１６】実施例１〜２，比較例１〜２ 図２の試験装置を用いて硫化水素とアセトアルデヒド混
合ガスの脱臭性能試験を行った。なお，ＬＶは0.5m/sと
した。図２の試験装置を用いた試験方法は, 次のとおり
である。濃度１％の硫化水素を貯蔵したボンベ５と濃度
１％のアセトアルデヒドを貯蔵したボンベ６から，それ
ぞれ 177ミリリットル／min で流量計８，ニードルバル
ブ９を経て混合器10に供給する。一方, ポンプ７から空
気を58.5リットル／minで供給し，混合器10で硫化水素
とアセトアルデヒドと混合させる。混合ガスは，流量計
８，供給ガス採取用の三方コック11を経て脱臭装置を装
着した多段フィルター設置器12に至り, 脱臭処理が施さ
れた後, 処理ガス採取用の三方コック14を経て排気され
る。図中,13 はマノスターゲージである。それぞれの試
験条件を表１に，試験結果を表２に示す。なお，ガス中
の硫化水素濃度とアセトアルデヒド濃度は，検知管法で
測定した。

【００１７】

【表１】

【００１８】

【表２】

【００１９】表２から明らかなように，実施例１，２
は，硫化水素とアセトアルデヒドの両方とも効率よく除
去することができたが，特に過マンガン酸カリウムやア
ニリンを添着した脱臭フィルターを組み合わせた実施例
２は，実施例１より除去効率が良好であった。一方，対
向する脱臭フィルター間に空間のない比較例１，２は，
対応する実施例より除去効率が劣るものであった。

【００２０】実施例３〜５，比較例３ 脱臭フィルターの３個を表３に示したような間隔で設
置した脱臭装置を，図２の試験装置の多段フィルター設
置器12に装着し，脱臭フィルターの圧力損失を測定し
た。なお，試験はマノスターゲージ13を用いて，空気の
みを流した場合の差圧を測定した。試験結果を表４に示
す。

【００２１】

【表３】

【００２２】

【表４】

【００２３】表４から明らかなように，いずれもＬＶが
増加すると圧力損失が増加する傾向を示したが，実施例
３〜５とも，対向する脱臭フィルター間に空間のない比
較例３より圧力損失の増加傾向は少ないものであった。

【００２４】

【発明の効果】本発明の脱臭装置を用いて悪臭空気を処
理すると，悪臭空気は，脱臭フィルターの小透孔群中を
層気流状態で通過し，次いで，脱臭フィルター間の空間
で分散混合して乱気流状態で通過し，層気流状態と乱気
流状態とを繰り返しながら脱臭装置を通過していくの
で，小透孔群の壁面の細孔や消臭成分に効率よく接触
し，圧力損失の増大も少なく，悪臭成分を効率よく除去
することが可能であり，空気調和機，空気清浄機，脱臭
機等に使用される脱臭装置として好適なものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の脱臭装置の一実施態様を示す説明図で
ある。

【図２】本発明の脱臭装置を構成する脱臭フィルターの
一実施態様を示す斜視図である。

【図３】図２の脱臭フィルターを成型する前の片面段ボ
ールの斜視図である。

【図４】実施例において，脱臭試験と圧力損失験とに用
いた装置の説明図である。

【符号の説明】

１ 小透孔 ２ 脱臭フィルター ３ 波形状紙 ４ 平面状紙

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 両端面間に貫通する複数の小透孔を有す
   る２個以上の脱臭フィルターを，小透孔が対向するよう
   に配置した脱臭装置において，対向する脱臭フィルター
   間の間隔を最も短い脱臭フィルター長さの１／20以上と
   したことを特徴とする脱臭装置。
2. 【請求項２】 少なくとも１つの脱臭フィルターに脱臭
   作用を補助する物質が添着されている請求項１記載の脱
   臭装置。