JPH0918287A - 共振器型表面弾性波フィルタの設計方法 - Google Patents

共振器型表面弾性波フィルタの設計方法

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JPH0918287A
JPH0918287A JP15958695A JP15958695A JPH0918287A JP H0918287 A JPH0918287 A JP H0918287A JP 15958695 A JP15958695 A JP 15958695A JP 15958695 A JP15958695 A JP 15958695A JP H0918287 A JPH0918287 A JP H0918287A
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resonator
idt
saw
arm saw
series
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Shigeyuki Morimoto
茂行 森本
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Oki Electric Industry Co Ltd
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Oki Electric Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 共振器型SAWフィルタの設計の自由度を持
たせる。 【構成】 合成前の直列腕SAW共振子101a、10
1b、102a、102bのIDTの対数と交差長をN
1S、L1Sとし、並列腕SAW共振子103a、103
b、104a、104bのIDTの対数と交差長を
1P、L1Sとする。図1(b)中、合成後の直列腕SA
W共振子101、102のIDTの対数と交差長を
2S、L2Sとし、合成後の並列腕SAW共振子103、
104のIDTの対数と交差長をN2P、L2Pとした時、
直列腕については、2(N2S2S)=N1S1S並列腕に
ついては、N2P2P=2(N1P1P)とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、共振器型弾性表面波フ
ィルタの設計方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】弾性表面波(Surface Accoustic Wave、
略してSAW と呼ぶ)装置は圧電基板上に配置されたすだ
れ状電極あるいは変換器(Interdigital Transducer 、
以下、略してIDTと呼ぶ)と呼ばれるものにより、電
気−弾性表面波変換を行うものである。なかでもSAW
フィルタは、小型、軽量、無調整という特長を持ち、そ
の製造プロセスには半導体デバイスの製造に用いられる
フォトリソグラフィ技術を利用できるため量産性にも優
れている。図2(a)、(b)は、SAWフィルタの一
例を示す図である。一般に、SAWフィルタは、図2
(a)に示すように、トランスバーサル型と同図(b)
に示すように、共振器型SAWフィルタに分類すること
ができる。トランスバーサル型SAWフィルタは、入力
端子3に電気信号を入力して、入力側のIDT1に弾性
表面波を励起して、その弾性表面波を出力側のIDT2
より電気信号を発生させて、出力端子4よりその電気信
号を取り出すものである。共振器型SAWフィルタは、
入力端子5と出力端子6のIDT7に発生した弾性表面
波をグレーティング反射器8により反射して、出力端子
6より電気信号を取り出す反射器型SAW共振子を利用
し、フィルタを構成したものである。この共振器型SA
Wフィルタには、梯型回路構成タイプと二重モードタイ
プに分類することができる。共振器型はトランスバーサ
ル型に比べて、原理的に低損失、高減衰量、狭帯域、そ
して整合回路不要という特長がある。
【0003】図3(a)、(b)、(c)は、反射器型
SAW共振子の概略図であり、特に同図(a)は、反射
器型SAW共振子の構造図であり、同図(b)は、等価
回路であり、同図(c)は、リアクタンス特性を示す図
である。入力端子14に高周波電気信号を入力するとI
DT12でSAWが発生し、図中の矢印16のように両
方向を伝搬する。この励起されたSAWはIDT16の
両端に配置されたグレーティング反射器13a、13b
上で弾性的および電気的な摂動効果により反射され、グ
レーティング反射器13a、13b間を多重走行する。
そして、IDT12上で透過波と反射波が重なりあいS
AWの定在波が発生し、共振現象が起こる。図3(b)
に示すように、この反射器型SAW共振子は水晶振動子
と同様にR,L,Cの直列回路とこれに並列接続された
IDTの静電容量C0 で表すことができる。この電気的
等価回路のリアクタンス特性は、図3(c)の曲線のよ
うになり、共振周波数fr と反共振周波数fa を持つ二
重共振特性を持っている。したがって、SAW共振子を
従来のLCフィルタと同様に梯型回路構成するこにより
バンドパスフィルタを構成することができる。
【0004】図4(a)、(b)は、共振器型SAWフ
ィルタの原理図であり、同図(a)は、SAW共振子を
一段梯型回路に接続した回路構成図であり、同図(b)
は同図(a)のように一段梯型回路構成にした場合のリ
アクタンス特性と伝送特性を示す図である。曲線21
は、直列腕SAW共振子17のリアクタンス特性、曲線
22は、並列腕SAW共振子18のリアクタンス特性、
曲線23は伝送特性である。f1 とf2 はそれぞれ並列
腕SAW共振子18の共振周波数と反共振周波数であ
り、f3 とf4 はそれぞれ直列腕SAW共振子17の共
振周波数と反共振周波数である。この並列腕SAW共振
子18の反共振周波f2 と直列腕SAW共振子17の共
振周波数f3 を一致させるように直列腕SAW共振子1
7と並列腕SAW共振子18を構成すると、図4(b)
中の曲線23に示すような伝送特性(S21)を持つバ
ンドパスフィルタを構成できることは周知の事実であ
る。
【0005】図5(a)、(b)は、SAW共振子を五
段梯型構成にした場合のフィルタ構成図である。通常、
図4のような一段梯型構成では減衰量が小さいために、
図5に示すようにSAW共振子を多段梯型構成し減衰量
を大きくする、図5(a)に示すように、単純に五段梯
型構成にする場合、フィルタ構成に必要なSAW共振子
の個数は計10個であるが、フィルタの小型化、低損失
化を図るため、通常設計段階でフィルタ構成に必要なS
AW共振子の数を減らす工夫をする。図5(a)の五段
梯型回路構成中、縦続接続された同一構造の直列腕SA
W共振子31aと31b、32aと32b、及び並列腕
SAW共振子33aと33b、34aと34bをそれぞ
れ回路網的に合成すると図5(b)の回路構成になる。
図5(b)中のSAW共振子31、32、33、34は
図5(a)中の縦続接続された直列腕SAW共振子31
aと31b、32aと32b及び並列腕共振子33aと
33b、34aと34bをそれぞれ回路網的に合成した
SAW共振子である。このように、五段梯型構成中、縦
続接続となるSAW共振子を合成すると図5(b)に示
す通り五段梯型構成で必要なSAW共振子の個数を10
個から6個に減らすことができる。同様に、五段以外の
多段梯型回路構成においても縦続接続となるSAW共振
子の個数を減らすことができ、共振器型SAWフィルタ
の小型化、低損失化を図ることができる。
【0006】以下、多断梯型回路構成した共振器型SA
Wフィルタにおいて、多段梯型構成中の縦続接続された
同一構造のSAW共振子の従来の合成方法について説明
する。まず、従来のSAW共振子の設計方法について説
明する。SAW共振子の主なパラメータは、IDTの電
極対数と交差長であり、このパラメータの説明を図6に
示す。図6は、SAW共振子のIDTとグレーティング
反射器の境界部分における設計パラメータの拡大図であ
る。図6中の41a、42a、43a、…は入力IDT
の電極指、41b、42b、43b、…は出力IDTの
電極指、41cはグレーティグ反射器である。IDTの
交差長は図11中のLに示すように、入力IDTの電極
指41a、42a、43a、…と出力IDTの電極指4
1b、42b、43b、…において、互いに交差する電
極指部分の長さである。また、IDTの電極対数には様
々な定義の仕方があるが、本明細書中では図6に示すよ
うに、入力IDTの電極指41aの中心線から電極指4
2aの中心線までを一対とする。図3(b)のようなS
AW共振子のRLC等価回路を用いると等価回路の素子
値(R,L,C,C0 )とSAW共振子の構造パラメー
タ(IDTの電極対数や交差長)との対応付けが非常に
難しく、一般には、トランスバーサル型SAWフィルタ
の設計方法と同様にSmith の等価回路を用いることが多
い。
【0007】図7は、Smith の等価回路の一例を示す図
であり、IDT1/2対周期の等価回路である。図7中
の端子51、52は音響端子、53、54は電気端子で
あり、等価回路の各回路要素の説明は図7に示す通りで
ある。図7中の上部の図はIDT部分の断面図であり、
図中の55はIDT、56は圧電基板である。電極対数
NのIDTでは、図7の等価回路を2N個縦続接続した
ものが全体の等価回路となる。そして、等価回路の
[F]行列を求めれば伝送特性を計算することができ
る。したがって、具体的にIDTの構造パラメータ(電
極対数、交差長など)が決定していれば、Smith の等価
回路を用いて、伝送特性を計算することができる。SA
W共振子の伝送特性を求める場合にはIDTだけでな
く、グレーティング反射器の影響も考慮にいれたSAW
共振子全体の[F]行列を求めてから伝送特性を計算す
る。
【0008】次に、縦続接続された同一構造のSAW共
振子の合成方法を具体的に説明する。電極対数NのID
Tにおいて、図7のSmith の等価回路の電気端子53か
ら見たIDTの電気入力アドミタンスは、図8の等価回
路で表される。図8中のCT(=NCS )、Ba
(ω)、Ga(ω)はそれぞれIDTの静電容量、放射
サセプタンス、放射コンダクタンスである。図7中の等
価回路内、従来SAW共振子を合成する場合の基本パラ
メータとして用いるのは、放射コンダクタンスである。
中心周波数における放射コンダクタンスGa(ω0 )は
次式で表される。 Ga(ω0 )=8k2 0 s 2 ∝N2 L ・・・(1) k2 は電気機械結合係数、f0 は中心周波数、Cs はI
DT1対当たりの静電容量、NはIDT対数、LはID
Tの交差長である。k2 は使用する圧電材料により決定
され、f0 はIDTの電極指幅で決定される。また、静
電容量Cs はIDTの交差長Lに比例するパラメータで
ある。従って、同一基板、同一周波数では放射コンダク
タンスGa(ω0 )はN2 Lに比例することになる。五
段梯型構成の共振器型SAWフィルタを例にし、多段構
成中の縦続接続された同一構造の直列腕SAW共振子及
び並列腕SAW共振子の合成方法を式(1)を用いて具
体的に説明する。
【0009】図9(a)、(b)は従来のSAW共振子
の合成方法を示す図である。図9(a)中の合成前の直
列腕SAW共振子61a、61b、62a、62bのI
DTの対数と交差長をN1S、L1Sとし,並列腕SAW共
振子63a、63b、64a、64bのIDTの対数と
交差長をN1P、L1Pとする。また、図9(b)中、合成
後の直列腕SAW共振子61、62のIDTの対数と交
差長をN2S、L2Sとし、並列腕SAW共振子63、64
のIDTの対数と交差長をN2P、L2Pとする。直列腕S
AW共振子61aと61bまたは62aと62bを合成
する場合、合成後の直列腕SAW共振子61または62
の放射コンダクタンスは、合成前の直列腕SAW共振子
の放射コンダクタンスの逆数の和の逆数であるので、そ
の合成後の直列腕SAW共振子の放射コンダクタンス
が、合成前の直列腕SAW共振子単体の放射コンダクタ
ンスの1/2倍になるように設計する。すなわち、式
(1)より合成後の直列腕SAW共振子のパラメータN
2S 2 2Sが合成前の直列腕SAW共振子単体のパラメー
タN1S 2 2Sの1/2倍となるように合成後の直列腕S
AW共振子のIDTの対数N2Sまたは交差長L2Sを決定
する。
【0010】一方、並列腕SAW共振子63aと63b
または64aと64bを合成する場合、合成後の直列腕
SAW共振子63または64の放射コンダクタンスは、
合成前の直列腕SAW共振子の放射コンダクタンスの和
であるので、その合成後の並列腕SAW共振子の放射コ
ンダクタンスが、合成前の並列腕SAW共振子単体の放
射コンダクタンスの2倍になるように設計する。すなわ
ち、式(1)より合成後の並列腕SAW共振子のパラメ
ータN2P 2 2Pが合成前の並列腕SAW共振子単体のパ
ラメータN1P 2 2Pの2倍となるように合成後の並列腕
SAW共振子のIDTの対数N2Pまたは交差長L2Pを決
定する。以上の合成条件をまとめると、 直列腕:2(N2S 2 2S)=N1S 2 1S ・・・(2) 並列腕:N2P 2 2P=2(N1P 2 1P) ・・・(3) となり、(2)、(3)式の関係が成立するように合成
後のSAW共振子の構造パラメータ(IDTの電極対数
や交差長)を設計する。上述した従来の合成方法を用い
ると、(2)、(3)式から分かるようにSAW共振子
の合成方法として、IDTの電極対数Nまたは交差長L
を変える、あるいは電極対数と交差長を同時に変えて合
成することは可能である。しかし、一般的にはIDTの
交差長だけを変えてSAW共振子を合成することが多
い。これは、(2)、(3)式にしたがってSAW共振
子を合成する際、IDTの交差長を変えて合成した場合
と電極対数を変えて合成した場合とではフィルタの伝送
特性が異なるためである。
【0011】図10(A)、(B)は、従来の設計方法
による共振器型SAWフィルタの伝送特性を示す図であ
る。この図10では、IDT対数N1S=80対、交差長
1S=80μmの構造を持つ直列腕SAW共振子と、I
DT対数N1P=110対、交差長L1P=110μmの構
造を持つ並列腕SAW共振子を一段、三段、五段梯型回
路構成し、その伝送特性をSmith の等価回路を用いてシ
ミュレーションした結果が示されている。図10中の曲
線1A、1Bは一段、3A、3Bは三段、5A、5Bは
五段梯型構成したときの伝送特性であり、横軸は規格化
周波数f/f0 、縦軸は挿入損失である。図10(A)
の三段、五段梯型構成時の伝送特性3A、5Aは、上で
説明した(2)、(3)式が成立するように縦続接続さ
れた直列腕SAW共振子、並列腕SAW共振子ともID
Tの交差長だけを変えて合成した場合の伝送特性であ
る。ただし、ここで合成された直列腕SAW共振子の構
造はIDT対数N2S=80対、交差長L2S=40μm
(1/2L1S)、合成された並列腕SAW共振子の構造
はIDT対数N2P=110対、交差長L2P=220μm
(=2L1P)である。
【0012】一方、図10(B)の三段、五段梯型構成
時の伝送特性3B、5Bは、(2)、(3)式が成立す
るように直列腕SAW共振子はIDTの交差長だけ変
え、並列腕SAW共振子はIDTの対数だけを変えて合
成した場合の伝送特性である。ただし、ここで合成され
た並列腕SAW共振子の構造は、IDT対数N2P=15
6対(=21/2 1P)、交差長L2P=110μmであ
る。図10(A)と(B)の三段及び五段梯型構成時の
伝送特性をそれぞれ比較すると減衰量の違いが明確に分
かる。この例に示したように従来の設計方法にしたがい
(2)、(3)式を用いて多段梯型構成中の縦続接続さ
れた同一構造の直列腕SAW共振子及び並列腕SAW共
振子を合成する場合、IDTの交差長を変えて合成した
場合と電極対数を変えて合成した場合とではフィルタの
伝送特性が実際には異なってくるという問題点があっ
た。したがって、SAW共振子を合成する場合、IDT
の電極対数と交差長を同時に変えて合成することが困難
となるため、IDTの電極対数または交差長のどちらか
一方を基準パラメータとして選ぶ必要がある。このため
設計の自由度が狭くなり、チップサイズなどに影響(例
えば、交差長を長くするとIDTが縦方向に大きくな
り、対数を多くするとIDTが横方向に大きくなるた
め、一方のみを基準パラメータとすると、縦又は横方向
に大きくなる)を受ける問題があった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
共振器型弾性表面波フィルタの設計方法においては、次
のような課題があった。上述したようにSAW共振子を
多段梯型回路構成した共振器型SAWフィルタにおい
て、フィルタの小型化、低損失化を図るため多段構成中
縦続接続された同一構造のSAW共振子を合成する場
合、(2)、(3)式の合成条件を用いた従来の設計方
法ではIDTの交差長だけを変えて合成した場合と電極
対数だけを変えて合成した場合とではフィルタの伝送特
性が異なるという問題があった。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解
決するために、電気信号を弾性表面波に、あるいは弾性
表面波を電気信号に変換するすだれ状電極を用いたSA
W共振子を多段梯型に接続し、フィルタ構成した共振器
型表面弾性波フィルタの設計方法において、以下のよう
に構成する。すなわち、多段構成中の二つの隣接して縦
続接続された同一構造の直列腕SAW共振子と二つの隣
接して継続接続された同一構造の並列腕SAW共振子を
1つの直列腕SAW共振子と1つの並列腕SAW共振子
に合成する方法として、前記二つの直列腕SAW共振子
を1つの直列腕SAW共振子に合成する場合は、合成前
の前記直列腕SAW共振子単体のすだれ状電極の電極対
数と交差長をそれぞれN1S、L1Sとし、合成後のSAW
共振子の電極対数と交差長をそれぞれN2S、L2Sとする
と、2(N2S2S)=N1S1Sの関係が成立するよう
に、合成後の直列腕共振子の構造パラメータとする。さ
らに、前記二つの並列腕SAW共振子を1つの並列腕S
AW共振子に合成する場合は、合成前の前記並列腕SA
W共振子単体のすだれ状電極の電極対数と交差長をそれ
ぞれN1P、L1Pとし、合成後のSAW共振子の電極対数
と交差長をそれぞれN2P、L2Pとすると、N2P2P=2
(N1P1P)の関係が成立するように、合成後の並列腕
共振子の構造パラメータとする。
【0015】
【作用】本発明によれば、以上のように共振器型表面弾
性波フィルタを構成する直列腕SAW共振子、並列腕S
AW共振子を構成するIDTの容量は、N1S1S、N1P
1Pに比例する。2つの直列腕SAW共振子を合成する
と、容量は、単体の直列腕SAW共振子の容量の1/2
倍となるので、2(N2S2S)=N1S1Sの関係がなり
立つように、合成後のパラメータを決定する。2つの並
列腕SAW共振子を合成すると、容量は、単体の並列腕
SAW共振子の容量の2倍となるので、N2P2P=2
(N1P1P)の関係が成り立つように、合成後のパラメ
ータを決定する。このように、IDTの容量を基準にし
て設計したパラメータは、対数と交差長をともに変更し
ても、共振器型表面弾性波フィルタの伝送特性が変わら
ない。従って、前記課題を解決できるのである。
【0016】
【実施例】図1(a)、(b)は、本発明の実施例のS
AW共振子の合成方法を説明するための図であり、特に
同図(a)は、五段梯型構成中、縦続接続された直列腕
SAW共振子及び並列腕SAW共振子の合成前、同図
(b)は、合成後を示す図である。図1(a)中、合成
前の直列腕SAW共振子101a、101b、102
a、102bのIDTの対数と交差長をN1S、L1S
し、並列腕SAW共振子103a、103b、104
a、104bのIDTの対数と交差長をN1P、L1Pとす
る。図1(b)中、合成後の直列腕SAW共振子10
1、102のIDTの対数と交差長をN2S、L2Sとし、
合成後の並列腕SAW共振子103、104のIDTの
対数と交差長をN2P、L2Pとする。本実施例において縦
続接続された同一構造のSAW共振子の合成条件は、 直列腕:2(N2S2S)=N1S1S ・・・(4) 並列腕:N2P2P=2(N1P1P) ・・・(5) である。以下、図1を参照しつつ、SAW共振子の合成
方法の説明をする。
【0017】従来、図8に示したIDTの電気入力アド
ミタンスの等価回路から放射コンダクタンスGa
(ω0 )をSAW共振子の合成パラメータとして用いて
きたが、本実施例では、SAW共振子の合成パラメータ
として図8中のIDTの静電容量CT を用いる。共振器
型SAWフィルタの伝送特性は、図3(b)の等価回路
では、R、L、C0 (=CT )、C、図7のSmith の等
価回路では、Z0 、v0 、CS (=CT/N)、反射器
の本数などで決まるが、静電容量CT 以外の伝送特性を
決めるパラメータは、固定(合成前と後で変えない)し
た場合には、共振器型SAWフィルタの伝送特性はID
Tの静電容量CT で決定されることになる。したがっ
て、SAW共振子の合成パラメータとしてIDTの静電
容量CT を用いることができる。このIDTの静電容量
T は次式(6)で与えられる。 CT =NCS ∝NL ・・・(6) ここで、NはIDTの電極対数(IDTの静電容量は、
各電極指による静電容量の並列接続されたものであ
る)、CS はIDT1対当たりの静電容量である。Lは
IDTの交差長であり、CS は、この交差する部分(こ
の部分でSAWが発生する)の静電容量であるため、C
S とLは比例関係となる。この比例定数は、中心周波数
及び基板材料を決めると、一意的に決まるものであり、
この中心周波数及び基板材料は、合成の前後で変えな
い。したがって、中心周波数及び基板材料が一定の場合
には、IDTの静電容量CT はIDTの電極対数Nと交
差長Lとの積、すなわちパラメータNLによって決定さ
れる。
【0018】図1(a)中、合成前の直列腕SAW共振
子101a、101b、102a、102bのIDTの
対数と交差長をN1S、L1Sとし、並列腕SAW共振子1
03a、103b、104a、104bのIDTの対数
と交差長をN1P、L1Pとする。また、図1(b)中、合
成後の直列腕SAW共振子101、102のIDTの対
数と交差長をN2S、L2Sとし、合成後の並列腕SAW共
振子103、104のIDTの対数と交差長をN2P、L
2Pとする。縦続接続された同一構造の直列腕SAW共振
子101aと101bまたは102aと102bを合成
する場合、合成後の直列腕SAW共振子101、102
のIDTの静電容量は、合成前の直列腕の静電容量の逆
数の和の逆数なので、合成後の直列腕SAW共振子10
1または102のIDTの静電容量が、合成前の直列腕
SAW共振子単体のIDTの静電容量の1/2倍となる
ように設計する。すなわち、(6)式より合成後のパラ
メータN2S2Sが合成前の直列腕SAW共振子単体のパ
ラメータN1S1Sの1/2倍となるように合成後の直列
腕共振子のIDTの対数N2Sまたは交差長L2Sを決定す
る。一方、縦続接続された同一構造の並列腕SAW共振
子103aと103bまたは104aと104bを合成
する場合には、合成後の並列腕SAW共振子103、1
04のIDTの静電容量は、合成前の並列腕の静電容量
の和なので、合成後の並列腕SAW共振子103、また
は104のIDTの静電容量が、合成前の並列腕SAW
共振子単体のIDTの静電容量の2倍となるように設計
する。すなわち、(6)式より合成後のパラメータN2P
2Pが合成前の並列腕SAW共振子単体のパラメータN
1P1Pの2倍となるように合成後の並列腕共振子のID
Tの対数N2Pまたは交差長L2Pを決定する。以上の合成
条件をまとめると、(4)、(5)式となり、式
(4)、(5)式の合成条件が成立するように合成後の
SAW共振子の構造パラメータ(IDTの交差長や電極
対数)を設計する。
【0019】[シミュレーション]以下、上記設計方法
に基づいて設計した共振子型SAWフィルタの伝送特性
のシミュレーション結果を説明する。図11(A)、
(B)は、本発明の実施例の設計方法による共振器型S
AWフィルタの伝送特性のシミュレーション結果を示
し、IDT対数N1S=80対、交差長L1S=80μmの
構造を持つ直列腕SAW共振子と、IDT対数N1P=1
10対、交差長L1P=110μmの構造を持つ並列腕S
AW共振子を一段、三段、五段梯型回路構成し、その伝
送特性をSmith の等価回路を用いて、シミュレーション
した結果である。図中の曲線1A、1Bは一段、3A、
3Bは三段、5A、5Bは五段梯型回路構成したときの
伝送特性であり、横軸は規格化周波数f/f0 、縦軸は
挿入損失である。図11(A)の三段、五段梯型構成時
の伝送特性3A、5Aは、(4)、(5)式が成立する
ように直列腕SAW共振子、並列腕SAW共振子ともI
DTの交差長だを変えて、合成した場合の伝送特性であ
る。ただし、ここで合成された直列腕SAW共振子の構
造はIDT対数N2S=80対、交差長L2S=40μm
(=1/2L1S)であり、合成された並列腕SAW共振
子の構造はIDT対数N2P=110対、交差長L2P=2
20μm(=2L1P)である。
【0020】一方、図11(B)の三段、五段梯型構成
時の伝送特性3B、5Bは(4)、(5)式が成立する
ように直列腕SAW共振子はIDTの交差長だけを変
え、並列腕SAW共振子はIDTの対数と交差長を同時
に変えて合成した場合の伝送特性である。ただし、ここ
で合成された直列腕共振子の構造はIDT対数N2P=8
0対、交差長L2S=40μm(=1/2L1S)であり、
合成された並列腕SAW共振子の構造はIDT対数N2P
=156対(=21/2 1P)、交差長L2P=156μm
(=21/2 1P)である。図11(A)と(B)の三
段、五段梯型構成時の伝送特性をそれぞれ比較するとほ
ぼ等しい伝送特性が得られることがわかる。以上説明し
たほうに、本実施例によれば、式(4)、(5)式を使
った合成方法で多段梯型構成中の縦続接続された直列腕
SAW共振子及び並列腕SAW共振子を合成すると、フ
ィルタの伝送特性を変化させることなく(4)、(5)
式の合成条件が成立する範囲内でIDTの対数及び交差
長を自由に変えて共振器型SAWフィルタの設計を行う
ことができる。したがって、チップサイズなどの制限を
受けず設計の自由度も拡大し、一層の小型化、低損失化
を図ることができる。なお、本発明は、上記実施例に限
定されず種々の変形が可能である。その変形例として
は、例えば次のようなものがある。
【0021】(a) 本実施例では、主にSAW共振子
を五段梯型回路構成した共振器型SAWフィルタを例に
して説明したが、本発明は五段に限らず二段以上の多段
梯型回路構成した共振器型SAWフィルタ全てに適用可
能である。 (b) 本実施例では、IDTの両端にグレーティング
反射器(IDTの対数は150対以下のものを使用す
る)を配置した反射器型SAW共振子の合成方法につい
て説明したが、IDTの対数を多対(例えば、200対
以上にすると反射器がなくてもIDTの内部反射を利用
しIDT内部に定在波を発生させて共振現象を起こすこ
とが可能)にしグレーティグ反射器を持たないIDT型
SAW共振子を合成する場合についても同様に合成条件
を適用することができ、同様の利点が得られる。
【0022】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、二つの直列腕SAW共振子を1つの直列腕SAW
共振子に合成する場合は、合成前の直列腕SAW共振子
単体のすだれ状電極の電極対数と交差長をそれぞれ
1S、L1Sとし、合成後の直列腕SAW共振子の電極対
数と交差長をそれぞれN2S、L2Sとすると、2(N2S
2S)=N1S1Sの関係が成立するように、合成後の直列
腕共振子の構造パラメータを決定し、二つの並列腕SA
W共振子を1つの並列腕SAWに合成する場合は、合成
前の並列腕SAW共振子単体のすだれ状電極の電極対数
と交差長をそれぞれN1P、L1Pとし、合成後のSAW共
振子の電極対数と交差長をそれぞれN2P、L2Pとする
と、N2P2P=2(N1P1P)の関係が成立するよう
に、合成後の並列腕共振子の構造パラメータを決定した
ので、IDTの対数及び交差長を自由に変えて共振器型
SAWフィルタの設計を行うことができる。したがっ
て、チップサイズなどの制限を受けず設計の自由度も拡
大し、一層の小型化、低損失化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例のSAW共振子の合成方法を示
す図である。
【図2】SAWフィルタを示す図である。
【図3】SAW共振子を示す図である。
【図4】共振器型SAWフィルタの原理を示す図であ
る。
【図5】五段梯型回路構成を示す図である。
【図6】SAW共振子の設計パラメータを示す図であ
る。
【図7】Smith の等価回路を示す図である。
【図8】IDTの電気入力アドミタンスを示す図であ
る。
【図9】従来のSAW共振子の合成方法を示す図であ
る。
【図10】従来の設計方法による共振器型SAWフィル
タの伝送特性を示す図である。
【図11】本発明の実施例の設計方法による共振器型S
AWフィルタの伝送特性を示す図である。
【符号の説明】 101a,101b,102a,102b 直列腕SA
W共振子(合成前) 103a,103b,104a,104b 並列腕SA
W共振子(合成前) 101,102 直列腕SA
W共振子(合成後) 103,104 並列腕SA
W共振子(合成後)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気信号を弾性表面波に、あるいは弾性
    表面波を電気信号に変換するすだれ状電極を用いたSA
    W共振子を多段梯型に接続し、フィルタ構成した共振器
    型表面弾性波フィルタの設計方法において、 多段構成中の二つの隣接して縦続接続された同一構造の
    直列腕SAW共振子と二つの隣接して継続接続された同
    一構造の並列腕SAW共振子を1つの直列腕SAW共振
    子と1つの並列腕SAW共振子に合成する方法として、 前記二つの直列腕SAW共振子を1つの直列腕SAW共
    振子に合成する場合は、合成前の前記直列腕SAW共振
    子単体のすだれ状電極の電極対数と交差長をそれぞれN
    1S、L1Sとし、合成後のSAW共振子の電極対数と交差
    長をそれぞれN2S、L2Sとすると、2(N2S2S)=N
    1S1Sの関係が成立するように、合成後の直列腕共振子
    の構造パラメータとし、 前記二つの並列腕SAW共振子を1つの並列腕SAW共
    振子に合成する場合は、合成前の前記並列腕SAW共振
    子単体のすだれ状電極の電極対数と交差長をそれぞれN
    1P、L1Pとし、合成後のSAW共振子の電極対数と交差
    長をそれぞれN2P、L2Pとすると、N2P2P=2(N1P
    1P)の関係が成立するように、合成後の並列腕共振子
    の構造パラメータとした、 ことを特徴とする共振器型表面弾性波フィルタの設計方
    法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016181909A (ja) * 2013-03-15 2016-10-13 レゾナント インコーポレイテッドResonant Inc. マイクロ波音響波フィルタの改良された設計
WO2023128416A1 (ko) * 2021-12-29 2023-07-06 주식회사 와이팜 Saw 공진기의 설계방법 및 이를 기록한 컴퓨팅 장치에 의해 판독 가능한 기록매체

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JP2016181909A (ja) * 2013-03-15 2016-10-13 レゾナント インコーポレイテッドResonant Inc. マイクロ波音響波フィルタの改良された設計
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