JPH09182708A - 食器洗い機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 食器の洗浄を行う食器洗い機において、蓋開
状態では蓋が下がってこないようにしっかりと保持し、
蓋を閉めるときには、蓋が勢いよく閉まって洗浄槽内の
食器を破損させたり、使用者に不安全感を与えたりする
ことを防ぎ、蓋閉状態では、洗浄運転中に一時停止をせ
ずに蓋を開けたときの蓋の浮きを抑え、洗浄水の洗浄槽
外への飛び散りをなくする。 【解決手段】 上方に開口部を有する箱型の洗浄槽２１
の後部に支持部材３０を固定し、この支持部材３０に開
口部を上方に覆う蓋２７を回転自在に取り付け、支持部
材３０に付勢ばね３１を取り付けて蓋２７を常に開く方
向に付勢するとともに、蓋２７と支持部材３０または洗
浄槽２１との間に反転ばねを取り付ける。反転ばねは、
蓋２７が閉状態では蓋２７を閉める方向に付勢し、開状
態では蓋２７を開ける方向に付勢する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は食器の洗浄を行う食
器洗い機に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の食器洗い機は図７に示す
ように構成していた。以下、その構成について説明す
る。

【０００３】図に示すように、洗浄槽１は食器類２を内
部に収納し、底部に洗浄水を溜め、前面は開口部となっ
ている。洗浄ノズル３は洗浄槽１内に回転自在に支持さ
れ、食器類２に向けて洗浄水を噴出する。洗浄ポンプ４
は洗浄ノズル３に洗浄水を送り込むものであり、この洗
浄ポンプ４はモータ５によって駆動される。ヒータ６は
洗浄槽１の底部に配設し、洗浄水を加熱する。

【０００４】扉７は洗浄槽１の前面開口部を前方に開閉
自在に覆っており、この扉７の内部の下部に支持部材８
を取り付け、食器洗い機本体９に取り付けた軸受け部材
１０に軸１１を介して回転自在に保持されている。洗浄
槽１の開口部の内壁の上面および左右側面に第１のシー
ル部材１２を取り付け、扉７の下面内部に第２のシール
部材１３を取り付けている。

【０００５】上記構成において動作を説明すると、利用
者が扉７を前方に開け、食器類２を食器かご１４に配置
し、洗浄槽１に収納して洗剤を入れた後運転を開始する
と、まず、洗浄槽１の底部に所定量の水道水が給水され
る。そして モータ５およびヒータ６に通電され、洗浄
水は加熱されながら洗浄ポンプ４により食器類２に向け
て洗浄ノズル３から噴出され、食器の汚れを落とす。洗
浄中は、第１のシール部材１２と第２のシール部材１３
によって、洗浄槽１と扉７との間を水封し、洗浄槽１内
に噴出される洗浄水が洗浄槽１外に漏れるのを防止す
る。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】このような従来の構成
では、扉７が食器洗い機本体９の前方方向に開くため、
食器洗い機本体９の前方のスペースが活用できず、設置
場所が限定されるという問題を有していた。限られた台
所のスペースの中で食器洗い機の占める領域を小さくす
るためには、蓋が上方向に開く構成とし、食器洗い機本
体９の前方のスペースを有効に活用できるようにするこ
とが一つの手段となる。

【０００７】しかし、上開きの構成においては、蓋を開
けた状態では蓋が自然に下がってこないようにしっかり
と保持できること、また、蓋を閉めるときには、蓋が勢
いよく閉まって洗浄槽内の食器を破損させたり、使用者
に不安全感を与えたりしないことが要求される。

【０００８】そのためには、蓋を開く方向に付勢する付
勢力を大きくすればよいが、この付勢力を大きくする
と、蓋の自重より大きくなって、蓋閉状態では蓋が少し
浮いた位置で釣り合うことになる。ここで、洗浄運転中
に一時停止をせずに蓋を開けたとき、この釣り合いの位
置まで蓋が勢いよく開くので、開いた隙間から洗浄水が
洗浄槽外に飛び散りやすいという問題があった。

【０００９】本発明は上記従来の課題を解決するもの
で、蓋が上方向に開く構成としたときの蓋開閉の動作に
おいて、蓋開状態では蓋が自然に下がってこないように
しっかりと保持し、蓋を閉めるときには、蓋が勢いよく
閉まって洗浄槽内の食器を破損させたり、使用者に不安
全感を与えたりすることを防ぎ、蓋閉状態では、洗浄運
転中に一時停止をせずに蓋を開けたときの蓋の浮きを抑
え、洗浄水の洗浄槽外への飛び散りをなくすることを目
的としている。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明の食器洗い機にお
いては、上方に開口部を有する箱型の洗浄槽の後部に支
持部材を固定し、この支持部材に開口部を上方に覆う蓋
を回転自在に取り付け、支持部材に付勢ばねを取り付け
て蓋を常に開く方向に付勢するとともに、蓋と支持部材
または洗浄槽との間に反転ばねを取り付け、この反転ば
ねは、蓋が閉状態では蓋を閉める方向に付勢し、開状態
では蓋を開ける方向に付勢するようにしたものである。

【００１１】これにより、蓋開状態では蓋が自然に下が
ってこないようにしっかりと保持し、蓋を閉めるときに
は、蓋が勢いよく閉まって洗浄槽内の食器を破損させた
り、使用者に不安全感を与えたりするのを防ぐことがで
き、蓋閉状態では、洗浄運転中に一時停止をせずに蓋を
開けたときの蓋の浮きを抑え、洗浄水の洗浄槽外への飛
び散りをなくすることができる。

【００１２】

【発明の実施の形態】本発明の請求項１に記載の発明
は、上方に開口部を有する箱型の洗浄槽と、この洗浄槽
の後部に固定した支持部材に回転自在に取り付け前記開
口部を上方に覆う蓋と、前記支持部材に取り付け前記蓋
を常に開く方向に付勢する付勢ばねと、前記蓋と前記支
持部材または前記洗浄槽との間に取り付けた反転ばねと
を備え、前記反転ばねは、前記蓋が閉状態では蓋を閉め
る方向に付勢し、開状態では蓋を開ける方向に付勢する
ようにしたものであり、蓋が上方向に開く構成としたと
きの蓋開閉の動作において、蓋開状態では蓋が自然に下
がってこないようにしっかりと保持し、蓋を閉めるとき
には、蓋が勢いよく閉まって洗浄槽内の食器を破損させ
たり、使用者に不安全感を与えたりするのを防ぐことが
でき、蓋閉状態では、洗浄運転中に一時停止をせずに蓋
を開けたときの蓋の浮きを抑え、洗浄水の洗浄槽外への
飛び散りをなくすることができる。

【００１３】請求項２に記載の発明は、上記請求項１に
記載の発明において、蓋の後方に、支持部材を回転自在
に保持する軸受け部と、付勢ばねおよび反転ばねの保持
部と、蓋開時にある特定の角度で前記支持部材に当接す
る当接部とを一体に形成したものであり、蓋の開閉軸受
け回りを構成する部品点数を低減することができ、組み
立て性、修理交換時の作業性を向上できるとともに、開
閉軸受け回りの強度を向上することができる。

【００１４】請求項３に記載の発明は、上記請求項１に
記載の発明において、反転ばねを複数個設け、前記反転
ばねに摺動自在に挿入した連結棒により連結したもので
あり、蓋閉時、反転ばねに負荷がかかったとき、連結棒
によって反転ばねの後方へのねじれ変形を抑えることが
でき、反転ばねの耐久強度への悪影響を取り除くことが
できるとともに、後方へのねじれ変形がない分、開閉軸
受け後方の必要スペースを少なくでき、軸受け回りをコ
ンパクトに抑えることができる。

【００１５】以下、本発明の一実施の形態について、図
面を参照しながら説明する。 （実施の形態）図１に示すように、洗浄槽２１は食器類
２２を内部に収納し、底部に洗浄水を溜め、上面は開口
部となっている。洗浄ノズル２３は洗浄槽２１内に回転
自在に支持され、洗浄ポンプ２４により送り込まれた洗
浄水を食器類２２に向けて噴出する。ヒータ２５は洗浄
槽２１の底部に配設して洗浄水を加熱する。

【００１６】内蓋２６ａは洗浄槽２１の上面開口部を上
方に開閉自在に覆い、この内蓋２６ａの上方に外蓋２６
ｂを取り付け、これら内蓋２６ａと外蓋２６ｂとで蓋２
７を構成している。内蓋２６ａの後方には、図２に示す
ように、軸受け部２８を形成し、軸２９によって支持部
材３０を回転自在に取り付けている。支持部材３０は洗
浄槽２１に固定されており、軸２９を中心にして蓋２７
が上方向に回転するように構成している。

【００１７】また、図３および図４に示すように、支持
部材３０には軸２９を介して付勢ばね３１を左右各２個
ずつ取り付けている。なお、図２では、支持部材３０と
付勢ばね３１を蓋閉状態では実線で示し、蓋開状態では
２点鎖線で示しているが、付勢ばね３１の復元力が内蓋
２６ａに形成した保持部３２に作用するため、内蓋２６
ａを常に開く方向に付勢している。

【００１８】反転ばね３３は、図５に示すように、その
端部３４を内蓋２６ａに一体に形成した保持部３５に摺
動自在に取り付け、他方の端部３６を支持部材３０に形
成した保持部３７に摺動自在に取り付けている。なお、
図５では、支持部材３０と反転ばね３３を蓋閉状態では
実線で示し、蓋開状態では２点鎖線で示しているが、端
部３４、３６と軸２９の位置関係でわかるように、蓋閉
から蓋開の途中で現れるデットポイントを境にして、蓋
閉状態では蓋２７を閉める方向に付勢力が働き、蓋開状
態では蓋２７を開ける方向に付勢力が働く。

【００１９】内蓋２６ａの後方には、前述のように、支
持部材３０を回転自在に保持する軸受け部２８と、付勢
ばね３１の保持部３２と、反転ばね３３の保持部３５と
を一体に形成し、さらに、図２に示すように、蓋開時に
開き角度θ＝７０°で支持部材３０のストッパー部３８
に当接する当接部３９を一体に形成している。

【００２０】また、反転ばね３３は、図３に示すよう
に、連結棒４０を挿入し、複数の反転ばね３３を連結棒
４０によって連結している。

【００２１】上記構成において動作を説明すると、利用
者が蓋２７を上方に開け、食器類２２を食器かご４１に
配置し、洗浄槽２１に収納して洗剤を入れた後運転を開
始すると、まず、洗浄槽２１の底部に所定量の水道水が
給水される。そして 洗浄ポンプ２４およびヒータ２５
に通電され、洗浄水は加熱されながら食器類２２に向け
て洗浄ノズル２３から噴出され、食器の汚れを落とす。
洗浄中はシール部材４２によって洗浄槽２１と内蓋２６
ａとの間を水封し、洗浄槽２１内に噴出される洗浄水が
洗浄槽２１外に漏れるのを防止することができる。

【００２２】つぎに、蓋２７に作用するモーメントにつ
いて、図６を参照しながら説明すると、蓋２７の自重の
モーメントは、図６の曲線ａで示すように、内蓋２６ａ
のシール面４３が前方に１５°傾斜しているため、蓋開
き角度θが１５°で最大となり、開くにつれて減少して
蓋全開角度θ＝７０°で最小となり、常時蓋２７を閉め
る方向に働く。付勢ばね３１のモーメントは、図６の直
線ｂで示すように、蓋２７を開けるにつれて角度θに比
例して減少し、常時蓋２７を開ける方向に働く。

【００２３】反転ばね３３のモーメントは、曲線ｃで示
すように、デットポイントｃ0を境にして、蓋閉状態で
は蓋２７を閉める方向に付勢力が働き、蓋開状態では蓋
２７を開ける方向に付勢力が働く。各モーメントの総和
を曲線ｄで示しており、蓋開き角度θが小さいときは蓋
２７を閉める方向に働き、蓋２７が開くにつれて蓋２７
を開く方向に働き、全開状態に近くなると開く方向のモ
ーメントが小さくなるという変化を示している。

【００２４】この内容を蓋２７の開閉の動作で説明する
と、使用者が蓋２７を開けて食器類２２をセツトすると
き、蓋２７を開けた状態で蓋２７が自然に下がってこな
いようにしっかりと保持することができる。また、蓋２
７を閉めるとき、開く方向のモーメントが徐々に増加し
てから減少に転じるので、蓋２７が勢いよく閉まって洗
浄槽２１内の食器類２２を破損させたり、使用者に不安
全感を与えたりすることもない。また、洗浄運転中に一
時停止をせずに蓋２７を開けたとき、蓋閉状態では蓋２
７を閉める方向にモーメントが働いているので、蓋２７
が勢いよく開くことはなく、開いた隙間から洗浄水が洗
浄槽２１外に飛び散ることもない。

【００２５】このように、付勢ばね３１だけではモーメ
ントが角度θに比例した付勢力しか得られないが、反転
ばね３３との組み合わせにより、目的とする蓋開閉動作
が可能となる。

【００２６】また、内蓋２６ａの後方に形成した軸受け
部２８と保持部３２には付勢ばね３１によって反力が作
用するが、圧縮力となり、ひっぱり方向には作用しな
い。一般に樹脂部品においては、圧縮応力の場合は引張
応力に対して破壊強度は格段に向上するとともに、クリ
ープ変形に対する強度も向上する。また、内蓋２６ａの
後方に形成した当接部３９においては、蓋全開時に更に
開く方向に力を加えた場合大きな力が作用するが、同様
に圧縮応力となるため、充分な強度が確保できる。図５
に示す反転ばね３３の保持部３５についても同様のこと
がいえる。

【００２７】また、これら軸受け部２８と、付勢ばね３
１の保持部３２と、反転ばね３３の保持部３５と、当接
部３９とを内蓋２６ａに一体に形成することにより、開
閉軸受け回りを構成する部品点数が低減することがで
き、組み立て性、修理交換時の作業性を向上することが
できる。

【００２８】また、反転ばね３３に連結棒４０を摺動自
在に挿入し、複数の反転ばね３３を連結棒４０によって
連結することにより、蓋閉時、反転ばね３３に負荷がか
かったとき、発生する付勢力により、反転ばね３３自体
がその長さ方向で内蓋２６ａの後方にねじれ変形をしよ
うとするが、連結棒４０によって反転ばね３３がそれぞ
れ単独でねじれ変形しないように規制される。

【００２９】これにより蓋閉時、反転ばね３３に負荷が
かかったときの反転ばね３３の後方へのねじれ変形を抑
えることができ、反転ばね３３の耐久強度への悪影響を
取り除くことができるとともに、後方へのねじれ変形が
ない分、開閉軸受け後方の必要スペースを少なくでき、
軸受け回りをコンパクトに抑えることができる。

【００３０】

【発明の効果】以上のように本発明の請求項１に記載の
発明によれば、上方に開口部を有する箱型の洗浄槽と、
この洗浄槽の後部に固定した支持部材に回転自在に取り
付け前記開口部を上方に覆う蓋と、前記支持部材に取り
付け前記蓋を常に開く方向に付勢する付勢ばねと、前記
蓋と前記支持部材または前記洗浄槽との間に取り付けた
反転ばねとを備え、前記反転ばねは、前記蓋が閉状態で
は蓋を閉める方向に付勢し、開状態では蓋を開ける方向
に付勢するようにしたから、蓋開状態では蓋が自然に下
がってこないようにしっかりと保持し、蓋を閉めるとき
には、蓋が勢いよく閉まって洗浄槽内の食器を破損させ
たり、使用者に不安全感を与えたりするのを防ぐことが
でき、蓋閉状態では、洗浄運転中に一時停止をせずに蓋
を開けたときの蓋の浮きを抑え、洗浄水の洗浄槽外への
飛び散りをなくすることができる。

【００３１】また、請求項２に記載の発明によれば、蓋
の後方に、支持部材を回転自在に保持する軸受け部と、
付勢ばねおよび反転ばねの保持部と、蓋開時にある特定
の角度で前記支持部材に当接する当接部とを一体に形成
したから、蓋の開閉軸受け回りを構成する部品点数を低
減することができ、組み立て性、修理交換時の作業性を
向上できるとともに、開閉軸受け回りの強度を向上する
ことができる。

【００３２】また、請求項３に記載の発明によれば、反
転ばねを複数個設け、前記反転ばねに摺動自在に挿入し
た連結棒により連結したから、蓋閉時、反転ばねに負荷
がかかったとき、連結棒によって反転ばねの後方へのね
じれ変形を抑えることができ、反転ばねの耐久強度への
悪影響を取り除くことができるとともに、後方へのねじ
れ変形がない分、開閉軸受け後方の必要スペースを少な
くでき、軸受け回りをコンパクトに抑えることができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施の形態の食器洗い機の断面図

【図２】同食器洗い機の付勢ばね部で断面した要部拡大
断面図

【図３】同食器洗い機の一部切欠した平面図

【図４】同食器洗い機の一部切欠した拡大平面図

【図５】同食器洗い機の反転ばね部で断面した要部拡大
断面図

【図６】同食器洗い機の蓋の動作説明図

【図７】従来の食器洗い機の断面図

【符号の説明】

２１ 洗浄槽 ２７ 蓋 ３０ 支持部材 ３１ 付勢ばね ３３ 反転ばね

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 上方に開口部を有する箱型の洗浄槽と、
   この洗浄槽の後部に固定した支持部材に回転自在に取り
   付け前記開口部を上方に覆う蓋と、前記支持部材に取り
   付け前記蓋を常に開く方向に付勢する付勢ばねと、前記
   蓋と前記支持部材または前記洗浄槽との間に取り付けた
   反転ばねとを備え、前記反転ばねは、前記蓋が閉状態で
   は蓋を閉める方向に付勢し、開状態では蓋を開ける方向
   に付勢するようにした食器洗い機。
2. 【請求項２】 蓋の後方に、支持部材を回転自在に保持
   する軸受け部と、付勢ばねおよび反転ばねの保持部と、
   蓋開時にある特定の角度で前記支持部材に当接する当接
   部とを一体に形成した請求項１記載の食器洗い機。
3. 【請求項３】 反転ばねを複数個設け、前記反転ばねに
   摺動自在に挿入した連結棒により連結した請求項１記載
   の食器洗い機。