JPH09182454A - スイッチング損失を低減化した3レベルインバータのpwm制御方法および装置 - Google Patents

スイッチング損失を低減化した3レベルインバータのpwm制御方法および装置

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JPH09182454A
JPH09182454A JP7338694A JP33869495A JPH09182454A JP H09182454 A JPH09182454 A JP H09182454A JP 7338694 A JP7338694 A JP 7338694A JP 33869495 A JP33869495 A JP 33869495A JP H09182454 A JPH09182454 A JP H09182454A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 瞬時空間ベクトル制御方式を用いた電圧形3
レベルインバータにおけるスイッチング損失を低減化す
ること。 【解決手段】 ベクトルの全空間を6つの区間に分け、
また、各区間をそれぞれ4つの範囲に分ける。第1の手
段1は、ベクトル制御装置5から与えられる指令ベクト
ルVの大きさと回転角から、指令ベクトルVが存在する
区間および範囲を求める。また、第3の手段は、負荷電
流と線間電圧パルスに基づき負荷の力率角βを推定す
る。第4の手段は、力率角βおよび求めた区間と範囲に
より、スイッチング損失を低減化できるベクトルの発信
順序を決定して、各ベクトルの出力時間を計算し、電圧
形インバータ6の各スイッチング素子をスイッチングす
る。これにより、負荷力率角が30°以下のとき、スイ
ッチングしない領域を負荷電流の中央付近におくことが
でき、スイッチング損失を低減化することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は一般産業および鉄道
等の分野でモータを駆動するための制御電源として使用
される電圧形3レベルインバータの制御装置に関し、特
に本発明は、スイッチング損失を低減化することができ
る3レベルインバータのPWM制御方法および装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】3レベルインバータは電気鉄道をはじ
め、主として大容量、高電圧インバータとして普及しつ
つある。図2は3レベルインバータの主回路構成を示す
図である。同図において、11は直流電圧電源、12は
直流リアクトル、12C1および12C2は同一容量の
コンデンサであり、その両端PおよびNは直流電源11
のそれぞれの正端子、負端子に接続される。さらに、コ
ンデンサ12C1と12C2の接続点からは中性点端子
Oが導出されている。
【0003】13u1〜13u4、14v1〜14v4
および15w1〜15w4は正端子Pと負端子Nとの間
に直列接続されたU,V,W相の主スイッチング素子群
であり、それぞれがこの順に13D1〜13D4、14
D1〜14D4および15D1〜15D4で示される逆
並列ダイオードを備えている。また、13D5〜13D
6、14D5〜14D6および15D5〜15D6は同
図に示す極性で、上記主スイッチング素子13u1,1
4u1,15u1と13u2,14u2,15u2の接
続点、および、主スイッチング素子13u3,14u
3,15u3と13u4,14u4,15u4の接続点
と中性点端子Oとの間に接続された中性点クランプダイ
オードである。
【0004】図2のU,V,W相の電位は3種類のレベ
ル+E、0,−Eを出力する。例えば、U相の主スイッ
チング素子群において、スイッチング素子13u1、1
3u2が導通すると+Eレベルが出力され、13u3、
13u4が導通すると−Eレベルとなり、さらに、13
u2、13u3が導通すると0レベルとなる。同様に各
相のスイッチング素子は2個ずつペアで導通し、U,
V,W相に+E,0,−Eの電圧が発生する。
【0005】図3は上記3レベルインバータが出力でき
る空間電圧ベクトルを示す図、 図4は図3の一つの区
間(例えば図3の区間S1)を4つの範囲A1〜A4に
分けて示した図である。なお、同図において、例えば
(0,1,−1)はU,V,W相の電圧がそれぞれ
(0,+E,−E)であることを示す。また、(1,
1,1)、(0,0,0)、(−1,−1,−1)は出
力を発生しない零電圧ベクトルV0 である。同図に示す
ように、3レベルインバータは33 =27通りのスイッ
チング状態をとることができ、19種類の離散な電圧ベ
クトルが出力可能である。3レベルインバータの瞬時空
間電圧ベクトル制御においては、指令電圧ベクトルVと
隣接した上記電圧ベクトルの内の零電圧ベクトルも含む
いくつかのベクトルを選択し、その合成ベクトルが上記
指令ベクトルVと一致するように制御する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の3相3レベルイ
ンバータ装置はインバータの出力電圧ベクトルによって
発生できる指令ベクトルVの範囲が明確化されていなか
ったので、図3の電圧ベクトルのいくつかを選択し、指
令ベクトルVに一致するベクトルを合成する際、零電圧
ベクトルV0 が頻繁に使用されることが多かった。すな
わち、図4において、指令ベクトルVが区間A2、A
3、或いはA4のどの範囲に存在していても零電圧ベク
トルV0 が使用される場合があり、負荷電流リップルが
多くなるといった問題点があった。
【0007】また、従来の3相3レベルインバータ装置
においては、IGBT素子を利用してスイッチング周波
数を上げることにより高調波成分を低減化しているが、
スイッチング損失はスイッチング周波数を上げると共に
大きくなり、システム全体の効率が低下するといった問
題を生じた。
【0008】本発明は上記した従来技術の問題点を考慮
してなされたものであって、本発明の目的は、比較的簡
単な演算と論理判断を行うだけで、スイッチング損失を
低減化することができ、システムの効率を向上させるこ
とができるる3レベルインバータのPWM制御方法およ
び装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】まず、本発明の原理を説
明する。前記した図3において、2つの長いベクトルで
挟む60°の領域を一つの区間として、ベクトルの36
0°全空間を区間S1から区間S6まで6個の区間に分
ける。ベクトルの定義から指令ベクトルVが存在する区
間番号nは次の(1)式で計算することができる。ここ
で、ωはインバータの出力周波数である。 n=(ωt mod 60°)+1 (1)
【0010】図4は図3における一つの区間(例えば区
間S1)を4つの範囲A1〜A4にわけた状態を示して
おり、同図において、範囲A1における指令ベクトルV
を、零電圧ベクトルV0 と2つの短いベクトルVs1,V
s2によって発生するとき、短いベクトル(Vs1,Vs2)
の出力できる最大の時間Tsmax1 は次の式(2)で計算
される。また、範囲A2における指令ベクトルVを、中
間ベクトルVm と2つの短いベクトルVs1,Vs2によっ
て発生するとき、2つの短いベクトルVs1,Vs2の出力
できる最大の時間Tsmax2 ,Tsmax3 は、次の(3)
(4)式で計算される。
【0011】
【数1】
【0012】また、ベクトルの大きさを|V|として表
すと、指令ベクトルVを発生するに必要な短いベクトル
Vs の出力時間Ts は上記(5)式で計算される。な
お、上記式(1)〜(5)において、Tc は制御周期、
|Vm |は中間ベクトルの大きさ、θは前記図4に示す
ベクトルVの回転角である。上記式(5)のTs とTsm
ax1 ,Tsmax2 ,Tsmax3 とを比較することにより、指
令ベクトルVがどの範囲にあるかを判断することができ
る。この判断は次のように行われる。
【0013】(a) Ts <Tsmax1 のとき指令ベクトルV
は範囲A1(m=1:mは一つの区間における指令ベク
トルVが存在する範囲番号)に存在する。 (b) θ≦30°でTsmax1 ≦Ts <Tsmax2 、あるい
は、θ>30°でTsmax1≦Ts <Tsmax3 のとき指令
ベクトルVは範囲A2(m=2)に存在する。 (c) θ≦30°でTs ≧Tsmax2 のとき指令ベクトルV
は範囲A3(m=3)に存在する。 (d) θ>30°でTs ≧Tsmax3 のとき指令ベクトルV
は範囲A4(m=4)に存在する。
【0014】ところで、指令ベクトルVが上記各範囲内
にあるとき、前記図3の示す空間電圧ベクトルの発信順
序として次の発信順序が存在する。なお、説明を簡単に
するため、以下、電圧ベクトルVが区間S1にある場合
について説明する。 ベクトルVが範囲A1にあるときは次の2つの発信
順序がある。 上記発信順序1はインバータのU相が変調しない(U相
のスイッチング素子がスイッチングしない)Vu =+1
の発信順序であり、発信順序2はインバータのW相が変
調しないVw=−1の発信順序である。なお、T0 は各
制御周期における零電圧ベクトルV0 (111),(-1-1-1)
の出力時間、Ts1は短いベクトルVs1(100),(0-1-1)の
出力時間、Ts2は短いベクトルVs2(110),(00-1) の出
力時間である。
【0015】 ベクトルVが範囲A2にあるときは次
の2つの発信順序がある。 上記発信順序3はインバータのU相が変調しないVu =
+1の発信順序であり、発信順序4はインバータのW相
が変調しないVw=−1の発信順序である。なお、Tm
は中間ベクトルVm (10-1) の出力時間、Ts1、Ts2は
短いベクトルVs1、Vs2(110),(00-1) の出力時間であ
る。
【0016】 ベクトルVが長く、範囲A3にあると
きは次の2つの発信順序がある。 上記発信順序5はインバータのU相が変調しないVu =
+1の発信順序であり、発信順序6はインバータのW相
が変調しないVw=−1の発信順序である。なお、Tm
は中間ベクトルVm の出力時間、Ts1は短いベクトルV
s1の出力時間、TL1は長いベクトルVL1 (1-1-1)の出力
時間である。
【0017】 ベクトルVが長く、範囲A4にあると
きは次の2つの発信順序がある。 上記発信順序7はインバータのU相が変調しないVu =
+1の発信順序であり、発信順序8はインバータのW相
が変調しないVw=−1の発信順序である。なお、Tm
は中間ベクトルVm の出力時間、TL2は長いベクトルV
L2 (11-1)の出力時間である。
【0018】上記したように、ベクトルVが区間S1の
各範囲A1〜A4にあるとき、スイッチングしない相を
もつ発信順序がそれぞれ2つある。そこで、ある相電流
のピーク付近で出力されるベクトルの発信順序に、上記
したスイッチングしない相を持つ発信順序を選定するこ
とにより、スイッチング損失を低減化することができ
る。本発明は上記原理に基づきスイッチング損失を低減
化する。
【0019】図5はU相の電流、電圧基本波、および図
3に示した空間ベクトルの対応関係を示す図である。同
図において、S1〜S6は図3に示した区間S1〜S
6、Vu はU相の電圧、iu はU相の電流、Tc は制御
周期である。また、a〜f(120°の範囲)はスイッ
チングしないことが可能な範囲を示し、例えば、U相に
ついては、区間S6、S1においてU相をスイッチング
させずにVu=+1のまま保持でき、また、区間S3,
S4においてはスイッチングさせずにVu =−1のまま
保持できる。
【0020】そこで、例えば、同図のa〜fにおいて、
電流ピーク値付近の60°の範囲を実際にスイッチング
しない範囲(同図の黒い部分)に選定すれば、スイッチ
ング損失を低減化することができる。ここで、力率角β
がβ≦30°の場合には、上記したスイッチングしない
部分(図5の黒い部分)を負荷の力率角に応じて電流の
ピーク付近に置くことができる。図6は区間S6,S1
におけるインバータのU相のスイッチングしない範囲と
負荷の力率角との関係を示す図である。スイッチングし
ない範囲を同図に示すように選定できれば、スイッチン
グ損失を最小にすることができる。
【0021】この場合の各区間の発信順序は次のように
なる。 区間S1:θ≦30°+βの時にu相は変調しない(Vu=+1に保持する)。 θ>30°+βの時にw相は変調しない(Vw=−1に保持する)。 区間S2:θ≦30°+βの時にw相は変調しない(Vw=−1に保持する)。 θ>30°+βの時にv相は変調しない(Vv=+1に保持する)。 区間S3:θ≦30°+βの時にv相は変調しない(Vv=+1に保持する)。 θ>30°+βの時にu相は変調しない(Vu=−1に保持する)。 区間S4:θ≦30°+βの時にu相は変調しない(Vu=−1に保持する)。 θ>30°+βの時にw相は変調しない(Vw=+1に保持する)。 区間S5:θ≦30°+βの時にw相は変調しない(Vw=+1に保持する)。 θ>30°+βの時にv相は変調しない(Vv=−1に保持する)。 区間S6:θ≦30°+βの時にv相は変調しない(Vv=−1に保持する)。 θ>30°+βの時にu相は変調しない(Vu=+1に保持する)。
【0022】図7は負荷力率角β>30°の場合におけ
る区間S6,S1のインバータu相のスイッチングしな
い範囲を示す図である。負荷力率角β>30°の場合に
は発信順序を次のように配分する。 区間S1:u相は変調しない(Vu=+1に保持する)。 区間S2:w相は変調しない(Vw=−1に保持する)。 区間S3:v相は変調しない(Vv=+1に保持する)。 区間S4:u相は変調しない(Vu=−1に保持する)。 区間S5:w相は変調しない(Vw=+1に保持する)。 区間S6:v相は変調しない(Vv=−1に保持する)。 この場合には、60°のスイッチングしない範囲を、対
応する相電流位相の中央(ピーク値の付近)に置くこと
ができなくなる。
【0023】ところで、上述の通りに発信順序を選択す
るためには、負荷の力率角βによる判断が必要である。
負荷の力率角βは次のように推定する。図8は本発明に
おいて負荷の力率角βを推定する原理を示す図である。
同図に示すように、まず、制御装置のPWM制御部によ
り、各出力電圧パルスの立ち上がり及び立ち下がりのタ
イミングtA 、tB を求めると共に線間電圧パルスの極
性を計算して記憶する。
【0024】次に、今回計算した線間電圧パルスの極性
と前回計算した線間電圧パルスの極性を比較する。そし
て、極性が逆になると、そのパルスの立ち上がり及び立
ち下がりのタイミングtC 、tD を記憶する。そして、
次式(6)により時刻t1 を求め記憶する。 t1 =(tC −tB )/2 (6) また、線間電圧基本波が負から正に切り替わる時刻t1
を、前記tA ,tB を用いて次式(7)により求める。 t1 =(tD −tA )/2 (7) 上記のようにして求めた時刻t1 は線間電圧基本波が
正、負に切り替わる時刻である。次に、測定した電流値
を処理し、電流の正、負の切り替わる時刻をt2 として
記憶する。そしてt1 ,t2 から力率角βを下式(8)
で推定する。 β=ωt×(t2 −t1 )−30° (8)
【0025】以上のようにしてベクトルVの存在する範
囲を求め、ベクトルの出力時間を計算する。例えば、区
間S1において各発信順序におけるベクトルの出力時間
の計算は次のようになる。区間S1のA1範囲に存在す
る指令ベクトルVを生成するたに各ベクトルの出力時間
を下式(9)〜(11)で計算する。区間S1のA2範
囲に存在する指令ベクトルVを生成するために各ベクト
ルの出力時間を下式(12)〜(14)で計算する。
【0026】
【数2】
【0027】区間S1のA3範囲に存在する指令ベクト
ルVを生成するために各ベクトルの出力時間を下式(1
5)〜(17)で計算する。区間S1のA4範囲に存在
する指令ベクトルVを生成するために各ベクトルの出力
時間を下式(18)〜(20)で計算する。
【0028】
【数3】
【0029】本発明は上記原理に基づき3レベルインバ
ータのスイッチング損失を低減化したものであり、図1
に本発明の原理ブロック図を示す。図1において、1は
指令ベクトルVの大きさ|V|と回転角度θに基づき、
指令ベクトルVが存在する区間S1〜S6、および、範
囲A1〜A4を判断する第1の手段、2は負荷電流を検
出する手段、3は負荷の力率角βを推定する第3の手
段、4は発信順序を決定するとともに各ベクトルの出力
時間を計算する第4の手段である。また、5はベクトル
制御装置、6は電圧形インバータ、7は誘導電動機等の
負荷である。
【0030】図1において、本発明は次のようにして前
記課題を解決する。 (1)3レベルインバータの出力空間電圧ベクトルにお
ける2つの長いベクトルVL で挟む60°の領域を一つ
の区間として、ベクトルの360°全空間を区間S1か
ら区間S6まで6つの区間に分け、さらに上記各区間S
1〜S6について、零ベクトルV0 と短いベクトルVs
1,Vs2、短いベクトルVs1,Vs2と中間ベクトルVm
、あるいは、短いベクトルVs1,Vs2と中間ベクトル
Vm および長いベクトルVL1,VL2により発生できる指
令ベクトルVが存在する範囲に応じて上記各区間をそれ
ぞれ4つの範囲A1〜A4に分ける。そして、ベクトル
制御装置5から指令ベクトルが与えられると、第1の手
段1により、指令ベクトルVの大きさ|V|と指令ベク
トルの回転角θから、指令ベクトルVが存在する区間S
1〜S6および範囲A1〜A4を求める。一方、第2の
手段により、負荷電流を検出し、第3の手段により、検
出した負荷電流と負荷に印加する線間電圧パルスに基づ
き負荷の力率角βを推定する。次に、第4の手段によ
り、力率角βおよび指令ベクトルVが存在する区間と範
囲により、スイッチング損失を低減化できるベクトルの
発信順序を決定すると共に、該発信順序における各ベク
トルの出力時間を計算し、電圧形インバータ6の各スイ
ッチング素子を上記発信順序、出力時間に基づきスイッ
チングする。
【0031】(2)上記(1)において、第4の手段
は、下記(a) 〜(d) により各ベクトルの発信順序、出力
時間を計算する。すなわち、指令ベクトルVが短い場合
は長いベクトルVL を使わず、指令ベクトルVが長い場
合は零ベクトルを使用しない。 (a) 指令ベクトルVが各区間S1〜S6における範囲A
1に存在する場合は、零ベクトルV0 と短いベクトルV
s1,Vs2を使用する。 (b) 指令ベクトルVが範囲A2に存在する場合は、短い
ベクトルVs1,Vs2と中間ベクトルVm を使用する。 (c) 指令ベクトルVが範囲A3に存在する場合には、短
いベクトルVs1、中間ベクトルVm および長いベクトル
VL1を使用する。 (d) 指令ベクトルVが範囲A4に存在する場合には、短
いベクトルVs2、中間ベクトルVm および長いベクトル
VL2を使用する。
【0032】(3)上記(1)(2)において、第3の
手段は、線間電圧パルスの正、負の切り換え点を第1の
時刻t1 として記憶し、第2の手段により検出された負
荷電流が零となる時刻を第2の時刻t2 として記憶し、
上記第1および第2の時刻t1,t2 とインバータの出
力周波数に基づき、負荷の力率角βを推定する。 (4)上記(1)〜(3)において、第4の手段は、負
荷電流の正と負のピーク値近傍の60°の範囲でスイッ
チングしない発信順序を決定する。本発明の請求項1,
2の発明においては、上記(1)のように構成したの
で、3レベルインバータのスイッチング損失を低減化す
ることができる。
【0033】本発明の請求項3の発明においては、上記
(2)のように構成したので、零ベクトルの使用を減ら
すことができ、負荷電流リップルが大きくなることを回
避することができる。本発明の請求項4の発明において
は、上記(3)のように構成したので、負荷の力率角を
精度良く推定することができる。本発明の請求項5の発
明においては、上記(4)のように構成したので、負荷
の力率角が30°以下の場合において、60°のスイッ
チングしない範囲を負荷電流のピーク値の真ん中に置く
ことができ、スイッチング損失を低減化することができ
る。
【0034】
【発明の実施の形態】図9は本発明の実施例の制御装置
の構成を示す図である。同図において、11、12は直
流電源及び直流リアクトルであり、12C1、12C2
は入力分圧コンデンサ、13、14、15は3相3レベ
ルインバータブリッジ、10は負荷であるモータ、16
は負荷電流検出器、17はデジタルシグナル・プロセッ
サ(以下、DSPと略記する)、18,19,20はマ
イクロ・コンピュータである(それぞれをMC18,M
C19,MC20と略記する。
【0035】DSP17は、モータの動作指令によって
電圧ベクトル指令Vを生成するとともに、負荷電流検出
器16の出力を前記した手法で処理し、負荷電流が零に
なる時刻t2 を求め、その結果をMC18に出力する。
MC18はDSP17で処理した結果によって、ベクト
ルの出力順序を選択し、出力時間を計算する。MC1
9,MC20はMC18により計算された出力時間に基
づきPWM波形を生成し、図示しないゲート駆動回路を
介して3相3レベルインバータブリッジ13,14,1
5のスイッチング素子を駆動する。
【0036】図10は上記DSP17、MC18におけ
る処理を示すフローチャートであり、同図により本実施
例における処理を説明する。予め、ベクトルの区間をS
1〜S6の区間(区間番号をnとする)に分け(ステッ
プS1)、各区間S1〜S6を範囲A1〜A4(範囲番
号をmとする)に分ける(ステップS2)。まず、DS
P17において、モータを制御する演算結果から電圧指
令ベクトルVを生成し、また、モータを制御するために
電流検出器16で検出された瞬時電流値を処理して電流
が零になる時刻t2 を求め記憶する(ステップS3)。
そして、上記電圧指令ベクトルVおよび時刻t2 をMC
18に転送する。
【0037】MC18は、まず、電圧指令ベクトルVが
存在する区間番号nおよび対応する範囲番号mを計算
し、また、前回の処理時に出力線間電圧パルスタイミン
グから求めた、電圧基本波が正から負へ切り換わる時刻
t1 と、DSP17から転送された電流が零になる時刻
t2 により負荷の力率角βを推定する(ステップS
4)。次に上記区間番号n、範囲番号mと力率角βによ
りベクトルの発信順序を選択する(ステップS5)。
【0038】さらに、ステップS6において、各ベクト
ルの出力時間を計算すると同時に、出力線間電圧パルス
タイミングを計算し、線間電圧基本波の正と負の切り換
え時刻t1 を求める(この時刻t1 は次の処理時に使用
する)。上記出力時間はMC19、MC20に出力さ
れ、MC19,MC20はPWM波形を生成し、3相3
レベルインバータブリッジ13,14,15のスイッチ
ング素子を駆動する。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明において
は、1周期の間にインバータの各相について、電流の正
の中央位相および負の中央位相でそれぞれ60°、合計
120°の範囲でスイッチングしない領域を設けている
ので、負荷の力率角が30°以下の場合、スイッチング
しない領域を負荷電流位相の中央付近(ピーク値の付
近)に置くことができる。このため、スイッチング損失
を従来のものに比して30%以上低減化することができ
る。また、演算や論理判断が簡単なので、処理時間を短
くすることができ、システム全体の時間応答特性に影響
を与えることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理を示す図である。
【図2】3レベルインバータの回路構成を示す図であ
る。
【図3】3レベルインバータにおける空間ベクトルを示
す図である。
【図4】一つの区間における4つの領域分けを示す図で
ある。
【図5】インバータスイッチングをしない範囲を示す図
である。
【図6】スイッチングしない範囲と負荷力率角βとの関
係を示す図である。
【図7】β>30°の場合におけるスイッチングしない
範囲を示す図である。
【図8】負荷力率角βを推定する原理を示す図である。
【図9】本発明の実施例の制御装置の構成を示す図であ
る。
【図10】本発明の実施例の処理を示すフローチャート
である。
【符号の説明】
1 指令ベクトルVが存在する区間、範囲を判断する
第1の手段 2 負荷電流を検出する第2の手段 3 負荷の力率角βを推定する第3の手段 4 発信順序を決定し各ベクトルの出力時間を計算す
る第4の手段 5 ベクトル制御装置 6 電圧形インバータ 7 誘導電動機等の負荷 11 直流電源 12 直流リアクトル 12C1,12C2 入力分圧コンデンサ 13,14,15 3レベルインバータブリッジ 10 モータ 16 負荷電流検出器 17 デジタルシグナル・プロセッサ(DSP) 18,19,20 マイクロ・コンピュータ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 3レベルインバータの出力空間電圧ベク
    トルにおける2つの長いベクトルVL で挟む60°の領
    域を一つの区間として、ベクトルの360°全空間を区
    間S1から区間S6まで6つの区間に分け、 さらに上記各区間S1〜S6について、零ベクトルV0
    と短いベクトルVs1,Vs2、あるいは、短いベクトルV
    s1,Vs2と中間ベクトルVm 、あるいは、短いベクトル
    Vs1,Vs2と中間ベクトルVm および長いベクトルVL
    1,VL2により発生できる指令ベクトルVが存在する範
    囲に応じて上記各区間をそれぞれ4つの範囲A1〜A4
    に分け、 指令ベクトルVの大きさ|V|と指令ベクトルの回転角
    θによって、指令ベクトルVが存在する区間S1〜S6
    および範囲A1〜A4を求め、 上記指令ベクトルVが存在する区間、範囲と、負荷の力
    率角βとに基づき、スイッチング損失を低減化できるベ
    クトルの発信順序を決定すると共に、決定された発信順
    序における各ベクトルの出力時間を計算し、 上記決定された発信時間、出力時間で各ベクトルを出力
    することを特徴とする3レベルインバータのPWM制御
    方法。
  2. 【請求項2】 3レベルインバータの出力空間電圧ベク
    トルにおける2つの長いベクトルVL で挟む60°の領
    域を一つの区間として、ベクトルの360°全空間を区
    間S1から区間S6まで6つの区間に分け、また、零ベ
    クトルV0 と短いベクトルVs1,Vs2、あるいは、短い
    ベクトルVs1,Vs2と中間ベクトルVm 、あるいは、短
    いベクトルVs1,Vs2と中間ベクトルVm および長いベ
    クトルVL1,VL2により発生できる指令ベクトルVが存
    在する範囲に応じて、上記各区間S1〜S6をそれぞれ
    4つの範囲A1〜A4に分け、ベクトル制御装置から指
    令ベクトルが与えられたとき、その指令ベクトルVの大
    きさ|V|と回転角度θに基づき、指令ベクトルVが存
    在する区間S1〜S6、および、上記範囲A1〜A4を
    判断する第1の手段と、 負荷電流を検出する第2の手段と、 上記第2の手段により検出した負荷電流と、計算された
    負荷に印加する線間電圧パルスによって負荷の力率角β
    を推定する第3の手段と、 上記力率角βおよび上記指令ベクトルVが存在する区間
    と範囲により、スイッチング損失を低減化できるベクト
    ルの発信順序を決定するとともに、該発信順序における
    各ベクトルの出力時間を計算する第4の手段と、 第4の手段により得られた発信順序および出力時間で各
    ベクトルを出力することを特徴する3レベルインバータ
    のPWM制御装置。
  3. 【請求項3】 第4の手段は、指令ベクトルVが各区間
    S1〜S6における範囲A1に存在する場合は、零ベク
    トルV0 と短いベクトルVs1,Vs2を使用し、指令ベク
    トルVが範囲A2に存在する場合は、短いベクトルVs
    1,Vs2と中間ベクトルVm を使用し、指令ベクトルV
    が範囲A3に存在する場合には、短いベクトルVs1、中
    間ベクトルVm および長いベクトルVL1を使用し、さら
    に、指令ベクトルVが範囲A4に存在する場合には、短
    いベクトルVs2、中間ベクトルVm および長いベクトル
    VL2を使用して、各ベクトルの発信順序、出力時間を計
    算することを特徴とする請求項2の3レベルインバータ
    のPWM制御装置。
  4. 【請求項4】 第3の手段は、線間電圧パルスの正、負
    の切り換え点を第1の時刻t1 として記憶し、また、第
    2の手段により検出された負荷電流が零となる時刻を第
    2の時刻t2 として記憶し、 上記第1および第2の時刻t1 ,t2 とインバータの出
    力周波数に基づき、負荷の力率角βを推定することを特
    徴とする請求項3または請求項4の3レベルインバータ
    のPWM制御装置。
  5. 【請求項5】 第4の手段は、負荷電流の正と負のピー
    ク値近傍の60°の範囲でスイッチングしない発信順序
    を決定することを特徴とする請求項2,3または請求項
    4の3レベルインバータのPWM制御装置。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008301685A (ja) * 2007-06-04 2008-12-11 Nippon Soken Inc 電力変換回路の駆動装置及び電力変換システム
JP2017099253A (ja) * 2015-11-17 2017-06-01 台達電子企業管理(上海)有限公司 変調波制御方法及び三相3線式3レベル回路
KR20210034484A (ko) * 2019-09-20 2021-03-30 도요타 지도샤(주) 전원 장치
WO2022138608A1 (ja) * 2020-12-25 2022-06-30 株式会社日立製作所 三相3レベルインバータの駆動制御装置および駆動制御方法
DE102022120268A1 (de) 2022-08-11 2024-02-22 Bayerische Motoren Werke Aktiengesellschaft Verfahren zum Reduzieren eines Spannungsrippels im Zwischenkreis eines 3-Level-Inverters

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