JPH09181369A - 酸化物薄膜構造物および薄膜の製造方法並びに圧電センサー・アクチュエータ - Google Patents

酸化物薄膜構造物および薄膜の製造方法並びに圧電センサー・アクチュエータ

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JPH09181369A
JPH09181369A JP33726295A JP33726295A JPH09181369A JP H09181369 A JPH09181369 A JP H09181369A JP 33726295 A JP33726295 A JP 33726295A JP 33726295 A JP33726295 A JP 33726295A JP H09181369 A JPH09181369 A JP H09181369A
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thin film
oxide thin
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oxide
piezoelectric
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JP33726295A
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Isaku Jinno
伊策 神野
Shigenori Hayashi
重徳 林
Hideo Torii
秀雄 鳥井
Ryoichi Takayama
良一 高山
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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  • Superconductor Devices And Manufacturing Methods Thereof (AREA)
  • Containers, Films, And Cooling For Superconductive Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】有機物の上に白金層を堆積させたのち、さらに
酸化物薄膜を形成することにより、圧電素子等の応用し
やすい構成とすることができ、かつ紫外線レーザを用い
ることにより、熱に弱い基板上においても安定に酸化物
薄膜を形成する製造法を提供する。 【解決手段】イオンビームスパッタ機構に、エキシマレ
ーザによる紫外線レーザ光の照射機構を併設させ、10
Hzの繰り返し周波数で、約100mJ/cm2のパルスレーザ
光を薄膜堆積時に照射する。酸化物薄膜として圧電性を
有する厚さ3μmのPbTiO3薄膜6を、厚さ0.1μmの
白金層9を設けた50μm厚さのポリイミドフィルム8
の上に形成する。堆積時にはXeClガスを用いたエキシマ
レーザの紫外線照射を行い、室温雰囲気下で薄膜6を形
成する。エキシマレーザの波長は308nm、パルス光は
1秒間に10回の照射である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化物薄膜とその
製造方法、および圧電性酸化物薄膜を利用した圧電セン
サー、アクチュエータに関する。
【0002】
【従来の技術】近年注目されている酸化物材料に誘電体
および高温超伝導体がある。これらは通常焼結体として
形成されるが、これらの有する優れた電気特性を電子素
子として利用しようとした場合、薄膜の形状とした場合
の方が小型化などの点から利点が多い。誘電体または高
温超伝導体などの酸化物薄膜を形成する方法として、r
fスパッタをはじめイオンビームスパッタ、MOCV
D、レーザアブレーションやゾル・ゲル法などがあり、
それぞれの特徴を生かした製造方法が用いられている。
これらの製造方法を用いてこれら酸化物薄膜の形成を試
みた場合、通常500℃以上の高温の基板加熱または熱
処理が結晶化に必要とされ、これによって薄膜を形成さ
せる基板の種類やその用途が限定されたものとなってい
る。特に、PZTで代表される強誘電体やYBCOなど
の高温超伝導体はペロブスカイト構造を有しており、こ
れまで融点が単結晶MgOやSrTiO3などの基板上におい
て結晶成長するが、熱に弱い有機物上への形成や、熱拡
散によるダメージの大きいシリコンデバイスなどへの応
用は困難であった。酸化物薄膜を有機物上に形成するこ
とができれば、これらをテープ状にすることができ、線
材、センサー、アクチュエータや記録媒体等の応用が期
待される。また酸化物薄膜を電子素子として利用する場
合、様々な形状へ微細加工が必要となってくるが、一般
に上記強誘電体または高温超伝導体は複数の元素からな
る複合酸化物で、これらを均一に除去しながら微細加工
するのは困難であり、エッチングされにくい元素が残渣
となることが問題となっていた。しかしパターン化した
レジスト上に損傷を与えることなく酸化物薄膜を形成で
きれば、酸化物薄膜形成後に剥離液によりレジスト取り
除くことでそのうえに堆積している酸化物薄膜も同時に
除去することができ、微細加工も容易に行えると考えら
れる。以上のことを解決するためには、熱による基板加
熱または熱処理をすることなく、有機基板上または有機
物からなるレジスト上においても酸化物薄膜が形成でき
れば良く、これについての研究が行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述したように強誘電
体や超伝導体などの酸化物薄膜はこれまでMgOやSiなど
の融点の高い無機物質の基板上に結晶成長させており、
融点の低い有機物質上への形成は、その結晶化温度の高
さから困難であった。このため酸化物薄膜は堅い基板上
に形成されているため、変形を生じさせることは困難で
あった。しかしこれら酸化物薄膜を有機物質上に形成す
ることができれば、例えば薄い有機フィルム上に酸化物
薄膜を形成させることで、柔軟な弾性変形が可能とな
る。しかし耐熱性のある有機物においても約300℃以
上の温度では変質が起こり、酸化物薄膜を成長させる基
板としては適さない。また熱以外のエネルギーによって
結晶化させる必要があるが、イオンや紫外線レーザを照
射した場合においても、有機物質のそのままの状態では
酸化物薄膜との間にエピタキシャル関係がないため良好
な結晶が成長することはできず、また長時間の薄膜形成
においても基板に熱が蓄積しないよう、酸化物薄膜と基
板との構成を配慮する必要があった。この他、これまで
これら酸化物薄膜を微細加工する際、いったん基板上全
面に酸化物薄膜を形成したのち、レジストの塗布および
そのパターンニング工程を経てエッチングを行ってい
た。しかし作製した酸化物薄膜が、多元素からなる複合
化合物である場合、個々の元素によりエッチングのされ
方が異なり、残渣を生じず微細加工を行うことは困難で
あった。一方、パターンニングしたレジスト上に直接酸
化物薄膜を形成することができれば、酸化物薄膜形成後
レジストを除去すればレジストと共に酸化物薄膜も容易
に除去することが可能で、残渣を生じることなく容易に
微細加工を行うことができる。しかし、レジストは一般
に熱に弱く500℃以上の熱処理が必要な酸化物薄膜を
レジスト上に形成することは困難であった。
【0004】本発明は前記従来の課題を解決するもの
で、有機物上に誘電体または超伝導体などの酸化物薄膜
を形成するための構造を提供し、またその製造方法を提
供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の酸化物薄膜構造物は、有機物基板の表面に
形成した白金層、および前記白金層の上に形成した酸化
物薄膜を備えたものである。有機物基板としては例えば
ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレ
ンナフタレートなどがあげられる。白金層の好ましい厚
さは10nm〜5μmである。酸化物薄膜の好ましい厚
さは50nm〜100μmである。前記構成において
は、酸化物薄膜が酸化物誘電体または酸化物超伝導体で
あることが好ましい。誘電体とは電界を加えると誘電分
極を生ずる物質をいうが、酸化物誘電体としては、例え
ばPbTiO3またはBaTiO3などを含むペロブスカ
イト構造を有する圧電性酸化物誘電体があげられる。す
なわちPbTiO3やBaTiO3などのペロブスカイト
構造を有する酸化物誘電体は、その結晶構造の特徴から
応力を加えると電圧が発生する圧電性を有する。超伝導
体とはある温度以下で電気抵抗が0になる性質を示す物
質をいうが、酸化物超伝導体としては、例えば約70K
(−203℃)程度でも超伝導状態となるY−Bi−C
u−Oからなる超伝導体などがあげられる。
【0006】次に本発明の酸化物薄膜の製造方法は、基
板上に酸化物薄膜を堆積させる方法において、前記基板
に、波長が10nm以上350nm以下であって1×1
-1 2秒以上1×10-7秒以下のパルス長の紫外線を2
00mJ/cm2以下のエネルギー密度で、1秒間に0.1回
以上100回以下の繰り返し周波数で照射することを特
徴とする。紫外線は、結晶化した薄膜を形成するために
は、薄膜の堆積を始めるときから堆積を終了するまでの
間、パルス光を常時照射する必要がある。もし照射を中
止すると、それ以降に堆積する薄膜がアモルファスとな
り、特性の良い薄膜を形成することが困難となる。紫外
線のエネルギー密度は10〜200mJ/cm2程度の範囲で
適宜設定できる。
【0007】またパターンニングしたレジストを表面に
有する基板上に酸化物薄膜を堆積させる方法において
は、前記基板に対して波長が10nm以上350nm以
下であって1×10-12秒以上1×10-7秒以下のパル
ス長の紫外線を200mJ/cm2以下のエネルギー密度で、
1秒間に0.1回以上100回以下の繰り返し周波数で
照射し、前記基板上に酸化物薄膜を形成したのち前記レ
ジストを除去することが好ましい。
【0008】次に本発明の圧電センサーは、有機物基板
の表面に形成した白金層、および前記白金層の上に形成
したPbTiO3またはBaTiO3を含むペロブスカイ
ト構造を有する圧電性酸化物薄膜の上に電極を備え、酸
化物薄膜構造物の少なくとも一部を支持台に固定した酸
化物薄膜構造物からなり、前記圧電性酸化物薄膜に変位
を加えると電圧が発生し、その電圧を測定することによ
り前記変位の大きさを測定するという構成を備えたもの
である。酸化物薄膜構造物に応力が加わり、圧電性酸化
物薄膜が曲がると、白金層と電極の間に電圧が発生し、
その電圧を検知することにより酸化物薄膜構造物を圧電
センサーのセンサー部として利用するのである。電極の
材料としては、例えば白金、パラジウム、白金とパラジ
ウムの合金などがあげられる。
【0009】次に本発明のアクチュエータは、有機物基
板の表面に形成した白金層、および前記白金層の上に形
成したPbTiO3またはBaTiO3を含むペロブスカ
イト構造を有する圧電性酸化物薄膜の上に電極を備え、
酸化物薄膜構造物の少なくとも一部を支持台に固定した
酸化物薄膜構造物からなり、圧電性酸化物薄膜上に電極
を備え、酸化物薄膜構造物の少なくとも一部を支持台に
固定した酸化物薄膜構造物からなり、前記圧電性酸化物
薄膜に電圧を加えることにより変位を発生するという構
成を備えたものである。白金層と電極の間に電圧を加え
ると、圧電性酸化物薄膜に変形が起こり、0.1mm程
度の微小な変位を発生させることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】前記本発明の酸化物薄膜構造物に
よれば、有機物基板の表面に形成した白金層、および前
記白金層の上に形成した酸化物薄膜を備えたことによ
り、薄く柔軟性のある有機物上に結晶性の良い酸化物薄
膜、例えば圧電性を有する酸化物誘電体や酸化物超伝導
体などを堆積させた薄膜構造物を達成できる。酸化物薄
膜の圧電性を十分引き出すためには薄膜の厚さは50n
m以上であることが好ましく、また加工のしやすさ等を
勘案すると、100μm以下であることが好ましい。
【0011】次に本発明の酸化物薄膜の製造方法によれ
ば、基板上に酸化物薄膜を堆積させる方法において、前
記基板に、波長が10nm以上350nm以下であって
1×10-12秒以上1×10-7秒以下のパルス長の紫外
線を200mJ/cm2以下のエネルギー密度で、1秒間に
0.1回以上100回以下の繰り返し周波数で照射する
ことにより、熱を用いず紫外線の光反応によって結晶性
に優れた酸化物薄膜を形成することができる。つまり、
スパッタ法などで酸化物薄膜を堆積する際、基板にある
限度以下のエネルギーを有するパルス長の紫外線を照射
することで、熱を基板に蓄積することなく化学的に励起
した状態で結晶化を行うことができる。従来法によれば
有機物に直接酸化物を形成した場合は、結晶構造の整合
性がないことなどから結晶性の良い薄膜の形成は困難で
あるが、白金を有機物の表面に堆積させた本発明によれ
ば、白金と酸化物薄膜との結晶構造の整合性、特にペロ
ブスカイト構造を有した酸化物とはエピタキシャル関係
にあり、結晶性の良い酸化物薄膜を形成できる。また紫
外線の照射によっては、白金表面で光励起反応により電
子−正孔対が形成され、これらが堆積させる酸化物薄膜
の結晶化を促進させる。
【0012】前記本発明の製造方法およびその方法によ
って製造した薄膜構造物によって、薄く柔軟性のある有
機物上にも圧電性を持つ酸化物薄膜を結晶性良く形成す
ることが可能であるため、これに応力を加えることによ
り容易に弾性変形させることができ、小型で高感度の圧
電センサを容易に作製することができる。同様に、柔軟
性を有する有機物上に圧電性を持つ酸化物薄膜を形成す
ることにより、電圧を加えると0.1mm程度の変位を
発生させるアクチュエータを容易に作製することができ
る。
【0013】また、この酸化物薄膜の低温形成の技術を
用いて、パターンニングしたレジストに損傷を与えるこ
となく、各種基板上に酸化物薄膜を形成することができ
る。これにより、酸化物薄膜形成後レジストを剥離液に
より除去することにより、レジスト上に付着した酸化物
薄膜を容易に除去することができ、残渣を生じることな
く微細加工をすることができる。
【0014】
【実施例】以下本発明の実施例における酸化物薄膜の製
造方法について、図面を参照しながら説明する。
【0015】(実施例1)図1に酸化物薄膜製造方法の
一実施例を示す。以下、本発明が良く理解されるよう、
イオンビームスパッタ法による製造方法について図1を
用いて説明する。図1に示す形成装置は、イオン源1お
よび2による2元のイオン源によるイオンビームスパッ
タ機構を有しており、ターゲット3および4には金属ま
たはセラミックスを用いる。本形成装置には、エキシマ
レーザ5による紫外線レーザ光の照射機構が併設されて
おり、10Hzの繰り返し周波数で、約100mJ/cm2のパ
ルスレーザ光を酸化物薄膜堆積時に45゜の角度から照
射した。本形成装置を用いて酸化物薄膜として圧電性を
有するPbTiO3薄膜6を厚さ50μmのポリイミドを含ん
だ基板7の上に厚さ3μmに形成した。ターゲット3は
Pb、ターゲット4はTiの金属を用い、これらをArイオン
ビームでスパッタし、酸素雰囲気中において基板7上に
PbTiO3薄膜を堆積させた。堆積時にはXeClガスを用いた
エキシマレーザ5の紫外線照射を行い、ヒータ等による
基板加熱は行わず、室温雰囲気下でPbTiO3薄膜6を形成
した。この時使用したエキシマレーザ5の波長は308
nmと紫外線領域にあるため基板7および堆積中のPbTiO3
薄膜6の表面を励起させることができ、またパルス光は
1秒間に10回の照射のため、基板7に熱が蓄積するこ
とはなかった。このため形成したPbTiO3薄膜6は、ペロ
ブスカイト型の結晶構造を有していることがX線回折に
よる評価により確認できた。また基板7を構成している
有機物においても、照射エネルギーが低いことに加え、
その低周波数による繰り返し照射のため、紫外線照射に
よる損傷は受けなかった。このイオンビームスパッタ法
以外の、例えば蒸着法などにおいてもエキシマレーザ5
による紫外線レーザ光の照射により、ペロブスカイト型
PbTiO3薄膜6の形成が確認できた。
【0016】(実施例2)次に、基板に損傷を与えず、
より結晶性の良い酸化物薄膜を得るための構成について
図2を用いて説明する。まず有機物として十分な柔軟性
を有する厚さ50μmのポリイミドフィルム8を用い、
その上に白金9を厚さ0.1μm堆積させてある。その
上に酸化物薄膜として圧電性を有するPbTiO3薄膜6を3
μmの膜厚で堆積したものである。酸化物薄膜の形成方
法は実施例1と同様であるが、図2に示すように、ポリ
イミドフィルム8の上に白金層9を設けることにより、
PbTiO3薄膜6のエピタキシャルな成長をさせることがで
きる。また紫外線を用いて酸化物薄膜を形成する場合、
白金9の表面を紫外線照射によって励起することがで
き、PbTiO3薄膜6の結晶化を促進することができた。ま
た紫外線照射などによる局所的な熱の上昇は白金9の層
により拡散することができ、有機物であるポリイミドフ
ィルム8の熱的および紫外線よる化学的な変質を避ける
ことができた。加えて白金9はPbTiO3薄膜6の下部電極
としての役割も持っており、各種デバイス化において有
用であった。
【0017】(実施例3)上記酸化物薄膜構造物を図3
に示す形状に加工した。長さ0.5mm、幅0.05m
m、高さ0.01mmである。加工に際して、酸化物薄
膜構造物は薄い柔軟な構造をしているため、容易に切断
が可能で、図に示した寸法の短冊状に切断した後、その
一端を支持台10の上に接着剤で固定した。またPbTiO3
薄膜6の上部にアルミニウムからなる上部電極11を堆
積させており、白金9を下部電極とし、これらの間に生
じる電気信号をリード線12を経由して測定した。この
短冊状の酸化物薄膜構造物を平衡の位置より上下に約1m
mの振幅で振動させた場合、PbTiO3薄膜6に体積変化が
起こり、それによって生じる圧電気は最大で100mVの電
圧が発生し、これを利用した加速度、またその加速度を
応力に変換することによってそれらの大きさを測定する
圧電センサとすることができた。
【0018】また図3に示した構造の酸化物薄膜構造物
において、圧電性を有するPbTiO3薄膜6は強誘電体であ
るため、上下どちらかの方向に分極させることができ
る。上が正の自発分極をしている場合、リード線12か
ら20Vの電圧を上部電極にプラスの電圧がかかるように
印加すると、圧電性の有するPbTiO3薄膜6に引っ張り応
力が生じ、下向きに約0.1mmの変位が発生したことが確
認できた。この性質を利用して、約0.1mm程度の変位を
発生させるアクチュエータとすることができた。
【0019】(実施例4)上記と同様の製造方法を用い
て、図4(a)に示すようにパターンニングしたレジス
ト13を表面に有する基板7上に、PbTiO3薄膜6(厚さ
1μm)を堆積させた。この時、レジストはシリコンか
らなる基板7上に約10μmの幅でパターンニングされ
ている。XeClエキシマレーザ5を照射しながらPbTiO3
膜6を堆積させた場合、基板7を加熱することなくペロ
ブスカイト構造の薄膜が得られるため、基板7上にある
レジスト13に対してもダメージを与えることなく薄膜
の形成ができた。このため、PbTiO3薄膜6の堆積後に、
レジスト13を剥離液で除去することによりレジスト1
3上に堆積したPbTiO3薄膜6を容易に取り除くことがで
き、図4(b)に示すように微細な形状にパターンニン
グができた。
【0020】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る酸化物
薄膜の構造においては、通常熱に弱い有機物の上に、良
好な熱伝導性を有し融点が高く、また紫外線の照射によ
って電子的に表面を励起することができる白金層を設け
ることにより、通常500℃以上の結晶化温度が必要と
される酸化物薄膜を形成しやすい構造とすることができ
る。また本酸化物薄膜の構成において、圧電性を有する
酸化物薄膜を柔軟性のある有機物上に形成することがで
き、容易に応力または加速度を測定する圧電センサ、ま
たは0.1mm程度の変位を生じさせるアクチュエータ
とすることができる。
【0021】また本発明の製造法において、紫外線レー
ザによる光反応により結晶化を行うため、これまで高い
基板温度を必要としていた酸化物薄膜でもヒータ等によ
る加熱を行うことなく形成することができる。このため
熱に弱い有機物からなる基板上にも酸化物薄膜を形成す
ることができる。また同様の方法を用いてパターンニン
グされたレジストを表面に有する基板上にも酸化物薄膜
を形成することができ、このため酸化物薄膜の微細加工
を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例における酸化物薄膜の製造
に用いた薄膜形成装置の概略図
【図2】 本発明の一実施例の酸化物薄膜構造物の概略
を示す図
【図3】 本発明の一実施例の酸化物薄膜構造物の概略
を示す図
【図4】 本発明の一実施例における微細な形状を有す
る酸化物薄膜を製造する方法を示す図で、(a)はレジ
ストをパターニングした基板上に薄膜を堆積させた状態
を示す図、(b)はレジストを除去した状態を示す図。
【符号の説明】
1、2 イオン源 3、4 ターゲット 5 エキシマレーザ 6 PbTiO3 7 基板 8 ポリイミドフィルム 9 白金 10 支持台 11 上部電極 12 リード線 13 レジスト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高山 良一 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機物基板の表面に形成した白金層、お
    よび前記白金層の上に形成した酸化物薄膜を備えた酸化
    物薄膜構造物。
  2. 【請求項2】 有機物基板がポリイミド、ポリエチレン
    テレフタレートおよびポリエチレンナフタレートから選
    ばれる少なくとも1種の基板である請求項1に記載の酸
    化物薄膜構造物。
  3. 【請求項3】 酸化物薄膜が酸化物誘電体または酸化物
    超伝導体である請求項1に記載の酸化物薄膜構造物。
  4. 【請求項4】 酸化物薄膜がPbTiO3またはBaT
    iO3を含むペロブスカイト構造を有する圧電性酸化物
    薄膜である請求項1に記載の酸化物薄膜構造物。
  5. 【請求項5】 基板上に酸化物薄膜を堆積させる方法に
    おいて、前記基板に、波長が10nm以上350nm以
    下であって1×10-12秒以上1×10-7秒以下のパル
    ス長の紫外線を200mJ/cm2以下のエネルギー密度で、
    1秒間に0.1回以上100回以下の繰り返し周波数で
    照射することを特徴とする酸化物薄膜の製造方法。
  6. 【請求項6】 基板がポリイミド、ポリエチレンテレフ
    タレートおよびポリエチレンナフタレートから選ばれる
    少なくとも1種の有機物基板である請求項5に記載の酸
    化物薄膜の製造方法。
  7. 【請求項7】 パターンニングしたレジストを表面に有
    する基板上に酸化物薄膜を堆積させる方法において、前
    記基板に対して波長が10nm以上350nm以下であ
    って1×10-12秒以上1×10-7秒以下のパルス長の
    紫外線を200mJ/cm2以下のエネルギー密度で、1秒間
    に0.1回以上100回以下の繰り返し周波数で照射
    し、前記基板上に酸化物薄膜を形成したのち前記レジス
    トを除去する請求項5に記載の酸化物薄膜の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項4に記載の圧電性酸化物薄膜上に
    電極を備え、酸化物薄膜構造物の少なくとも一部を支持
    台に固定した酸化物薄膜構造物からなり、前記圧電性酸
    化物薄膜に変位を加えると電圧が発生し、その電圧を測
    定することにより前記変位の大きさを測定する圧電セン
    サー。
  9. 【請求項9】 請求項4に記載の圧電性酸化物薄膜上に
    電極を備え、酸化物薄膜構造物の少なくとも一部を支持
    台に固定した酸化物薄膜構造物からなり、前記圧電性酸
    化物薄膜に電圧を加えることにより変位を発生するアク
    チュエータ。
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