JPH09181354A - 半導体発光装置及びその製造方法 - Google Patents

半導体発光装置及びその製造方法

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JPH09181354A
JPH09181354A JP33883695A JP33883695A JPH09181354A JP H09181354 A JPH09181354 A JP H09181354A JP 33883695 A JP33883695 A JP 33883695A JP 33883695 A JP33883695 A JP 33883695A JP H09181354 A JPH09181354 A JP H09181354A
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JP
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light emitting
film
emitting diode
gaalas
gaalas layer
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Takayuki Kamemura
高行 亀村
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Showa Denko KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光取り出し効率を改善した半導体発光装置を
安価に提供する。 【解決手段】 GaAlAs層を有する半導体発光装置
において、該GaAlAs層の表面に、Asを5〜40
原子量%含有する、Ga、Al、Asの混合酸化物を主
成分とする被膜を形成する。また、該被膜は、GaAl
As層の表面をフッ酸を含む水溶液でエッチングした
後、アンモニア及び過酸化水素を含む水溶液に浸漬して
該表面を酸化することにより形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はGaAlAs層を有
する半導体発光装置及びその製造方法に係わり、特に光
取り出し効率を改善したGaAlAs層を有する発光ダ
イオード及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年GaAlAs層を有する赤色発光ダ
イオードは屋外等の明るい場所での用途が広がり、その
用途においては明確に赤色を認識するために高輝度化へ
の要求が高い。GaAlAs層を有する赤色発光ダイオ
ードには、シングルへテロ構造、ダブルへテロ構造、基
板除去型ダブルへテロ構造等があり、それぞれの構造に
おいて内部量子効率の改善が検討された結果、非常に高
い内部量子効率を有するに至っている。このため、最近
では高輝度化への要求に応える方法として、外部量子効
率の高効率化、すなわち光取り出し効率の改善が検討さ
れている。
【0003】従来、かかる光取り出し効率を改善した発
光ダイオードを製造するために、例えば窒化シリコン、
硫化亜鉛、酸化チタン等の反射防止膜をスパッター法や
CVD法等で発光ダイオード表面にコーティングする等
の方法が提案されている(特開平7−38148)。反
射防止膜としては、発光ダイオードの光取り出し面を構
成する材料の屈折率と大気等の発光ダイオードの光取り
出し面に接する物質の屈折率との中間に屈折率があり、
かつ発光ダイオードが放出する光に対し十分な透過性を
有する材質が選ばれるのが一般的である。
【0004】あるいは光取り出し効率を改善するための
別の方法として、発光ダイオードの光取り出し面を粗面
化することにより光取り出し効率を改善しているものが
ある(特開平6−151959)。発光ダイオードの光
取り出し面を粗面化する方法としては一般的に湿式エッ
チング法が用いられ、主にGaAs赤外発光ダイオード
やGaP緑色発光ダイオード等の発光効率を改善する方
法として実施されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】GaAlAs層を有す
る赤色発光ダイオードはpn接合近傍で生成した光が、
GaAlAs層を透過し、GaAlAs層表面すなわち
外部と接する部分より取り出される。光がGaAlAs
層の表面から外部に取り出される際に、光の一部はGa
AlAs層の表面で反射されてしまうため、pn接合近
傍で生成した光の全てが外部に取り出されることはな
い。しかしGaAlAs層の表面を光の反射が少ない構
造とすることにより、光取り出し効率を改善することが
できる。
【0006】例えば、発光ダイオードの光取り出し面を
構成する材料の屈折率と大気等の発光ダイオードの光取
り出し面に接する物質の屈折率との中間の屈折率を有す
る物質を、反射防止層としてGaAlAs層の表面にコ
ーティングすることにより光の反射は低減される。そこ
で、窒化シリコン、硫化亜鉛、酸化チタン等からなる被
膜をGaAlAs層の表面に形成することにより、光取
り出し効率を改善することが提案されている。しかし、
これらの反射防止膜を形成するためには、スパッタリン
グあるいはCVD等の高価で生産性の低い装置を使用し
なければならない欠点がある。
【0007】別の方法として、発光ダイオードの光取り
出し面を粗面化することにより光取り出し効率を改善し
ているものがある。発光ダイオードの光取り出し面を粗
面化する方法としては一般的に湿式エッチング法が用い
られる。この方法は生産性が良く安価に実施できる利点
を有する。しかしこの方法によるとGaAs赤外発光ダ
イオードやGaP緑色発光ダイオード等については光取
り出し効率の改善効果が十分顕れるが、GaAlAs赤
色発光ダイオードについてはGaAs赤外発光ダイオー
ドやGaP緑色発光ダイオード等の様な粗面状態を得る
ことが難しいため、光取り出し効率の改善効果が十分で
ない。
【0008】本発明の目的は、上述した従来技術の欠点
を改善し、GaAlAs層を有する発光ダイオードにお
いて、表面に反射防止膜として適した被膜を安価に形成
することにより、光取り出し効率を改善した発光ダイオ
ードを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、GaAlAs
層を有する半導体発光装置において、該GaAlAs層
の表面に、Asを5〜40原子量%含有する、Ga、A
l、Asの混合酸化物を主成分とする被膜が形成されて
なることを特徴とする。また上記の被膜を形成するに当
たっては、GaAlAs層の表面をフッ酸を含む水溶液
でエッチングした後、アンモニア及び過酸化水素を含む
水溶液に浸漬して該表面を酸化することにより、該被膜
を形成することが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明者は、光取り出し効率を改
善する目的で、GaAlAs層を有する発光ダイオード
表面に、反射防止膜として適した被膜を形成する実験を
行った。その結果、該発光ダイオードのGaAlAs層
の表面を酸化処理することにより、該表面上にGa、A
l、Asの混合酸化物を主成分とする被膜を形成した場
合、該被膜は屈折率が1.5以上であるため反射防止膜
として好適に作用することを見い出した。
【0011】さらに本発明者は、GaAlAs層の表面
に形成したGa、Al、Asの混合酸化物を主成分とす
る被膜について詳細な検討を行い、該被膜中のAsの含
有量が5〜40原子量%の場合、この被膜は透明で強い
干渉色を示すが、Asの含有量が5原子量%以下の場合
は白く濁って見え、またAsの含有量が40原子量%以
上の場合黒く濁って見えることを見い出した。その結果
本発明者は、As含有量が5〜40原子量%の場合に、
この混合酸化物を主成分とする被膜が反射防止膜として
適した特性を有することを見出した。なお、本発明の実
施に当たっては、被膜の組成はX線光電子分光法(XP
S)により測定した。
【0012】Ga、Al、Asの混合酸化物を主成分と
する被膜において、Asの含有量が5原子量%以下の場
合は白く濁って見え、またAsの含有量が40原子量%
以上の場合は黒く濁って見えるのは以下の理由によるも
のだと考えられる。GaAsを酸化した場合にできる酸
化物被膜は、主にGa23 及びAs23 であること
が知られていることより、GaAlAsを酸化した場合
に生成する酸化物被膜は、主にGa23 、Al23
及びAs23 からなることが推測される。III族元素
の酸化物は多結晶を形成しやすくV族元素の酸化物は非
晶質に成りやすいことを考えると、混合酸化物被膜中の
Asの含有量が5原子量%以下の場合この酸化物被膜は
主にGa23 及びAl23 の多結晶から成り、その
結晶粒界で光を散乱するため光の透過性が悪く白く濁っ
て見えるものと推測される。またGaAsを酸化した場
合にできる酸化物被膜中にはAs単体が含有されている
ことが知られていることから、上記の混合酸化物被膜中
のAsの含有量が40原子量%以上の場合には混合酸化
物被膜中にAs単体が多量に含まれるようになり、この
As単体が光を吸収するため光の透過性が悪く黒く濁っ
て見えるものと推測される。これに対して、混合酸化物
被膜中のAsの含有量が5〜40原子量%の場合には非
晶質であるAs23 が光の散乱を抑制し、かつAs単
体の影響による光の吸収も少ないことから、該被膜が反
射防止膜に適した特性を示すものと推測される。
【0013】GaAlAs層を有する発光ダイオードに
おいて、該GaAlAs層の表面上にAsを5〜40原
子量%含有する、Ga、Al、Asの混合酸化物を主成
分とする被膜を形成する方法は特に制限されるものでな
く、例えば陽極酸化法、酸素プラズマ酸化法、熱酸化
法、オゾン酸化法等が用いることができる。しかし被膜
を形成する方法は、好ましくは酸化処理時間が短く一度
に大量の処理ができる等生産性が良いこと、高価な装置
や設備の必要がなく安価に製造できること、酸化物被膜
中のAs量組成が容易に制御できる等の条件を兼備して
いることが望ましい。
【0014】本発明者は上記の被膜を形成する方法とし
て、上に述べた条件を満足させるために湿式酸化法を用
いることについて検討した結果、GaAlAs層の表面
をフッ酸を含む水溶液でエッチングした後、アンモニア
及び過酸化水素を含む水溶液に浸漬して該表面を酸化す
る方法が好ましいことを見出した。
【0015】すなわち本発明者は上記の湿式酸化法につ
いて検討した結果、GaAlAs層の表面をフッ酸を含
む水溶液でエッチングした後、アンモニア及び過酸化水
素を含む水溶液に浸漬して該表面を酸化する方法におい
ては、フッ酸によるエッチング時間を長くすると共に、
形成される被膜中のAs含有量は多くなるを見い出し
た。従って、本発明者が見い出した上記の被膜の形成方
法は、フッ酸によるエッチング時間を変化させることに
より被膜中のAs含有量を制御することが可能であると
いう特徴を有する。なお、フッ酸によるエッチング時間
により、形成される被膜中のAs含有量が変化する現象
は、フッ酸エッチングによりGaAlAs層表面近傍の
組成が変化するため生じると推定している。上述の方法
によると特別な装置や薬品等の必要がなく短時間で大量
の処理が可能である。
【0016】なお本発明によって形成される被膜は、G
aAlAsを酸化して得られるものであり、Ga、A
l、Asの混合酸化物を主成分とする。また、その他の
成分としてはAsの単体を含むものである。さらに、該
被膜には少量のGa或いはAlの水酸化物等が含まれる
ことがあるが、それら少量の水酸化物は本発明の効果に
影響を与えるものではない。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例を図2に示すようなG
aAlAs層を有する発光ダイオードの場合を例に説明
する。図2に示す発光ダイオードは、p型GaAs基板
4上にp型GaAlAs層3、p型GaAlAs活性層
2、n型GaAlAs層1をエピタキシャル成長により
順次積層し、さらにn型GaAlAs層1の表面および
p型GaAs基板4の裏側表面にそれぞれn型電極5お
よびp型電極6を形成した後、該エピタキシャルウェー
ハを1辺がおよそ300μmの略正方形状に分離して作
製したものである。なお、p型GaAlAs層3、p型
GaAlAs活性層2、n型GaAlAs層1のエピタ
キシャル成長は、周知の液相エピタキシャル成長法によ
り行った。
【0018】(実施例1)図2に示したダブルヘテロ構
造の赤色発光ダイオード600個を準備し、被膜を形成
しない状態で発光効率の測定を実施した。この発光効率
を測定した発光ダイオードを100個ずつ6枚の粘着シ
ートに光取り出し面、すなわちn型GaAlAs層1側
を上にして貼り付け、この6枚のシートをフッ酸を5.
0重量%を含む水溶液中にそれぞれ5、10、15、2
0、25及び30秒間浸漬した後純水で洗浄した。次に
この6枚のシートを1.5重量%のアンモニアと6.0
重量%の過酸化水素とを含む水溶液中に30秒間同時に
浸漬し表面の酸化処理を行った後、取り出して純水で洗
浄し乾燥した。
【0019】上述の手順により作製された赤色発光ダイ
オードの構造を図1に示した。図1に示した赤色発光ダ
イオードでは、GaAlAs層の表面上に、Ga、A
l、Asの混合酸化物を主成分とする被膜7が形成され
ている。このようにGaAlAs層の表面上にのみ被膜
7が形成されるのは、以下の理由による。すなわち、ア
ンモニアと過酸化水素とを含む水溶液による酸化処理で
は、その水溶液の組成によりGaAsとGaAlAsに
対する酸化に選択性があり、上記の処理条件においては
基板であるGaAsはほとんど酸化されず、GaAlA
s層の表面のみが酸化されるのである。
【0020】上述の手順により作製した赤色発光ダイオ
ードの被膜7の組成と屈折率は表1の通りであった。表
1から、上述の手順により形成した被膜はフッ酸による
エッチング時間が5〜30秒間の場合、Asを5〜40
原子量%含有していることがわかる。また、表1には上
述の手順により被膜を形成した赤色発光ダイオードの発
光効率を測定し、被膜を形成する前の値と比較した結果
も同時に示してある。表1よりフッ酸によるエッチング
時間が5〜30秒間の場合の発光ダイオードでは、被膜
を形成した結果、発光効率が24〜35%上昇すること
が確認された。
【0021】(比較例1)比較のため、実施例1と同様
にあらかじめ発光効率を測定した発光ダイオードを準備
し、100個ずつ2枚の粘着シートに光取り出し面側を
上にして貼り付け、この2枚のシートをフッ酸を5.0
重量%を含む水溶液中にそれぞれ0秒及び40秒間浸漬
した後純水で洗浄した。ここで浸漬した時間が0秒間と
は、フッ酸によるエッチングを行わなかったものであ
る。次にこの2枚のシートを1.5重量%のアンモニア
と6.0重量%の過酸化水素とを含む水溶液中に30秒
間同時に浸漬し酸化処理を行った後、取り出し純水で洗
浄し乾燥した。
【0022】上述の手順により作製された赤色発光ダイ
オードの構造は前述した図1に示したものと同じであっ
た。これらの赤色発光ダイオードの被膜7の組成と屈折
率、及び被膜を形成した赤色発光ダイオードの発光効率
を測定し被膜を形成する前の値と比較した結果も表1に
同時に示した。表1からわかるように、フッ酸によるエ
ッチングを行わなかったものは、被膜中のAsの含有量
が5原子量%以下であり、発光効率の上昇はわずかに3
%であった。また、フッ酸によるエッチングが40秒の
ものは、被膜中のAsの含有量が40原子量%以上であ
り、発光効率は6%低下した。
【0023】
【表1】
【0024】上記の結果より、被膜中のAs含有量が5
〜40原子量%であることが、光取り出し効率を改善す
るために必要であることが明らかになった。また上記の
結果から、GaAlAs層の表面をフッ酸を含む水溶液
でエッチングした後、アンモニア及び過酸化水素を含む
水溶液に浸漬して該表面を酸化することにより被膜を形
成すると、フッ酸エッチングの時間を制御することによ
り被膜中のAsの量を容易に制御することができること
が明らかになった。
【0025】本発明においては生産性が良いことや装置
が安価である点から、本発明に係わる被膜の形成方法は
上述したような湿式酸化法が好ましいが、生産性や装置
の価格に問題がない場合、他の方法を用いて被膜を形成
しても、発明の効果に違いはない。また、形成される被
膜は図1に示したようにGaAlAs層の全面に形成さ
れている必要は必ずしもなく、光を取り出すための表面
の主要な部分に被膜が形成されておればよい。以下、熱
酸化法で被膜を形成し、光を取り出すための表面の主要
な部分に被膜を形成した本発明の別の実施例について述
べる。
【0026】(実施例2)ダブルへテロ構造の赤色発光
ダイオード用エピタキシャルウェーハに電極を形成した
ものを2分割した。2分割した一方のウェーハは比較の
ためそのまま個々の発光ダイオードに分離し図2に示す
ダブルへテロ構造の赤色発光ダイオードを得た。他方の
ウェーハは酸素を含むAs雰囲気中で430℃、2時間
の熱処理を施して電極部以外のGaAlAs層表面を酸
化した後個々の発光ダイオードに分離した。
【0027】上記の手順で熱酸化処理を施して得られた
発光ダイオードは、図3に示すように上面にのみ被膜7
が形成されている。その被膜7の組成と屈折率は表2の
通りであった。表2のように本実施例2で得られた被膜
7はAsの含有量が26.6原子量%であった。2分割
した双方のウェーハから得られた発光ダイオードそれぞ
れ100個の発光効率を測定したところ、本実施例2で
被膜を形成した発光ダイオードは被膜を形成していない
発光ダイオードに比べて発光効率の平均が28%高いこ
とが確認された。
【0028】(比較例2)熱酸化法により形成された被
膜に含有されるAs量で、光取り出し効率がどのように
異なるかを比較のために、上述の熱酸化法と同様の方法
でAsの含有率が5原子量%より小さい被膜を形成する
試験を行った。すなわち、ダブルへテロ構造の赤色発光
ダイオード用エピタキシャルウェーハに電極を形成した
ものを2分割した。2分割した一方のウェーハは比較の
ためそのまま個々の発光ダイオードに分離し図2に示す
ダブルへテロ構造の赤色発光ダイオードを得た。他方の
ウェーハは空気中で430℃、2時間の熱処理を実施し
電極部以外のGaAlAs層表面を酸化した後個々の発
光ダイオードに分離した。この方法では、酸化雰囲気に
Asが加えられていないため、形成された被膜中のAs
含有量が少なくなる。
【0029】上記の手順で熱酸化処理を施して得られた
発光ダイオードは図3に示すように上面にのみ被膜7が
形成されており、その被膜7の組成と屈折率は表2の通
りであった。表2に示したように本比較例2で得られた
被膜はAsの含有量が2.4原子量%であった。2分割
した双方のウェーハから得られた発光ダイオードそれぞ
れ100個の発光効率を測定したところ被膜が形成され
た発光ダイオードは被膜が形成されていない発光ダイオ
ードに比べて発光効率の平均が2%しか高くならないこ
とが確認された。この結果より、光取り出し効率を改善
するためには被膜のAs含有量を5〜40原子量%に制
御することが重要であることが明らかになった。
【0030】
【表2】
【0031】実施例1、比較例1および実施例2、比較
例2の結果より、GaAlAs層を有する発光ダイオー
ドは、光取り出し面であるGaAlAs層の表面に酸化
により形成される被膜の組成により光取り出し効率が変
化し、被膜中のAs含有量が5〜40原子量%の場合大
きく光取り出し効率が改善されることが分かる。特にG
aAlAs層の表面をフッ酸を含む水溶液で処理した
後、アンモニア及び過酸化水素を含む水溶液により酸化
処理する方法が、所望の組成の被膜を形成する方法とし
て、Asの含有量を制御しやすくかつ生産性の優れた方
法である点で好ましい。
【0032】なお、上の実施例1では、被膜のAs量を
制御する方法としてフッ酸によるエッチングのエッチン
グ時間を変化させる方法を例に挙げて説明したが、被膜
のAs含有量はフッ酸によるエッチングのエッチング時
間にのみ依存するものではなく、そのエッチング温度、
フッ酸濃度等の条件を変えることによっても、制御する
ことができる。
【0033】また、本発明者は湿式酸化法で被膜を形成
する方法として、GaAlAs層の表面をフッ酸を含む
水溶液でエッチングした後、アンモニア及び過酸化水素
を含む水溶液に浸漬して該表面を酸化する方法について
主に検討を行った。しかし、この湿式酸化方法において
は適当なエッチング条件を用いれば、フッ酸の代わりに
塩酸等を用いることも可能であると考えられる。これ
は、アンモニア及び過酸化水素を含む水溶液に浸漬して
表面を酸化する前にエッチングを行う場合に肝心な点
は、そのエッチングによりGaAlAs層表面近傍の組
成を好適に制御する点にあると考えられるためである。
【0034】
【発明の効果】GaAlAs層を有する発光ダイオード
等の半導体発光装置において、該GaAlAs層の表面
上に、Asを5〜40原子量%含有する、Ga、Al、
Asの混合酸化物を主成分とする被膜が形成されてなる
ものは、該被膜が反射防止膜として機能することにより
光取り出し効率が改善される。GaAlAs層の酸化に
より被膜を形成する方法は、従来用いられてきた反射防
止膜を形成する方法より生産性が良く安価であるという
利点を有する。特にGaAlAs層の表面をフッ酸でエ
ッチングした後、アンモニアと過酸化水素を含む水溶液
で湿式酸化することにより被膜を形成する方法は、被膜
のAs含有量を容易に制御できると共に特別な装置を使
用せず一度に大量の処理が可能なことから、光取り出し
効率の改善された発光ダイオードを生産性が良く安価に
製造する方法として非常に有用である。
【0035】なお、本明細書においてはGaAlAs層
を有する発光ダイオードに関し詳述してきたが、本発明
の構成から明らかなように、III −V族化合物半導体発
光装置であって光取り出し面を構成する材料のV族元素
がAsを含むものであれば、本発明に記載の被膜を形成
することにより同様の効果を期待することができる。ま
た、半導体発光装置としては発光ダイオードに限定され
るものではなく、半導体レーザー等でも同様の効果が得
られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1および比較例1に係わる発光
ダイオード。
【図2】GaAlAs層を有する従来の発光ダイオー
ド。
【図3】本発明の実施例2および比較例2に係わる発光
ダイオード。
【符号の説明】
1 n型GaAlAs層 2 p型GaAlAs活性層 3 p型GaAlAs層 4 p型GaAs基板 5 n型電極 6 p型電極 7 被膜

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 GaAlAs層を有する半導体発光装置
    において、該GaAlAs層の表面に、Asを5〜40
    原子量%含有する、Ga、Al、Asの混合酸化物を主
    成分とする被膜が形成されてなることを特徴とする半導
    体発光装置。
  2. 【請求項2】 GaAlAs層を有する半導体発光装置
    の製造方法において、GaAlAs層の表面をフッ酸を
    含む水溶液でエッチングした後、アンモニア及び過酸化
    水素を含む水溶液に浸漬して該表面を酸化することによ
    り、該表面にAsを5〜40原子量%含有する、Ga、
    Al、Asの混合酸化物を主成分とする被膜を形成する
    ことを特徴とする半導体発光装置の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010074121A (ja) * 2008-08-21 2010-04-02 Stanley Electric Co Ltd 光半導体装置及びその製造方法
JP2010141241A (ja) * 2008-12-15 2010-06-24 Seiko Epson Corp 発光装置の製造方法および発光装置

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