JPH09180863A - ヒートローラ用セラミックヒータ部材とその製造方法 - Google Patents

ヒートローラ用セラミックヒータ部材とその製造方法

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JPH09180863A
JPH09180863A JP7352097A JP35209795A JPH09180863A JP H09180863 A JPH09180863 A JP H09180863A JP 7352097 A JP7352097 A JP 7352097A JP 35209795 A JP35209795 A JP 35209795A JP H09180863 A JPH09180863 A JP H09180863A
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particle size
heat roller
ceramic heater
heat
heater member
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JP7352097A
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English (en)
Inventor
Kazunori Kurahashi
一範 倉橋
Seisaku Ajiki
清作 安食
Masami Yamazaki
正巳 山崎
Kenji Kato
賢治 加藤
Nobuyoshi Shimoyama
暢善 下山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokai Konetsu Kogyo Co Ltd
Original Assignee
Tokai Konetsu Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 直接通電による急速発熱が可能で、有効発熱
部領域の発熱温度分布が均一なヒートローラ用セラミッ
クヒータ部材とその製造方法を提供する。 【解決課題】 (1) アルミノケイ酸塩中に導電材として
SiまたはFeSiを含有させた焼結抵抗発熱体からな
り、前記導電材の粒子径が10μm 以下で、かつ粒子径
1〜10μm 範囲に占める割合が導電材粉末全体の70
%以上である粒度組成を備えたヒートロール用セラミッ
クヒータ部材。(2) アルミノケイ酸塩を含む粘度質成分
を主体とする絶縁性基材に、上記と同一の粒度組成を備
えたSiまたはFeSiを水和混合し、所定のパイプ形
状に成形したのち、成形体を不活性雰囲気下で一旦50
0〜800℃で仮焼し、ついで1000〜1400℃で
本焼成するヒートロール用セラミックヒータ部材の製造
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複写機、ファクシ
ミリ、プリンターなど電子写真プロセスを利用した機器
類に内蔵され、直接通電による急速発熱が可能なヒート
ローラ用セラミックヒータ部材およびその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子写真プロセス機器において紙
に転写されたトナー画像を定着するには、通常、加熱さ
れたロールの間を通過させて熱固定するヒートローラ方
式が採られている。ヒートローラとしては、熱伝導性の
良好なアルミニウム等の金属パイプ内にハロゲンラン
プ、抵抗フィラメント、熱水管などの熱源を装備した間
接加熱タイプのものが最も一般的に用いられている。し
かしながら、これらの間接加熱タイプでは金属パイプ内
部に各種の熱源を装備しなければならない関係で構造が
複雑大型化することが避けられず、そのうえ昇温速度が
遅いという間接加熱特有の問題がある。
【0003】このような問題は、ヒートローラを導電性
材料で構成し、これに直接通電して発熱させる方式に変
えることにより解決することができることから、直接通
電による発熱が可能なヒートローラ用発熱体が数多く提
案されている。例えば、MeFe23 (Meは2価の金属
を示す)で表される原料混合粉末またはスピネルフェラ
イトにNi合金粉末を混合してなるプラズマ溶射膜から
なる発熱抵抗体(特開昭62−190680号公報)、マグネト
プランバイト型構造となる酸化物原料と長波長赤外線放
射材との混合組成物からなり、プラズマ溶射により形成
された長波長赤外線を放射する発熱体(特開昭63−1753
70号公報)、コランダムまたはイルメナイト型構造とな
る酸化物原料と長波長赤外線放射材との混合組成物から
なり、プラズマ溶射により形成された長波長赤外線を放
射する発熱体(特開昭63−175371号公報)、Re3Fe5
12(ただしReはY3 + ,Lu3 + ,Yb3 + ,Tm3 + ,Er3 + ,Ho3 + ,D
y3 + ,Tb3 + ,Gd3 + ,Sm3 + のうち1種または2種以上)で
表されるガーネット系フェライトのRe を、長波長赤外
線放射材となる金属で置換した組織からなり、プラズマ
溶射により形成された長波長赤外線を放射する発熱体
(特開昭63−175372号公報)等が提案されている。しか
しながら、この種の特殊な抵抗発熱成分をプラズマ溶射
で被覆して得られる発熱体は、製造原価が著しく高くな
る経済的な欠点がある。
【0004】このほか、特開平4−153683号公報
には、円筒状基体の外周部に設けられた発熱体と、前記
発熱体を覆う平滑層と、基体の内部に設けられた断熱層
とを備える熱定着器のヒートローラが開示されている
が、この発熱体構造では局部的な温度の不均一と発熱体
の断線が懸念される。特開平6−257616号公報に
は、表面が非導電性パイプに主に導電性粉体を分散させ
た無機系コーティング液より得た導電性膜を積層したヒ
ートローラが開示されているが、積層した導電性膜が経
時的に剥離する等の現象を生じる問題がある。また、特
開平7−235371号公報には、炭素繊維を織成して
なる体積抵抗値10-3〜103 Ωcmの管状体と熱硬化性
樹脂とが複合されたヒートローラに適する抵抗発熱性複
合管状体が開示されているが、原料コストが高くなるう
え均一発熱するように炭素繊維を織成するために複雑な
工程を必要とする難点がある。
【0005】セラミック系の遠赤外線ヒータとしては、
例えばZrO2 成分を主成分とする酸化物セラミックス
中に通電媒体となるSi又はFeSiを含有させたセラ
ミックス質遠赤外線ヒーター(特開昭61−151986号公
報)、絶縁性耐熱性構造材料中に導電材としてのSiま
たはFeSiを5〜60重量%含有させた抵抗発熱体よ
りなる遠赤外線ヒータ(特開昭63−307682号公報)、あ
るいはAl2 3 、SiO2 を主成分とし、Fe
2 3 、Co2 3 、Mn2 3 、ZrO2 、Ti
2、MnO2 、Li2 O、CaO、MgO、NiO、
CoO、Cu2 Oから選ばれた金属酸化物のうち少なく
とも一種以上3重量%〜20重量%含んだ絶縁層と上記
の成分に更にSiが外割で5重量%〜50重量%含んだ
導電層からなる遠赤外線放射部材(特開平1−226765号
公報)などが提案されている。しかしながら、これらの
セラミック系遠赤外線ヒータは汎用ヒータとして開発さ
れたものであって、ヒートローラ用ヒータとしての有用
性については意図されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のセラミック系遠
赤外線ヒータは、直接通電が可能なため昇温速度ならび
に熱応答性に優れ、かつ十分な耐久性を具備している
が、それにも拘らず、これまでヒートローラ用の熱源と
して使用されなかった理由は、複写機等に用いられるヒ
ートローラ用ヒータにはこれら汎用ヒータとは異なる厳
しい性能が要求されるためである。すなわち、ヒートロ
ーラ用ヒータとして特に要求される性能は、昇温が速や
かで熱応答性に優れ、長期間安定して使用できる耐久性
があることに加え、有効発熱部領域における発熱温度分
布が均一で、表面組織が均質であり、かつ回転時の振れ
変動範囲が最大でも約50μm に止まるようにヒータ部
材を調製することである。上記した従来技術によるセラ
ミック系遠赤外線ヒータは、このうち有効発熱部領域に
おける発熱温度分布が均一とならず、表面組織に気孔が
多く介在分布し、振れ変動範囲も大きいため、ヒートロ
ーラ用熱源としての実用性能を満足しない。
【0007】ヒートローラ用として直接通電可能なセラ
ミックヒータを使用する場合には、ヒータの両端部から
給電して両端の電極部を除く発熱部全体を自己発熱させ
る方法が採られるが、発熱過程で両端部からは放熱が生
じるため本質的に両端部において著しい温度降下が起き
る。この温度降下の著しい両端部を除いた中央部分が有
効発熱部領域となるため、該領域でトナーの定着を均等
に行う必要がある。有効発熱部領域における発熱温度分
布は、有効発熱部領域での最高温度と最低温度との温度
差(以下「発熱温度分布ΔT」という)により定量的に
評価することができる。
【0008】ところが、上記した従来技術によるセラミ
ック系遠赤外線ヒータをヒートローラ用とした場合、そ
の有効発熱部領域における発熱温度分布ΔTは30〜4
0℃と大きく、トナーの定着むらが発生する現象が避け
られない。このほか、ヒータ面の組織が粗く、表面にポ
アサイズの比較的大きな気孔が多く介在するため、印刷
用紙にトナーを定着する際にトナー粒子が気孔内部に入
り込んで、印字が部分的に消去したり、気孔内部から脱
落したトナー粒子により用紙が汚損したりする現象を生
じることも大きな問題となる。
【0009】本発明者らは、本出願人により開発された
上記特開昭63−307682号公報に記載された遠赤
外線放射部材を改良し、ヒートローラ用セラミックヒー
タとした場合の有効発熱部領域における発熱温度分布の
均一化ならびに表面組織について鋭意研究を重ねた結
果、物性的にはセラミックヒータの導電材となるSiま
たはFeSiを特定の粒度組成に調整し、製法的には前
記導電材の粒度組成と併せて素材焼結時の焼成処理を仮
焼成と本焼成に分けて2段階焼成を施すことにより、有
効発熱部領域の発熱温度分布を効果的に均一化し、かつ
常に印字欠陥や用紙汚損のないトナー定着を発現し得る
事実を確認した。
【0010】本発明は、かかる知見に基づいて開発され
たもので、その目的とする解決課題は直接通電による急
速発熱が可能であり、有効発熱部領域における発熱温度
分布が極めて均一で、表面組織が平滑緻密なヒートロー
ラ用セラミックヒータ部材とその工業的な製造方法を提
供するところにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明に係るヒートローラ用セラミックヒータ部材
は、アルミノケイ酸塩中に導電材としてSiまたはFe
Siを含有させた焼結抵抗発熱体からなり、前記Siま
たはFeSiの粒子径が10μm 以下で、かつ粒子径1
〜10μm 範囲の占める割合が導電材粉末全体の70%
以上である粒度組成を備えることを構成上の特徴とす
る。
【0012】また、本発明に係るヒートローラ用セラミ
ックヒータ部材の製造方法は、アルミノケイ酸塩を含む
粘土質成分を主体とする絶縁性基材に、粒子径が10μ
m 以下で、かつ粒子径1〜10μm 範囲の占める割合が
導電材粉末全体の70%以上である粒度組成を備えるS
iまたはFeSiを水和混合し、所定のパイプ形状に成
形したのち、成形体を不活性雰囲気下で一旦500〜8
00℃の温度域で仮焼し、ついで1000〜1400℃
の温度で本焼成することを構成上の特徴とするものであ
る。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明のヒートローラ用セラミッ
クヒータ部材は、絶縁性のセラミック基材であるアルミ
ノケイ酸塩に、導電材として機能するSiまたはFeS
iが均一に分散した焼結抵抗発熱体で構成される。ヒー
タ形状は、例えばA4サイズの場合、外径約16mmで、
軸方向に曲がりのない平滑外面を呈するパイプ状であ
る。
【0014】アルミノケイ酸塩の基材中に分散するSi
またはFeSiの粒子径を10μm以下にする理由は、
焼結抵抗発熱体の表面に介在分布する気孔径を小さくし
てトナー粒子の入り込みによるトナーの定着むらや用紙
汚損等の印字トラブルを防止するためである。この粒度
要件を満たすことにより、焼結抵抗発熱体表面に介在す
る最大気孔径が100μm 以下となり、トナー定着時に
おける気孔内部へのトナー粒子の侵入および離脱現象が
効果的に阻止され、印字トラブルがなくなる。そのう
え、SiまたはFeSiの粒子径を10μm 以下にする
ことにより組織の緻密性が改善され、曲げ強度が増大す
る。したがって、ヒータを肉薄のパイプ状に形成するこ
とが可能となるから、熱応答性を一層向上させることが
できるという付随的効果がもたらされる。しかし、Si
またはFeSiの粒子径が10μmを越えると、焼結抵
抗発熱体表面に介在する気孔が多くなると共に最大気孔
径が100μm を上回るようになり、前記した印字トラ
ブルが生じ易くなる。特に、ヒータ部材の表面を研削加
工する場合にはヒータ基材の組織内部に介在する比較的
大きな気孔が表面に偏在的に露出するため、この傾向が
一層顕著となる。
【0015】SiまたはFeSiの粒子径は、10μm
以下で可及的に微細なほど気孔径が抑制され、同時に曲
げ強度も増大するが、微細になるに従って焼結時の反応
活性が増すため、焼結抵抗発熱体組織の比抵抗分布にば
らつきが生じ易くなる。このため、SiまたはFeSi
の粒子径1〜10μm 範囲の占める割合は導電材粉末全
体の70%以上、好ましくは80%以上に調整する必要
がある。この割合が70%未満になると、発熱温度分布
ΔTを15℃以下に抑制することができなくなり、ヒー
トローラ用としての実用性能が得られなくなる。
【0016】このように、アルミノケイ酸塩の基材中に
分散するSiまたはFeSiの粒子径が10μm 以下
で、かつ粒子径1〜10μm 範囲が占める割合が導電材
粉末全体の70%以上の粒度組成を付与することによ
り、直接通電による急速発熱が可能で、熱応答性が良好
で材質強度に優れ、かつ印字トラブルを生じることのな
いヒートローラ用セラミックヒータ部材を提供すること
ができる。
【0017】上記の性能を備えるヒートローラ用セラミ
ックヒータ部材は、アルミノケイ酸塩を含む粘土質成分
を主体とする絶縁性基材に、粒子径が10μm 以下で、
かつ粒子径1〜10μm 範囲の占める割合が導電材粉末
全体の70%以上の粒度組成を備えるSiまたはFeS
iを水和混合し、所定のパイプ形状に成形したのち、成
形体を不活性雰囲気下で一旦500〜800℃の温度域
で仮焼し、ついで1000〜1400℃の温度で本焼成
するプロセスで製造することができる。
【0018】アルミノケイ酸塩は絶縁性基材となる成分
で、放射率が高く、Siの融点(1410 ℃) 以下の温度で
容易に焼結して緻密な一体組織に転化する。該アルミノ
ケイ酸塩の組成は本質的にAl2 3 とSiO2 を主成
分とし、このほかに金属酸化物を含有しているが、本発
明の目的には前記のアルミノケイ酸塩を含む粘土質成分
を主体とする粒子径10μm 以下の微粉末が用いられ
る。アルミノケイ酸塩を含む粘土質成分としては、例え
ば木節粘土、蛙目粘土、カオリン、天草陶石、カリ長
石、パイロフェライト、ベントナイト等が挙げられる。
絶縁性基材は、前記の粘土質成分単独でも使用できる
が、さらにガラス成分を配合することが好ましい。配合
するガラス成分はヒータとしての使用温度以上の耐熱度
があるものであれば特に種類に制約はないが、焼結抵抗
発熱体の耐熱衝撃性を改善するため低熱膨張性のケイ酸
塩ガラス、例えばSiO2 系、SiO2 −Al2
3 系、SiO2 −B2 3 系などが好ましく使用され
る。該ガラス成分の配合割合は、粘土質成分に対して1
0〜50重量%の範囲が適当である。
【0019】絶縁性基材に対しては、導電材としてSi
またはFeSiの粉末を配合する。このSiまたはFe
Si粉末は、粒子径が10μm 以下で、かつ粒子径1〜
10μm 範囲の占める割合が導電材粉末全体の70%以
上の粒度組成を有するものでなければならない。Siま
たはFeSi粉末の配合量は、得られる焼結抵抗発熱体
の抵抗値を考慮して適宜に設定されるが、本発明の目的
には絶縁性基材に対し外割りで20〜40重量%の範囲
に設定することが好ましい。
【0020】絶縁性基材と導電材の配合物は、水および
必要に応じて適宜な樹脂バインダーと共に混練して水和
混合処理し、パイプ状のヒートローラ形状に成形する。
成形体は乾燥後に焼成炉に移し、不活性雰囲気下に焼成
処理するが、焼結時に一旦500〜800℃の温度域で
仮焼し、ついで1000〜1400℃の温度で本焼成す
る2段階焼成処理を施すことが重要な操作要件となる。
本焼成前に仮焼処理を施すのは、直接高温度で焼成する
と昇温段階で成形体中から発生した結晶水等の揮発ガス
が基材成分と酸化反応を起こして基材比抵抗を変動させ
る原因となるため、結晶水等が揮発する500〜800
℃の温度域で予め仮焼成することにより前記の反応影響
を消去するためである。仮焼後に本焼成を行うことによ
り焼結抵抗発熱体の比抵抗分布が良好となり、導電材と
なるSiまたはFeSiの粒度調整による作用と相俟っ
て有効発熱部領域における発熱温度分布が極めて均一化
したヒータ部材が得られる。
【0021】なお、上記の焼成段階は、成形体を例えば
炭化ケイ素あるいは黒鉛材のような熱伝導性の良好な材
質で形成された波板さや等の熱処理治具に載置し保持し
た状態で行うことが好ましく、このようにして焼成処理
することにより炉内温度分布の変動に基づく熱履歴の不
均一性を除去することができ、同時に得られる焼結抵抗
発熱体の曲がりや変形を防止することができる。
【0022】得られた焼結抵抗発熱体は、必要に応じて
表面を平滑に研削加工したのち、端部に電極部を取りつ
けてヒートローラ用ヒータとする。この場合、上記した
ように焼成処理を熱処理治具を用いて行なうと、曲がり
や変形の少ない寸法精度の良好な焼結抵抗発熱体として
得ることができるから、研削加工は簡単なセンターレス
加工で済ますことができる。
【0023】上記の製造プロセスで得られるヒートロー
ラ用セラミックヒータは、有効発熱部領域における発熱
温度分布ΔTが15℃以下の均一発熱分布を発現し、表
面に介在する気孔が100μm 以下で存在個数も極めて
少ないため、常に印字トラブルのない均質なトナー定着
を得ることができる。
【0024】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と対比して詳
細に説明する。しかし、本発明の範囲はこれら実施例に
制約されるものではない。
【0025】実施例1 木節粘土(SiO249%,Al2O333%)70重量%とホウケイ酸ガ
ラス30重量%を配合して絶縁性基材とし、該絶縁性基
材に対し粒子径10μm 以下で、粒子径1〜10μm 範
囲の占める割合が粒分全体の80%である粒度組成を備
えるSi微粉末を外割りで30重量%配合した。配合物
を水と共に混練し水和混合処理を施したのち、押出成形
して円筒形状に成形し、乾燥した。成形体を窒素雰囲気
に保持された焼成炉に移し800℃の温度で仮焼し、つ
いで炭化ケイ素材質の波さや型焼成用治具に載置した状
態で窒素雰囲気の焼成炉により1300℃の温度で本焼
成した。得られた焼結抵抗発熱体は、外径16mm、内径
11mm、長さ300mmの表面平滑なパイプ形状を呈して
いたが、回転ロール砥石間に載置するセンターレス加工
を施してヒートローラ用セラミックヒータ部材を得た。
得られたヒートローラ用セラミックヒータ部材の抵抗
値、表面の気孔存在状態(最大気孔径、1cm2内に存在
する50μm 以上の気孔径の個数)、曲げ強度、および
発熱温度分布ΔTを測定評価した。表1に製造時におけ
る変動条件を、表2に前記測定評価の結果を示した。
【0026】実施例2 導電材として粒子径10μm 以下で、粒子径1〜10μ
m 範囲の占める割合が粒分全体の70%である粒度組成
を備えるSi微粉末を用い、その他は実施例1と同一条
件により焼結抵抗発熱体を製造した。得られた焼結抵抗
発熱体は表面平滑なパイプ形状を呈していたが、センタ
ーレス加工による表面研削処理を施してヒートローラ用
セラミックヒータ部材とした。このヒートローラ用セラ
ミックヒータ部材につき、実施例1と同様に各種の測定
評価を行った。表1に製造時の変動条件を、表2に測定
評価結果をそれぞれ併載した。
【0027】実施例3 成形体の仮焼温度を500℃とし、本焼成温度を130
0℃に設定したほかは、実施例1と同一条件により焼結
抵抗発熱体を製造した。得られた焼結抵抗発熱体は表面
平滑なパイプ形状を呈していたが、センターレス加工に
よる表面研削処理を施してヒートローラ用セラミックヒ
ータ部材とした。このヒートローラ用セラミックヒータ
部材につき実施例1と同様に各種の測定評価を行った。
表1に製造時の変動条件を、表2に測定評価結果をそれ
ぞれ併載した。
【0028】比較例1 導電材として粒子径10μm 以下で、粒子径1〜10μ
m 範囲の占める割合が粒分全体の60%である粒度組成
を備えるSi微粉末を用い、その他は実施例1と同一条
件により焼結抵抗発熱体を製造し、センターレス加工を
施してヒートローラ用セラミックヒータ部材とした。こ
のヒートローラ用セラミックヒータ部材につき、実施例
1と同様に各種の測定評価を行った。表1に製造時の変
動条件を、表2に測定評価結果をそれぞれ併載した。
【0029】比較例2 成形体の仮焼温度を1000℃とし、その他は実施例1
と同一条件により焼結抵抗発熱体を製造し、センターレ
ス加工を施してヒートローラ用セラミックヒータ部材と
した。このヒートローラ用セラミックヒータ部材につ
き、実施例1と同様に各種の測定評価を行った。表1に
製造時の変動条件を、表2に測定評価結果をそれぞれ併
載した。
【0030】比較例3 成形体の仮焼温度を400℃とし、その他は実施例1と
同一条件により焼結抵抗発熱体を製造し、センターレス
加工を施してヒートローラ用セラミックヒータ部材とし
た。このヒートローラ用セラミックヒータ部材につき、
実施例1と同様に各種の測定評価を行った。表1に製造
時の変動条件を、表2に測定評価結果をそれぞれ併載し
た。
【0031】比較例4 導電材として粒子径20μm 以下で、粒子径1〜10μ
m 範囲の占める割合が粒分全体の60%である粒度組成
を備えるSi微粉末を用い、その他は実施例1と同一条
件により焼結抵抗発熱体を製造し、センターレス加工を
施してヒートローラ用セラミックヒータ部材とした。こ
のヒートローラ用セラミックヒータ部材につき、実施例
1と同様に各種の測定評価を行った。表1に製造時の変
動条件を、表2に測定評価結果をそれぞれ併載した。
【0032】比較例5 導電材として粒子径200μm 以下で、粒子径10〜1
00μm 範囲の占める割合が粒分全体の63%である粒
度組成を備えるSi微粉末を用い、焼成時に仮焼成を施
さなかったほかは、全て実施例1と同一条件により焼結
抵抗発熱体を製造し、センターレス加工を施してヒート
ローラ用セラミックヒータ部材とした。このヒートロー
ラ用セラミックヒータ部材につき、実施例1と同様に各
種の測定評価を行った。表1に製造時の変動条件を、表
2に測定評価結果をそれぞれ併載した。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】表1の製造条件と表2の測定評価結果を考
察して明らかなとおり、本発明の実施例によるヒートロ
ーラ用セラミックヒータ部材は抵抗値が適正で、最大気
孔径が100μm 以下で存在個数が少なく、発熱温度分
布ΔTが15℃以下である。したがって、ヒートローラ
用ヒータとしての実用性能を具備しており、印字トラブ
ルのないトナー定着を発現することができる。これに対
し、本発明の要件を外れる比較例では発熱温度分布ΔT
が大きく、また比較例4のものは発熱温度分布ΔTは少
ないものの、最大気孔径が100μm を越えるため印字
トラブルを生じ易い。
【0036】実施例4〜6、比較例6〜9 カオリン(SiO245%,Al2O340%)80重量%とホウケイ酸ガ
ラス20重量%を配合して絶縁性基材とし、該絶縁性基
材に対し粒度組成の異なるFeSi微粉末を外割りで3
3重量%配合した。配合物を水と共に混練し水和混合処
理を施したのち、押出成形して円筒形状に成形し、乾燥
した。成形体を窒素雰囲気に保持された焼成炉に移し所
定の温度で仮焼し、ついで炭化ケイ素材質の波さや型焼
成用治具に載置した状態で窒素雰囲気の焼成炉により所
定の温度で本焼成した。得られた焼結抵抗発熱体は、外
径16mm、内径11mm、長さ300mmの表面平滑なパイ
プ形状を呈していたが、センターレス加工を施してヒー
トローラ用セラミックヒータ部材を得た。得られた各ヒ
ートローラ用セラミックヒータ部材を実施例1と同様に
して各種の測定評価を行った。表3に製造時の変動条件
を、表4に測定評価結果をそれぞれ示した。
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば直接通電
により優れた昇温速度ならびに熱応答性を発揮し、表面
組織に優れ、耐久性が良好で、有効発熱部領域での発熱
温度分布が均一なヒートローラ用セラミックヒータ部材
を提供することができる。したがって、複写機、ファク
シミリ、プリンター等の機器類に内蔵して常に均質なト
ナー定着性を発現することが可能となる。また、本発明
の製造方法に従えば上記した高性能のヒートローラ用セ
ラミックヒータ部材を工業的に効率よく製造することが
できるから、産業上に貢献するところ大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 下山 暢善 宮城県柴田郡大河原町字新桜町12−7 コ ーポやすらぎ103号

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミノケイ酸塩中に導電材としてSi
    またはFeSiを含有させた焼結抵抗発熱材からなり、
    前記SiまたはFeSiの粒子径が10μm以下で、か
    つ粒子径1〜10μm 範囲の占める割合が導電材粉末全
    体の70%以上である粒度組成を備えることを特徴とす
    るヒートローラ用セラミックヒータ部材。
  2. 【請求項2】 焼結抵抗発熱体の表面に介在分布する最
    大気孔径が100μm 以下であり、かつ有効発熱部領域
    における発熱温度分布ΔTが15℃以下にある請求項1
    記載のヒートローラ用セラミックヒータ部材。
  3. 【請求項3】 アルミノケイ酸塩を含む粘土質成分を主
    体とする絶縁性基材に、粒子径が10μm 以下で、かつ
    粒子径1〜10μm 範囲の占める割合が導電材粉末全体
    の70%以上である粒度組成を備えるSiまたはFeS
    iを水和混合し、所定のパイプ形状に成形したのち、成
    形体を不活性雰囲気下で一旦500〜800℃の温度域
    で仮焼し、ついで1000〜1400℃の温度で本焼成
    することを特徴とするヒートローラ用セラミックヒータ
    部材の製造方法。
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