JPH09175892A - 単結晶の製造方法 - Google Patents

単結晶の製造方法

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Publication number
JPH09175892A
JPH09175892A JP27932496A JP27932496A JPH09175892A JP H09175892 A JPH09175892 A JP H09175892A JP 27932496 A JP27932496 A JP 27932496A JP 27932496 A JP27932496 A JP 27932496A JP H09175892 A JPH09175892 A JP H09175892A
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JP
Japan
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crucible
crystal
temperature
melt
heater
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Application number
JP27932496A
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English (en)
Inventor
Osamu Oda
小田  修
Takashi Kaisou
敬司 甲斐荘
Toshiaki Asahi
聰明 朝日
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Eneos Corp
Original Assignee
Japan Energy Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 双晶や多結晶の発生を防止して単結晶化率の
高い長尺の結晶を歩留まり良く育成し、ウェーハの回収
率を向上させる。 【解決手段】 メインヒータ200の下側にサブヒータ
250を設ける。結晶育成開始前に、融液中の表面付近
における径方向の温度勾配が所定範囲内におさまるよう
な条件と、融液上の融液表面付近の温度が、結晶育成中
に引上げ結晶4の表面が分解しないような温度に保たれ
るような条件とを満たした後、結晶の引上げを開始す
る。結晶育成中は、るつぼ10の底の外側の温度(T
b)を計測し、その計測した値に基づいてるつぼ底の外
側の温度(Tb)が所定範囲内におさまるようにサブヒ
ータ250の発熱量を制御しながら結晶育成を行う。 【効果】 クリスタルバンピングによる結晶の落下や固
液界面形状が上凸状となるのを防止することができ、よ
り長尺の単結晶を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、単結晶製造方法さ
らにはチョクラルスキー(CZ)法及び液体封止チョク
ラルスキー(LEC)法に関し、特に長尺の化合物半導
体単結晶を製造する場合に利用して有効な方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】Si単結晶の製造にあたっては、原料融
液の表面に種結晶を接触させて回転させながら徐々に結
晶を引き上げるCZ法が工業的に実施されている。
【0003】また、GaAsのようなIII −V族化合物
半導体の製造にあたっては、III −V族化合物半導体単
結晶が融点付近で高い蒸気圧を有するため、原料融液表
面をB2 3 等からなる液体封止剤で覆った状態で原料
融液表面に種結晶を接触させて回転させながら徐々に結
晶を引き上げるLEC法により単結晶の成長が行なわれ
ている。LEC法は、結晶の成長と共に種結晶を引き上
げていく方法であり、種付けにより結晶方位を制御でき
かつ高純度結晶を得やすいため、工業的に実施されてい
る。
【0004】ところで、CZ法やLEC法による単結晶
の引上げにおいては、引上げ中の結晶の下端すなわち固
液界面形状が下方に向かって凸形状となっていることが
単結晶化を図る上で必要であり、固液界面形状が上方に
向かって凸形状となっていると双晶や多結晶の発生の原
因となり、歩留まりが低下することが知られている。
【0005】そこで、従来CZ法やLEC法において
は、単結晶の引上げ中、固液界面形状が下方に向かって
凸形状となるような炉内温度分布制御が行なわれてい
る。
【0006】例えば、LEC法では、図6に示すよう
に、るつぼ10の固液界面に対応する位置の横に熱電対
3を設置し、単結晶4を引き上げている間、その熱電対
3によりるつぼ横の温度を計測しながら、その計測した
温度並びにロードセル等の重量センサー9及び上下の変
位センサー8,12の各検出値に基づいて育成結晶の直
径制御用のヒータ14への供給電力を調整している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、その目的と
するところは、CZ法やLEC法により単結晶を育成す
る場合に双晶や多結晶の発生を防止して単結晶化率の高
い長尺の結晶を歩留まり良く育成し、ウェーハの回収率
を向上させることができるような単結晶製造技術を提供
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明者は、るつぼ底の外側に熱電対を取り付け、
るつぼ底の外側の温度を計測しながらGaAs単結晶の
育成実験を行った。その結果、結晶育成中にるつぼ底の
外側の温度がある温度よりも低くなるとるつぼ底から原
料融液の凝固が始まり育成結晶と接触したり、固液界面
が下凸になりすぎ育成結晶の中央部が異常成長し育成結
晶とるつぼ底が接触したりするいわゆるクリスタルバン
ピング(Crystal Bumping)と呼ばれる
現象が起こって育成途中で結晶が落下してしまったり、
あるいはるつぼ底の温度がある温度を超えて高くなると
固液界面形状が下凸状から上凸状に変わり、多結晶化し
てしまう、ということがわかった。
【0009】この知見に基づき、本発明者らは、結晶育
成中にるつぼ底の温度をある温度範囲内におさまるよう
に制御することによって、より長尺の単結晶が得られる
と考え、鋭意研究を重ねた結果、本発明の完成に至っ
た。
【0010】すなわち、本発明は、ヒータを有する結晶
引上げ炉内に、原料を入れたるつぼを配置し、前記ヒー
タによりるつぼを加熱して内部の原料を融解し、原料融
液表面に種結晶を接触させてこれを徐々に引き上げるこ
とにより単結晶を製造する方法において、少なくとも前
記るつぼを加熱するメインヒータとるつぼの底を加熱す
るサブヒータとを有する炉を用い、結晶育成開始前に、
るつぼ内の加熱融解した融液中の表面付近における径方
向の温度勾配が所定範囲内におさまるような条件と、融
液の表面から上方に離れた融液表面付近の温度が、結晶
育成中に引上げ結晶の表面が分解しないような温度に保
たれるような条件とを満たした後、結晶の引上げを開始
し、結晶育成中は、前記るつぼの底の外側の温度を計測
し、その計測した値に基づいてるつぼ底の外側の温度が
所定範囲内におさまるように前記サブヒータの発熱量を
制御することにより、クリスタルバンピングの発生や固
液界面形状が上凸状となるのを防止し、より長尺の単結
晶が得られるようにしたものである。
【0011】この発明において、結晶育成後期にあって
は、るつぼ底の温度が原料の融点よりも高く、かつ前記
るつぼ底の外側の温度が所定温度以下の範囲の温度にな
るように、前記サブヒータの発熱量を制御するようにし
てもよく、そうすれば、クリスタルバンピングの発生を
より一層効果的に防止することができ、より一層長尺の
単結晶が得られる。
【0012】また、るつぼ内に前記原料と一緒に封止剤
を入れ、該封止剤を前記原料とともに前記ヒータにより
加熱融解して原料融液の表面を覆いながら化合物半導体
の単結晶を成長させるようにしてもよく、そうすれば長
尺の化合物半導体単結晶が得られる。
【0013】具体的には、GaAs単結晶を成長させて
もよい。その場合には、結晶育成開始前の融液中の表面
付近におけるるつぼの径方向の温度勾配は、好ましく
は、るつぼの中心から径方向外側に50mm離れた点にお
ける前記融液中の表面付近の温度が同るつぼの中心にお
ける前記融液中の表面付近の温度よりも40℃以上高く
なるような温度勾配であるとよく、また結晶育成中に前
記融液の表面から離れた融液表面付近における温度が9
00℃〜1010℃に保たれるように、結晶育成開始前
にるつぼの高さ位置の調整、またはるつぼの高さ位置及
びホットゾーンの形状の調整を行うとよく、さらに結晶
育成後期にあっては、前記るつぼ底の温度が1238℃
よりも高く、かつるつぼ底の外側の温度が1270℃以
下、好ましくは1250℃以下の範囲の温度になるよう
に、前記サブヒータの発熱量を制御するようにするとよ
い。そのようにすることによって、長尺のGaAs単結
晶が得られる。
【0014】ここで、るつぼ底の外側の温度をメインヒ
ータから独立してサブヒータにより制御するためには、
サブヒータヘの供給電力をゼロとした時(オフ状態)に
るつぼ底の外側の温度が所定温度以下となるように、結
晶成長炉のるつぼ底側の吸熱量を従来の結晶引上げ装置
よりも大きくする必要がある。すなわち、サブヒータを
オフ状態に保っているにもかかわらずるつぼ底の外側の
温度が自然と上昇してしまうような環境であると、るつ
ぼ底の外側の温度を所定の温度範囲内、特にその温度範
囲の上限値を超えないように制御することができない。
従って、サブヒータをオフ状態にした時にるつぼ底の外
側の温度の上昇が鈍化もしくは停止するかまたはるつぼ
底の外側の温度が下がるような条件にしておかなければ
ならない。
【0015】具体的には、従来よりも結晶成長炉の下部
ジャケット(冷却水を流して冷却されている)寄りにる
つぼを配置したり、下部ジャケットの冷却水量を多くし
て下部ジャケットの吸熱能(すなわち、冷却能)を大き
くしたり、るつぼ底の下側に冷却手段を設けたり、メイ
ンヒータの固液界面より下側の長さを従来よりも短くし
てメインヒータによる影響を小さくしたりするなど、そ
の炉に応じて適宜選択することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】まず、本発明を実施するにあたっ
て本発明者らが使用した結晶製造装置について説明す
る。図4には、その結晶製造装置の一例が示されてい
る。
【0017】この単結晶製造装置1は、下部ジャケット
2A、胴体部ジャケット2B及び上部ジャケット2Cか
らなる水冷ジャケット構造の高圧容器2の下部ジャケッ
ト2A寄りにるつぼ10が配置されるようになってい
る。また、単結晶製造装置1はるつぼ底の外側に該るつ
ぼ底の外側の温度を計測する手段、例えば熱電対100
を有するとともに、育成結晶4の直径を制御するための
メインヒータ200の下側にるつぼ底の温度制御を行な
うためのサブヒータ250を備えており、るつぼ底の熱
電対100による計測温度に基づいてサブヒータ250
への供給電力が制御装置(図示省略)により制御される
ようになっている。
【0018】るつぼ10が下部ジャケット2A寄りに配
置されることにより、るつぼ10の底側の吸熱量が大き
くなり、サブヒータ250への供給電力をゼロにすると
るつぼ底の温度は所定温度以下、例えば1100℃以下
の温度になる。従って、この装置1では、結晶育成中
に、メインヒータ200から独立してサブヒータ250
の出力制御によりるつぼ底の温度を制御することができ
る。
【0019】結晶育成中は、熱電対100によりるつぼ
10の底の外側点(図4中、A点で示す)の温度(T
b)を計測し、その計測値を制御装置にフィードバック
する。そして、るつぼ底の外側の温度(Tb)が所定の
温度範囲内におさまるようにサブヒータ250ヘの供給
電力量の制御を行う。るつぼ底の外側の温度(Tb)を
測定するのは、結晶育成中はるつぼ底の内側(図4のB
点)の温度を測定できないからであり、るつぼ底の外側
の温度(Tb)とるつぼ底の内側の原料融液の温度との
相関関係については、予め試験を行って調べておくこと
により求めることができる。
【0020】なお、図4において、3は育成結晶4の直
径制御を行うためにるつぼ横の温度を計測する熱電対、
5は原料融液、6は種結晶、7は回転しながら上昇可能
な結晶引上げ軸、8は結晶引上げ軸7の変位量を検知す
る変位センサー、9は周知の直径制御方法において用い
られるロードセルなどの重量センサー、11は回転しな
がら上昇可能なるつぼ軸、12はるつぼ軸11の変位量
を検知する変位センサー、13はB2 3 等の液体封止
剤、15は保温材、17はガス供給装置及び圧力センサ
ー、18はガス排気装置である。それらの構成及び作用
等はLEC法において従来用いられていた単結晶製造装
置におけるものと同じである。従って、それらの詳細な
説明を省略する。
【0021】次に、結晶育成条件を選択するために行っ
た予備試験について説明する。
【0022】この予備試験では図4に示す結晶製造装置
1を使用した。そして、サブヒータ250の給電量を調
整し、るつぼ底の外側の温度(Tb)を種々変えてLE
C法により直径80mmのGaAs単結晶の育成を16回
行った。その他の結晶育成条件は従来通りであった。結
晶直胴部の長さが所定の長さに達した時点、すなわち直
胴部の育成が終了した時点で、結晶引上速度を毎時10
0mmにして育成結晶4を原料融液5から切り離した。得
られた各結晶のテール部の形状は直胴部育成終了時の固
液界面形状を反映していると考えられるので、各結晶の
テール部の長さh(結晶下端と結晶直胴部からテール部
への移行箇所との間の長さ、図2のグラフ内の結晶模式
図を参照)を測定することにより、その固液界面の下凸
状の度合いを調べた。
【0023】直胴部育成終了時のるつぼ底の外側の温度
(Tb)と結晶テール部の長さhとの関係の一例を図2
に示す。図2より、るつぼ底の外側の温度(Tb)が低
いほど結晶テール部の長さhが大きい、すなわち固液界
面形状の下凸状の度合いが強いことがわかる。そして、
直胴部育成終了時点において結晶テール部の長さhが8
mm以上となるような固液界面形状を得るには、直胴部育
成終了時点のるつぼ底の外側の温度(Tb)を1270
℃以下にすればよいことがわかる。本発明の実施にあた
っては、直胴部育成終了時点の結晶テール部の長さhが
8mm以上であるのが好ましいため、直胴部育成終了時に
るつぼ底の外側の温度(Tb)が1270℃以下になる
ようにする。ここで、直胴部育成終了時点における結晶
テール部の長さhが8mm以上であるのが好ましい理由
は、原料融液内には±3〜5℃程度の温度揺らぎがある
ため、結晶テール部が十分な下凸形状を有していないと
育成途中で多結晶が発生する原因となるからである。よ
り好ましくは、結晶テール部の長さhが10mm以上、す
なわちるつぼ底の外側の温度(Tb)が1250℃以下
である。
【0024】なお、結晶育成後期でるつぼ内の原料融液
の残存量が少なくなるので、るつぼ底の温度が融点(G
aAs=1238℃)よりも低いとクリスタルバンピン
グが発生する虞がある。それゆえ、結晶育成後期では、
るつぼ底の温度が融点以下にならないように制御する必
要がある。
【0025】具体的には、固化率(育成結晶の重量/結
晶原料の重量)が0.5以降は、るつぼ底の温度は融点
よりも高く、かつるつぼ底の外側の温度(Tb)は12
70℃以下の範囲の温度でなければならない。いずれに
しろ、結晶育成の進行とともにるつぼ底の外側の温度
(Tb)は上昇する傾向にあるので、結晶育成中は終始
るつぼ底の外側の温度(Tb)を1270℃以下に保つ
必要がある。
【0026】このように、結晶育成中、るつぼ底の外側
の温度(Tb)が1270℃以下になるようにサブヒー
タの出力を調整することによって、育成結晶と原料融液
との固液界面の形状が常時下凸状に保たれるので、育成
結晶が多結晶化してしまうのが抑制される。その際、固
液界面付近の温度がGaAsの融点以下の温度にならな
いようにサブヒータの出力制御を行うのはいうまでもな
い。
【0027】ただし、るつぼ底の外側の温度(Tb)の
上限値は、厳密に1270℃に限定されるものではな
く、るつぼの材質や径や深さ、原料の投入量、結晶成長
速度、育成結晶の径や形状などの結晶成長条件や環境な
どの因子により決まるものである。従って、本発明者ら
が使用した炉やるつぼや結晶成長条件や環境などによれ
ば、るつぼ底の外側の温度(Tb)の上限値は1270
℃であったということである。
【0028】以上説明した予備試験より結晶育成中の育
成条件の一つとして、結晶育成中は終始、るつぼ底の外
側の温度(Tb)を終始1270℃以下に保つという条
件が得られた。結晶育成中は、この育成条件を満足する
ように、図4に示す結晶製造装置1においてサブヒータ
250の出力を制御する。
【0029】続いて、図4に示す結晶製造装置1を用
い、育成結晶4の側方に熱電対(図示省略)を設けて、
液体封止剤13の表面から9mm上方に離れかつるつぼ1
0の中心から63mm外側に離れた点(図3参照)の温度
すなわち融液表面付近の温度Tgの変化をGaAs結晶
の育成を行いながら測定した。育成中の結晶の長さに対
する温度変化の好適な一例を図3に示す。図3の例で
は、結晶育成開始時に960℃であった前記温度Tg
は、育成長100mm程度で約930℃と最も低くなりそ
の後徐々に上昇して結晶育成終了時(育成長約330m
m)には結晶表面の分解が起こる温度である1010℃
に略近い温度となった。
【0030】融液表面付近の温度Tgが1010℃を超
えると液体封止剤13上に露出した引上げ結晶4の表面
が分解してしまい、多結晶化してしまう。図3に示す例
では融液表面付近の温度Tgが終始1010℃以下にな
っているが、他の結晶育成条件等によっては融液表面付
近の温度Tgが1010℃を超えてしまうことがある。
なお、融液表面付近の温度Tgが900℃未満となると
結晶育成中の熱応力が大きくなり転位密度が増大する問
題がある。
【0031】従って、結晶育成中に融液表面付近の温度
Tgが終始900℃以上1010℃以下となるように、
結晶育成の諸条件を制御する必要がある。その結晶育成
の諸条件の制御は、育成開始前に、るつぼ高さ位置やホ
ットゾーンの形状を調整することにより行う。その理由
は、結晶育成中、結晶製造装置1のメインヒータ200
は、主として結晶径の制御を行うために図示しない制御
装置により制御され、またサブヒータ250は、主とし
てるつぼ底の外側の温度(Tb)の制御を行うために図
示しない制御装置により制御されるからである。つま
り、融液表面付近の温度Tgが1010℃を超えないよ
うに結晶育成中にメインヒータ200及びサブヒータ2
50のそれぞれの出力を制御することはできないからで
ある。なお、結晶育成中、ホットゾーンの形状は一定で
あり、またるつぼの高さ位置は固液界面が一定の高さに
なるように昇降される。
【0032】以上説明した予備試験より結晶育成開始前
の育成条件の一つとして、結晶育成中に融液表面付近の
温度Tgが例えば図3に示すグラフのように1010℃
以下に保たれるように、るつぼ高さ位置及びホットゾー
ン形状を適当に調整しておくという条件が得られた。な
お、この条件を満たするつぼ高さ位置及びホットゾーン
形状は、予め試験を行い求めておく。
【0033】また、結晶育成開始前のもう一つの育成条
件として、融液の表面におけるるつぼ中心から径方向の
温度勾配を一定の値以上でるつぼ壁側が高くなるように
することが挙げられる。このような温度勾配は、結晶育
成開始前のるつぼ高さ位置及びるつぼ底の外側の温度
(Tb)すなわちサブヒータ250の出力制御によって
達成される。結晶育成開始前のるつぼ中心から径方向の
温度勾配を一定以上にすることによって、種付け時から
結晶肩部(種結晶から直胴部に至るまでの結晶の傾斜部
分)の育成までの間にデンドライトが発生するのを防止
できる。なお、るつぼ中心から径方向の温度分布の最適
値は、予め予備試験や過去の結晶育成データ等に基づい
て求めておく。また、結晶育成開始前の融液表面の温度
測定については、熱電対等を融液中に浅く浸漬させるこ
とにより行うことができる。
【0034】具体的には、結晶育成開始前の液体封止剤
13の表面のるつぼ中心から径方向の温度勾配として、
40℃/50mm以上80℃/50mm以下すなわちるつぼ
中心よりも該中心から径方向外側に50mm離れた点での
温度の方が40℃〜80℃高くなるような勾配が適当で
ある。80℃/50mmより高くなると熱応力の増大によ
りスリップラインの発生が顕著となる。
【0035】図5に、本発明に係る結晶育成方法の実施
に使用して好適な結晶製造装置の実施形態の他の例を示
す。
【0036】この単結晶製造装置1Aが図4に示す製造
装置1と異なるのは、るつぼ底側の吸熱量を大きくする
ために、高圧容器2の下部ジャケット2A寄りにるつぼ
10を配置する代わりに、メインヒータ200を、固液
界面に対応する位置より下側の長さが従来よりも短くな
るような構成とし、メインヒータ200によるるつぼ底
部への熱伝導の影響を小さくしている点である。その他
の構成については上記製造装置1と同じであるので、説
明を省略する。
【0037】なお、るつぼ底側の吸熱量を大きくするた
めに、高圧容器2の下部ジャケット2Aに流す冷却水の
量を多くして下部ジャケット2Aの吸熱能を大きくした
り、るつぼ底の下側にヒートシンク等の冷却手段を設け
たりしてもよい。
【0038】
【実施例】以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明の
特徴とするところを明らかとする。なお、本発明は、以
下の実施例により何ら制限されるものではない。 (実施例)図4に示した構成の結晶引上げ装置を用いて
LEC法によりGaAs単結晶の育成を3回行った。
【0039】内径9インチのpBN製るつぼ10内に約
11kgの高純度GaAs原料5と封止剤13として適量
のB2 3 を入れ、それを高圧容器2内のるつぼ軸11
上に設置した。高圧容器2内を真空ポンプ(図示省略)
で排気した後、Arガスを導入して容器2内を20気圧
のArガス雰囲気とした。その後、メインヒータ200
及びサブヒータ250に給電してるつぼ10内の原料5
及び封止剤13を融解した。加熱融解後の液体封止剤1
3の厚さは24mmであった。しかる後、種結晶6を保持
した引上げ軸7を下降させて、種結晶6を原料融液5の
表面に接触させた。
【0040】続いて、図示しない熱電対等により液体封
止剤13の表面のるつぼ中心と、そこから径方向外側に
50mm離れた点の温度を測定しながら、るつぼ中心より
もそこから50mm離れた点での温度の方が44℃高くな
るように、るつぼ10の高さ位置、ホットゾーン形状並
びにメインヒータ200及びサブヒータ250のそれぞ
れの出力の調整を行った。それらの調整を行う際には、
上記温度勾配の条件とともに、例えば図3に示すように
結晶育成中に融液表面付近の温度Tgが1010℃を超
えないような条件と、原料融液5と液体封止剤13との
界面の温度がGaAsの融点(1238℃)となるよう
な条件も満たすようにした。融液表面付近の温度Tgに
関する条件を満たすようなるつぼ10の高さ位置、ホッ
トゾーン形状並びにメインヒータ200及びサブヒータ
250のそれぞれの出力の初期条件については、予め試
験を行い求めておいた。
【0041】るつぼ10の高さ位置、ホットゾーン形状
並びにメインヒータ200及びサブヒータ250のそれ
ぞれの出力の調整が終了した後、引上げ軸7を時計回り
に5〜6rpm で回転させるとともにるつぼ軸11を反時
計回りに15〜30rpm で回転させながら、毎時6〜1
0mmの引上げ速度でもって引上げ軸7を上昇させて結晶
の引上げを開始した。結晶育成中は、サブヒータ250
の出力を調整して、るつぼ底の外側の温度(Tb)を図
1にcで示すようなスロープで昇温させた。すなわち、
るつぼ底の外側の温度(Tb)を、結晶育成開始時には
約1190℃、育成開始後は約0.15℃/min の割合
で上昇させて結晶長が約150mmの時に約1213℃と
なり、それ以後は約0.25℃/min の割合で上昇させ
て結晶長が約300mmの時に約1248℃となるように
した。尚、結晶育成開始時にはるつぼ底の原料融液は固
化していなかった。
【0042】得られた3本の結晶は、いずれも直径80
〜90mm(3インチ)、長さ330mm、直胴長250mm
〜280mmで成長方位が〈100〉のGaAsの単結晶
であった。なお、結晶育成中、固液界面の位置が下がら
ないように、るつぼ軸11によりるつぼ10を徐々に上
昇させた。また、周知の直径制御方法によりメインヒー
タ200の出力を制御した。 (比較例1)上記実施例と同様にしてGaAsの結晶育
成を3回行った。ただし、結晶育成中は、るつぼ底の外
側の温度(Tb)を図1にbで示すようなスロープで昇
温させた。すなわち、るつぼ底の外側の温度(Tb)
を、結晶育成開始時には略1190℃とし、育成開始後
は最後まで約0.15℃/min の割合で上昇させ、育成
途中で昇温速度を変化させなかった。その他の条件は上
記実施例と同じである。
【0043】3回の結晶育成のいずれにおいても、育成
結晶の長さが250mm付近に達した時に、クリスタルバ
ンピングが発生し、育成不能となった。 (比較例2)上記実施例と同様にしてGaAsの結晶育
成を2回行った。ただし、液体封止剤13の表面のるつ
ぼ中心よりもそこから50mm離れた点での温度の方が3
5℃高くなるようにするとともに、結晶育成中は、るつ
ぼ底の外側の温度(Tb)を図1にaで示すようなスロ
ープで昇温させた。すなわち、るつぼ底の外側の温度
(Tb)を、結晶育成開始時には約1203℃とし、育
成開始後は最後まで約0.15℃/min の割合で上昇さ
せ、育成途中で昇温速度を変化させなかった。その他の
条件は上記実施例と同じである。
【0044】得られた2本の結晶のうち1本は結晶肩部
付近でデンドライトが発生しており、他の1本は結晶長
100mm付近で多結晶化していた。
【0045】なお、本発明は、GaAs単結晶の製造に
限らず、InPやInAsやGaSbなどの他の化合物
半導体単結晶やSi単結晶の製造にも適用可能であるの
はいうまでもない。Si単結晶を製造する場合には、液
体封止剤が不要となる。
【0046】
【発明の効果】本発明は、CZ法またはLEC法におい
て、少なくともるつぼを加熱するメインヒータとるつぼ
の底を加熱するサブヒータとを有する炉を用い、結晶育
成開始前に、るつぼ内の加熱融解した融液中の表面付近
における径方向の温度勾配が所定範囲内におさまるよう
な条件と、融液の表面から離れた融液表面付近の温度が
結晶育成中に引上げ結晶の表面が分解しない温度に保た
れるような条件とを満たした後、結晶の引上げを開始
し、結晶育成中は、るつぼの底の外側の温度を計測し、
その計測した値に基づいてるつぼ底の外側の温度が所定
範囲内におさまるようにサブヒータの発熱量を制御する
ようにしたので、クリスタルバンピングによる結晶の落
下や固液界面形状が上凸状となるのを防止することがで
き、より長尺の単結晶を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例及び比較例における育成結晶長に対する
るつぼ底の外側の温度Tbの昇温パターンを示す特性図
である。
【図2】予備試験により得られた結晶テール部の長さh
とるつぼ底の外側の温度Tbとの関係を表す特性図であ
る。
【図3】予備試験により得られた融液表面付近の温度T
gと育成結晶長との関係を表す特性図である。
【図4】本発明方法の実施に使用して好適な単結晶製造
装置の一例を示す断面正面図である。
【図5】本発明方法の実施に使用して好適な単結晶製造
装置の他の例を示す断面正面図である。
【図6】従来の単結晶製造装置の断面正面図である。
【符号の説明】 Tb るつぼ底の外側の温度 4 育成結晶(単結晶) 5 原料融液 6 種結晶 10 るつぼ 13 液体封止剤 200 メインヒーター 250 サブヒーター

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒータを有する結晶引上げ炉内に、原料
    を入れたるつぼを配置し、前記ヒータによりるつぼを加
    熱して内部の原料を融解し、原料融液表面に種結晶を接
    触させてこれを徐々に引き上げることにより単結晶を製
    造する方法において、少なくとも前記るつぼを加熱する
    メインヒータとるつぼの底を加熱するサブヒータとを有
    する炉を用い、結晶育成開始前に、るつぼ内の加熱融解
    した融液中の表面付近における径方向の温度勾配が所定
    範囲内におさまるような条件と融液の表面から上方に離
    れた融液表面付近の温度が、結晶育成中に引上げ結晶の
    表面が分解しないような温度に保たれるような条件とを
    満たした後、結晶の引上げを開始し、結晶育成中は、前
    記るつぼの底の外側の温度を計測し、その計測した値に
    基づいてるつぼ底の外側の温度が所定範囲内におさまる
    ように前記サブヒータの発熱量を制御するようにしたこ
    とを特徴とする単結晶の製造方法。
  2. 【請求項2】 結晶育成後期にあっては、るつぼ底の温
    度が原料の融点よりも高く、かつ前記るつぼ底の外側の
    温度が所定温度以下の範囲の温度になるように、前記サ
    ブヒータの発熱量を制御することを特徴とする請求項1
    記載の単結晶の製造方法。
  3. 【請求項3】 るつぼ内に前記原料と一緒に封止剤を入
    れ、該封止剤を前記原料とともに前記ヒータにより加熱
    融解して原料融液の表面を覆いながら化合物半導体の単
    結晶を成長させることを特徴とする請求項1または2記
    載の単結晶の製造方法。
  4. 【請求項4】 GaAs単結晶を成長させることを特徴
    とする請求項3記載の単結晶の製造方法。
  5. 【請求項5】 結晶育成開始前の融液中の表面付近にお
    けるるつぼの径方向の温度勾配は、好ましくは、るつぼ
    の中心から径方向外側に50mm離れた点における前記融
    液中の表面付近の温度が同るつぼの中心における前記融
    液中の表面付近の温度よりも40℃以上高くなるような
    温度勾配であることを特徴とする請求項4記載の単結晶
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 結晶育成中に前記融液の表面から離れた
    融液表面付近における温度が900℃〜1010℃に保
    たれるように、結晶育成開始前にるつぼの高さ位置の調
    整、またはるつぼの高さ位置及びホットゾーンの形状の
    各調整を行うことを特徴とする請求項4または5記載の
    単結晶の製造方法。
  7. 【請求項7】 結晶育成後期にあっては、前記るつぼ底
    の温度が1238℃よりも高く、かつるつぼ底の外側の
    温度が1270℃以下、好ましくは1250℃以下の範
    囲の温度になるように、前記サブヒータの発熱量を制御
    することを特徴とする請求項4、5または6記載の単結
    晶の製造方法。
JP27932496A 1995-10-27 1996-10-22 単結晶の製造方法 Pending JPH09175892A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009208992A (ja) * 2008-03-04 2009-09-17 Hitachi Cable Ltd 化合物半導体単結晶の製造方法
JP2011105526A (ja) * 2009-11-12 2011-06-02 Sumco Corp シリコン単結晶の育成方法
US8293007B2 (en) 2007-06-14 2012-10-23 Max Era, Inc. Removable thermal control for ribbon crystal pulling furnaces

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