JPH09175158A - 斜板式コンプレッサ - Google Patents

斜板式コンプレッサ

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JPH09175158A
JPH09175158A JP33923195A JP33923195A JPH09175158A JP H09175158 A JPH09175158 A JP H09175158A JP 33923195 A JP33923195 A JP 33923195A JP 33923195 A JP33923195 A JP 33923195A JP H09175158 A JPH09175158 A JP H09175158A
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piston
swash plate
radius
casing
rotation
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F05INDEXING SCHEMES RELATING TO ENGINES OR PUMPS IN VARIOUS SUBCLASSES OF CLASSES F01-F04
    • F05CINDEXING SCHEME RELATING TO MATERIALS, MATERIAL PROPERTIES OR MATERIAL CHARACTERISTICS FOR MACHINES, ENGINES OR PUMPS OTHER THAN NON-POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES OR ENGINES
    • F05C2253/00Other material characteristics; Treatment of material
    • F05C2253/12Coating

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  • Air-Conditioning For Vehicles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 磨耗を生じることなく、しかも低コストにて
確実かつ滑らかにピストンの回転を規制し得る「斜板式
コンプレッサ」を提供する。 【解決手段】 回り止め部82の円弧凸面82a とピス
トン6の軸心を含む平面との交線が、軸方向両端部にそ
れぞれ形成される所定の曲率半径r1 を有する外方に凸
の2つの軸方向端凸曲線を含むように構成される。即
ち、回り止め部82の軸方向両端に曲率半径r1 の丸み
を有する軸端部82b を形成した。また、周方向両端に
も曲率半径r2 の丸みを有する周端部82c を形成し
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、斜板式コンプレッ
サに関し、特に、斜板式コンプレッサのピストン回り止
め構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車用空気調和装置に使用されるコン
プレッサとしては、シャフトに対する傾斜角度が固定さ
れた斜板を有する容量固定斜板式コンプレッサや、吐出
冷媒量を調整すべくシャフトに対する傾斜角度が可変と
された斜板を有する容量可変斜板式コンプレッサなどが
知られている。
【0003】例えば、前記容量可変斜板式コンプレッサ
は、ベルト、プーリなどを介して伝達されるエンジンに
より回転駆動されるシャフトと、このシャフトに傾斜角
度可変の状態で取り付けられる円板状の斜板とを有して
おり、シャフトを回転させると、傾斜した状態の斜板
は、いわゆるみそすり運動をなしつつ、シャフトと共に
回転する。また、この容量可変斜板式コンプレッサは、
複数のシリンダ室とこのシリンダ室に沿って摺動移動す
る各ピストンとを有しているが、前述した回転する斜板
とピストンとを、ピストンロッドを介することなく直接
摺動自在に連結したものがある。
【0004】このような斜板とピストンとが直結式のコ
ンプレッサにおいては、各ピストンは、シリンダ室内を
往復動する頭部と、斜板と係合する断面略U字状の首部
とからなる。そして、例えばこの首部の両側内面の対向
する位置に形成された2つの球面凹部に略半球状のシュ
ーが嵌装され、これら両シューにより斜板の表裏両平坦
面が挟持されている。ここで、斜板の外縁部の表裏両面
に形成される摺動面は、それぞれ対応するシューの平面
部に摺動接触しており、またピストンは、その首部に形
成された球面凹部において、対応するシューの球面部に
摺動接触する。このようにしてピストンは、その首部に
おいて斜板に摺動自在に連結されている。
【0005】したがって、シャフトを回転させて傾斜し
た斜板を回転させると、斜板に摺動自在に連結されるピ
ストンは、回転する斜板の最もシリンダ室側に近い外縁
部と摺接するときは上死点位置に移動され、また回転す
る斜板の最もシリンダ室側から遠い外縁部と摺接すると
きは下死点位置に移動される。すなわち、シャフトに対
して傾斜した斜板と、シリンダ室により摺動方向が規制
されているピストンとを摺動接触させることにより、斜
板のみそすり回転運動は、ピストンの往復運動に変換さ
れることになる。
【0006】このようにしてピストンを往復運動させる
と、コンプレッサ内の吸入ポートから吸入した冷媒が圧
縮された後吐出ポートへ吐出されることとなり、冷媒が
循環してコンプレッサとして機能する。
【0007】ところで、傾斜した斜板を回転させること
によりピストンを往復運動させる場合にあっては、図6
に示すように、斜板からピストン133に両シュー4,
5を介して軸方向の力が作用し、ピストン133は、シ
リンダ室に沿って上死点側あるいは下死点側に、図6の
紙面と垂直方向に摺動移動する。なお、図6は、ピスト
ン133を軸方向クランク室側から見た図である。この
場合に、斜板の外縁部の平担面が両シュー4,5の間を
矢印A方向に高速で移動して互いに摺動することによ
り、これらの両シュー4,5を介してピストン106を
B方向に回転させる力が働くために、このピストンの回
転を規制する必要がある。
【0008】そこで、図6に示したように、ケーシング
112の内周面に対向するピストン133の背面上に、
ピストン133の回動範囲を規制してピストン133の
首部と斜板の周縁との干渉を回避するための回動規制用
凸曲面134を設け、この回動規制用凸曲面134の曲
率半径R1 を、ピストンの周面の曲率半径Rp よりも大
きく、かつケーシング112の内周面の内側曲率半径R
2 よりも小さくすることにより、ケーシング112の内
周面と回動規制用凸曲面134とを面接触に近い状態で
干渉させてピストン133の回り止めを行うようにした
ものがある(特開平6−346844号公報参照)。こ
のようにすれば、ピストン133が大きく回転してその
一部が斜板に局部当たりしたり、そのときに磨耗粉が生
じたりして、ピストン動作に悪影響を及ぼしたりするよ
うな事態を防止できる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来のピストン回り止め構造にあっては、なお以下
のような欠点がある。すなわち、図7(A)に示すよう
に、ピストン133の回動規制用凸曲面134とこれに
対向するケーシング112の内周面との間には設計上所
定の隙間L0が設けられており、この隙間を保ったまま
の状態でピストン133が往復動されるのであれば何ら
問題はないが、前述したように、実際には斜板2の回転
によりピストン133が例えば図6の二点鎖線で示す位
置に回動され、それ以上の回動が規制されるようになっ
ているため、回動規制用凸曲面134の周方向端部13
5cがケーシング112の内周面に当接した状態でピス
トン133が往復動されてしまう。したがって、回動規
制用凸曲面134の軸方向端部135a,135bのエ
ッジとケーシング112の内周面とが擦り合い、磨耗が
発生するという問題がある。また例えば、ケーシング1
12およびピストン133が同様なアルミニウム合金か
らなり、ピストン133に摺動性向上のためのコーティ
ング層が形成されている場合には、擦り合いによりコー
ティング層が剥離して同質な材料が接触することになる
ため、摺動抵抗が増大しピストン動作に悪影響を及ぼす
虞れもある。
【0010】しかも、特に図7に示すような片頭式のピ
ストン133にあっては、図7(B)に示すように、圧
縮工程では、ピストン133は、斜板2の押圧力による
曲げモーメントMa を受けて図示のように軸心に対して
傾き、さらに図6に示したように斜板2の回転によりケ
ーシング112の内周面に当接するまで回動されるた
め、軸方向端部135bのエッジとケーシング112の
内周面とがほぼ1点で擦り合い、磨耗を大幅に助長させ
る結果となる。また、図7(C)に示すように、吸入工
程が完了し圧縮工程に移行した直後は、ピストン133
は、自身の移動による慣性力が働いて曲げモーメントM
b を受けて図示のように軸心に対して傾くため、軸方向
端部135aのエッジにより磨耗が助長される。
【0011】一方、斜板2の回転によるピストン133
の回動は回動規制用凸曲面134により規制されるが、
この場合にケーシング112の内周面と回動規制用凸曲
面134とが面接触に近い状態で干渉するというより
は、実際上は、回動規制用凸曲面134の周方向端部1
35cのみでケーシング112の内周面にエッジ当たり
し、回動規制用凸曲面134が曲面としての用をなさな
いという問題もある。この場合には、磨耗粉が生じると
共に、ピストンの回動ガタが徐々に増大し、異音も大き
くなる虞れがある。
【0012】また、斜板2の回転によるクランク室内の
潤滑油のスプラッシュが図6に示す矢印C方向に遠心力
で飛ばされ、回動規制用凸曲面134に向けてはねかけ
られるが、周方向端部135cが符号「135c′」の
位置に回動されてケーシング112の内周面にエッジ当
たりするため、潤滑油がせき止められてこの部分から中
へ入らず、油膜形成ができにくくなって摺動部分の潤滑
が十分でない虞れがある。
【0013】本発明は、上記従来技術の種々の問題点に
鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、磨耗を生
じることなく、しかも低コストにて確実かつ滑らかにピ
ストンの回転を規制し得る斜板式コンプレッサを提供す
ることにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明は、請求項毎に次のように特定される。請求項
1に記載の発明は、ケーシングに回転可能に軸架された
シャフトと、ケーシング内のクランク室に設けられ前記
シャフトに連結された斜板と、ケーシング内に形成され
る複数のシリンダ室と、斜板の回転により当該斜板の表
裏両面に接触して配置されるシューを介してシリンダ室
の内部を軸方向に往復動される複数のピストンとを有す
る斜板式コンプレッサにおいて、前記ピストンは、シリ
ンダ室内を往復動する頭部と、シューを介して斜板と連
結される首部とからなり、前記ピストンの首部のケーシ
ング内面に対向する外方には、当該ピストンがその軸心
回りに回転した場合にケーシング内面に当接してその回
転を所定角度範囲内に規制する当接面が形成された回り
止め部が設けられ、前記当接面とピストンの軸心を含む
平面との交線は、所定の曲率半径を有する外方に凸の曲
線を含むことを特徴とする。
【0015】このように特定された発明にあっては、シ
ャフトが回転され傾斜した状態の斜板のみそすり運動に
より、ピストンに軸方向の力が付与されて往復動させる
ことになるが、このように、傾斜した斜板の回転運動を
ピストンの往復運動に変換させる場合にあっては、斜板
からピストンに対して、シューを介して軸方向の力が作
用し、ピストンがシリンダ室に沿って往復動する。この
場合に、斜板は、両シューの間を周方向に高速で摺動移
動するため、これらの両シューを介してピストンをピス
トン軸の回りに回転させる力が働くが、ピストンの首部
の外方に形成された回り止め部の当接面がケーシングの
内面に当接され、ピストンの回転が規制される。ここ
で、回り止め部の軸方向両端には所定の曲率半径の丸み
を有する軸端部が形成されるので、回り止め部の当接面
がケーシングの内面に当接した状態でピストンが往復動
したとしても、前記軸端部で滑らかに摺動される。した
がって、従来のように回り止め部の軸方向端部のエッジ
とケーシングの内面とが擦り合って磨耗が発生すること
がなくなる。
【0016】請求項2に記載の発明は、上記請求項1に
記載の斜板式コンプレッサにおいて、前記曲線は、前記
当接面の軸方向両端部にそれぞれ形成される2つの軸方
向端凸曲線を有することを特徴とする。
【0017】請求項3に記載の発明は、上記請求項1に
記載の斜板式コンプレッサにおいて、前記曲線は、前記
当接面の軸方向の略全長に亘って形成される1つの軸方
向中央凸曲線を有することを特徴とする。
【0018】請求項4に記載の発明は、上記請求項1に
記載の斜板式コンプレッサにおいて、前記当接面とピス
トンの軸心に直交する平面との交線は、頭部半径よりも
大きい曲率半径を有する周方向中央凸曲線と、当該周方
向中央凸曲線の両端にそれぞれ形成され当該周方向中央
凸曲線より小さい曲率半径を有する周方向端凸曲線とか
らなり、ピストンの回り止め部に対向するケーシングの
内周面に、回り止め部の当接面が当接することによりピ
ストンの回転が規制される被当接面が形成された凹状部
が設けられ、前記被当接面とピストンの軸心に直交する
平面との交線は、頭部半径よりも大きく且つ前記周方向
中央凸曲線の曲率半径よりも小さい内側曲率半径を有す
る凹曲線を含むことを特徴とする。
【0019】このように特定された発明にあっては、回
り止め部の周方向両端には、丸みを有する周端部が形成
されるので、ピストンがピストン軸を中心として回動し
ようとすると、回り止め部の前記周端部が凹状部の被当
接面に滑らかに曲面で面接触するように当接されるた
め、ピストンの回転が確実かつ滑らかに規制される。
【0020】また、斜板の回転により遠心力で飛ばされ
る潤滑油は、ピストンの回り止め部がケーシングの内周
面にエッジ当たりすることがないので、曲面で面接触す
る部分から周方向に流入して油膜が形成され易くなる。
さらに軸方向からも潤滑油が流入し、しかもピストンの
回り止め部の当接面とケーシングの凹状部の被当接面と
で囲まれた間の部分に油潤滑空間が形成されて潤滑が十
分に行われる。
【0021】請求項5に記載の発明は、上記請求項4に
記載の斜板式コンプレッサにおいて、前記被当接面は、
ケーシングの内周面に沿って全周にわたって形成される
円筒内面の全部または一部をなすことを特徴とする。こ
のように特定された発明にあっては、一回で全ピストン
に対する被当接面の加工を行うことも可能となる。
【0022】請求項6に記載の発明は、上記請求項4又
は5に記載の斜板式コンプレッサにおいて、前記当接面
の周方向両端部間の距離は、前記頭部の直径の0.9倍
以上であることを特徴とする。このように特定された発
明にあっては、ピストンの回り止め部がケーシングの内
周面に形成された凹状部に噛み込むような事態が確実に
回避される。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態であ
る容量可変斜板式コンプレッサの概略断面図、図2
(A)は、図1に示されるピストンの側面図、図2
(B)は、同ピストンの軸方向クランク室側から見た
図、図3は、ピストン回り止め構造を説明する図、図4
は、図2(A)のEで示す部分の拡大図であり、図6お
よび図7に示す部材と共通する部材には同一符号を付し
ている。
【0024】図1に示す容量可変斜板式コンプレッサ
は、シリンダブロック21を有しており、このシリンダ
ブロック21の右端側にはリヤハウジング20rが設け
られると共に、左端側にはフロントハウジング20fが
設けられ、両ハウジング20r,20fは、ボルトVに
より連結されている。これらシリンダブロック21、両
ハウジング20r,20fは、本発明のケーシングの構
成をなす。
【0025】フロントハウジング20fの中央部には、
シャフト1を挿入するための貫通孔23が穿設され、こ
の貫通孔23には、シャフト1を回転可能に支持するラ
ジアル軸受24が圧入され、このラジアル軸受24の近
傍にオイルシール25も配置されている。
【0026】このフロントハウジング20fの内壁とシ
リンダブロック21の間は、クランク室3とされ、クラ
ンク室3内のシャフト1のフロントハウジング側には、
シャフト1の回転を斜板2に伝達するヒンジ機構Kが設
けられている。
【0027】斜板2は、鋳鉄製のジャーナル部2aと高
いヤング率の鋼製の平板部2bとを別体に形成し、この
両者をねじ部Nにより連結して構成されている。即ち、
この斜板2の平板部2bを、大きな圧縮反力に対抗しう
る高いヤング率の材料、つまり、引張強度、曲げ剛性等
の機械的強度が高い材料、具体的には、炭素鋼、合金鋼
等の鋼により構成し、比較的力が加わらないジャーナル
部2aを構成する材料を鋳鉄製のものとしている。
【0028】前記ヒンジ機構Kは、基端がシャフト1に
嵌着され、先端部26aに長孔26bが開設された回転
アーム26と、斜板2のジャーナル部2aの背面より回
転アーム26の先端部26aに向って突出され、前記長
孔26bに対応する孔が開設された従動アーム29と、
長孔26bを挿通するピン30とから構成されている。
【0029】シャフト1には、ばねB1及びB2により
弾撥されたブッシュ28がシャフト1上を軸方向に滑動
可能に設けられ、ブッシュ28の外面は、斜板2のジャ
ーナル部2aの中心に開設された中心孔Oの内周面と対
向しているが、このジャーナル部2aとブッシュ28と
は、該ジャーナル部2aからブッシュ28の中心軸線に
沿って突出された一対のピン31により連結されてい
る。したがって、斜板2は、シャフト1により回転され
つつ、ピン31を中心として回動し得るようになってお
り、つまりピン31を支点として傾斜し、傾斜角(シャ
フト1の軸線に直交する面に対する傾斜角をいう)を調
節することができるように構成される。
【0030】なお、フロントハウジング20fの内壁面
と回転アーム26との間にはスラスト軸受31t が設け
られている。
【0031】シャフト1の他端は、シリンダブロック2
1まで突出され、ラジアル軸受31r により回転可能に
支持され、さらにシャフト1の端面には、スラスト軸受
32が設けられている。
【0032】シリンダブロック21内には、シリンダ室
7が円周方向等間隔に複数個開設され、これら各シリン
ダ室7にはそれぞれピストン6が設置されている。これ
ら各ピストン6は、図2にも示すように、シリンダ室7
内を往復動する頭部6aと、略半球状のシュー4,5を
介して斜板2と連結される断面が略U字状を呈する首部
6bとからなるいわゆる片頭式のものである。また、ピ
ストン6は、シリンダブロック21や両ハウジング20
r,20fと同様なアルミニウム合金からなり、ピスト
ン往復動時の摺動性を向上させるため表面にコーティン
グ層(例えばフッ素樹脂等から構成される)が形成され
ている。
【0033】この首部6bは連結部9,10を有し、こ
の連結部9,10の両側内面には、相対向する球面凹部
9s,10sが形成される。また、シュー4,5は、そ
れぞれ斜板2の平坦部2b上を摺動するように平滑に仕
上げられた平坦面4a,5aと、連結部9,10の球面
凹部9s,10sと凹凸嵌合する球状凸面4b,5bと
を有している。これら両シュー4,5の平坦面4a,5
aにより斜板2の平坦部2bの表裏両面が挟持されて摺
動自在に接触し、斜板2のみそすり回転運動をピストン
の往復直線動に変換するようになっている。なお、前記
球面凹部9s,10sにより一つの球面が形成されるよ
うに加工されており、これにより斜板2の傾斜角度にか
かわらず常にガタなく、斜板2とピストン6とがシュー
4,5を介して連結される。
【0034】前記シリシダ室7の一端面には、冷媒を吸
入するための吸入ポート35と冷媒を吐出するための吐
出ポート36が開設され、かつ該吸入ポート35、吐出
ポート36への冷媒の流通を制御する吸入弁及び吐出弁
が複数形成された弁形成プレート37,38を備えたバ
ルブプレート39が設けられている。
【0035】この吸入ポート35には、エバポレータか
らの帰環冷媒が吸入室40を経て流入し、バルブプレー
ト39の図中左側にある弁形成プレート37に形成され
た吸入弁の弾性的閉鎖力に抗して吸入工程にあるシリン
ダ室7に流入するようになっている。また、吐出ポート
36には、ピストンにより圧縮された冷媒がバルブプレ
ート39の図中右側にある弁形成プレート38に形成さ
れた吐出弁の弾性的閉鎖力に抗して吐出され、この冷媒
は、当該吐出ポート36より吐出室41に導かれるよう
になっている。
【0036】さらに、クランク室3内の圧力状態を調整
し、斜板2の傾斜角を調節するコントロールバルブCv
が、リヤハウジング20r内に設置されている。コント
ロールバルブCv は、帰還する冷媒の吸込圧に応じてク
ランク室3内の圧力を調整して斜板2の角度を変化させ
て、コンプレッサから吐出される冷媒量を調節し、コン
プレッサの吸入圧が一定になるようにコントロールする
ものである。
【0037】つまり、斜板2には、等角度間隔で複数の
ピストン6が設けられているので、圧縮行程にあるピス
トン6から冷媒圧縮に伴う反力が斜板2に加わり、この
各ピストン6に作用する反力によりヒンジ機構Kの回り
にモーメントM1 が作用する。このモーメントM1 は、
斜板2のピン30より遠い位置に位置するピストン6に
よるモーメントの方が大きいから、図1において時計方
向回りに作用する。
【0038】また、ばねB1の弾撥力によりモーメント
M2 が反時計方向に作用する。さらに、クランク室3と
吸入室40の圧力差によって生じるモーメントM3 もあ
るが、このモーメントM3 は、吸入室40の圧力とクラ
ンク室3の圧力がほぼ等しくなっているため、無視でき
る。
【0039】ここに、ばねB1の弾撥力は、M1 >M2
となるように設定されているので、斜板2は、ヒンジ機
構Kを中心として時計方向に作用するモーメントによっ
て傾斜角が大きくなる。斜板2は、ヒンジ機構Kのピン
30が長孔26bの上端に位置するまで傾斜する。
【0040】この結果、ピストン6のストロークが大き
くなり、吐出冷媒量は増大し、冷房サイクル内を循環す
る冷媒流量が増大し、熱負荷に応じた適正な冷媒流量が
吐出され、コンプレッサの吸入圧が次第に下降し、最終
的には一定の吸入圧に保たれることになる。
【0041】本実施の形態では、図2(A)(B)に示
すように、ピストン6の首部6b のフロントハウジング
20fに対向する外方には、当該ピストン6がその軸心
回りに回転した場合に後述する凹状部83に当接してそ
の回転を所定角度範囲内に規制する回り止め部82が設
けられ、この回り止め部82には当接面としての円弧凸
面82a が形成されている。
【0042】一方、図3にも示すように、ピストン6の
回り止め部82に対向するフロントハウジング20fの
内周面には、被当接面としての円弧凹面83a を有する
凹状部83が形成され、ピストン6側の回り止め部82
とフロントハウジング20f側の円弧凹面83a とが、
回り止め部82の周方向の両端部、つまり周端部82c
において所定距離L1だけ離間するように設定されてい
る。
【0043】したがって、傾斜した斜板2を回転させる
ことによりピストン6を往復運動させる場合に、斜板2
の外縁部の平担面が両シュー4,5の間を摺動移動し、
これらの両シュー4,5を介してピストン6を例えば図
3に示すD方向に回転させる力が働いたとしても、回り
止め部82の円弧凸面82a が凹状部83の円弧凹面8
3a に当接することによりピストン6の回転を規制する
ことができるようになっている。
【0044】本実施の形態では特に、前記円弧凸面82
a とピストン6の軸心を含む平面との交線が、当該円弧
凸面82a の軸方向両端部にそれぞれ形成され所定の曲
率半径r1 を有する外方に凸の2つの軸方向端凸曲線を
含むように構成されている。即ち、回り止め部82の軸
方向両端には、図2(A)に示すような丸みを有する軸
端部82b が形成される。これにより、回り止め部82
の円弧凸面82a が凹状部83の円弧凹面83a に当接
した状態でピストン6が往復動したとしても、丸みを有
する軸端部82b で滑らかに摺動し、従来のようにエッ
ジ当たりして擦り合い、磨耗が発生するようなことはな
い。
【0045】また、前記円弧凸面82a とピストン6の
軸心に直交する平面との交線が、頭部半径Rp よりも大
きい曲率半径R1 を有する周方向中央凸曲線と、当該周
方向中央凸曲線の両端にそれぞれ形成され当該周方向中
央凸曲線より小さい曲率半径r2 を有する周方向端凸曲
線とからなるように構成されている。即ち、回り止め部
82の周方向両端には、図3に示すような丸みを有する
周端部82c が形成される。これにより、回り止め部8
2の円弧凸面82a が凹状部83の円弧凹面83a に滑
らかに曲面で面接触してピストン23の回転を規制する
ことができる。しかも、フロントハウジングの内周面に
エッジ当たりすることがないため潤滑油が流入して油膜
が形成され易い。
【0046】ここで、図3に示したように、ピストン6
の回り止め部82の両当接部82cの間の距離L2 は、
頭部の直径の0.9倍以上に設定される。即ち、ピスト
ン6を左右に回動させた場合にあっては回り止め部82
の両周端部82c がフロントハウジング20fの凹状部
83の円弧凹面83a に接触するが、この左右それぞれ
の接触点間の距離L2 が頭部6a の直径Dp の0.9倍
以上となるように設定するのが好ましい。このようにす
れば、実用域におけるあらゆる潤滑状態を想定した範囲
内において、その摩擦係数を最大に考慮したとしても、
ピストン6の回り止め部82がフロントハウジング20
fの内周面に形成された凹状部83に噛み込むような事
態を確実に回避することが可能である。
【0047】また、軸端部82b の曲率半径r1 、およ
び周端部82c の曲率半径r2 は、異音や磨耗を品質上
許容できる範囲に低減できるように、いわゆる糸面取り
程度のものではなく積極的に丸み(例えば曲率半径1m
m以上が望ましい)を設けるものであるが、必ずしも円
弧形状を呈するものでなくとも、フロントハウジング2
0fの内周面に形成された凹状部83との接触箇所にお
いて所定の曲率半径を有すればよい。
【0048】なお、ピストン6の往復動のためのスペー
スを無駄なく確保するために当該ピストン6の軸方向寸
法が管理されており、図4に示すように、首部6b の端
面6c の図中破線の部分が機械加工されるが、回り止め
部82の軸端部82b の曲率半径r1 を有する丸み部分
が除去されない程度とされる。
【0049】さらに本実施の形態では、図3に示したよ
うに、フロントハウジング20fの内周面に形成された
凹状部83の円弧凹面83a は、当該円弧凹面83a と
ピストン6の軸心に直交する平面との交線が、頭部半径
Rp よりも大きく且つ前記周方向中央凸曲線の曲率半径
R1 よりも小さい内側曲率半径R2 を有する凹曲線を含
むように形成されている。ここで、前記円弧凸面82a
の周方向中央凸曲線の曲率半径R1 を無限に大きくし
て、即ち円弧凸面82a を平面に形成することも可能で
ある。
【0050】このようにすれば、ピストン6の円弧凸面
82a とフロントハウジング20fの円弧凹面83a と
で囲まれた間の部分に、油潤滑空間85を形成すること
ができる。そして、斜板の回転により遠心力で飛ばされ
たクランク室内の潤滑油のスプラッシュは、前述したよ
うにピストン6の回り止め部82の周端部82c とフロ
ントハウジング20fの円弧凹面83a との間から周方
向に流入すると共に、軸方向からも流入し、しかも油潤
滑空間85は流入した潤滑油の油溜りとして機能するこ
とができる。これにより摺動部分の潤滑を十分に行うこ
とができる。
【0051】なお、フロントハウジング20fの内周面
に形成される凹状部83の軸方向長さは、少なくともピ
ストン6の往復運動によってピストン6の回り止め部8
2が移動したときに干渉しない長さ以上に設定される。
また、前述した(曲率)半径R1 ,R2 ,Rp や距離L
1 ,L2 は、設計仕様に基づいて適宜調整される。
【0052】次に、本実施の形態の作用を説明する。図
外の電磁クラッチがオンされ、シャフト1がベルト及び
プーリを介してエンジン(いずれも図示せず)により回
転されると、それに伴って回転アーム26が回転し、ヒ
ンジ機構Kを介して斜板2も回転する。斜板2がシャフ
ト1に対して傾斜状態にあれば、斜板2はみそすり運動
的に回動し、これに伴なってピストン6が往復動し、吸
入ポート35からシリンダ室7内に吸入された冷媒は、
圧縮されて吐出ポート36より吐出室41に吐出され
る。なお、シュー4,5は、斜板2が回転しても斜板2
の平坦部2a上を摺動するのみであるので、ピストン6
に回転力が伝達することはなく、斜板2の回転力はピス
トン6の往復動に変換される。
【0053】ここに、冷房サイクルにおける熱負荷が、
予め定められた設定温度よりも高い場合には、冷媒の吸
入圧力が高くなる。この場合には、コントロールバルブ
Cv の作用により、クランク室3に比較的高圧の吸入圧
が導入されるため、その内部圧が吸入圧にほぼ等しくな
る。このため、吸入工程にあるピストン6においても前
後の圧力差がほとんどなくなり、ピストン6はシリンダ
室7内でスムーズに後退し得る状態となり、また圧縮工
程にあるピストン6には圧縮反力が加わる。このような
ピン30を中心とするモーメントにより、斜板2にかか
るばねのバネ力によるモーメントを考慮した上で、図1
に示す時計回りのモーメントが支配的となり、斜板2の
傾斜角が増してピストン6のストロークは増大する。こ
の状態で圧縮が行なわれると、吐出冷媒量は増大し、冷
房サイクル内を循環する冷媒流量が増大し、再度熱負荷
に応じた適正な冷媒流量が吐出され、コンプレッサの吸
入圧が次第に下降し、最終的には一定の吸入圧に保たれ
ることになる。
【0054】一方、冷房サイクルにおける熱負荷が小さ
くなるかあるいはコンプレッサが高速回転することによ
り冷媒が過剰になると、帰還冷媒の圧力は十分スーパー
ヒート量が得られず、低圧で帰還し、吸入室40の圧力
が低くなる。この場合には、コントロールバルブCv の
作用により、ピストン6によって圧縮され、吐出ポート
36に導かれた高圧冷媒が、クランク室3に導入され、
クランク室3の内部圧力が高められる。この結果、ピン
30を中心とする複数の各ピストン6に加わる力のモー
メントに差が生じ、前述したモーメントは、ある時点
で、M1 <M2 +M3 となって、斜板2は、ヒンジ機構
Kを中心として反時計方向に作用するモーメントによ
り、傾斜角が小さくなる。したがって、ピストン6のス
トロークが小さくなり、吐出冷媒量は減少する。
【0055】ところで、冷媒の吸入、圧縮、吐出は、上
述したように、シャフト1に対して傾斜した斜板2と、
シリンダ室7により摺動方向が規制されているピストン
6とをシュー4,5を介して摺動接触させて、斜板2の
みそすり回転運動をピストン6の往復運動に変換するこ
とによりなされるが、この場合に、斜板2の外縁部の平
担面は、両シュー4,5の間を周方向に高速で摺動移動
し、これらの両シュー4,5を介してピストン6をピス
トン軸の回りに回転させる力が働く。このような回転力
は、斜板2がシューの平坦面4a,5aを押圧しながら
摺動する際の局部的な摺動状態の差や、回転中心からの
距離の相違に基づく摺動速度の差などのために起こるも
のと考えられる。
【0056】例えば、ピストン6が図3に示すD方向に
回転させられると、ピストン6の首部6b の外方に設け
られた回り止め部82はピストン軸を中心として回動さ
れ、当該回り止め部82の円弧凸面82a が凹状部83
の円弧凹面83a に当接するため、ピストン6の回転が
規制される。
【0057】本実施の形態によれば、回り止め部82の
軸方向両端に曲率半径r1 の丸みを有する軸端部82b
が形成されているので、回り止め部82の円弧凸面82
a が上記のように凹状部83の円弧凹面83a に当接し
た状態でピストン6が往復動したとしても、この軸端部
82b で滑らかに摺動させることができる。
【0058】したがって、従来のように回り止め部の軸
方向端部のエッジとケーシングの内面とが擦り合い、磨
耗が発生したり、またピストンに摺動性向上のためのコ
ーティング層が形成されている場合に、擦り合いにより
コーティング層が剥離して同質な材料が接触し摺動抵抗
が増大してピストンの往復動作に悪影響を及ぼしたりす
る虞れを回避することが可能となる。
【0059】また、回り止め部82の周方向両端には、
曲率半径r2 の丸みを有する周端部82c が形成される
ので、ピストン6がピストン軸を中心として回動しよう
とすると、回り止め部82の周端部82c は、凹状部8
3の円弧凹面83a に滑らかに曲面で面接触するように
当接されるため、ピストン6の回転を確実かつ滑らかに
規制することができる。
【0060】また、斜板の回転により遠心力で飛ばされ
たクランク室内の潤滑油のスプラッシュは、回り止め部
82がフロントハウジング20fの内周面にエッジ当た
りすることがないので、曲面で面接触する部分から周方
向に流入して油膜が形成され易くなる。さらに軸方向か
らも潤滑油が流入し、しかもピストン6の円弧凸面82
a とフロントハウジング20fの円弧凹面83a とで囲
まれた間の部分に、油潤滑空間85を形成することがで
きるので、油潤滑空間85は流入した潤滑油の油溜りと
して機能することができる。これにより、摺動部分の潤
滑を十分に行うことができる。
【0061】したがって、このような滑らかな曲面の面
接触によるピストンの回り止めと摺動部分の十分な潤滑
により、異音や磨耗の発生を防止することが可能とな
る。
【0062】さらに、前記回り止め部82は、ピストン
6の首部23b の外方から僅かに突出した程度のもので
十分ピストン6の回り止めの機能を果たすことが可能で
あり、しかもピストン6の円弧凸面82a とフロントハ
ウジング20fの円弧凹面83a とで囲まれた間の部分
に形成される前記潤滑空間85の分だけ、従来のピスト
ンの首部(図6参照)に比べて結果的に削減されること
となり、これによりピストン重量の軽量化を図ることが
できる。したがって、ピストンの高速往復運動に対する
負担を軽減することが可能となる。
【0063】図5は、別の実施の形態に係るピストンの
首部を示す側面図である。この実施の形態では、図示の
ように、回り止め部82に当接面としての円弧凸面92
a が形成されている。
【0064】この円弧凸面92a とピストン6の軸心を
含む平面との交線は、当該円弧凸面92a の軸方向の略
全長に亘って形成され所定の曲率半径R3 を有する外方
に凸の1つの軸方向中央凸曲線から構成されている。こ
の点以外は上記実施の形態と同じである。この実施の形
態によれば、円弧凸面92a の曲面部分をフロントハウ
ジング20fの内周面に当接させることができ、その状
態で滑らかに摺動させながらピストン6を往復動させる
ことが可能となる。したがって、上記実施の形態と同様
の効果を奏することができる。この場合には、回り止め
部82の軸方向両端に、上記実施の形態のような丸みを
有する軸端部82b を形成する必要は必ずしもない。
【0065】なお、以上説明した実施例は、本発明の理
解を容易にするために記載されたものであって、本発明
を限定するために記載されたものではない。したがっ
て、上記実施例に開示された各要素は、本発明の技術的
範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨であ
る。
【0066】例えば、上述した実施例では、フロントハ
ウジング20fの内周面に形成された凹状部83の円弧
凹面83a の内側曲率半径R2 の中心は、シャフト1の
中心軸上にはなく、シャフト1から各ピストン軸の方向
に所定距離近付けたところに設定されている。つまり、
各ピストン6の回り止め部82ごとに対向して、異なる
中心軸を中心としたそれぞれの円弧凹面83a が形成さ
れるものである。しかしながら、本発明は、このような
構成に限定されるものではなく、各ピストン6の回り止
め部82に対向して形成される凹状部83の円弧凹面8
3a が、フロントハウジング20fの内周面に沿って全
周にわたって形成される円筒内面の全部または一部を構
成するようなものとすることも可能である。この場合に
は、円弧凹面83a の中心軸は、シャフト1の中心軸と
一致することになる。すなわち、円弧凹面83a は、フ
ロントハウジング20fの内周面に沿って全周にわたっ
て削り加工したものであってもよいし、また、フロント
ハウジング20fの成形時に各ピストンの間のピストン
回り止めに必要のない部分を逃がすように成形して鋳肌
の部分を残し、各ピストンの回り止め部82に対向する
部分のみを削り加工したものであってもよい。このよう
な凹状部83の円弧凹面83a とすれば、一回で全ピス
トン(例えば円周方向均等に配置された5つのピスト
ン)に対する円弧凹面83a の加工を行うこともでき、
加工工数の低減を図ることができる。
【0067】また、容量可変斜板式コンプレッサを例に
挙げてこれまで説明したが、本願内容は、容量可変式の
コンプレッサのみならず、固定容量の斜板式のコンプレ
ッサにも適用できることはもちろんである。また、ピス
トンは、上述した実施の形態では片頭式のものを使用し
たが、斜板との連結部の軸方向両側にそれぞれ頭部を有
するいわゆる両頭式のものにも適用可能である。
【0068】なお、本発明のコントロールバルブは、種
々のものが使用でき、例えば、クランク室3内の圧力を
調整する調整手段として、ベローズ内に所定圧のガスが
封入された構造のコントロールバルブや、吸入圧に応じ
てベローズが伸縮し、この動作により弁を開閉し、高圧
の吐出圧をクランク室3内に導入すると同時に吸入室4
0への連通を遮断したり、高圧の吐出圧を遮断してクラ
ンク室3を吸入室40へ連通してクランク室3の圧力を
下げる方式のものとか、冷凍サイクルの熱負荷に応じて
電子制御式にクランク室3内に導入する圧力を制御する
方式のものなども使用することができる。また、吸入室
40とクランク室3はオリフィスで常に連通していて高
圧の吐出圧力がクランク室3に導入される量を制御する
方式も使用できる。
【0069】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、請求
項毎に次のような効果を奏する。請求項1〜3に記載の
発明では、回り止め部の軸方向両端に所定の曲率半径の
丸みを有する軸端部が形成されるので、回り止め部の当
接面がケーシングの内面に当接した状態でピストンが往
復動したとしても、前記軸端部で滑らかに摺動させるこ
とができる。
【0070】したがって、従来のように回り止め部の軸
方向端部のエッジとケーシングの内周とが擦り合い、磨
耗が発生したり、またピストンに摺動性向上のためのコ
ーティング層が形成されている場合に、擦り合いにより
コーティング層が剥離して同質な材料が接触し摺動抵抗
が増大してピストンの往復動作に悪影響を及ぼしたりす
る虞れを回避することが可能となる。
【0071】請求項4に記載の発明では、斜板が両シュ
ーの間を周方向に高速で摺動移動することによりこれら
の両シューを介してピストンが回転させられた場合に、
ピストンに形成された回り止め部は、ピストン軸を中心
として回動され、この回り止め部の当接部は、凹状部の
被当接面に滑らかに曲面で面接触するように当接される
ので、ピストンの回転を確実かつ滑らかに規制すること
ができる。
【0072】また、斜板の回転により遠心力で飛ばされ
る潤滑油は、ピストンの回り止め部がケーシングの内周
面にエッジ当たりすることがないので、曲面で面接触す
る部分から周方向に流入して油膜が形成され易くなる。
さらに軸方向からも潤滑油が流入し、しかもピストンの
回り止め部の当接面とケーシングの凹状部の被当接面と
で囲まれた間の部分に、油潤滑空間を形成することがで
きるので、油潤滑空間は流入した潤滑油の油溜りとして
機能することができる。これにより、摺動部分の潤滑を
十分に行うことができる。
【0073】したがって、このような滑らかな曲面の面
接触によるピストンの回り止めと摺動部分の十分な潤滑
により、異音や磨耗の発生を防止することが可能とな
る。
【0074】請求項5に記載の発明では、ケーシングの
被当接面がケーシングの内周面に沿って全周にわたって
形成される円筒面の全部または一部をなすように構成さ
れるので、一回で全ピストンに対する凹曲面の加工を行
うことも可能となり、加工工数の低減を図ることができ
る。
【0075】請求項6に記載の発明では、ピストンの回
り止め部の当接面の周方向両端部間の距離を頭部の直径
の0.9倍以上に設定したので、実用域におけるあらゆ
る潤滑状態を想定した範囲内において、その摩擦係数を
最大に考慮したとしても、ピストンの回り止め部がケー
シングの内周面に形成された凹状部に噛み込むような事
態を確実に回避することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態である容量可変斜板式コ
ンプレッサの概略断面図である。
【図2】 (A)は、図1に示されるピストンの側面
図、(B)は、同ピストンの軸方向クランク室側から見
た図である。
【図3】 ピストンの回り止め構造を説明する図であ
る。
【図4】 図2(A)のEで示す部分の拡大図である。
【図5】 別の実施の形態に係るピストンの首部を示す
側面図である。
【図6】 従来の斜板式コンプレッサのピストンをその
軸方向クランク室側から見た図である。
【図7】 (A)〜(C)は、従来の斜板式コンプレッ
サのピストン周辺の概略断面図である。
【符号の説明】
1…シャフト、 2…斜板、3…クラン
ク室、 4,5…シュー、6…ピストン、
6a …頭部、6b …首部、
7…シリンダ室、20f …フロントハウジング
(ケーシング)、20r …リヤハウジング(ケーシン
グ)、21…シリンダブロック(ケーシング)、82…
回り止め部、82a …円弧凸面(当接面)、 82b …
軸端部、82c …周端部、 83…凹状
部、83a …円弧凹面(被当接面)、85…油潤滑空
間、L1 ,L2 …距離、R1 ,R2 ,R3 ,r1 ,r2
…曲率半径、Rp …ピストン半径。
【手続補正書】
【提出日】平成8年1月16日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケーシングに回転可能に軸架されたシャ
    フト(1) と、ケーシング内のクランク室(3) に設けられ
    前記シャフト(1) に連結された斜板(2) と、ケーシング
    内に形成される複数のシリンダ室(7) と、斜板(2) の回
    転により当該斜板(2) の表裏両面に接触して配置される
    シュー(4,5) を介してシリンダ室(7)の内部を軸方向に
    往復動される複数のピストン(6) とを有する斜板式コン
    プレッサにおいて、 前記ピストン(6) は、シリンダ室(7) 内を往復動する頭
    部(6a)と、シュー(4,5) を介して斜板(2) と連結される
    首部(6b)とからなり、 前記ピストン(6) の首部(6b)のケーシング(20f) 内面に
    対向する外方には、当該ピストン(6) がその軸心回りに
    回転した場合にケーシング(20f) 内面に当接してその回
    転を所定角度範囲内に規制する当接面(82a,92a) が形成
    された回り止め部(82)が設けられ、 前記当接面(82a,92a) とピストン(6) の軸心を含む平面
    との交線は、所定の曲率半径(r1,R3) を有する外方に凸
    の曲線を含むことを特徴とする斜板式コンプレッサ。
  2. 【請求項2】 前記曲線は、前記当接面(82a) の軸方向
    両端部にそれぞれ形成される2つの軸方向端凸曲線を有
    することを特徴とする請求項1に記載の斜板式コンプレ
    ッサ。
  3. 【請求項3】 前記曲線は、前記当接面(92a) の軸方向
    の略全長に亘って形成される1つの軸方向中央凸曲線を
    有することを特徴とする請求項1に記載の斜板式コンプ
    レッサ。
  4. 【請求項4】 前記当接面(82a,92a) とピストン(6) の
    軸心に直交する平面との交線は、頭部半径(Rp)よりも大
    きい曲率半径(R1)を有する周方向中央凸曲線と、当該周
    方向中央凸曲線の両端にそれぞれ形成され当該周方向中
    央凸曲線より小さい曲率半径(r2)を有する周方向端凸曲
    線とからなり、 ピストン(6) の回り止め部(82)に対向するケーシング(2
    0f) の内周面に、回り止め部(82)の当接面(82a) が当接
    することによりピストン(6) の回転が規制される被当接
    面(83a) が形成された凹状部(83)が設けられ、 前記被当接面(83a) とピストン(6) の軸心に直交する平
    面との交線は、頭部半径(Rp)よりも大きく且つ前記周方
    向中央凸曲線の曲率半径(R1)よりも小さい内側曲率半径
    (R2)を有する凹曲線を含むことを特徴とする請求項1に
    記載の斜板式コンプレッサ。
  5. 【請求項5】 前記被当接面(83a) は、ケーシング(20
    f) の内周面に沿って全周にわたって形成される円筒内
    面の全部または一部をなす請求項4記載の斜板式コンプ
    レッサ。
  6. 【請求項6】 前記当接面(82a) の周方向両端部間の距
    離(L2)は、前記頭部(6a)の直径(Dp)の0.9倍以上であ
    る請求項4又は5記載の斜板式コンプレッサ。
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