JPH08296553A - 斜板式コンプレッサ - Google Patents

斜板式コンプレッサ

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Publication number
JPH08296553A
JPH08296553A JP7106459A JP10645995A JPH08296553A JP H08296553 A JPH08296553 A JP H08296553A JP 7106459 A JP7106459 A JP 7106459A JP 10645995 A JP10645995 A JP 10645995A JP H08296553 A JPH08296553 A JP H08296553A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
piston
swash plate
inner peripheral
covering member
cylinder block
Prior art date
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Pending
Application number
JP7106459A
Other languages
English (en)
Inventor
Yukio Umemura
幸生 梅村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Marelli Corp
Original Assignee
Calsonic Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Calsonic Corp filed Critical Calsonic Corp
Priority to JP7106459A priority Critical patent/JPH08296553A/ja
Publication of JPH08296553A publication Critical patent/JPH08296553A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F05INDEXING SCHEMES RELATING TO ENGINES OR PUMPS IN VARIOUS SUBCLASSES OF CLASSES F01-F04
    • F05CINDEXING SCHEME RELATING TO MATERIALS, MATERIAL PROPERTIES OR MATERIAL CHARACTERISTICS FOR MACHINES, ENGINES OR PUMPS OTHER THAN NON-POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES OR ENGINES
    • F05C2253/00Other material characteristics; Treatment of material
    • F05C2253/12Coating

Abstract

(57)【要約】 【目的】 「斜板式コンプレッサ」におけるハウジング
部分を改良し、ピストンの回り止め手段における異音や
摩耗がなく、しかも潤滑性能が優れ、加工的にも容易
で、コスト的にも有利なものを提供すること。 【構成】 フロントハウジング(14)とシリンダブロック
(12)のクランク室形成用スカート部(14b) 若しくはその
一部をアルミニウム合金若しくは鉄により一体的に成形
し、該クランク室形成用スカート部(14b) の内周面に耐
摩耗材料の内周被覆部材(20)を嵌着したことを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、斜板式コンプレッサ、
特に、ハウジング部分の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車用空気調和装置に使用される斜板
式コンプレッサには、駆動斜板の駆動軸に対する傾斜角
度が固定の固定斜板式コンプレッサや、同傾斜角度が可
変の容量可変斜板式コンプレッサがある。
【0003】これら斜板式コンプレッサは、駆動軸と同
期回転される円板状の駆動斜板を有し、駆動軸を回転さ
せると、傾斜状態の駆動斜板が、いわゆるみそすり回転
運動してシリンダ室内のピストンを往復動させるように
したものである。
【0004】例えば、容量可変斜板式コンプレッサに
は、シューを介してピストンと駆動斜板とを直接連結し
たものがある。この直結式の容量可変斜板式コンプレッ
サは、図4に示すように、各ピストン22が、シリンダ
室12a内を往復動するピストン頭部22aと、駆動斜
板43と係合する断面略U字状のピストン首部22bと
からなり、ピストン首部22bの両側内面の対向する位
置に形成された2つの球面凹部に略半球状のシュー2
3,23が嵌装され、両シュー23,23により駆動斜
板43の表裏両平坦面が挟持され、駆動斜板43のみそ
すり運動がピストン22の往復運動に変換されるように
なっている。
【0005】ピストン22が往復動する場合、駆動斜板
43の外縁平担部は、ピストン22の圧縮反力が作用し
ている状態で両シュー23,23間を高速で移動するこ
とになるので、ピストン22がピストン軸の回りで回転
しようとする力が作用する。この回転を規制し、ピスト
ン22を円滑に往復運動させるには、ピストン22の回
り止め手段30を用いるが、この手段30としては、図
5に示すピストン首部22bとシリンダブロック12と
を凹凸嵌合したものや、図6に示す特開平6−346,
844号公報に開示されている手段がある。
【0006】図5に示す前者は、複数のピストンそれぞ
れに直方体形状の凸部Tを形成し、シリンダブロック1
2に摺動溝Mを形成しているので、これらを形成する場
合に直線的な機械加工を複数箇所にわたり行なわなけれ
ばならないという面倒さがあり、またピストン22の往
復作動時の抵抗を軽減するために、凸部Tと摺動溝Mと
の間にある程度のクリアランスCを形成する必要もあ
る。特に、このクリアランスCを形成すれば、凸部Tと
摺動溝Mが衝突し、異音が生じる虞れもある。
【0007】図6に示す後者のものは、シリンダブロッ
ク12の内周面に対向するピストン22の背面上に、ピ
ストン22の回動範囲を規制する回動規制用凸曲面31
を設け、この回動規制用凸曲面31の曲率半径R1 を、
ピストン22の周面の曲率半径Rp よりも大きくかつシ
リンダブロック12の内周面の内側曲率半径R2 よりも
小さくし、駆動斜板43の回転によりピストン22が回
動されると(図中2点鎖線で示す状態)、シリンダブロ
ック12の内周面と回動規制用凸曲面31とを面接触に
近い状態で干渉させてピストン22の回り止めを行なう
ようにしたものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この後
者のものも、実際には、回動規制用凸曲面31の端部の
みがシリンダブロック12の内周面にエッジ当たりし、
回動規制用凸曲面31が曲面としての用をなさず、摩耗
粉が生じると共に、ピストン22の回動ガタが徐々に増
大し、異音も大きくなる虞れもあり、また駆動斜板43
の回転によるクランク室13内の潤滑油のスプラッシュ
が回動規制用凸曲面31に向けてはねかけられる場合に
も、端部がシリンダブロック12の内周面にエッジ当た
りし、潤滑油をせき止め、中へ入らない状態となり、油
膜が形成されにくく、潤滑不足を生じるという問題もあ
る。
【0009】また、従来の容量可変斜板式コンプレッサ
は、円筒状のシリンダブロック12の端部をプレート状
のフロントハウジング14aとリヤーハウジング17と
により閉塞した構造となっており、クランク室13部分
は、いわばシリンダブロック12を延長して形成したも
のとなっている。
【0010】ところが、フロントハウジング14aやリ
ヤーハウジング17を形成する材料は、アルミニウム合
金材料あるいは鉄(一般材料と称す)を使用しているの
で、安価であるが、シリンダブロック12を構成する材
料は、耐摩耗材料、つまり高シリコン材含有のアルミニ
ウム合金材料(シリコンの過共晶のアルミニウム合金)
を用いて、これをダイキャスト成形しているので、高価
なばかりでなく、機械加工がしにくいという不具合があ
る。
【0011】本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みて
なされたものであり、ハウジング部分を改良し、ピスト
ンの回り止め手段における異音や摩耗がなく、しかも潤
滑性能が優れ、加工的にも容易で、コスト的にも有利な
斜板式コンプレッサを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の請求項1に記載の本発明は、駆動軸を回動自在に支持
し該駆動軸の周りにシリンダ室が形成された耐摩耗材料
からなるシリンダブロックと、該シリンダブロックに結
合され内部にクランク室を形成してなる一般材料からな
るフロントハウジングと、前記シリンダブロックに結合
され内部に吐出室を形成してなるリヤーハウジングと、
前記駆動軸に対して傾斜するように設けられた駆動斜板
と、前記シリンダ室内を往復動するピストン頭部、及び
駆動斜板にシューを介して連結されたピストン首部を有
するピストンとを備えた斜板式コンプレッサにおいて、
前記フロントハウジングとシリンダブロックのクランク
室形成用スカート部若しくはその一部を一体的にダイキ
ャスト成形し、該クランク室形成用スカート部の内周面
に耐摩耗材料からなる内周被覆部材を嵌着したことを特
徴とする。請求項2に記載の本発明は、シリンダブロッ
クを高シリコン材含有軽合金、内周被覆部材を低シリコ
ン材含有の軽合金若しくは鉄としたことを特徴とする。
請求項3に記載の本発明は、前記内周被覆部材は、シリ
ンダブロックのクランク室形成用スカート部に対向する
ピストン首部の外面に形成された回り止め部を、該ピス
トンの軸方向のみ移動するようにガイドする突部を有す
ることを特徴とする。請求項4に記載の本発明は、前記
内周被覆部材を制振鋼板としたことを特徴とする。請求
項5に記載の本発明は、前記ピストンは、ピストン首部
の内周被覆部材に対向する外面に回り止め部を有し、該
回り止め部は、内周被覆部材に対向する外面に形成され
たピストン頭部半径よりも大きい曲率半径を有する凸曲
面と、該凸曲面の周方向両端に形成された所定の曲率半
径を有する当接部と、ピストンの回り止め部に対向する
内周被覆部材の内周面に形成されたピストン頭部半径よ
りも大きく且つ凸曲面の曲率半径よりも小さい内側曲率
半径を有する凹曲面とを有し、該凹曲面が前記当接部か
ら所定距離だけ離間するように設けたことを特徴とす
る。請求項6に記載の本発明は、前記両当接部間の距離
が、ピストン頭部の直径の0.9倍以上であることを特
徴とする。
【0013】
【作用】請求項1に記載の本発明にあっては、フロント
ハウジングとシリンダブロックのクランク室形成用スカ
ート部若しくはその一部を一体的にダイキャスト成形
し、該クランク室形成用スカート部の内周面に耐摩耗材
料よりなる内周被覆部材を嵌着したので、シリンダブロ
ックの一部までフロントハウジングを構成する安価な材
料を用いて形成でき、耐摩耗材料の使用量が減り、より
安価にハウジング部分を形成できるのみでなく、機械加
工しにくい耐摩耗材料を加工することが少ないので、加
工的にも容易となり、コスト的には極めて有利となる。
請求項2に記載の本発明にあっては、シリンダブロック
を高シリコン材含有軽合金、内周被覆部材を低シリコン
材含有の軽合金若しくは鉄としたので、安価で性能の良
い斜板式コンプレッサが得られる。請求項3に記載の本
発明にあっては、ピストンがシリンダ室内を往復動する
とき、内周被覆部材に形成した突部が、ピストン首部の
回り止め部が該ピストンの軸方向のみ移動するようにガ
イドするので、ピストンは突部に規制されて回転せず、
円滑に往復動する。請求項4に記載の本発明にあって
は、内周被覆部材を制振鋼板により構成したので、振動
あるいは打音が外部に伝播されず、静かな運転が可能と
なる。請求項5に記載の本発明にあっては、内周被覆部
材の内周面とピストン首部の回り止め部との間に隙間を
形成し、当該ピストンがピストン軸を中心として回動し
たとき、回り止め部の当接部が凹状部の凹曲面に滑らか
に曲面で面接触するように当接されるので、ピストンの
回転が確実かつ滑らかに規制される。また、駆動斜板の
回転により遠心力で飛ばされる潤滑油は、ピストンの回
り止め部がケーシングの内周面にエッジ当たりすること
がないので、曲面で面接触する部分から周方向に流入し
て油膜が形成され易くなる。軸方向からも潤滑油が流入
するとともにピストンの回り止め部の凸曲面とケーシン
グの凹状部の凹曲面とで囲まれた間の部分に、油潤滑空
間が形成されるので、油潤滑空間は流入した潤滑油の油
溜りとして機能し、これにより、摺動部分の潤滑が十分
に行われる。請求項6に記載の本発明にあっては、両当
接部間の距離がピストン頭部の直径の0.9倍以上とし
たので、ピストンが回動したときには、両当接部が内周
被覆部材の凹曲面に接触しても、ピストンの回り止め部
が内周被覆部材の内周面に形成された凹曲面に噛み込む
ことが防止できる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。図1は、本発明の一実施例に係る容量可変斜板式
コンプレッサの概略断面図、図2は、図1に示される内
周被覆部材の要部概略斜視図であり、図4〜6に示す部
材と共通する部材には同一符号を付している。
【0015】図1に示す本実施例の容量可変斜板式コン
プレッサ10は、駆動軸11を回動自在に支持しかつ該
駆動軸11の周りに円周方向等間隔に複数個のシリンダ
室12aが形成されたシリンダブロック12を有してい
る。このシリンダブロック12は、耐摩耗性のある材
料、例えば、高シリコン材含有アルミニウム合金からな
り、これをダイキャスト成形したものであり、潤滑油の
保持が良く、ピストンも円滑に摺動し得る。
【0016】該シリンダブロック12の図上左側には、
内部にクランク室13が形成されたカップ状のフロント
ハウジング14が設けられ、図上右側には、内部に帰還
冷媒が流入する吸入室15や、圧縮された冷媒が導かれ
る吐出室16が形成されたリヤーハウジング17がバル
ブシート18を介して設けられ、図示しないボルトによ
り3者一体的に連結されている。
【0017】なお、バルブシート18の両面には、弁形
成プレート(図示省略)がそれぞれ設けられ、吐出室1
6側には、吐出弁用のリテーナ19が取り付けられてい
る。前記カップ状のフロントハウジング14は、駆動軸
11の端部が挿通されている端板部14aと、該端板部
14aより軸方向に伸延されたクランク室形成用スカー
ト部14bとからなり、全体にわたり一般材料、つま
り、アルミニウム合金あるいは鉄を用いてダイキャスト
成形されている。
【0018】特に、本実施例では、クランク室形成用ス
カート部14bを、前述したシリンダブロック12を構
成する耐摩耗材料ではなく、一般材料により構成し、そ
の内周面を耐摩耗材料よりなる低フリクションの内周被
覆部材20を圧入などにより嵌着している。この内周被
覆部材20を構成するものとしては、例えば、低シリコ
ン材含有の軽合金若しくは鉄であり、これらはシリコン
材が少ないか又は含有されないので、機械加工する場合
にダイヤモンドを有する工具を使用することなく、簡単
に機械加工できる。
【0019】具体的な内周被覆部材20を構成する材料
としては、耐摩耗性、自己潤滑性、制振性のある鉄製材
料が好ましく、より好ましくは、制振鋼板を用いること
である。制振鋼板を用いれば、振動あるいは打音が外部
に伝播されず、静かな運転が可能となる。
【0020】このように実質的に耐摩耗性が要求される
シリンダ室12aが形成されたシリンダブロック12を
高価な耐摩耗材料、つまり高シリコン材含有アルミニウ
ム合金とし、フロントハウジング14全体としては安価
な一般材料、つまりアルミニウム合金若しくは鉄とし、
クランク室形成用スカート部14bの内周面を耐摩耗
性、自己潤滑性、制振性のある制振鋼板で低フリクショ
ンの内周被覆部材20により構成すれば、ハウジング全
体として安価に製造でき、機能的にも問題はないものが
得られる。
【0021】前記クランク室13内には、駆動軸11に
対して傾斜角が可変に駆動斜板21が設けられ、この駆
動斜板21にピストン22が半球状のシュー23,23
を介して連結されている。
【0022】ピストン22は、シリンダ室12a内を往
復動するピストン頭部22aと、駆動斜板21にシュー
23,23を介して連結された断面が略U字状の凹部を
有するピストン首部22bとを有している。なお、ピス
トン首部22b の両側内面には、シュー23,23を支
持する球面凹部が設けられ、シュー23,23の平面部
は駆動斜板21の表裏両面に接触している。
【0023】ピストン22は、シリンダ室12a内を往
復動する場合に、ピストンの軸の周りで回転しようとす
るが、本実施例の回転を防止する回り止め手段30とし
ては、図2に示すように、ピストン首部22bの外面に
形成された慨して円弧状のブロックからなる回り止め部
30aと、この回り止め部30aをガイドすることによ
りピストン22を円滑に往復動させるようにするための
一対のビード状の突部20aとからなり、突部20a
は、加圧成形により内周被覆部材20の一部を半径方向
内方に突出して形成したものである。
【0024】回り止め手段30は、ピストン22の回り
止め部30aを一対の突部20a間で挟持し、ピストン
22の軸周りでの回転を規制し、ピストン22が突部2
0aに沿って円滑に往復動するようにしたものである
が、この突部20aは、必ずしも設けなければならない
ものではなく、突部20aを設けることなく回り止め部
30aの形状により回り止め機能を発揮させるようにし
ても良い。
【0025】回り止め部30aの形状により回り止め機
能を発揮するものとしては、例えば、図3に示すよう
に、ピストン首部22bの内周被覆部材20に対向する
外面をピストン頭部半径Rp よりも大きい曲率半径R1
を有する凸曲面31とし、該凸曲面31の周方向両端に
所定の曲率半径rを有する当接部32とし、内周被覆部
材20の内周面に、ピストン頭部半径Rp よりも大きく
凸曲面31の曲率半径R1 よりも小さい内側曲率半径R
2 を有する凹曲面33を形成し、この凹曲面33が両当
接部32から所定距離L1だけ離間するように構成した
ものである。
【0026】このようにすれば、ピストン22が回転し
ても、回り止め部30の凸曲面31が凹曲面33に滑ら
かに曲面で面接触し、ピストン22の回転を規制するこ
とができる。しかも、ピストン22の円弧凸面31と内
周被覆部材の円弧凹面33との間に空間Sを形成するこ
とができ、ここに駆動斜板43の回転により飛ばされた
クランク室内の潤滑油が内周被覆部材20の周方向と軸
方向から入り込み、油溜りにもなるので、潤滑性が向上
することになり、さらに、内周被覆部材20の内周面に
エッジ当たりしないので、潤滑油が凸曲面31と流入し
て油膜が形成され易い。
【0027】ここで、ピストン22の回り止め部30a
の両当接部32の間の距離L2 は、ピストン頭部の直径
の0.9倍以上とすることが好ましい。つまり、ピスト
ン22が回動したときには、両当接部32が内周被覆部
材20の凹曲面33に接触するが、この接触点間の距離
L2 が0.9Dp であれば、ピストン22の回り止め部
30aが内周被覆部材20の内周面に形成された凹曲面
33に噛み込むような事態を、種々の条件下においても
確実に回避できるからである。
【0028】なお、内周被覆部材20の内周面に形成さ
れる凹曲面33の軸方向長さは、少なくともピストン2
2の往復運動によって回り止め部30aが移動したとき
に干渉を起こさない長さ以上とすることが好ましい。半
径R1 ,R2 ,Rp や距離L1 ,L2 は、設計仕様に基
づいて適宜調整される。
【0029】駆動軸11の図中左側部位は、フロントハ
ウジング14に軸受40を介して支持され、軸受40の
内方には駆動軸11により回転される回転部材41が設
けられている。この回転部材41の内端側には軸線方向
摺動可能に嵌挿されたスリーブ42が設けられ、このス
リーブ42の外周面は、円弧状とされ、この円弧状外面
には揺動可能に駆動斜板43が当接している。駆動斜板
43側からは、支持リンク44が突設され、回転部材4
1側の長孔45とピン部材46により連結され、回転部
材41の回転によって駆動斜板43が回転されるように
なっている。
【0030】したがって、この駆動斜板43は、スリー
ブ42の軸方向移動に伴ってピン部材46を支点として
傾斜角(駆動軸11の軸線に直交する面に対する傾斜角
をいう)が調節されるようになっている。
【0031】この容量可変斜板式コンプレッサには、吸
入室15とクランク室13とを連通する連通路Rを開閉
するコントロールバルブCv が設けられ、吸入室15に
帰還する冷媒の吸込圧に応じてクランク室13内の圧力
を調整して駆動斜板43の角度を変化させて、吐出され
る冷媒量を調節し、コンプレッサの吸入圧が一定になる
ようにコントロールしている。なお、図中「47」は吸
入口、「48」は吐出口である。
【0032】次に、本実施例の作用を説明する。駆動軸
11が回転されると、それに伴って回転部材41が回転
し、支持リンク44及びピン部材46を介して駆動斜板
43も回転する。駆動斜板43が駆動軸11に対して傾
斜状態にあれば、みそすり運動的に回動し、これに伴な
ってピストン22が往復動し、冷媒の吸入、圧縮、吐出
が行なわれる。
【0033】ここで、冷房サイクルにおける熱負荷が大
きい場合には、帰還冷媒の圧力は比較的高圧で帰還する
が、コントロールバルブCv のベローズが縮み連通路R
が開くので、クランク室13に比較的高圧の吸入圧が導
入され、その内部圧が吸入圧にほぼ等しくなる。この結
果、吸入工程にあるピストン22は、前後の圧力差がほ
とんどなくなり、該ピストン22はシリンダ12のシリ
ンダ室12a内でスムーズに後退し得る状態となり、ま
た圧縮工程にあるピストン22にかかる力は、高いクラ
ンク室13内の圧力が加わる。これにより、駆動斜板4
3の傾斜角が増してピストン22のストロークは増大す
る。
【0034】この状態で圧縮が行なわれると、コンプレ
ッサからの吐出冷媒量は増大し、冷房サイクル内を循環
する冷媒流量が増大し、再度熱負荷に応じた適正な冷媒
流量が吐出され、吸入圧が次第に下降し、最終的には一
定の吸入圧に保たれることになる。
【0035】一方、冷房サイクルにおける熱負荷が小さ
い場合には、帰還冷媒の圧力は十分スーパーヒート量が
得られず、低圧で帰還するが、コントロールバルブCv
のベローズが伸び連通路Rが閉じるので、ピストン22
によって圧縮された高圧冷媒が、ピストンとシリンダの
隙間からクランク室13に導入され、クランク室13の
内部圧力が高められる。この結果、ピストン前後にかか
る力がそれぞれの工程で変わり、ピン部材46を中心と
する複数の各ピストン22に加わる力のモーメントに差
が生じ、各ピストン22の前後の圧力バランスが変化
し、この駆動斜板43の傾斜角度が減少することにな
る。
【0036】ところで、ピストン22が往復動する場
合、駆動斜板43の外縁平担部は、ピストン22の圧縮
反力が作用している状態で両シュー23,23間を高速
で移動することになるので、ピストン22がピストン軸
の回りで回転させようとする力が作用する。
【0037】しかし、この回転力は、ピストン首部22
bの外面に設けた回り止め部30aが、ピストンの軸を
中心として回動し、当接部32が突部20aに当接する
か、この突部20aのないものでは、当接部32が金属
円環体20の円弧凹面33に滑らかに曲面で面接触する
ように当接し、ピストン22の回転は確実かつ滑らかに
規制される。
【0038】また、潤滑油も突部20aと回り止め部3
0aとの間に入り込むか、この突部20aのないもので
は、回り止め部30aが内周被覆部材20の内周面にエ
ッジ当たりすることがないので、曲面で面接触する部分
から周方向あるいは軸方向から流入し、油溜りとなり、
摺動部分の潤滑を十分に行うことができる。この結果、
ピストンの回り止め部30aと内周被覆部材20との間
での潤滑が十分なされ、異音や摩耗の発生を防止するこ
とになる。
【0039】このように、本実施例では、フロントハウ
ジング14の端板部14aとクランク室形成用スカート
部14bとを一体的に成形し、該クランク室形成用スカ
ート部14bの内周面に、耐摩耗材料で低フリクション
の内周被覆部材20、つまり耐摩耗性、自己潤滑性、制
振性のある低シリコン材含有アルミニウム合金材料や鉄
製材料から構成された低フリクションの内周被覆部材2
0を嵌着したので、安価な一般材料により構成された部
分が増大し、耐摩耗性のある高シリコン材含有アルミニ
ウム合金より構成された部分が減少するとともに該部分
に対する機械加工部分も低減し、コスト的に極めて有利
となり、ピストンの回り止め手段における異音や摩耗が
なくなり、潤滑性能も向上する。
【0040】また、内周被覆部材20自体が薄肉のもの
であるので、この部分を利用して突部20aを形成すれ
ば、成形が容易なばかりでなく、ピストンの周り止めも
でき、作動時の異音や摩耗の発生を防止することでき
る。
【0041】本発明は、上記実施例に限定されるもので
はなく、特許請求の範囲内において種々改変することが
できる。例えば、上記実施例は、端板部14aとスカー
ト部14bとをアルミニウム合金でダイキャスト成形し
てフロントハウジング14を形成したものであるが、本
発明は、これのみでなく、端板部14aとスカート部1
4bとを溶接あるいはロー付け等により一体的に形成し
ても良い。
【0042】また、内周被覆部材20をスカート部14
bの内周面全体に設けているが、スカート部14bの内
周面の一部に設けても良く、内周被覆部材20自体も必
ずしもアルミニウム合金製あるいは鉄製である必要はな
く、場合によっては鉄板に鋼球等を噴射して耐摩耗性を
持たせたものあるいは鉄板上に合成樹脂を被覆した材料
等により構成することもできる。
【0043】さらに、前記コントロールバルブは、クラ
ンク室内の圧力を変化させるために、冷房サイクルの帰
還冷媒の圧力の変化によりコンプレッサの吐出圧力をク
ランク室に積極的に導入するようにした弁機構を用いる
こともできる。このとき、クランク室と吸入室とを常に
連通する通路で結ぶとともに吐出室と連通する通路に弁
を設け、該弁を吸入冷媒ガスの圧力と前記弁を付勢する
ばね力との差により開閉制御し、クランク室に吐出冷媒
圧力を導入するように構成してもよく、また、USP4
428718号に開示されているようなもの、つまり前
述した弁と、クランク室と吸入室とを連通する通路を開
閉する弁とを設け、これら両弁を連動して作動するよう
にした弁機構としても良い。
【0044】なお、本発明は、前述した容量可変斜板式
コンプレッサのみでなく、固定斜板式のコンプレッサに
も適用できる。
【0045】
【発明の効果】以上述べたように請求項1に記載の本発
明にあっては、フロントハウジングとシリンダブロック
のスカート部若しくはその一部を一般材料により一体的
に成形し、該スカート部の内周面に耐摩耗材料からなる
内周被覆部材を嵌着したので、シリンダブロックの一部
までフロントハウジングを構成する安価な材料を用いて
形成でき、耐摩耗材料の使用量が減り、より安価にハウ
ジング部分を形成できるのみでなく、機械加工しにくい
耐摩耗材料を加工することがないので、加工的にも容易
となり、コスト的には極めて有利となる。請求項2に記
載の本発明にあっては、シリンダブロックを高シリコン
材含有軽合金、内周被覆部材を低シリコン材含有の軽合
金若しくは鉄としたので、安価で性能の良い斜板式コン
プレッサが得られる。請求項3に記載の本発明にあって
は、ピストンがシリンダ室内を往復動するとき、内周被
覆部材に形成した突部が回り止め部の移動を軸方向のみ
とするようにガイドするので、ピストンは突部に規制さ
れて回転せず、円滑に往復動する。請求項4に記載の本
発明にあっては、内周被覆部材を制振鋼板により構成し
たので、振動あるいは打音が外部に伝播されず、静かな
運転が可能となり潤滑性も向上し、異音や摩耗の発生が
防止される。請求項5に記載の本発明にあっては、ピス
トンの回り止め部自体の形状によりピストンの回り止め
を行なうようにしたので、構成が簡素化するとともにピ
ストンの回転が確実かつ滑らかに規制され、また、潤滑
性も向上し、異音や摩耗の発生が防止される。請求項6
に記載の本発明にあっては、両当接部間の距離がピスト
ン頭部の直径の0.9倍以上としたので、ピストンが回
動してもピストンの回り止め部が内周被覆部材の内周面
に形成された凹曲面に噛み込むことが防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例の概略断面図である。
【図2】 図1に示される内周被覆部材の要部概略斜視
図である。
【図3】 本発明の他の実施例の概略断面図である。
【図4】 従来の容量可変斜板式コンプレッサの概略断
面図である。
【図5】 従来のピストン回り止め手段を示す概略断面
図である。
【図6】 従来のピストン回り止め手段の他の例を示す
概略断面図である。
【符号の説明】
11…駆動軸、 12…シリンダブロッ
ク、12a…シリンダ室、 14…フロントハウ
ジング、14b…スカート部、 15…吐出室、
17…リヤーハウジング、 20…内周被覆部材、2
2…ピストン、 22a…ピストン頭部、2
2b…ピストン首部、 23…シュー、30a…回
り止め部、 31…凸曲面、32…当接部、
33…凹曲面、43…駆動斜板、
r…凸曲面の端部の曲率半径、R1 …凸曲面の曲率半
径、 R2 …凹曲面の曲率半径、Rp …ピストン頭部
半径、 L1 …凹曲面と当接部との距離、L2 …両当
接部間の距離。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動軸(11)を回動自在に支持し該駆動軸
    (11)の周りにシリンダ室(12a) が形成された耐摩耗材料
    からなるシリンダブロック(12)と、該シリンダブロック
    (12)に結合され内部にクランク室(13)を形成してなる一
    般材料からなるフロントハウジング(14)と、前記シリン
    ダブロック(12)に結合され内部に吐出室(15)を形成して
    なるリヤーハウジング(17)と、前記駆動軸(11)に対して
    傾斜するように設けられた駆動斜板(43)と、前記シリン
    ダ室(12a) 内を往復動するピストン頭部(22a) 、及び駆
    動斜板(43)にシュー(23,23) を介して連結されたピスト
    ン首部(22b) を有するピストン(22)とを備えた斜板式コ
    ンプレッサにおいて、 前記フロントハウジング(14)とシリンダブロック(12)の
    クランク室形成用スカート部(14b) 若しくはその一部を
    一体的に成形し、該クランク室形成用スカート部(14b)
    の内周面に耐摩耗材料からなる内周被覆部材(20)を嵌着
    したことを特徴とする斜板式コンプレッサ。
  2. 【請求項2】 前記シリンダブロック(12)は、高シリコ
    ン材含有軽合金であり、内周被覆部材(20)は、低シリコ
    ン材含有の軽合金若しくは鉄である請求項1に記載の斜
    板式コンプレッサ。
  3. 【請求項3】 前記内周被覆部材(20)は、シリンダブロ
    ック(12)のクランク室形成用スカート部(14b) に対向す
    るピストン首部(22b) の外面に形成された回り止め部(3
    0a) を、該ピストン(22)の軸方向のみ移動するようにガ
    イドする突部(20a) を有する請求項1又は2に記載の斜
    板式コンプレッサ。
  4. 【請求項4】 前記内周被覆部材(20)は、制振鋼板であ
    る請求項1乃至3のいずれかに記載の斜板式コンプレッ
    サ。
  5. 【請求項5】 前記ピストン(22)は、ピストン首部(22
    b) の内周被覆部材(20)に対向する外面に回り止め部(30
    a) を有し、該回り止め部(30a) は、内周被覆部材(20)
    に対向する外面に形成されたピストン頭部半径(Rp)より
    も大きい曲率半径(R1)を有する凸曲面(31) と、該凸曲
    面(31)の周方向両端に形成された所定の曲率半径(r) を
    有する当接部(32)と、ピストン(22)の回り止め部(30a)
    に対向する内周被覆部材(20)の内周面に形成されたピス
    トン頭部半径(Rp)よりも大きく且つ凸曲面(31)の曲率半
    径(R1)よりも小さい内側曲率半径(R2)を有する凹曲面(3
    3)とを有し、該凹曲面(33)が前記当接部(32)から所定距
    離(L1)だけ離間するように設けたことを特徴とする請求
    項1又は2に記載の斜板式コンプレッサ。
  6. 【請求項6】 前記両当接部(32)間の距離(L2)は、ピス
    トン頭部(22a) の直径(Dp)の0.9倍以上である請求項
    5に記載の斜板式コンプレッサ。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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