JPH0917394A - 電球および反射鏡付電球ならびに照明装置 - Google Patents

電球および反射鏡付電球ならびに照明装置

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JPH0917394A
JPH0917394A JP16595595A JP16595595A JPH0917394A JP H0917394 A JPH0917394 A JP H0917394A JP 16595595 A JP16595595 A JP 16595595A JP 16595595 A JP16595595 A JP 16595595A JP H0917394 A JPH0917394 A JP H0917394A
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coil
bulb
pitch
filament
light
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JP16595595A
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Tetsuya Sugano
哲也 菅野
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Toshiba Lighting and Technology Corp
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Toshiba Lighting and Technology Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 球形状や長円形状のバルブを用いる電球にお
いて、フィラメントコイルに発生するホットスポットを
防止することを目的とする。 【構成】 ガラスバルブ1と、このバルブ1の表面に形
成された赤外線反射膜8と、上記バルブ1内に封装され
るとともに反射赤外線の帰還率が相対的に高い位置C
1、C2、F1、F2に配設する部分を他の部分より粗
コイルピッチ23としたフィラメントコイル2とを備え
た電球L、RLおよびこの電球Lを装着した照明装置D
である。 【効果】 反射赤外線が集中して帰還する部分に在るコ
イル部分の温度が他の部分とほぼ同じになり、フィラメ
ントコイルには高温のホットスポットの発生はなく、タ
ングステンの局部的な蒸発を防ぎ発光効率の低下もなく
長寿命の電球を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ハロゲン電球などのガ
ラスバルブの表面に可視光透過赤外線反射膜などの赤外
線反射膜を形成した電球およびこの電球を用いた照明装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】省エネルギ化の一環として電球分野にお
いても種々の工夫がなされており、たとえばハロゲン電
球においてはガラスバルブの表面に可視光透過赤外線反
射膜を形成することによって、フィラメントコイルから
放射された赤外線をこの反射膜で反射してフィラメント
コイルに帰還させ、これによってフィラメントコイルを
加熱して発光効率を高めることが知られている。
【0003】このような可視光透過赤外線反射膜として
は、酸化チタン(TiO2 )などからなる高屈折率層膜
と二酸化珪素(SiO2 )などからなる低屈折率層膜と
を交互に積層して多層化し、層数や層の厚さを適宜選ぶ
ことにより光の干渉を利用して、所望の波長域の光を選
択的に透過および反射させるものである。そして、この
電球においては、膜の層数が多いほど赤外線の反射率を
高くすることができ省電力の効果も大きい。
【0004】このハロゲン電球のガラスバルブの形状と
しては、円筒形状、球形状や楕円形状などの長円形状が
あり、また、フィラメントコイルは所定の発光特性と電
気特性を得るためにタングステン細線をコイル状に巻回
したものが用いられ、フィラメントコイルを円筒形状の
バルブの場合はバルブの中心軸に沿わせ、球形状や長円
形状の場合は焦点を通る位置に配設されている。
【0005】そして、円筒形状のバルブのものは、フィ
ラメントコイルがバルブの中心軸に沿って配設され、そ
の延在するフィラメントコイルとバルブ壁とは同間隔で
もって対面している。すなわち、円筒形状をなすバルブ
の横断方向には中心にフィラメント軸があり、電球点灯
時に円中心のフィラメントコイルから発した赤外線はバ
ルブ表面の可視光透過赤外線反射膜で反射されてフィラ
メントコイルの元の位置に帰還し、フィラメントコイル
を加熱する。
【0006】また、球形状バルブのものは、フィラメン
トコイルが球面バルブの中心部分を通って配設され、電
球点灯時に中心に位置するフィラメントコイル部分から
発した赤外線はバルブ表面の可視光透過赤外線反射膜で
反射されて焦点部分の元のフィラメントコイル位置に帰
還し、中心にあるフィラメントコイル部分を加熱する。
また、球面中心から外れたフィラメントコイル部分から
発した赤外線はバルブ表面の可視光透過赤外線反射膜で
反射されてもフィラメントコイルの元の位置部分には戻
らず、バルブ反対面の赤外線反射膜に入りこの反射面で
反射され、さらに他の面の赤外線反射膜に入りこの反射
面で反射されるなど、バルブ内において反復反射を繰り
返し、赤外線エネルギが大部減衰してフィラメントコイ
ルに戻りフィラメントコイルを加熱する。なお、この戻
った赤外線はフィラメントコイルの赤外線を発した部分
とは限らない。
【0007】また、楕円形状など長円形状バルブのもの
は、フィラメントコイルがバルブの二つの焦点部分を通
って配設され、電球点灯時に各焦点に位置するフィラメ
ントコイル部分から発した赤外線はバルブ表面の可視光
透過赤外線反射膜で反射されて各焦点の元のフィラメン
トコイル位置部分に帰還し、各焦点にあるフィラメント
コイル部分を加熱する。また、焦点から外れたフィラメ
ントコイル部分から発した赤外線はバルブ表面の可視光
透過赤外線反射膜で反射されてもフィラメントコイルの
元の位置部分には戻らず、バルブ反対面の赤外線反射膜
に入りこの反射面で反射され、さらに他の面の赤外線反
射膜に入りこの反射面で反射されるなど、バルブ内にお
いて反復反射を繰り返し、赤外線エネルギが大部減衰し
てフィラメントコイルに戻りフィラメントコイルを加熱
する。なお、球形状のバルブと同様にこの戻った赤外線
はフィラメントコイルの赤外線を発した部分とは限らな
い。
【0008】そして、上記前者の円筒形状バルブのもの
は、連続したフィラメントコイルの各部分にはその部分
から発した赤外線が帰還して、結果としてフィラメント
コイル全体部分が戻る赤外線によって加熱され、フィラ
メントコイル各部はほぼ同じ温度に維持できる。
【0009】これに対して、上記中者の球形状バルブの
ものは、バルブの球面中心に位置するフィラメントコイ
ルの中心部分には、他の部分よりも反射光が多く集まっ
て反射赤外線が多く帰還し、このフィラメントコイルの
中心部分にホットスポットと呼ばれる高温度部分が発生
する。
【0010】また、上記後者の楕円形状など長円形状バ
ルブのものも、バルブ中心軸上の焦点に位置する二か所
のフィラメントコイル部分には、他の部分よりも反射光
が多く集まって反射赤外線が多く帰還し、焦点にあるフ
ィラメントコイル部分にホットスポットと呼ばれる高温
度部分を発生する。
【0011】このホットスポットの発生はフィラメント
コイルに部分的に過熱されている点があることで、フィ
ラメントコイルに温度の不均一が生じる。そして、フィ
ラメントコイル温度に不均一が生じると温度の高い部分
の電気抵抗が増大し、その結果この温度の高い部分の発
熱量が増大してさらに温度が高くなり、このようにして
温度の不均一がますます助長されてしまう傾向がある。
【0012】したがって、フィラメントコイル上には局
部的にその設計温度よりはるかに高温度の部分が生じ、
この部分のタングステンが激しく蒸発して他の部分より
早くに細くなって早期に焼断してしまうことがあった。
【0013】そこで、上記前者記載の円筒形状バルブの
ものは、連続したフィラメントコイルの各部分にはほぼ
同量の反射光が戻り、赤外線量もほぼ同じであるのた
め、フィラメントコイル全体がほぼ同じ温度で維持され
る。したがって、タングステンの局部的な早期蒸発によ
る電球の短寿命発生の虞はなかった。
【0014】これに対して、上記中者および後者記載の
バルブのものには、バルブの中心や焦点など反射光が多
く集まる部分に位置するフィラメントコイル部分にホッ
トスポットが生じることによって短寿命となるものの発
生があり、これの対策として種々の改善が提案されてい
る。
【0015】たとえば特開平4−47660号公報に
は、フィラメントコイルの中心をバルブ軸からずらす構
成とすることが記載されている。しかし、そのずらす量
の多少によってフィラメントコイルの中央部の温度が過
度に上昇し短寿命となったり、赤外線が帰還せず温度は
均一にはなるが逆に温度が下がり過ぎ効率が低下したり
する問題があった。
【0016】また、特開平6−290760号公報に
は、回転楕円体形状のガラスバルブの長、短径やフィラ
メントコイルの直径およびこれらの関係比率などを規制
することにより、また、特開平7−45254号公報に
は、楕円形バルブに形成する赤外線反射膜の被膜形成寸
法やフィラメントコイルの寸法およびこれらの関係比率
などを規制することによってホットスポットの発生を防
ぐようにしたことが記載されている。しかし、これら公
報に記載のものは、格別のバルブや反射膜形成など数種
の要件を必要とするものであって、これらの手段によっ
てもホットスポットの発生を防ぐことができるが、もっ
と簡単な手段でのホットスポットの発生を防ぐことが要
望されていた。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は長円形状や球
形状などの形状をして焦点や反射光の集まる中心点を有
するバルブに赤外線反射膜を形成した電球において、簡
単な構成で焦点や中心点にフィラメントコイルを配設し
たにも拘らずホットスポットの発生がなく、かつ、発光
特性の低下もない長寿命の電球を提供することを目的と
する。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に記載
の電球は、密封されたガラスバルブと、このバルブの表
面に形成された赤外線反射膜と、上記バルブ内に封装さ
れるとともに反射赤外線の帰還率が相対的に高い位置に
配設する部分を他の部分より粗コイルピッチとしたフィ
ラメントコイルとを具備していることを特徴としてい
る。
【0019】本発明の請求項2に記載の電球は、ガラス
バルブが回転楕円面または回転放物面を有し、相対的に
他の部分より反射赤外線の帰還率の高い位置が焦点に相
当することを特徴としている。
【0020】本発明の請求項3に記載の電球は、ガラス
バルブが球面を有し、相対的に他の部分より反射赤外線
の帰還率の高い位置が球面中心に相当することを特徴と
している。
【0021】本発明の請求項4に記載の電球は、フィラ
メントコイルが単コイルであることを特徴している。
【0022】本発明の請求項5に記載の電球は、フィラ
メントコイルが単コイルを巻回した二重コイルであり、
上記の単コイル部分に粗コイルピッチ部分が形成してあ
ることを特徴としている。
【0023】本発明の請求項6に記載の電球は、フィラ
メントコイルが単コイルを巻回した二重コイルであり、
上記の二重コイル部分に粗コイルピッチ部分が形成して
あることをを特徴としている。
【0024】本発明の請求項7に記載の電球は、フィラ
メントコイルの粗コイルピッチ部分の%ピッチが他の部
分の110〜200%で形成してあることを特徴として
いる。
【0025】本発明の請求項8に記載の反射鏡付電球
は、反射体と、この反射体内に設けられた上記請求項1
ないし請求項7に記載の電球とを具備したことを特徴と
している。
【0026】本発明の請求項9に記載の反射鏡付電球
は、筐体と、この筐体または筐体内の反射体に設けられ
た上記請求項1ないし請求項7に記載の電球と。上記筐
体の前面開口部に設けられた制光体とを具備したことを
特徴としている。
【0027】
【作用】請求項1の発明によれば、バルブに形成した反
射膜からの反射光が集まる焦点や中心点に位置するフィ
ラメントコイル部分を粗コイルピッチとしてあるので、
間隔の広い粗コイルピッチ間を通り抜ける割合が従来よ
り多くなる。したがって、フィラメントコイルイルの焦
点や中心点の以外に在る部分には従来と同量の赤外線が
帰還し、また、焦点や中心点の部分には反射赤外線が多
く戻るが、コイル自体の容積が減っているので帰還する
赤外線量は従来より減少して他の部分とほぼ同量にな
る。よって、延在するフィラメントコイルの全長に亘り
ほぼ同温度となり、局部的に高温度のホットスポットを
発生することがなく、フィラメントコイルの材料である
タングステン線の局部的な蒸発を防げる。
【0028】請求項2の発明によれば、焦点を有する回
転楕円面または回転放物面からなるバルブを用いること
により、上記請求項1に記載したと同様の作用がある。
【0029】請求項3の発明によれば、中心点を有する
球面からなる球形状バルブを用いることにより、上記請
求項1に記載したと同様の作用がある。
【0030】請求項4の発明によれば、焦点や中心点を
有するバルブ内に所定部分を粗コイルピッチとしたコイ
ルフィラメントを封装することにより上記請求項1に記
載したと同様の作用がある。
【0031】請求項5の発明によれば、焦点や中心点を
有するバルブ内に一次ピッチの所定部分を粗コイルピッ
チとした二重コイルフィラメントを封装することにより
上記請求項1に記載したと同様の作用がある。
【0032】請求項6の発明によれば、焦点や中心点を
有するバルブ内に二次ピッチの所定部分を粗コイルピッ
チとした二重コイルフィラメントを封装することにより
上記請求項1に記載したと同様の作用がある請求項7の
発明によれば、粗コイルピッチ部分の%ピッチが他の部
分の110%を下回ると、赤外線の受量が多く他のコイ
ル部分より高温度になってホットスポットが発生する。
また、%ピッチが200%を越えると、他のコイル部分
より低温度となって発光効率が低下してしまう。
【0033】請求項8の発明によれば、上記請求項1な
いし請求項7に記載の電球を、反射体内に設ければ、上
記請求項1ないし請求項7に記載したと同様の作用があ
る。請求項9の発明によれば、上記請求項1ないし請求
項7に記載の電球を、筐体または筐体内の反射体に装着
して使用すれば、上記請求項1ないし請求項7に記載し
たと同様の作用がある。
【0034】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。図1は投光用の片口金形のハロゲン電球Lの正面
図、図2はそのフィラメントコイル部分およびバルブ部
分の一部を拡大して示す説明図である。図中1は回転楕
円体形状を有する石英ガラスからなるバルブで、このバ
ルブ1の内部には後述するフィラメントコイル2および
ハロゲンを含むアルゴンなどの不活性ガスが封入され密
封してある。上記フィラメントコイル2は内部導線3、
3に継線支持され、バルブ1の長軸の中心軸に沿って配
設されている。また、この内部導線3、3の他端はバル
ブ1の一端部を圧潰して形成した封止部4内に封止され
たモリブデン箔5、5に接続している。また、各モリブ
デン箔5,5の他端側には外部導線6,6が接続され封
止部4から導出して、封止部4に接合された口金7に電
気的に接続している。また、8はバルブ1の外表面に形
成されている可視光透過赤外線反射膜である。
【0035】この可視光透過赤外線反射膜(以下、赤反
膜と称する。)は、たとえば酸化チタン(TiO2 )か
らなる高屈折率層膜と酸化けい素(SiO2 )からなる
低屈折率層膜とを交互に8−50層重層した多層干渉膜
からなり、バルブ1のガラス面に密着して形成され、光
の干渉により可視光をよく透過し、赤外線をよく反射す
る性質を有する。
【0036】また、上記フィラメントコイル2はタング
ステン線からなり、端部21を除き単(一次)コイルを
さらに巻回した二重(二次)コイル状をなしている。そ
して、この二重コイル状の部分22を主発光部として一
定のピッチで巻回されているが端部の2〜3ターンはそ
のピッチ間隔が中間22部分より広い粗コイルピッチ2
3部分として形成されている。
【0037】また、上記の回転楕円体形状のバルブ1は
長軸上に二つの焦点F1、F2を有し、この二つの焦点
F1、F2を結ぶ中心軸に沿って上記二重コイル状のフ
ィラメントコイル2が配設され、焦点F1、F2の位置
部分にはコイル2の両端部の粗コイルピッチ部分23が
位置するよう配設されている。
【0038】そして、このような構成の電球Lを点灯す
ると、バルブ1の中心を通る長軸上に配設したフィラメ
ントコイル2から放射した光のうち可視光はバルブ1お
よび赤反膜8を透過してバルブ1外方へと放射される。
また、フィラメントコイル2から放射した赤外線は赤反
膜8で反射されてフィラメントコイル2に帰還し、この
赤外線のフィラメントコイル2からの放射と赤反膜8で
の反射は反復行われている。そして、この場合も従来技
術中に記述したように、楕円体の二つの焦点F1、F2
ないしはこの焦点F1、F2近傍には他の部分よりも赤
反膜8で反射された赤外線が集中して多く集まる。
【0039】しかし、本発明では二つの焦点F1、F2
ないしはこの焦点F1、F2近傍に位置されるフィラメ
ントコイル2の部分は、予めそのコイルピッチ間隔を他
の部分より広くした粗コイルピッチ23、23部分とし
てあり、赤反膜8で反射してコイル2に向かった赤外線
は端部において粗コイルピッチ23間を通り抜ける割合
が従来より多くなる。したがって、フィラメントコイル
2の端部を除く二重コイル状をなす中間部分22には従
来と同量の赤外線が帰還し、また、端部23はコイル自
体に帰還する赤外線量は従来より減少して中間部分22
とほぼ同量で、延在するフィラメントコイル2の全長に
亘りほぼ同温度となり、局部的なこの場合は焦点付近F
1、F2に位置する粗コイルピッチ23部分が高温度と
なってホットスポットを発生することがなく、フィラメ
ントコイル2の材料であるタングステン線の局部的な蒸
発を防ぎ、長寿命の電球Lを提供できる。また、粗コイ
ルピッチ23部分はその範囲が狭い範囲であり、特に発
光特性を低下することもなかった。
【0040】なお、上記ではフィラメントコイル2を形
成する二重コイルのうちの二次コイル部分のピッチ間隔
を広げたが、一次(単)コイル部分のピッチ間隔を広げ
てもよく、また、一次(単)コイル部分および二次(二
重)コイル部分の両者のピッチ間隔を広げておいてもよ
い。実用上は、二次(二重)コイル部分のピッチ間隔を
広げるのがコイル製作のうえからは容易である。
【0041】そして、本発明者は上記を確認するため1
10V50〜130Wの数種の出力の投光用ハロゲン電
球について、上記の回転楕円形状を有するガラスバルブ
1を用い、二つの焦点F1、F2に位置する部分のコイ
ルピッチを粗くした二重コイル状のフィラメントコイル
2(タングステン線のMG6.5〜22.0)で製作
し、電球に組み立てホットスポットの発生について検証
した。
【0042】その結果、各品種とも焦点F1、F2に位
置する部分の一次(単)コイルの%ピッチおよび二次
(二重)コイルの%ピッチを他の部分の110〜200
%と粗くしておけばホットスポットの発生は見られなか
った。
【0043】なお、ここでいう%ピッチとは、一次
(単)コイルの場合は巻回したタングステン線の隣り合
う中心部間の間隔をタングステン線径で割った値(百分
率で表す。)で、また、二次コイルの場合はさらに巻回
した一次コイルの隣り合う中心部間の間隔を一次コイル
径で割った値(百分率で表す。)であって、たとえば二
次コイルの場合%ピッチが200%とは隣り合うコイル
間の間隔(隙間)は二次コイルの径分あいているという
ことである。
【0044】(なお、通常フィラメントコイルはタング
ステン線を全体を通じ同ピッチ間隔と同径で巻回してい
た。局部的にピッチむらなどが発生することはその部分
の電気抵抗が変って温度が過度に上昇し早期に断線する
ことから避けていたことである。) また、図3および図4は本発明の他の実施例を示し、図
中図1および図2と同一部分には同一の符号を付してそ
の説明は省略する。この実施例のハロゲン電球Lは、バ
ルブ1が球形状をなし球面の半径中心位置に中心点C1
を有していて、この中心点C1は反射光の帰還率が相対
的に他の部分よりも高く、この中心点C1を通って二重
コイル状のフィラメントコイル2が配設されている。
このフィラメントコイル2は二重コイル部分の中心の2
〜3ターンにわたり他の部分よりコイルピッチ間隔の大
きい粗コイルピッチ23部分を有し、この粗コイルピッ
チ23部分が中心点C1の位置にあるよう配設されてい
る。
【0045】この実施例の場合も、中心点C1のないし
はこの中心点C1の近傍に位置されるフィラメントコイ
ル2の部分は、予めそのコイルピッチ間隔を他の部分よ
り広くした粗コイルピッチ23部分としてあり、赤反膜
8からの反射光は他の部分より中心点C1に多く集ま
る。しかし、このとき赤外線も中心点C1に多く集まる
が、中心点C1においてはコイルピッチ23間を通り抜
ける割合が従来より多くなる。したがって、上記実施例
と同様にフィラメントコイル2の粗コイルピッチ23と
した中心部を除く二重コイル部分22には従来と同量の
赤外線が帰還し、また、中心の粗コイルピッチ23部分
はコイル自体に帰還し捕捉される赤外線量が従来より減
少して他の二重コイル部分22とほぼ同量で、延在する
フィラメントコイル2の全長に亘りほぼ同温度となる。
この電球Lも局部的な、この場合は球面の中心点C1付
近に位置する中心の粗コイルピッチ23部分が高温度と
なってホットスポットを発生するようなことがなく、フ
ィラメントコイル2の早期断線を防止できる。
【0046】また、本発明電球のバルブ1の形状は、図
5および図6に示すような長円形状のものであってもよ
い。すなわち、図5に示すバルブ1は中央部が円筒状部
11で、この円筒状部11に半球状部や回転楕円面状
部、回転放物面状部、円錐状部などの焦点や曲面に半径
中心点などを有する曲面状部12を連設して複合形状の
バルブ1を形成し、このバルブ1の二つの焦点F1、F
2や中心点Cを結ぶ軸上にフィラメントコイル2を配設
するとともに、この焦点F1、F2や中心点Cに位置す
る部分を粗コイルピッチ部分23としたものである。
【0047】また、図6に示すバルブ1は球状部13、
13を二つ連設して略ピーナッ形の複合形状のバルブ1
を形成し、バルブ1の両端部に封止部4、4を形成した
両端口金形(口金は図示せず)の電球Lである。この電
球Lも両球状部13、13球面中心の位置に中心点C1
およびC2を通してフィラメントコイル2が配設されて
いて、中心点C1およびC2に位置する部分のピッチが
他の部分に比べ粗コイルピッチ23、23としてある。
このような構成でも上記実施例と同様にフィラメントコ
イル2の両端部には高温のホットスポットの発生がな
く、コイル2の部分的な過熱を防ぐ作用効果を奏する。
【0048】また、図7は本発明の他の実施例を示す。
図7は反射鏡一体形のハロゲン電球RLで、電球Lは図
3と略同形をなしているので図3と同一部分には同一の
符号を付してその説明は省略する。図中Rは硬質ガラ
ス、耐熱性合成樹脂や金属板などで形成された回転放物
面、回転楕円面などの形状の反射面を有する反射鏡で、
内面にはアルミニウム、クローム、銀などからなる光・
熱反射膜R1やダイクロイック膜などの可視光反射赤外
線透過膜R1が形成され、その中央部の基部R2には口
金接合前の上記電球Lの圧潰封止部4が収容される凹所
R3を有している。そして、この凹所R3内に電球Lの
圧潰封止部4が置かれた状態でシリコン系などの耐熱接
着剤R4が注入され、反射面R1に対するフィラメント
コイル2位置の焦点合わせが終了したらこの接着剤R4
が固化され、両者が一体化されている。 そして、この
図7の反射鏡付電球RLは、赤外線の少ない可視光を効
率よく指向性をもって放射させることができるとともに
高い寿命特性が得られる。
【0049】また、上記実施例および図1〜図7で説明
した電球Lは、内面にアルミニウムなどの反射面を形成
した反射鏡あるいは反射鏡とともに(電球RLも)筐体
内に収容され、すなわち照明器具を構成する部材などに
装着され、必要に応じこの反射鏡や筐体の前面にレンズ
などの制光体で覆って照明装置として広く使用すること
ができる。
【0050】なお、本発明は上記実施例に限定されな
い。たとえば、ハロゲンを封入していない種類の電球に
も適用でき、用途も投光用に限らず一般照明用や車両用
など各種用途の電球に適用できる。
【0051】また、本発明では粗コイルピッチ部分がバ
ルブの焦点あるいは曲面の中心点の位置するところに配
設したと説明しているが、本発明ではこの焦点あるいは
中心点とは反射光(赤外線を含む)の帰還率が相対的に
他の部分よりも高い点を指すものである。
【0052】また、上記焦点あるいは中心点に配設され
るフィラメントコイルはそれぞれが正確に焦点や中心点
に位置していないと作用するものではなく、バルブの焦
点あるいは曲面の中心点の位置するところの近傍に配設
されている場合でも効果の程度は少々低減するがホット
スポットの発生を抑制できる。また、フィラメントコイ
ルに形成する粗コイルピッチ部分の長さ、コイル径や%
ピッチの選定は、使用するバルブの大きさや形状、反射
光の帰還率などあるいは要求特性に応じて決めればよ
い。
【0053】また、電球のバルブ内に封装されるフィラ
メントコイルは、上記実施例の二重コイルに限らず、単
コイルや三重コイルの場合であってもよく、これらコイ
ルに適用しても同様な効果を奏することができる。
【0054】また、バルブのガラス材質は石英ガラスに
限らず、所要の透光性と光屈折率と耐熱性を併有するも
のであれば他の硬質や軟質のガラス材質であってもよ
い。
【0055】また、上記実施例ではバルブの外表面に多
層干渉膜からなる可視光透過赤外線反射膜を形成したも
のについて述べたが、可視光透過赤外線反射膜の形成は
バルブの外表面に限らず、バルブの内表面であってもよ
く、内外表面の少なくとも一方に形成してあればよい。
また、上記実施例では高屈折率層膜に二酸化チタン(T
iO2 )を、低屈折率層膜に二酸化ケイ素(SiO2
を用いたが、これに限らず高屈折率層膜としては五酸化
タンタル(Ta2 5 )、二酸化ジルコン(Zr
2 )、二酸化亜鉛(ZnO2 )、五酸化ニオブ(Nb
2 5 )など、低屈折率層膜としてはふっ化マグネシウ
ム(MgF)などであってもよい。
【0056】また、赤外線反射膜としては、多層干渉膜
に限らず単層の赤外線反射膜であってもよく、赤外線と
ともに可視光も透過しないアルミニウム(Al)、銀
(Ag)やクローム(Cr)などの材料であってもよ
い。
【0057】さらに、反射鏡付電球は両者を接着剤で一
体化したものに限らず、ソケット付の反射鏡やソケット
と反射鏡とが別体の器具に電球を装着して使用するもの
であっても差支えない。
【0058】さらにまた、上記電球(反射鏡付電球を含
む)が装着して使用される照明装置は、投光用器具に限
らず、各種の照明器具や灯具であっても差支えない。
【0059】
【発明の効果】請求項1ないし請求項8に記載の発明に
よれば、赤外線反射膜からの反射赤外線は焦点や曲面の
中心点あるいはこれらの近傍にあるフィラメントコイル
の一部分に集中するが、この部分のコイルピッチ間隔は
広く形成されていて、コイル自体に帰還する赤外線は主
発光している他の部分とは変らず、フィラメントコイル
に局部的に高温度となる部分は発生しない。
【0060】したがって、フィラメントコイルの焦点近
傍には高温のホットスポットの発生がなく、タングステ
ンの局部的な蒸発が防げ、早期に細まって断線すること
のない長寿命の電球を提供できる。また、粗コイルピッ
チとした部分は小範囲であるので、発光特性を低下する
こともない。
【0061】また、請求項9に記載の発明によれば、発
光効率の低下がなく長寿命の反射鏡付電球を提供でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の投光用ハロゲン電球の実施例を示す正
面図である。
【図2】図1のバルブ部分の一部およびフィラメントコ
イルを拡大して示す説明図である。
【図3】本発明の投光用ハロゲン電球の他の実施例を示
す正面図である。
【図4】図3のフィラメントコイルを拡大して示す説明
図である。
【図5】本発明の他のバルブ形状を示す正面図である。
【図6】本発明の他のバルブ形状を示す正面図である。
【図7】本発明の反射鏡付電球の実施例を示す正面図で
ある。
【符号の説明】
L:電球 RL:反射鏡付電球 1:ガラスバルブ F1、F2:焦点 C1、C2:中心点 2:フィラメントコイル 22:主発光部分 23:粗コイルピッチ(部分) 4:封止部 8:可視光透過赤外線反射膜 R:反射鏡

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 密封されたガラスバルブと;このバルブ
    の表面に形成された赤外線反射膜と;上記バルブ内に封
    装されるとともに反射赤外線の帰還率が相対的に高い位
    置に配設する部分を他の部分より粗コイルピッチとした
    フィラメントコイルと;を具備していることを特徴とす
    る電球。
  2. 【請求項2】 ガラスバルブが回転楕円面または回転放
    物面を有し、相対的に他の部分より反射赤外線の帰還率
    の高い位置が焦点に相当することを特徴とする請求項1
    に記載の電球。
  3. 【請求項3】 ガラスバルブが球面を有し、相対的に他
    の部分より反射赤外線の帰還率の高い位置が球面中心に
    相当することを特徴とする請求項1に記載の電球。
  4. 【請求項4】 フィラメントコイルが単コイルであるこ
    とを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一に
    記載の電球。
  5. 【請求項5】 フィラメントコイルが単コイルを巻回し
    た二重コイルであり、上記の単コイル部分に粗コイルピ
    ッチ部分が形成してあることを特徴とする請求項1ない
    し請求項3のいずれか一に記載の電球。
  6. 【請求項6】 フィラメントコイルが単コイルを巻回し
    た二重コイルであり、上記の二重コイル部分に粗コイル
    ピッチ部分が形成してあることをを特徴とする請求項1
    ないし請求項3のいずれか一に記載の電球。
  7. 【請求項7】 フィラメントコイルの粗コイルピッチ部
    分の%ピッチが他の部分の110〜200%で形成して
    あることを特徴とする請求項1、請求項5または請求項
    6のいずれか一に記載の電球。
  8. 【請求項8】 反射体と;この反射体内に設けられた上
    記請求項1ないし請求項7に記載の電球と;を具備した
    ことを特徴とする反射鏡付電球。
  9. 【請求項9】 筐体と;この筐体または筐体内の反射体
    に設けられた上記請求項1ないし請求項7に記載の電球
    と;上記筐体の前面開口部に設けられた制光体と;を具
    備したことを特徴とする照明装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007115552A (ja) * 2005-10-21 2007-05-10 Rigaku Corp X線管用フィラメント及びx線管

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007115552A (ja) * 2005-10-21 2007-05-10 Rigaku Corp X線管用フィラメント及びx線管
JP4662355B2 (ja) * 2005-10-21 2011-03-30 株式会社リガク X線管用フィラメント及びx線管

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