JPH09171615A - 磁気記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体及びその製造方法

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JPH09171615A
JPH09171615A JP33242495A JP33242495A JPH09171615A JP H09171615 A JPH09171615 A JP H09171615A JP 33242495 A JP33242495 A JP 33242495A JP 33242495 A JP33242495 A JP 33242495A JP H09171615 A JPH09171615 A JP H09171615A
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magnetic
lubricant
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magnetic recording
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JP33242495A
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Kenichiro Yoshida
健一郎 吉田
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Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐久性に優れた磁気記録媒体及びその製造方
法の提供。 【解決手段】 非磁性基板12と、該非磁性基板12上
に設けられた磁性層14と、該磁性層14上に設けられ
た保護層24と、該保護層24上に設けられた潤滑剤層
26とを具備する本発明の磁気記録媒体10は、上記潤
滑剤層26の平均膜厚が0.1〜4nmであり且つ水に
対する接触角が55°以上であることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体及び
その製造方法に関するものであり、更に詳しくは、耐久
性に優れる磁気記録媒体及びその製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年の
コンピューターの小型化及び高速化に伴い、外部記憶装
置にも大容量化及び高速アクセス化が要求されている。
コンピューター等の外部記憶装置の中でも、磁気ディス
ク装置は、大容量化及び高速アクセス化に適しているた
め、大きな需要を有している。
【0003】従来、磁気ディスク装置としては、ディス
クの停止時に磁気ヘッドがディスクのランディング領域
に停泊するタイプのものと、ディスクの停止時に磁気ヘ
ッドが装置の格納箇所に格納されるタイプのものとがあ
る。前者のタイプの磁気ディスク装置は、磁気ヘッドを
格納するスペースが不要であるため、装置を小さくでき
るという長所がある。ノートブック型パーソナルコンピ
ューター等の可搬性に富むパーソナルコンピューターが
普及し、磁気ディスク装置の小型化が更に要求されてい
る近年においては、磁気ディスク装置として、このよう
なタイプのものが主流を占めている。
【0004】しかしながら、このタイプの磁気ディスク
装置は、ディスクの起動時及び停止時に、磁気ヘッドと
ディスク表面のランディング領域とが接触及び離脱を繰
り返すため、起動時及び停止時に、ヘッドとディスク表
面との間に摺動状態が生じる。その結果、上記ランディ
ング領域は磁気ディスクの他の領域に比し磨耗が激しく
なる。
【0005】上記摩耗を防止するため、磁気ディスク装
置のディスク表面には一般に潤滑剤層が設けられてい
る。ディスク表面に該潤滑剤層を設ける方法としては、
塗布による方法が一般的であるが、このような潤滑剤層
を設けたディスク装置においても、耐久性の点において
充分なものではない。この問題の解決方法として、潤滑
剤層の厚さを厚くすることが考えられる。しかし、近年
においては高密度記録が要求されるため、磁気ヘッド浮
上高さを低くする必要があるため、潤滑剤層を厚くした
場合、スティクションをおこす恐れがあり、更なる改良
が望まれていた。
【0006】従って、本発明の目的は、耐久性に優れた
磁気記録媒体及びその製造方法を提供することにある。
【0007】本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意
検討したところ、潤滑剤を塗布した直後の潤滑剤層にお
いては、該潤滑剤が保護層上を完全に被覆した状態にな
っておらず該潤滑剤は塊状となっており、各潤滑剤塊間
が離れた状態で保護層上に小さな接触角を保ちながら存
在していることを見い出し、この状態が潤滑剤層の耐久
性に大きく影響していることを知見した。
【0008】本発明は、上記知見に基づいてなされたも
のであり、非磁性基板と、該非磁性基板上に設けられた
磁性層と、該磁性層上に設けられた保護層と、該保護層
上に設けられた潤滑剤層とを具備する磁気記録媒体にお
いて、上記潤滑剤層は、その平均膜厚が0.1〜4nm
であり且つ水に対する接触角が55°以上であることを
特徴とする磁気記録媒体を提供するものである。
【0009】また、本発明は、上記磁気記録媒体の好ま
しい製造方法として、非磁性基板と、該非磁性基板上に
設けられた磁性層と、該磁性層上に設けられた保護層
と、該保護層上に設けられた潤滑剤層とを具備する磁気
記録媒体の製造方法において、上記潤滑剤層形成後の磁
気記録媒体を、密閉容器内で1日以上エージングするこ
とを特徴とする磁気記録媒体の製造方法を提供するもの
である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の磁気記録媒体の好
ましい実施形態を図面を参照して詳細に説明する。ここ
で、図1は、本発明の磁気記録媒体の好ましい第一の実
施形態の構造を示す模式図である。
【0011】図1に示す実施形態の磁気記録媒体10
は、非磁性基板12と、上記非磁性基板12の上に設け
られた第1下地層20と、該第1下地層上に設けられた
第2下地層22と、該第2下地層22上に設けられた磁
性層14と、該磁性層14上に設けられた保護層24
と、該保護層24上に設けられた潤滑剤層26とを具備
している。以下、上記磁気記録媒体10を構成する各層
についてそれぞれ説明する。
【0012】まず、上記磁気記録媒体10における上記
非磁性基板について説明すると、該非磁性基板12とし
ては、例えば、Al基板、NiPめっきAl合金基板、
強化ガラス基板、結晶化ガラス基板、セラミックス基
板、Si合金基板、Ti基板、Ti合金基板、プラスチ
ック基板、カーボン基板、及びこれらの複合材料から成
る基板等が使用できる。これらのうち、特にカーボン基
板、就中ガラス状カーボン基板は、小径/薄板化に有利
であり、耐熱性に優れ、しかも導電性も有しているの
で、本発明において好ましく用いられる。
【0013】次に、上記非磁性基板12と上記磁性層1
4との間にそれぞれ設けられる上記第1下地層20及び
上記第2下地層22について説明すると、該第1下地層
20は、媒体ノイズを低減させる目的で設けられるもの
であり、Ti又はTi合金から構成されるものであるこ
とが好ましい。一方、該第1下地層20上に設けられる
第2下地層22は、上記磁性層14の静磁気特性の向上
を目的として設けられるものであり、この目的のため
に、その材質としては該磁性層14を構成する物質の格
子定数に近いものを用いることが好ましい。特に、第2
下地層22は、Cr又はCrを含む二元合金からなるこ
とが静磁気特性の向上と共に媒体ノイズの低減化の点か
ら好ましい。該Crを含む二元合金の例としては、Cr
Ti、CrMo、CrW、CrNb、CrSi、CrC
o、CrTa等を挙げることができる。
【0014】上記第1下地層及び第2下地層22の厚さ
は、それぞれ5〜200nm及び5〜150nmである
ことが好ましい。上記第1下地層20及び第2下地層2
2は、例えば、真空蒸着、スパッタリング及びイオンプ
レーディング等の物理的気相成長法(PVD)のような
薄膜形成手段によって好ましく形成される。
【0015】次に、上記第2下地層22上に設けられる
磁性層14について説明すると、該磁性層14として
は、例えば、PVDにより形成された金属薄膜型の磁性
層を挙げることができる。該金属薄膜型の磁性層を形成
する材料としては、例えば、CoCr、CoNi、Co
CrX、CoCrPtX、CoSm、CoSmX、Co
NiX及びCoWX(ここで、Xは、Ta、Pt、A
u、Ti、V、Cr、Ni、W、La、Ce、Pr、N
d、Pm、Sm、Eu、Li、Si、B、Ca、As、
Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Ag、Sb及びH
f等からなる群より選ばれる1種又は2種以上の金属を
示し、組成中同一元素の組み合わせは除く)等で表され
るCoを主成分とするCo系の磁性合金等を好ましく挙
げることができる。使用に際しては、これらを単独で又
は2種以上を組み合わせて用いることができる。上記磁
性層14の厚さは20〜50nmであることが好まし
い。
【0016】次いで、上記磁性層上に設けられる上記保
護層24について説明すると、該保護層は、上記磁性層
14を保護するために用いられるものである。上記保護
層は、耐摩耗性の観点から力学的強度の高い材料で形成
されていることが好ましく、例えば、Al、Si、T
i、Cr、Zr、Nb、Mo、Ta、W等の金属の酸化
物(酸化ケイ素、酸化ジルコニウム等);該金属の窒化
物(窒化ホウ素等);該金属の炭化物(炭化ケイ素、炭
化タングステン等);ダイヤモンドライクカーボン等の
カーボン(炭素)及びボロンナイトライド等からなる群
より選択される一種以上が用いられることが好ましい。
また、上記材料の中でも、カーボン、炭化ケイ素、炭化
タングステン、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、窒化ホ
ウ素又はこれらの複合材料が好ましく、更に好ましくは
カーボンであり、中でも特にダイヤモンドライクカーボ
ン及びガラス状カーボンが好ましい。上記保護膜の厚さ
は、一般に5〜25nmであることが好ましい。
【0017】而して、本発明の特徴である、上記保護層
24上に設けられる上記潤滑剤層26について説明する
と、上記潤滑剤層は、磁気記録媒体の走行性及び耐久性
を向上させるために用いられるものであり、例えば厚さ
が目的の厚さになるように潤滑剤を塗布する方法により
形成することができる。該潤滑剤としては、含フッ素系
潤滑剤を好適に用いることができる。該含フッ素系潤滑
剤としては、分子中に極性基を有するもの及び極性基を
有しないものの双方を単独で又は組み合わせて用いるこ
とができる。分子中に極性基を有する上記含フッ素系潤
滑剤としては、−(CF2 CF2 O)n −(CF2 O)
m −骨格を有し、末端に芳香族環又はOH基を有し、且
つ分子量が2000〜4000であるものが好ましい。
具体例としては、フオンブリンAM2001、フオンブ
リンZDOL(アジモント社)等が挙げられる。一方、
分子中に極性基を有しない上記含フッ素系潤滑剤として
は、CF3 −(CF2 CF2 O)n −(CF2 O) m
CF3 で表わされ、分子量が2000〜10000であ
るものが好ましい。具体例としては、フオンブリン Z
03(アオジモント社)等が挙げられる。
【0018】上記潤滑剤層26について更に詳述する
と、該潤滑剤層26は、、その平均膜厚が0.1〜4n
mであり且つ水に対する接触角が55°以上である。上
記潤滑剤層26の平均膜厚は0.5〜2nmであること
が好ましく、1〜1.5nmであることが更に好まし
い。一方、上記潤滑剤層26の水に対する接触角は58
°以上であることが好ましく、分子末端が非極性基であ
る潤滑剤を使用する場合には60〜70°であることが
更に好ましい。上記潤滑剤層26の平均膜厚が4nmを
超えるとスティクションをおこす恐れがあり、0.1n
m未満であると十分な潤滑性能が得られずディスク表面
の耐摩耗性が悪化する。また、上記潤滑剤層26の水に
対する接触角が55°未満であると潤滑剤による被覆が
充分に行われず、ヘッド表面と保護膜表面が直接的に接
するので、耐摩耗性に劣る。なお、上記潤滑剤層26の
水に対する接触角の値は、磁気記録媒体の表面に超純水
の水滴を垂らし、接触角測定器を用いて測定することが
できる。また、平均膜厚はESCAによってC−FのC
(1S)ピーク強度より測定することができる。
【0019】上記潤滑剤層26の平均膜厚及び水に対す
る接触角を上記範囲にする方法としては、特に制限はな
いが、好ましくは後述する方法を用いることができる。
【0020】また、本発明の磁気記録媒体においては、
上記潤滑剤層26の上記保護層24に対する被覆率は6
0%以上であることが好ましく、70〜99.5%であ
ることが更に好ましい。被覆率が60%未満であるとヘ
ッドとディスクの保護膜との接触点のうち潤滑剤を介せ
ずに接する部分が増え、摩耗の進行が早まるので、60
%以上とすることが好ましい。なお、上記被覆率の値
は、角度分解ESCAの手法を用いてC(1S)ピーク
より測定することができる。
【0021】上記潤滑剤層26は、テクスチャー処理に
よる凹凸面の上に設けられていることが好ましい。上記
潤滑剤層26をテクスチャー処理による凹凸面の上に設
けることにより、凹凸面の凸部から凹部へ分散するエネ
ルギーが平滑面に比べて低くなるため、潤滑剤層26の
保護層24に対する被覆率が高くなると共に磁気記録媒
体10の表面とヘッドとの接触面積が小さくなり、ヘッ
ド吸着が低減するので、磁気記録媒体10の耐久性が向
上する。また、磁気記録媒体10の製造に際し、潤滑剤
層26の保護層24に対する被覆率が所望の値になるま
での時間を短くすることができる。尚、上記凹凸面は、
CCS方式をとる磁気ディスク装置において用いられる
磁気ディスクにおいては、磁気ヘッドと接触する領域に
のみ設けられていればよい。
【0022】上記テクスチャー処理による凹凸面の形状
は、下記の条件(1)〜(6)を満たしていることが好
ましい。 (1)最大突起高さから25Åの深さで切ったときの山
の数(PC25)が、5〜100本/mm。 (2)最大突起高さから50Åの深さで切ったときの山
の数(PC50)と上記PC25との比(PC50/P
C25)が1〜3。 (3)平均線におけるハイスポットカウント(HSC)
と上記PC25との比(HSC/PC25)が1〜4。 (4)スキューネスが、1〜5。 (5)最大突起高さが、60〜200Å。 (6)最大突起高さから50Åの深さでのベアリング比
が3%以下。 上記テクスチャー処理による凹凸面の形状が、上記要件
(1)〜(6)を満たすことにより、ディスク面とヘッ
ドとの吸着がより一層低減される。
【0023】上記テクスチャー処理による凹凸面は、そ
の形成方法には特に制限されないが、例えば、下記の方
法により形成することができる。即ち、上記非磁性基板
12、上記第1下地層20、上記第2下地層22又は上
記磁性層14の何れかの表面に直接凹凸面を形成する方
法、及び上記非磁性基板12又は上記各層上に直接又は
別の層を介して凹凸膜を形成することによって凹凸面を
形成する方法等が挙げられる。上記の直接凹凸面を形成
する方法としては、例えば、上記非磁性基板12の表面
を研磨又は研削する方法等が挙げられる。また、上記の
直接又は別の層を介して凹凸膜を形成することによって
凹凸面を形成する方法としては、Al又はAl−M(M
はカーバイド形成能を有する金属である)からなる層
を、スパッタリング等の物理的気相成長法(PVD)に
より上記非磁性基板12の上に形成する方法が挙げられ
る。尚、凹凸面が形成された上記非磁性基板12又は上
記各層の平均表面粗さ(Ra)は10〜100Åである
ことが好ましい。
【0024】本発明の磁気記録媒体は、例えば、磁気ド
ラム、磁気テープ、磁気カード及び磁気ディスク等とし
て有用であり、特に固定ディスク等の磁気ディスクとし
て有用である。
【0025】次に、本発明の磁気記録媒体を製造するた
めの好ましい方法について説明する。本発明の磁気記録
媒体は、好ましくは、非磁性基板と、該非磁性基板上に
設けられた磁性層と、該磁性層上に設けられた保護層
と、該保護層上に設けられた潤滑剤層とを具備する磁気
記録媒体の製造方法において、上記潤滑剤層形成後の磁
気記録媒体を、密閉容器内で1日以上エージングするこ
とを特徴とする方法によって製造される。
【0026】本発明の磁気記録媒体の製造方法において
は、密閉容器内でエージングを1日以上行う工程が重要
である。かかる工程によって、潤滑剤を塗布した直後の
潤滑剤層に存在する塊状の潤滑剤が次第に連続的なもの
に変化し、その結果上記厚さ及び接触角を有する潤滑剤
層が得られる。更には、上記潤滑剤層の上記保護層に対
する被覆率も60%以上となる。従って、上記エージン
グの時間が1日未満であると潤滑剤が保護層表面を充分
に覆う前に、大気中の有機物等が保護膜上の活性点を覆
ってしまい、潤滑剤による被覆がさまたげられてしまう
ので好ましくない。上記エージングの時間は、好ましく
は3〜20日であり、更に好ましくは5〜7日である。
また、上記エージングを密閉容器内で行う理由は、雰囲
気中の活性点を覆う因子を限定するためである。
【0027】上記製造方法におけるエージングの際の密
閉容器内の雰囲気に特に制限はなく、例えば、空気、C
4 、H2 及びO2 等を用いることができるが、好まし
くは不活性ガス雰囲気又は真空条件下で上記エージング
を行う。上記エージングを、不活性ガス雰囲気又は真空
条件下で行うことにより保護層表面の活性点が、空気中
の分子やイオンに覆われずに、潤滑剤分子との吸着をさ
またげないことが好ましい。上記不活性ガスとしては、
例えば、Ar、He、Xe及びN2 等を用いることがで
きる。また、該不活性ガスは、上記密閉容器内に1〜7
60Torrの圧力に充填されることが潤滑剤の気化を
おさえ、且つ被覆を促進する点から好ましい。一方、上
記真空条件下とは、大気圧以下の圧力をいい、好ましい
圧力は1〜380Torrである。
【0028】また、上記製造方法におけるエージング
は、加熱処理しないで行うことが好ましい。加熱処理す
ると潤滑剤が揮発して所定の厚さの潤滑剤層の膜厚をコ
ントロールすることが困難になるからである。ここで、
「加熱処理しない」とは、上記エージングの際に上記密
閉容器を上記潤滑剤が揮発するような温度に積極的に加
熱しないことを意味する。上記エージングの際の特に好
ましい温度は、40℃以下である。
【0029】なお、上記エージングに先立つ上記潤滑剤
層の形成方法に特に制限はなく、例えば、上記潤滑剤層
の説明において例示したような潤滑剤を、ディップコー
ティングやスピンコーティング等により、上記保護層上
に塗布することによって、上記潤滑剤層を形成すること
ができる。
【0030】以上、本発明の磁気記録媒体及びその製造
方法について詳細に説明したが、上記の説明以外に特に
詳述しなかった点については、従来の磁気記録媒体に関
する説明が適宜適用される。例えば、上記製造方法の説
明においては、潤滑剤層形成後の磁気記録媒体のエージ
ングを中心に説明したが、該エージング以外の工程に関
しては、公知の磁気記録媒体の製造方法と同様の方法を
特に制限なく採用することができる。
【0031】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明は、かかる実施例に限定されるものでは
ない。
【0032】〔実施例1〕図1に示す構成の磁気ディス
クを製造した。即ち、密度1.5g/cm3 のアモルファ
スカーボン基板(サイズ2.5”)を研磨し、その平均
表面粗さを0.5〜1.0nmにした。該カーボン基板
を精密洗浄した後、パレットにロードし、4カソードを
有するインライン式スパッタリング装置にセットした。
カソードには、それぞれ4φ”サイズのTi、Cr、C
oCr12Pt6 4 、及びCのターゲットを設置した。
次いで、スパッタチャンバー内を排気し5×10-7mT
orrまで真空にし、上記アモルファスカーボン基板を
ヒーターにより200℃まで加熱して、下記の条件下に
て順次各層の形成を行った。なお、スパッタ時のArガ
ス圧は、各層の形成時すべて5mTorrであった。
【0033】(1)第1下地層 ・材料 :Ti ・基板バイアス電圧:−100V ・膜厚 :50nm (2)第2下地層 ・材料 :Cr ・基板バイアス電圧:−100V ・膜厚 :50nm (3)磁性層 ・材料 :CoCr12Pt6 4 ・基板バイアス電圧:−100V ・膜厚 :35nm (4)保護層 ・材料 :C ・基板バイアス電圧:−100V ・膜厚 :15nm
【0034】上記保護層形成後、Arガスを止め、上記
アモルファスカーボン基板が50℃以下になるまで放置
した。その後、上記保護層上に、フオンブリンZ−03
(アオジモント社)をエージング後の厚さが2nmとな
るようにディップコーディングして潤滑剤層を設け、図
1に示す構成の磁気ディスクを得た。このようにして得
られた磁気ディスクを強化ガラス製密閉容器内に移し、
容器内を10mTorrの真空度に保ち、室温(20
℃)下で3日間エージングを行った。
【0035】得られた磁気ディスクについて、下記〔磁
気ディスクの評価基準〕に従って、それぞれ評価を行っ
た。その結果を表1に示す。
【0036】〔磁気ディスクの評価基準〕 <潤滑剤層の厚さ>FT−IR分析装置を用い、RAS
法により測定した。その際の検量線は、ESCAで測定
した膜厚との相関により作成した。ESCAの測定条件
を以下に示す。 ・測定条件 ・光電子取り出し角;35° ・X線源;単色化Al−Kα線 ・X線出力;15kV−20mA(300W) <潤滑剤層の接触角>磁気ディスク表面に超純水の水滴
を垂らし、5秒後に磁気ディスク表面の水滴の端及び頂
点を結ぶ線と磁気ディスク表面とのなす角度角を測定
し、その2倍の値を接触角とした。 <潤滑剤層の保護層に対する被覆率>ESCAにより保
護層のC(1S)ピーク(1)と潤滑剤層のC−F結合
由来C(1S)ピーク(2)とのエリア曲線∝R〔=
(2)/(1)〕を、光電子取り出し角度25〜90°
の範囲で各々求め、別途求めた潤滑剤層の膜厚で各si
nθ−Rプロットを行い、このシュミレーションより被
覆率を求めた。 <耐久性>CSSテストを10万回行った後の動摩擦係
数の上昇率をCSSテスト開始前の動摩擦係数を基準と
して求め、評価を行った。評価基準は以下の通りであ
る。 ○:上昇率が150%未満である。 △:上昇率が150%以上200%未満である。 ×:上昇率が200%以上である。 <スティクション>CSSテストを10万回行った後
に、2時間停止し、その後で再起動したときの静摩耗係
数が、CCSテストを9万9千回〜10万回行った場合
の静摩擦係数の平均値の130%を超えた場合を、ステ
ィクションありと判定した。
【0037】〔実施例2〕実施例1におけるガラス製容
器内にArガスを10Torr導入した条件下でエージ
ングを行う以外は実施例1と同様に操作を行い、磁気デ
ィスクを得た。得られた磁気ディスクの評価を実施例1
と同様に行った。その結果を表1に示す。
【0038】〔実施例3〕実施例1と同様のアモルファ
スカーボン基板上に、Al−Si(10wt%)をター
ゲットを用いたAl+O2 (10%)の混合ガス雰囲気
中(圧力10mTorr)中でのスパッタリングによ
り、厚さ80nmのAl−Si−O系合金からなる層を
形成した。尚、基板バイアス電圧は0Vで行った。次い
で、実施例1と同様に操作を行い、第1下地層及び第2
下地層を形成した。上記Al−Si−O系合金からなる
層を形成することにより、第2下地層上に、下記条件を
具備する凹凸面が形成された。 ・PC25;12本/mm ・PC50/PC25;1.5 ・HSC/PC25;2.3 ・スキューネス;2.5 ・最大突起高さ;160Å ・最大突起高さから50Åの深さでのベアリング比;
1.0% 次いで、実施例1と同様に操作を行い、保護層及び潤滑
剤層を形成した。得られた磁気ディスクの評価を実施例
1と同様に行った。その結果を表1に示す。
【0039】〔比較例1〕エージングを行わなかった以
外は実施例1と同様に操作を行い、磁気ディスクを得
た。得られた磁気ディスクの評価を実施例1と同様に行
った。その結果を表1に示す。
【0040】〔比較例2〕実施例1における潤滑剤層の
厚さを5nmとする以外は実施例1と同様に操作を行
い、磁気ディスクを得た。得られた磁気ディスクの評価
を実施例1と同様に行った。その結果を表1に示す。
【0041】〔比較例3〕実施例1において潤滑剤層形
成後、エージングを行うのに代えて大気中にて80℃で
1時間加熱処理を行う以外は実施例1と同様に操作を行
い、磁気ディスクを得た。得られた磁気ディスクの評価
を実施例1と同様に行った。その結果を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】表1に示す結果から明らかなように、潤滑
剤層形成後の磁気ディスクを密閉容器内で1日以上エー
ジングして製造された、潤滑剤層の平均膜厚が0.1〜
4nmであり且つ水に対する接触角が55°以上である
本発明の磁気ディスク(実施例1〜3)は、耐久性に優
れたものであることがわかる。これに対して、潤滑剤層
の平均膜厚が4nmを超えるか、または潤滑剤層の接触
角が55°未満である比較例1〜3の磁気ディスクは、
実施例1〜3の磁気ディスクよりも耐久性に劣るもので
ある。
【0044】
【発明の効果】以上、詳述した通り、本発明の磁気記録
媒体は、潤滑剤層の平均膜厚を0.1〜4nmとし、且
つ潤滑剤層の水に対する接触角を55°以上とすること
により、耐久性に優れたものとなる。また、本発明の磁
気記録媒体の製造方法によれば、潤滑剤層形成後の磁気
記録媒体を、密閉容器内で1日以上エージングすること
により、耐久性に優れた磁気記録媒体を得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の好ましい一実施形態の
構造を示す模式図である。
【符号の説明】
10 磁気記録媒体 12 非磁性基板 14 磁性層 20 第1下地層 22 第2下地層 24 保護層 26 潤滑剤層

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性基板と、該非磁性基板上に設けら
    れた磁性層と、該磁性層上に設けられた保護層と、該保
    護層上に設けられた潤滑剤層とを具備する磁気記録媒体
    において、 上記潤滑剤層は、その平均膜厚が0.1〜4nmであり
    且つ水に対する接触角が55°以上であることを特徴と
    する磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 上記潤滑剤層の上記保護層に対する被覆
    率が60%以上である、請求項1記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 上記保護層がカーボンからなる、請求項
    1又は2記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 上記潤滑剤層が、テクスチャー処理によ
    る凹凸面の上に設けられている、請求項1〜3の何れか
    に記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 非磁性基板と、該非磁性基板上に設けら
    れた磁性層と、該磁性層上に設けられた保護層と、該保
    護層上に設けられた潤滑剤層とを具備する磁気記録媒体
    の製造方法において、 上記潤滑剤層形成後の磁気記録媒体を、密閉容器内で1
    日以上エージングすることを特徴とする磁気記録媒体の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 上記エージングを不活性ガス雰囲気又は
    真空条件下で行う、請求項5記載の磁気記録媒体の製造
    方法。
  7. 【請求項7】 上記エージングを加熱処理しないで行
    う、請求項5又は6記載の磁気記録媒体の製造方法。
  8. 【請求項8】 上記保護層をカーボンから形成する、請
    求項5〜7の何れかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
  9. 【請求項9】 上記潤滑剤層を含フッ素系潤滑剤から形
    成する、請求項5〜8の何れかに記載の磁気記録媒体の
    製造方法。
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