JPH09167329A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH09167329A
JPH09167329A JP32920695A JP32920695A JPH09167329A JP H09167329 A JPH09167329 A JP H09167329A JP 32920695 A JP32920695 A JP 32920695A JP 32920695 A JP32920695 A JP 32920695A JP H09167329 A JPH09167329 A JP H09167329A
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JP
Japan
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concentration
magnetic film
amount
layer portion
recording medium
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Pending
Application number
JP32920695A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsumi Sasaki
克己 佐々木
Noriyuki Kitaori
典之 北折
Osamu Yoshida
修 吉田
Junko Ishikawa
准子 石川
Katsumi Endo
克巳 遠藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高域における高い出力、及びオーバーライト
特性に優れた磁気記録媒体を提供することである。 【解決手段】 Fe−N−O系の磁性膜を備えてなり、
前記Fe−N−O系磁性膜の上層部と下層部とにO濃度
が高い領域があり、前記Fe−N−O系磁性膜の中層部
にN濃度が高い領域がある磁気記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、Fe−N−O系磁
性膜を有する磁気記録媒体に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】磁気テープ等の磁気記
録媒体においては、高密度記録化の要請から、非磁性支
持体上に設けられる磁性膜として、バインダ樹脂を用い
た塗布型のものではなく、バインダ樹脂を用いない金属
薄膜型のものが提案されている。すなわち、無電解メッ
キ等の湿式メッキ手段、真空蒸着、スパッタリングある
いはイオンプレーティング等の乾式メッキ手段により磁
性膜を構成した磁気記録媒体が提案されている。そし
て、この種の磁気記録媒体は磁性体の充填密度が高いこ
とから、高密度記録に適したものである。この種の金属
薄膜型の磁気記録媒体における磁性材料としては、例え
ばCo−Cr合金やCo−Ni合金などの磁性金属が用
いられている。しかし、Coは稀少物質であることか
ら、多量に使用するとコストが高く付く。
【0003】そこで、非Co系金属磁性材料としてFe
とNiが考えられるが、Feは安価であり、かつ、環境
汚染の問題も少なく、更には飽和磁化が大きいことか
ら、金属薄膜型の磁気記録媒体の磁性材料としてFeが
注目され始めた。しかし、Feは錆やすいことから、化
学的に安定なものとする必要が有る。このような観点か
ら、磁性膜をFex N(Fe−N)やFe−N−Oで構
成することが提案された。そして、これらの磁性膜で構
成した磁気記録媒体は、磁気特性が良好であり、かつ、
耐蝕性に優れ、高密度記録に優れたものであると謳われ
ている。
【0004】しかし、最近においては、高域における出
力が一層要求され、又、磁気記録媒体は書換えが頻繁に
行われることから、オーバーライト特性の改善が求めら
れている。従って、本発明の目的は、高域における高い
出力、及びオーバーライト特性に優れた磁気記録媒体を
提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記本発明の目的は、F
e−N−O系の磁性膜を備えてなり、前記Fe−N−O
系磁性膜の上層部と下層部とにO濃度が高い領域があ
り、前記Fe−N−O系磁性膜の中層部にN濃度が高い
領域があることを特徴とする磁気記録媒体によって達成
される。
【0006】特に、Fe−N−O系の磁性膜を備えてな
り、前記Fe−N−O系磁性膜の上層部と下層部とにO
濃度が高い領域があり、前記上層部のO濃度が高い領域
と下層部のO濃度が高い領域との間にあってはO濃度が
低く、前記Fe−N−O系磁性膜の中層部にN濃度が高
い領域があり、上層部と下層部とはN濃度が低いことを
特徴とする磁気記録媒体によって達成される。
【0007】又、Fe−N−O系の磁性膜を備えてな
り、前記Fe−N−O系磁性膜のオージェ電子分光分析
において、縦軸にFe量、N量、及びO量を、横軸にス
パッタ時間をとると、スパッタ開始近傍時とスパッタ終
了近傍時においてO量に山が認められ、前記スパッタ開
始近傍時とスパッタ終了近傍時との間においてN量に山
が認められるものであることを特徴とする磁気記録媒体
によって達成される。
【0008】特に、Fe−N−O系の磁性膜を備えてな
り、前記Fe−N−O系磁性膜のオージェ電子分光分析
において、縦軸にFe量、N量、及びO量を、横軸にス
パッタ時間をとると、スパッタ開始近傍時とスパッタ終
了近傍時においてのみO量に山が認められ、前記スパッ
タ開始近傍時とスパッタ終了近傍時との間においてのみ
N量に山が認められるものであることを特徴とする磁気
記録媒体によって達成される。
【0009】上記Fe−N−O系磁性膜の上層部におけ
るO濃度のピーク値O1 は20〜40at.%、下層部
におけるO濃度のピーク値O2 は20〜40at.%、
中層部におけるN濃度のピーク値N1 は20〜40a
t.%であるものが好ましい。特に、Fe−N−O系磁
性膜の上層部におけるO濃度のピーク値O1 が20〜4
0at.%、下層部におけるO濃度のピーク値O2 は2
0〜40at.%、前記上層部と下層部との間の中層部
におけるO濃度O3 は5〜20at.%、O1 >O3
2 >O3 であり、かつ、Fe−N−O系磁性膜の中層
部におけるN濃度のピーク値N1 が20〜40at.
%、上層部におけるN濃度N2 は5〜20at.%、下
層部におけるN濃度N3 は5〜20at.%、N1 >N
2 ,N1 >N 3 であるものが好ましい。
【0010】又、Fe−N−O系磁性膜におけるN濃度
のピーク値N1 がある深さは、最短記録波長の15〜3
5%(特に、20〜30%)であるものが好ましい。
又、Fe−N−O系磁性膜におけるO濃度のピーク値O
1 ,O2 に対応した点においてはFe濃度が低下したも
のが好ましい。又、Fe−N−O系磁性膜におけるN濃
度のピーク値N1 に対応した点においてはFe濃度が低
下したものが好ましい。
【0011】又、Fe−N−O系磁性膜におけるFe
量、N量、及びO量は 50at.%≦Fe量≦90at.% 5at.%≦N量≦35at.% 5at.%≦O量≦35at.% を満たすことが好ましい。
【0012】特に、 60at.%≦Fe量≦84at.% 8at.%≦N量≦20at.% 8at.%≦O量≦20at.% が好ましい。
【0013】又、本発明の磁気記録媒体にあっては、F
e−N−O系の磁性膜以外の磁性膜を持っていても良い
が、Fe−N−O系磁性膜の上には記録再生に用いられ
る磁性膜がない、つまりFe−N−O系磁性膜が最上層
にあるのが好ましい。特に、本発明が規定する内容のF
e−N−O系磁性膜が最上層にあるのが好ましい。尚、
磁性膜の下層部は磁性膜における支持体近傍の部分を言
い、磁性膜の上層部は磁性膜における支持体から遠い表
面近傍の部分を言う。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の磁気記録媒体は、Fe−
N−O系の磁性膜を備えてなり、前記Fe−N−O系磁
性膜の上層部と下層部とにO濃度が高い領域があり、前
記Fe−N−O系磁性膜の中層部にN濃度が高い領域が
ある。特に、Fe−N−O系の磁性膜を備えてなり、前
記Fe−N−O系磁性膜の上層部と下層部とにO濃度が
高い領域があり、前記上層部のO濃度が高い領域と下層
部のO濃度が高い領域との間にあってはO濃度が低く、
前記Fe−N−O系磁性膜の中層部にN濃度が高い領域
があり、上層部と下層部とはN濃度が低い。あるいは、
Fe−N−O系の磁性膜を備えてなり、前記Fe−N−
O系磁性膜のオージェ電子分光分析において、縦軸にF
e量、N量、及びO量を、横軸にスパッタ時間をとる
と、スパッタ開始近傍時とスパッタ終了近傍時において
O量に山が認められ、前記スパッタ開始近傍時とスパッ
タ終了近傍時との間においてN量に山が認められるもの
である。
【0015】尚、上記Fe−N−O系磁性膜の上層部に
おけるO濃度のピーク値O1 は20〜40at.%、下
層部におけるO濃度のピーク値O2 は20〜40at.
%、中層部におけるN濃度のピーク値N1 は20〜40
at.%である。特に、Fe−N−O系磁性膜の上層部
におけるO濃度のピーク値O1 が20〜40at.%、
下層部におけるO濃度のピーク値O2 は20〜40a
t.%、前記上層部と下層部との間の中層部におけるO
濃度O3 は5〜20at.%、O1 >O3 ,O2>O3
であり、かつ、Fe−N−O系磁性膜の中層部における
N濃度のピーク値N1 が20〜40at.%、上層部に
おけるN濃度N2 は5〜20at.%、下層部における
N濃度N3 は5〜20at.%、N1 >N2 ,N1 >N
3 である。
【0016】又、Fe−N−O系磁性膜におけるN濃度
のピーク値N1 がある深さは、最短記録波長の15〜3
5%(特に、20〜30%)である。又、Fe−N−O
系磁性膜におけるO濃度のピーク値O1 ,O2 に対応し
た点においてはFe濃度が低下したものである。又、F
e−N−O系磁性膜におけるN濃度のピーク値N1 に対
応した点においてはFe濃度が低下したものである。
【0017】又、Fe−N−O系磁性膜におけるFe
量、N量、及びO量は 50at.%≦Fe量≦90at.% 5at.%≦N量≦35at.% 5at.%≦O量≦35at.% を満たす。
【0018】本発明の磁気記録媒体は、支持体上にイオ
ンアシスト法により磁性膜を成膜して磁気記録媒体を製
造する方法であって、蒸発源物質としてFeが用いられ
ての蒸着工程と、窒素イオンや窒素活性種を蒸着Fe膜
に衝突させる衝突工程と、酸素イオンあるいは酸素ガス
等の酸素活性種を蒸着Fe膜に衝突させる衝突工程とを
具備し、前記窒素イオンや窒素活性種、及び酸素イオン
や酸素活性種を蒸着Fe膜に衝突させる衝突範囲や衝突
量を制御することによって得られる。例えば、Feが支
持体上に堆積し始めた蒸着初期近傍の地点及び堆積が終
了し終わる蒸着終期近傍の地点の二地点に向けて酸素イ
オンや酸素活性種を主に供給し、又、これらの間におい
て窒素イオンや窒素活性種を主に供給してやることによ
り、上層部と下層部とにO濃度が高い領域があり、上層
部と下層部との間の中層部にあってはO濃度が低く、そ
して中層部にあってはN濃度が高く、上層部と下層部と
にあってはN濃度が低い本発明のFe−N−O系磁性膜
が得られる。
【0019】図1に、本発明で用いるイオンアシスト斜
め蒸着装置を示す。図1中、1は支持体、2aは支持体
1の供給側ロール、2bは支持体1の巻取側ロール、3
は冷却キャンロール、4は遮蔽板、5はルツボ、6はF
e、7は電子銃、8は真空槽、9a,9bは酸素ガス供
給ノズル、10はイオン銃である。図1では、酸素ガス
を供給するタイプのものを示したが、酸素イオンを供給
するようにしても良い。又、イオン銃は一台であるが、
活性酸素あるいは活性窒素を供給するようにすれば、イ
オン銃を用いなくても済む。又、二台以上のイオン銃を
用いても良い。そして、イオン銃10による窒素イオン
の目標照射位置や供給量、及び酸素ガス供給ノズル9
a,9bによる酸素ガスの目標照射位置や供給量を特定
のものとした他は、通常のイオンアシスト斜め蒸着に準
じて行わせることによって、本発明になる図3などのオ
ージェプロファイルのFe−N−O系磁性膜が得られ
る。
【0020】このようにして得られた本発明になる磁気
記録媒体を図2に示す。図2中、1は支持体である。こ
の支持体1は磁性を有するものでも非磁性のものでも良
いが、一般的には、非磁性のものである。例えば、ポリ
エチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミ
ド、ポリイミド、ポリスルフォン、ポリカーボネート、
ポリプロピレン等のオレフィン系の樹脂、セルロース系
の樹脂、塩化ビニル系の樹脂といった高分子材料、ガラ
スやセラミック等の無機系材料、アルミニウム合金など
の金属材料が用いられる。支持体1面上には磁性膜の密
着性を向上させる為のアンダーコート層が必要に応じて
設けられる。すなわち、乾式メッキで構成される磁性膜
の密着性を向上させ、さらに磁気記録媒体表面の表面粗
さを適度なものとして走行性を改善する為、例えばSi
2 等の粒子を含有させた厚さが0.01〜0.5μm
の塗膜を設けることによってアンダーコート層が構成さ
れている。
【0021】アンダーコート層の上には、図1に示した
イオンアシスト斜め蒸着装置によってFe−N−O系の
金属薄膜型の磁性膜11が設けられる。例えば、10-4
〜10-6Torr程度の真空雰囲気下でFeを抵抗加
熱、高周波加熱、電子ビーム加熱などにより蒸発させ、
支持体1のアンダーコート層面上に堆積(蒸着)させる
ことにより、Fe−N−O系磁性膜11が500〜50
00Å、特に500〜2500Å厚形成される。斜め蒸
着の際の入射角は30°〜80°、望ましくは約45°
〜70°である。このFeの蒸着時には窒素イオンや酸
素ガスを蒸着Fe膜に衝突させる。但し、酸素ガスは、
Feが支持体上に堆積し始めた蒸着初期および終了し終
わる蒸着終期向けて主に供給する。窒素イオンは、支持
体上にFeが堆積する中間の位置向けて主に供給する。
前記酸素ガスや窒素イオンの供給量は、Fe−N−O系
磁性膜が上記に規定された内容のものになるよう制御さ
れる。
【0022】12は潤滑剤層である。すなわち、炭化水
素系の潤滑剤やパーフルオロポリエーテル等のフッ素系
潤滑剤、特にフッ素系潤滑剤を含有させた塗料を所定の
手段で塗布することにより、約2〜50Å、好ましくは
約10〜30Å程度の厚さの潤滑剤層12が設けられ
る。13は、支持体1の他面に設けられたカーボンブラ
ック等を含有させた厚さが0.1〜1μm程度のバック
コート層である。尚、バックコート層13は、例えばA
l−Cu合金等の金属を蒸着させて形成したものであっ
ても良い。
【0023】尚、Fe−N−O系磁性膜11の上に厚さ
が10〜200Å程度の保護膜が設けられることが好ま
しい。例えば、ダイヤモンドライクカーボン、グラファ
イト等のカーボン膜、酸化珪素、炭化珪素などの含珪素
膜、特にダイヤモンドライクカーボンからなる保護膜が
設けられることが好ましい。
【0024】
【実施例1】図1に示されるイオンアシスト斜め蒸着装
置に10μm厚のPETフィルム1を装着し、PETフ
ィルム1が2m/分の走行速度で走行させられている。
酸化マグネシウム製のルツボ5にFe6が入っており、
5kWの電子銃7を作動させてFeを蒸発させ、PET
フィルム1にFeを蒸着させると共に、加速電圧300
V、フィラメント電流7.5Aのカウフマン型イオン銃
10に10sccmの窒素ガスを供給すると共に、酸素
ガス供給ノズル9aから30sccmの酸素ガス、酸素
ガス供給ノズル9bから30sccmの酸素ガスを供給
し、PETフィルム1上のFe膜に向けて酸素ガス及び
窒素イオンを照射する。そして、厚さが2490ÅのF
e−N−O系磁性膜を成膜し、その上にパーフルオロポ
リエーテル(潤滑剤)を塗布し、図2に示されるタイプ
の8mmVTR用磁気テープを得た。
【0025】この磁気テープのオージェプロファイル
(測定条件:電子銃;加速電圧10kV、エミッション
電流10nA、倍率2000倍、エッチング条件;エッ
チングガスはアルゴン、加速電圧3kV、イオン電流3
00nA、30秒間毎にエッチング)を図3に示す。こ
のFe−N−O系磁性膜のオージェプロファイルにおい
て、縦軸にFe量、N量、及びO量(Fe量+N量+O
量=100%。尚、最表面層は潤滑剤成分からのCが、
又、支持体との界面側にあっては支持体成分からのCが
認められるが、Fe−N−O系磁性膜の領域にあっては
基本的にはCはないと考える。)を、横軸にスパッタ時
間をとると、スパッタ開始近傍時とスパッタ終了近傍時
においてO量に山が認められ、かつ、その中間時におい
てN量に山が認められる。すなわち、Fe−N−O系磁
性膜の上層部(Fe−N−O系磁性膜表面から600Å
以内の深さにある上層部)にO濃度が高い(山)領域が
あり、以下スパッタの進行につれてO濃度は低下(場合
によっては平坦な部分もあるが)し、そして下層部(F
e−N−O系磁性膜表面から1600Å以上の深さにあ
る下層部)にもO濃度が高い(山)領域がある。かつ、
上層部と下層部との間(中層部、Fe−N−O系磁性膜
表面から600〜1600Åの深さにある中層部)には
N濃度が高い(山)領域がある。特に、Fe−N−O系
磁性膜の上層部におけるO濃度のピーク値O1 は25a
t.%、下層部におけるO濃度のピーク値O2 は22a
t.%、前記二つのピーク値を示す間におけるO濃度O
3 は8〜11at.%である。又、Fe−N−O系磁性
膜の上層部におけるN濃度N2 は9〜13at.%、中
層部におけるN濃度のピーク値N1 は25at.%、下
層部におけるN濃度N3 は8〜13at.%である。そ
して、Fe−N−O系磁性膜におけるピーク値O1 ,O
2 ,N1 に対応した点においてはFe濃度が低下したも
のである。特に、ピーク値N1 に対応した点においては
Fe濃度が谷の如く低下していることが判る。そして、
Fe−N−O系磁性膜におけるFe量は71at.%、
N量は14at.%、O量は15at.%である。
【0026】尚、本発明の磁気記録媒体におけるFe−
N−O系磁性膜の界面については、一般的な取扱いに従
う。
【0027】
【実施例2】実施例1において、イオン銃10に7sc
cmの窒素ガス、酸素ガス供給ノズル9aに30scc
mの酸素ガス、酸素ガス供給ノズル9bに30sccm
の酸素ガスを供給した以外は実施例1に準じて行い、図
2に示されるタイプの8mmVTR用磁気テープを得
た。尚、Fe−N−O系磁性膜の厚さは2510Åであ
る。
【0028】この磁気テープのオージェプロファイルを
図4に示す。このFe−N−O系磁性膜のオージェプロ
ファイルにおいて、縦軸にFe量、N量、及びO量(F
e量+N量+O量=100%)を、横軸にスパッタ時間
をとると、スパッタ開始近傍時とスパッタ終了近傍時に
おいてO量に山が認められ、かつ、その中間時において
N量に山が認められる。すなわち、Fe−N−O系磁性
膜の上層部(Fe−N−O系磁性膜表面から600Å以
内の深さにある上層部)にO濃度が高い(山)領域があ
り、以下スパッタの進行につれてO濃度は低下(場合に
よっては平坦な部分もあるが)し、そして下層部(Fe
−N−O系磁性膜表面から1600Å以上の深さにある
下層部)にもO濃度が高い(山)領域がある。かつ、上
層部と下層部との間(中層部、Fe−N−O系磁性膜表
面から600〜1600Åの深さにある中層部)にはN
濃度が高い(山)領域がある。特に、Fe−N−O系磁
性膜の上層部におけるO濃度のピーク値O1 は25a
t.%、下層部におけるO濃度のピーク値O2 は23a
t.%、前記二つのピーク値を示す間におけるO濃度O
3 は8〜13at.%である。又、Fe−N−O系磁性
膜の上層部におけるN濃度N2 は7〜10at.%、中
層部におけるN濃度のピーク値N1 は18at.%、下
層部におけるN濃度N3 は6〜9at.%である。そし
て、Fe−N−O系磁性膜におけるピーク値O1
2 ,N1 に対応した点においてはFe濃度が低下した
ものである。特に、ピーク値N1 に対応した点において
はFe濃度が谷の如く低下していることが判る。そし
て、Fe−N−O系磁性膜におけるFe量は75at.
%、N量は10at.%、O量は15at.%である。
【0029】
【実施例3】実施例1において、イオン銃10に13s
ccmの窒素ガス、酸素ガス供給ノズル9aに30sc
cmの酸素ガス、酸素ガス供給ノズル9bに30scc
mの酸素ガスを供給し、イオン銃距離を1.3倍とした
以外は実施例1に準じて行い、図2に示されるタイプの
8mmVTR用磁気テープを得た。尚、Fe−N−O系
磁性膜の厚さは2480Åである。
【0030】この磁気テープのオージェプロファイルを
図5に示す。このFe−N−O系磁性膜のオージェプロ
ファイルにおいて、縦軸にFe量、N量、及びO量(F
e量+N量+O量=100%)を、横軸にスパッタ時間
をとると、スパッタ開始近傍時とスパッタ終了近傍時に
おいてO量に山が認められ、かつ、その中間時において
N量に山が認められる。すなわち、Fe−N−O系磁性
膜の上層部(Fe−N−O系磁性膜表面から600Å以
内の深さにある上層部)にO濃度が高い(山)領域があ
り、以下スパッタの進行につれてO濃度は低下(場合に
よっては平坦な部分もあるが)し、そして下層部(Fe
−N−O系磁性膜表面から1600Å以上の深さにある
下層部)にもO濃度が高い(山)領域がある。かつ、上
層部と下層部との間(中層部、Fe−N−O系磁性膜表
面から600〜1600Åの深さにある中層部)にはN
濃度が高い(山)領域がある。特に、Fe−N−O系磁
性膜の上層部におけるO濃度のピーク値O1 は25a
t.%、下層部におけるO濃度のピーク値O2 は23a
t.%、前記二つのピーク値を示す間におけるO濃度O
3 は9〜14at.%である。又、Fe−N−O系磁性
膜の上層部におけるN濃度N2 は10〜15at.%、
中層部におけるN濃度のピーク値N1 は26at.%、
下層部におけるN濃度N3 は9〜14at.%である。
そして、Fe−N−O系磁性膜におけるピーク値O1
2 ,N1 に対応した点においてはFe濃度が低下した
ものである。特に、ピーク値N1 に対応した点において
はFe濃度が谷の如く低下していることが判る。そし
て、Fe−N−O系磁性膜におけるFe量は70at.
%、N量は15at.%、O量は15at.%である。
【0031】
【実施例4】実施例1に準じて行い、8mmVTR用磁
気テープを得た。尚、Fe−N−O系磁性膜の厚さは2
590Åである。そして、本実施例にあっては、Fe−
N−O系磁性膜11の成膜後、ECR−CVD装置を用
いてFe−N−O系磁性膜11の上に厚さが100Åの
ダイヤモンドライクカーボンからなる保護膜を成膜(供
給ガスはCH4 、照射マイクロ波は2.45GHzで出
力600w、真空度10mTorr)した。
【0032】この磁気テープのオージェプロファイルを
図6に示す。このFe−N−O系磁性膜のオージェプロ
ファイルにおいて、縦軸にFe量、N量、及びO量(F
e量+N量+O量=100%)を、横軸にスパッタ時間
をとると、スパッタ開始近傍時とスパッタ終了近傍時に
おいてO量に山が認められ、かつ、その中間時において
N量に山が認められる。すなわち、Fe−N−O系磁性
膜の上層部(Fe−N−O系磁性膜表面から600Å以
内の深さにある上層部)にO濃度が高い(山)領域があ
り、以下スパッタの進行につれてO濃度は低下(場合に
よっては平坦な部分もあるが)し、そして下層部(Fe
−N−O系磁性膜表面から1600Å以上の深さにある
下層部)にもO濃度が高い(山)領域がある。かつ、上
層部と下層部との間(中層部、Fe−N−O系磁性膜表
面から600〜1600Åの深さにある中層部)にはN
濃度が高い(山)領域がある。特に、Fe−N−O系磁
性膜の上層部におけるO濃度のピーク値O1 は25a
t.%、下層部におけるO濃度のピーク値O2 は21a
t.%、前記二つのピーク値を示す間におけるO濃度O
3 は8〜12at.%である。又、Fe−N−O系磁性
膜の上層部におけるN濃度N2 は10〜15at.%、
中層部におけるN濃度のピーク値N1 は26at.%、
下層部におけるN濃度N3 は9〜12at.%である。
そして、Fe−N−O系磁性膜におけるピーク値O1
2 ,N1 に対応した点においてはFe濃度が低下した
ものである。特に、ピーク値N1 に対応した点において
はFe濃度が谷の如く低下していることが判る。そし
て、Fe−N−O系磁性膜におけるFe量は70at.
%、N量は16at.%、O量は14at.%である。
【0033】尚、本実施例にあっては、Fe−N−O系
磁性膜の上にダイヤモンドライクカーボンからなる保護
膜が設けられているから、スパッタ開始初期にあっては
保護膜のCが認められ、この後Fe−N−O系磁性膜の
Fe,N,Oが認められ出す。
【0034】
【比較例1】実施例1において、イオン銃10の距離を
1.3倍にし、13sccmの窒素ガスを供給、酸素ガ
ス供給ノズル9a(酸素ガス供給ノズルは9aのみ)に
15sccmの酸素ガスを供給した以外は実施例1に準
じて行い、図2に示されるタイプの8mmVTR用磁気
テープを得た。
【0035】この磁気テープのオージェプロファイルを
図7に示す。尚、このFe−N−O系磁性膜におけるF
e量は76at.%、N量は16at.%、O量は8a
t.%である。
【0036】
【特性】上記各例の磁気テープについてのオーバーライ
ト特性、及び出力を調べたので、その結果を表−1に示
す。 表−1 オーバーライト特性(dB) 出力(dB) Nピーク点深さ(Å) 実施例1 1.1 0.9 1080 実施例2 0.4 0.1 1080 実施例3 0.7 0.0 980 実施例4 1.0 0.3 1100 比較例1 0.0 0.0 1470 *オーバーライト特性は、波長が1.0μmの信号を記録した後、波長が 0.49μmの信号を上書きし、1.0μmの信号の消去量をdBで表示 *出力は、ドラムテスタにてヘッド−テープ相対速度10m/sにて記録波 長0.49μmの出力値を比較
【0037】
【発明の効果】高域での出力が高く、かつ、オーバーラ
イト特性に優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁気記録媒体製造装置の概略図
【図2】磁気記録媒体の概略断面図
【図3】実施例1のFe−N−O系磁性膜のオージェプ
ロファイル
【図4】実施例2のFe−N−O系磁性膜のオージェプ
ロファイル
【図5】実施例3のFe−N−O系磁性膜のオージェプ
ロファイル
【図6】実施例4のFe−N−O系磁性膜のオージェプ
ロファイル
【図7】比較例1のFe−N−O系磁性膜のオージェプ
ロファイル
【符号の説明】
1 支持体 11 磁性膜(Fe−N−O系磁性膜)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C23C 14/48 C23C 14/48 D 14/56 14/56 K (72)発明者 石川 准子 栃木県芳賀郡市貝町大字赤羽2606 花王株 式会社情報科学研究所内 (72)発明者 遠藤 克巳 栃木県芳賀郡市貝町大字赤羽2606 花王株 式会社情報科学研究所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Fe−N−O系の磁性膜を備えてなり、 前記Fe−N−O系磁性膜の上層部と下層部とにO濃度
    が高い領域があり、 前記Fe−N−O系磁性膜の中層部にN濃度が高い領域
    があることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 Fe−N−O系の磁性膜を備えてなり、 前記Fe−N−O系磁性膜の上層部と下層部とにO濃度
    が高い領域があり、前記上層部のO濃度が高い領域と下
    層部のO濃度が高い領域との間にあってはO濃度が低
    く、 前記Fe−N−O系磁性膜の中層部にN濃度が高い領域
    があり、上層部と下層部とはN濃度が低いことを特徴と
    する磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 Fe−N−O系の磁性膜を備えてなり、 前記Fe−N−O系磁性膜のオージェ電子分光分析にお
    いて、縦軸にFe量、N量、及びO量を、横軸にスパッ
    タ時間をとると、スパッタ開始近傍時とスパッタ終了近
    傍時においてO量に山が認められ、前記スパッタ開始近
    傍時とスパッタ終了近傍時との間においてN量に山が認
    められるものであることを特徴とする磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 Fe−N−O系磁性膜の上層部における
    O濃度のピーク値O 1 が20〜40at.%、下層部に
    おけるO濃度のピーク値O2 は20〜40at.%、中
    層部におけるN濃度のピーク値N1 は20〜40at.
    %であることを特徴とする請求項1〜請求項3いずれか
    の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 Fe−N−O系磁性膜の上層部における
    O濃度のピーク値O 1 が20〜40at.%、下層部に
    おけるO濃度のピーク値O2 は20〜40at.%、前
    記上層部と下層部との間の中層部におけるO濃度O3
    5〜20at.%、O1 >O3 ,O2 >O3 であり、か
    つ、Fe−N−O系磁性膜の中層部におけるN濃度のピ
    ーク値N1 が20〜40at.%、上層部におけるN濃
    度N2は5〜20at.%、下層部におけるN濃度N3
    は5〜20at.%、N1 >N 2 ,N1 >N3 であるこ
    とを特徴とする請求項1〜請求項3いずれかの磁気記録
    媒体。
  6. 【請求項6】 Fe−N−O系磁性膜におけるN濃度の
    ピーク値N1 に対応した点においてはFe濃度が低下し
    たものであることを特徴とする請求項1〜請求項5いず
    れかの磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 Fe−N−O系磁性膜におけるN濃度の
    ピーク値N1 がある深さは、最短記録波長の15〜35
    %であることを特徴とする請求項1〜請求項6いずれか
    の磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】 Fe−N−O系磁性膜におけるO濃度の
    ピーク値O1 ,O2に対応した点においてはFe濃度が
    低下したものであることを特徴とする請求項1〜請求項
    5いずれかの磁気記録媒体。
  9. 【請求項9】 Fe−N−O系磁性膜におけるFe量、
    N量、及びO量は 50at.%≦Fe量≦90at.% 5at.%≦N量≦35at.% 5at.%≦O量≦35at.% を満たすことを特徴とする請求項1〜請求項8いずれか
    の磁気記録媒体。
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