JPH09165855A - パネル状壁材の取り付け方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 安全性に富み、工期を短縮することができ、
コストを低くすることもできるパネル状壁材の取り付け
方法を提供する。 【解決手段】 外壁の構成部材であるパネル状壁材１の
複数枚を下地フレーム２に固定してユニットボード３，
７を構成し、そのユニットボード３，７の外周にシール
部材４を固着し、建築物の骨組み５に上記ユニットボー
ド３，７の幅の分だけの間隔を有して複数のＴ形鋼６を
固着し、そのＴ形鋼６間に上記ユニットボード３，７を
嵌め込み、隣り合うユニットボード３，７の間隔を調節
して、上記シール部材４を密着させてから、建築物の内
側から上記Ｔ形鋼６に上記ユニットボード３，７を固定
する、ことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、パネル状壁材で構
成される外壁を有する建築物のパネル状の壁材取り付け
方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】立体駐車場や倉庫などの建築物の外壁
は、サンドウィッチパネルやＡＬＣ版などのパネル状壁
材が建築物の梁や柱に取り付けられて構成されている。
このパネル状壁材を取り付けるときには、通常、その建
築物の外周に足場を設けて、建築物の外側からパネル状
壁材を一枚一枚取り付け、パネル状壁材とパネル状壁材
の隙間をシーリング（またはコーキング）処理を施して
いた。シーリング処理とは、構成部材の隙間を、シリコ
ン、ポリサルファイド、ガラスパテ、ブチルゴムなどの
粘土状の物質で充填し、硬化させて、水密性、気密性、
断熱性、防音性、防振性、防食性などの性能を発揮させ
ることである。このシーリング処理のうち、硬化したと
きに弾性を有しないガラスパテなどの物質を使用する場
合を、特にコーキング処理という。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上述したパネ
ル状壁材の取り付け方法では、 （１）狭い場所に立体駐車場や倉庫などを建築する場
合、隣地を借用しなければ足場を設けることができなか
った。 （２）足場の設置や撤去は高所作業になるため安全性に
欠けるとともに時間がかかっていた。 （３）雨天のときには危険であるとともにシーリング
（またはコーキング）処理をすることができなかった。 （４）パネル状壁材の一枚一枚に対してシーリング（ま
たはコーキング）処理を施しているため、パネル状壁材
の取り付けに時間がかかっていた。 などの問題点があり、工期が延びたり、コストが高くな
る原因となっていた。

【０００４】本発明は、かかる問題点を解決するために
創案されたものである。すなわち、安全性に富み、工期
を短縮することができ、コストを低くすることもできる
パネル状壁材の取り付け方法を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明によれば、外壁の
構成部材であるパネル状壁材の複数枚を下地フレームに
固定してユニットボードを構成し、そのユニットボード
の外周にシール部材を固着し、建築物の骨組みに上記ユ
ニットボードの幅の分だけの間隔を有して複数のＴ形鋼
を固着し、そのＴ形鋼間に上記ユニットボードを嵌め込
んで、建築物の内側から上記Ｔ形鋼に上記ユニットボー
ドを固定する、ことを特徴とするパネル状壁材の取り付
け方法が提供される。

【０００６】本発明の好ましい実施の形態によれば、隣
り合うユニットボードの間隔を調節してシール部材同志
を密着させてからユニットボードを固定する。また、建
築物の角部にはＬ字状のユニットボードを使用し、さら
にシール部材は中空長尺物のスポンジからなるガスケッ
トであるのが好ましい。

【０００７】本発明のパネル状壁材の取り付け方法によ
れば、外壁の構成部材であるパネル状壁材の複数枚を下
地フレームに固定してユニットボードを構成しているた
め、建築物の骨組みにパネル状壁材を一枚づつ取り付け
る必要がなく、取り付け作業の回数を削減することがで
きる。また、Ｔ形鋼をユニットボードの案内役とするこ
とにより、建築物の骨組みへのユニットボードの取り付
けを容易かつ迅速にすることができる。さらに、ユニッ
トボード間の隙間をガスケットでシールすることによ
り、シーリング（またはコーキング）処理を施す必要が
なくなり、足場を設置することなく、パネル状壁材を取
り付けることができる。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形
態を図１から図５を参照して説明する。

【０００９】図１は本発明で使用するユニットボードを
示す図であり、（Ａ）はその背面図、（Ｂ）は図１
（Ａ）におけるＢ矢視断面図である。図に示すユニット
ボード３は、外壁の構成部材であるパネル状壁材１の３
枚を下地フレーム２に固定し、その外周にシール部材で
ある中空長尺物のスポンジからなるガスケット４を固着
したものである。下地フレーム２は、４本のリップ溝形
鋼８をその溝を内側にして枠組みし、角部内側に軽山形
鋼９を溶接して連結し、パネル状壁材１のつなぎ目にあ
たる部分（２箇所）には、２本のリップ溝形鋼８をその
溝を向かい合わせにして組み合わせ、軽山形鋼９を溶接
して枠組みに固着する、ことにより構成されている。こ
の下地フレーム２に、パッキング材１０を介してパネル
状壁材１を配置し、ビス１１で固定している。このパネ
ル状壁材１のつなぎ目の隙間には、バックアップ材２１
を挿入した後に、コーキング材２２を充填してコーキン
グ処理を施している。このユニットボード２を構成する
パネル状壁材１の外周には、ガスケット４が粘着テープ
２３で固着されている。

【００１０】図２は本発明で使用する建築物角部のユニ
ットボードを示す図であり、（Ａ）はその正面図、
（Ｂ）は図２（Ａ）におけるＢ矢視断面図である。建築
物角部のユニットボードはＬ字状であり、このＬ字状の
ユニットボード７は、外壁の構成部材であるパネル状壁
材１の６枚を下地フレーム１２に固定し、その外周にシ
ール部材である中空長尺物のスポンジからなるガスケッ
ト４を固着したものである。下地フレーム１２は、中空
箱形の軽量鉄骨１３の隣り合う２面に、それぞれ２本の
リップ溝形鋼８をその溝を内側にして軽量鉄骨１３の両
端に軽山形鋼９を溶接して連結し、そのリップ溝形鋼８
の端と端を繋ぐようにもう１本のリップ溝形鋼８をその
溝を内側にして軽山形鋼９を溶接して枠組みし、パネル
状壁材１のつなぎ目にあたる部分（２箇所）には、２本
のリップ溝形鋼８をその溝を内側にして組み合わせ、軽
山形鋼９を溶接して枠組みに固着することにより構成さ
れている。この下地フレーム１２に、パッキング材１０
を介してパネル状壁材１を配置し、ビス１１で固定して
いる。このパネル状壁材１のつなぎ目の隙間には、バッ
クアップ材２１を挿入した後に、コーキング材２２を充
填してコーキング処理が施されている。また、軽量鉄骨
１３の角部の外面にはアルミ板１４（他にステンレス板
やスティール板などが使用される場合もある。以下、同
じ。）の両端が固着され、アルミ板１４は軽量鉄骨１３
の外面からパネル状壁材１と同等の高さにまで垂直に立
ち上がりＬ字状のユニットボード７の角部を構成してい
る。このユニットボード７を構成するパネル状壁材１の
外周には、ガスケット４が粘着テープで固着されてい
る。

【００１１】図３は、ユニットボードを全て取り付けた
状態を示す建築物の全体図であり、（Ａ）はその正面
図、（Ｂ）は図３（Ａ）におけるＢ矢視断面図である。
図に示す建築物は立体駐車場の場合であり、図中の２４
は入出庫口である。この図において、全体でパネル状壁
材１は４６０枚必要であるが、本発明によればユニット
ボード３が１２６枚、Ｌ字状のユニットボード７が２８
枚、全体で１５４枚で済んでしまう。したがって、その
取り付け作業回数を３０６回分も削減することができ
る。さらに、図１および図２で示したように、ユニット
ボード３，７の外周にはガスケット４が固着されている
ため、ユニットボード３，７を固定した後にその隙間を
シーリング（またはコーキング）処理を施すことなく止
水することができる。したがって、取り付け作業を大幅
に短縮することができる。

【００１２】なお、図３（Ｂ）における建築物の骨組み
５およびＴ形鋼６については、図４〜図６の説明におい
て詳述する。

【００１３】図４は、図３（Ｂ）におけるＣ部拡大図で
ある。図に示すように、ユニットボード３は、左右に隣
り合うユニットボード３の間隔を調節する間隔調節機構
１５で連結され、ガスケット４が止水効果を発揮できる
ように密着されている。この間隔調節機構１５は、例え
ば、図に示すようにボルト１６とナット１７とからな
る。このボルト１６は、ユニットボード３の下地フレー
ム２に予め設けられている貫通孔に、建築物の内側から
通されて、リップ溝形鋼８に溶接されたナット１７に螺
合される。図に示すように、ユニットボード３は建築物
の骨組み５に固着されたＴ形鋼６間に嵌め込まれ、建築
物に内側からビス１８で固定されている。なお、ユニッ
トボード３は、この間隔調節機構１５でガスケット４を
密着させた後、ビス１８でＴ形鋼６に固定される。ま
た、Ｌ字状のユニットボード７の場合も同様である。

【００１４】図５は、図３（Ａ）におけるＡ矢視断面図
である。図に示すように、ユニットボード３は、上下に
隣り合うユニットボード３の間隔を調節する間隔調節機
構１５で連結され、ガスケット４が止水効果を発揮でき
るように密着されている。この間隔調節機構１５は図４
で示すものと同じである。なお、Ｌ字状のユニットボー
ド７の場合も同様である。

【００１５】図４および図５に示すように、Ｔ形鋼６は
建築物の骨組み５の頂部から底部まで真っ直ぐに連続的
に溶接されて固着されている。これらのＴ形鋼６は、ユ
ニットボード３，７を取り付ける前に、建築物の骨組み
５にユニットボード３，７の幅の分だけの間隔を有して
溶接して固着される。図３に示すような立体駐車場の場
合には、建築物内部のゴンドラなどを利用することによ
り、容易にＴ形鋼６を建築物の骨組み５に固着すること
ができる。

【００１６】図６はユニットボードを取り付けるときの
図であり、（Ａ）はユニットボードを吊り上げた状態を
示し、（Ｂ）はユニットボードをスライドさせている状
態を示している。予め他の場所で必要な枚数のユニット
ボード３，７を組み立てておくとともに、ワイヤ１９を
引っ掛けるための吊りピース２０を下地フレームに取り
付けておく。この吊りピース２０にワイヤ１９を引っ掛
けて、建築物の骨組み５の頂部に設けられた小型クレー
ン（図示せず）やトラッククレーン（図示せず）などで
ユニットボード３（７）を吊り上げ、建築物の内部から
ワイヤ１９およびユニットボード３（７）を引き寄せ、
Ｔ形鋼６間に上からスライドさせながら押し込んでい
く。所定の位置にユニットボード３（７）が来たら、周
囲を取り巻くユニットボード３，７と密着するように、
図４および図５に示す間隔調節機構１５によりその間隔
を調節してガスケット４を密着させて止水し、建築物の
内側からビス１８で固定する。ユニットボード３，７の
取り付け順序は、１階角部から取り付け、その対向する
角部が最後になるように平面部および角部を取り付けて
いく。なお、ユニットボード３，７を建築物の内側から
ビス１８で固定する場合には、Ｔ形鋼６を建築物の骨組
み５に固着するときと同様に、建築物が立体駐車場の場
合には、建築物内部のゴンドラなどを利用する。

【００１７】本発明によれば、パネル状壁材１を建築物
の内側から取り付けることができるとともに、ユニット
ボード３，７間の隙間をガスケット４で止水することに
より、ユニットボード３，７を取り付けるときにシーリ
ング（コーキング）処理を施す必要がないため、足場を
設ける必要がない。また、パネル状壁材１をユニット化
することにより、取り付ける作業の回数を減らすことが
できる。

【００１８】なお、本発明は上述した実施の形態に限定
されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更でき
ることは勿論である。

【００１９】

【発明の効果】上述したように、本発明のパネル状壁材
の取り付け方法によれば、パネル状壁材を建築物の内側
から固定するようにしたこと、およびパネル状壁材を建
築物に取り付けるときにシーリング（コーキング）処理
を施さずに止水できるようにしたことにより、建築物の
外周に足場を設置する必要がない。したがって、狭い場
所に立体駐車場や倉庫などを建築する場合でも隣地を借
用する必要がなく、足場の設置や撤去などの高所作業が
無くなることで安全性に優れ、さらに雨天のときでも安
全に作業を進めることができる。また、パネル状壁材を
ユニット化することにより、建築物の壁の構成単位を大
きくすることができ、その取り付け作業自体を容易かつ
短縮することができる。これらの結果、工期を大幅に短
縮することができるとともに、コストを低減することが
できる、などの優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明で使用するユニットボードを示す図であ
り、（Ａ）はその背面図、（Ｂ）は図１（Ａ）における
Ｂ矢視断面図である。

【図２】本発明で使用する建築物角部のユニットボード
を示す図であり、（Ａ）はその平面図、（Ｂ）は図２
（Ａ）におけるＢ矢視断面図である。

【図３】ユニットボードを全て取り付けた状態を示す建
築物の全体図であり、（Ａ）はその正面図、（Ｂ）は図
３（Ａ）におけるＢ矢視断面図である。

【図４】図３（Ｂ）におけるＣ部拡大図である。

【図５】図３（Ａ）におけるＡ矢視断面図である。

【図６】ユニットボードを取り付けるときの図であり、
（Ａ）はユニットボードを吊り上げた状態を示し、
（Ｂ）はユニットボードをスライドさせている状態を示
している。

【符号の説明】

１ パネル状壁材 ２，１２ 下地フレーム ３ ユニットボード ４ シール部材（ガスケット） ５ 骨組み ６ Ｔ形鋼 ７ Ｌ字状のパネル状壁材 ８ リップ溝形鋼 ９ 軽山形鋼 １０ パッキング材 １１，１８ ビス １３ 軽量鉄骨 １４ アルミ板 １５ 間隔調節機構 １６ ボルト １７ ナット １９ ワイヤ ２０ 吊りピース ２１ バックアップ材 ２２ コーキング材 ２３ 粘着テープ ２４ 入出庫

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上村 司 東京都中央区明石町６番４号 石川島運搬 機械株式会社内 (72)発明者 園山 延雄 大阪府大阪市北区芝田１丁目４番14号 旭 化工板製造株式会社内

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 外壁の構成部材であるパネル状壁材の複
   数枚を下地フレームに固定してユニットボードを構成
   し、そのユニットボードの外周にシール部材を固着し、
   建築物の骨組みに上記ユニットボードの幅の分だけの間
   隔を有して複数のＴ形鋼を固着し、そのＴ形鋼間に上記
   ユニットボードを嵌め込んで、建築物の内側から上記Ｔ
   形鋼に上記ユニットボードを固定することを特徴とする
   パネル状壁材の取り付け方法。
2. 【請求項２】 隣り合うユニットボードの間隔を調節し
   てシール部材同志を密着させてから、ユニットボードを
   固定する請求項１記載のパネル状壁材の取り付け方法。
3. 【請求項３】 建築物の角部には、Ｌ字状のユニットボ
   ードを使用する請求項２記載のパネル状壁材の取り付け
   方法。
4. 【請求項４】 上記シール部材は、中空長尺物のスポン
   ジからなるガスケットである請求項１または請求項２記
   載のパネル状壁材の取り付け方法。