JPH09165538A

JPH09165538A - インクジェット用顔料インク

Info

Publication number: JPH09165538A
Application number: JP32866295A
Authority: JP
Inventors: Chie Hamadate; 千絵濱舘; Takeshi Yadoiwa; 武宿岩; Atsunori Satake; 厚則佐竹
Original assignee: Mitsubishi Pencil Co Ltd
Current assignee: Mitsubishi Pencil Co Ltd
Priority date: 1995-12-18
Filing date: 1995-12-18
Publication date: 1997-06-24

Abstract

(57)【要約】【課題】印字が滲みにくく、吐出性能が良好な、目詰
まりのないインクジェット用顔料インクを提供する。【解決手段】顔料、顔料分散剤、水およびポリグリセ
リンのアルキレンオキサイド付加物を含有するインクジ
ェット用顔料インク。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、記録ヘッドに設け
られた微細なインク吐出口（吐出オリフィス）からイン
クを吐出させることにより飛翔液滴を形成して、その液
滴によって記録を行うインクジェット記録装置に適した
顔料インクに関する。

【０００２】

【従来の技術】インクジェット記録方式による記録は、
低騒音であり、かつ記録の高速化およびカラー化が容易
であるために近年各種のプリンター、コピー、ファクシ
ミリなどへ応用され、その開発が盛んに行われている。
このようなインクジェット記録方法は、インクの小液滴
を飛翔させ、これを被記録材に付着させて記録するもの
である。それに使用する記録液は、通常記録剤（染料ま
たは顔料）およびこれを溶解または分散する液媒体（水
または各種有機溶剤あるいはこれらの混合物）を基本的
成分とし、また必要に応じて各種添加剤が添加されてい
るものである。最近では、記録された印字の耐水性、耐
光性が要求され、また高濃度印字の要望が高い。現在の
ところこのような特性を持つインクとしては、顔料を用
いたインクがあげられ、インクジェット用としてもこれ
までに様々なインクが提案されている。しかし、顔料イ
ンクでは、顔料と分散剤、溶剤、添加剤などとの組み合
わせによってはインクの吐出が安定に保持できないとい
う問題があり、顔料を用いたインクをオリフィスから安
定に吐出させるための必要な条件をすべて満たすことは
困難である。

【０００３】一方、前記のようなインクジェット用イン
クでは、一般に安全性の高い水系のインクが使用されて
いるが、水系のインクでは、一般に使用されているコピ
ー用紙やレポート用紙、ノート、便箋などの普通紙に印
字した場合、滲みが生じ、鮮明な印字が得られないとい
う欠点がある。また、前記インクジェット用インクは、
オリフィスでの目詰まりを防止する目的で多価アルコー
ルなどの高沸点の水溶性溶剤を添加しているが、多価ア
ルコールを目詰まり防止効果が現れる程度添加すると、
被記録材上での乾燥が非常に遅くなり、印字の定着性が
悪くなるという問題を生じる。そこで、被記録材への定
着性を良好にする目的で一価アルコールなどの高揮発性
の水溶性溶剤が用いられているが、一価アルコールのよ
うな水溶性溶剤を添加すると、普通紙に対する滲みがさ
らにひどくなってしまうという問題がある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】このように前記した従
来の顔料インクでは十分な吐出性能が得られず、顔料が
凝集して目詰まりを起こしたり、たとえ吐出性能の良好
なインクが得られても、印字の滲みが生じるなどの問題
がある。本発明の目的はこれらの問題を解決することで
ある。したがって印字が滲みにくく、しかも吐出性能が
良好であり、さらに目詰まりのないインクジェット用顔
料インクを提供しようとするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために鋭意研究を行った結果、顔料インクに
ポリグリセリンのアルキレンオキサイド付加物を含有さ
せることにより、前記目的を達成し得ることを見いだ
し、この知見について本発明を完成した。

【０００６】本発明のインクジェット用顔料インクは、
顔料、分散剤、水およびポリグリセリンのアルキレンオ
キサイド付加物を含有することを特徴とする。好ましく
は、重合度２〜４のポリグリセリンにアルキレンオキサ
イドが１〜６０モル付加したポリグリセリンのアルキレ
ンオキサイド付加物を全インクの０．５〜４０重量％、
顔料が全インクの２〜３０重量％、分散剤が全インクの
０．１〜１０重量％および水が４０〜９０重量％含有し
てなるインクジェット用顔料インクである。

【０００７】

【発明の実施の形態】本発明のインクに用いるポリグリ
セリンのアルキレンオキサイド付加物とは、重合度２〜
４のポリグリセリンにアルキレンオキサイドが１〜６０
モル付加したものであり、たとえば、ジグリセリン、ト
リグリセリンなどのグリセリン２〜４モルの重合物にエ
チレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドまたは
それらの混合物を１〜６０モル付加したものの一種であ
る。ポリグリセリンのアルキレンオキサイド付加物の含
有量としては、全インクの０．５〜４０重量％が好まし
いが、さらに好ましくは１〜３０重量％である。０．５
重量％以下では目詰まり防止が不十分であり、また、４
０重量％をこえるとインクの粘度を高くなるため、吐出
性能が低下する。

【０００８】本発明のインクにおいて、ポリグリセリン
のアルキレンオキサイド付加物は、水溶性溶剤と混合し
て用いてもよい。その溶剤としては、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、グリセリンなどの水溶性多
価アルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテ
ル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのセル
ソルブ類、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、
ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのカルビ
トール類、エチレングリコールモノエチルエーテルアセ
テートのようなグリコールエーテルエステル類が挙げら
れる。これらはオリフィスの目詰まり防止に効果があ
る。また、その含有量は、全インクに対して通常４０重
量％以下好ましくは５〜４０重量％で選ばれる。

【０００９】その他にも例えば、メチルアルコール、エ
チルアルコール、イソプロピルアルコール、ｎ−ブチル
アルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアル
コール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール、ノ
ニルアルコール、デシルアルコール、ベンジルアルコー
ルなどのアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジエチ
ルアセトアミドなどのアミド類、アセトンなどのケトン
類、Ｎ−メチルピロリドン、１，３−ジメチル−２−イ
ミダゾリジノンなどの水溶性溶剤を混合することもでき
る。

【００１０】本発明のインクに用いられる顔料の種類は
特に制限はなく、従来水性顔料インクに慣用されている
無機系および有機系顔料の中から任意のものを使用する
ことができる。無機系顔料としては、たとえば酸化チタ
ン、カーボンブラック、金属粉などが挙げられ、また有
機系顔料としては、たとえばアゾレーキ、不溶性アゾ顔
料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン
およびペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリド
ン顔料、染料レーキ、ニトロ顔料、ニトロソ顔料などが
挙げられる。具体的には、フタロシアニンブルー（Ｃ．
Ｉ．７４１６０）、フタロシアニングリーン（Ｃ．Ｉ．
７４２６０）、ハンザイエロー３Ｇ（Ｃ．Ｉ．１１６７
０）、ジスアゾエローＧＲ（Ｃ．Ｉ．２１１００）、パ
ーマネントレッド４Ｒ（Ｃ．Ｉ．１２３３５）、ブリリ
アントカーミン６Ｂ（Ｃ．Ｉ．１５８５０）、キナクリ
ドンレッド（Ｃ．Ｉ．４６５００）が使用できる。これ
らの顔料はそれぞれ単独で用いてもよいし、２種類以上
を組み合わせて用いてもよく、その含有量は、全インク
の重量に基づき、通常２〜３０重量％好ましくは５〜１
５重量％の範囲で選ばれる。

【００１１】本発明のインク中における分散剤とは、顔
料粒子表面に吸着して、水中に顔料を分散するために用
いるものであり、ノニオン、アニオン系界面活性剤や水
溶性高分子が用いられる。好ましくは水溶性高分子が用
いられる。

【００１２】ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキ
シアルキレン高級脂肪酸エステル、多価アルコールの高
級脂肪酸部分エステル、糖の高級脂肪酸エステルなどが
あり、具体的にはグリセリンの高級脂肪酸エステル、ポ
リグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂
肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオ
キシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエ
チレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン
グリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキ
ルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロール、ポ
リオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテ
ル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポ
リオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリ
ン、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキ
シエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸
アミド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムア
ミド縮合物などがある。

【００１３】アニオン系界面活性剤としは、高級脂肪酸
アミドのアルキル化スルフォン酸塩、アルキルアリルス
ルフォン酸塩などがあり、具体的には、アルキル硫酸
塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、Ｎ‐
アシルアミノ酸塩、Ｎ‐アシルメチルタウリン塩、ポリ
オキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、アルキルリン
酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩な
どがある。

【００１４】水溶性高分子としては、ポリアクリル酸、
アクリル酸共重合体、マレイン酸樹脂などがあり、具体
的には、アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、スチレ
ンマレイン酸樹脂などの樹脂を塩の形にして水溶性にし
たものを用いる。塩を形成するアルカリ金属としては、
ナトリウム、カリウムが代表的であり、アミンとしては
モノ‐、ジ‐またはトリ‐メチルアミンなどの脂肪族第
１から第３級アミン、モノ‐ジまたはトリ‐プロパノー
ルアミン、メチルエタノールアミン、メチルプロパノー
ルアミンジメチルエタノールアミンなどのアルコールア
ミンその他アンモニア、モルホリンおよびＮ‐メチルホ
リンなどが代表的である。その含有量は全インク中０．
１〜１０重量％である。

【００１５】本発明のインクに用いる水は特に限定しな
いが４０〜９０重量％が望ましい。

【００１６】以上の他、本発明のインクは、防腐剤とし
てフェノール安息香酸ナトリウムなど、防錆剤としてベ
ンゾトリゾール、ジシクロヘキシルアンモニム・ナイト
ライト、ジイソプロピルアンモニウム・ナイトライトな
ど、ＰＨ調整剤としてトリエタノールアミン、ジエタノ
ールアミン、アンモニアなど、表面張力調整剤、粘度調
整剤など種々の添加剤を含有することができる。

【００１７】本発明の水性インクは吐出安定性に優れ、
ポリグリセリンのアルキレンオキサイド付加物のグリセ
リンもしくはアルキレンオキサイドの高分子連鎖の影響
による適度の粘性および分散性の影響により表面張力が
極端に低下しないため、印字した場合に滲みが少なく高
品位な印字が得られるものと考えられる。また、ポリグ
リセリンのアルキレンオキサイド付加物を用いたインク
において、染料では滲み易く、顔料では滲みにくいのか
は明らかではないが、染料と顔料との溶剤に対する溶解
性の違いによるものと思われる。

【００１８】

【実施例】以下、実施例、比較例において本発明のイン
クをさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によ
ってなんら限定されるものではない。実施例１、２、比
較例１、２のインクは各成分を撹拌・混合した後、サン
ミドルにて５時間分散し、さらに粗大粒子を遠心分離機
により除去することにより得た。比較例３の染料インク
は、各成分を４０〜６０℃で１時間撹拌した後に冷却
し、さらに濾過して得た。各実施例、比較例で得られた
インクの評価は次の印字試験の判定で行った。結果を表
１に示した。

【００１９】各インクを熱エネルギーを利用したインク
ジェットプリンター（ヒューレット・パッカード社製）
に搭載して、コピー用紙に印字し、ノズルの目詰まりお
よび用紙上におけるインクの滲みについてつぎのような
試験を行った。ノズルの目詰まり；１度印字したインクについて印字ヘ
ッドにキャップをせずに２４時間放置し、再び印字操作
を行った場合の状況をつぎの基準で評価した。 ○ 全く目詰まりせず、きれいに印字できる。 △ 少し目詰まりしている。 × 完全に目詰まりを起こし、印字不可能となる。インク滲み；印字を目視で観察し、つぎの基準で評価し
た。 ○ 滲みがなく、鮮明な印字である。 △ 滲みがあり、不鮮明な印字である。 × 滲みが著しく非常に不鮮明な印字である。

【００２０】（実施例１）下記の配合で黒色インクジェ
ット用顔料インクを調製した。カーボンブラック〔商品名“MA‐100”（三菱化学(株)製）〕 8.0重量％エチレングリコール 10.0 ジグリセリンのエチレンオキサイド30モル付加物 5.0 スチレンアクリル酸樹脂アンモニウム塩 3.0 リノール酸カリウム 0.3 トリエタノールアミン 0.5 フェノール 0.1 ベンゾトリアゾール 0.1 精製水 73.0 合計１００．０

【００２１】（実施例２）下記の配合でシアン色インク
ジェット用顔料インクを調製した。フタロシアニンブルー〔商品名“ＣｈｒｏｍｏｆｉｎｅＢｌｕｅ４９６
５” （大日精化(株)製）〕 8.0重量％グリセリン 5.0 トリグリセリンのプロピレンオキサイド20モル付加物 10.0 スチレンマレイン酸樹脂アンモニウム塩 3.0 リシノール酸ナトリウム 0.3 トリエタノールアミン 0.5 フェノール 0.1 ベンゾトリアゾール 0.1 精製水 73.0 合計 100.0

【００２２】（比較例１）ジグリセリンのエチレンオキ
サイド３０モル付加物を使用せず、エチレングリコール
を１５％にした以外は、実施例１と同様にして調製し、
黒色水性顔料インクを得た。

【００２３】（比較例２）トリグリセリンのプロピレン
オキサイド２０モル付加物を使用せず、グリセリンを１
５％にし、リシノール酸ナトリウムを０．５％にし、精
製水を７２．８％にした以外は、実施例２と同様にして
調製し、シアン色水性顔料インクを得た。

【００２４】（比較例３）次の配合にて、黒色水性染料
インクを調製した。 C.I．ダイレクトブラック＃19〔商品名“WATER BLACK 100-L” （オリエント化学工業(株)製）〕 5.0重量％エチレングリコール 17.0 ジグリセリンのエチレンオキサイド30モル付加物 5.0 リノール酸カリウム 0.3 トリエタノールアミン 0.5 フェノール 0.1 ベンゾトリアゾール 0.1 精製水 79.0 合計 100.0

【００２５】以上、実施例１、２、比較例１〜３で得ら
れたインクを用いて印字試験を行った結果を表１に示
す。

【表１】

【００２６】

【発明の効果】本発明のインクジェット用顔料インク
は、印字の滲みが少なく、さらにオリフィス先端部での
ドライアップを抑制して目詰まりを防止する効果を持
ち、これを用いてインクジェットプリンターの吐出の安
定を保持することができる。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】顔料、顔料分散剤、水およびポリグリセ
リンのアルキレンオキサイド付加物を含有することを特
徴とするインクジェット用顔料インク。
【請求項２】前記ポリグリセリンのアルキレンオキサ
イド付加物を全組成物の０．５〜４０重量％含有してな
る請求項１記載のインクジェット用顔料インク。
【請求項３】重合度２〜４のポリグリセリンにアルキ
レンオキサイドが１〜６０モル付加したポリグリセリン
のアルキレンオキサイド付加物を全重量の０．５〜４０
重量％、顔料が組成物の２〜３０重量％、分散剤が組成
物の０．１〜１０重量％および水が４０〜９０重量％含
有してなる請求項１記載のインクジェット用顔料イン
ク。
【請求項４】分散剤が水溶性高分子である請求項３記載
のインクジェット用顔料インク。