JPH09159036A - 方向制御弁 - Google Patents

方向制御弁

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JPH09159036A
JPH09159036A JP34554595A JP34554595A JPH09159036A JP H09159036 A JPH09159036 A JP H09159036A JP 34554595 A JP34554595 A JP 34554595A JP 34554595 A JP34554595 A JP 34554595A JP H09159036 A JPH09159036 A JP H09159036A
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holes
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司 豊岡
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林道 森川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】スプールのストロークの途中での異音の発生が
なくあるいは少なくとも最少限に抑えるとともにこれに
起因する車体の振動を防止して操作性を向上させ、しか
も部品の追加や弁構成の大きな変更を要さずに簡単かつ
低コストで達成することができる再生回路付き方向制御
弁を提供する。 【解決手段】スプールに軸方向通路孔を形成し、この軸
方向通路孔の端部領域にタンクポートに常時通じる複数
個の絞り用通孔と、スプールが移動したときにシリンダ
ポートに通じる複数個からなる戻り油導入孔を設け、軸
方向通路孔の他端部領域には、チェック弁と該チェック
弁が開弁したときに供給側のシリンダポートに通じる複
数個の絞り用通孔を配設した方向制御弁において、前記
戻り油導入孔を軸方向通路孔に対し非直交の傾斜孔とし
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は方向制御弁とりわけ
再生回路を有する方向制御弁の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】建設機械たとえば油圧式パワーショベル
などにおいては、走行用、ブーム用、アーム用、バケッ
ト用など複数の油圧アクチュエータが用いられており、
これらは油圧ポンプからの圧油の流れを多連型の方向制
御弁によって切換えることで操作されるようになってい
る。こうした油圧アクチュエータにおいては、スピード
アップや複合操作性の改善などのために戻り油の一部を
供給系に再生使用することがある。すなわち、たとえば
ブーム用油圧アクチュエータとしては油圧シリンダが用
いられるが、ブームを振り上げた状態から空中の任意位
置まで下げるときに、油圧シリンダのボトム側室(ピス
トン側)の油を全部タンクに戻すのでなく一部を油圧ポ
ンプからの供給系に合流させてロッド側に導入使用する
ことがある。
【0003】この手段として、特開昭58−21107
4号公報には再生回路付きの方向制御弁が提案されてい
る。かかる先行技術においては、両側のシリンダポート
とそれよりもさらに外側にタンクポートを設けた本体に
スプールを挿通し、そのスプールに軸方向通路孔を形成
し、この軸方向通路孔の一端部領域に、戻り油側に接続
した一方のシリンダポートに対応するタンクポートと常
時通じる複数個の低圧用通孔と、スプールが移動したと
きに前記シリンダポートに通じる複数個の戻り油導入用
通孔を穿設し、軸方向通路孔の他端部領域には、チェッ
ク弁を対向状に配置すると共に、その近傍に該チェック
弁が開弁したときに軸方向通路孔を通った戻り油を供給
側のシリンダポートに送り込む供給用通孔を配設してい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような先行技術に
おいては、スプールを操作したときに油圧アクチュエー
タの戻り油はシリンダポートから戻り油導入用通孔を通
って軸方向通路孔内に流入し、一部が低圧用通孔からタ
ンクポートに流れ、他が軸方向通路孔の他端のチェック
弁を開弁し、供給用通孔からシリンダポートに流れポン
プからの吐出圧油と合流し、油圧アクチュエータの他側
室へと送り込まれるのである。ところが、このような再
生回路付きの方向制御弁を実際に使用すると、スプール
の移動ストロークの途中のあるポイントで異常な流体音
が発生し、非常に耳障りであった。また、その流体音は
振動波として油圧ホースや油圧ユニットに伝播して車体
そのものの振動として現われる。このため、この異音と
車体の振動によりオペレータに大きな不快感を与え、微
妙な操作に神経を集中できなくなってスムーズに的確な
アクチュエータの作動を行えなくなりやすいという問題
があった。
【0005】本発明は前記のような問題点を解消するた
めに研究して創案されたもので、その目的とするところ
は、スプールのストロークの途中での異音の発生がなく
あるいは少なくとも最少限に抑えることができるととも
に、これに起因する車体の振動が防止され、オペーレー
タに不快感を生じさせず、操作性を向上させることがで
き、しかも部品の追加や弁構成の大きな変更を要さずに
簡単かつ低コストで達成することができる実用性の高い
再生回路付き方向制御弁を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明者らは再生回路付き方向制御弁のスプールス
トローク中の異音発生状況について仔細な検討を加え
た。その結果、異音は戻り油がシリンダポートから再生
回路を構成するスプールの軸方向通路孔の近傍領域で発
生することがわかった。そこでこの対策として、試みに
シリンダポートの戻り油をスプールの軸方向通路孔に導
く導入孔を軸方向穴の軸線と直交する関係でなく傾斜角
度を持たせて穿ってみた。するとスプールストローク中
の異音が皆無ないしは著しく減少することがわかった。
【0007】本発明はこの知見から創案されたもので、
その特徴とするところは、両側の一対のシリンダポート
とそのさらに外側にタンクポートを有するバルブ本体に
挿通したスプールに軸方向通路孔を形成し、この軸方向
通路孔の一端部領域に、戻り油側のシリンダポートと隣
接するタンクポートに常時通じる複数個の絞り用通孔
と、スプールが移動したときに前記シリンダポートに通
じる複数個からなる戻り油導入孔を設け、軸方向通路孔
の他端部領域には、チェック弁を対向状に配置すると共
に、該チェック弁が開弁したときに供給側のシリンダポ
ートに通じる複数個の絞り用通孔を配設した方向制御弁
において、前記戻り油導入孔を軸方向通路孔に対し非直
交の傾斜孔としたことにある。前記戻り油導入孔は再生
方向に傾斜している態様と、反再生方向に傾斜している
態様が挙げられる。また、戻り油導入孔は径の異なる第
1孔と第2孔の2種又はそれ以上の種類からなっていて
もよいし、径の同じ1種の孔からなっていてもよい。
【0008】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施例を添付図面に
基いて説明する。図1ないし図5は本発明の第1実施例
を示している。図1と図2において、1はバルブ本体で
あり、中央の中立流路2の両側に中立流路3,3を有
し、その両側にブリッジ流路4が設けられると共に、該
ブリッジ通路4の両側に一対のシリンダポート5A,5
Bが設けられ、それらシリンダポート5A,5Bの両側
にタンクポート6A,6Bが設けられている。前記シリ
ンダポート5A,5Bは、この実施例では左側のシリン
ダポート5Aが外部のアクチュエータとしての油圧シリ
ンダSのロッド側室S1に、右側のシリンダポート5B
がボトム側室S2にそれぞれ接続されている。前記ブリ
ッジ流路4は上端部領域がロードチェック弁25を介し
て外部の油圧ポンプの吐出系と接続している。前記タン
クポート6A,6Bは連通路6によって連絡されてい
る。
【0009】7は前記バルブ本体1に設けられた横孔8
を貫通するスプールであり、図1のようにバルブ本体1
から突出する右端にはリターンスプリング機構90を有
し、左端には操作部91が設けられている。前記スプー
ル7には中央ランド70の両側に中立時に中立流路3,
3を中立流路2と連通させる2つの中央ロッド71,7
2を有している。また、シリンダポート5A,5Bに対
応する位置には、ブリッジ流路4とシリンダポート5A
を接離する第1環状溝7aと、ブリッジ流路4とシリン
ダポート5Bを接離する第2環状溝7bとがそれぞれ設
けられており、第1環状溝7aの直近のランド部分円周
上には複数の切欠き73が設けられている。前記第1環
状溝7aと第2環状溝7bは、図2のようにスプール7
が中立位置のときにブリッジ流路4とシリンダポート5
A,5Bとの連通を遮断している。さらに、前記第1環
状溝7aと第2環状溝7bよりも外側部位には、シリン
ダポート5Aとタンクポート6A間を接離する第3環状
溝7cと、シリンダポート5Bとタンク流路6B間を接
離する第4環状溝7dとが設けられている。第4環状溝
7dの直近のランド部分円周上には、図2のように、複
数の絞り用切欠き74が欠設されている。前記第3環状
溝7cと第4環状溝7dは、スプール7が中立位置のと
きにシリンダポート5A,5Bとタンクポート6A,6
B間の連通を遮断している。
【0010】前記スプール7には軸心上に再生用の軸方
向通路孔10が穿たれており、該軸方向通路孔10の基
端すなわち操作部側の端部には拡大した径の筒穴100
が形成され、ここに操作部91と一体のプラグ部910
を介してチェック弁12が挿着されている。チェック弁
12は筒穴100と軸方向通路孔10との境界付近すな
わち前記絞り用切欠き73の端部と同一円周上の部位に
対応する位置に形成したシート面101に着座されるポ
ペット型の弁体12aと、これを付勢するスプリング1
2bとを備えている。そして、前記弁体12aに対する
シート面101の近傍部位には、図5のように筒穴10
0から放射状に伸びる複数個の絞り用通孔13が設けら
れており、それら絞り用通孔13はスプール7が中立位
置のときにはシリンダポート5Aと遮断されている。前
記軸方向通路孔10の他端は第4環状溝7dに対応する
部位で終わっており、この部位の第4環状溝7dの溝底
には軸方向通路孔10に達する複数個の絞り用通孔14
が穿設されている。前記チェック弁側の絞り用通孔13
は再生油量を確保するため、低圧側の絞り用通孔14よ
りも孔径(開口面積)が大きく構成されている。
【0011】15はシリンダポート5Bからの戻り油を
流量を絞りつつ前記軸方向通路孔10に導入する戻り油
導入孔であり、本発明の特徴は、前記戻り油導入孔15
を軸方向通路孔10の軸線に対して傾いた傾斜孔とした
ものである。この第1実施例においては、シリンダポー
ト5Bからの流れ込みをスムーズにするため、戻り油導
入孔15を、図2と図4のように開口面積の異なる第1
孔15aと第2孔15bをそれぞれ2個ずつ90度位相
をずらせて配すことで構成している。それら第1孔15
aと第2孔15bは、第1孔15aよりも第2孔15b
の方が開口面積(孔径)が大きく、それぞれ再生方向に
前傾する所要の傾斜角α1,α2を有しており、傾斜角α
1とα2は同角度でもよいし適度に異なっていてもよい。
第2孔15bは、スプール7が移動して第1孔15aの
入口がシリンダポート5Bに臨んだときにこれにオーバ
ラップする形でシリンダポート5Bに開口するように軸
線方向で適度に位相をずらして設けられている。
【0012】図6は本発明の第2実施例をスプール7が
中立位置と移動位置の状態で示している。この実施例に
おいては、戻り油導入孔15は径が同一の4個の孔15
cから構成されており、各孔15cはそれぞれ再生方向
に傾斜角α1で前傾している。第1実施例とおなじ単位
あたり流量を確保するため、孔15cの孔径は第1実施
例の第1孔15aよりも大で第2孔15bよりも小さく
作られている。図7と図8は本発明の第3実施例を示し
ており、図7はスプール7が中立位置での状態を90度
位相を異にした2つの断面で示しており、図8はスプー
ル7が移動した位置での状態を90度位相を異にした2
つの断面で示している。この実施例は戻り油導入孔15
を開口面積の異なる2種の孔15a,15bをそれぞれ
2個ずつ90度位相をずらせて配することで構成してい
ることは第1実施例と同じであるが、この第3実施例で
は第1孔15aと第2孔15bはそれぞれ反再生方向に
前傾する所要の傾斜角α’1,α’2を有しており、傾斜
角α’1とα’2はこの例では同角度であるが、適度に異
なっていてもよい。なお、戻り油導入孔15を第3実施
例のように反再生側に傾斜させた場合にも、第2実施例
と同様に孔径が同一の複数個の孔15cから構成しても
よい。
【0013】いずれの実施例においても、戻り油導入孔
15はスプール7が中立位置にあるときに導入側開口が
シリンダポート5Bに連通せず、シリンダポート5Bと
タンクポート6Bの間の横孔壁面にて閉じられることが
必要である。しかも、導入側の開口は絞り用切欠き74
と周方向で位相がずれていることが必要である。前記傾
斜角α1,α2、α’1,α’2は上記条件を満たす範囲で
任意に設定すればよい。戻り油導入孔15を構成する孔
の数は4個に限定されるものではなく3個あるいは5個
以上でもよい。また、戻り油導入孔15を構成する孔の
大きさも希望する絞り性能に応じて適宜選定すればよ
い。また、本発明は第1実施例と第3実施例を組合わ
せ、第1孔を再生方向に傾斜させ、第2孔を反再生方向
に傾斜させたり、この逆にしたりすることも含む。
【0014】
【実施例の作用】次に実施例の作用を説明する。第1実
施例においては、スプール7が図2に示す中立位置にあ
るときには、油圧ポンプからの圧油はシリンダポート5
A,5Bに流れず、戻り油導入孔15の開口はシリンダ
ポート5Bとタンクポート6Bの間の横孔壁で塞がれて
いる。この状態から図1において左側にスプール7の移
動を開始すれば、まず絞り用通孔13がシリンダポート
5Aに開口し始め、次いで、あるストーク(たとえば全
ストロークの1/4程度)に到ると、戻り油導入孔15の径
小な2つの第1孔15aの開口がシリンダポート5Bの
端から臨み始め、油圧シリンダSのボトム側室s2の圧
油はそれら第1孔15aを通して絞られつつ軸方向通路
孔10に流入する。そしてこの軸方向通路孔中で再生方
向に向かう流れと反再生方向に向かう流れに分岐し、後
者は絞り用通孔14を通ってタンクポート6Bに流出す
る。そして、第1孔15aの開口面積が増すと、これと
90度位相のずれた2つの第2孔15bもシリンダポー
ト5Bと連通を始め、この第2孔15bからも油圧シリ
ンダボトム側室s2の戻り油が絞られつつ軸方向通路孔
10へ流入し、第1孔15aから取り込まれた油と合流
して再生方向と反再生方向に分流する。
【0015】こうして戻り油導入孔15を含む再生回路
が働き始めるのに少し遅れたストローク位置(たとえば
全ストロークの1/2より適度に少ない位置)で第4環状溝
7dの直近の切欠き74がシリンダポート5Bに臨み始
め、これにより油圧シリンダボトム側室s2の油がタン
クポート6Bに直接流出し始める。そして、この直後の
ストローク位置(たとえば全ストロークの1/2位置程度)
で第1環状溝7aの直近の絞り用切欠き73がシリンダ
ポート5Aに臨み始め、これにより油圧ポンプからの圧
油はブリッジ流路4からシリンダポート5Aに流入し油
圧シリンダロッド側室s1に送られ始める。そしてこの
間、戻り油導入孔15から軸方向通路孔10への再生油
量は増し、その圧力でチェック弁12の弁体12aはス
プリング12bの付勢力に打ち勝って開弁する。このた
め、再生油は軸方向通路孔10から絞り用通孔13を通
ってシリンダポート5Aに流入し、前記油圧ポンプから
の圧油と合流して油圧シリンダSのロッド側室s1に送ら
れる。前記戻り油導入孔15と第4環状溝7dおよび第
1環状溝7aの開口面積は所定のストロークで略一定と
なり、その間はストロークと略比例的に増加し、図3の
フルストローク位置に達する。以上の過程で油圧シリン
ダSの戻り油はピストンの下降速度増加用として再生さ
れる。
【0016】第2実施例においては、スプール7が中立
位置から左側に移動すると、第1実施例のように2段階
でなしに、4個の孔15cは同時にシリンダポート5B
に臨み始め、シリンダポート5Bの圧油を軸方向通路孔
10に流入させる。第3実施例も第1実施例と同様に戻
り油導入孔15は2段階で開口して行く。他の動きは第
1実施例と同じである。
【0017】なお、スプール7を中立位置から右側に移
動させたときには、一定ストロークの位置で第2環状溝
7bがシリンダポート5Bとブリッジ流路4を連通させ
るとともに第3環状溝7cがシリンダポート5Aとタン
クポート6Aを連通させる。このときには戻り油導入孔
15は開口がタンクポート6Bに開口するため、油圧ポ
ンプの吐出油はシリンダポート5Bから油圧シリンダの
ボトム側室s2にだけ供給され、再生回路は作動しな
い。
【0018】上記のようにスプール7のストローク中に
戻り油は戻り油導入孔15で絞られつつ軸方向通路孔1
0に流入し、再生方向およびタンク方向へと流される
が、図9の従来構造(戻り油導入孔150と軸方向通路孔10
が直交関係)では、この間ことに第4環状溝7dの直近
の絞り用切欠き74がシリンダポート5Bに臨み始めた
り、第1環状溝7aの直近の絞り用切欠き73がシリン
ダポート5Aに臨み始めるあたりで流体音が異音として
発生していたのである。これをたしかめるとともに第1
実施例、第3実施例が異音の発生防止に効果があるかど
うかを調べるためベンチ試験を行った。その結果を以下
に示す。
【0019】使用した方向制御弁のスプール7の直径は
20mm、軸方向通路孔の直径は6mm、油導入孔15の
第1孔15aは2孔でそれぞれ直径2.4mm、第2孔1
5bは2孔でぞれぞれ直径4.2mmとした。第1孔15
aと第2孔15bは第1実施例では再生方向に20°傾斜
させ、第3実施例では反再生方向に20°傾斜させた。比
較例としての従来例は第1孔と第2孔を共に軸方向通路
孔に対して垂直に設けた。いずれも絞り用通孔14は2
個でおのおの直径3mmとし、絞り用通孔13は4個でお
のおの直径3.6mmとした。いずれもスプール7のスト
ロークは10mmとし、第1ストローク位置で第1孔1
5aがシリンダポート5Bと連通を始め、第2ストロー
ク位置で第4環状溝7dの直近の絞り用切欠き74がシ
リンダポート5Bに臨み始め、第3ストローク位置で第
1環状溝7aの直近の絞り用切欠き73がシリンダポー
ト5Aに臨み始める条件とした。いずれのスプールの速
度がおよそ一定となるように、スプールの右端にパイロ
ット圧力を加えて移動させた。フルストローク時のパイ
ロット圧力は27kgf/cm2である。また、いずれもシリン
ダポート5Bの圧力PBを100kgf/cm2とし、シリンダポー
ト5Aの流量QAとタンク流路6の流量QTの合計を190リ
ットル/minとした。この結果を図10ないし図12に示
す。なお異音の発生はシリンダポート5Bの圧力PBの圧
力振幅と当該方向制御弁の近傍で実際ので調べた。
【0020】図12の従来例の場合には、パイロット圧
が約15kgf/cm2前後に達すると一時的にシリンダポート
5Bの圧力PBの振幅が大きくなり、同時にコポコポと不
連続な流体音が聞こえた。これに対して、図10(第1
実施例)の場合には、異音の発生は皆無であり、シリン
ダポート5Bの圧力の振幅は一定で連続的であった。図
11(第3実施例)の場合は、シリンダポート5Bの圧力
PBの振幅は大きな変化がなかったが、パイロット圧が約
15kgf/cm2以上すなわちシリンダポート5Aの流量QAが
約30リットル/min以上で小さく異音が聞こえた。この結
果から、本発明は戻り油導入孔15が反再生方向に傾斜
していても再生回路の異音の発生防止に効果がありこ
と、戻り油導入孔15が再生方向に傾斜していると完璧
に異音の発生を防止できることがわかる。
【0021】上記のように戻り油導入孔15を軸方向通
路孔10の軸線に対し傾斜させた場合に異音の発生がな
くなりまたは最少限に抑えられる理由については必ずし
も明確ではないが、上記実験から推して次のように考え
られる。すなわち、複数対からなる戻り油導入孔15が
軸方向通路孔10の軸線に対し直交していた場合では、
シリンダポート5Bから軸方向通路孔10へ流量を絞ら
れつつ押し込まれる油(噴流)が正対関係で激突して左
右(再生方向と反再生方向)に分流する。これに対して、
本発明では戻り油導入孔15が傾斜しているためシリン
ダポート5Bから軸方向通路孔10へと滑らかに導入さ
れ、正面からの激突がなく傾斜角度に応じた角度で合流
して左右に分流する。このため全体として流れがスムー
ズになったことが挙げられる。また、第1孔と第2孔か
らなる2段導入の場合、スプールのストローク中にまず
第1孔15aが開口して軸方向通路孔10中で左右に分
流し、次いで第2孔15bも開口して軸方向通路孔10
中で左右に分流するというオーバラップ形態となる。こ
の場合に、第2孔15bから流入して再生側に流れる成
分と第1孔15aから流入して既に反再生側(タンク
側)に流れている成分とが衝突してキャビテーションを
起し、干渉音が生ずる可能性がある。本発明の場合に
は、第1孔15aと第2孔15bの傾斜によって予め支
配的な流れ方向が決定されているため、衝突が軽減され
キャビテーションとそれによる干渉音が軽減されるとも
考えられる。第1実施例と第3実施例で異音の発生防止
に差異が生じたのは、軸方向通路孔10における再生側
への流量は反再生側(タンク側)への流量よりも実質的に
多く、第1実施例では第1孔15aと第2孔15bの傾
斜方向をその再生側に傾けているため、油の流れがより
スムーズになったためと解される。なお、第2実施例に
ついても試験したが、第1実施例と同じくシリンダポー
ト5Bの圧力波形の振幅は一定かつ連続的で、異音の発
生はなかった。
【0022】
【発明の効果】以上説明した本発明の請求項1,2,3
によるときには、再生回路付きの方向制御弁において、
スプール7が移動したときにシリンダポート5Bに通じ
る複数個からなる戻り油導入孔15を軸方向通路孔10
に対し傾斜した傾斜孔として戻り油の流れの方向を規定
させたため、アクチュエータの動きを切り替え、同時に
アクチュエータの一方の油室からの戻り油を再生すべく
スプール7をストロークさせている途中での異常な流体
音の発生を抑止することができ、また圧力振幅の異常変
化による車体の振動を防止することができる。このた
め、オペレータに不快感を与えず、良好な操作性で連続
的にブームなどの微妙な動きを実現することができる。
しかも構造が簡単で、他の部品を追加したりバルブ本体
を改造したりせず、ほとんどコストアップをさせること
なく実施できるというすぐれた効果が得られる。請求項
4によれば、戻り油導入孔15が大小の径を持つ2種か
らなっており、それら2種の孔が順次オーバラップして
再生油量が増加してゆくため、スムーズにアクチュエー
タの他の油室に再生油を供給することができ、しかもそ
の場合の第1孔と第2孔の再生側と反再生側の分流によ
る干渉を低減することができるというすぐれた効果が得
られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による方向制御弁の第1実施例を示す縦
断側面図である。
【図2】図1の部分的拡大横断面図であり、スプールが
中立時の状態を示す。
【図3】同じくスプールを再生方向にフルストロークさ
せた状態を示す拡大横断面図である。
【図4】(a)は第1実施例における戻り油導入孔部分の
断面図、(b)は(a)と90度位相のずれた断面図である。
【図5】図2のX−X線に沿う断面図である。
【図6】本発明の第2実施例を示す部分的横断面図であ
り(a)はスプールが中立状態のとき、(b)はスプー
ルがフルストロークしたときの状態を示している。
【図7】本発明の第3実施例をスプールが中立のときの
状態で示しており、(a)は横断面図、(b)縦断面図
である。
【図8】本発明の第3実施例をスプールがフルストロー
クしたときの状態で示しており、(a)は横断面図、
(b)縦断面図である。
【図9】従来の方向制御弁の戻り油導入孔部分を示す横
断面図であり、(a)はスプールが中立状態のとき、
(b)はスプールがフルストロークしたときの状態をそ
れぞれ示している。
【図10】本発明の第1実施例を実地試験したときのシ
リンタポートの圧力と、タンクポート流量と、再生側シ
リンダポート流量と、スプールパイロット圧力の各変化
を示す線図である。
【図11】本発明の第3実施例を実地試験したときのシ
リンタポートの圧力と、タンクポート流量と、再生側シ
リンダポート流量と、スプールパイロット圧力の各変化
を示す線図である。
【図12】従来の方向制御弁を実地試験したときのシリ
ンタポートの圧力と、タンクポート流量と、再生側シリ
ンダポート流量と、スプールパイロット圧力の各変化を
示す線図である。
【符号の説明】
1 バルブ本体 5A シリンダポート 5B シリンダポート 6A,6B タンクポート 7 スプール 10 軸方向通路孔 12 チェック弁 13 絞り用通孔 14 絞り用通孔 15 油導入孔 15a 第1孔 15b 第2孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 米沢 守 埼玉県東松山市箭弓町3−13−26 株式会 社ゼクセル東松山工場内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】両側の一対のシリンダポートとそのさらに
    外側にタンクポートを有するバルブ本体に挿通したスプ
    ールに軸方向通路孔を形成し、この軸方向通路孔の一端
    部領域に、戻り油側のシリンダポートと隣接するタンク
    ポートに常時通じる複数個の絞り用通孔と、スプールが
    移動したときに前記シリンダポートに通じる複数個から
    なる戻り油導入孔を設け、軸方向通路孔の他端部領域に
    は、チェック弁を対向状に配置すると共に、該チェック
    弁が開弁したときに供給側のシリンダポートに通じる複
    数個の絞り用通孔を配設した方向制御弁において、前記
    戻り油導入孔を軸方向通路孔に対し非直交の傾斜孔とし
    たことを特徴とする方向制御弁。
  2. 【請求項2】戻り油導入孔が再生方向に傾斜している請
    求項1に記載の方向制御弁。
  3. 【請求項3】戻り油導入孔が反再生方向に傾斜している
    請求項1に記載の方向制御弁。
  4. 【請求項4】戻り油導入孔が径の異なる第1孔と第2孔
    の2種からなっているものを含む請求項1ないし請求項3
    のいずれかに記載の方向制御弁。
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