JPH09158929A - ブラインドリベット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 建設分野において、薄鋼板、特に６．０ｍｍ
未満の薄鋼板間を片側から強固に接合するためのリベッ
ト接合法に使用するブラインドリベット。 【解決手段】 鋼板間を片側から接合するためのブライ
ンドリベットにおいて、皿あるいはなべ状の頭部を有す
る円筒形状のリベットと、該円筒形状リベット内部に挿
入されるシャフトと、該シャフト先端部に該シャフト径
を上回る径を有し、かつセルフドリリング機能を具備し
た拡幅部を有するドリリング部で構成し、更に、その最
先端に尖り部を設けたブラインドリベット。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、建設分野におい
て、薄鋼板、特に６．０ｍｍ未満の薄鋼板間を片側から
強固に接合するためのリベット接合法に使用するセルフ
ドリリング機能付きブラインドリベットに関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】一般に鋼板間を簡易的に接合する方法の
一つにリベット接合法がある。特にこの中でもブライン
ドリベット接合法は薄い鋼板間を接合する簡易的かつ安
定した接合法として従来より建築分野等で使用されてい
る。このブラインドリベット接合法は、図１に示すよう
に、主にステンレス製のリベットの直径よりもやや大き
な径を持つ下穴を設けた複数枚の鋼板に、先端にその軸
部と比較して過大な突起部を有するシャフトを内蔵した
皿あるいはなべ状の頭部を持つ円筒状のリベットを挿入
し、その後前記シャフト部に張力を与えて突起部をリベ
ット内に引き込みシャフトの前記過大な突起部とシャフ
ト軸部を破断させることによってリベットの先端部（頭
部とは反対側の端部）に鋼板の下穴の径よりも大きな拡
幅部を形成して複数枚の鋼板を強固に接合する接合法で
ある。この接合法においては、接合の際にある程度の張
力が接合部に導入されるため、繰り返し荷重による緩み
が生じにくく、更に鋼板の開口部はリベットの頭部や先
端の拡幅部によって外部環境と遮断されるため腐食も生
じにくいという利点があり、後述するドリリングタッピ
ンネジに有望な代替接合法として注目されている。

【０００３】また、薄鋼板接合の最も代表的な接合法に
ドリリングタッピンネジがある。この接合法は、図２に
示すように鋼製のドリリングタッピンネジの先端部を尖
り先とするか、または前記先端部に切刃を設け、これら
尖り先または切刃の回転切削により複数枚の薄鋼板間に
自らが穴開けと同時にネジを切ることによって前記複数
枚の薄鋼板同士を強固に接合する方法である。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
ブラインドリベット接合に当たっては、事前に鋼板に下
穴を開けておく必要があり、これがこの接合法を採用す
るの際しての問題点となっている。すなわち、工場で前
記下穴加工可能な場合にはさほど問題にならないが、現
場施工の場合には、下穴加工のために事前に現場におい
てドリルで穴を開けた後にリベット接合を施す必要があ
るため手間が嵩むという問題は避けられず、ブラインド
リベット接合法の採用適否を左右する重要な課題となっ
ている。また、ドリリングタッピンネジ接合法は、薄鋼
板同士の接合法としては最も広く採用されているが、振
動のような繰り返し荷重作用の条件下におけるネジの緩
みや切削部からの腐食の問題が指摘されており採用に躊
躇している実状にある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、上述したブラ
インドリベットにのように下穴を開けることなく、また
ドリリングタッピンネジのように振動のような繰り返し
荷重作用の条件下におけるネジの緩みや切削部からの腐
食に晒されるという問題点を解決したもので、鋼板等の
部材間を片側から接合するためのブラインドリベットに
おいて、皿あるいはなべ状の頭部を有する円筒形状のリ
ベットと、該円筒形状リベット内部に挿入されるシャフ
トと、該シャフト先端部に前記円筒形状リベット径以上
の径を有し、かつその先端部に尖り部を有する拡幅部と
で構成したブラインドリベットである。ここで、尖り部
とは円錐あるいは角錐状の尖り先、鋭角状の尖り先およ
び切り刃先、更にはスクリュウー状または釘状の尖り先
を指すものとする。

【０００６】

【発明の実施の形態】本発明は、薄板状の鋼板およびそ
の他金属、木材等の薄板同士を片側から接合するための
円筒状のリベット接合にあって、円筒形状のリベット内
部に挿入されるシャフトの先端に拡幅部を設け、更にそ
の最先端部には鋼板等の薄板切削用の切刃を設けてこの
切刃の回転切削により複数枚の薄鋼板等の薄板間に自ら
が穴開けと同時にネジ切り後、あるいは打設貫通後、シ
ャフトに張力を与えて先端部を破断させ前記拡幅部をそ
のまま残留させることにより前記複数枚の薄板同士を強
固に接合するブラインドリベットであるため、取り扱い
操作が簡単で、しかも振動などに起因する緩みが一切生
じることなく強固な接合が得られ、切削部における耐腐
食性の高い接合効果が持続する。

【０００７】

【実施例】以下に本発明の実施例を図面を以て詳細に説
明する。図１に従来のブラインドリベット接合に用いる
リベット形状と接合状態を、また図２に従来のドリリン
グタッピンネジ接合に用いるネジ形状と接合状態をそれ
ぞれ示す。図１において、ブラインドリベットは、リベ
ット、先端に突起部を有するシャフトから構成されてい
る。このブラインドリベットにより薄鋼板間を接合する
手順としては、ステンレス製もしくは鋼製のリベット１
の直径よりもやや大きな径を持つ下穴２を設けた複数枚
の薄鋼板３に、先端にその軸部と比較して過大な突起部
４を有するシャフト５を内蔵した皿あるいはなべ状の頭
部６を持つ円筒状のリベット１に挿入し、その後前記頭
部６に押圧力を付与しつつシャフト５の端部に張力を与
えてリベット内にこの突起部を引き込み、シャフトの前
記過大な突起部４とシャフト５を張力により破断させる
ことによってリベットの先端部（頭部とは反対側の端
部）に鋼板の下穴の径よりも大きな拡幅部７を形成して
複数枚の鋼板を強固に接合するものである。また、図２
において、ドリリングタッピンネジは、端部に皿あるい
はなべ状の頭部８と先端に尖り先９あるいは切刃１０を
設けたシャフト１１より構成されている。このシャフト
周囲には螺旋状のネジが設けられている。このドリリン
グタッピンネジにより薄鋼板間を接合する手順として
は、所望する位置に市販のスクリュー工具によりドリリ
ングタッピンネジをねじ込んでいくものである。ドリリ
ングタッピンネジがねじ込まれる際、ネジ先端部の尖り
先あるいは切刃の回転切削により複数枚の薄鋼板間に自
らが穴開けと同時にネジを切ることによって前記複数枚
の薄鋼板同士を強固に接合するものである。

【０００８】本発明によるブラインドリベットは、図３
（ａ）に示すような先端部に円錐あるいは角錐状の尖り
先、或いは図３（ｂ）に示すような釘状または図３
（ｃ）のスクリュー状、更には図３（ｄ）に示すような
鋭角状の尖り先および切り刃先を有し、図４および図５
に示したように従来のブラインドリベットに打ち込み機
能あるいはドリリング機能を併せ持った構造を有してい
る。ここでは、前述の尖り部の例として図４では図３
（ｂ）の釘状の場合、また図５では図３（ｄ）の切り刃
先の場合で本発明によるブラインドリベットを説明す
る。すなわち、頭部付円筒形状のリベット１２を貫通す
るシャフト１３の先端に前記リベットの径以上の径を有
する突起部１４（図１の４に相当）を設け、図４に示す
ように、この突起部の先端部に釘に見られるような鋭角
な尖り先１５を設ける。また、図５に示すように、前述
の突起部１４に更にドリリング部１６をシャフト１３に
圧着、スポット溶接等の手段で取り付けるか、またはシ
ャフト軸部との一体加工により取り付ける。また、前記
セルフドリリング部の他の実施例として図４に示すよう
に、突起部１４にネジ１７を刻設し、その先端部に切刃
１８を設けてもよい。

【０００９】本発明にかかるブラインドリベットの施工
は、前述したように市販のスクリュー工具または釘打機
により可能であるが、シャフト部を回転させるために
は、典型的な方法としてシャフト先端部の反対側の端部
に十字型のネジ穴加工を施すなどして前記スクリュー工
具で機械的にシャフトに回転力と張力を与えるか、また
はシャフトには特別の加工を施すことなくシャフト全体
を掴んで回転力と張力を与えることが可能な工具であれ
ば如何なる種類の工具でもよい。

【００１０】本発明のブラインドリベットにより薄鋼板
間を接合する施工手順としては、先端部が釘状である場
合には、所望する位置に市販の空圧式または電動釘打機
により前記ブラインドリベットを尖り先１５を利用して
連続的に打ち込んで複数枚の薄鋼板間に穴を開ける。
（図４−ｂ参照）。また、先端部が円錐あるいは角錐状
の尖り先、鋭角状の尖り先、切り刃先またはスクリュー
状である場合には、前述したように市販のスクリュー工
具等で前記ブラインドリベットのネジ先端部を回転さ
せ、この先端部に設けた切刃１８の回転切削により、複
数枚の薄鋼板間に自らが穴を開ける（図４−ｂ参照）。
次に、リベットの頭部１２に押圧力を付与しつつシャフ
ト１３に相当の張力を与えてシャフト１３をドリリング
部１６から破断させる。この張力によってリベットの先
端部をドリリング部１６で押し潰し、複数枚の鋼板を従
来以上に強固に接合する（図４−ｃおよび図５−ｃ参
照）。また、相当の張力が接合部に導入されるため、繰
り返し荷重による緩みが生じにくく、更に鋼板の開口部
はリベットの頭部や先端のドリリング部によって外部環
境と完全に遮断されるため腐食を皆無にすることが出来
た。

【００１１】なお、ブラインドリベットおよびシャフ
ト、ドリリング部の材質は普通鋼、特殊鋼とステンレス
鋼と使用目的、用途によって如何ようにでも組み合わせ
ることができる。

【００１２】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によるブラ
インドリベットは、従来より課題とされていた下穴の加
工が不要となり、また接合強度および耐腐食性の点にお
いても何ら問題なく使用することができ、現場での複数
毎の鋼板接合が非常に容易になり力学的観点からも極め
て安定性が高く、耐久性にも優れているという効果があ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、従来のブラインドリベットとその施工
例を示した図である。

【図２】図１は、従来のドリリングタッピンネジとその
施工例を示した図である。

【図３】図３は、本発明によるブラインドリベットの先
端部に取り付けられる尖り部の種類を示したもので、
（ａ）は円錐、角錐状の尖り先、（ｂ）は釘状の尖り
先、（ｃ）はスクリュー状の尖り先および（ｄ）は鋭角
状の尖り先および切り刃先を示した図である。

【図４】図４は、本発明によるブラインドリベットとそ
の施工例を示した図である。

【図５】図５は、本発明によるブラインドリベットの別
の例とその施工例を示した図である。

【符号の説明】

１…ブラインドリベット ２…下穴 ３…薄鋼板 ４…ブラインドリベット先端の過大突起部 ５…ブラインドリベットシャフト ６…ブラインドリベット頭部 ７…ブラインドリベット拡幅部 ８…ドリリングタッピンネジ頭部 ９…ドリリングタッピンネジ尖り先 １０…ドリリングタッピンネジ切刃 １１…ドリリングタッピンネジシャフト １２…ブラインドリベット頭部 １３…ブラインドリベットシャフト １４…ブラインドリベット先端の過大突起部 １５…拡幅部先端の尖り部 １６…ドリリング部 １７…ドリリング部ネジ１７ １８…ドリリング部先端の切刃

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 片側から接合するためのブラインドリベ
   ットであって、皿状あるいはなべ状の頭部を有する円筒
   形状のリベットと、該円筒形状リベット内部に挿入され
   るシャフトと、該シャフト先端部に前記円筒形状リベッ
   ト径以上の径を有し、かつ該シャフト先端部に尖り部を
   有する拡幅部とから構成したことを特徴とするブライン
   ドリベット。
2. 【請求項２】 前記拡幅部にネジを設け、かつドリリン
   グ機能を備えたことを特徴とする請求項１記載のブライ
   ンドリベット。