JPH09157750A - 鋼管の高速焼入れ方法 - Google Patents

鋼管の高速焼入れ方法

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JPH09157750A
JPH09157750A JP33798495A JP33798495A JPH09157750A JP H09157750 A JPH09157750 A JP H09157750A JP 33798495 A JP33798495 A JP 33798495A JP 33798495 A JP33798495 A JP 33798495A JP H09157750 A JPH09157750 A JP H09157750A
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steel pipe
cooling water
water
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steel
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Akimasa Fujita
昭正 藤田
Kenichi Shinoda
研一 篠田
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Nippon Steel Nisshin Pipe Co Ltd
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Nisshin Steel Co Ltd
Nisshin Kokan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安価なプレーン炭素鋼鋼管を使用して、強
度,靭性に優れたインパクトバー用焼入れ鋼管を得る。 【解決手段】 C:0.10〜0.30%,Si:0.
05〜0.50%,Mn:0.20〜0.90%,P:
0.020%以下,S:0.020%以下及びAl:
0.01〜0.10%を含み、残部が実質的にFeから
なる組成をもつ鋼管をコンベア上で搬送しながらオース
テナイト域まで高周波誘導加熱し、直ちに5〜10列の
吐出口群をもつ筒状冷却水導管の内部に送り込み、吐出
口での流速15〜30m/秒及び流量7リットル/秒以
上で水温25℃以下の冷却水を鋼管の外周面に噴射させ
て水焼入れする。冷却水は、鋼管の進行方向に対して3
0〜60度の角度で鋼管外周面に噴射することが好まし
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車のサイドドアに
取り付けられるインパクトバー等の補強部品として使用
される高強度鋼管の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車、特に乗用車については、
安全対策の強化に対する要求が高くなってきている。こ
の要求の一つとして、側面から衝突があったときの衝撃
を吸収するため、サイドドアにインパクトバー等の補強
部品を装着することが一般化してきている。インパクト
バーは、冷間圧延した高張力鋼板をプレス成形したもの
が主体であったが、車両軽量化の要求から現在では1,
180N/mm2 級,更には1,470N/mm2 級以
上の引張り強さをもつ高強度鋼管に代わり、一層の普及
をみている。高強度鋼管製インパクトバーは、高周波誘
導加熱・水焼入れで製造することが最も一般的である。
具体的には、550〜1,100mm程度の最終寸法に
切断された鋼管を垂直又は水平に治具で固定し、鋼管の
長手方向に高周波誘導加熱コイル及び水冷導管を移動さ
せて焼入れしている。また、高周波誘導加熱コイル及び
水冷導管を固定し、鋼管を回転・移動させる方式も採用
されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の焼入れ法では、
高周波誘導加熱コイル及び水冷導管を近接配置した設備
が使用されている。この配置で冷却水の吐出速度を高め
ると、飛沫の影響で鋼管に加熱温度ムラが生じ、製品品
質に悪影響が現れる。そのため、冷却水吐出速度におの
ずと制約が加わり、冷却速度が比較的遅くなりがちであ
る。その結果、強度,靭性に優れた焼入れ組織であるマ
ルテンサイト相を得るためには、焼入れ性を改善する合
金元素を添加した鋼材でできた鋼管を使用する必要があ
る。たとえば、0.10〜0.30%C鋼にMn,B,
Cr等を添加することによって焼入れ性を改善したイン
パクトバー用鋼が特開平4−52429号公報に紹介さ
れている。これらの合金元素は、高価な添加材ではない
が、転炉精錬後の真空脱ガス処理に際して窒素含有量を
低くすると共に、残存するNをTiで固定する必要があ
り、結果として製造コストが上昇する。
【0004】また、高周波誘導加熱・水焼入れが多用さ
れているが、これは焼入れ後の形状を確保するためであ
る。たとえば、ガス燃焼炉や電気炉に鋼管を装入してオ
ーステナイト域に加熱した後、水等の冷却媒体に投入す
るとき、焼入れされた鋼管の真円度や真直度が大きく損
なわれ易い。このように劣化した形状を矯正するために
は、手直しに多大の手数や時間が必要になる。本発明
は、このような問題を解消すべく案出されたものであ
り、冷却条件を特定することにより、従来の高周波誘導
加熱・水焼入れに比較して高速の焼入れを可能とし、安
価な炭素鋼製の鋼管も同様に焼入れ可能にすることを目
的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の高速焼入れ方法
は、その目的を達成するため、C:0.10〜0.30
重量%,Si:0.05〜0.50重量%,Mn:0.
20〜0.90重量%,P:0.020重量%以下,
S:0.020重量%以下及びAl:0.01〜0.1
0重量%を含み、残部が実質的にFeからなる組成をも
つ鋼管をコンベア上で搬送しながらオーステナイト域ま
で高周波誘導加熱し、直ちに5〜10列の吐出口群をも
つ筒状冷却水導管の内部に送り込み、吐出口での流速1
5〜30m/秒及び流量7リットル/秒以上で水温25
℃以下の冷却水を鋼管の外周面に噴射させて水焼入れす
ることを特徴とする。冷却水の噴射角度は、鋼管の進行
方向に対して30〜60度の範囲に維持することが好ま
しい。
【0006】中空スタビライザー,インパクトバー等と
して使用される部材には、0.10〜0.30重量%の
炭素鋼にMn,B,Cr等を添加した低合金鋼が使用さ
れている。これらの合金元素は、必ずしも高価な添加成
分ではないが、添加効果を引き出すため、転炉精錬後、
真空脱ガス設備で鋼中のNを低減し、且つTi等でNを
固定する等の処理が必要とされ、結果として製造コスト
が高くなっている。この点、本発明では、特に真空脱ガ
ス処理を必要とせず、安価で一般的なC−Mn鋼を対象
にしている。そして、中空スタビライザー,インパクト
バー等に求められる強度や靭性レベルを付与するため、
高速焼入れの条件を種々検討した。
【0007】高温の被焼入れ材を冷却水に接触させる
と、被焼入れ材の表面で多量の水蒸気が発生し、蒸気膜
となって被焼入れ材を取り囲む。この状態では、蒸気膜
が断熱層として働くため、大きな冷却速度が得られな
い。この点、低温の冷却水を高速で大量に被冷却材に噴
射させると、蒸気膜段階での冷却過程が短縮され、高速
焼入れが可能になる。その結果、生産性が高められると
共に、冷却速度の増大に伴い高価な低合金鋼からプレー
ンな炭素鋼に鋼管材質を変更することができる。高速焼
入れでは、抜熱量の小さな蒸気膜段階の短縮,抑制が有
効である。そこで、蒸気膜の破壊,沸騰促進のために核
形成物質の存在が有効であり、水温の上昇に伴って溶解
度が減少し、塩化ナトリウムの結晶を析出する塩水や、
水中に核形成物質を浮遊懸濁させた冷媒等が有効である
とされている。しかし、コンベヤ上を連続搬送しながら
鋼管を加熱し、筒状冷却水導管から吐出された冷却水で
冷却する焼入れ法では、設備の保全から塩水や核形成物
質の浮遊懸濁液を使用できない。そこで、本発明者等
は、工業用水の使用を前提として焼入れ条件を種々検討
した。
【0008】すなわち、インパクトバーに使用される通
常一般の鋼管サイズを焼入れ対象とし、若干の樹脂系防
錆剤を添加した工業用水を使用して種々の焼入れ実験を
行った結果、水温25℃以下,吐出口での流速15m/
秒以上,流量7リットル/秒以上で冷却水を噴射させる
とき、通常の組成をもつ炭素鋼でも十分にマルテンサイ
ト組織が得られることを見い出し、本発明を完成した。
更に、被焼入れ材である鋼管の外周面における冷却水の
衝突力を高め、常に新鮮な冷却水を鋼管の外周面に供給
する上で、鋼管の進行方向に対して30〜60度の範囲
に冷却水の噴射角度を維持することが有効であることが
判った。本発明で使用される筒状冷却水導管は、両管端
を密閉した二重管であり、外壁には上下二か所に冷却水
を導入するパイプが連結されている。また、二重管の内
壁には、同一円周上に15〜20度の間隔で口径2〜3
mmの冷却水吐出口が列状に設けられている。この同一
円周上に設けられた冷却水吐出口列を1群とする吐出群
が5〜10列配置され、筒状冷却水導管を構成してい
る。吐出口の配列や噴出角度は一定である必要はなく、
加熱された鋼管が進入してくる列番号の若い吐出口群を
密に配置し、吐出角度も30〜60度の範囲で列番号の
若い吐出口群ほど低く設定することが効果的である。
【0009】焼入れに使用する冷却水の抜熱効率は、水
温の上昇に応じて低下する。特に25℃を超える水温で
は、抜熱効率が急激に低下する。吐出口における流速
は、蒸気膜を破壊する上から、同一流量であっても早い
流速ほど有効である。特に流速15m/秒以上で高速焼
入れの効果が顕著になる。しかし、流速を徒に高めて
も、水の利用効率が低下する。更には、吐出口の摩滅変
形等、設備の耐久性にも問題を生じる。このようなこと
から、流速の上限を30m/秒に設定することが好まし
い。冷却水の水量は、高速焼入れに必要な抜熱能力を低
下させる水温の上昇を抑制するため、本発明が対象とす
る鋼組成では7リットル/秒以上に設定することが必要
である。水量が7リットル/秒に達しないと、十分なマ
ルテンサイト組織が得られない。
【0010】筒状冷却水導管の中での吐出角度は、特に
規制する必要はないが、被焼入れ材である鋼管に衝突散
乱した先行水流によって後続水流の鋼管への衝突力が弱
められないように、吐出角度を鋼管の進行方向に傾斜さ
せることが有効である。このときの傾斜角度は、30〜
60度の範囲が好ましい。60度を超える傾斜角度で
は、先行水流による干渉が大きく、後続水流の衝突力が
弱められる。逆に、30度に達しない傾斜角度では、衝
突力そのものが維持されなくなる。このように、本発明
にあっては、冷却条件を設定することによって高速焼入
れを可能とし、従来の焼入れ法では優れた強靭性を示す
マルテンサイト組織が得られなかった鋼組成であっても
良好な焼入れ組織にすることができる。
【0011】次いで、本発明で使用する鋼に含まれる合
金成分及びその含有量を説明する。 C:0.10〜0.30重量% 焼入れ後の鋼管の強度を得るために必要な合金元素であ
り、0.10重量%未満のC含有量ではインパクトバー
用高強度鋼管として要求される1,180N/mm2
以上の強度が得られない。しかし、0.30重量%を超
える多量のCが含まれると、強度の増加は図られるもの
の、靭性が低下し、衝撃荷重が負荷されたとき脆性的に
破断し、インパクトバーとしての用途上で好ましくな
い。 Si:0.05〜0.50重量% 鋼の脱酸剤として使用される元素であり、造管性や焼入
れ性の向上にも有効である。これらの作用は、0.05
重量%以上のSi含有で顕著になる。しかし、酸素との
親和力が強いため、0.50重量%を超える多量のSi
を含有させると、電縫鋼管製造工程の電縫溶接時にペネ
レトータが溶接部に形成され易くなり、健全な溶接部を
得ることが困難になる。
【0012】Mn:0.20〜0.90重量% 鋼材の焼入れ性を高め、強靭化を図る上で有効な合金元
素であり、0.20重量%以上の含有量でMnの添加効
果が顕著になる。しかし、0.90重量%を超える過剰
のMnが含有されると、Mn系非金属介在物の増加,縞
状組織の形成等によって靭性が低下する。 P:0.020重量%以下 被焼入れ材の靭性を劣化させる元素であることから、本
発明においてはP含有量の上限を0.020重量%に規
制した。 S:0.020重量%以下 硫化物系介在物を形成し、鋼材の靭性を劣化させる。ま
た、電縫鋼管溶接部の健全性も低下させる。このような
ことから、本発明においてはS含有量を0.020重量
%以下に規制した。
【0013】Al:0.01〜0.10重量% 溶鋼の脱酸剤として有効な合金元素であるが、0.01
重量%未満ではその効果が十分でない。しかし、Al含
有量が0.10重量%を超えると、鋼の清浄度が低くな
り、鋼板に圧延したとき表面疵が発生し易くなる。以上
のように成分が調整された鋼材は、従来焼入れに供され
ることがほとんどなかった鋼材である。また、かかる鋼
成分の電縫鋼管は、JIS STKM12Aに組成が近
似しており、容易に入手できる材料であり、現在インパ
クトバーとして多用されている低合金鋼に比較して経済
性にも優れている。本発明に従った鋼管焼入れは、たと
えば図1に示す設備を使用して実施される。長尺の電縫
鋼管aが入側パイプラック1にストックされており、焼
入れ作業時に1本づつパイプラック1からロールコンベ
ア2等のコンベア上に払い出される。電縫鋼管aは、ロ
ールコンベア2で搬送され、ピンチロール3に達する。
電縫鋼管aは、ピンチロール3により回転を付与された
状態で搬送され、トンネル状の高周波誘導加熱コイル4
に送り込まれる。
【0014】高周波誘導加熱コイル4には高周波電源5
から電力が供給されており、トンネル内を回転移動する
電縫鋼管aをオーステナイト域まで加熱昇温する。高周
波誘導加熱コイル4の出側に筒状冷却水導管6が配置さ
れており、オーステナイト域まで加熱昇温された電縫鋼
管aが誘導されてくると、筒状冷却水導管6に設けられ
た5〜10列の吐出口群から噴射される冷却水によって
冷却され、焼入れされる。焼入れされた電縫鋼管aは、
出側ピンチロール7を経た後、出側ローラーテーブル8
で搬出され、出側パイプラック9に払い出される。な
お、筒状冷却水導管6から噴射された冷却水は貯水槽1
0に戻され、水温25℃以下に冷却された後、再び筒状
冷却水導管6に導かれる。
【0015】以上の工程が繰り返され、多数の長尺鋼管
が順次焼入れ処理される。このとき、後続する長尺鋼管
をほとんど間隙をあけることなく、先行の鋼管に続けて
搬送することにより、加熱負荷量の変動が抑えられ、多
数の鋼管を安定して連続処理することが可能となる。し
かも、鋼管は、ピンチロール3によって回転を与えられ
つつローラテーブル上を送られるため、高周波誘導加熱
や水冷による冷却温度が鋼管周方向に関して均一化さ
れ、偏熱が抑制されると共に鋼管の真円度及び真直度が
維持される。筒状冷却水導管6としては、たとえば図2
の構造をもつものが使用される。冷却水は、図2(a)
に示すように上下2系列で冷却水溜11に供給される。
冷却水溜11は、図2(b)に示すように、高周波加熱
された電縫鋼管aを同心円状に取り囲む筒状になってお
り、電縫鋼管aの周面に対向する冷却水溜11の側壁に
は複数の噴射孔12が開口している。噴射孔12は、電
縫鋼管aの軸方向に関し、図2(a)に示すように上流
側から下流側に向けて分布密度を低下させている。ま
た、電縫鋼管aの円周方向に関しては、図2(b)に示
すように等間隔で形成されている。この分布密度によっ
て、電縫鋼管aは、噴射孔12から噴出された冷却水1
3で効率よく冷却される。
【0016】高周波誘導加熱コイル4から出た直後の鋼
管aは、非常に高温になっている。高温状態の鋼管aに
冷却水を吹き付けると、断熱層として働く蒸気膜が鋼管
aの表面に形成され、冷却効果が低減する。その結果、
所定の冷却効果を得るために、蒸気膜を破る圧力で水流
を噴射することが要求される。鋼管aの搬送方向に沿っ
て噴射孔12が等間隔で設けられていると搬送方向に関
して一定の冷却能が得られるものの、冷却水の水圧は、
冷却初期において蒸気膜を破るに足る高い圧力に設定さ
れる。その結果、多量の高圧水が必要になることは勿
論、後続する工程で多量の冷却水が吹き付けられること
から鋼管aが過剰冷却される。
【0017】この点、冷却初期には密で、冷却後期には
粗の分布密度で噴射孔12が配置されているので、冷却
水の効率的な使用により、冷却能力が過剰になることな
く、鋼管aの焼入れが可能になる。また、送水ポンプに
も、能力の小さなものが使用される。鋼管aの円周方向
に関しては等間隔で噴射孔12が配置されているので、
鋼管aの円周方向に冷却ムラが生じることも防止され
る。また、高速搬送されている鋼管aに対する冷却ゾー
ンを短くすることもできる。個々の噴射孔12は、図3
に示すように鋼管aの搬送方向下流側に傾斜している。
この傾斜により、高周波誘導加熱コイル4側に冷却水1
3が逆流することが防止され、焼入れ作業が安全に行わ
れる。噴射孔12の傾斜角度αは、図3では35度の一
定値に設定しているが、30〜60度の範囲で各列ごと
に変更してもよい。
【0018】
【実施例】表1に示した組成をもつ鋼を転炉で溶製し、
連続鋳造でスラブに製造した。なお、表1に掲げた比較
鋼のうち、低合金鋼については真空脱ガス処理を施して
成分調整した。そのため、P,S等の不純物元素も減少
している。
【0019】
【0020】各スラブを熱間圧延して、板厚1.80m
mの熱延板を製造した。酸洗後、所定の幅にスリット
し、造管機により外径31.8mmの電縫鋼管を製造し
た。得られた電縫鋼管を長さ6.500mmに切断し、
図1に示した高周波誘導加熱・焼入れ装置で焼き入れ
た。このとき、高周波誘導加熱による加熱温度を850
〜950℃,ラインスピードを10m/分に設定した。
焼入れ冷却条件を種々変更し、焼入れ冷却条件がマルテ
ンサイト生成量に及ぼす関係を調査した。調査結果を表
2に示す。
【0021】
【0022】現在インパクトバーとして生産されている
鋼成分(H,I)の鋼管を使用するとき、水量の少ない
試験番号1,吐出口径が小さく、吐出速度は十分大きい
ものの水量が少ない試験番号2,水温の高い試験番号5
等の比較例でも、強度,靭性に優れた焼入れ組織である
マルテンサイト相が90%以上得られた。しかし、経済
的なプレーン炭素鋼の鋼管を焼入れすると、十分なマル
テンサイト相が確保されず、インパクトバーとして要求
される機械的特性が得られなかった。これに対し、本発
明で規定した条件を満足する試験番号3,4では、プレ
ーン炭素鋼(B〜F)の鋼管を焼入れした場合でも、9
0%以上のマルテンサイト相が得られていた。また、試
験番号3の機械的性質を表3に示す。表3から明らかな
ように、供試材B〜Dが1180N/mm2 級として、
その他は1470N/mm2 級として十分な材料特性を
示している。しかも、機械的特性は、従来からインパク
トバー用に使用されていたMn−Cr−B系の低合金鋼
に比べても何ら遜色のない値であった。しかし、同じプ
レーン炭素鋼であっても、比較鋼DのようにV含有量が
0.35重量%と高い材料では脆性的な不安定破壊を起
こし、延性が低下していた。
【0023】
【0024】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の高速焼
入れ法では、高周波誘導加熱で高温に加熱された鋼管を
冷却するときの冷却条件を規制することによって、普通
鋼鋼管であっても強度,靭性に優れたマルテンサイト相
をもつ焼入れ組織にしている。そのため、Mn,Cr,
B等を添加した高価な合金鋼を必要とすることなく、強
度的に優れたインパクトバー,中空スタビライザー等の
補強部品を安価に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に従った焼入れ装置のレイアウト
【図2】 筒状冷却水導管を半径方向(a)及び軸方向
(b)にみた断面図
【図3】 傾斜した噴射孔を示す筒状冷却水導管の一部
断面図
【符号の説明】
1:入側パイプラック 2:ロールコンベア 3:
ピンチロール 4:高周波誘導加熱コイル 5:高
周波電源 6:筒状冷却水導管 7:出側ピンチロ
ール 8:出側ローラテーブル 9:出側パイプラ
ック 10:貯水槽 11:冷却水溜 12:噴
射孔 13:冷却水 a:電縫鋼管

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.10〜0.30重量%,Si:
    0.05〜0.50重量%,Mn:0.20〜0.90
    重量%,P:0.020重量%以下,S:0.020重
    量%以下及びAl:0.01〜0.10重量%を含み、
    残部が実質的にFeからなる組成をもつ鋼管をコンベア
    上で搬送しながらオーステナイト域まで高周波誘導加熱
    し、直ちに5〜10列の吐出口群をもつ筒状冷却水導管
    の内部に送り込み、吐出口での流速15〜30m/秒及
    び流量7リットル/秒以上で水温25℃以下の冷却水を
    鋼管の外周面に噴射させて水焼入れする鋼管の高速焼入
    れ方法。
  2. 【請求項2】 鋼管の進行方向に対して30〜60度の
    角度で冷却水を鋼管外周面に噴射する請求項1記載の高
    速焼入れ方法。
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