JPH09157364A - 生分解性ポリエステル - Google Patents

生分解性ポリエステル

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JPH09157364A
JPH09157364A JP31561595A JP31561595A JPH09157364A JP H09157364 A JPH09157364 A JP H09157364A JP 31561595 A JP31561595 A JP 31561595A JP 31561595 A JP31561595 A JP 31561595A JP H09157364 A JPH09157364 A JP H09157364A
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JP
Japan
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polyester
hydroxybutyrate
reaction
modified poly
biodegradable
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JP31561595A
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English (en)
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Tadashi Yao
正 矢尾
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
  • Biological Depolymerization Polymers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 生分解性ポリエステルにおいて、生分解性を
維持しながら、耐熱性および機械的特性を改善し、かつ
物性の制御を可能にする。それにより目的の物性を有す
る生分解性ポリエステルを得て、生分解性ポリエステル
の用途の拡大を図る。 【解決手段】 変性ポリ (3−ヒドロキシブチレート)
から誘導される下記一般式(1) で表される構造単位およ
び、芳香族ジカルボン酸から誘導される構造単位からな
る生分解性ポリエステル。 一般式 (1): 【化4】 (ただし、Rは2価の炭化水素またはハロ炭化水素基を
表し、m、nは2以上の整数)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な微生物分解
性ポリエステルに関する。詳しくは、微生物分解性を有
する特定のジオールと、芳香族ジカルボン酸および/ま
たはその誘導体から合成される、耐熱性および機械的特
性が改善された微生物分解性ポリエステルに関する。
【0002】
【従来の技術】微生物分解性を有するポリエステルとし
て、代表的には微生物あるいは化学合成により合成され
る脂肪族ポリエステルが知られている。微生物により合
成されるポリエステルにはポリ (3−ヒドロキシブチレ
ート)(以下、PHBと略称する) や、このPHBの脆く
て堅いという性質を改善するための種々のPHB共重合
体がある。また化学合成によりポリカプロラクトン(P
CL)やポリ乳酸等のポリエステルも製造できる。これ
らの生分解性ポリエステルはいずれも脂肪族ポリエステ
ルであって、汎用のポリエチレンテレフタレート(PE
T)などのポリエステルに比べ、耐熱性や機械的性質が
劣る。例えば、上記生分解性ポリエステルの融点は、P
BHで170 ℃、PCLで60℃と低いのに対し、汎用のポ
リエステルであるPETでは融点が 200℃以上、例えば
264 ℃のものもあり、またポリエチレンナフタレート
(PEN)はこれよりも高い融点を有する。従って、P
ETやPENなどのポリエステルが用いられている各種
電機部品、機械類、容器、日用品等の用途に生分解性ポ
リエステルを代替使用することは困難であるが、これら
の用途、特に飲料用ボトル等の使い捨て容器には、生分
解性ポリエステルの使用が望まれている。また、従来の
生分解性ポリエステルでは、生分解性と共に強度が要求
されている漁網、釣り糸等の分野にそのまま適用するこ
とは困難である。
【0003】さらに、PHBやその共重合体などの生分
解性ポリエステルでは、微生物が産生するポリエステル
のようにその炭素が光学活性であることが必要とされて
いるので、化学合成が困難であり、高価である。
【0004】一方、成形材料用熱可塑性ポリエステルと
して代表的なPET (ポリエチレンテレフタレート)
は、ジオール成分およびカルボン酸成分としてそれぞれ
エチレングリコール、テレフタル酸(またはその誘導
体)を用い、また、PEN (ポリエチレンナフタレー
ト) ではそれぞれエチレングリコールと 2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸(またはその誘導体)を使用している。
このような、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸な
どの芳香族化合物をジカルボン酸成分に用いて得られた
PETやPENなどのポリエステルは、芳香環が主鎖中
に多く含まれるため、耐熱性や機械的性質に優れるが、
環境中に放出された場合、土壌中のプラスチックを分解
する微生物との接触が疎水性の芳香環により阻まれるた
め、微生物で分解されず環境中に蓄積する。
【0005】そこで、芳香族系のポリエステルと脂肪族
系のポリエステルのエステル交換反応により、両者の共
重合体を合成する方法が提案されている [Y. Tokiwa et
al., J. Appl. Polm. Sci., 26, 441 (1981)]。しか
し、一般的にこのようなエステル交換反応ではブロック
共重合体が合成され、その物性は分子内の可塑化現象に
より、原料である芳香族系ポリエステルあるいは脂肪族
系のポリエステルの物性とはかけ離れた物性になること
が知られている。従って、その物性を制御して、所望の
物性を有する生分解性ポリエステルを得るすることは困
難である。
【0006】また、特開平7−70295 号公報には、グリ
コリド、ラクチドなどの脂肪族エステルから形成したプ
レポリマーと、芳香族ジカルボン酸無水物から共重合体
を製造することが開示されているが、このような方法で
は分子配列の制御は困難であり、ブロック共重合体また
はランダム共重合体が生成する。さらに、特開平7−82
369 号公報では、120 ℃以上の融点をもつ生分解性ポリ
マーを得ることを目的として、ポリカーボネート系重合
体とラクタイドをエステル化触媒の存在下で重合させて
ラクタイド系重合体を製造している。しかし得られる重
合体の融点は120 〜180 ℃と低く、しかもその機械的特
性の制御は困難である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来の生分解性ポリエ
ステルは、耐熱性および機械的特性が劣るため、生分解
性プラスチックの使用が望まれている分野であっても使
用が困難な場合があった。また、生分解性を有する脂肪
族ポリエステルに、芳香族ポリエステル部分を導入しよ
うとすることが試みられたが、いずれも物性の制御が困
難であり、目的とする物性を有する生分解性ポリエステ
ルを容易に得ることはできなかった。
【0008】従って、本発明の目的は、生分解性を維持
しながら、耐熱性および機械的特性が改善でき、しかも
物性の制御が可能なポリエステルを提供することであ
る。それにより生分解性ポリエステルの用途の拡大を図
ることができる。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、分子量の制
御が可能であり、かつ分子量分布が狭い、両末端に水酸
基を有する変性ポリ(3−ヒドロキシブチレート)を、
ポリエステル製造におけるジオール成分として用い、そ
してジカルボン酸成分に芳香族化合物を使用することに
より、生分解性および耐熱性、機械的特性に優れたポリ
エステルを製造でき得ら、また得られるポリエステルの
物性を制御できることを見出し、本発明を完成した。
【0010】すなわち、本発明は、変性ポリ (3−ヒド
ロキシブチレート) から誘導される下記一般式(1) で表
される構造単位、および一般式(2) :−(OC−A−C
O)−(ただし、Aは2価の芳香族基である)で表され
る構造単位を含む、分子量1000以上の生分解性ポリエス
テルである。
【0011】一般式 (1):
【0012】
【化2】
【0013】(ただし、Rは2価の炭化水素基またはハ
ロ炭化水素基を表し、m、nは2以上の整数)
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】本発明のポリエステルは、両末端に水酸基
を有する変性ポリ(3−ヒドロキシブチレート)をジオ
ール成分とし、ジカルボン酸成分に芳香族ジカルボン酸
および/またはその誘導体を使用して、これらを重縮合
させることにより得られるものである。
【0016】本発明のポリエステルの製造においてジオ
ール成分として用いる変性ポリ(3−ヒドロキシブチレ
ート)は、生分解性を有するポリ(3−ヒドロキシブチ
レート)を後出の一般式(3) を有するように変性したも
のであり、両末端に水酸基を有し、分子量分布が狭く、
かつ分子量の制御が容易なものである。このような変性
ポリ(3−ヒドロキシブチレート)の合成法は特に限定
されず、任意の合成方法が使用できるが、好適な変性ポ
リ (3−ヒドロキシブチレート) の合成例は以下の通り
である。
【0017】例えば、有機金属化合物触媒とジオール類
との存在下でβ−ブチロラクトンの開環重合を行うこと
によって、変性ポリ (3−ヒドロキシブチレート) を合
成できる。
【0018】この開環重合において使用できる触媒は有
機金属化合物、特に、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛また
はジフェニル亜鉛などの有機亜鉛化合物が好ましい。有
機金属化合物は予めジオール類とを反応させておいても
良い。
【0019】変性ポリ (3−ヒドロキシブチレート) の
合成に使用するジオール類は、エチレングリコール、プ
ロパンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコ
ール等のジオールであり、特に制限はないが分子量300
程度までのものが生分解性の点からは好ましい。
【0020】β−ブチロラクトンは光学活性な化合物で
ありR体とS体が存在する。ここで、変性ポリ (3−ヒ
ドロキシブチレート) の合成に使用するβ−ブチロラク
トンとしては、R体比率が10%以上であることが好まし
い。R体比率が10%未満では、開環重合で生成するポリ
(3−ヒドロキシブチレート) 部分が生分解されにくい
ためである。
【0021】触媒である有機金属化合物の量は、β−ブ
チロラクトンに対してモル比で0.001 〜0.1 の範囲であ
り、好ましくは0.002 〜0.02である。有機金属化合物の
量がモル比で0.001 以下では反応速度が遅くなり反応に
長時間を要し経済的でない。また、モル比で0.02以上使
用してもそれ以上の効果は望めず、しかも触媒除去工程
での負荷が増加するために経済的でない。
【0022】ジオールを、有機金属化合物とのモル比
(ジオール/有機金属化合物)が2以上となるように存
在させてβ−ブチロラクトンの開環重合を行えば副反応
を併発せずに短時間で、変性ポリ (3−ヒドロキシブチ
レート) の合成が可能である。
【0023】β−ブチロラクトンの開環重合は、溶媒中
であるいは溶媒を使用せずに、有機金属化合物触媒とジ
オール類との存在下(有機金属化合物とジオール類とは
予め反応させておいてもよい)、β−ブチロラクトンを
加熱して行う。反応温度は通常60〜200 ℃、好ましくは
80〜150 ℃である。反応温度が60℃以下では反応速度が
遅くなり反応に長時間を要し経済的でない。また、200
℃以上では副反応を併発し好ましくない。反応時間は通
常2時間程度である。
【0024】この開環重合は、溶媒を使用しなくても行
うことができるが、溶媒を使用する場合は、反応基質お
よび触媒に対して反応条件で不活性なものを溶媒として
使用すればよい。このような溶媒としては、ジクロロメ
タン、ジクロロエタンなどのハロゲン化アルキル、ベン
ゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素、クロロベンゼ
ン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン置換芳香族炭化水
素、ジフェニルエーテル、ジオキサンなどのエーテル類
があげられる。この反応は、必要に応じ加圧系で行って
も良い。
【0025】このようにして、両末端に水酸基をもつ、
一般式(3) の変性ポリ (3−ヒドロキシブチレート)
を得ることができる。このプレポリマーの分子量はジオ
ールの添加量によって制御でき、しかも分子量分布は狭
い。
【0026】一般式(3):
【0027】
【化3】
【0028】(ただし、Rは2価の炭化水素またはハロ
炭化水素基を表し、m、nは2以上の整数である。) 上記式において、Rはメチレン、エチレン、トリメチレ
ン、プロピレン、テトラメチレン等の2価の炭化水素
基、またはジクロロメチレン、トリクロロエチレン、テ
トラクロロエチレン等の2価のハロ炭化水素基である。
【0029】上記一般式(2)で示される変性ポリ (3
−ヒドロキシブチレート) を、本発明ポリエステルの製
造において原料ジオールとして用いる。この際、汎用の
ジオール類、例えばエチレングリコール等を、生成する
ポリエステルの生分解性が損なわれない範囲内で混合し
て用いてもよい。
【0030】本発明ポリエステルの製造に使用するジカ
ルボン酸および/またはその誘導体は芳香族系のもので
あり、テレフタル酸などのベンゼンジカルボン酸、2,6
−ナフタレンジカルボン酸、またはそれらの誘導体(例
えば、テレフタル酸ジクロライド)が例示できる。これ
らの芳香族ジカルボン酸または誘導体を1種または2種
以上を使用すればよい。これらの中で、特にテレフタル
酸、2,6 −ナフタレンジカルボン酸またはそれらの誘導
体が好ましい。
【0031】変性ポリ (3−ヒドロキシブチレート) で
あるジオールと、芳香族ジカルボン酸および/またはそ
の誘導体とからポリエステルを製造するための重合法は
特に制限されず、直接エステル化反応等、通常のポリエ
ステル製造に使用される重合法によればよい。
【0032】生成する高分子が所望の力学的性質を有す
るには、芳香族ジカルボン酸および/またはその誘導体
を、変性ポリ (3−ヒドロキシブチレート) (他のジオ
ールを用いる場合は変性ポリ (3−ヒドロキシブチレー
ト) と他のジオールとの合計)に対して化学量論的に用
いることが望ましい。
【0033】重合反応の反応条件は特に限定されない
が、反応温度0〜300 ℃で0.1 〜100時間行うことが好
ましい。300 ℃を越えると、生分解性を有するジオール
が分解しがちであり、0℃未満では重合反応が十分に進
行しない。また、反応時間が0.1 時間未満では反応が十
分に進行せず、100 時間を越えると好ましくない副反応
が進行しがちである。反応圧力は特に限定されない。重
合反応にはプロトン酸、重金属の酸化物もしくは塩、あ
るいはチタン、スズ、鉛などの金属を含む有機金属化合
物などの触媒を用いることもある。
【0034】また、有機溶媒−アルカリ水溶液2相系で
反応を行うこともできる。第3級アミン、第4級オニウ
ム塩 (アンモニウム塩、アルソニウム塩、ホスソニウム
塩、スルホニウム塩等) などの相間移動触媒存在下、変
性ジオールをアルカリ水溶液に、ジカルボン酸および/
またはその誘導体を有機溶媒に溶解させ、重合反応を行
う。
【0035】得られるポリエステルの分子量は、gpc
法により推定して10000 以上である。また、本発明のポ
リエステルの融点は200 ℃以上であり、通常200 〜260
℃の範囲である。
【0036】本発明ポリエステルは、必要により慣用の
添加剤、例えば着色剤、充填剤、酸化防止剤等を加え
て、融点以上の温度で押出成形、射出成形等の成形方法
により、フィルム、繊維、テープ、板、ボトルなどの形
状に容易に成形することができる。これらの成形体は、
包装材料、医用材料、農業用材料、林業用材料、漁業用
材料などの用途に有用である。
【0037】本発明ポリエステルは、生分解性を有する
ポリ (3−ヒドロキシブチレート)部分と、芳香族部分
とがエステル結合により交互に結合されているので、生
分解性が保持されると共に、芳香族部分により耐熱性お
よび機械的特性を従来の生分解性脂肪族ポリエステルよ
りも優れたものとすることができる。また、ポリ (3−
ヒドロキシブチレート) 部分は分子量分布が狭く、分子
量を揃えることが可能であり、また分子量を所望の範囲
に制御できるので、用いるジカルボン酸の種類との組み
合わせにより、以下の実施例に示すように引張強度や伸
び率などの物性を目的に応じたものとすることができ
る。従って、生分解性と共に強度が要求される漁網、釣
り糸等の用途、また耐熱性も要求される飲料用ボトルの
容器等の一般産業資材の用途に特に有用である。
【0038】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例に基づい
て具体的に説明するが、本発明はその主旨を逸脱しない
限りこれらに限定されるものではない。
【0039】なお、ポリマーの分子量は溶離液としてク
ロロホルムを用い、ゲルパーミェーションクロマトグラ
フィー (gpc) にて測定した。実験操作はすべて窒素
雰囲気下で行った。
【0040】(参考例1)(R) −β−ブチロラクトンの合成 [Ru2Cl2{(S)-2,2'-bis(ジフェニルホスフィノ)-1,1'
-ビナフチル}2[N(C2H5)3}](以下、Ru/BINAPとする)
をJournal of Chemical Society, Chemical Communicat
ion, 992(1985)に記載の方法で合成した。内容積200 ml
のステンレス製オートクレーブに Ru/BINAP 0.2 gを仕
込み、すばやく系内をアルゴンで置換し、メタノール50
mlとジケテン10mlとを順次加えた。その後、系内を水素
で置換し、水素初圧100 kg/cm2、40℃で攪拌しながら反
応を行った。2時間後、系内の水素を抜き内容物を取り
出した。内容物からエバポレータでメタノールを除き、
水素化カルシウム0.1 gを加え、室温で48時間乾燥し
た。その後、減圧蒸留を行うことによって、β−ブチロ
ラクトン8.0 gを得た。旋光度を測定したところ [α]
25 589=−24.5°(c=5, CHCl3) であった。したがっ
て、(R) −β−ブチロラクトンおよび (S)−β−ブチロ
ラクトンがそれぞれ97%および3%であった。
【0041】生分解性を有するジオール (変性ポリ (3
−ヒドロキシブチレート) の合成 環流冷却器および窒素導入管を備えた回転子入りの100
ml三口フラスコを窒素パージした後、トルエン20ml、1M
−ジエチル亜鉛 (トルエン溶液) 1ml (1.0mmol)および
1,4 −ブタンジオール0.44ml (5.0 mmol) を順次加え、
100 ℃で1時間加熱攪拌を行った。次に、反応容器を室
温まで冷却し、β−ブチロラクトン(BL)10ml(120 mol)
を加え、再び100 ℃で2時間加熱攪拌した。反応終了
後、室温まで冷却し、反応溶液を1%塩酸水溶液および
水で順次洗浄した。その後、トルエンを減圧下で除き、
変性ポリ (3−ヒドロキシブチレート) 10.9gを得た。
その収率は100 %である。gpcで求めた分子量は2200
であり、分子量分布分散度 (重量平均分子量/数平均分
子量) は1.1 であった。また、塩化ベンゾイルを用いた
水酸基当量は、1090g/水酸基1モルであった。
【0042】(参考例2)1,4 −ブタンジオールの量を2
倍に変更する以外、参考例1と同様に反応を行い、gp
cで求めた分子量1000、水酸基当量490 の変性ジオール
を得た。
【0043】
【実施例1】参考例1で得た変性ポリ (3−ヒドロキシ
ブチレート) 10gを200 mlのフラスコにいれ、トルエン
50mlを加えて、回転子を用いて溶解した。さらに、化学
量論数の水酸化ナトリウム0.37gを溶解した蒸留水50ml
とテトラメチルアンモニウムクロライド 0.5gを加え、
激しく攪拌した。そこへ、化学量論数の塩化テレフタロ
イル0.93gを溶解したトルエン溶液10mlを加えた。室温
で、30時間攪拌を継続した。反応終了後、水相を除去し
た後、水洗した。さらに、トルエンで未反応の変成ポリ
(3−ヒドロキシブチレート) を除去して、融点240 ℃
のポリエステル5.1gを得た。
【0044】
【実施例2】参考例1で得た変性ポリ (3−ヒドロキシ
ブチレート) 10gを200 mlのフラスコにいれ、トルエン
150 mlを加えて、回転子を用いて溶解した。実施例1の
塩化テレフタロイルの代わりに 2,6−ナフタレンジカル
ボン酸0.99gとトリエチルアミン・塩酸塩 0.5gを加え
て、トルエンの環流条件下で環流するトルエンをゼオラ
イトを用いて乾燥しながら、8時間反応を行った。反応
終了後実施例1と同様に水洗、トルエンによる未反応原
料の除去を行い、融点260 ℃のポリエステル 3.9gを得
た。
【0045】
【実施例3】塩化テレフタロイル0.47gと2,6 −ナフタ
レンジカルボン酸0.50gの混合物を用いる以外、実施例
1と同様に反応を行い、融点271 ℃のポリエステル 4.2
gを得た。
【0046】
【実施例4】変性ポリ (3−ヒドロキシブチレート) 8
gとエチレングリコール0.06gの混合物を用いる以外、
実施例1と同様に反応を行い、融点220 ℃のポリエステ
ル4.9 gを得た。
【0047】
【実施例5】参考例2で得た変性ポリ (3−ヒドロキシ
ブチレート) 10g、水酸化ナトリウム0.75g、塩化テレ
フタロイル1.86gを用いる以外、実施例1と同様に反応
を行い、融点260 ℃のポリエステル 3.8gを得た。
【0048】
【実施例6】このようにして得られたポリマーを、その
融点よりも高い温度で押し出し成型して、糸状に成型加
工し、その物性値と生分解性を評価した。
【0049】物性値
【0050】
【表1】物性値 ────────────────────────────── 引張強度(MPa) 伸び率(%) 融点 (℃) ────────────────────────────── 実施例1 75 40 240 実施例2 90 30 260 実施例3 80 35 271 実施例4 100 30 220 実施例5 80 25 260 比較例 PHB1) 38 5 170 PCL2) 15 24 60 PET3) 241 50 250 ────────────────────────────── 1) ホ゜リ (3−ヒト゛ロキシフ゛チレート) 、アルドリッチ社より購入、Mw =1,200,000 2) ホ゜リカフ゜ロラクタン、アルドリッチ社より購入、Mw =140,000 3) ホ゜リエチレンテレフタレート、アルドリッチ社より購入、 d=1.375 * 引張強度および伸び率は小型テンシロン (東洋ボールディング社製) を用い て測定した。
【0051】本発明のポリエステルは、ポリエチレンテ
レフタレートと同程度の融点を有し、従来の生分解性ポ
リエステルであるポリ(3−ヒドロキシブチレート) およ
びポリカプロラクトンに比べてはるかに融点が高く、機
械的特性が優れている。
【0052】微生物分解性 上記の各種ポリエステルをソルベント−キャスト法でフ
ィルムに作成し、以下に記した方法で微生物分解性を評
価した。茨城県鹿島郡波崎町で採取した土壌 0.2gを滅
菌した水5mlで抽出し、その抽出液 0.2mlを表2に記し
た培養液5mlに加え、微生物分解性評価液とした。
【0053】その評価液に、各種ポリエステルのフィル
ム (1cm×1cm、重量=4〜6mg)を浸漬し、30℃で48
時間振盪した。その後、培養液からフィルムを取りだ
し、充分に乾燥してから重量を測定した。その結果を表
3に示す。
【0054】
【表2】 培養液重量組成 (mg/l) ──────────────────────────────────── NH4NO3 0.1 KH2PO4 0.1 NaHPO4 0.1 MgSO4・7H2O 0.02 酵母エキス 0.01 FeSO4 0.001 MnSO4 0.001 ZnSO4 0.001 CaCl2・2H2O 0.001 (pH7.0) ────────────────────────────────────
【0055】
【表3】 微生物分解性 ───────────────────────────── 初期重量(mg) 分解後重量(mg) 重量減少(mg) ───────────────────────────── 実施例1 4.8 3.1 1.7 実施例2 4.9 3.8 1.1 実施例3 4.6 3.5 1.1 実施例4 4.8 3.9 0.9 実施例5 5.1 3.5 1.6 比較例 ポリエチレン 5.2 5.2 0.0 PET 5.1 5.1 0.0 ───────────────────────────── 上記結果より、本発明ポリエステルは十分な微生物分解
性を有することが分かる。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
生分解性の変性ポリ (3−ヒドロキシブチレート) と芳
香族ジカルボン酸および/またはその誘導体とから、耐
熱性および機械的特性に優れた生分解性ポリエステルを
提供でき、従来の脂肪族ポリエステルからなる生分解性
ポリエステルの欠点を解消することができる。
【0057】また、脂肪族ポリエステルからなる生分解
性プラスチックの物性を改善するためにこれまで行われ
ていた方法では、機械的特性等の制御が困難であった
が、本発明ポリエステルでは、分子量がそろった変性ポ
リ (3−ヒドロキシブチレート) と芳香族化合物からな
るポリエステルであるため、原料組成や変性ポリ(3−
ヒドロキシブチレート)の分子量等を変化させることに
より、機械的特性等の制御が可能である。従って、用途
に応じた機械的特性および生分解性を得ることができ、
生解性プラスチックの用途拡大に有用である。
【0058】また、本発明のポリエステルでは汎用の樹
脂原料を使用するため経済性が向上する。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 変性ポリ (3−ヒドロキシブチレート)
    から誘導される下記一般式(1) で表される構造単位、お
    よび一般式(2) :−(OC−A−CO)−(ただし、A
    は2価の芳香族基である)で表される構造単位を含む、
    数平均分子量10000 以上の生分解性ポリエステル。 一般式 (1): 【化1】 (ただし、Rは2価の炭化水素基またはハロ炭化水素基
    を表し、m、nは2以上の整数)
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