JPH09157254A - 3−ヒドロキシメチル−3−デカルボキシシアスタチンb誘導体およびそれらの製造方法 - Google Patents

3−ヒドロキシメチル−3−デカルボキシシアスタチンb誘導体およびそれらの製造方法

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JPH09157254A
JPH09157254A JP7314562A JP31456295A JPH09157254A JP H09157254 A JPH09157254 A JP H09157254A JP 7314562 A JP7314562 A JP 7314562A JP 31456295 A JP31456295 A JP 31456295A JP H09157254 A JPH09157254 A JP H09157254A
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Yoshio Nishimura
吉男 西村
Takahiko Satou
尊彦 佐藤
Toshiaki Kudo
利秋 工藤
Shinichi Kondo
信一 近藤
Tomio Takeuchi
富雄 竹内
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Microbial Chemistry Research Foundation
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 グリコシダーゼに対して阻害活性を有する新
規物質として3-ヒドロキシ-3-デカルボキシシアスタ
チンB誘導体を創製し、またそれらの製造法を提供する
ことが目的である。 【解決手段】 シアスタチンBより製造できるN-保護-
4,5-ジ-O-保護-シアスタチンBエステルから出発す
る複数の工程を含む方法により、次の一般式(I) (式中、Rはヒドロキシル基、メチルチオ基、メチルス
ルフィニル基、アミノ基またはアジド基である)で示さ
れるシアスタチンB誘導体およびその塩がグリコシダー
ゼ阻害物質として得られた。一般式(I)の新規化合物
は癌細胞の転移の抑制剤としても有効であると期待され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はグリコシダーゼに対
する阻害活性を有する新規シアスタチンB誘導体および
その薬学的に許容される塩類に関し、また本発明はそれ
らの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】種々なグリコシダーゼは動物細胞、微生
物やウィルスなどに幅広く分布する酵素であり、哺乳動
物では糖質代謝を通して、細胞の癌化、癌細胞の転移
や、ウィルス感染、細菌感染や免疫機能、ならびに卵子
の受精などを含めて、糖蛋白や糖脂質糖鎖が関与する多
種多様な生理機序をグリコシダーゼが支配していると考
えられている。また、ある種のグリコシダーゼは、デン
プンやシュウクロースなどの多糖やオリゴ糖の分解を通
して食物の消化機構に関与している。さらに、細胞膜上
に結合している糖鎖を切断するグリコシダーゼの阻害物
質は、免疫調節作用および癌細胞の転移を抑制する作
用、ならびにインフルエンザウィルスの感染を抑制する
作用を有する可能性があることが認められている。ま
た、食物の消化機構に関与する異化作用グリコシダーゼ
に対する阻害物質は、抗糖尿病薬、抗肥満薬として有用
であると重要視されている。
【0003】このようにグリコシダーゼは生体で重要な
酵素であるから、グリコシダーゼの生理学的性質の研究
も重要である。グリコシダーゼの性質を研究する上に
は、グリコシダーゼの酵素活性を阻害する作用を有する
物質が利用できる。また、ある種のグリコシダーゼ阻害
物質は癌細胞の転移の抑制剤として利用できると期待で
きる。
【0004】従って、毒性が低く且つ水溶性でしかもグ
リコシダーゼ阻害活性の強い新しい化合物を提供するこ
とが強く要望されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、グリ
コシダーゼに強い阻害活性を示す新規なシアスタチンB
誘導体を提供することであり、またそのような化合物の
製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、グリコシ
ダーゼ阻害物質としてのシアスタチンB誘導体に注目し
て鋭意研究を行った結果、強力なグリコシダーゼ阻害活
性を有し、且つ後記の一般式(I)で総括的に示される
数種の新規シアスタチンB誘導体を合成することに成功
した。また、一般式(I)のシアスタチンB誘導体を効
率よく合成できる新規な製造方法を見出した。これらの
知見に基づいて、本発明を完成した。
【0007】従って、第一の本発明では、一般式(I) (式中、Rはヒドロキシル基、メチルチオ基、メチルス
ルフィニル基、アミノ基またはアジド基である)で示さ
れるシアスタチンB誘導体、およびそれらの製薬学的に
許容できる塩が提供される。
【0008】本発明による一般式(I)のシアスタチン
B誘導体は下記の5つの化合物を包含する。 (1)化合物No.1:次式 で示される3-ヒドロキシメチル-3-デカルボキシシア
スタチンB〔一般式(I)でRがヒドロキシル基である化
合物に相当する〕。
【0009】(2)化合物No.2:次式 で示される3-メチルチオメチル-3-デカルボキシシア
スタチンB〔一般式(I)でRがメチルチオ基である化
合物に相当する〕。
【0010】(3)化合物No.3:次式 で示される3-メチルスルフィニルメチル-3-デカルボ
キシシアスタチンB〔一般式(I)でRがメチルスルフ
ィニル基である化合物に相当する〕。
【0011】(4)化合物No.4:次式 で示される3-アジドメチル-3-デカルボキシシアスタ
チンB〔一般式(I)でRがアジド基である化合物に相
当する〕。
【0012】(5)化合物No.5:次式 で示される3-アミノメチル-3-デカルボキシシアスタ
チンB〔一般式(I)でRがアミノ基である化合物に相
当する〕。
【0013】第一の本発明による一般式(I)の化合物
の塩には、一般式(I)の化合物のイミノ基と、存在す
ればアミノ基における酸付加塩が包含され、特に製薬学
的に許容できる鉱酸、例えば塩酸、硫酸、あるいは有機
酸、例えば酢酸、プロピオン酸、等との製薬学的に許容
できる酸付加塩がある。
【0014】次に、第一の本発明による一般式(I)の
各化合物の物理化学的性質を示す。
【0015】(a)3-ヒドロキシメチル-3-デカルボ
キシシアスタチンB(化合物No.1): 色および形状:無色不定形固体 分子式:C81624 比旋光度:[α]D 25+58.8°(c 0.37、メタノール)1 H-NMRスペクトル(400MHz, CD3OD, δppm): 2.04(1
H, m, 3-H), 2.06(3H,s, NHCOCH3 ), 3.07-3.14(2H, m,
2-H), 3.57(1H, dd, J=10.8, 7.3Hz, -CH2 OH),3.67(1H,
dd, J=10.8, 6.3Hz, -CH2OH), 3.72(1H, dd, J=10.3,
2.4Hz, 5-H),4.09(1H, t, J=2.4Hz, 4-H), 4.95(1H, d,
J=10.3Hz, 6-H) 溶解性:水によく溶ける。
【0016】(b)3-メチルチオメチル-3-デカルボ
キシシアスタチンB(化合物No.2): 色および形状:無色不定形固体 分子式:C91823S 比旋光度:[α]D 24+19.8°(c 0.09, メタノール)1 H-NMRスペクトル(400MHz, D2O, δppm): 1.83(1H,
m, 3-H), 1.93(3H,s, -NHCOCH3 ), 2.08(3H, m, -SC
H3), 2.45(1H, dd, J=13.2, 7.3Hz, -CH2S-),2.69(1H,
dd, J=13.2, 7.8Hz, -CH2S-), 2.73-2.83(2H, m, 2-H),
3.37(1H, dd,J=9.8, 2.4Hz, 5-H), 4.06(1H, t, J=2.4
Hz, 4-H), 4.64(1H, d, J=9.8Hz, 6-H) 溶解性:水によく溶ける。
【0017】(c)3-メチルスルフィニルメチル-3-
デカルボキシシアスタチンB(化合物No.3): 色および形状:無色不定形固体 分子式:C918241 H-NMRスペクトル(400MHz, CD3OD, δppm): 1.99(3
H, s, -NHCOCH 3 ),2.20-2.30(1H, m, 3-H), 2.67(3H, s,
-SOCH3),2.70-3.00(4H, m, 2-H,-CH2SO-),3.46, 3.48
(total 1H, each t, J=2.4, 2.7Hz, 5H-1), 3.98, 4.12
(total 1H,t, br s J=2.4Hz, 4-H), 4.69, 4.72(toatal
1H, each d, J=2.0Hz, 6-H) 溶解性:水によく溶ける。
【0018】(d)3-アジドメチル-3-デカルボキシ
シアスタチンB(化合物No.4): 色および形状:無色不定形固体 分子式:C81553 比旋光度:[α]D 26+25.7°(c 0.25, メタノール)1 H-NMRスペクトル(400MHz, CD3OD, δppm): 1.87(1
H, m, 3-H), 1.98(3H,s, -NHCOCH3 ), 2.72(1H, dd, J=1
2.0, 4.6Hz, 2-Heq), 2.78(1H, t, J=12.0Hz,2-Hax),
3.28(1H, dd, J=12.2, 7.8Hz, -CH2N3), 3.37(1H, dd,
J=9.3, 2.9Hz,5-H), 3.44(1H, dd, J=9.3, 7.3Hz, -CH2
N3), 4.00(1H, t, J=2.2Hz, 4-H),4.64(1H, d, J=9.3H
z, 6-H) 溶解性:水によく溶ける。
【0019】(e)3-アミノメチル-3-デカルボキシシ
アスタチンB塩酸塩(化合物No.5): 色および形状:無色粉末 分子式:C8H17N3O3 比旋光度:[α]D 26+21.5°(c 0.41, メタノール)1 H-NMRスペクトル(400MHz, CD3OD, δppm): 1.68(1
H, m, 3-H), 1.98(3H,s, -NHCOCH3 ), 2.61(1H, dd, J=1
2.7, 6.3Hz, -CH2 NH2), 2.65-2.80(3H, m,6-H,-CH2 N
H2), 3.35(1H, dd, J=9.8, 2.4Hz, 3-H), 4.04(1H, t,
J=2.4Hz, 4-H),4.61(1H, d, J=9.8Hz, 2-H) 溶解性:水によく溶ける。
【0020】本発明による一般式(I)の化合物がグリ
コシダーゼ阻害活性を有することを上記の具体例の化合
物No.1〜5について、以下に試験例により示す。
【0021】試験例1 本例は、本発明の化合物のN-アセチルグルコサミニダ
ーゼ阻害活性を測定する試験例である。
【0022】N-アセチルグルコサミニダーゼ阻害活性
の評価は「Methods in Enzymology」第28巻、772
頁(1972)に記載の方法の改良法で行った。
【0023】即ち、本発明の化合物No.1〜5の何れか
一つを検体として含む水溶液あるいは水10μlと0.1
M酢酸アンモニウム緩衝液(pH4.5)に溶解させた
ウシ精巣上体のβ-N-アセチルグルコサミニダーゼA
(Sigma社製)40μlを96穴タイタープレート中 、
37℃で10分間プレインキュベーションした。プレイ
ンキュベーション終了後、同緩衝液に溶解させた12m
Mパラニトロフェニルアセチル-β-D-グルコサミニド
20μlを基質として加えた後、37℃で30分間反応
させた。反応後、反応液に1M炭酸ナトリウム水溶液1
00μlを加えて酵素反応を停止させた。その後に、そ
の反応液の40 5nmにおける吸光度(a)を測定した。
同時に検体を含まない対照試験での反応液の吸光度(b)
を測定し、それぞれに対する反応をしない盲検の吸光度
(a′)および(b′)を測定した。N-アセチルグルコサ
ミニダーゼ阻害率は式〔1−(a−a′)/(b−b′)〕
×100により計算した。酵素の50%阻害率を示す検体
の濃度をIC50の値とした。得られた試験結果は後記の
表1に示す。
【0024】試験例2 本例は、本発明化合物のN-アセチルガラクトサミニダ
ーゼ阻害活性を測定する試験例である。
【0025】N-アセチルガラクトサミニダーゼ阻害活
性の評価は「Journal of BiologicalChemistry」第25
2巻、5194〜5200頁(1977)に記載の方法
の改良法で行った。
【0026】即ち、酵素としてニワトリ肝臓のα-N-ア
セチルグルコサミニダーゼ(Sigma社製) を用い、基質
として2mMパラニトロフェニル-N-アセチルガラクト
サニミド50μlを加えて、上記N-アセチルグルコサミ
ニダーゼ阻害活性の試験と同様の方法で試験を行った。
また、上記と同様の方法で阻害活性を測定し、阻害率を
計算した。得られた試験結果を次の表1に示す。
【0027】 * 酵素A:β-N-アセチルグルコサミニダーゼ(ウシ
精巣上体) ** 酵素B:α-N-アセチルガラクトサミニダーゼ(ニ
ワトリ肝臓)
【0028】表1に示す通り、一般式(I)で示される
本発明化合物はいずれもN-アセチルグルコサミニダー
ゼおよびN-アセチルガラクトサミニダーゼを強く阻害
する。従って、N-アセチルグルコサミニダーゼおよび
N-アセチルガラクトサミニダーゼ阻害剤として極めて
有用である。
【0029】また、一般式(I)で示される本発明化合物
は、哺乳動物における癌細胞の転移の機序に関与するグ
リコシダーゼも阻害できる活性を有すると推定できるか
ら、癌の治療に利用できる癌細胞の転移抑制剤として有
用であると期待される。また、グリコシダーゼの生体内
の働きを研究する試薬として有用である。
【0030】次に、一般式(I)で示されるシアスタチ
ンB誘導体の製造法を説明する。
【0031】本発明による一般式(I)のシアスタチン
B誘導体を製造するには、最初の原料として次式(A) で示されるシアスタチンBを用いる。シアスタチンBは
放射菌ストレプトミセス・バーチシラス・バリエタス・
クインツム(Streptomyces verticillus var.quintum)
(微工研菌寄第507号)を培養して、その培養液から採
取する方法(特公昭55-46714号)によって製造さ
れる。
【0032】この原料のシアスタチンBのイミノ基を適
当なイミノ保護基(R1a)で保護して次式(B) (式中、R1aはイミノ保護基、好ましくはアルコキシカ
ルボニル基である)で示されるN-保護-シアスタチンB
を作り、次に式(B)の化合物の4位および5位のヒド
ロキシル基を、1価または2価のヒドロキシル保護基
(X1、X2)で保護して次式(C) (式中、R1aはイミノ保護基であり、X1とX2は夫々に
1価のヒドロキシル保護基であるか、あるいはX1とX2
の両者は共同して2価のヒドロキシル保護基1個、例え
ばイソプロピリデン基、ベンジリデン基、シクロアルキ
リデン基またはテトラヒドロピラニリデン基を示す)で
表されるN-保護-4,5-ジ-O-保護シアスタチンBを生
成し、次に式(C)の化合物の3位のカルボキシル基を
エステル化剤と反応させて次式(IIa) (式中、R1a、X1、X2は前記と同じ意味をもち、Tは
エステル形成基である)で示されるシアスタチンB保護
誘導体を生成し、さらに式(IIa)の化合物の3位カル
ボキシレート基-COOTを還元によりヒドロキシメチ
ル基に転化して次式(IIIa) (式中、R1a、X1、X2は前記と同じ意味をもつ)で示さ
れるN-保護-4,5-O-ジ-保護-3-ヒドロキシメチル-
3-デカルボキシシアスタチンBを調製する。
【0033】上記のように調製された式(IIIa)の化合
物を出発化合物として用いて、これを複数の工程で化学
的に変換することにより、一般式(I)のシアスタチン
B誘導体を製造できる。しかし、式(Ia)本発明化合物を
製造する場合には、式(IIa)の化合物の1位イミノ基を
保護することは必らずしも必要でない。
【0034】従って、第二の本発明においては、次の一
般式(II) (式中、R1は水素原子またはイミノ保護基であり、X1
とX2はそれぞれに1価のヒドロキシル保護基である
か、あるいはX1とX2は両者が共同して2価のヒドロキ
シル保護基1個を示し、Tはエステル形成基を示す)で
示されるN-保護または非保護-シアスタチンBエステル
の3位カルボキシレート基(-COOT)を還元によりヒ
ドロキシメチル基に転化し、これにより次の一般式(II
I) (式中、R1、X1およびX2は前記と同じ意味をもつ)で
示されるN-保護または非保護-4,5-O-保護-3-ヒド
ロキシメチル-3-デカルボキシシアスタチンBを生成
し、次いで式(III)の化合物からイミノ保護基(R1
があればこれを脱離し且つヒドロキシル保護基(X1
2)を脱離することを特徴とする、次式(Ia) で示される3-ヒドロキシメチル-3-デカルボキシシア
スタチンBの製造法が提供される。
【0035】第二の本発明の方法の各工程の実施法を説
明する。先づ式(IIa)のN-保護シアスタチンB誘導体
の調製法を説明する。式(IIa)の化合物におけるイミ
ノ保護基(R1a)は、加水分解法で脱離できるアルコキ
シカルボニル基、アリールオキシカルボニル基またはア
ラルキルオキシカルボニル基であるのが好ましく、特に
ターシャリーブトキシカルボニル基であるのが便利であ
る。シアスタチンBへのイミノ保護基(R1a)の導入は
常法で行うことができ、これにより前出の式(B)のN
-保護-シアスタチンBが生成される。式(B)の化合物の
4位および5位のヒドロキシル基を次いで保護する。こ
れにより得られた前出の式(C)のN-保護-4,5-O-
保護-シアスタチンBの、従って前記の式(II)の化合
物の4位及び5位のヒドロキシル基を同時に保護する2
価のヒドロキシル保護基(X1、X2)はイソプロピリデ
ン基であるのが便利である。しかし、一般的にはその他
の各種のヒドロキシル保護基を保護基X1、X2として利
用できる。すなわち、次式 〔但しY及びZは、互いに同じ又は異なってもよく、そ
れぞれが水素、アルキル基(好ましくは炭素数1〜4の
低級アルキル基)又はアリール基(好ましくはフェニル
基又は置換フェニル基、例えばパラ-メトキシフェニル
基)である〕で表される2価のヒドロキシル保護基(イ
ソプロピリデン基を包含)を利用できる。またイソプロ
ピリデン基に代えて、ベンジリデン基により、あるいは
シクロアルキリデン基、例えばシクロヘキシリデン基ま
たはテトラヒドロピラニリデン基により式(C)の化合
物の4位および5位のヒドロキシル基を同時に保護する
ことも便利である。
【0036】このような2価のヒドロキシル保護基の導
入は、糖の化学において、隣接する2個の炭素原子に結
合するヒドロキシル基の2個を同時に保護するための慣
用のヒドロキシ基保護の技術に従って行なわれる。また
別に、適当な1価のヒドロキシル保護基(X1、X2)と
してトリアルキルシリル基、特にターシャリーブチルジ
メチルシリル基を用いることができ、常用の技術で導入
できる。
【0037】式(C)の化合物における4位および5位
のヒドロキシル基を保護する保護基として4,5-O-イ
ソプロピリデン基を導入する反応を例示すると、式
(B)の化合物を例えばN,N-ジメチルホルムアミドな
どの有機溶媒に溶解し、その溶液に例えば2,2-ジメト
キシプロパン(イソプロピリデン基の導入剤)を加え、さ
らにクロロトリメチルシランの如き塩化アルキルシラ
ン、またはパラト0ルエンスルホン酸などの酸触媒を加
えて室温で数時間反応させることにより、4,5-O-イ
ソプロピリデン誘導体が得られる。
【0038】なお、上記のヒドロキシル基保護の反応に
用いられた2,2-ジメトキシプロパンに代えて、ベンツ
アルデヒドジメチルアセタール又は1,1-ジメトキシシ
クロヘキサンあるいはその他の各種のアセタールおよび
ケタール試薬を用いると、4,5-O-ベンジリデン基又
はシクロヘキシリデン基を導入された又はその他のアセ
タールおよびケタール基を導入された式(C)の化合物
が得られる。
【0039】つぎに、式(C)の化合物の3位カルボキ
シル基にエステル形成基(T)を導入するために、該化
合物を、N,N-ジメチルホルムアミドなどの有機溶剤に
溶解し、その溶液にジイソプロピルアミンやトリエチル
アミンなどの塩基を加え、この塩基の存在下にエステル
化剤として例えばメトキシエトキシメチルクロリドを加
える。得られる反応混合物を室温で数時間反応させるこ
とにより一般式(IIa)のエステル化化合物(但しTがメ
トキシエトキシメチル基である場合)を得る。
【0040】なお、上記のエステル化剤として、メトキ
シエトキシメチルクロリドに代えて、アルキルクロリ
ド、アリールクロリド、アラルキルクロリドや、低級ア
ルコキシメチルクロリド、アラルキルオキシメチルクロ
リド、又はメトキシメチルクロリド等の如きアルコキシ
置換-低級アルコキシメチルクロリドをエステル形成基
(T)の導入剤として用いると、式(IIa)の化合物にお
けるエステル形成基(T)が夫々に、アルキル基、アリ
ール基、アラルキル基、低級アルコキシメチル基、アラ
ルキルオキシメチル基又はアルコキシ置換-低級アルコ
キシメチル基である場合の式(IIa)の出発化合物が生
成される。
【0041】第二の本発明方法では、一般式(II)の化
合物の3位カルボキシレート基(-COOT)を還元す
るために、該化合物をテトラヒドロフラン等の単一の有
機溶剤、あるいは混合有機溶剤に溶解し、この溶液に水
素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウムま
たは水素化ジイソブチルアルミニウムなどの還元剤を加
え、室温で数時間反応させると、3位カルボキシレート
基が還元によりヒドロキシメチル基に転化される。これ
により、一般式(III)のアルコール化合物が得られ
る。
【0042】次いで、一般式(III)の化合物から、イミ
ノ保護基(R1)があればこれを脱離し、ヒドロキシル保
護基(X1、X2)を脱離する。その場合の脱離反応は保
護基の種類に応じて適当な方法、例えば加水分解法又は
加水素分解法により常法で行い得る。例えばイミノ保護
基(R1)がターシャリーブトキシカルボニル基(Boc)で
あり、ヒドロキシル保護基(X1、X2)がイソプロピリデ
ン基である場合には、上記の式(III)の化合物を、1
〜4N塩酸-ジオキサンなどの塩化水素ガスを含む有機
溶媒に溶解し、その溶液を室温に1〜12時間放置して
イミノ基保護基Bocおよびヒドロキシル保護基イソプロ
ピリデン基を同時に除去することができる。これにより
式(Ia)の本発明の化合物すなわち化合物No.1を塩酸
塩として生成する。
【0043】第二の本発明方法において、出発化合物と
して後記の式(II-1)で示されるN-(ターシャリーブト
キシカルボニル)-4,5-O-イソプロピリデンシアスタ
チンBの2-メトキシエトキシメチルエステルを用いる
場合の各工程を下記の反応チャート1に示す。但し反応
チャート1でBocは第3級ブトキシカルボニル基(CH3)
3-CO-CO-を示し、Meはメチル基を示し、MEMは2
-メトキシエトキシメチル基を示す。
【0044】反応チャート1
【0045】上記の反応チャート1について説明する
に、式(II-1)で示されるN-(ターシャリーブトキシカ
ルボニル)-4,5-O-イソプロピリデンシアスタチンB
の2-メトキシエトキシメチルエステル〔比旋光度[α]D
25−18.7°(c 0.91、クロロホルム)の無色シロップ
状物質〕をテトラヒドロフランと2,2,2-トリフルオ
ロエタノールの混合溶媒に溶かし、その溶液に水素化ホ
ウ素ナトリウムのような還元剤を加えて室温で還元反応
させる。これにより、式(II-1)の化合物の3位カルボ
キシレート基が還元によりヒドロキシメチル基に転化さ
れ、式(III-1)で示されるN-(ターシャリーブトキシ
カルボニル)-4,5-O-イソプロピリデン-3-ヒドロキ
シメチル-3-デカルボキシシアスタチンBを生成する。
【0046】次いで式(III-1)の化合物を、1〜4N
塩酸-ジオキサンなどの塩化水素ガスを含む有機溶媒に
溶解し、室温に1〜12時間放置してイミノ保護基Boc
およびヒドロキシル保護基イソプロピリデン基を除去す
ると、式(Ia)の本発明の化合物、すなわち化合物No.
1を塩酸塩として生成する。
【0047】さらに、第三の本発明においては、次式
(III′) (式中、R1aはイミノ保護基であり、X1とX2はそれぞ
れに1価のヒドロキシル保護基であるか、あるいはX1
とX2は両者が共同して2価のヒドロキシル保護基1個
を示す)で示されるN-保護-4,5-O-保護-3-ヒドロキ
シメチル-3-デカルボキシシアスタチンBを、次式(I
V) R2−SO3Q (IV) (式中、R2は低級アルキル基、アリール基、好ましくは
フェニル基、低級アルキル置換フェニル基またはアラル
キル基であり、Qはハロゲン原子である)で示される有
機スルホン酸のハロゲン化物と有機塩基の存在下に反応
させて次式(V) (式中、R1a、X1、X2およびR2は前記と同じ意味をも
つ)で示されるスルホニル化合物を生成し、次いで式
(V)のスルホニル化合物を次式(VI) H3C−S−M (VI) (式中、Mはアルカリ金属である)で示されるアルカリ金
属チオメトキシドと反応させて次式(VII) (式中、R1a、X1およびX2は前記と同じ意味をもつ)で
示されるメチルチオ化合物を生成し、さらに式(VII)の
化合物から常法で保護基(R1a、X1、X2)を脱離する
ことを特徴とする、次式(Ib) で示される3-メチルチオメチル-3-デカルボキシシア
スタチンBの製造法が提供され る。
【0048】第三の本発明方法では、第二の本発明方法
で生成できる式(III′)のN-保護-4,5-O-保護-3-
ヒドロキシメチル-3-デカルボキシシアスタチンBを前
記のとおり出発化合物として使用する。
【0049】第三の本発明方法では、その第1工程とし
て、式(III′)の化合物の3位ヒドロキシメチル基を無
水ピリジン中で式(IV)の有機スルホン酸のハロゲン化
物、例えば塩化パラトルエンスルホニル(すなわちトシ
ルクロライド)と反応させてスルホニル化する。例えば
式(III′)の化合物を無水ピリジンに溶解し、これに
塩化パラトルエンスルホニルを加え、室温で一晩反応さ
せることにより、式(V)の化合物を得る。このピリジ
ンに代えて、N,N-ジメチルホルムアミドなどの一般の
有機溶媒に式(III′)の化合物を溶解し、その溶液に
トリエチルアミンやジイソプロピルエチルアミンなどの
有機塩基の存在下に式(IV)の有機スルホン酸ハロゲン
化物として塩化パラトルエンスルホニルを加えて反応さ
せる時にも、式(V)の化合物が得られる。また、上記
の塩化パラトルエンスルホニルに代えて、式(IV)のス
ルホン酸ハロゲン化物として塩化メタンスルホニルなど
ハロゲン化アルキルスルホニルやハロゲン化アラルキル
スルホニルなどを用いることができ、これにより夫々対
応のスルホン酸エステル誘導体が得られる。
【0050】式(IV)の化合物を次いで、N,N-ジメチ
ルホルムアミドなどの有機溶媒に溶解し、これに式(VI)
のアルカリ金属チオメトキシド、例えばナトリウムチオ
メトキシドを加え、加熱下に、例えば110℃で一晩攪
拌することにより、式(VII)のメチルチオ化合物が得ら
れる。さらに、式(VII)の化合物からイミノ保護基
(R1a)とヒドロキシル保護基(X1、X2)を、第二の本
発明方法における脱保護法と同じ要領で脱離させると、
式(Ib)の本発明化合物を得る。
【0051】第三の本発明方法において、出発化合物と
して後記の式(III-1)で示されるN-(ターシャリーブ
トキシカルボニル)-4,5-O-イソプロピリデン-3-ヒ
ドロキシメチル-3-デカルボキシシアスタチンBを用い
る場合の各工程を下記の反応チャート2に示す。
【0052】但し反応チャート2でBocおよびMeは前
記と同じ意味をもち、Tsはパラトルエンスルホニル基
すなわちトシル基を示す。
【0053】反応チャート2
【0054】上記の反応チャート2について説明する
に、式(III-1)の化合物を無水ピリジンに溶解し、こ
れに塩化パラトルエンスルホニルの如き有機スルホン酸
ハロゲン化物を加え、室温で一晩反応させることによ
り、式(V-1)のスルホニル化合物を得る。式(V-1)の
化合物を、N,N-ジメチルホルムアミドなどの有機溶媒
に溶解し、その溶液にナトリウムチオメトキシドを加
え、加熱下に、例えば110℃で一晩反応することによ
り、式(VII-1)の化合物が得られる。
【0055】次いで、式(VII-1)の化合物からイミノ
保護基Bocとヒドロキシル保護基の4,5-O-イソプロ
ピリデン基を第二の本発明方法におけると同じ要領で脱
離すると、式(Ib)の本発明化合物(化合物No.2)が
得られる。
【0056】第四の本発明においては、次式(Ib) で示される3-メチルチオメチル-3-デカルボキシシア
スタチンBを過酸化物又はその他の温和な酸化剤で酸化
することを特徴とする、次式(Ic) で示される3-メチルスルフィニルメチル-3-デカルボ
キシシアスタチンBの製造方法が提供される。
【0057】第四の本発明方法では、第三の本発明方法
で得られた式(Ib)の化合物を出発化合物として無保護
のまま使用できる。式(Ib)の化合物を、水などの溶媒
に溶解し、これに過酸化水素水などの過酸化物またはそ
の他の温和な酸化剤を加え、室温で反応させることによ
り酸化すると式(Ic)の本発明化合物が生成する。
【0058】さらに、第五の本発明においては、次式
(V) (式中、R1aはイミノ保護基であり、X1とX2はそれぞ
れに1価のヒドロキシル保護基であるか、あるいはX1
とX2は両者が共同して2価のヒドロキシル保護基1個
を示し、R2は低級アルキル基、アリール基、低級アル
キル置換フェニル基またはアラルキル基を示す)で示さ
れるN-保護-4,5-O-保護-3-(アルキル-またはアリ
ール-またはアラルキル)スルフィニルメチル-3-デカ
ルボキシシアスタチンBをアルカリ金属アジドと反応さ
せて次式(VIII) (式中、R1a、X1およびX2は前記と同じ意味をもつ)で
示されるアジ化化合物を生成し、次いで式(VIII)の化
合物から常法で保護基(R1a、X1、X2)を脱離するこ
とを特徴とする、次式(Id) で示される3-アジドメチル-3-デカルボキシシアスタ
チンBの製造法が提供される。
【0059】第五の本発明方法では、第三の本発明方法
で生成できる式(V)の化合物を出発化合物として使用
できる。式(V)の化合物を、N,N-ジメチルホルムア
ミドなどの有機溶媒に溶解し、その溶液にアルカリ金属
アジド、好ましくはアジ化ナトリウムを加えて、加熱下
に反応させると、式(VIII)の化合物が生成される。得
られた式(VIII)の化合物から、第二の発明方法におけ
ると同様な要領で保護基(R1a、X1、X2)が脱離する
と、式(Id)の本発明化合物(化合物No.4)が生成で
きる。
【0060】第五の本発明方法において、式(V)の化
合物として、後記の式(V-1)で示される3-デカルボキ
シ-1-ターシャリートキシカルボニル-4,5-O-イソプ
ロピリデン-3-(パラトルエンスルホニル)オキシメチル
-シアスタチンBを用いる場合の各工程を下記の反応チ
ャート3に示す。但し、反応チャート3では、Boc、M
eおよびTsは前記と同じ意味をもつ。
【0061】反応チャート3
【0062】反応チャート3について説明するに、式(V
-1)の化合物をN,N-ジメチルホルムアミド中で加熱下
にアジ化ナトリウムと一晩反応させると、式(VIII-1)の
化合物が生成される。式(VIII-1)の化合物を1〜4N
HCl-ジオキサン中で脱保護反応にかけると、式(I
d)の本発明化合物(化合物No.4)が生成される。
【0063】さらにまた、第六の本発明においては、次
式(VIII) (式中、R1aはイミノ保護基であり、X1とX2はそれぞ
れに1価のヒドロキシル保護基であるか、あるいはX1
とX2は両者が共同して2価のヒドロキシル保護基1個
を示す)で示されるN-保護-4,5-O-保護-3-アジドメ
チル-3-デカルボキシシアスタチンBのアジド基を還元
反応にかけて次式(IX) (式中、R1a、X1およびX2は前記と同じ意味をもつ)
で示される化合物を生成し、次いで式(IX)の化合物か
ら残留する保護基(R1a、X1、X2)を常法で脱離する
か、あるいは式(VIII)の化合物から保護基(R1a、X
1、X2)を先づ常法で脱離して式(Id)の3-アジドメ
チル-3-デカルボキシシアスタチンBを生成し、次いで
式(Id)の化合 物のアジド基を還元反応にかけること
を特徴とする、次式(Ie) で示される3-アミノメチル-3-デカルボキシシアスタ
チンBの製造法が提供される。
【0064】第六の本発明方法では、第五の本発明方法
で生成できる式(VIII)の化合物を出発化合物として使
用できる。式(VIII)の化合物のアジド基をアミノ基に
転化するためには、式(VIII)の化合物を、酢酸エチル
等の溶媒に溶解し、その溶液にラネーニッケル等の金属
触媒を加え、これの存在下に水素ガス流下、室温で還元
すると、式(IX)の化合物が得られる。式(IX)の化合
物から保護基(R1a、X1、X2)を第二の本発明方法に
おけると同様な要領で脱離させると、式(Ie)の本発明
化合物(化合物No.5)が生成される。
【0065】第六の本発明方法において、式(VIII)の
化合物として、後記の式(VIII-1)で示される3-アジ
ドメチル-3-デカルボキシ-1-ターシャリーブトキシカ
ルボニル-4,5-O-イソプロピリデンシアスタチンBを
用いる場合の各工程を下記の反応チャート4に示す。
【0066】反応チャート4
【0067】反応チャート4について説明するに、式
(VIII-1)の化合物を酢酸エチルに溶解し、その溶液に
ラネーニッケルを加えて水素ガス流下で室温で攪拌して
還元反応を行う。その反応液から、生成された式(IX-
1)の化合物を回収し、さらに1〜4N HCl-ジオキ
サン中で、脱保護反応にかけると、式(Ie)の本発明化
合物(化合物No.5)が生成される。
【0068】第二〜第六の本発明の方法で得られた化合
物No.1〜No.5が塩酸塩などの酸付加塩の形で得られ
る場合には、その酸付加塩の水溶液を常法により陽イオ
ン交換樹脂、例えばダウェックス50W(米国ダウケミ
カル社製)(H+型)で処理することにより、またはアン
モニアを含有する溶媒系によるクロマトグラフィーで精
製することにより遊離塩基の形の化合物No.1、2、
3、4および5が夫々に得られる。
【0069】
【発明の実施の形態】以下に、第二の本発明方法で用い
る式(II)の出発化合物として利用できる前出の式(II
-1)のN-(ターシャリーブトキシカルボニル)-4,5-O
-イソプロピリデンシアスタチンBのメトキシエトキシ
メチルエステルの製造を例示する参考例1を示す。ま
た、本発明による式(Ia)の化合物の製造を例示する実
施例1、式(Ib)の化合物の製造を例示する実施例2、
式(Ic)の化合物の製造を例示する実施例3、式(Id)
の化合物の 製造を例示する実施例4、さらに式(Ie)
の化合物の製造を例示する実施例5を示して本発明を具
体的に説明する。しかしながら、これら実施例は単に例
示であって本発明を限定するものではない。本発明の範
囲内で種々の変形および修正が可能である。
【0070】参考例1 (a)N-(ターシャリーブトキシカルボニル)-4,5-O
-イソプロピリデンシアスタチンBの製造 N-(ターシャリーブトキシカルボニル)-シアスタチンB
(0.955g、3mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド
(DMF)(15ml)に懸濁させ、これに2,2-ジメトキ
シプロパン(3.69ml、30mmol)およびクロロトリメ
チルシラン(1.90ml、15mmol)を加えた。得られた
混合物を室温で2時間攪拌した後、反応溶液にピリジン
(1.5ml)を加えて反応を停止させた。
【0071】反応溶液をクロロホルムで希釈し、これに
水を加えて抽出した後に、水相をクロロホルム-メタノ
ール(9:1)の混合溶液で3回抽出した。有機相を合
わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、ろ過した。
ろ液を減圧濃縮し、残留物をトルエンで3回共沸した
後、展開溶媒としてクロロホルム-メタノール-濃アンモ
ニア水(2:1:0.3)を用いるシリカゲルカラムク
ロマトグラフィーで精製した。無色泡末状の固体として
表題の化合物を1.05g(98%)得た。比旋光度
[α]D 23+29°(c 0.88、メタノール)。
【0072】(b)N-(ターシャリーブトキシカルボニ
ル)-4,5-O-イソプロピリデンシアスタチンBの2-メ
キトキシエトキシメチルエステルの製造 前記(a)で得た生成物(2.51g、7mmol)をDMF
(50ml)に溶解し、これにジイソプロピルエチルアミ
ン(4.88ml、28mmol)および塩化2-メトキシエト
キシメチル(1.60ml、14mmol)を加えた。得られ
た混合物を室温で2時間攪拌した。その後、反応溶液に
水(0.2ml)を加えて反応を停止させた。
【0073】反応溶液をクロロホルムで希釈し、これに
水を加えて抽出した後、水相をクロロホルムで3回抽出
した。有機相を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥し
た後、ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、残留物をトルエン
で3回共沸した後、展開溶媒としてクロロメタン-メタ
ノール(20:1)を用いるシリカゲルカラムクロマト
グラフィーで精製した。無色シロップとして表題の化合
物〔前出の式(II-1)の化合物〕を2.61g(83%)
得た。比旋光度[α]D 25 −18.7°(c 0.91、クロロ
ホルム)。
【0074】実施例1 (1)N-(ターシャリーブトキシカルボニル)-4,5-O
-イソプロピリデン-3-ヒドロキシメチル-3-デカルボ
キシシアスタチンB〔前出の式(III-1)の化合物〕の
製造 参考例1(b)で得られた2-メトキシエトキシメチルエ
ステル化合物(2.59g、5.8mmol)をテトラヒドロ
フラン(50ml)と2,2,2-トリフルオロエタノール
(5ml)の混合溶媒に溶かし、これに水素化ホウ素ナト
リウム(0.685g、17.4mmol)を加えた。その得
られた混合物を室温で1時間攪拌して還元反応を行っ
た。その後、反応溶液に水(1.5ml)を加えて反応を停
止させ、さらに室温で30分間攪拌した。得られた反応
液を減圧濃縮した後、残留物に水を加え、クロロホルム
で3回抽出した。有機相(クロロホルム抽出液)を合わ
せ、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、ろ過した。ろ
液を減圧濃縮した後、残留物を展開溶媒としてジクロロ
メタン-メタノール(12:1)を用いるシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィーで精製し、無色泡末状固体として
表題の化合物を1.98g(99%)得た。比旋光度
[α]D 25 +27°(c 0.95、クロロホルム)。
【0075】(2)3-ヒドロキシメチル-3-デカルボ
キシシアスタチンB(本発明の化合物No.1)の製造 前項(1)で得た化合物の69mgを4M塩酸ジオキサン
溶液3mlに溶かし、その溶液を室温で3時間攪拌して脱
保護反応を行った。その反応液から溶媒を減圧留去し、
残留物をメタノールで3回共沸した後、分取用TLC
(展開溶媒:クロロホルム-メタノール-濃アンモニア
水,20:10:3)で精製した。得られた精製物をセ
ファデックス LH20(メタノールで展開)でさらに
精製し、無色不定形固体として式(Ia)の表題化合物2
6mg(収率63%)を得た。
【0076】比旋光度:[α]D 25+58.8°(c 0.37、メタ
ノール)1 H-NMRスペクトル(400MHz, CD3OD, δppm): 2.04(1
H, m, 3-H), 2.06(3H,s,-NHCOCH3), 3.07-3.14(2H, m,
2-H), 3.57(1H, dd, J=10.8, 7.3Hz, -CH2 OH),3.69(1H,
dd, J=10.8, 6.3Hz, -CH2 OH), 3.72(1H, dd, J=10.3,
2.4Hz, 5-H),4.09(1H, t, J=2.4Hz, 4-H), 4.95(1H, d,
J=10.3Hz, 6-H)。
【0077】実施例2 (1)3-デカルボキシ-1-ターシャリーブトキシカル
ボニル-4,5-O-イソプロピリデン-3-(パラトルエン
スルホニル)オキシメチルシアスタチンB〔式(V-1)
の化合物〕の製造 実施例1(1)で得た式(III-1)の化合物の207mg
を無水ピリジン4mlに溶かし、これに塩化パラトルエン
スルホニル172mgを加え、室温で一晩攪拌してスルホ
ニル化反応を行った。その反応液に水50μlを加えて
反応を停止させた後、反応液をクロロホルムで希釈し、
飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で3回洗浄した。有機相
を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、綿栓ろ過した。
ろ液の溶媒を減圧留去した。残留物をトルエンで3回共
沸した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出
溶媒:トルエン-アセトン,5:1)で精製し、無色粉
末として表題化合物252mg(収率84%)を得た。
【0078】比旋光度:[α]D 25+4.6°(c 0.45、クロ
ロホルム)1 H-NMRスペクトル(400MHz, CDCl3, δppm): 1.25,
1.35(3H, each s, イソプロピリデン), 1.45(9H, s, -N
COOC(CH3)3), 1.97(3H, s, -NHCOCH3), 2.33(1H, br m,
3-H), 2.46(3H, s, CH2 -C6H4-), 2.93(1H, t, J=12.2H
z, 2-Hax),3.42(1H, dd, J=12.2, 3.4Hz, 2-Heq), 3.92
(1H, dd, J=10.0, 8.1Hz, -CH2O-),4.15(1H, dd, J=10.
0, 6.1Hz, -CH2O-), 4.36(1H, dd, J=7.3, 2.0Hz, 5-
H),4.58(1H, br d, J=5.9Hz, 4-H), 5.68(2H, br m, 6-
H, -NHCO-), 7.37(2H, d,J=7.8Hz, -C6H4-), 7.80(2H,
d, J=8.3Hz, -C6H4-)。
【0079】(2)3-デカルボキシ-1-ターシャリー
ブトキシカルボニル-4,5-O-プロピリデン-3-メチル
チオメチルシアスタチンB〔式(VII-1)の化合物〕の
製造 前項(1)で得たスルホニル化化合物の150mgをN,
N-ジメチルホルムアミド3mlに溶かし、これにナトリ
ウムチオメトキシド105mgを加え、110℃で一晩攪
拌下に反応を行った。その反応液を室温まで冷却した
後、クロロホルムで希釈し、水で3回洗浄した。このと
き、水相は1回毎にクロロホルムで逆抽出した。有機相
を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、綿栓ろ
過した。ろ液の溶媒を減圧留去した。残留物をトルエン
で3回共沸した後、分取用TLC(酢酸エチルで展開)
で精製し、無色粉末として表題化合物を得た。
【0080】比旋光度:[α]D 23+31.7°(c 0.95、クロ
ロホルム)1 H-NMRスペクトル(400MHz, CDCl3, δppm): 1.33,
1.44(3H, each s, イソプロピリデン), 1.46(9H, s, -N
COOC(CH3)3), 1.99(3H, s, -NHCOCH3), 2.00(1H, br s,
3-H), 2.16(3H, s, -SCH3), 2.49(1H, dd, J=13.2, 6.
8Hz,-CH2S-),2.70(1H, dd, J=13.2, 7.3Hz, -CH2S-),
3.01(1H, t, J=12.2Hz, 2-Hax), 3.56(1H, dd, J=12.2,
3.9Hz, 2-Heq), 4.48(1H, dd, J=7.3, 2.4Hz, 5-H),4.
57(1H,dd, J=6.8, 2.4Hz, 4-H), 5.70 (2H, br m, 6-H,
-NHCO-)。
【0081】(3)3-メチルチオメチル-3-デカルボ
キシシアスタチンB(本発明の化合物No.2)の製造 前項(2)で得た式(VII-1)の化合物の75mgを4M
塩酸−ジオキサン溶液3mlに溶かし、室温で一晩攪拌し
て脱保護反応を行った。その反応液から溶媒を減圧留去
し、残留物をメタノールで3回共沸した後、分取用TL
C(展開溶媒:クロロホルム-メタノール-濃アンモニア
水,60:10:1)で精製した。得られた精製物をL
H20(メタノールで展開)でさらに精製して、無色不
定形固体として式(Ib)の表題化合物30mg(収率91
%)を得た。
【0082】比旋光度:[α]D 24+19.8°(c 0.09、メタ
ノール)1 H-NMRスペクトル(400MHz, CD3OD, δppm): 1.83(1
H, m, 3-H), 1.98(3H,s,-NHCOCH3), 2.08(3H, s,-SC
H3), 2.45(1H, dd, J=13.2, 7.3Hz,-CH2S-), 2.69(1H,
dd, J=13.2, 7.8Hz,-CH2S-), 2.73-2.83(2H, m, 2-H),
3.37(1H, dd,J=9.8,2.4Hz, 5-H), 4.06(1H, t, J=2.4H
z, 4-H), 4.64(1H, d, J=9.8Hz, 6-H)。
【0083】実施例3 3-メチルスルフィニルメチル-3-デカルボキシシアス
タチンB(本発明の化合物No.3)の製造 本発明化合物No.2の19mgを水0.4mlに溶かし、そ
の溶液に30%過酸化水素水0.1mlを加え、室温で4
時間攪拌して酸化反応を行った。その反応液から溶媒を
減圧留去し、残留物をメタノールで3回共沸した後、分
取用TLC(展開溶媒:クロロホルム-メタノール-濃ア
ンモニア水,20:10:3)で精製した。得られた精
製物をLH20(メタノールで展開)でさらに精製し、
無色不定形固体として表題化合物18mg(収率87%)
を得た。
【0084】1H-NMRスペクトル(400MHz, CD3OD,δp
pm): 1.99(3H, s,-NHCOCH3), 2.20-2.30(1H, m, 3-H),
2.67(3H, s, -SOCH3), 2.70-3.00(4H, m, 2-H, -CH2SO
-),3.46, 3.48 (total 1H, each t, J=2.4, 2.7Hz, 5-
H), 3.98, 4.12(total 1H,t, br s J=2.4Hz, 4-H), 4.6
9, 4.72(1H, each d, J=2.0Hz, 6-H)。
【0085】実施例4 (1)3-アジドメチル-3-デカルボキシ-1-ターシャ
リーブトキシカルボニル-4,5-O-イソプロピリデンシ
アスタチンB〔式(VIII-1)の化合物〕の製造 実施例2(1)で得た式(V-1)のスルホニル化合物の
150mgをN,N-ジメチルホルムアミド3mlに溶か
し、これにアジ化ナトリウム98mgを加え、100℃で
一晩攪拌して、アジド化反応を行った。その反応液を室
温まで冷却した後、クロロホルムで希釈し、水で3回洗
浄した。このとき、水相は1回毎にクロロホルムで逆抽
出した。有機相を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥
した後、綿栓ろ過した。ろ液の溶媒を減圧留去した。残
留物をトルエンで3回共沸した後、分取用TLC(酢酸
エチルで展開)で精製し、無色シロップとして表題化合
物105mg(収率95%)を得た。
【0086】比旋光度:[α]D 25+13.3°(c 0.81、クロ
ロホルム)1 H-NMRスペクトル(400MHz, CDCl3, δppm): 1.33,
144(3H, each s, イソプロピリデン), 1.47(9H, s,-NCO
OC(CH3)3), 1.99(3H, s, -NHCOCH3), 2.06(1H,br m, 3-
H), 2.99(1H, t, J=12.2Hz, 2-Hax), 3.28(1H, dd, J=1
2.2, 7.3Hz,-CH2N3), 3.48-3.57 (2H, m, 2-Heq, -CH2N
3), 4.20(1H, dd, J=7.3, 2.0Hz,5-H), 4.61(1H, br d,
J=4.9Hz, 4-H), 5.68(2H, br m, 6-H, -NHCO-)。
【0087】(2)3-アジドメチル-3-デカルボキシ
シアスタチンB(本発明の化合物No.4)の製造 前項(1)で得た化合物の43mgを4M塩酸-ジオキサ
ン溶液2mlに溶かし、その溶液を室温で2時間攪拌して
脱保護反応を行った。その反応液から溶媒を減圧留去
し、残留物をメタノールで3回共沸した後、分取用TL
C(展開溶媒:クロロホルム-メタノール-濃アンモニア
水,40:10:1)で精製した。得られた精製物をL
H20(メタノール)でさらに精製し、無色不定形固体と
して式(Id)の表題化合物14mg(収率54%)を得た。
【0088】比旋光度:[α]D 26+25.7°(c 0.25、メタ
ノール)1 H-NMRスペクトル(400MHz, CD3OD, δppm): 1.87(1
H, m, 3-H), 1.98(3H,s, -NHCOCH3), 2.72(1H, dd, J=1
2.0, 4.6Hz, 2-Heq), 2.78(1H, t, J=12.0Hz,2-Hax),
3.28(1H, dd, J=12.2, 7.8Hz, -CH2N3), 3.37(1H, dd,
J=9.3, 2.9Hz,5-H), 3.44(1H, dd, J=9.3, 7.3Hz, -CH2
N3), 4.00(1H, t, J=2.2Hz, 4-H),4.64(1H, d, J=9.3H
z, 6-H)。
【0089】実施例5 (1)3-アミノメチル-3-デカルボキシ-1-ターシャ
リーブトキシカルボニル-4,5-O-イソプロピリデンシ
アスタチンB〔式(IX-1)の化合物〕の製造 実施例4(1)で得られた式(VIII-1)の化合物の10
4mgを酢酸エチル1mlとメタノール1mlの混合溶媒に溶
かし、これにラネーニッケルを加え、水素気流下、室温
で2時間攪拌して還元反応を行った。その反応液を綿栓
ろ過してラネーニッケルを除いた。ろ液の溶媒を減圧留
去した。残留物を分取用TLC(展開溶媒:クロロホル
ム・メタノール・濃アンモニア水,90:10:1)で
精製し、無色不定形固体として表題化合物105mg(収
率95%)を得た。
【0090】比旋光度:[α]D 25+34.3°(c 0.92、クロ
ロホルム)1 H-NMRスペクトル(400MHz, CDCl3, δppm): 1.33,
143(3H, each s, イソプロピリデン), 1.46(9H, s, -NC
OOC(CH3)3), 1.93(3H, s, 3-H), 1.97(3H, s,-NHCOC
H3), 2.75(1H, dd, J=12.7, 6.4Hz, -CH2NH2), 2.88(1
H, dd, J=12.7,7.8Hz,-CH2 NH4), 3.02(1H, t, J=12.2H
z, 2-Hax), 3.46(1H, dd, J=12.2,3.9Hz,2-Heq), 4.46
(1H, dd, J=7.3, 2.0Hz, 5-H), 4.56(1H, br d, J=5.9H
z, 4-H),5.76(2H, br m, 6-H, -NHCO-)。
【0091】(2)3-アミノメチル-3-デカルボキシ
シアスタチンB(本発明の化合物No.5)の製造 前項(1)で得た化合物の46mgを4M塩酸-ジオキサ
ン溶液2mlに溶かし、その溶液を室温で一晩攪拌して脱
保護反応を行った。その反応液から溶媒を減圧留去し、
残留物をメタノールで3回共沸した後、LH20(メタ
ノールで展開)で精製し、無色粉末として式(Ie)の表
題化合物の塩酸塩28mg(収率77%)を得た。
【0092】比旋光度:[α]D 26+21.5°(c 0.41、メタ
ノール)1 H-NMRスペクトル(400MHz, CD3OD, δppm): 1.68(1
H, m, 3H), 1.98(3H,s, -NHCOCH3), 2.61(1H, dd, J=1
2.7, 6.3Hz,-CH2 NH2), 2.65-2.80(3H, m, 6-H,-CH2 N
H2), 3.35(1H, dd, J=9.8, 2.4Hz, 3-H), 4.04(1H, t,
J=2.4Hz, 4-H),4.61(1H, d, J=9.8Hz, 2-H)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹内 富雄 東京都品川区東五反田5丁目1番11号 ニ ューフジマンション701

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) (式中、Rはヒドロキシル基、メチルチオ基、メチルス
    ルフィニル基、アミノ基またはアジド基である)で示さ
    れるシアスタチンB誘導体およびその塩。
  2. 【請求項2】 請求項1に示される一般式(I)でRが
    ヒドロキシル基である化合物であり、すちわち次式(I
    a) で示される3-ヒドロキシメチル-3-デカルボキシシア
    スタチンBまたはその塩である請求項1に記載の化合
    物。
  3. 【請求項3】 請求項1に示される一般式(I)でRがメ
    チルチオ基-SCH3である化合物であり、すなわち次式
    (Ib) で示される3-メチルチオメチル-3-デカルボキシシア
    スタチンBまたはその塩である請求項1に記載の化合
    物。
  4. 【請求項4】 請求項1に示される一般式(I)でRが
    メチルスルフィニル基-S(=O)CH3である化合物であ
    り、すなわち次式(Ic) で示される3-メチルスルフィニルメチル-3-デカルボ
    キシシアスタチンBまたはその塩である請求項1に記載
    の化合物。
  5. 【請求項5】 請求項1に示される一般式(I)でRが
    アシド基-N3である化合物であり、すなわち次式(Id) で示される3-アジドメチル-3-デカルボキシシアスタ
    チンBまたはその塩である請求項1に記載の化合物。
  6. 【請求項6】 請求項1に示される一般式(I)でRが
    アミノ基である化合物であり、すなわち次式(Ie) で示される3-アミノメチル-3-デカルボキシシアスタ
    チンBまたはその塩である請求項1に記載の化合物。
  7. 【請求項7】 次の一般式(II) (式中、R1は水素原子またはイミノ保護基であり、X1
    とX2はそれぞれに1価のヒドロキシル保護基である
    か、あるいはX1とX2は両者が共同して2価のヒドロキ
    シル保護基1個を示し、Tはエステル形成基を示す)で
    示されるN-保護または非保護-シアスタチンBエステル
    の3位カルボキシレート基(-COOT)を還元によりヒ
    ドロキシメチル基に転化し、これにより次の一般式(II
    I) (式中、R1、X1およびX2は前記と同じ意味をもつ)で
    示されるN-保護または非保護-4,5-O-保護-3-ヒド
    ロキシメチル-3-デカルボキシシアスタチンBを生成
    し、次いで式(III)の化合物からイミノ保護基(R1)が
    あればこれを脱離し且つヒドロキシル保護基(X1、X2)
    を脱離することを特徴とする、次式(Ia) で示される3-ヒドロキシメチル-3-デカルボキシシア
    スタチンBの製造法。
  8. 【請求項8】 次式(III′) (式中、R1aはイミノ保護基であり、X1とX2はそれぞ
    れに1価のヒドロキシル保護基であるか、あるいはX1
    とX2は両者が共同して2価のヒドロキシル保護基1個
    を示す)で示されるN-保護-4,5-O-保護-3-ヒドロ
    キシメチル-3-デカルボキシシアスタチンBを、次式
    (IV) R2−SO3Q (IV) (式中、R2は低級アルキル基、アリール基、好ましくは
    フェニル基、低級アルキル置換フェニル基またはアラル
    キル基であり、Qはハロゲン原子である)で示される有
    機スルホン酸のハロゲン化物と有機塩基の存在下に反応
    させて次式(V) (式中、R1a、X1、X2およびR2は前記と同じ意味を
    もつ)で示されるスルホニル化合物を生成し、次いで式
    (V)のスルホニル化合物を次式(VI) H3C−S−M (VI) (式中、Mはアルカリ金属である)で示されるアルカリ
    金属チオメトキシドと反応させて次式(VII) (式中、R1a、X1およびX2は前記と同じ意味をもつ)
    で示されるメチルチオ化合物を生成し、さらに式(VII)
    の化合物から常法で保護基(R1a、X1、X2)を脱離す
    ることを特徴とする、次式(Ib) で示される3-メチルチオメチル-3-デカルボキシシア
    スタチンBの製造法。
  9. 【請求項9】 次式(Ib) で示される3-メチルチオメチル-3-デカルボキシシア
    スタチンBを過酸化物又はその他の温和な酸化剤で酸化
    することを特徴とする、次式(Ic) で示される3-メチルスルフィニルメチル-3-デカルボ
    キシシアスタチンBの製造法。
  10. 【請求項10】 次式(V) (式中、R1aはイミノ保護基であり、X1とX2はそれぞ
    れに1価のヒドロキシル保護基であるか、あるいはX1
    とX2は両者が共同して2価のヒドロキシル保護基1個
    を示し、R2は低級アルキル基、アリール基、低級アル
    キル置換フェニル基またはアラルキル基を示す)で示さ
    れるN-保護-4,5-O-保護-3-(アルキル-またはアリ
    ール-またはアラルキル)スルフィニルメチル-3-デカ
    ルボキシシアスタチンBをアルカリ金属アジドと反応さ
    せて次式(VIII) (式中、R1a、X1およびX2は前記と同じ意味をもつ)
    で示されるアジ化化合物を生成し、次いで式(VIII)の
    化合物から常法で保護基(R1a、X1、X2)を脱離する
    ことを特徴とする、次式(Id) で示される3-アジドメチル-3-デカルボキシシアスタ
    チンBの製造法。
  11. 【請求項11】 次式(VIII) (式中、R1aはイミノ保護基であり、X1とX2はそれぞ
    れに1価のヒドロキシル保護基であるか、あるいはX1
    とX2は両者が共同して2価のヒドロキシル保護基1個
    を示す)で示されるN-保護-4,5-O-保護-3-アジド
    メチル-3-デカルボキシシアスタチンBのアジド基を還
    元反応にかけて次式(IX) (式中、R1a、X1およびX2は前記と同じ意味をもつ)
    で示される化合物を生成し、次いで式(IX)の化合物か
    ら残留する保護基(R1a、X1、X2)を常法で脱離する
    か、あるいは式(VIII)の化合物から保護基(R1a、X
    1、X2)を先づ常法で脱離して式(Id)の3-アジドメ
    チル-3-デカルボキシシアスタチンBを生成し、次いで
    式(Id)の化合物のアジド基を還元反応にかけることを
    特徴とする、次式(Ie) で示される3-アミノメチル-3-デカルボキシシアスタ
    チンBの製造法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000039140A1 (fr) * 1998-12-25 2000-07-06 Zaidan Hojin Biseibutsu Kagaku Kenkyu Kai Derives de la siastanine b presentant des activites inhibitrices de la glycosidase, et leur procede de production
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