JPH09157029A - 鋳鉄切削用窒化珪素質工具材料 - Google Patents
鋳鉄切削用窒化珪素質工具材料Info
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- JPH09157029A JPH09157029A JP7312543A JP31254395A JPH09157029A JP H09157029 A JPH09157029 A JP H09157029A JP 7312543 A JP7312543 A JP 7312543A JP 31254395 A JP31254395 A JP 31254395A JP H09157029 A JPH09157029 A JP H09157029A
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- silicon
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Abstract
(57)【要約】
【課題】従来の窒化珪素質工具材料では、鋳鉄を高速切
削した場合、十分な耐摩耗性を有しておらず、被覆窒化
珪素工具においても被覆層が剥離してしまうという問題
があった。 【解決手段】窒化珪素を85〜96モル%、周期律表第
3a族元素を酸化物換算で1〜5モル%、不純物的酸素
を酸化珪素に換算して3〜10モル%の割合で含み、且
つアルミニウム化合物の含有量が酸化物換算で1重量%
以下の焼結体であって、該焼結体中の窒化珪素結晶の格
子定数がa軸で7.606オングストローム以下、c軸
で2.910オングストローム以下の焼結体を鋳鉄切削
用工具材料として用いる。
削した場合、十分な耐摩耗性を有しておらず、被覆窒化
珪素工具においても被覆層が剥離してしまうという問題
があった。 【解決手段】窒化珪素を85〜96モル%、周期律表第
3a族元素を酸化物換算で1〜5モル%、不純物的酸素
を酸化珪素に換算して3〜10モル%の割合で含み、且
つアルミニウム化合物の含有量が酸化物換算で1重量%
以下の焼結体であって、該焼結体中の窒化珪素結晶の格
子定数がa軸で7.606オングストローム以下、c軸
で2.910オングストローム以下の焼結体を鋳鉄切削
用工具材料として用いる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鋳鉄に対し優れた耐反
応性を有し、更に高靭性、高強度、を有する材料であ
り、高速、高送り等の過酷な切削条件で用いられる鋳鉄
切削用工具として用いた場合、優れた耐摩耗性、耐欠損
性を有する窒化珪素質工具材料に関するものである。
応性を有し、更に高靭性、高強度、を有する材料であ
り、高速、高送り等の過酷な切削条件で用いられる鋳鉄
切削用工具として用いた場合、優れた耐摩耗性、耐欠損
性を有する窒化珪素質工具材料に関するものである。
【0002】
【従来技術】従来、切削工具として用いられる窒化珪素
質材料としては、窒化珪素に対して各種の焼結助剤を添
加したものであり、特に焼結助剤としては、Y2 O3 な
どの周期律表第3a族元素酸化物と、酸化アルミニウム
と酸化珪素を添加含有する系(特開昭52−31910
号)、あるいは酸化マグネシウムと、酸化珪素と、酸化
アルミニウムとを含有する系が知られている。また、最
近では、これらの焼結助剤を用いた窒化珪素質材料の耐
摩耗性を向上させるため窒化チタン、炭化チタン、酸化
アルミニウムの薄膜を被覆したものも特公昭62−13
430号、特開平2−116401号等にて提案されて
いる。
質材料としては、窒化珪素に対して各種の焼結助剤を添
加したものであり、特に焼結助剤としては、Y2 O3 な
どの周期律表第3a族元素酸化物と、酸化アルミニウム
と酸化珪素を添加含有する系(特開昭52−31910
号)、あるいは酸化マグネシウムと、酸化珪素と、酸化
アルミニウムとを含有する系が知られている。また、最
近では、これらの焼結助剤を用いた窒化珪素質材料の耐
摩耗性を向上させるため窒化チタン、炭化チタン、酸化
アルミニウムの薄膜を被覆したものも特公昭62−13
430号、特開平2−116401号等にて提案されて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年、各種切削加工分
野において生産性向上のため高速加工、高送り加工に対
する要求が高まっており、切削工具の使用条件も年々、
高速化、高送り化が進んでいる。このため、切削工具に
はよりいっそうの耐摩耗性、耐欠損性が要求されてい
る。しかし、従来の窒化珪素質工具材料では、鋳鉄を高
速、高送り条件、具体的には、速度400m/min以
上、送り0.5mm/rev(mm/tooth)以上
の条件で切削した場合には、十分な耐摩耗性を有してお
らず寿命が短いものであった。また、窒化珪素質材料の
表面に高硬度の被覆層を形成した被覆窒化珪素工具にお
いても上記の高速、高送り条件では、被覆層が剥離して
しまい耐摩耗性を向上させることが難しく、しかも工具
の製造上、被覆工程を必要とするためにコストも高くな
る等の問題があった。
野において生産性向上のため高速加工、高送り加工に対
する要求が高まっており、切削工具の使用条件も年々、
高速化、高送り化が進んでいる。このため、切削工具に
はよりいっそうの耐摩耗性、耐欠損性が要求されてい
る。しかし、従来の窒化珪素質工具材料では、鋳鉄を高
速、高送り条件、具体的には、速度400m/min以
上、送り0.5mm/rev(mm/tooth)以上
の条件で切削した場合には、十分な耐摩耗性を有してお
らず寿命が短いものであった。また、窒化珪素質材料の
表面に高硬度の被覆層を形成した被覆窒化珪素工具にお
いても上記の高速、高送り条件では、被覆層が剥離して
しまい耐摩耗性を向上させることが難しく、しかも工具
の製造上、被覆工程を必要とするためにコストも高くな
る等の問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために種々検討した結果、鋳鉄切削を切削速度
400m/min以上で行った場合、窒化珪素質工具の
摩耗は、鋳鉄−窒化珪素間で起こる拡散摩耗が工具摩耗
の主要因であることを突き止めた。また助剤として添加
したアルミニウム化合物が多いほどすなわちアルミニウ
ムが窒化珪素中に固溶して、格子定数が大きくなるほど
鋳鉄−窒化珪素工具間の拡散反応が大きくなり耐摩耗性
も劣化するということも突き止めた。
解決するために種々検討した結果、鋳鉄切削を切削速度
400m/min以上で行った場合、窒化珪素質工具の
摩耗は、鋳鉄−窒化珪素間で起こる拡散摩耗が工具摩耗
の主要因であることを突き止めた。また助剤として添加
したアルミニウム化合物が多いほどすなわちアルミニウ
ムが窒化珪素中に固溶して、格子定数が大きくなるほど
鋳鉄−窒化珪素工具間の拡散反応が大きくなり耐摩耗性
も劣化するということも突き止めた。
【0005】本発明は、かかる知見に基づき完成された
ものであり、鋳鉄切削用の窒化珪素質工具材料として、
窒化珪素を85〜96モル%、周期律表第3a族元素を
酸化物換算で1〜5モル%、不純物的酸素を酸化珪素に
換算して3〜10モル%の割合で含み、且つアルミニウ
ム化合物の含有量が酸化物換算で1重量%以下の焼結体
であって、該焼結体中の窒化珪素結晶の格子定数がa軸
で7.606オングストローム以下、c軸で2.910
オングストローム以下の材料を用いることを特徴とする
ものである。
ものであり、鋳鉄切削用の窒化珪素質工具材料として、
窒化珪素を85〜96モル%、周期律表第3a族元素を
酸化物換算で1〜5モル%、不純物的酸素を酸化珪素に
換算して3〜10モル%の割合で含み、且つアルミニウ
ム化合物の含有量が酸化物換算で1重量%以下の焼結体
であって、該焼結体中の窒化珪素結晶の格子定数がa軸
で7.606オングストローム以下、c軸で2.910
オングストローム以下の材料を用いることを特徴とする
ものである。
【0006】
【作用】鋳鉄を切削加工する際、その切削速度が400
m/min以上の高速切削である場合、窒化珪素質工具
の摩耗は、鋳鉄−窒化珪素間で起こる拡散摩耗、つま
り、Feの工具材料への拡散により、窒化珪素が分解し
たり、工具表面の機械的特性が劣化するために生じる。
m/min以上の高速切削である場合、窒化珪素質工具
の摩耗は、鋳鉄−窒化珪素間で起こる拡散摩耗、つま
り、Feの工具材料への拡散により、窒化珪素が分解し
たり、工具表面の機械的特性が劣化するために生じる。
【0007】本発明によれば、窒化珪素質工具材料中の
窒化珪素結晶中へのアルミニウムの固溶を抑制し、Si
AlON化しないように制御し、格子定数がa軸で7.
606オングストローム以下、c軸で2.910オング
ストローム以下とすることにより、鋳鉄−窒化珪素工具
間の拡散反応を抑制することができる。特に、材料中の
アルミニウム化合物の含有量を酸化物換算で1重量%以
下とすることによりアルミニウムの窒化珪素結晶への固
溶を抑制することができる。
窒化珪素結晶中へのアルミニウムの固溶を抑制し、Si
AlON化しないように制御し、格子定数がa軸で7.
606オングストローム以下、c軸で2.910オング
ストローム以下とすることにより、鋳鉄−窒化珪素工具
間の拡散反応を抑制することができる。特に、材料中の
アルミニウム化合物の含有量を酸化物換算で1重量%以
下とすることによりアルミニウムの窒化珪素結晶への固
溶を抑制することができる。
【0008】これにより、400m/min以上、特に
800m/min以上の鋳鉄の高速切削加工において、
鋳鉄−窒化珪素工具間の拡散摩耗が抑制され、耐摩耗性
に優れ、長寿命の工具材料を提供できる。
800m/min以上の鋳鉄の高速切削加工において、
鋳鉄−窒化珪素工具間の拡散摩耗が抑制され、耐摩耗性
に優れ、長寿命の工具材料を提供できる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明における窒化珪素質工具材
料は、窒化珪素を85〜96モル%、周期律表第3a族
元素を酸化物換算で1〜5モル%、不純物的酸素をSi
O2 換算で3〜10モル%の割合で含有する。また、ア
ルミニウム化合物の含有量が酸化物(Al2 O3 )換算
で1重量%以下である。ここで、不純物的酸素とは、焼
結体中の全酸素量から周期律表第3a族元素酸化物とし
て混入する酸素を差し引いた残りの酸素であり、そのほ
とんどは窒化珪素原料粉末中の不純物酸素や添加した酸
化珪素中の酸素である。
料は、窒化珪素を85〜96モル%、周期律表第3a族
元素を酸化物換算で1〜5モル%、不純物的酸素をSi
O2 換算で3〜10モル%の割合で含有する。また、ア
ルミニウム化合物の含有量が酸化物(Al2 O3 )換算
で1重量%以下である。ここで、不純物的酸素とは、焼
結体中の全酸素量から周期律表第3a族元素酸化物とし
て混入する酸素を差し引いた残りの酸素であり、そのほ
とんどは窒化珪素原料粉末中の不純物酸素や添加した酸
化珪素中の酸素である。
【0010】ここで、焼結体組成を上記のように限定し
たのは、窒化珪素が85モル%より少なくあるいは周期
律表第3a族元素の酸化物換算量が5モル%より多いと
焼結体の硬度が低下し工具としての耐摩耗性が劣化し、
窒化珪素が96モル%より多くまた周期律表第3a族元
素の酸化物換算量が1モル%より少ないと緻密体が得ら
れず焼結体の強度が低下するからである。一方、不純物
的酸素の酸化珪素(SiO2 )換算量が10モル%より
多いと靭性が低下して工具としての耐欠損性が低下する
ためである。また、不純物酸素量が3モル%より少ない
と緻密体が得られず、焼結体の強度が低下するためであ
る。また、アルミニウム化合物の量が1重量%より多い
と、鋳鉄に対する耐反応性が劣化し高速即切削時の耐摩
耗性が劣化するからである。
たのは、窒化珪素が85モル%より少なくあるいは周期
律表第3a族元素の酸化物換算量が5モル%より多いと
焼結体の硬度が低下し工具としての耐摩耗性が劣化し、
窒化珪素が96モル%より多くまた周期律表第3a族元
素の酸化物換算量が1モル%より少ないと緻密体が得ら
れず焼結体の強度が低下するからである。一方、不純物
的酸素の酸化珪素(SiO2 )換算量が10モル%より
多いと靭性が低下して工具としての耐欠損性が低下する
ためである。また、不純物酸素量が3モル%より少ない
と緻密体が得られず、焼結体の強度が低下するためであ
る。また、アルミニウム化合物の量が1重量%より多い
と、鋳鉄に対する耐反応性が劣化し高速即切削時の耐摩
耗性が劣化するからである。
【0011】望ましい焼結体組成としては、窒化珪素が
88〜95モル%、周期律表第3a族元素が酸化物換算
で2〜5モル%、不純物的酸素が酸化珪素に換算して2
〜8モル%の割合で含有するのがよい。また、アルミニ
ウム化合物は酸化物換算量で0.5重量%以下、特に
0.3重量%以下であることが望ましい。
88〜95モル%、周期律表第3a族元素が酸化物換算
で2〜5モル%、不純物的酸素が酸化珪素に換算して2
〜8モル%の割合で含有するのがよい。また、アルミニ
ウム化合物は酸化物換算量で0.5重量%以下、特に
0.3重量%以下であることが望ましい。
【0012】なお、周期律表第3a族元素としては、
Y、Sc、Yb,Er、Dy、Ho,Lu等が挙げら
れ、これらの中でもEr、Yb,Luがよい。
Y、Sc、Yb,Er、Dy、Ho,Lu等が挙げら
れ、これらの中でもEr、Yb,Luがよい。
【0013】また、本発明の工具材料は、組織上、窒化
珪素結晶相と、周期律表第3a族元素、珪素、窒素、酸
素を含む粒界相により構成される。本発明によれば、窒
化珪素結晶相の格子定数がa軸で7.606オングスト
ローム以下、特に7.602オングストローム以下、c
軸で2.910オングストローム以下、特に2.908
オングストローム以下であることが重要である。これ
は、a軸が7.606オングストローム、c軸が2.9
10オングストロームよりそれぞれ大きいと窒化珪素の
イオン結合性が増し窒化珪素の結合力が低下し、切削中
に被削材と容易に反応しいわゆる拡散摩耗が大きくなり
耐摩耗性が劣化するからである。
珪素結晶相と、周期律表第3a族元素、珪素、窒素、酸
素を含む粒界相により構成される。本発明によれば、窒
化珪素結晶相の格子定数がa軸で7.606オングスト
ローム以下、特に7.602オングストローム以下、c
軸で2.910オングストローム以下、特に2.908
オングストローム以下であることが重要である。これ
は、a軸が7.606オングストローム、c軸が2.9
10オングストロームよりそれぞれ大きいと窒化珪素の
イオン結合性が増し窒化珪素の結合力が低下し、切削中
に被削材と容易に反応しいわゆる拡散摩耗が大きくなり
耐摩耗性が劣化するからである。
【0014】なお、窒化珪素結晶相は、β型の針状結晶
として存在し、その短径が0.1〜3μmで平均アスペ
クト比(長径/短径)は2〜10の粒子である。
として存在し、その短径が0.1〜3μmで平均アスペ
クト比(長径/短径)は2〜10の粒子である。
【0015】また、粒界相は、非晶質である場合もある
が、望ましくは、結晶化しているのがよく、結晶相とし
ては、アパタイト、YAM、ワラストナイト、ダイシリ
ケート、モノシリケートがよい。
が、望ましくは、結晶化しているのがよく、結晶相とし
ては、アパタイト、YAM、ワラストナイト、ダイシリ
ケート、モノシリケートがよい。
【0016】なお、本発明の窒化珪素質工具材料には、
W,Mo、Ti、Ta,Nb、Vなどの周期律表第4
a、5a、6a族元素金属や、それらの炭化物、窒化
物、珪化物、またはSiCなどは、分散粒子やウィスカ
−として本発明の焼結体に存在しても特性を劣化させる
ような影響が少ないことから、これらを周知技術の基づ
き、適量添加して複合材料として特性の改善を行うこと
も可能である。
W,Mo、Ti、Ta,Nb、Vなどの周期律表第4
a、5a、6a族元素金属や、それらの炭化物、窒化
物、珪化物、またはSiCなどは、分散粒子やウィスカ
−として本発明の焼結体に存在しても特性を劣化させる
ような影響が少ないことから、これらを周知技術の基づ
き、適量添加して複合材料として特性の改善を行うこと
も可能である。
【0017】次に、本発明の窒化珪素質工具材料を製造
する方法について説明する。まず、原料粉末として窒化
珪素粉末を主成分として用いる。窒化珪素粉末はそれ自
体α−Si3 N4 、β−Si3 N4 のいずれでも用いる
ことができ、それらの粒径は0.4〜1.2μmが好ま
しい。
する方法について説明する。まず、原料粉末として窒化
珪素粉末を主成分として用いる。窒化珪素粉末はそれ自
体α−Si3 N4 、β−Si3 N4 のいずれでも用いる
ことができ、それらの粒径は0.4〜1.2μmが好ま
しい。
【0018】次に、添加成分として、周期律表第3a族
元素酸化物、酸化珪素粉末を用い、これらを適量秤量
し、ボールミル等により混合粉砕する。これらは、焼結
前の成形体において、周期律表第3a族元素酸化物が1
〜5モル%、酸化珪素が3〜10モル%の割合となるよ
うに混合し、アルミニウム化合物は実質的には添加せ
ず、不純物として成形体中に混入しても酸化物換算で1
重量%以下となるように制御する。なお、酸化珪素は、
窒化珪素粉末中の不純物酸素を酸化珪素換算した量を含
まれる。従って、混合粉砕中のボールミル等からのアル
ミニウム成分の混入や酸化による酸素分も考慮して出発
組成を決定する。
元素酸化物、酸化珪素粉末を用い、これらを適量秤量
し、ボールミル等により混合粉砕する。これらは、焼結
前の成形体において、周期律表第3a族元素酸化物が1
〜5モル%、酸化珪素が3〜10モル%の割合となるよ
うに混合し、アルミニウム化合物は実質的には添加せ
ず、不純物として成形体中に混入しても酸化物換算で1
重量%以下となるように制御する。なお、酸化珪素は、
窒化珪素粉末中の不純物酸素を酸化珪素換算した量を含
まれる。従って、混合粉砕中のボールミル等からのアル
ミニウム成分の混入や酸化による酸素分も考慮して出発
組成を決定する。
【0019】成形体は、混合粉末を公知の成形方法、例
えば、プレス成形、鋳込み成形、押出し成形、射出成
形、冷間静水圧成形などにより工具形状に成形すること
により得られる。
えば、プレス成形、鋳込み成形、押出し成形、射出成
形、冷間静水圧成形などにより工具形状に成形すること
により得られる。
【0020】次に、得られた成形体を公知の焼成方法、
例えば、ホットプレス方法、常圧焼成、窒素ガス圧力焼
成法により焼成し、さらには、これらの焼成後に200
0気圧もの高圧下で焼成する熱間静水圧焼成法(HI
P)を施したり、成形体をガラス浴中に浸漬したり、ガ
ラスシールを表面に形成して上記HIP処理を行い緻密
化を図る。
例えば、ホットプレス方法、常圧焼成、窒素ガス圧力焼
成法により焼成し、さらには、これらの焼成後に200
0気圧もの高圧下で焼成する熱間静水圧焼成法(HI
P)を施したり、成形体をガラス浴中に浸漬したり、ガ
ラスシールを表面に形成して上記HIP処理を行い緻密
化を図る。
【0021】この時の焼成温度は、高温すぎると主相で
ある窒化珪素結晶中へのアルミニウムの固溶が促進され
たり、粒成長し強度が低下し、また製造装置上も高価と
なるため、1650〜2000、特に1700〜195
0℃の窒素ガス含有非酸化性雰囲気で焼成することがよ
い。
ある窒化珪素結晶中へのアルミニウムの固溶が促進され
たり、粒成長し強度が低下し、また製造装置上も高価と
なるため、1650〜2000、特に1700〜195
0℃の窒素ガス含有非酸化性雰囲気で焼成することがよ
い。
【0022】
【実施例】原料粉末として窒化珪素粉末(BET比表面
積15m2 /g、α化率95%、不純物酸素量0.9重
量%)と、表1に示した各種周期律表第3a族元素酸化
物粉末、酸化珪素粉末を用いて、最終組成が表1になる
ようにバインダーと共に調合混合し1ton/cm2 の
圧力でプレス成形し、成形体を得た。この成形体を脱脂
後、1900℃で3時間、窒素ガス圧力30気圧以下で
3時間焼成して焼結体を得た。
積15m2 /g、α化率95%、不純物酸素量0.9重
量%)と、表1に示した各種周期律表第3a族元素酸化
物粉末、酸化珪素粉末を用いて、最終組成が表1になる
ようにバインダーと共に調合混合し1ton/cm2 の
圧力でプレス成形し、成形体を得た。この成形体を脱脂
後、1900℃で3時間、窒素ガス圧力30気圧以下で
3時間焼成して焼結体を得た。
【0023】得られた焼結体に対して、X線マイクロア
ナライザー(EPMA)により組成分析を行い、Al量
を測定した。また、X線回折により窒化珪素結晶の格子
定数と、ビッカース硬度(荷重20kg)、IF法によ
る破壊靭性を求め、その結果を表1に示した。
ナライザー(EPMA)により組成分析を行い、Al量
を測定した。また、X線回折により窒化珪素結晶の格子
定数と、ビッカース硬度(荷重20kg)、IF法によ
る破壊靭性を求め、その結果を表1に示した。
【0024】また、切削試験としてSNGN12041
2の工具形状に加工し下記の条件 被削材 FC350 切削速度 1000m/min 送り 0.5mm/tooth 切り込み 1.0mm にて、乾式切削を行い、刃先の摩耗幅が0.15mmま
たは欠損するまでの時間を測定し結果を表1に示した。
2の工具形状に加工し下記の条件 被削材 FC350 切削速度 1000m/min 送り 0.5mm/tooth 切り込み 1.0mm にて、乾式切削を行い、刃先の摩耗幅が0.15mmま
たは欠損するまでの時間を測定し結果を表1に示した。
【0025】
【表1】
【0026】表1の結果によれば、窒化珪素結晶の格子
定数がa軸で7.606オングストロームを越え、また
はc軸で2.910オングストロームを越える試料No.
7,8では摩耗が急激に進行し、10分以内で欠損して
しまった。また、焼結体組成が本発明の範囲から逸脱す
る試料No.1、16〜19では、摩耗が急速に進行し、
10分以内で摩耗幅が0.15mmに達してしまった。
定数がa軸で7.606オングストロームを越え、また
はc軸で2.910オングストロームを越える試料No.
7,8では摩耗が急激に進行し、10分以内で欠損して
しまった。また、焼結体組成が本発明の範囲から逸脱す
る試料No.1、16〜19では、摩耗が急速に進行し、
10分以内で摩耗幅が0.15mmに達してしまった。
【0027】これに対して、本発明の試料は、いずれも
硬度15.0GPa以上、靱性7.0MPa・m1/2 以
上の高い機械的特性を有し、しかも、高速切削試験にお
いても摩耗幅が0.15mmとなるまで10分以上要
し、耐摩耗性に優れることがわかった。特に、焼結体組
成において、窒化珪素88〜95モル%、周期律表第3
a族元素が酸化物換算で2〜5モル%、不純物的酸素が
酸化珪素に換算して2〜8モル%の組成物については、
硬度15.2GPa以上、靱性7.6MPa・m1/2 以
上、切削試験において、15分以上の耐摩耗性を示し
た。
硬度15.0GPa以上、靱性7.0MPa・m1/2 以
上の高い機械的特性を有し、しかも、高速切削試験にお
いても摩耗幅が0.15mmとなるまで10分以上要
し、耐摩耗性に優れることがわかった。特に、焼結体組
成において、窒化珪素88〜95モル%、周期律表第3
a族元素が酸化物換算で2〜5モル%、不純物的酸素が
酸化珪素に換算して2〜8モル%の組成物については、
硬度15.2GPa以上、靱性7.6MPa・m1/2 以
上、切削試験において、15分以上の耐摩耗性を示し
た。
【0028】また、比較例として、Si3 N4 90モル
%、Y2 O3 5モル%、Al2 O35モル%からなる窒
化珪素質焼結体の表面にCVD法によりTiC膜を4μ
mの厚みで被覆した切削工具を作製し、上記と同様な条
件で切削試験を行なった。その結果、切削開始後、5分
後に被覆層の剥離が観察された。
%、Y2 O3 5モル%、Al2 O35モル%からなる窒
化珪素質焼結体の表面にCVD法によりTiC膜を4μ
mの厚みで被覆した切削工具を作製し、上記と同様な条
件で切削試験を行なった。その結果、切削開始後、5分
後に被覆層の剥離が観察された。
【0029】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の窒化珪素
質工具材料は、鋳鉄の高速切削において、高い耐摩耗性
を有し、これにより工具の寿命を向上させることができ
る。
質工具材料は、鋳鉄の高速切削において、高い耐摩耗性
を有し、これにより工具の寿命を向上させることができ
る。
Claims (1)
- 【請求項1】窒化珪素を85〜96モル%、周期律表第
3a族元素を酸化物換算で1〜5モル%、不純物的酸素
を酸化珪素に換算して3〜10モル%の割合で含み、且
つアルミニウム化合物の含有量が酸化物換算で1重量%
以下の焼結体であって、該焼結体中の窒化珪素結晶の格
子定数がa軸で7.606オングストローム以下、c軸
で2.910オングストローム以下であることを特徴と
する鋳鉄切削用窒化珪素質工具材料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7312543A JPH09157029A (ja) | 1995-11-30 | 1995-11-30 | 鋳鉄切削用窒化珪素質工具材料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7312543A JPH09157029A (ja) | 1995-11-30 | 1995-11-30 | 鋳鉄切削用窒化珪素質工具材料 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09157029A true JPH09157029A (ja) | 1997-06-17 |
Family
ID=18030492
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7312543A Pending JPH09157029A (ja) | 1995-11-30 | 1995-11-30 | 鋳鉄切削用窒化珪素質工具材料 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09157029A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007039306A (ja) * | 2005-07-07 | 2007-02-15 | Kyocera Corp | 窒化珪素質焼結体とその製造方法、これを用いた半導体製造装置用部材および液晶製造装置用部材 |
-
1995
- 1995-11-30 JP JP7312543A patent/JPH09157029A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007039306A (ja) * | 2005-07-07 | 2007-02-15 | Kyocera Corp | 窒化珪素質焼結体とその製造方法、これを用いた半導体製造装置用部材および液晶製造装置用部材 |
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