JPH09154689A - 多層式掛け布団 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 気温の変化に対応して使用することができ、
かつ全面にわたって均一に保温性が得られる掛け布団の
提供。 【解決手段】 第１の表地１３と中地１４との間に、主
として真綿よりなるワタ体を充填して真綿層１１を形成
する。ついで、中地１４と第２の表地１５との間に隔壁
１２１を立体的に配設して複数の室１２２を形成し、こ
れら室１２２内に羽毛を充填することによって羽毛層１
２を形成して、多層式掛け布団１０を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、内部に充填される
中ワタ体を多層構造とした掛け布団に関する。

【０００２】

【従来の技術】掛け布団等の布団において、内部に充填
される綿、羽毛等の中ワタ体を多層構造とすることが提
案されている。図５は多層構造の中ワタ体を有する掛け
布団の一例を示す概略部分断面図である。同図におい
て、掛け布団４０は、裏側にキルティングされた綿充填
層４２を備えるとともに、表側には、両面接着テープ４
１１を升目状に貼設しておくことにより多数の室に区画
形成された羽毛充填層４１を備える構成となっている
（特開平６―２５３９５７号公報参照）。上記掛け布団
４０によれば、裏側の綿充填層４２が人体によく馴染む
ことにより、例えば使用時に使用者が寝返りを打った場
合等に、使用者と掛け布団４０との間に隙間ができにく
いことや、表側の羽毛充填層４１が良好な保温性を有す
ること等から、使用時に熱を外部に逃し難く、したがっ
て例えば冬季等の低温時には好適に使用することができ
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記掛
け布団４０では、例えば気温がやや上昇した時等には、
上記のように隙間ができにくいために逆に風通しが得ら
れ難くなり、このため使用者が暑苦しさを訴えることに
もなるという問題があった。また、羽毛充填層４１が両
面接着テープ４１１で区画されているため、この両面接
着テープ４１１が貼設された部位においては羽毛が充填
されていないため保温性に劣るという問題があった。

【０００４】本発明はこのような課題を解決するために
成されたものであり、その目的とするところは、気温の
変化に対応して使用することができ、かつ全面にわたっ
て均一に保温性が得られる掛け布団を提供することにあ
る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に成された本発明に係る多層式掛け布団は、主として真
綿よりなるワタ体で構成される層（以下、真綿層と称
す）と、羽毛で構成される層（以下、羽毛層と称す）と
を少なくとも有し、上記羽毛層が立体的な隔壁により複
数の室に区画されていることを特徴とするものである。

【０００６】

【発明の実施の形態】例えば、第１の表地と中地との間
に、主として真綿よりなるワタ体を充填し、これにキル
ティングを施すことにより真綿層を形成する。ついで、
中地と第２の表地との間に、マチテープ等を隔壁として
これを立体的に配設することにより、多数の室を形成す
る。この後、これら室内に羽毛を充填することによって
羽毛層を形成して、多層式掛け布団を構成する。別の態
様においては、真綿に加えて、絹繊維以外の繊維よりな
るワタ体を用いることにより、真綿の一部を他のワタ体
で代替し、これによってコストを低減するようにしても
よい。絹繊維以外の繊維よりなるワタ体は、真綿層に混
入したり、あるいは、真綿層および羽毛層に加えて別の
層を設け、この別の層に充填したりすることができる。
多層式掛け布団を使用する際には、通常、冬季等の低温
時には真綿層側を、やや気温が高い時には羽毛層側を使
用者に向けて用いればよい。

【０００７】

【発明の効果】本発明の多層式掛け布団においては、冬
季等の低温時に、真綿層による人体への追従性や真綿層
および羽毛層による保温性を利用して熱を外部に逃さな
いようにすることができる一方、気温がやや上昇した時
等においては、裏返して使用すると羽毛層により風通し
が良好な状態で使用することができ、このため例えば寒
さが若干緩んだ時等に別の薄めの布団にかえるといった
ことが不要となる。ここで、羽毛層は立体的な隔壁によ
り区画されているため局部的に薄い部位がなく、比較的
曲がりにくい状態となっている。このため、羽毛層側を
使用者にむけて用いると羽毛層と人体との間に適度の隙
間が形成される。また、このように羽毛層が立体的な隔
壁により区画されていることから、羽毛層全体にわたっ
て均一に羽毛が充填されており、したがって掛け布団の
全面にわたって均一に保温性が得られる。

【０００８】

【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。図１は、本発明の多層式掛け布団の一実施例
を示す概略斜視断面図である。同図に示す多層式掛け布
団１０は、真綿層１１と羽毛層１２とを積層した構成を
有するものとなっている。

【０００９】真綿層１１は、第１の表地１３と中地１４
との間に、真綿よりなるワタ体を充填した後、複数の円
状のキルティング１１１を格子状の配列となるように施
すことにより構成されている。

【００１０】中地１４としては、例えば、テトロンとコ
ットンとの混紡により得られる糸よりなる不織布状の生
地等を用いることができるが、これ以外にも、毛、綿、
麻等の天然繊維、ナイロン、ポリエステル、アクリル、
ポリプロピレン等の化学繊維等よりなる織物、不織布、
編物等や、ナイロン、ポリエステル等の合成樹脂よりな
るシート等であってもよい。

【００１１】また、キルティング１１１の形状として
も、円形状のもの以外にも、方形状、波形状、螺旋状等
任意の形状が可能であり、その配列としても、図１に示
すような格子状（例えば横４個×縦５個）だけでなく、
任意のものとすることができる。

【００１２】羽毛層１２は、立体的な隔壁１２１により
複数の室１２２に区画されている。隔壁１２１としては
マチテープ等を用いることができ、複数の室１２２は、
例えば図２に示すように、中地１４と第２の表地１５と
の対向面にそれぞれマチテープ１２１を格子状に立体的
に配置しておき、上下のマチテープ１２１を端縁部同志
で重ねて縫着することにより形成することができる。

【００１３】羽毛層１２には、室１２２の形成後に羽毛
が充填されるが、各室１２２にはそれぞれ適宜な箇所
（例えば各室の辺、隅等）に、非縫着部や筒状部等を形
成して羽毛供給口（図示せず）を設けておき、この羽毛
供給口から各室１２２に順次羽毛を充填していくように
すればよい。

【００１４】室１２２の数、配置等は特に限定されない
が、例えば図２に示すように、真綿層１１の円状のキル
ティング１１１に対応する数および配置（図２では横４
個×縦５個）とすることができる。なお、羽毛層１２に
おいて隔壁１２１が配設された部位および真綿層１１に
おいてキルティング１１１が施された部位（縫合線）
は、縫合部からの熱の放散等を少なくするために、これ
らが互いに重ならないようにすることが望ましい。

【００１５】多層式掛け布団１０の外周縁は、第１の表
地１３、中地１４および第２の表地１５の外周縁を縫着
または溶着することにより閉止される。なお、第１の表
地１３および第２の表地１５の外周縁のみを縫着または
溶着するようにしてもよい。

【００１６】多層式掛け布団１０の厚みとしては特に限
定はないが、例えば、真綿層１１の厚さを２〜３ｃｍ程
度、羽毛層１２の厚さを３〜６ｃｍ程度とすることがで
きる。

【００１７】本発明においては、真綿に加えて、絹繊維
以外の繊維よりなるワタ体を用いることもできる。この
場合、真綿以外のワタ体を真綿の一部を代替するものと
することができ、これによって真綿の使用量を少なくし
てワタ体の材料コストを低減することができる。絹繊維
以外の繊維としては特に限定されないが、例えば、木
綿、毛、麻等の天然繊維、ポリエステル、ナイロン、ア
クリル、ポリプロピレン等の化学繊維またはこれらの２
種以上よりなる繊維等が挙げられる。

【００１８】絹繊維以外の繊維よりなるワタ体は、例え
ば真綿層に混入させるようにすればよい。あるいは、真
綿層および羽毛層に加えて別の層を設け、この別の層に
絹繊維以外の繊維よりなるワタ体を充填するようにして
もよい。

【００１９】図３は、真綿層および羽毛層に加えて別の
層が設けられた例を示す概略断面図である。同図に示す
多層式掛け布団２０は、真綿層１１と羽毛層１２との間
に中間層１６が介在している点以外は、前記図１に示す
多層式掛け布団１０と同様である。このため、図３中、
前記図１と同一の符号を付した部分は同様のものを示す
ものとし、その説明は省略する。

【００２０】中間層１６は、中地１４の羽毛層１２側に
第２の中地１４２を配置し、これら両中地１４、１４２
の間にワタ体を充填することにより構成されている。第
２の中地１４２としては、中地１４と同様のものでよ
い。また、この態様においては、第２の中地１４２と第
２の表地１５との間で羽毛層１２が形成されるが、この
羽毛層１２の形成は、前記図１に示す態様において中地
１４と第２の表地１５との間で羽毛層１２を形成する場
合と同様の方法により行なえばよい。

【００２１】本発明の多層式掛け布団は、冬季等の低温
時には、例えば図４（ａ）に示すように真綿層３１側を
使用者Ｃに向け、やや気温が高い時には、図４（ｂ）に
示すように羽毛層３２側を使用者Ｃに向けて用いること
が望ましい。これにより、低温時には、図４（ａ）に示
すように真綿層３１により多層式掛け布団３０が使用者
Ｃによく追従するため大きな隙間が形成されにくく、そ
の上真綿層３１自体および羽毛層３２が良好な保温性を
有するので、熱が外部に逃げ難く、一方やや気温が高い
時には、図４（ｂ）に示すように羽毛層３２の使用者Ｃ
に対する追従の度合いが比較的緩やかであるため適度の
隙間が形成され、風通しが良好となる。このように羽毛
層３２の追従性が緩やかであることは、羽毛層３２が立
体的な隔壁により区画されていることによるものであ
る。例えば、羽毛層が両面テープ等の平面的な部材で区
画されたりキルティングにより区画されたりしている
と、局部的に薄い部位が形成されるため、当該部位で羽
毛層が折れ曲がりやすく、したがって使用者Ｃとの間に
隙間が比較的形成され難い。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の多層式掛け布団の一実施例を示す概
略斜視断面図。

【図２】 中地と第２の表地との対向面にそれぞれマチ
テープを配置した状態を示す概略斜視図。

【図３】 本発明の多層式掛け布団の他の実施例を示す
概略断面図。

【図４】 本発明の多層式掛け布団の使用例を示す概略
図。

【図５】 従来の多層式掛け布団の一例を示す概略部分
断面図。

【符号の説明】

１０…多層式掛け布団 １１…真綿層 １１１…キルティング １２…羽毛層 １２１…隔壁（マチテープ） １２２…室 １３…第１の表地 １４…中地 １５…第２の表地

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 主として真綿よりなるワタ体で構成され
   る層と、羽毛で構成される層とを少なくとも有し、上記
   羽毛層が立体的な隔壁により複数の室に区画されている
   ことを特徴とする多層式掛け布団。
2. 【請求項２】 主として真綿よりなるワタ体で構成され
   る層と羽毛で構成される層との間に中間層を有し、当該
   中間層に、絹繊維以外の繊維よりなるワタ体が充填され
   ている請求項１に記載の多層式掛け布団。