JPH0914927A - 光ファイバー歪みセンサーおよびその製造方法並びに光ファイバー歪みセンサーを用いた構造物の歪み測定方法 - Google Patents

光ファイバー歪みセンサーおよびその製造方法並びに光ファイバー歪みセンサーを用いた構造物の歪み測定方法

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JPH0914927A
JPH0914927A JP18468795A JP18468795A JPH0914927A JP H0914927 A JPH0914927 A JP H0914927A JP 18468795 A JP18468795 A JP 18468795A JP 18468795 A JP18468795 A JP 18468795A JP H0914927 A JPH0914927 A JP H0914927A
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匡 森本
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達夫 矢野
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 構造物の歪みが精度よく求められる光ファイ
バ−歪みセンサ−及びその製造方法並びにそれを用いた
構造物の歪み測定方法を提供する。 【構成】 金属管1 とその内周面に接してスパイラル状
に形成された光ファイバ−2 とからなる。センサーの所
望の歪み測定範囲及びセンサー感度が得られるように、
金属管の長さ・内径、光ファイバ−の長さ・直径・曲率
半径・光伝送損失量及び金属管の歪み間の関係式に基づ
き、金属管の長さ・内径、光ファイバ−の長さ・直径を
決める製造法。上記と同様にして、金属管の長さ・内
径、光ファイバ−の初期曲率半径を決める製造法。所定
長の光ファイバ−を所定長の金属管の一端から内周面に
密着させてスパイラル状に形成しつつ挿入し、管他端で
その先端を受け止め、後端を管の一端で止めることによ
り、光ファイバ−の初期曲率半径を目標値に調節する。
センサ−を測定対象物に溶接で取り付け測定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、光ファイバ−を利用
して構造物の変形量を測定するための光ファイバ−歪み
センサ−に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光ファイバ−歪みセンサ−に関する従来
技術として、例えば特開昭60−219503号公報に
は、パイプ状、棒状またはひも状の物体の外周面または
外周に形成された溝内に、光ファイバ−をスパイラル状
に巻き回したものが開示されている(以下、先行技術と
いう)。
【0003】図7は、先行技術に記載された光ファイバ
−歪みセンサ−を示す概略斜視図である。この光ファイ
バ−歪みセンサ−9は、パイプ8の外周面に光ファイバ
−2が所定ピッチPでスパイラル状に巻き回わされ、光
ファイバ−2の両端にコネクタ−5を備えたものであ
る。また、図8は、図7に示した光ファイバ−歪みセン
サ−9をシステム化した例を説明する図である。光ファ
イバ−歪みセンサ−が取り付けられた構造物等が変形す
ると、これに伴い光ファイバ−2が変形し、この変形前
後における光伝送損失量の変化を検知し、この光伝送損
失量の変化量を用いて構造物等の変形量を求めようとす
るものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記先行技術に記載さ
れた光ファイバ−歪みセンサ−は、パイプ状、棒状また
はひも状の物体の外周面に、光ファイバ−をスパイラル
状に巻き回すものであり、当該測定前における光ファイ
バ−の曲率(以下、「初期曲率」という)はパイプ等の
外径と光ファイバ−のピッチに応じて決まる。しかしな
がら、このような製作方法および構造の光ファイバ−歪
みセンサ−においては、パイプ8の外周面に巻いただけ
では、等ピッチに設定したくても位置が決まらず、バラ
ツキをもった初期曲率となることが推測される。従っ
て、スパイラルのピッチを精度よく形成することが困難
である。
【0005】これに対して、パイプ等の外周面に溝を形
成し、この溝内に光ファイバ−をスパイラル状に巻き回
して製作する場合には、初期曲率を精度よく設定するこ
とはできるであろうが、変形後の光ファイバ−の曲率
は、溝の拘束を受け、光伝送損失量から構造物の変形量
や歪みを求めることが困難であった。更に、変形時に溝
の中を光ファイバ−が摺動するわけではないので、光フ
ァイバ−自体に応力が発生し、光ファイバ−が破断した
り、屈曲したりする可能性もあった。
【0006】また、光伝送損失量から歪みを正確に求め
るためには、光ファイバ−歪みセンサ−の構造物への取
り付け方法が重要であるが、これについて先行技術には
特に開示はされていない。
【0007】従って、この発明の目的は、上記のような
問題を解決することによって、光伝送損失量から構造物
の変形量および歪みを精度よく求めることができ、しか
も、所望の歪み測定範囲およびセンサ−感度を有し、更
に、構造物への取り付けを容易に行なうことができる光
ファイバ−歪みセンサ−およびその製造方法並びに光フ
ァイバ−歪みセンサ−を用いた構造物の歪み測定方法を
提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明の光ファイバ−
歪みセンサ−(以下、「第1発明」という)は、金属管
と前記金属管の内周面に密着してスパイラル状に形成さ
れた光ファイバ−とからなることに特徴を有するもので
ある。なお、この明細書において、光ファイバ−とは、
特に断らない限り、光ファイバ−素線の表面を1種また
は2種以上の被覆材によって被覆されたものをいうもの
とする。
【0009】この発明の光ファイバー歪みセンサーの製
造方法(以下、「第2発明」という)は、第1発明の光
ファイバ−歪みセンサーの製造方法であって、前記光フ
ァイバ−歪みセンサーの所望の歪み測定範囲
(εrange )およびセンサー感度(s)が得られるよう
に、前記金属管の長さ(L)、前記金属管の内径
(D)、前記光ファイバ−の長さ(Lf )、前記光ファ
イバ−の直径(d)、前記金属管の歪み(ε)、前記光
ファイバ−の曲率半径(R)および前記光ファイバ−の
光伝送損失量(α)との間で成り立つ関係式に基づき、
前記金属管の長さ(L)、前記金属管の内径(D)、前
記光ファイバ−の長さ(Lf )および前記光ファイバ−
の直径(d)を決定することに特徴を有するものであ
る。
【0010】この発明の別の光ファイバー歪みセンサー
の製造方法(以下、「第3発明」という)は、第1発明
の光ファイバ−歪みセンサーの製造方法であって、前記
光ファイバ−歪みセンサーの所望の歪み測定範囲(ε
range )およびセンサー感度(s)が得られるように、
前記金属管の長さ(L)、前記金属管の内径(D)、前
記光ファイバ−の長さ(Lf )、前記光ファイバ−の直
径(d)、前記金属管の歪み(ε)、前記光ファイバ−
の曲率半径(R)および前記光ファイバ−の光伝送損失
量(α)との間で成り立つ関係式に基づき、前記金属管
の長さ(L)、前記金属管の内径(D)および前記光フ
ァイバ−の初期曲率半径(R0 )を決定することに特徴
を有するものである。
【0011】この発明の光ファイバ−歪みセンサ−の製
造方法(以下、「第4発明」という)は、所定長さの光
ファイバ−を、所定長さの金属管の一端から他端に向け
て前記金属管の内周面に密着させてスパイラル状に形成
させつつ挿入し、前記金属管の前記他端において前記光
ファイバ−の挿入の先端を受け止め、前記光ファイバ−
の挿入の後端を前記金属管の前記一端で押し止め、この
ようにしてスパイラル状に形成される前記光ファイバ−
の初期曲率半径を目標の設計値に調節することによっ
て、前記金属管内部にスパイラル状に形成された前記光
ファイバ−を内接させることに特徴を有するものであ
る。
【0012】この発明の光ファイバ−歪みセンサ−を用
いた構造物の歪み測定方法(以下、「第5発明」とい
う)は、上述した第1発明の光ファイバ−歪みセンサ−
を測定対象物の表面に対して溶接によって取り付け、こ
のようにして取り付けられた前記光ファイバ−歪みセン
サ−を用いることに特徴を有するものである。
【0013】
【作用】請求項1記載の発明の特徴は、金属管の内周面
に密着して光ファイバ−がスパイラル状に形成され、こ
の光ファイバ−は所定の内径の金属管の内部に挿入され
ている。このように、センサ−部分の金属管の内部に光
ファイバ−をスパイラル状に形成するためには、この金
属管の長さよりも、長い光ファイバ−をこの金属管の内
部に挿入すればよい。このように挿入された光ファイバ
−は、金属管の内壁に沿ってスパイラル状をなし、自ず
からそのピッチおよび曲率を一定とする安定状態をと
る。従って、光ファイバ−を所定の形態に形成すること
ができる。
【0014】請求項1記載の光ファイバ−歪みセンサ−
の金属管は、測定対象物の変形に伴い変形し、この金属
管の変形に追従して光ファイバ−の曲率半径が変化す
る。従って、この光ファイバ−歪みセンサ−の金属管
を、測定対象物に適正な方法で固定すれば、測定対象物
の変形に伴う歪みは正確に金属管に歪みを生じさせ、こ
れに伴い光ファイバ−の曲率半径が正確に変化する。従
って、光ファイバ−の光伝送損失量の変化も正確とな
る。光伝送損失量の変化を測定することによって、金属
管の歪みが測定され、従って、測定対象物の歪みおよび
変形量が測定される。
【0015】請求項5記載の発明の特徴は、この発明の
光ファイバ−歪みセンサ−を測定対象物の表面に対して
溶接によって取り付け固定するので、上述したように、
測定対象物の歪みが正確に光ファイバ−の曲率半径を変
化させる。
【0016】請求項4記載の発明の特徴は、所定長さの
光ファイバ−を、所定長さの金属管の一端から他端に向
けて金属管の内周面に密着させてスパイラル状に形成さ
せつつ挿入し、金属管の他端において光ファイバ−の挿
入の先端を受け止め、光ファイバ−の挿入の後端を金属
管の一端で押し止める。このようにしてスパイラル状に
形成される光ファイバ−の初期曲率半径を目標の設計値
に調節する。従って、この製造方法は、金属管の内部に
光ファイバ−が挿入されたとき、光ファイバ−が金属管
内で安定状態を保持することを利用して行なうものであ
る。従って、光ファイバ−の曲率半径およびピッチが一
定となる。
【0017】センサ−性能 光ファイバ−歪みセンサ−が具備する性能を、下記2つ
によって表わすことができる。即ち、測定することがで
きる歪みの範囲(以下、「歪み測定可範囲
(εrange )」という)およびセンサ−の感度(以下、
「センサー感度(s)という)である。
【0018】請求項2記載の製造方法は、上述したよう
に、所定の内径および長さの金属管内に所定長さの光フ
ァイバ−がスパイラル状に内接した状態のものを製造す
る方法であるから、金属管の長さ(L)、光ファイバ−
の長さ(Lf )、金属管の内径(D)および光ファイバ
−の直径(d)を決定すれば、上記LとLf とdとD
と、更に金属管の歪み(ε)と、光ファイバ−の曲率半
径(R)との間の関係式において、歪みε=0とおくこ
とによって光ファイバ−の初期曲率半径(R0 )を算定
することができる。
【0019】例えば、前述の関係式として、下記(1)
式: 但し、 R:曲率半径 L:金属管の長さ Lf :光ファイバ−の長さ D:金属管の内径 d:光ファイバ−の外径 ε:金属管の歪み(引張の場合は正、圧縮の場合は負) があり、ε=0とおいて得られる下記(1’)式: 但し、 R0 :初期曲率半径 に、L、Lf 、dおよびDを代入することによって、光
ファイバ−の初期曲率半径R0 が求められる。
【0020】また、光ファイバ−歪みセンサ−のL、L
f 、dおよびDが決まると、光ファイバ−の巻き回数
(N)およびピッチ(p)が、下記(2)および(3)
式: N ={(Lf 2 −L 21/2 }/π(D−d) ------------(2) p =L/N --------------------------------------------(3) に基づき算出される。このようにして、光ファイバ−歪
みセンサ−の「寸法・形状諸元」:L、Lf、d、D、
0 、Nおよびpが決まる。
【0021】次に、光ファイバ−の光伝送損失量(α)
と光ファイバ−の曲率半径(R)との間の関係は、原理
的にもまた実験的にも知られている。例えば、下記
(4)式: α ≒80R-1.9 --------------------------------------- (4) 但し、 R:曲率半径(mm) α:光伝送損失量(dB) がある。
【0022】センサ−感度(s) 今、光ファイバ−センサーのセンサ−感度(s)を、下
記(5)式: s ≡|Δ(Δα)/Δε|ε=0 --------------------------(5) で表わすとすれば、(4)、(1)および(1’)式か
ら、 が誘導される。従って、(6)式の初期曲率半径R
0 に、(1’)式に基づいて算出される初期曲率半径R
0 を代入することで、L、Lf 、Dおよびdよりセンサ
−感度(s)が求まる。
【0023】歪み測定範囲(εrange ) 歪み測定可能最大値(εmax )は、引張変形の場合は、
光ファイバ−の長さと同じ長さまで金属管が伸ばされた
時であり、下記(8)式: εmax ,t=(Lf −L)/L ----------------------------- (8) で表わされる。また、圧縮変形の場合は、スパイラル状
の光ファイバ−が互いに接触する状態まで金属管が圧縮
された時であり、下記(8’)式: で表わされる。従って、金属管の長さ(L)、光ファイ
バ−の長さ(Lf )、金属管の内径(D)および光ファ
イバ−の直径(d)より、(8)および(8’)式に基
づいて歪み測定範囲(εrange )が下記(9)式: のように決まる。
【0024】請求項3記載の製造方法も、請求項2記載
の製造方法と同様、所定の内径および長さの金属管内に
所定長さの光ファイバ−がスパイラル状に内接した状態
のものを製造する方法であるから、金属管の長さ
(L)、光ファイバ−の長さ(Lf )、および光ファイ
バ−の初期曲率半径(R0 )を定めると、上記LとLf
とR0 と金属管の内径(D)と光ファイバ−の直径
(d)との間の関係式から、Dおよびdの値が算定され
る。
【0025】例えば、前記(1’)式: 但し、R0 :初期曲率半径 において、L、Lf およびR0 を代入することによっ
て、金属管の内径(D)と光ファイバ−の直径(d)と
の差(D−d)を算定することができる。従って、Dお
よびdは一定の制約条件の下で決まる。
【0026】次いで、上記L、Lf 、D、およびdを前
記(2)および(3)式に代入することによって、セン
サ−部分の光ファイバ−の巻き回数(N)およびピッチ
(p)が決まる。このようにして光ファイバ−歪みセン
サ−の寸法・形状諸元が決まると、上述したように
(6)および(9)式からセンサ−の性能が決定され
る。
【0027】一般に、光ファイバ−歪みセンサ−を製造
する場合、その寸法・形状諸元の設定値に基づき光ファ
イバ−歪みセンサ−を製造する。しかしながら、実際に
は、センサ−性能が所望の値になるように寸法・形状諸
元を定め、次いで光ファイバ−歪みセンサ−の製造にと
りかかる。請求項2および請求項3記載の発明において
も、上述したセンサ−性能が決まる工程を逆にたどるこ
とによって、はじめに所望のセンサ−性能を決め、これ
に基づいて寸法・形状諸元を決定し製造段階に入る。
【0028】この発明の光ファイバ−歪みセンサ−およ
びその製造方法は上述したとおりであるから、測定対象
物と測定目的等に適した光ファイバ−歪みセンサ−を製
造することができ、しかも、この発明の光ファイバ−歪
みセンサ−を用いた構造物の歪み測定方法により、測定
対象物の歪みおよび変形量を精度よく、正確に測定する
ことができる。なお、(6)式から明らかなように、セ
ンサ−感度を高く設定する場合は、初期曲率半径を小さ
くし、逆にセンサ−感度を低くする場合には、初期曲率
半径を大きくすればよい。
【0029】
【実施例】次に、この発明の光ファイバ−歪みセンサ−
を実施例により、図面を参照して更に説明する。
【0030】図1は、この発明の光ファイバ−歪みセン
サ−の一実施態様を示す概略縦断面図、図2は、図1の
AA線断面図である。
【0031】図1および図2において、1’は、光ファ
イバ−歪みセンサ−であって、金属管1の内部にスパイ
ラル状の光ファイバ−2が内接して挿入されている。金
属管1は、例えばステンレス製であり、管内径は1〜2
mm、管厚は0.1〜0.2mmである。光ファイバ−
2は、単一モ−ドであっても、多モ−ドであってもよ
く、光ファイバ−2は、光ファイバ−素線の全表面を所
謂一次被覆材(図示せず)で被覆されている。但し、被
覆材の材質を限定するものではない。所望のセンサ−性
能を決めた後、光ファイバ−歪みセンサ−1’の寸法・
形状諸元を上述した方法で決める。なお、同図に示した
光ファイバ−歪みセンサ−1’の光ファイバ−2に関し
ては、初期曲率半径を所定の値に設定することに最大の
特徴がある。
【0032】図3は、この発明の光ファイバ−歪みセン
サ−1’が長さ方向に引張力Tをうけて引張変形した場
合の、初期状態に対する変形状態を示す概略縦断面図で
あり、図4は、この発明の光ファイバ−歪みセンサ−
1’が長さ方向に圧縮力Cを受けて圧縮変形した場合
の、初期状態に対する変形状態を示す概略縦断面図であ
る。
【0033】光ファイバ−2の曲率半径は、引張変形に
よって初期曲率半径R0 から引張変形後の曲率半径Rt
に変化し、また、圧縮変形によって初期曲率半径R0
ら圧縮変形後の曲率半径Rc に変化する。この場合、初
期の曲率半径R0 は、例えば、下記(1’)式: で表され、また、Rt またはRc と金属管1の歪みε
(引張の場合は正、圧縮の場合は負)との関係は、例え
ば、下記(1tc)式: 但し、D:金属管1の内径 d:光ファイバ−2の外径 L:金属管1の長さ Lf :光ファイバ−2の長さ で表わされる。
【0034】一方、光ファイバ−の曲率半径と光伝送損
失量との間には、例えば、下記(4)式: α ≒80R-1.9 --------------------------------------- (4) 但し、 R:曲率半径(mm) α:光伝送損失量(dB) の関係がある。光ファイバ−歪みセンサ−を測定対象物
に溶接して取り付け、測定対象物が変形した場合の光伝
送損失量の変化を測定し、(1tc)および(4)式に基
づき、金属管1の歪みを算出することによって、測定対
象物の歪みおよび変形量を算定する。
【0035】図5は、この発明の光ファイバ−歪みセン
サ−の一実施例の使用方法を説明する図である。同図に
おいて、光ファイバ−歪みセンサ−1’はステンレス製
固定フランジ3にスポット溶接され、そして、上記固定
フランジ3は測定対象構造物であるパイプライン4にス
ポット溶接されている。光ファイバ−歪みセンサ−1’
の一端から導出された光ファイバ−2’の端部には、コ
ネクタ−5を介して光源6に接続され、そして、光ファ
イバ−歪みセンサ−1’の他端から導出された光ファイ
バ−2’の端部には、別のコネクタ−5を介してパワ−
メ−タ−7に接続されている。
【0036】このように構成された装置において、パイ
プライン4に発生した歪みに応じて金属管1に歪みが発
生し、これにより生じる光ファイバ−2の曲率半径の変
化により、光源6から発せられた光の光伝送損失量がパ
ワ−メ−タ−7によって測定される。そこで、光ファイ
バ−の曲率半径と光伝送損失量との間の関係式:(4)
式より光ファイバ−の曲率半径を算定し、次いで、上記
(1tc)式に基づき、金属管1の歪みを算定し、パイプ
ラインの歪みを求める。
【0037】光伝送損失量の測定方法としては、パワ−
メ−タ−7による透過光を用いる方法の他、OTDR装
置(光パルス試験器)による後方散乱光を用いる方法で
もよい。また、センサ−部分以外の光ファイバ−2に
は、金属管に内接して挿入された光ファイバ−をそのま
ま用いてもよいし、また、他の材料で被覆された光ファ
イバ−を用いてもよい。
【0038】図6は、図5に示したこの発明による光フ
ァイバ−歪みセンサ−の使用方法によって、パイプライ
ンの歪みを測定した結果の一例を示すグラフである。パ
イプラインの変形は圧縮変形である。ここで使用した光
ファイバ−歪みセンサ−1’は、金属管1の内径
(D):0.7mm、光ファイバ−2の外径(d):
0.25mm、金属管1の長さ(L):200mm、光
ファイバ−2の長さ(Lf ):200.6mmのもので
ある。
【0039】図6において、縦軸は光伝送損失量を、横
軸はパイプラインの歪みを示す。同図より、この実施例
における歪みの測定量は0〜0.8%であったことを示
している。また、センサ−感度(s)は、0.52db
/%である。
【0040】このように、歪みの測定範囲およびセンサ
−感度を自由に設定することができる光ファイバ−歪み
センサ−によって、光伝送損失量から構造物の歪みおよ
び変形量を求めることができ、また、測定対象物が鋼構
造物の場合には、この光ファイバ−歪みセンサ−を溶接
により容易に且つ確実に取り付けることができる。この
発明の光ファイバ−歪みセンサ−を用いる測定系は、図
5に示した構成に限られるものではない。また、この発
明の金属管被覆光ファイバ−の測定対象物への取付方法
については、溶接による方法に限られず、金属管および
測定対象物の材質に応じて接着等を適宜採用することが
できる。
【0041】
【発明の効果】上述したように、この発明によれば、構
造物の測定対象物の歪み量および変形量を測定する場
合、特に、: (1)光ファイバ−歪みセンサ−の製造時に、金属管の
長さと内径および金属管内部の光ファイバ−の外径と長
さを自在に調整することで、歪み量測定範囲およびセン
サ−感度を自由に設定することができる。 (2)金属管内の光ファイバ−は、金属管の変形に対応
して、自在に曲率半径が変化するので、金属管が固定さ
れた構造物の変形は、光ファイバ−の曲率変化による光
伝送量の変化となって示され、定量的な評価を精度よく
行なうことができる。 (3)構造物への光ファイバ−歪みセンサ−の取付けに
ついては、構造物が鋼製であれば、溶接を用いることが
できるため、確実、且つ、容易に行なうことができる。 という効果が得られる光ファイバ−歪みセンサ−を提供
することができ、工業上極めて有用な効果がもたらされ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の光ファイバ−歪みセンサ−の一実施
態様を示す概略縦断面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】この発明の光ファイバ−歪みセンサ−が長さ方
向に引張変形した場合の、センサ−の初期状態に対する
変形後状態を示す概略縦断面図である。
【図4】この発明の光ファイバ−歪みセンサ−が長さ方
向に圧縮変形した場合の、センサ−の初期状態に対する
変形後状態を示す概略縦断面図である。
【図5】この発明の光ファイバ−歪みセンサ−の一実施
例の使用方法を説明する図である。
【図6】図5に示した方法によって、パイプラインの歪
み量を測定した結果の一例を示すグラフである。
【図7】従来の光ファイバ−歪みセンサ−の一例を示す
概略斜視図である。
【図8】図7に示した光ファイバ−歪みセンサ−をシス
テム化した一例の説明図である。
【符号の説明】
L センサ−長 T 引張力 C 圧縮力 P 初期のスパイラルピッチ Pt 引張変形後のスパイラルピッチ Pc 圧縮変形後のスパイラルピッチ 1 金属管 1’ 光ファイバ−歪みセンサ− 2 光ファイバ− 2’ 光ファイバ−(光ファイバ−歪みセンサ−から導
出された) 3 固定フランジ 4 パイプライン 5 コネクタ− 6 光源 7 パワ−メ−タ− 8 パイプ 9 従来の光ファイバ−歪みセンサ− 10 集光レンズ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属管と前記金属管の内周面に密着して
    スパイラル状に形成された光ファイバ−とからなること
    を特徴とする光ファイバ−歪みセンサ−。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の光ファイバ−歪みセンサ
    −の製造方法であって、 前記光ファイバ−歪みセンサーの所望の歪み測定範囲お
    よびセンサー感度が得られるように、 前記金属管の長さ、前記金属管の内径、前記光ファイバ
    −の長さ、前記光ファイバ−の直径、前記金属管の歪
    み、前記光ファイバ−の曲率半径および前記光ファイバ
    −の光伝送損失量との間で成り立つ関係式に基づき、 前記金属管の長さ、前記金属管の内径、前記光ファイバ
    −の長さおよび前記光ファイバ−の直径を決定すること
    を特徴とする、光ファイバ−歪みセンサーの製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の光ファイバ−歪みセンサ
    −の製造方法であって、 前記光ファイバ−歪みセンサーの所望の歪み測定範囲お
    よびセンサー感度が得られるように、 前記金属管の長さ、前記金属管の内径、前記光ファイバ
    −の長さ、前記光ファイバ−の直径、前記金属管の歪
    み、前記光ファイバ−の曲率半径および前記光ファイバ
    −の光伝送損失量との間で成り立つ関係式に基づき、 前記金属管の長さ、前記金属管の内径および前記光ファ
    イバ−の初期曲率半径を決定することを特徴とする、光
    ファイバ−歪みセンサーの製造方法。
  4. 【請求項4】 所定長さの光ファイバ−を、所定長さの
    金属管の一端から他端に向けて前記金属管の内周面に密
    着させてスパイラル状に形成させつつ挿入し、前記金属
    管の前記他端において前記光ファイバ−の挿入の先端を
    受け止め、前記光ファイバ−の挿入の後端を前記金属管
    の前記一端で押し止め、このようにしてスパイラル状に
    形成される前記光ファイバ−の初期曲率半径を目標の設
    計値に調節することによって、前記金属管内部にスパイ
    ラル状に形成された前記光ファイバ−を内接させること
    を特徴とする、光ファイバ−歪みセンサ−の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の光ファイバ−歪みセンサ
    −を、測定対象物の表面に対して溶接によって取り付
    け、このようにして取り付けられた前記光ファイバ−歪
    みセンサ−を用いて前記測定対象物の歪みを測定するこ
    とを特徴とする光ファイバ−歪みセンサ−を用いた構造
    物の歪み測定方法。
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