JPH0914903A - 磁気式エンコーダ用磁性部材 - Google Patents

磁気式エンコーダ用磁性部材

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JPH0914903A
JPH0914903A JP13263996A JP13263996A JPH0914903A JP H0914903 A JPH0914903 A JP H0914903A JP 13263996 A JP13263996 A JP 13263996A JP 13263996 A JP13263996 A JP 13263996A JP H0914903 A JPH0914903 A JP H0914903A
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linear
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magnetic member
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JP13263996A
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Inventor
Chikashi Takatori
史 鷹取
Atsushi Kawamoto
淳 川本
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Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造の際に着磁のためのコイル電流を交番さ
せる必要がなく、簡単な装置により一回の着磁処理で一
度に多数製造することができ、しかも容易に微細な着磁
パターンを形成することができる、小型で軽量の磁気式
エンコーダの製造に適した磁性部材の提供。 【解決手段】 基板と、該基板上に設けられた少なくと
も1 個の線形磁区とを備えてなり、該線形磁区が2以上
存在する場合にはそれらの線形磁区は間隔をおいて設け
られ、かつ一定方向に磁化されている、磁気式エンコー
ダ用磁性部材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気式エンコーダに用
いる磁性部材に関する。
【0002】
【従来の技術】エンコーダは回転モータ、リニアモータ
等の回転或いは直線運動量を検出するセンサの一種であ
る。このエンコーダにはセンサ部の検出方法による違い
から、光学式と磁気式とがある。磁気式エンコーダは光
学式エンコーダに比べ、センサ部にごみ、汚れ等が付着
しても感度に影響を及ぼさない点、発光のための電力を
消費しない点、発光素子や受光素子を配置する必要がな
いためエンコーダがコンパクトであるという点及び機械
的衝撃に強い点で有利である。この磁気式エンコーダに
は、ロータリーエンコーダとリニアエンコーダがある。
ロータリーエンコーダは別名シャフト型エンコーダとも
呼ばれ、回転軸の回転変位をディジタル量に変換するも
のである。従って、ロータリーエンコーダは、各種回転
モータ、自動車タイヤ、アクチュエータ、フロッピーデ
ィスクドライブ、マウス等の回転機構を有する装置の回
転数や回転角を検知するのに用いられている。そして、
リニアエンコーダは直線上の変位位置をデジタル量に変
換するものである。従って、リニアステッピングモータ
等のリニア駆動装置の位置検出センサとして用いられて
いる。
【0003】従来、磁気式ロータリーエンコーダとして
は、例えば、回転モータの回転軸を包囲するように、表
面にN極とS極とが交互に連続して表れるように着磁し
た円筒状磁性材料からなる多極磁石と、該多極磁石が回
転することにより交番する磁気を検出するホール素子や
MR素子とで構成されるエンコーダが知られている。ま
た、磁気式リニアエンコーダとしては、リニア駆動部に
取り付けられたテープ状の多極磁石と、リニア駆動部が
直線運動することにより交番する磁気を検出するホール
素子やMR素子とで構成されるエンコーダが知られてい
る。ところで、例えば、ロータリーエンコーダ用の多極
磁石は、図9に示すように円筒形の磁性部材10を一定
の角速度で回転させながら、この回転に同期させてコイ
ル9の電流を交番し、該磁性材料10の周面に多数のN
極及びS極を交互に着磁して製造している。しかし、こ
のような製造方法では、1回の着磁処理で1つ多極磁石
しか製造できないという欠点がある。また、交番する磁
気の検出解像度が高いエンコーダにするためには、着磁
幅が微細な多極磁石を用いる必要があるが、このような
多極磁石を製造するためには、微細なコイルに強磁界を
発生させることができる複雑な構造の着磁装置を用いな
ければならないという欠点がある。そして、この多極磁
石は、重いバルク磁石であるため、モータの回転或いは
直線運動エネルギをロスするという欠点がある。また、
バルク磁石を用いた多極磁石は大きいため、取り付け位
置が制限されたり、これを取り付けた装置が大きくなる
という欠点がある。また、ロータリーエンコーダに用い
る円筒形の多極磁石は、測定対象となるモータ等の回転
軸と多極磁石の回転軸とが一致するように配置する、所
謂軸合わせをしなければ、多極磁石の周面の磁気を正確
に検知できないという欠点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、着磁
のためにコイル電流を交番させなくてもよい、簡単な構
造の装置を用いて1回の着磁処理で短時間に一度に多数
製造することができ、また容易に微細な着磁パターンを
形成することができる磁性部材であって、小型で軽量の
磁気式エンコーダを製造するのに適した磁気式エンコー
ダ用磁性部材を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、従来の磁気
式エンコーダのように多極磁石の磁気の交番を検出する
のではなく、磁性部材の所定位置に離隔的に線形磁区を
設け、磁気検出素子と磁性部材との相対運動の結果素子
が検知する磁気強度が変化するようにすることにより、
上記課題を解決することができることを見出して本発明
に到達した。本発明は、基板と、該基板上に設けられた
少なくとも1 個の線形磁区とを備えてなり、該線形磁区
が2以上存在する場合にはそれらの線形磁区は間隔をお
いて設けられ、かつ一定方向に磁化されている、磁気式
エンコーダ用磁性部材を提供する。
【0006】
【発明の実施の形態】磁性部材 本発明の磁気式エンコーダ用磁性部材では、少なくとも
1つの線形磁区が基板上に配置されている。この線形磁
区は、ホール素子やMR素子等の磁気検出素子で該線形
磁区の磁気が検出可能なように着磁されている。
【0007】本発明の磁性部材(A) は、図1に示す例で
は、円形基板2と、該基板2の上にその中心から半径方
向に配置された1又は2以上の線形磁区1とからなる。
磁気検出素子は該磁性部材の中心を通る垂線を軸として
該磁性体に対して相対回転運動し、該相対回転運動に伴
う該磁性部材表面の磁気の変化を検知するように配置さ
れている。こうして組立てられるこのエンコーダはロー
タリーエンコーダとして適する。線形磁区は1以上であ
ればよいが、図1の例示のように放射状に複数配置して
よい。
【0008】別の実施態様では、磁性部材は、図2の例
に示されるように長尺な基板2と、該基板2の上にその
長手方向を横切る方向に配置され、かつその長手方向に
間隔をおいて配置された複数の線形磁区1とを有する。
この場合、磁気検出素子は該磁性部材に対し長手方向に
相対直線運動し、該相対直線運動に伴う該磁性部材表面
の磁気を検知するように配置される。このエンコーダは
長尺なテープないしはリボン状であり、リニアエンコー
ダとして適する。このようなテープ状の磁性部材は、平
面に沿って取り付けるだけでなく、曲面に沿って取り付
けてもよく、例えば円筒又は軸に巻回して用いてもよ
い。そのためには、基板、線形磁区を構成する磁性材料
は適度の可撓性を有することが好ましい。
【0009】線形磁区の形態も多様に可能である。例え
ば、図4、図5はそれぞれ別の例の長手方向断面図であ
る。これらの例のように線形磁区が複数存在し、各線形
磁区間が非磁性物質又は弱磁性物質(以下、非磁性物質
と略す)により隔てられていてもよい。あるいは、例え
ば、図2の斜視図及びそのA-A 断面図である図3に示す
例のように、線形磁区1が複数の凹凸からなる波形に成
形された磁性成形層4の凸条として形成され、凹溝によ
り隔てられていてもよい。
【0010】上の例では線形磁区の形態を長尺なテープ
状磁性部材を例に説明したが、前述した図1の例のよう
に円形磁性部材の場合も同様に凹溝に隔てられた凸条と
して線形磁区が形成されてもよい。基板上に設けられる
線形磁区の磁化方向は特に限定されず、基板面に対して
0度以上360度未満の範囲のいずれの方向でもよい。
製造上容易である点からは、例えば、基板面に垂直な方
向、及び基板面に平行な方向が好ましい。いずれの場合
でも、線形磁区が複数あるときはすべての線形磁区の磁
化方向が一定の同一方向を向いている。そのために、一
回の着磁処理で所望の磁性部材が得られる。
【0011】磁化方向が基板面に対して垂直な方向であ
る線形磁区は、例えばN極又はS極のいずれか一方のみ
が基板の外側表面に現れる。具体的には、図6に示すよ
うに基板2の線形磁区1が設けられた表面と同じ側の面
(即ち、外側表面)にN極が現れる。このとき線形磁区
1の基板2と接する側の表面(即ち、裏側表面)にS極
が現れる。別の例では、逆に外側表面にS極のみが現
れ、この場合裏側表面にはN極が現れる。
【0012】磁化方向が基板面に対して水平な方向であ
る線形磁区としては、例えば図7において磁化方向が線
形磁区1の長手方向eと一致したものや、図8に示す例
のように磁化方向が線形磁区1の長手方向に直交する方
向(磁性部材の長手方向f)と一致したもの等が挙げら
れる。図7の例では線形磁区1の長手方向の一端にN極
が現れ、他端にS極が現れる。また図8の例では線形磁
区1の長手方向に沿った一方の側部にN極が現れ、他方
の側部にS極が現れる。
【0013】前記の磁性部材に設けられた磁区は線形で
あり、微細な細線状のものからある程度太い棒状の形態
まで含む。例えば、図1に示すような棒状体で構成され
るもの(但し、棒状体の直径方向の断面の形状に制限は
なく、例えば三角形、矩形、その他の多角形、半円形等
のものが挙げられる);図2及び図3に示すような複数
の凹凸からなる波形の凸部で構成されるもの等が挙げら
れる。また、線形磁区の幅、長さ及び高さ(又は厚さ)
は用いるエンコーダの大きさにより適宜に設計でき特に
制限はないが、図1に示すような棒状体で構成されるも
のは、通常、幅(m)10μm〜5mm、長さ1〜10
0mm、厚さ50μm〜3mm程度でよい。また、棒状
体を長尺な基板の長手方向に間隔をおいて配列する場合
のピッチは0.1〜10mm程度でよく、磁性部材の長
さは特に制限はない。図2及び図3に示すような波形の
凸部で構成されるものは、通常、ピッチは0.1〜10
mm、幅は1〜100mm、高さ又は厚さは0.05〜
3mm程度でよく、配列の長さは特に制限はない。
【0014】基板上に配置する線形磁区の数は、エンコ
ーダの規模及び検出解像度により一概に決定できない
が、円形部材の場合、通常一面当たり、1〜1000個
程度でよく、長尺な部材の場合、通常1cm当たり1〜
100個程度でよい。
【0015】磁性部材に用いる基板の材料としては、反
磁性体のような非磁性物質のみならず、強磁性体以外の
いわゆる弱磁性物質(常磁性体など)を用いることがで
きる。具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレー
ト(PET) 、ポリエチレンナフタレート(PEN) 、ナイロ
ン、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン(PE)、
ポリプロピレン(PP)、これらの混合物等の樹脂フィル
ム;セルロースを原料とした再生高分子フィルムや半合
成高分子フィルム;紙;アルミニウム;銅;オーステナ
イト組織を示す非磁性鋼(例えば高マンガン系、高ニッ
ケル系及びこれらの中間タイプのもの等)などのシート
状又は薄板状のものが挙げられる。基板の厚さは特に制
限はなく、通常、0.05〜1mm程度でよい。
【0016】基板と線形磁区のほかに、必要に応じて他
の層を設けてもよい。線形磁区を保護するために、例え
ば図3及び図4に示すように、組成物層4の凸部や棒状
体等からなる線形磁区1を被覆するカバー層3を設ける
ことができる。カバー層の材料としては、前記の基板と
同様のものが挙げられる。カバー層の厚さは、通常10
0μm 以下、後に凹凸パターンを形成する組成物層を被
覆するものでは、50μm 以下が好ましい。また、組成
物層をプレス成形等により波形にする磁性部材には、例
えば、図3に示すように基板2と組成物層4の間、組成
物層4と前記のカバー層3の間又はその両方に、クッシ
ョン層5を設けることができる。このクッション層は、
前記の組成物層に凹凸パターンを形成するのを容易にす
る。クッション層は、熱可塑性樹脂を塗設して形成する
ことができる。
【0017】クッション層の形成に使用される熱可塑性
樹脂としては、例えば、天然ゴム;ポリイソブチレン、
ポリイソプレン、イソプレン−イソブチレンゴム(ブチ
ルゴム)、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−ブタ
ジエン−スチレンゴム(SBS)、スチレン−イソプレン−
スチレンゴム(SIS) 、スチレン−エチレン−ブチレン−
スチレンゴム(SEBS)、エチレン−プロピレンターポリマ
ー(EPT又はEPDM) 等の合成ゴム;ポリ(メタ)アクリル
酸のアルキルエステル等のアクリル系樹脂のようなガラ
ス転移温度の低いポリマー;ポリ塩化ビニル(PVC) 、エ
チレン−酢酸ビニル共重合体(EVA) 、その他の熱可塑性
樹脂などが挙げられる。特に、組成物層の表面をプレス
加工して複数の凹凸を形成する方法では、プレス加工温
度における動的剪断弾性率(以下、G’値という)が5
×107 dyne/cm2以下、好ましくは1×107 dyne/cm2
以下のバインダを用いることが望ましい。なお、G’値
が高すぎると組成物層に正確な凹凸パターンを形成する
ことが困難になる場合がある。また、前記のG’値を下
げるために、熱可塑性樹脂にC5、C9系等の合成樹
脂;ロジンエステル、テルペン樹脂、テルペンフェノー
ル樹脂等の天然樹脂をベースとした粘着付与樹脂;ジブ
チルフタレート(DBP) 、ジ−2−エチル−ヘキシルフタ
レート(DOP) 、流動パラフィン、トリブチルホスフェー
ト、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート等の液状可
塑剤などを添加してもよい。これらのG’値低下剤は、
ポリ塩化ビニル(PVC) 、エチレン−酢酸ビニル共重合体
(EVA) を用いる場合により効果的である。また、熱可塑
性樹脂には、前記のG’値低下剤以外に、凹凸パターン
の形成後の磁性部材の耐候性及び耐熱性を向上させるた
めに、公知の酸化防止剤、老化防止剤を添加することも
できる。クッション層の厚さは、10〜1000μm程
度でよい。
【0018】磁性部材のいずれか一方の面には、図4、
図5のそれぞれの例のように、粘着層を設けることがで
きる。粘着層は基板裏面(線形磁区を有しない面)に形
成しても(図4参照)、線形磁区を有する面に形成して
もよい(図5参照)。なお、図5に示すものの粘着層6
は各線形磁区1を隔てる役割もある。粘着層は、磁性部
材の表面に粘着剤組成物を塗布することにより形成する
ことができる。前記の粘着剤組成物としては公知のもの
でよく、例えば感圧接着剤として用いられる天然ゴム系
の粘着組成物、合成ゴム系の粘着組成物、アクリル系の
粘着組成物等が挙げられる。粘着層の厚さは、特に制限
はなく、通常、10〜100μm程度でよい。粘着層の
表面は剥離紙で被覆してもよい。このような粘着層を有
する磁性部材は、回転モータの回転部位又はリニアモー
タの直線駆動部位に該粘着層を介して容易に取り付ける
ことができる。
【0019】線形磁区1となる前記の棒状体(図1参
照)は、磁性粉を含むバインダ組成物で構成する。ま
た、前記の複数の凹凸からなる波形の凸部(図2及び図
3参照)は、基板上に形成した磁性粉及びバインダを含
む組成物層を例えばプレス成形等により波形にして構成
する。
【0020】磁気式エンコーダ エンコーダは、本発明の磁性部材と、該磁性部材と相対
運動をし、その運動に伴う該磁性部材表面の磁気の変化
を検知する磁気検出素子とで構成される。前記の磁気検
出素子としては、例えば、ホール素子、MR素子、コイ
ル等が挙げられる。円形の磁性部材を備えたエンコーダ
は、例えば、図1の円形磁性部材を回転数等を測定すべ
きモータ等の回転軸に、該磁性部材の中心をとおる垂線
が一致するように配置し、該回転軸の回転と磁性部材の
回転とを同期させる。このとき本発明の磁性部材は、該
回転軸と該垂線とが平行であることを条件に、該回転軸
と垂線とが完全に一致していなくても該磁性部材表面の
磁気を正確に検出することができる。磁気検出素子は、
磁性部材の線形磁区の磁気を検知可能な位置に配置され
る。具体的には、磁気検出素子は、磁性部材と平行な仮
想面上の位置であり、かつ線形磁区の磁気の影響を受け
得る距離だけ磁性部材から離れ該磁性部材の回転を阻害
しない位置に配置する。このようなエンコーダは、磁性
部材がモータ等の回転軸と同期して回転する際に、磁気
検出素子は、次々に通過する複数の線形磁区の磁気のそ
れぞれを検知する。即ち、磁気検出素子への至近距離を
線形磁区が通過する時、磁気検出素子は強い磁気を検知
し、該至近距離を2つ隣り合う線形磁区の中央ラインが
通過する時には、検出素子が検知する磁気は最も弱くな
るか、あるいはその磁気強度が検出限界未満であれば、
磁気を検知しないことになる。線形磁区を離隔している
部分では磁気を検知しないか弱い。磁気検出素子は、こ
のような検知信号をCPU等の演算装置に発信する。演
算装置9は磁気の強弱を1又は0のデジタル信号として
演算データを出力する。
【0021】また磁性部材がテープ状である場合も原理
は同様である。磁気検出素子を、テープ状の磁性部材の
長手方向に直線運動する該磁性部材表面の磁気強度の変
化を検知するように配置する。テープ状の磁性部材を直
線変位等を測定すべきリニアモータ等の駆動部に、該磁
性部材の長手方向が駆動部の直線運動方向と一致するよ
うに配置する。磁性部材がリニアモータ等の駆動部と同
期して直線運動する際に、磁気検出素子は、磁気検出素
子を通過する複数の線形磁区1の磁気のそれぞれを検知
する。そして、前記の円形の磁性部材を備えたエンコー
ダと同様にして、磁気検出素子の検知信号に基づいて演
算データを得ることができる。
【0022】磁性部材の製造 (I)線形磁区が複数の凹凸からなる波形の凸部である
磁性部材、具体的には、例えば図2、3に示すような磁
性部材は、基板上に磁性粉を含有するバインダー組成物
を展延して組成物層を形成する工程;該組成物層の表面
を1又は2以上の凸条を有する状態に成形し、その際に
2以上の凸条を形成する場合には隣接する凸条間が凹溝
により隔てられるようにする工程、得られた成形樹脂組
成物層を硬化する工程;磁場中で該成形硬化樹脂層を着
磁処理して前記凸条を線形磁区に転換し磁性部材を得る
工程からなる方法により得られる。
【0023】i)磁性粉及びバインダを含む組成物(以
下、組成物という)の調製 本発明の製造方法に用いる磁性粉としては、例えば、S
mCo5 系磁性粉、Sm2 Co17系磁性粉、SmFeN
系磁性粉、NdFeB系磁性粉、フェライト系磁性粉、
アルニコ系磁性粉等が挙げられる。用いるバインダとし
ては、前記のクッション層に用いる熱可塑性樹脂と同様
のものや熱硬化性樹脂を用いることができる。またバイ
ンダのG’値を下げるために、前記のG’値低下剤を熱
可塑性樹脂と共に用いることもできる。また、プレス加
工後は凹凸パターンの形状が保たれることが好ましいの
で、バインダに、例えば、イソシアネート化合物、エポ
キシ化合物、メラミン化合物、多価金属塩などの架橋剤
を添加してもよく、また公知の紫外線、電子線等の電離
放射線硬化性熱可塑性樹脂をバインダとして用いてもよ
い。熱硬化性樹脂としては、液状のものが好ましいが、
粉末にして磁性粉と混合する場合には特に制限はなく、
例えばフェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ポ
リエステル樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。これら
は硬化剤と共に使用することができる。組成物には、硬
化後の耐候性及び耐熱性を向上させるために、さらに公
知の酸化防止剤、老化防止剤を添加することもできる。
【0024】磁性粉とバインダの配合比は、バインダ1
重量部に対して磁性粉が4重量部以上、好ましくは6重
量部以上である。組成物は、前記の磁性粉、バインダ等
の成分を、場合によっては有機溶媒とともに混合して調
製する。混合方法としては、特に制限はないが、例えば
有機溶媒を用いる場合にはボールミルを、また有機溶媒
を用いない場合はミキシングロールやバンバリーミキサ
ーを用いる方法が挙げられる。
【0025】ii)組成物層の形成 次に、基板上に前記の組成物を展延して組成物層を形成
する。組成物層を形成する方法としては、組成物に有機
溶媒を含む場合には基板上にロールコーターやナイフコ
ーター等の公知の塗設方式を用いて展延する方法でよ
い。また、組成物に有機溶媒を含まない場合には、前記
のように基板上に組成物をカレンダーロールを用いて展
延する方法でよい。また、組成物層は基板上にクッショ
ン層を介して形成してもよい。
【0026】iii)凹凸波形の成形及び着磁 次に、組成物層の表面を複数の凹凸からなる波形に成形
した成形体を得、磁場中で該成形体に着磁して磁性部材
を得る。波形は、組成物層を、カバー層、クッション層
等を介して機械的に凹凸型をプレス成形して得る。ま
た、テープ状の磁性部材の場合には、ギヤー状のロール
間に通すことによっても凹凸パターンを形成することが
できる。プレスは常温でも加熱状態で行ってもよい。着
磁する際の磁場は通常の磁場でよく、コイル電流を交番
する必要もない。着磁は、線形磁区に付与しようとする
磁化の方向と磁場の磁力線の方向が一致するように前記
の成形体を磁場中に配置して行う。具体的には、例えば
成形体の凹凸表面側にN極が現れたもの(この場合、成
形体の基板と接する側にはS極が現れている)では、基
板面に対し磁力線が垂直となるように成形体を磁場中に
配置すればよい。また、図2に示すように、長手方向に
沿った一方の側部にN極が現れ、他方の側部にS極が現
れたものでは、磁力線と線形磁区1の中心線aの方向が
一致するように成形体を磁場中に配置すればよい。また
着磁を行うにあたり、複数の成形体を各基板面が平行と
なるように重ね、1回の着磁処理で複数の磁性部材を得
ることができる。
【0027】(II)線形磁区が図1に示すような棒状体
である磁性部材は、基板上の所定位置に磁性粉を含有す
るバインダー組成物を線状に1本又は2本以上に塗布
し、その際に2本以上の線状体を形成した場合にはそれ
らが間隔をおいて配列するようにする工程;塗布した線
状組成物を硬化する工程;磁場中で前記の硬化した線状
組成物に一方向に着磁処理して線形磁区とし磁性部材を
得る工程からなる方法により製造することができる。
【0028】組成物の塗布方法としては、基板上に前記
の配置パターン、具体的には、例えば棒状体を放射状に
或いは平行に並べて形成できる方法であれば特に制限は
なく、例えば、公知のスクリーン印刷による方法、スク
レイプ法があげられる。好ましい塗布方法の一つとし
て、線形磁区のパターンが予め穿たれた非磁性又は弱磁
性の物質からなる層を基板上に接着し、ついで該層の上
から基板上に磁性粉を含有するバインダー組成物を前記
パターンを介して塗布する方法である。このようにして
基板上に複数の棒状体を所定のパターンで配置した後、
これを加熱し固化する。加熱は80〜160℃程度、加
熱時間は10秒間〜10分間程度でよい。そして、必要
に応じ棒状体をカバー層で被覆する(図4参照)。着磁
は、前記の(I)と同様にして行うことができる。
【0029】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的
に説明する。実施例1 分子量100万のポリイソブチレン(20℃のG’値:
3×106dyne/cm2 )100重量部、磁性粉(SmCo
5 系磁性粉)800重量部及びトルエン1000重量部
をホモミキサーを用いて均一に攪拌混合した。得られ組
成物を剥離紙上にロールコーターを用いて均一に塗布し
た後、120℃で3分間乾燥し、剥離紙上に厚さ100
μmの組成物層を形成した。これとは別に厚さ180μ
mのポリエステルフィルム上にクッション層として基材
レス両面粘着テープ[日東電工社製No.591:アクリル系
樹脂製(20℃のG’値:0.5×107dyne/cm2 )]
を貼着したシートを作製した。次に、このシートの粘着
面に前記の剥離紙上の組成物層を転写した後、この組成
物層の上を前記と同様の基材レス両面粘着テープを用い
て被覆し、さらにこの基材レス両面粘着テープの上を厚
さ25μmのポリエステルフィルムで被覆し、凹凸形成前
の積層体を作製した。次に、このシート状の積層体をピ
ッチ間隔が500μm、稜の長さが50mmのギヤー状
ロールとプレーンロールとの間を20℃雰囲気下で通過
させ、波形凹凸を有する成形体を得た。次に、該成形体
を電磁石の磁極間に該成形体の凸部が延びる方向と、磁
力線の方向が一致するように配置し、電磁石に大電流を
一瞬流して15kOeの磁界で該成形体にパルス着磁し
てシート状の磁性部材を得た。このようにして得られた
磁性部材を図2(厚さ方向の寸法を誇張)に示すような
テープ状に裁断したところ(c:20mm、h:200
mm)、長手方向に沿った一方の側部にN極が現れ、他
方の側部にS極が現れた磁性部材が得られた。このよう
にして得られた磁性部材と磁気検出素子(MR素子)と
を組み合わせたところ、小型軽量のリニアエンコーダを
製造することができた。
【0030】実施例2 2枚の厚さ350μmポリエステルフィルムを両面粘着
テープ[日東電工社製No.500(厚さ:160μm)]を
用いて貼付し、厚さが860μmの複合フィルムを作製
した。この複合フィルムにトムソン打ち抜き機を用い
て、図1に示す棒状体の形成パターンを打ち抜いた。次
に、この複合フィルムの片面にポリエステル基材粘着テ
ープ(日東電工社製No.31B)を貼付し、該フィルムの反
対面に実施例1と同様の組成物を塗布し、ナイフコータ
ーで形成パターンを打ち抜いた穴に組成物を充填しなが
ら形成パターン以外に付着した組成物を除去した。次
に、組成物を充填した複合フィルムを120℃で3分間
乾燥し、トルエンを揮散させた後、さらに同様に組成物
を塗布・乾燥した。そして、複合フィルムの組成物を充
填した面を前記と同様のポリエステル基材粘着テープで
被覆した後、図1のように複合フィルムをドーナツ状に
打ち抜いて積層体を得た。次に、該積層体を電磁石の磁
極間に挟み、電磁石に大電流を一瞬流して15kOeの
磁界で該積層体にパルス着磁し、線形磁区の外側表面
(基板から遠い側の表面)にN極のみが現れた磁性部材
を得た。なお、磁性部材の片面にアクリル系の粘着組成
物を塗布し、粘着層を形成した。このようにして得られ
た磁性部材と磁気検出素子(MR素子)とを組み合わせ
たところ、小型軽量のロータリーエンコーダを製造する
ことができた。
【0031】実施例3 実施例1と同様にして、波形凹凸を有する成形体を得
た。次に、該成形体を電磁石の磁極間にポリエステルフ
ィルムの平面側(プレーンロール側)の面が磁力線に対
し垂直となるように挟み、電磁石に大電流を一瞬流して
15kOeの磁界で該成形体にパルス着磁し、線形磁区
の外側表面(基板から遠い側の表面)にN極のみが現れ
たシート状の磁性部材を得た。このようにして得られた
磁性部材を実施例1と同様にしてテープ状に裁断した
(c:20mm、h:200mm)。このようにして得
られた磁性部材と磁気検出素子(MR素子)とを組み合
わせたところ、小型軽量のリニアエンコーダを製造する
ことができた。
【0032】
【発明の効果】本発明の磁気式エンコーダ用磁性部材
は、着磁のためにコイル電流を交番させる必要がなく、
簡単な構造の装置を用いて1回の着磁処理で複数製造す
ることができる。また容易に微細な着磁パターンを形成
することができ、小型で軽量の磁気式エンコーダを得る
ことができる。さらに、例えば、モータ等の回転軸の回
転運動を測定する場合、回転軸との所謂軸合わせを正確
に行わなくても回転運動の測定に必要な磁性部材表面の
磁気強度の変化を十分に磁気検出素子に検知させること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁性部材を例示する平面図である。
【図2】本発明の磁性部材を例示する斜視図である。
【図3】本発明の磁性部材を例示する断面図である。
【図4】本発明の磁性部材を例示する断面図である。
【図5】本発明の磁性部材を例示する断面図である。
【図6】本発明に用いる線形磁区の極の配置を示す概念
図である。
【図7】本発明の磁性部材を例示する斜視図である。
【図8】本発明の磁性部材を例示する斜視図である。
【図9】多極磁石の着磁方法を示す概念図である。
【符号の説明】
1・・・磁区 2・・・基板 3・・・カバー層 4・・・組成物層 5・・・クッション層 6・・・粘着層

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板と、該基板上に設けられた少なくと
    も1 個の線形磁区とを備えてなり、該線形磁区が2以上
    存在する場合にはそれらの線形磁区は間隔をおいて設け
    られ、かつ一定方向に磁化されている、磁気式エンコー
    ダ用磁性部材。
  2. 【請求項2】 着磁された線形磁区の磁化方向が基板面
    に対して垂直な方向である請求項1に記載の磁気式エン
    コーダ用磁性部材。
  3. 【請求項3】 着磁された線形磁区の磁化方向が基板面
    に対して水平な方向である請求項1に記載の磁気式エン
    コーダ用磁性部材。
  4. 【請求項4】 いずれか一方の面に粘着層を備えた、請
    求項1〜3のいずれかに記載の磁気式エンコーダ用磁性
    部材。
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