JPH0914486A - 電磁比例制御弁の駆動制御装置及びその駆動制御方法 - Google Patents

電磁比例制御弁の駆動制御装置及びその駆動制御方法

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JPH0914486A
JPH0914486A JP16386495A JP16386495A JPH0914486A JP H0914486 A JPH0914486 A JP H0914486A JP 16386495 A JP16386495 A JP 16386495A JP 16386495 A JP16386495 A JP 16386495A JP H0914486 A JPH0914486 A JP H0914486A
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Kenpei Yamaji
憲平 山路
Shoji Nakamura
昭二 中村
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Abstract

(57)【要約】 【目的】制御性、応答性、線形性の良好なPMW方式の
電磁比例制御弁の駆動制御装置と制御方法を提供するこ
と 【構成】電磁比例制御弁の弁体2を駆動する比例ソレノ
イド1の電源回路3に設けたスイッチング素子5の開閉
を電流指令値が入力するPWM方式のアンプ6からのP
WM信号で制御する制御装置に於いて、該アンプのPW
M基本周波数を該ソレノイドが応答しずらい周波数へ高
く設定し、該ソレノイドの前段をコイルを介して該スイ
ッチング素子へ接続すると共にコンデンサを介して接地
し、該コイル及び該コンデンサを該アンプのPWM基本
周波数で共振する値のものとした 【効果】電磁比例制御弁のソレノイドの発熱が少なく、
電流指令の変化に対する応答性と低電流時に於ける応答
性を改善できる

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、油圧回路に使用される
圧力電磁比例制御弁、方向・流量電磁比例制御弁等の電
気信号により作動制御された電磁比例制御弁の駆動制御
装置とその駆動制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、油圧回路に於いて圧力、方向、流
量を制御する電磁比例制御弁は公知であり、例えば方向
・圧力電磁比例制御弁は、図1に示すように、弁筐a内
に設けたスプール形の弁体bを比例ソレノイドcにより
移動させる構成を備えている。該比例ソレノイドcは該
弁体bの一端側をその他端側に設けたばねdに抗して所
定の位置へ移動して該制御弁を流れる流体の方向と圧力
を制御し、その移動位置は該比例ソレノイドcを制御す
る電磁比例制御弁用のアンプeからの電気信号により決
定される。該弁体bは、その移動時に摩擦や流体固着現
象などが発生すると移動特性が変わる不都合があるの
で、所期の移動特性を維持するためにアンプeにより比
例ソレノイドcに流れる電流に波形を持たせ、該比例ソ
レノイドcの磁力を微細に変化させることで弁体bに比
較的高い微細振動であるディザを与えることが行われて
いる。
【0003】このようなディザを与えるアンプeの種類
としては、図2に示した基本構成のPWM方式のアンプ
1 と、図4に示した基本構成のドロッパー方式のアン
プe2 とが公知である。PWM方式のアンプe1 は、該
比例ソレノイドcの前段の電源回路fに設けたFETト
ランジスタ等のスイッチング素子gをON-OFF動作(スイ
ッチング動作)させることにより指令値に対応した電流
を該比例ソレノイドcに電源hから流すもので、スイッ
チング素子gはON-OFF動作で制御されているから、後述
するドロッパー方式のトランジスタに比べ発熱が少な
く、熱効率がよい。該アンプe1 はPWM基本波発振回
路iを備えており、図3に示すように、指令電圧波形j
とPWM基本波発振回路iからのPWM基本波波形kと
を合成したPWMパルス波形lを該スイッチング素子g
に入力させ、比例ソレノイドcに波形のソレノイド電流
形mの電流を流し、弁体bにディザを与えている。該P
WM基本波波形kのパルス幅を変更すれば、比例ソレノ
イドcの振動幅も変更できる。tは該比例ソレノイドc
の前段に設けられたサージ電圧を回避するためのフライ
ホイールダイオードである。
【0004】一方、ドロッパー方式のアンプe2 は、比
例ソレノイドcに指令値に対応したソレノイド電流が常
に流れるように、電源電圧をソレノイド電流を流すため
に必要な電圧になるまでトランジスタnで電圧降下させ
る制御を行うもので、トランジスタnは、動作領域で使
用され、ソレノイド電流(コレクタ電流)が大きく、電
圧降下(コレクタ−エミッタ間電圧)も大きいので、P
WM方式のスイッチング素子gに比べて発熱量が大き
い。したがって、この熱を放熱させるための大きな放熱
板が必要となる。このドロッパー方式では、常に指令値
に対応したソレノイド電流を流しているため、指令値が
一定であってもソレノイド電流が脈動するPWM方式の
ものに比べ、比例ソレノイドの応答は電流値に関係なく
安定しており、従って電磁比例制御弁の制御性も安定し
ている利点がある。このアンプe2は、弁体bの固着防
止のためにディザ発振回路oを備えて、図5に示すよう
に、電圧の指令波形pとディザ発振回路oからのディザ
信号波形qとによりトランジスタnに図示のようなベー
ス電流波形rの電流を流し、これと対応したソレノイド
電流波形sの電流を比例ソレノイドcに流す。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】比例ソレノイドは図6
のような等価回路で表され、比例ソレノイドに電圧を加
えた場合、ソレノイドを流れる電流は、L、R1 を流れ
るI1 と、R2 を流れるI2 があり、比例ソレノイドの
吸引力は、L、R1 を流れる電流I1 は吸引力に変換さ
れずに熱となってソレノイドの温度を上昇させる。
【0006】一般に、比例ソレノイドcは、ソレノイド
電流値に比例した吸引力が得られる特性のものである
が、ソレノイド電流値が小さい領域では該電流値に吸引
力が比例せず、図7に示すような特性となる。そのた
め、同じ振幅のディザ波形が重畳した電流を入力した場
合でも、平均電流の大きさによりディザ波形による吸引
力の変化量は変化してしまう。特に、平均電流値が小さ
く吸引力が電流値に比例しない領域では、ディザ波形に
よる吸引力の変化量が入力に比例せず減衰してしまうの
で、ディザ効果が少なくなってしまう欠点がある。
【0007】また、電流指令値に関係なくディザ振幅が
一定の場合には、電流指令値がディザ振幅ピーク値の1
/2となるような時は、図8のようにディザ波形のピー
クが欠けたソレノイド電流が流れるため、ディザの効果
が少なくなる欠点がある。
【0008】PWM方式のアンプe1 では、第1の問題
点として、PWM制御の基本波の周期を該電磁比例制御
弁のディザ周期に設定すると、該比例制御弁の動作特性
が変化してしまう不都合がある。そのため、電磁比例制
御弁の種類により最適なディザ効果が得られるようなP
WM基本波の周期を設定する必要があり、使用上の不便
がある。また、PWM方式では、ソレノイド電流値によ
りPWMパルスのデューティ比(ON-OFF時間の比)が変
化するため、パルスのパワースペクトルが図9のように
変化し、ディザとして有効に働くPWM基本周期の成分
の大きさが変化する。従って、ソレノイド電流の大きさ
によりディザ効果が変化する特性がある。特に、該デュ
ーティ比が小さいとき、すなわちソレノイド電流値が小
さい場合は、PWM基本周期の成分が小さくなるので、
ディザ効果が少なくなる。
【0009】PWM方式のアンプの第2の問題点とし
て、電子計算機を用いてソレノイド電流をPWM制御す
る場合、ソレノイド電流値をフィードバック信号として
用いるが、ソレノイド電流にPWM周期での脈動がある
と正確なソレノイド電流値をサンプリングすることが困
難である。従って、フィードバック信号とするソレノイ
ド電流値を得るには、PWM周期での脈動のあるソレノ
イド電流を検出し、この脈動を何等かの方法で平均化す
る必要がある。その方法には、ソレノイド電流を電流検
出用抵抗を用いて電圧信号とし、この信号を (1) アナログフィルタを用いて平滑化し、この信号をA
D変換するなどして平均電流値を求める。
【0010】(2) V−F(電圧−周波数)変換し、変換
されたパルス信号をカウントし、PWM周期1周期での
平均値を計算し、この値を平均電流値とする。
【0011】(3) PWM周期1周期内で何回かのAD変
換を行い、その平均値を計算し、この値を平均電流値と
する。
【0012】などがあるが、電流検出回路を構成する部
品点数が増加したり、処理が複雑となるなどの問題があ
る。特に、V−F変換方式やPWM1周期内で数回のA
D変換を行いソレノイド電流の平均値を求める方法で
は、PWM周波数を高周波化する場合、電子計算機など
の処理能力に問題が生じる不都合がある。
【0013】さらに、第3の問題点として、PWM方式
では電流指令が変化した場合、実際にソレノイド電流を
制御するPWM指令に電流指令の変化が反映されるまで
には、最大でPWM周期1周期分の不感時間が生じる
(図10参照)。PWM周波数をディザ周波数としてい
る場合、その周波数は数10Hzから数100Hz程度であ
るため、電流指令が変化してからPWM指令が変化する
までには、最大で数mSecから数10mSecの不感時間があ
り、しかも、ソレノイド電流が変化後の電流指令値に対
応した値となるまでに遅れがある。そのため、電磁比例
弁の応答速度は、PWM周波数で制限されることとな
る。
【0014】PWM方式のアンプの第4の問題点とし
て、電磁比例弁の応答速度を改善するために、比例ソレ
ノイドに加える電源電圧を高くする方法があるが、この
方法では、比例ソレノイドにはPWMパルスに対応した
パルス状の高電圧の電源電圧が直接印加されることにな
り、図6に示すソレノイドの等価回路のR2 を流れる電
流I2 の値が低電圧で駆動する場合に比べ大きくなる。
従って、R2 による発熱量が大きくなりソレノイドの温
度上昇が早くなる。また、図11に示すように同電流指
令値に対応したソレノイド電流(I1 、I2 )を流す場
合でも、電源電圧が低いとき(V1 )に比べ電源電圧が
高い場合(V2 )は、PWMパルスのデューティ比は小
さくなり、短時間で大きな電流変化が起こるため、ソレ
ノイド電流の脈動が大きくなる。さらに、電流指令値を
変化させた場合でも、ソレノイドを流れる電流I1
L、R1 の特性により指令に対応した電流値となるまで
時間の遅れがあり、指令変化に対応した吸引力が得られ
るまで時間がかかるため、比例弁の応答性は低電圧で駆
動する場合に比べてあまり向上しない。
【0015】また、ドロッパー方式のアンプe2 は、上
記のように大きな放熱板が必要であり、アンプの外形が
大きくなる不都合がある。
【0016】またこれらのいずれの方式も、指令値を変
化させてソレノイド電流を小さくする場合、該ソレノイ
ドcに蓄積されたエネルギーを放出するのにフライホイ
ールダイオードtを使用しているので、図12のよう
に、ソレノイド電流の減少率の変化は、比例ソレノイド
cとフライホイールダイオードtで構成される回路の抵
抗値で制限される。従って、比例ソレノイドcの応答性
もこの特性で決まってしまい、応答性の設定の自由度が
ない欠点がある。該比例制御弁の弁体bの固着防止のた
めにディザを与える必要があるが、そのレベルは、一度
設定されると電流値が変化しても一定である。しかし、
ディザレベルが一定であっても、図13に示すように、
ディザ効果はソレノイド電流値の大きさにより異なり、
特に、PWM方式の場合、ソレノイド電流値が小さいと
きは、パルスのデューティ比も小さいので、ディザ効果
が少なくなる欠点がある。更に、比例ソレノイドcは、
図14のように、電圧を加えても瞬時には電流が流れ出
さない特性があり、電流指令に比例したソレノイド電流
値となるまでには時間の遅れがある。また、ソレノイド
電流が流れ、吸引力が発生し弁体bが動くと、該比例ソ
レノイドcには弁体bの動きを妨げるような逆起電力が
発生する。この逆起電力の発生のために電流の応答遅れ
が更に大きくなり、該比例制御弁の応答性が悪くなる。
また該比例ソレノイドcの特性として、図15に示すよ
うに、温度変化により抵抗値が変化する特性がある。P
WM方式の場合、同じソレノイド電流値であっても抵抗
が変化すると、PWMのパルス幅(デューティ比)が変
化するが、このパルス幅の変化は、抵抗値の変化以外の
幾つかの外乱要因を含んでいるので、すべて抵抗変化に
よるものとは考えることができない。従って、PWMパ
ルス幅の変化を補償するには、抵抗変化のみならず各外
乱要因ごとの対応をする必要があり、こうした対応は実
際は困難で、該比例制御弁の制御性を改善することがで
きなかった。
【0017】本発明の目的は、電磁比例制御弁の制御性
の良好なPMW方式の駆動制御装置と制御方法を提供す
ることにあり、本発明の他の目的は、比例ソレノイドを
流れる電流が大小しても有効なディザが得られるPMW
方式の駆動制御装置と制御方法を提供することにあり、
本発明の更に他の目的は、電流指令値が小さい場合でも
ディザ波形が欠けずに有効なディザ強度が得られるPM
W方式の駆動制御装置を提供することにある。本発明の
他の目的は、指令パルスのデューティ比が小さいときで
も該制御弁の比例ソレノイドに流れる電流の制御性を改
善し、該比例ソレノイドに流れる電流を減少させた場合
のソレノイド電流の応答性が早いPWM方式の駆動制御
装置を提供することにあり、本発明の他の目的は、ソレ
ノイド電流値が変化しても一定のディザ効果が得られる
制御方法を提供すること、該比例ソレノイドに発生する
逆起電力による応答遅れがなく、温度変化による比例ソ
レノイドの特性変化を補償し、弁体の位置を推定して該
比例ソレノイドの応答性、安定性、線形性のよい制御方
法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明では、電磁比例制
御弁の弁体を駆動する比例ソレノイドの電源回路に設け
たスイッチング素子の開閉を電流指令値が入力するPW
M方式のアンプからのPWM信号で制御する制御装置に
於いて、該アンプのPWM基本周波数を該比例ソレノイ
ドが応答しずらい周波数へ高く設定し、該比例ソレノイ
ドの前段をコイルを介して該スイッチング素子へ接続す
ると共にコンデンサを介して接地し、該コイル及び該コ
ンデンサを該アンプのPWM基本周波数で共振する値の
ものとしたことにより、電磁比例制御弁の比例ソレノイ
ドに脈動の少ない電圧を印加でき該ソレノイドを流れる
電流が脈動の少ない安定した駆動制御装置が得られる。
該比例ソレノイドの接地した後段に信号の入力で抵抗を
増大して電流を早く減少させる電流ブレーキ用素子を介
在させると共に、該電流ブレーキ用素子に該アンプへ入
力する電流指令値が該比例ソレノイドを流れる電流より
も小さい間は該電流ブレーキ用素子に信号を与える電流
ブレーキ用素子駆動回路を接続したことにより、該比例
ソレノイドを流れる電流を減少させたときの応答性を改
善する目的が達成される。
【0019】また、該アンプのPWM基本周波数を該比
例ソレノイドの応答しずらい高い周波数に設定し且つ該
アンプに該比例ソレノイドを流れる電流値に対する最適
な大きさと周期のディザの特性データを記憶させた記憶
素子を接続し、該電流指令値の入力に伴ない電子計算機
により該ソレノイドに該電流指令値に対応した電流が流
れるときの最適のディザ特性データを該記憶素子から読
み込み、このデータと該電流指令値を加算した信号をも
とに該ソレノイドの電流を制御するためのPWM信号を
計算し、この信号で該スイッチング素子を制御すること
により該弁体にディザを与える方法により、該比例ソレ
ノイドを流れる電流が大小しても有効なディザを得る目
的と該比例ソレノイドを流れる電流値により変化せずに
弁体に一定のディザ作動を行なわせることの目的が達成
される。また、記憶素子に該弁体の移動速度と逆起電力
との特性データを記憶させて用意し、電子計算機により
該アンプに入力する電流指令値が変化するとその変化に
対応した該比例ソレノイドのモデル的電流値を計算する
と共にこのモデル的電流値と実際に流れる該比例ソレノ
イドの電流値とを比較して該弁体の移動に伴う逆起電力
の大きさを計算し、この計算による逆起電力と前記特性
データとで該弁体の移動速度を推定し、この推定結果に
基づき該アンプから該スイッチング素子へのPWM信号
を調節して該弁体の移動速度を制御する方法により、応
答を妨げる力が減少し、該弁体に応答性と安定性を持た
せる目的が達成される。更に、記憶素子に該比例ソレノ
イドを流れる電流値をパラメータとした該弁体の移動距
離に対する該ソレノイドの吸引力の特性データを記憶さ
せて用意し、電子計算機により該比例ソレノイドを実際
に流れる電流値から該比例ソレノイドの吸引力及びその
ときの吸引力に対抗する対抗力を該記憶素子の特性デー
タをもとに計算し、計算したその吸引力及び対抗力が釣
り合う時の該弁体の移動距離を該記憶素子に記憶させた
吸引力特性データをもとに計算し、更に計算で求めた該
移動距離をもとに該比例ソレノイドの吸引力及びその対
抗力を計算してこの2つの力が釣り合うときの該移動距
離を求めることにより実際の該比例ソレノイドの電流値
に対応した該弁体の位置を推定し、この推定結果に基づ
き該アンプから該スイッチング素子へのPWM信号を調
節して該弁体の線形性を制御する方法により、上記制御
性を向上させる目的が達成され、また、記憶素子に該ア
ンプの基準PWM信号値に対する実際のPWM信号値の
変化量と該比例ソレノイドの抵抗値、及び該比例ソレノ
イドの温度の特性データを記憶させて用意し、電子計算
機により該アンプへの電流指令値が一定であり該比例ソ
レノイドの電流も一定である場合の該電流指令値に対応
する基準PWM信号値を基準となる比例ソレノイドの抵
抗値を用いて計算し、計算した基準PWM信号値と実際
に出力しているPWM信号値との変化量を計算し、その
変化量から該記憶素子に記憶させた特性データをもとに
実際の該比例ソレノイドの抵抗値を推定計算し、更にこ
の推定計算したソレノイドの抵抗値から該特性データを
もとに該比例ソレノイドの温度を推定計算し、この推定
したソレノイドの抵抗値をもとに該電流指令値に対する
新しいPWM信号値を計算し、この信号値で該スイッチ
ング素子を駆動して該比例ソレノイドの温度変化による
抵抗変化の影響を低減する方法によっても、上記制御性
向上の目的が達成される。
【0020】
【作用】該PWM方式のアンプのPWM基本周波数を該
比例ソレノイドが応答しずらい周波数に高く設定し、該
比例ソレノイドの前段をコイルを介して該スイッチング
素子に接続すると共にコンデンサを介して接地し、該コ
イル及び該コンデンサを該アンプのPWM基本周波数で
共振する値のものとすることにより、電流指令値に対応
したPWM指令値により該スイッチング素子を駆動し、
電源から該比例ソレノイドにパルス状の電圧を供給して
も、PWM周波数で共振する該コイル及び該コンデンサ
を通過することでパルス状の電圧は平滑化され、脈動の
少ない電圧となり該比例ソレノイドに印加される。さら
に、該比例ソレノイドの時定数が大きいためPWM基本
周波数の脈動にはあまり応答せず、該比例ソレノイドを
流れる電流は平滑化され脈動の少ない安定したものとな
り、PWM方式でありながら電流が安定して弁体の制御
性が良好になる。
【0021】電子計算機を用いてソレノイド電流を制御
する場合、フィードバック信号としてソレノイド電流を
検出してその平均値を得る必要があるが、ソレノイド電
流のPWM周期での脈動が少ないため、容易にソレノイ
ド電流の平均電流値を得られる利点がある。
【0022】さらに、PWM周波数をディザ周波数とせ
ずに高周波に設定することにより、電流指令の変化がP
WM指令に反映されるまでの不感時間が短くなり、電流
指令の変化に対するソレノイド電流の応答が従来のPW
M周波数をディザ周波数とするものに比べて良好とな
る。したがって、電磁比例弁の応答性を改善することが
できる。
【0023】さらに、電磁比例弁の応答速度を改善する
ために、比例ソレノイドを高電圧で駆動する場合でも、
比例ソレノイドに印加される電圧は、L、Cフィルタで
平滑化されてソレノイド電流値に相当する電圧となるの
で、図6に示す等価回路のR2 に流れる電流I2 は小さ
くなり、ソレノイドの発熱も少なくなる利点があり、さ
らに、電流指令が変化した場合でも、指令の変化に従っ
てソレノイド電流が安定的に変化するため、吸引力も電
流変化に従って変化し、電磁比例弁の応答性を低電圧駆
動時に比べ改善することができる。
【0024】また、該比例ソレノイドの接地した後段に
電流ブレーキ用素子を介在させ、これに該アンプへ入力
する電流指令値が該比例ソレノイドを流れる電流よりも
小さい間は該電流ブレーキ用素子の抵抗を増大させる制
御を行う電流ブレーキ用素子駆動回路を接続しておくこ
とにより、電流指令値が一定で比例ソレノイドの電流値
と等しい場合、及び該比例ソレノイドの電流を増加させ
るため電流指令値を大きくした場合には比例ソレノイド
を流れる電流が電流指令値と等しいか小さいので、該電
流ブレーキ用素子は機能しないが、該比例ソレノイドに
流れる電流を減少させるために電流指令値を小さくした
場合、その指令は該電流ブレーキ用素子駆動回路にも入
力し、該回路は比例ソレノイドの電流が該電流指令値よ
りも大きいあいだ該電流ブレーキ用素子のベース電流を
減少させるように出力する。該電流ブレーキ用素子は、
ベース電流を減少させると同じ値のコレクタ電流が流れ
た場合、コレクタ−エミッタ間電圧が上昇し、コレクタ
−エミッタ間の抵抗が大きくなり、熱としてのエネルギ
ー損失が増加するので、比例ソレノイド電流が該電流ブ
レーキ用素子を流れることで、電流指令値に対する余分
なソレノイド電流は熱として消費され、早く電流指令値
に収束する。そのため該比例ソレノイドの電流を減少さ
せるときの応答時間が短縮され、比例ソレノイドを流れ
る電流の制御性が改善される。
【0025】更に、請求項3に記載の構成とすることに
より、該アンプに或る電流指令値が入力したとき、電子
計算機によりこの電力指令値に対応するソレノイドの電
流を流したときに弁体に最適なディザを与えることので
きるディザ特性データと電流指令値を加算してPWM信
号が出力され、この信号で該スイッチング素子が駆動さ
れ、該比例ソレノイドの電流を制御するので、電流指令
値に対応した平均電流値で該弁体に最適なディザを与え
ることのできる脈動した電流を該ソレノイドに流すこと
ができ、PWM方式でありながらパルスのデューティ比
によりディザ周波数成分の大きさが変化せず、ソレノイ
ド電流の大きさに関係なくディザ効果を得ることができ
る。
【0026】記憶素子に該弁体の移動速度と逆起電力と
の関係の特性データを記憶させておき、電子計算機で電
流指令値の変化に対してモデルでの電流応答性を計算
し、実際の比例ソレノイドの電流応答性を比較し、弁体
の移動に伴う逆起電力の大きさを計算する。この結果と
記憶素子に記憶している特性データから逆起電力と関係
のある該弁体の移動速度を推定し、その推定結果を制御
に取り入れたPWM信号を出力することで、該比例ソレ
ノイドに指令を与えたときの応答性を妨げる力を打ち消
して起動時の応答性を向上させたり、逆起電力を拡大し
て停止時の減衰性を高めることができる。
【0027】また、記憶素子に記憶させた該比例ソレノ
イドを流れる電流値をパラメータとした該弁体の移動距
離に対する該ソレノイドの吸引力の特性データをもと
に、該比例ソレノイドを実際に流れる電流値から該比例
ソレノイドの吸引力及びそのときの吸引力に対抗する対
抗力を計算し、計算したその吸引力及び対抗力が釣り合
う時の該弁体の移動距離を該記憶素子に記憶させた吸引
力特性データをもとに計算し、更に計算で求めた該移動
距離をもとに該比例ソレノイドの吸引力及びその対抗力
を計算してこの2つの力が釣り合うときの該移動距離を
求めることにより実際の該比例ソレノイドの電流値に対
応した該弁体の位置を推定することができ、この推定結
果に基づき該アンプから該スイッチング素子へのPWM
信号を調節して該弁体の線形性を向上させることができ
る。
【0028】更に、比例ソレノイドの抵抗値は、温度変
化によって変化するため、その変化により電流指令値通
りの制御を行なえないことが生じるが、記憶素子に記憶
させた該アンプの基準PWM信号値に対する実際のPW
M信号値の変化量と該比例ソレノイドの抵抗値、及び該
比例ソレノイドの温度の特性データをもとに、該アンプ
への電流指令値が一定であり該比例ソレノイドの電流も
一定である場合の該電流指令値に対応する基準PWM信
号値を基準となる比例ソレノイドの抵抗値を用いて計算
し、計算した基準PWM信号値と実際に出力しているP
WM信号値との変化量を計算し、その変化量から該記憶
素子に記憶させた特性データをもとに実際の該比例ソレ
ノイドの抵抗値を推定計算し、更にこの推定計算したソ
レノイドの抵抗値から該特性データをもとに該比例ソレ
ノイドの温度を推定計算し、この推定したソレノイドの
抵抗値をもとに該電流指令値に対する新しいPWM信号
値を計算し、この信号値で該スイッチング素子を駆動し
て該比例ソレノイドの温度変化による抵抗変化の影響を
低減することができ、正確に電磁比例制御弁の駆動制御
を行える。
【0029】請求項7に記載の構成とすることにより、
上記の作用を同時に営むことが可能になる。
【0030】
【実施例】本発明の実施例を図面に基づき説明すると、
図16に於いて符号1は電磁比例制御弁の弁体2を駆動
する比例ソレノイドを示す。該電磁比例制御弁の構造は
例えば図1に示した従来のものと略同様であり、該比例
ソレノイド1の前段は電源回路3を介して電源に接続さ
れると共にフライホイールダイオード4を介して接地さ
れ、その後段は直接接地される。該電源回路3にはスイ
ッチング素子5を介在させ、これの開閉制御を電圧の電
流指令値が入力するPWM変換回路を備えたPWM方式
のアンプ6からのPWM信号が入力する駆動回路7が行
う。
【0031】こうした構成は従来のPWM方式の電磁比
例制御弁の制御装置と特に変わりがなく、PWM方式に
よる制御のために該ソレノイドには脈動する電流が流れ
る不都合があるが、本発明では該ソレノイド1の前段を
コイル8を介して該スイッチング素子5へ接続すると共
にコンデンサ9を介して接地し、該コイル及び該コンデ
ンサを該アンプのPWM基本周波数で共振する値のもの
とし、該アンプ6のPWM基本周波数を該比例ソレノイ
ド1が応答しずらい周波数へ高く設定しておくもので、
電流指令値が該アンプ6へ入力すると、この指令値と等
しくなるようなPWM信号が図17の符号10のように
出力され、この信号に基づいて駆動回路7がスイッチン
グ素子5を制御し、該素子5により同図の符号11に示
すようなパルス状の電圧が電源から供給される。このパ
ルス状の電圧は、PWM周波数で共振する特性を持つコ
イル8とコンデンサ9により同図の符号12のように平
滑化されて該ソレノイド1に印加されるが、該ソレノイ
ド1の応答が遅い(時定数が大きい)ために該ソレノイ
ド1を流れる電流は、符号13のように更に平滑化され
るためPWM周期での脈動は更に小さくなる。従って、
該ソレノイド1を流れる電流は、PWM方式であるにも
かかわらず安定した流れとなり、電流の制御性が改善さ
れる。その結果、電子計算機を用いてソレノイド電流を
制御する場合でも、フィードバック信号とするソレノイ
ド電流を容易に得られ、また、PWM周波数を高周波に
設定することで電流指令の変化がPWM指令に反映され
るまでの不感時間が短縮され、電流指令の変化に対する
ソレノイド電流の応答性が改善され、さらに、高電圧で
ソレノイドを駆動する場合でも、比例ソレノイド1に印
加される電圧は、ソレノイド電流値に相当する電圧とな
るので、ソレノイドの発熱は少なくなり、電流指令が変
化した場合でも、指令の変化に従ってソレノイド電流が
安定的に変化するので、電磁比例弁の応答性を低電圧駆
動時に比べ改善することができる。16は電流検出回路
でその検出値は電流指令値のゲインとなるようにした。
【0032】該比例ソレノイド1の後段に図18に示す
ようにトランジスタの電流ブレーキ用素子14であって
これへの信号の入力で抵抗値が高まり電流を早く減少さ
せる機能のものを介在させ、これにPWM変換回路を備
えた該アンプ6へ入力する電流指令値が該ソレノイド1
を流れる電流よりも小さい間は該電流ブレーキ用素子1
4に信号を入力させる制御を行う電流ブレーキ用素子駆
動回路15を接続した構成とすることにより、該ソレノ
イド1に流れる電流を現状の電流値よりも減少させる電
流指令が与えられた場合のみ該ソレノイド1の電流を早
く減少させることができ、従来のフライホイールダイオ
ードのみの時に比べ該ソレノイド1の電流の制御性が向
上させ得る。これを更に説明すると、電流指令値を一定
とし、該ソレノイド1に一定の電流を流している場合、
該電流指令は該アンプ6でPWMパルス信号に変換され
て駆動回路7に入力し、スイッチング素子5を駆動して
PWM制御で該ソレノイド1の電流を制御する。この場
合、該電流ブレーキ用素子14は、電流指令値が該ソレ
ノイドを流れる電流値と等しいため機能しない。また、
該ソレノイド1の電流を増加させるために電流指令値を
大きくした場合、電流指令はアンプ6のPWM変換回路
により目標の電流値となるようなPWMパルス信号に変
換されて駆動回路7に入力し、スイッチング素子5を駆
動して該ソレノイド1の電流が目標値となるようにPW
M制御が行われる。この場合、該電流ブレーキ用素子1
4は、電流指令値に対する該ソレノイド1の電流値が小
さいため機能しない。また、該ソレノイド1の電流を減
少させるためにその電流指令値を図19の符号17のよ
うに小さくした場合、この指令値よりも該ソレノイド1
を実際に流れている電流値が大きいので、電流指令はア
ンプ6及び電流ブレーキ用素子駆動回路15に与えら
れ、該アンプ6のPWM変換回路では、電流指令値と該
ソレノイド1の電流値が等しくなるように同図の符号1
8の如きPWMパルスを発生してスイッチング素子5を
駆動し、該電流ブレーキ用素子駆動回路15では、電流
指令値に対し該ソレノイド1の電流値が小さい間、該電
流ブレーキ用素子14のベース電流を減少させる同図の
符号19の如き波形の電流ブレーキ指令信号を出力す
る。該ブレーキ用素子14は、トランジスタの特性でベ
ース電流を減少させると同じ値のコレクタ電流が流れた
場合、コレクタ−エミッタ間電圧が上昇する。すなわ
ち、コレクタ−エミッタ間の抵抗がおおきくなり熱とし
てのエネルギー損失が増加する。そのためソレノイド電
流が該ブレーキ用素子14を流れるときに、電流指令値
に対する余分なソレノイド電流は熱として消費され、同
図の符号20に示すように早く電流指令値に対応したソ
レノイド電流値に収束する。同図の符号21は、電流ブ
レーキ用素子14を動作させないときのソレノイド電流
の変化である。かくて、電流ブレーキ用素子14を設け
ることにより、比例ソレノイド1の電流を減少させると
きの応答時間が、フライホイールダイオードのみを設け
てサージ電圧を回避したものよりも短縮でき、また、ソ
レノイド電流の変化がフライホイールダイオードを設け
た回路の抵抗値で制限されることもないから、ソレノイ
ド電流の制御性を改善できる。
【0033】電磁比例制御弁のスプール型等の弁体の固
着を防止のために弁体にディザを与える場合、図20に
示すように、該アンプ6に電子計算機23aを内蔵させ
ておき、該アンプ6のPWM基本周波数を該比例ソレノ
イド1の応答しずらい周波数へ高く設定し、該アンプ6
に該ソレノイド1を流れる電流値に対する最適な大きさ
と周期のディザの特性データを記憶させた記憶素子22
aを接続する。そして電流指令値が入力されたとき、該
電子計算機23aによりその入力する電流指令値に対応
した電流が流れるときの最適なディザの特性データを該
記憶素子22aの記憶から読み込み、このデータと該電
流指令値を加え合わせ、この信号をもとに該ソレノイド
1の電流を制御するためのPWM信号を計算し出力す
る。該比例ソレノイド1は、これを流れるソレノイド電
流が小さい場合、図7のように電流に吸引力が比例せ
ず、電流が大きくなるに従って電流に比例した吸引力が
得られる特性があるので、該記憶素子22aには、図2
2に示すような電流指令値が小さいときにはディザ強度
を大きくし、電流指令値が大きくなるに従ってディザ強
度を小さくするように、電流指令値によりディザ強度を
可変とするディザ特性データであり、しかも、電流指令
値が小さい場合でも、ディザ波形のピークの欠けを無く
し、有効なディザ強度が得られるように図23に示す如
く電流指令値に応じてディザ振幅、ディザ周波数を可変
するような特性データを記憶させておくようにした。そ
して、図20の構成によれば、該アンプ6に図21のA
で示すような波形の電圧の電流指令値が入力すると、記
憶素子22aから図21のBで示すような該電流指令値
に対応した最適のディザ特性波形を読み込み、これに該
電流指令値の波形を加算して図21のCで示すような波
形を得てこれに基づき図21のDの波形のPWM信号が
駆動回路7へ出力され、この信号により該駆動回路7は
スイッチング素子5を制御し、図21のEで示す波形の
電流が該比例ソレノイド1に流れる。この場合、PWM
変換されたPWM信号のパルスは、ディザ特性データと
電流指令値を加え合わせた指令が、該ソレノイド1の電
流を増加させる方向に変化している場合は、ON時間が
指令に対して長くなり、逆にその電流を減少させる方向
に変化している場合は、ON時間が短くなるように変化
する。このPWM信号でスイッチング素子5を駆動しソ
レノイド1の電流を制御することにより、電流指令値に
対応した平均電流値で電磁比例制御弁の弁体2に最適な
ディザを与え得る脈動したソレノイド電流を流せる。従
って、PWM方式でありながらパルスのデューティ比に
よりディザ周波数成分の大きさが変化しないため、図2
4に示すようにソレノイド電流の大きさに関係なくディ
ザ効果を得ることができる。具体的には、ディザの周波
数を200Hz、PWMの基本周波数を10KHzに設
定すると、50周期のPWM信号で1周期のディザが構
成される。従来の場合、PWM方式では比例ソレノイド
を流れる電流値によりPWMパルスのデューティ比が変
化するため、電流値によりディザ効果が異なる不都合が
あり、ディザ振幅が電流指令値に関係なく一定である場
合では、ソレノイド電流値により同じディザ効果が得ら
れない不都合がある。そのため、いずれの方式において
も電磁比例弁の弁体に、ソレノイドの電流値に適したデ
ィザを与えることができないが、本発明では、電流指令
値に応じた最適のディザを比例弁の弁体に与え得る。
【0034】一般にソレノイドに電圧を加えても瞬時に
電流は流れ出さず、電磁比例制御弁に於いても電流指令
値に比例したソレノイド電流が流れるまでの時間遅れが
あり、また、該電磁比例制御弁のスプール型やポペット
型等の弁体2の移動速度は、該弁体2の起動、減衰特性
と関係しており、電流指令値に迅速に応答して起動、減
衰することが望ましい。この要望は、図25、図26の
ように、記憶素子22bに該弁体の移動速度の大きさと
関係のある逆起電力の特性データを記憶させて用意し、
該移動速度を電流検出回路16で検出した電流値をもと
に推定し、この推定した移動速度によりPWM信号を調
節して該ソレノイド1の電流を調節することにより達成
される。該指令電流の変化に対するモデル的な該ソレノ
イド1の電流特性を電子計算機23aで計算し、このモ
デル的電流値と実際に流れる該ソレノイドの電流値とを
比較して該弁体2の移動に伴う逆起電力の大きさを計算
し、この計算による逆起電力に対応した該弁体2の移動
速度を記憶素子から推定し、この推定結果をゲインとし
て電流指令値を調節し、アンプ6から該スイッチング素
子5の駆動回路7へのPWM信号を調節し、該ソレノイ
ド1の電流を制御することにより該弁体2の移動速度が
制御される。逆起電力が例えば予想よりも大きく、所定
の応答性の妨げになる力が発生する場合、この力を打ち
消し、起動時の弁体の応答性を向上させたり、逆起電力
が予想外に小さい場合、該逆起電力を拡大して停止時の
減衰性を高めることができる。
【0035】該電磁比例制御弁の線形性を高めるには、
同一電流指令値では略同一位置へ弁体を移動させる必要
があるが、従来のものでは弁体の位置がソレノイド電流
値、比例ソレノイドの吸引力やこれと対抗する力により
変化するので線形性が乏しい。本発明では、線形性の向
上のために、図27、図28に示すように、記憶素子2
2cに該比例ソレノイド1を流れる電流値をパラメータ
とした該弁体2の移動距離に対する該ソレノイドの吸引
力の特性データを記憶させて用意し、電流検出回路16
から検出した該ソレノイド1を実際に流れる電流値によ
り該ソレノイド1が発生する吸引力を該記憶素子22c
に用意してある特性データをもとに電子計算機23cで
計算する。次いで、このときソレノイド1に吸引力に対
抗するように働くバネ力等の対抗力を計算し、計算で求
めたソレノイド電流値に対する吸引力とそれに対抗する
力から、これらの2つの力が釣り合う時の弁体2の移動
距離を記憶素子22cに記憶の特性データをもとに計算
する。更に、計算で求めた弁体2の移動距離を考慮して
ソレノイド1が発生する吸引力を再度計算し、それの対
抗力を求め、2つの力が釣り合うときの弁体2の移動距
離を計算する。これによりソレノイド1の電流値に対す
る弁体2の移動距離を、記憶素子22cに記憶させた該
吸引力特性データをもとに推定することができ、その結
果として弁体2の位置を推定できるので、この推定結果
により実際にソレノイド1を流れる電流値、対抗力が電
流指令値と合致していない場合でも電流指令値に対応し
た位置に弁体が移動するようにPWM信号を調整し、こ
の信号を基に駆動回路がスイッチング素子を駆動するた
め、制御弁の線形性が向上する。
【0036】比例ソレノイドは温度変化により抵抗値が
変化する特性があり、これはPWM方式の場合、PWM
信号のパルス幅(デューティ比)に変化を来し、制御性
が乱れるが、パルス幅の変化は前記したように必ずしも
温度変化によるものとは限らない。本発明では、温度変
化を原因とするパルス幅の変動を防ぐため、図29、図
30に示すように、アンプ6に電子計算機23dを内蔵
させ、該電子計算機23dによりソレノイド電流をPW
M制御するものとし、該記憶素子22dに該アンプ6の
基準PWM信号値に対する実際のPWM信号値の変化量
と該ソレノイド1の抵抗値、及び該ソレノイドの温度の
特性データを記憶させ、電流指令値が一定であり、ソレ
ノイド1の電流も一定である場合に、電子計算機23d
により該電流指令値に対する基準PWM信号値を、基準
となるソレノイド抵抗値を用いて計算する。計算に使用
する、基準となるソレノイド抵抗値は予め用意してお
く。この基準PWM指令値と実際に出力しているPWM
信号値との変化量を電子計算機23dで計算し、この変
化量から現在のソレノイド抵抗値を、該記憶素子22d
に用意してある特性データをもとに計算、推定する。更
に、推定したソレノイド抵抗値から特性データをもとに
ソレノイド1の温度を計算、推定する。この推定したソ
レノイド抵抗値をもとに、電流指令値に対する新しいP
WM指令を計算し、この指令でスイッチング素子5を駆
動してソレノイド電流を制御することにより、ソレノイ
ド1の抵抗変化による制御特性の変化を低減することが
でき、弁体2の制御性が向上する。
【0037】例えば、500mA相当の電流指令が該ア
ンプ6に入力されていて、ソレノイド1の電流値が50
0mA一定に流れている状態にあり、電子計算機23d
から出力している実PWM指令値が550である場合、
電子計算機23dは次の計算を行う。まず、このときの
電流指令値に対する基準PWM指令値を、基準となるソ
レノイド抵抗値を用いて計算する。このとき計算に使用
する基準となるソレノイド抵抗値は、20℃のとき24
Ωとしてあらかじめ用意してある。その計算の結果、基
準PWM指令値が500であったとする。次に、基準P
WM指令値に対する実際のPWM指令値の変化量を計算
すると、550/500=1.1となり、実PWM指令
値は基準PWM指令値に対して10%増加したことにな
る。実PWM指令値が10%増加したときのソレノイド
抵抗の変化量を、特性データから計算したところ、+
2.4Ωであったとすると、比例ソレノイド1の抵抗値
は、基準値24Ω(20℃)に対して2.4Ω増加して
26.4Ωに変化したと推定することができる。さらに
特性データからソレノイド抵抗変化量が+2.4Ωの
時、ソレノイド温度の変化量を計算した場合、この変化
量が+25℃であるとすると、現在のソレノイド温度
は、基準温度20℃、温度変化量+25℃で45℃であ
ると推定することができる。
【0038】図31は、請求項7の実施例を示し、この
実施例は前記実施例の全ての構成を備え、その機能は前
記実施例の全ての機能を兼備する。
【0039】
【発明の効果】以上のように請求項1の発明によるとき
は、電磁比例制御弁の比例ソレノイドの電源回路に設け
たスイッチング素子をPWM方式のアンプからのPWM
信号で制御する制御装置に於いて、該アンプのPWM基
本周波数を該ソレノイドが応答しずらい周波数へ高く設
定し、該ソレノイドの前段をコイルを介して該スイッチ
ング素子へ接続すると共にコンデンサを介して接地し、
該コイル及び該コンデンサを該アンプのPWM基本周波
数で共振する値のものとしたので、電子計算機を用いて
ソレノイド電流を制御する場合でも、フィードバック信
号とするソレノイド電流を容易に得られ、PWM周波数
を高周波に設定することで電流指令の変化がPWM信号
に反映されるまでの不感時間が短縮されるから電流指令
の変化に対する応答性が改善され、高電圧でソレノイド
を駆動する場合でも、比例ソレノイドに印加される電圧
はソレノイド電流値に相当する電圧となるので、ソレノ
イドの発熱は少なくなり、電流指令が変化した場合で
も、指令の変化に従ってソレノイド電流が安定的に変化
するので、電磁比例弁の応答性を低電圧駆動時に比べ改
善できる効果があり、請求項2の発明によれば、該ソレ
ノイドの接地した後段に電流ブレーキ用素子を介在させ
たことで、該ソレノイド電流を減少させるための応答時
間がフライホイールダイオードのみの時より短縮され、
応答性、制御性が向上する効果が得られ、請求項3の発
明によれば、ディザを可変することができるので、該ソ
レノイドに最適な大きさ、周期のディザを与えて該電磁
比例制御弁の応答性、制御性を改善できる効果がある。
また、請求項4の発明によれば、電磁比例制御弁の弁体
の移動速度を推定し、その結果を指令に反映させること
で、該ソレノイドの減衰特性が改善され、該比例制御弁
の油圧ダンピングを低減できて応答性、制御性が向上す
る効果が得られ、請求項5の発明によれば、該電磁比例
制御弁の弁体の位置を推定しその結果を制御に反映させ
ることで、弁体の位置管理を行え、該制御弁の制御性、
線形性が改善される効果があり、請求項6の発明によれ
ば、該ソレノイドの温度変化による抵抗変動を推定し、
その結果を指令に反映させることで、該ソレノイド特性
変化を低減でき、該制御弁の制御性と安定性が改善でき
ると共に該ソレノイドの温度管理ができるので、該ソレ
ノイドが異常高温と判断されるときなどには、安全対策
を施せる等の効果があり、請求項7の構成とすることに
より、上記の効果を兼備させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電磁比例制御弁の断面図
【図2】従来のPWM方式のアンプを使用した電磁比例
制御弁の駆動制御装置の説明図
【図3】図2の各部の波形とPWMパルスの線図
【図4】従来のドロッパ方式のアンプを使用した電磁比
例制御弁の駆動制御装置の説明図
【図5】図4の各部の波形の線図
【図6】比例ソレノイドの等価回路の線図
【図7】比例ソレノイドの電流に対する吸引力特性
【図8】従来の電流値が小さい時のソレノイド電流波形
【図9】PWMパルスのパワースペクトル
【図10】PWM制御における指令波形変化と不感時間
の関係の線図
【図11】比例ソレノイドの低電圧、高電圧駆動時の電
圧及び電流波形図
【図12】従来の比例ソレノイドの電流の立ち下がり方
向の応答特性の線図
【図13】従来のPWM方式のディザ特性の線図
【図14】従来の比例ソレノイドの電流の立ち上がり方
向の応答特性の線図
【図15】比例ソレノイドの温度特性の線図
【図16】請求項1に記載の発明の実施例の線図
【図17】図16の各部の波形の線図
【図18】請求項2に記載の発明の実施例の線図
【図19】図18の各部の波形の線図
【図20】請求項3に記載の発明の実施例の線図
【図21】図20の各部の波形の線図
【図22】ソレノイド電流に対するディザ強度特性の線
【図23】電流指令値に対応した平均ソレノイド電流値
の線図
【図24】ソレノイド電流のパワースペクトル
【図25】請求項4に記載の発明の実施例の線図
【図26】図25の実施例の基本概念図
【図27】請求項5に記載の発明の実施例の線図
【図28】図27の実施例の基本概念図
【図29】請求項6に記載の発明の実施例の線図
【図30】図29の実施例の基本概念図
【図31】請求項7に記載の発明の実施例の線図
【符号の説明】
1 比例ソレノイド 2 弁体 3 電源回路 4 フライホイ
ールダイオード 5 スイッチング素子 6 アンプ 7 駆動回路 8 コイル 9 コンデンサ 14 電流ブレー
キ用素子 15 電流ブレーキ用素子駆動回路 16 ソレノイ
ド電流検出回路 22、22a、22b、22c、22d 記憶素子 23、23a、23b、23c、23d 電子計算機

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電磁比例制御弁の弁体を駆動する比例ソレ
    ノイドの電源回路に設けたスイッチング素子の開閉を電
    流指令値が入力するPWM方式のアンプからのPWM信
    号で制御する制御装置に於いて、該アンプのPWM基本
    周波数を該比例ソレノイドが応答しずらい周波数へ高く
    設定し、該比例ソレノイドの前段をコイルを介して該ス
    イッチング素子へ接続すると共にコンデンサを介して接
    地し、該コイル及び該コンデンサを該アンプのPWM基
    本周波数で共振する値のものとしたことを特徴とする電
    磁比例制御弁の駆動制御装置。
  2. 【請求項2】電磁比例制御弁の弁体を駆動する比例ソレ
    ノイドの電源回路に設けたスイッチング素子の開閉を電
    流指令値が入力するPWM方式のアンプからのPWM信
    号で制御する制御装置に於いて、該比例ソレノイドの接
    地した後段に信号の入力で抵抗を増大して電流を早く減
    少させる電流ブレーキ用素子を介在させると共に、該電
    流ブレーキ用素子に該アンプへ入力する電流指令値が該
    比例ソレノイドを流れる電流よりも小さい間は該電流ブ
    レーキ用素子に信号を与える電流ブレーキ用素子駆動回
    路を接続したことを特徴とする電磁比例制御弁の駆動制
    御装置。
  3. 【請求項3】電磁比例制御弁の弁体を駆動する比例ソレ
    ノイドの電源回路に設けたスイッチング素子の開閉を電
    流指令値が入力するPWM方式のアンプからのPWM信
    号で制御する制御方法に於いて、該アンプのPWM基本
    周波数を該比例ソレノイドの応答しずらい高い周波数に
    設定し且つ該アンプに該比例ソレノイドを流れる電流値
    に対する最適な大きさと周期のディザの特性データを記
    憶させた記憶素子を接続し、該電流指令値の入力に伴な
    い電子計算機により該ソレノイドに該電流指令値に対応
    した電流が流れるときの最適のディザ特性データを該記
    憶素子から読み込み、このデータと該電流指令値を加算
    した信号をもとに該ソレノイドの電流を制御するための
    PWM信号を計算し、この信号により該スイッチング素
    子を制御することにより該弁体にディザを与えることを
    特徴とする電磁比例制御弁の駆動制御方法。
  4. 【請求項4】電磁比例制御弁の弁体を駆動する比例ソレ
    ノイドの電源回路に設けたスイッチング素子の開閉を電
    流指令値が入力するPWM方式のアンプからのPWM信
    号で制御する制御方法に於いて、記憶素子に該弁体の移
    動速度と逆起電力との特性データを記憶させて用意し、
    電子計算機により該アンプに入力する電流指令値が変化
    するとその変化に対応した該比例ソレノイドのモデル的
    電流値を計算すると共にこのモデル的電流値と実際に流
    れる該比例ソレノイドの電流値とを比較して該弁体の移
    動に伴う逆起電力の大きさを計算し、この計算による逆
    起電力と前記特性データとで該弁体の移動速度を推定
    し、この推定結果に基づき該アンプから該スイッチング
    素子を制御するPWM信号を調節して該弁体の移動速度
    を制御することを特徴とする電磁比例制御弁の駆動制御
    方法。
  5. 【請求項5】電磁比例制御弁の弁体を駆動する比例ソレ
    ノイドの電源回路に設けたスイッチング素子の開閉を電
    流指令値が入力するPWM方式のアンプからのPWM信
    号で制御する制御方法に於いて、記憶素子に該比例ソレ
    ノイドを流れる電流値をパラメータとした該弁体の移動
    距離に対する該ソレノイドの吸引力の特性データを記憶
    させて用意し、電子計算機により該比例ソレノイドを実
    際に流れる電流値から該比例ソレノイドの吸引力及びそ
    のときの吸引力に対抗する対抗力を該記憶素子の特性デ
    ータをもとに計算し、計算したその吸引力及び対抗力が
    釣り合う時の該弁体の移動距離を該記憶素子に記憶させ
    た吸引力特性データをもとに計算し、更に計算で求めた
    該移動距離をもとに該比例ソレノイドの吸引力及びその
    対抗力を計算してこの2つの力が釣り合うときの該移動
    距離を求めることにより実際の該比例ソレノイドの電流
    値に対応した該弁体の位置を推定し、この推定結果に基
    づき該アンプから該スイッチング素子へのPWM信号を
    調節して該弁体の線形性を制御することを特徴とする電
    磁比例制御弁の駆動制御方法。
  6. 【請求項6】電磁比例制御弁の弁体を駆動する比例ソレ
    ノイドの電源回路に設けたスイッチング素子の開閉を電
    流指令値が入力するPWM方式のアンプからのPWM信
    号で制御する制御方法に於いて、記憶素子に該アンプの
    基準PWM信号値に対する実際のPWM信号値の変化量
    と該比例ソレノイドの抵抗値、及び該比例ソレノイドの
    温度の特性データを記憶させて用意し、電子計算機によ
    り該アンプへの電流指令値が一定であり該比例ソレノイ
    ドの電流も一定である場合の該電流指令値に対応する基
    準PWM信号値を基準となる比例ソレノイドの抵抗値を
    用いて計算し、計算した基準PWM信号値と実際に出力
    しているPWM信号値との変化量を計算し、その変化量
    から該記憶素子に記憶させた特性データをもとに実際の
    該比例ソレノイドの抵抗値を推定計算し、更にこの推定
    計算したソレノイドの抵抗値から該特性データをもとに
    該比例ソレノイドの温度を推定計算し、この推定したソ
    レノイドの抵抗値をもとに該電流指令値に対する新しい
    PWM信号値を計算し、この信号値で該スイッチング素
    子を駆動して該比例ソレノイドの温度変化による抵抗変
    化の影響を低減することを特徴とする電磁比例制御弁の
    駆動制御方法。
  7. 【請求項7】電磁比例制御弁の弁体を駆動する比例ソレ
    ノイドの電源回路に設けたスイッチング素子の開閉を電
    流指令値が入力するPWM方式のアンプからのPWM信
    号で制御する制御装置に於いて、該アンプのPWM基本
    周波数を該比例ソレノイドが応答しずらい周波数へ高く
    設定し、該比例ソレノイドの前段をコイルを介して該ス
    イッチング素子へ接続すると共にコンデンサを介して接
    地し、該コイル及び該コンデンサを該アンプのPWM基
    本周波数で共振する値のものとし、該比例ソレノイドの
    接地した後段に電流ブレーキ用素子を介在させると共
    に、該電流ブレーキ用素子に該アンプへ入力する電流指
    令値が該比例ソレノイドを流れる電流よりも小さい間は
    該電流ブレーキ用素子の抵抗を増大させる制御を行う電
    流ブレーキ用素子駆動回路を接続し、該アンプに、該P
    MW基本周波数と異なるディザ周波数であって該アンプ
    に入力する電流指令値に対応した最適な大きさと周期の
    ディザと、該弁体の移動速度と逆起電力との特性データ
    と、該比例ソレノイドを流れる電流値をパラメータとし
    た該弁体の移動距離に対する該ソレノイドの吸引力の特
    性データと、該アンプの基準PWM信号値に対する実際
    のPWM信号値の変化量と該比例ソレノイドの抵抗値、
    及び該比例ソレノイドの温度の特性データとを記憶させ
    た記憶素子、及び該電流指令値と該比例ソレノイドを流
    れる電流を検出する電流検出回路からの電流値に応じて
    該記憶素子の記憶とを比較演算する電子計算機を接続
    し、該弁体のディザ、移動速度、線形性と、該比例ソレ
    ノイドの温度変化による抵抗変化を補償することを特徴
    とする電磁比例制御弁の駆動制御装置。
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