JPH09143736A - 連続真空蒸着装置における無効蒸着物付着防止装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 蒸発材料の拡散による基板以外への無効蒸着
物の付着を防止し、蒸発材料の融点が高い場合でも長時
間の運転ができる連続真空蒸着装置における無効蒸着物
付着防止装置を提供することにある。 【構成】 連続して走行する帯状の基板と、電子ビーム
を放射する電子銃と、溶解した蒸発材料を収容するるつ
ぼと、前記基板およびるつぼ内の蒸発材料を加熱して蒸
発させ、蒸発した蒸発材料を基板の表面に蒸着させる連
続真空蒸着装置において、前記基板以外のるつぼの周り
を囲むように無効蒸着物付着防止板を収納する収納箱を
配設し、該収容箱の上部に複数枚のシート状の無効蒸着
物防止板を吊り下げ、内側の無効蒸着物防止板に一定量
の無効蒸着物が付着するとその無効蒸着物防止板を収納
箱内で下に落とすとともに新たに次の無効蒸着物防止板
を内側に順次移動可能に構成したものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、連続真空蒸着装置
における無効蒸着物付着防止装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】真空蒸着は、真空中で蒸発材料を加熱し
て蒸発させ、蒸発材料を基板の表面に蒸着させて皮膜を
作る成膜プロセスである。この成膜プロセスにおいて蒸
発材料を加熱するため電子ビームを用い帯状の連続した
基板に蒸発材料を蒸着させる連続真空蒸着装置がある。

【０００３】この連続真空蒸着装置は、例えば特開平６
ー７３５４３に開示されたものがあり、図４に示すよう
に、電子ビームｄを放射する電子銃ｃと、溶解した皮膜
用蒸着材料ｇを収容するるつぼｂと、図示しない排気装
置により真空排気された真空室ｈとを備え、電子銃ｃに
より電子ビームｄを放射し、図示しない偏向電磁石によ
る磁界により電子ビームｄの方向を曲げてるつぼｂの蒸
着材料ｇを加熱して蒸発させ、蒸発材料ｇを、図上、紙
面と直角方向に連続して走行する帯状の基板ａの表面に
蒸着させて皮膜を作るようになっている。

【０００４】また、るつぼｂの周りには、るつぼｂを囲
むように無効蒸着物ｉが基板ａの範囲外へ拡散するのを
さえぎる遮蔽板ｅが設けられている。ｆはこの遮蔽板ｅ
の外面に配設された電気抵抗加熱等の加熱器である。無
効蒸着物ｋは、遮蔽板ｅが高温になっているので溶融し
ており、表面に沿って流下し、るつぼｂに戻る。なお、
蒸発材料ｇとしては、例えば亜鉛（Ｚｎ）とか錫（Ｓ
ｎ）が使用される。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た遮蔽板によれば、亜鉛や錫など低融点の材料の場合に
は問題ないが、ニッケル，チタンまたは銅などの高融点
の材料の場合には溶融滴下しないで遮蔽板に付着し、こ
れがたちまちのうちに進行して遮蔽板は大重量となり支
持構造物の強度上問題となる。さらには付着材料の固ま
りが剥がれてるつぼに落下するなどの問題があった。

【０００６】本発明は、上記のような問題点を解決する
ために創案されたものである。すなわち、本発明は、蒸
発材料の拡散による基板以外への無効蒸発物の付着を防
止し、融点の高い蒸発材料の場合でも長時間の運転がで
き、生産性の向上に役立つ連続真空蒸着装置における無
効蒸着物付着防止装置を提供することを目的とするもの
である。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明によれば、連続して走行する帯状の基板と、
電子ビームを放射する電子銃と、溶解した蒸発材料を収
容するるつぼと、前記基板およびるつぼを内蔵し真空に
排気された真空室とを備え、電子銃より電子ビームを放
射してるつぼ内の蒸発材料を加熱して蒸発させ、蒸発し
た蒸発材料を基板の表面に蒸着させる連続真空蒸着装置
において、前記基板以外のるつぼの周りを囲むように無
効蒸着物付着防止板を収納する収納箱を配設し、該収納
箱の上部に復数枚のシート状の無効蒸着物付着防止板を
吊り下げ、内側の無効蒸着物付着防止板に一定量の無効
蒸着物が付着するとその無効蒸着物付着防止板を収納箱
内で下に落とすとともに新たに次の無効蒸着物付着防止
板を内側に順次移動可能にしたことを特徴とする連続真
空蒸着装置における無効蒸着物付着防止装置が提供され
る。

【０００８】本発明の好ましい実施の形態によれば、前
記シート状の無効蒸着物付着防止板は、上方に穴を有し
ており、該穴に一端を収納箱に固着した支持棒を挿入す
ることにより吊り下げられており、収納箱の上方に設け
られた無端状チェーンに所定の間隔で設けた突起に上端
を係止させて該無端状チェーンを駆動することにより移
動するようになっていることが好ましい。

【０００９】また、本発明の好ましい実施の形態によれ
ば、前記シート状の無効蒸着物付着防止板は、上端に穴
を有しており、該穴を収納箱の上方に設けられた無端状
チェーンに所定の間隔で設けた鉤部材に引っ掛けて吊り
下げられ、該無端状チェーンを駆動することにより移動
し、無端状チェーンの端部で鉤部材から開放されるよう
になっていることが好ましい。

【００１０】上記本発明の構成によれば、るつぼの周り
に、無効蒸着物を付着する複数枚の無効蒸着物付着防止
板を収納する収納箱を配設しているので、基板以外への
蒸発材料の付着を防止することができ、内側の無効蒸着
物付着防止板に一定量の無効蒸着物が付着すると、その
無効蒸着物付着防止板を下に落とし、次の無効蒸着物付
着防止板を内側に順次移動して付着させるので長時間連
続運転することができる。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形
態を図面に基づいて説明する。図１および図２は本発明
の一実施の形態を示すものであり、図１は本発明による
連続真空蒸着装置における無効蒸着物付着防止装置の全
体構成図、図２は図１の一部拡大図である。

【００１２】図１および図２において、１は連続して走
行する帯状の基板であり、２は溶解した蒸発材料を収容
するるつぼである。３は電子ビーム４を放射する電子銃
である。５はるつぼ２内に図示しない供給手段により供
給され、電子ビーム３の放射により加熱されて蒸発する
蒸発材料である。この蒸発材料５には、例えばアルミニ
ウム（Ａｌ）やアルミマンガンが使用される。６は前記
基板１およびるつぼ２を内蔵し、図示しない排気装置に
より１０^-3〜１０^-5Ｔｏｒｒに真空排気された真空室で
ある。７は内側を開口した収納箱で、るつぼ２の周りを
囲むように配設され、収納箱支持台１７の上に載置され
ている。また、この収納箱７は、図１では基板１および
るつぼ２に対し左右に配設されているが、電子銃３の障
害にならないようにして前後にも配設されている。８は
この収納箱７内に収納された複数枚のシート状の無効蒸
着物付着防止板であり、８ａは無効蒸着物９が付着した
無効蒸着物付着防止板である。１０はこのシート状の無
効蒸着物付着防止板の上方に明けられた穴で、この穴１
０に一端を収納箱６に固着した支持棒１１を挿入して無
効蒸着物付着防止板８を吊り下げる。１２は収納箱７上
方の左右に設けられたスプロケット１４，１４ａに掛け
廻された無端状チェーンで、左右方向に回動する。１３
はこの無端状チェーン１２に所定の間隔で設けたられた
突起で、その下側の突起１３を前記無効蒸着物付着防止
板８の上端に係止させ無端状チェーン１２を駆動するこ
とにより所定の間隔を維持したまま無効蒸着物付着防止
板８を内側に移動する。なお、１６はるつぼ２の支持台
である。

【００１３】次に実施の形態に基づく作用について説明
する。連続真空蒸着作業中に拡散発生する無効蒸発物９
を、基板１以外のるつぼ２の周りを囲むように配設した
収納箱７の上部に、支持棒１１によって吊り下げた複数
枚のシート状の無効蒸着物付着防止板８の内側の無効蒸
着物付着防止板８に付着させる。また、この無効蒸着物
付着防止板８に一定量の無効蒸発物９が付着すると、無
端状チェーン１２を回動させて無効蒸着物付着防止板８
をいっせいに移動させ、内側の無効蒸着物付着防止板８
を支持棒１１から離して収納箱７の下に落下させる。そ
こで、無端状チェーン１２を停止させ、次の無効蒸着物
付着防止板８に無効蒸発物９を付着させる。

【００１４】このようにして、収納箱７に収納されてい
る無効蒸着物付着防止板８を使用し終わると、収納箱７
ごと真空室６から取り出し、新しい収納箱７と交換す
る。そして、このような動作を繰り返して連続真空蒸着
作業が行われる。

【００１５】次に本発明の他の実施の形態について説明
する。図３は本願の他の実施の形態を示す図であり、連
続真空蒸着装置における無効蒸着物付着防止装置の全体
構成図である。前記図１および図２に示す実施の形態
は、複数枚のシート状の無効蒸着物付着防止板８が支持
棒１１により支持されて吊り下げられ、無端状チェーン
１２に所定の間隔で設けられた突起１３によって上端を
係止して移動するようになっているのに対し、本実施の
形態では、複数枚のシート状の無効蒸着物付着防止板８
の穴１０ａを無端状チェーン１２に所定の間隔で設けら
れた鉤部材１５に引っ掛けて吊り下げられている点で相
違するが、この点以外は、第１発明の実施の形態と実質
的に同じであり、その構成および作用の説明を省略す
る。

【００１６】本発明は、上記実施の形態に限定されるも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更
し得ることは勿論である。

【００１７】

【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば上部
に複数枚のシート状の無効蒸着物付着防止板を収納した
収納箱をるつぼの周りを囲むように配設して、内側の無
効蒸着物付着防止板に一定量の無効蒸着物が付着すると
その無効蒸着物付着防止板を収納箱の下に落とし、次の
無効蒸着物付着防止板を内側に順次移動して無効蒸着物
を付着させて収納箱の下に落として収納し、全て使用し
終わると収納箱ごと新しい収納箱と交換するようにした
ので、蒸発材料の拡散による基板以外への無効蒸発物の
付着を防止し、蒸発材料の融点の高い場合でも長時間の
運転ができるので、生産性の向上に役立つなど優れた効
果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の連続真空蒸着装置の一実施の形態を示
した全体構成図である。

【図２】図１の一部拡大図である。

【図３】本願第２発明の実施例を示した全体構成図であ
る。

【図４】従来の連続真空蒸着装置を示した全体構成図で
ある。

【符号の説明】

１ 基板 ２ るつぼ ３ 電子銃 ４ 電子ビーム ５ 蒸発材料 ６ 真空室 ７ 収納箱 ８，８ａ 無効蒸着物付着防止板 ９ 無効蒸着物 １０，１０ａ 穴 １１ 支持棒 １２ 無端状チェーン １３ 突起 １４，１４ａ スプロケット １５ 鉤部材 １６ るつぼ支持台 １８ 収納箱支持台 ａ 基板 ｂ るつぼ ｃ 電子銃 ｄ 電子ビーム ｅ 遮蔽板 ｆ 加熱器 ｇ 蒸発材料 ｈ 真空室 ｉ 無効蒸着物の拡散範囲 ｋ 無効蒸着物

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 連続して走行する帯状の基板と、電子ビ
   ームを放射する電子銃と、溶解した蒸発材料を収容する
   るつぼと、前記基板およびるつぼを内蔵し真空に排気さ
   れた真空室とを備え、電子銃より電子ビームを放射して
   るつぼ内の蒸発材料を加熱して蒸発させ、蒸発した蒸発
   材料を基板の表面に蒸着させる連続真空蒸着装置におい
   て、前記基板以外のるつぼの周りを囲むように無効蒸着
   物付着防止板を収納する収納箱を配設し、該収納箱の上
   部に復数枚のシート状の無効蒸着物付着防止板を吊り下
   げ、内側の無効蒸着物付着防止板に一定量の無効蒸着物
   が付着するとその無効蒸着物付着防止板を収納箱内で下
   に落とすとともに新たに次の無効蒸着物付着防止板を内
   側に順次移動可能にしたことを特徴とする連続真空蒸着
   装置における無効蒸着物付着防止装置。
2. 【請求項２】 前記シート状の無効蒸着物付着防止板
   は、上方に穴を有しており、該穴に一端を収納箱に固着
   した支持棒を挿入することにより吊り下げられており、
   収納箱の上方に設けられた無端状チェーンに所定の間隔
   で設けた突起に上端を係止させて該無端状チェーンを駆
   動することにより移動するようになっている請求項１記
   載の連続真空蒸着装置における無効蒸着物付着防止装
   置。
3. 【請求項３】 前記シート状の無効蒸着物付着防止板
   は、上端に穴を有しており、該穴を収納箱の上方に設け
   られた無端状チェーンに所定の間隔で設けた鉤部材に引
   っ掛けて吊り下げられ、該無端状チェーンを駆動するこ
   とにより移動し、無端状チェーンの端部で鉤部材から開
   放されるようになっている請求項１記載の連続真空蒸着
   装置における無効蒸着物付着防止装置。