JPH09143665A - 溶融金属めっき浴中のロール支持装置 - Google Patents

溶融金属めっき浴中のロール支持装置

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JPH09143665A
JPH09143665A JP30592195A JP30592195A JPH09143665A JP H09143665 A JPH09143665 A JP H09143665A JP 30592195 A JP30592195 A JP 30592195A JP 30592195 A JP30592195 A JP 30592195A JP H09143665 A JPH09143665 A JP H09143665A
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JP
Japan
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molten metal
peripheral surface
film
bearing box
bearing
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Application number
JP30592195A
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English (en)
Inventor
Shin Niizeki
心 新関
Akio Aoki
章雄 青木
Atsuhisa Yagawa
敦久 矢川
Toshihiro Mori
俊博 森
Masaya Tanda
賢哉 但田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NSK Ltd
Nippon Steel Corp
Original Assignee
NSK Ltd
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 一度熱膨張したサポートロール8が温度低下
に伴って収縮する際、転がり軸受11に過大な力が加わ
るのを防止する構造を低コストで得る。 【構成】 軸受箱18bの内周面と調心リング17の外
周面との少なくとも一方の周面に、溶融金属5に対する
濡れ性の悪い材料による表面処理膜を形成する。この表
面処理膜には、溶融金属5は付着しないか、付着しても
軽い力で剥れる。従って、サポートロール8を溶融金属
中から引き上げた後に、転がり軸受11が軸方向に変位
するのを妨げない。この作用を得る為に、別途部品を組
み付ける必要がないので、転がり軸受11を保護する構
造の低コスト化を図れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明に係る溶融金属めっき浴
中のロール支持装置は、長尺な鋼板等の金属板の表面
に、連続的に溶融亜鉛等の異種金属のめっき処理を施す
為のめっき装置に組み込み、上記金属板を案内するロー
ルを、回転自在に支持する為に利用する。
【0002】
【従来の技術】長尺な金属板の表面に他の金属のメッキ
層を形成する作業は、図1〜2に示す様な連続溶融金属
めっき装置により行なっている。この連続溶融金属めっ
き装置の作用は次の通りである。図示しないアンコイラ
から送り出された、めっき母材となる鋼板等の帯状の金
属板1は、適宜の搬送ロール2により案内されつつ、連
続炉3からスナウト4を通り、溶融金属5を貯溜しため
っき槽6内に導き入れられる。シンクロール7により上
方に方向転換され、このめっき槽6内を送られる事で、
表面にめっき層となる溶融金属5を付着させた金属板1
は、サポートロール8、8によって反りの矯正及び通板
の安定化を図り、めっき処理済の金属板1aとして、上
記めっき槽6外に取り出される。9、9は、溶融金属5
の付着量を規制する為のノズルである。上記ノズル9、
9を通過した、めっき処理済の金属板1aは、表面に付
着した金属を冷却固化させ、或は加熱合金化処理後に冷
却してから、図示しないリコイラに巻き取る。
【0003】上述の様に、高温の溶融金属5中に浸漬さ
れた状態で、金属板1を案内したり、或は金属板1の反
りを矯正したりする、シンクロール7及びサポートロー
ル8、8の両端部は、例えば図2に示す様に、1対の支
持腕10、10の先端部に転がり軸受11、11を介し
て、回転自在に支持されている。即ち、上記各支持腕1
0、10の先端部には円孔12、12を形成している。
そして、各円孔12、12の内周面と、サポートロール
8の両端面から突出した軸13、13の外周面との間に
上記転がり軸受11、11を設けて、上記サポートロー
ル8の回転を自在としている。シンクロール7の支持装
置も、同様に構成される。
【0004】転がり軸受11、11としては、高度の耐
熱性を要求される事から、例えばセラミックス製のもの
を使用する。即ち、各転がり軸受11、11を、それぞ
れが窒化けい素( Si34 )等のセラミックスにより造
られた、外輪14と内輪15と複数の転動体16、16
とから構成している。又、複数の転動体16、16は、
保持器19(後述する図3参照)により、隣り合う転動
体16、16同士の間に所定の間隔をあけた状態で、転
動自在に保持している。
【0005】上述の様にして、例えばサポートロール8
の両端部を支持する1対の転がり軸受11、11を構成
する外輪14、14は、それぞれ、調心リング17、1
7と組み合わされて外輪ユニットを構成している。即
ち、上記各外輪14、14を上記調心リング17、17
内に揺動自在に嵌装する事により、上記各外輪14、1
4の中心軸と上記各調心リング17、17の中心軸との
ずれを補償自在な、自動調心軸受を構成している。そし
て、これら1対の調心リング17、17を上記各円孔1
2、12の内側に、軸受箱18a、18bを介して支持
している。更に、これら1対の調心リング17、17の
うち、一方(図2の右方)の調心リング17は、当該調
心リング17を支持する為の軸受箱18aの内側に、軸
方向(図2の左右方向)に亙る変位不能に支持してい
る。又、他方(図2の左方)の調心リング17は、当該
調心リング17を支持する為の軸受箱18bの内側に、
軸方向(図2の左右方向)に亙る変位自在に支持してい
る。
【0006】この様に、上記他方の調心リング17を軸
受箱18bを介して円孔12の内側に、軸方向に亙る変
位自在に支持するのは、上記サポートロール8の温度変
化に伴う、熱膨張並びに収縮による応力を吸収する為で
ある。即ち、このサポートロール8の温度は、めっき装
置の使用時にはめっき槽6内の溶融金属5の温度と同じ
450℃程度にまで上昇するが、保守点検等の為、めっ
き槽6から引き上げた状態では、常温にまで低下する。
従って、上記サポートロール8の全長は、めっき装置の
使用時と保守点検作業時とで、熱膨張収縮に基づいて相
当に変化する。この為、この変化分を吸収する手段が必
要になる。そこで、上述の様に、一方の調心リング17
を軸受箱18bの内側に、軸方向に亙る変位自在に支持
して、上記全長の変化分を吸収自在としている。保守点
検等の為、それまで溶融金属5中に浸漬されていたサポ
ートロール8を引き上げると、このサポートロール8の
温度低下に基づく全長の収縮に伴って、上記他方の調心
リング17が図2で右方に変位し、この収縮分を吸収す
る。
【0007】この様な収縮分の吸収を円滑且つ確実に行
なわせるべく、一部の溶融金属が上記軸受箱18bの内
周面に付着する事を防止する構造が、特開平7−173
593号公報に記載されている。この改良された構造
は、図3に示す様に、上記軸受箱18bの内周面を、Ta
等、上記溶融金属に対する濡れ性の悪い材料により造ら
れたスリーブ20により覆い、この内周面に上記溶融金
属が付着したまま固化するのを防止したものである。こ
の様な構造を採用すると、それまで溶融金属中に浸漬さ
れていたサポートロール8を引き上げて大気中に露出さ
せた場合に、上記内周面に溶融金属が付着しない為、こ
の内周面と調心リング17の外周面との摺動が円滑に行
なわれ、上記収縮に伴って上記サポートロール8の両端
の軸受部に作用する応力を緩和できる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述の様な
改良された溶融金属めっき浴中のロール支持装置の場
合、軸受箱18bの内周面にスリーブ20を内嵌し、更
にこのスリーブ20の抜け止めを図る為のストッパ37
を設ける等、必要部分に溶融金属に対して濡れ性の悪い
材料を配置する為に、多くの部品と組立工数とが必要に
なり、コストが嵩む。一方、上記特開平7−17359
3号公報には、上記必要部分に、スリーブ20に代え
て、溶融金属に対して濡れ性の悪い材料であるSiCのコ
ーティング層を形成する事も記載されている。この様な
コーティング層の場合、上記部品点数と組立工数との増
大に基づくコスト上昇は防止でき、又、サポートロール
8の両端の軸受部に作用する応力を緩和できる。但し、
一般的なコーティング層の場合には、相手面への密着性
が必ずしも十分とは言えない為、前記保守点検等を1回
行なう度にコーティング作業を行なう必要があり面倒で
ある為、この面からコストを上昇させる。本発明の溶融
金属めっき浴中のロール支持装置は、この様な事情に鑑
みて考えたものである。
【0009】
【課題を解決する為の手段】本発明の溶融金属めっき浴
中のロール支持装置は、前述した従来の溶融金属めっき
浴中のロール支持装置と同様に、溶融金属めっき浴中に
設けられるロールと、このロールの両端面中心部から突
出した、互いに同心で且つ上記ロールと同心の1対の軸
と、少なくともそれぞれの先端部を上記溶融金属めっき
浴中に浸漬した1対の支持腕と、各支持腕の先端部に設
けられた軸受箱と、これら各軸受箱の内周面と上記各軸
の外周面との間に設けられた1対の転がり軸受とを備え
る。そして、少なくとも一方の軸受箱は転がり軸受を構
成する外輪を、軸方向に亙る変位自在に支持している。
【0010】特に、本発明の溶融金属めっき浴中のロー
ル支持装置に於いては、上記少なくとも一方の軸受箱の
内周面と当該軸受箱の内側に保持された転がり軸受を構
成する外輪ユニットの外周面とのうちの少なくとも一方
の周面は、上記溶融金属に対する濡れ性が悪い材料によ
り構成される表面処理膜により覆われている(当該周面
を濡れ性の悪い材料により表面改質する)。尚、上記外
輪ユニットの外周面とは、調心リングを使用する場合に
はこの調心リングの外周面である。又、例えば転がり軸
受が自動調心ころ軸受の場合の様に、調心リングを使用
しない場合には外輪自身の外周面が外輪ユニットの外周
面である。更に、上記軸受箱の内周面と上記外輪ユニッ
トの外周面とは、何れの周面も濡れ性の悪い材料により
表面改質する事が好ましいが、一方の周面のみを濡れ性
の悪い材料により表面改質する場合には、幅広の周面の
みを表面改質する事が好ましい。
【0011】又、上記濡れ性の悪い材料は、溶融金属の
種類に応じて選定するが、例えば溶融金属が亜鉛、アル
ミニウム、又はこれらの合金である場合には、Al、Si、
Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Re、Os、Ir、Pt、Au
等の金属の単体或はこれら各金属を含む合金の他、B、
C等の非金属、上記各元素の硼化物、炭化物、窒化物、
酸化物、硫化物、更には、以上に述べた各物質同士のな
かから選択された2種以上の物質による複合材料を使用
できる。又、これらの物質により所望の周面を改質する
方法は、当該周面に対して十分な密着強度を得られる方
法を採用するが、例えば、焼き付け、凝着、溶射、真空
蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング、CVD
(化学気相蒸着法)、イオン注入、めっき法等が挙げら
れる。
【0012】尚、濡れ性の程度を客観的に表す数値とし
て、液滴(溶融金属)と固体面(上記一方の周面)との
接触角θ(濡れ角)があり、この接触角θが大きい程濡
れ性が悪いとされる。本明細書で言う濡れ性の悪い材料
としては、溶融金属の接触角θが90度以上(θ≧90
度)好ましくは100度以上(θ≧100度)となるも
のを使用する。溶融金属の接触角θが90度未満となる
材料を使用すると、この溶融金属が表面に付着し易くな
る。そこで、上記接触角θが90度以上の材料を使用す
るが、100度以上のものを使用すれば、当該材料表面
と溶融金属との付着防止効果がより確実になる。
【0013】
【作用】上述の様に構成される本発明の溶融金属めっき
浴中のロール支持装置の場合、互いに嵌合した少なくと
も一方の軸受箱の内周面と外輪ユニットの外周面との嵌
合部分に溶融金属が付着しにくく、仮に付着して冷却固
化した場合でも、軽い力で剥離する。この為、上記嵌合
部分に付着して固化した金属が、転がり軸受が軸方向に
変位する事に対して大きな抵抗とならず、上記ロール支
持装置を構成する1対の転がり軸受に、スラスト方向に
亙る大きな力が作用する事を防止できる。この結果、上
記転がり軸受の破損防止を図れる。
【0014】更に、上記作用を発揮させる為の濡れ性の
悪い材料は、所望の周面を表面処理膜として覆っている
為、部品点数と組立工数との増大に基づくコスト上昇が
防止される。又、表面処理膜は十分な耐久性を有し、多
数回の繰り返し使用に堪えられるので、保守点検等を1
回行なう度に表面処理膜を形成する必要もなく、この面
からのコスト抑制も図れる。
【0015】
【実施例】本発明の効果を確認する為、試料の表面に、
C(黒鉛)、Ta(タンタル)を凝着、焼き付け、溶射
(溶射の場合、Taのみ)する事により表面処理膜を形成
し、この表面処理膜の評価を行なった。先ず、図4は試
料の周面に、上記表面処理膜である凝着膜を形成する装
置を示している。基台21の一端部(図4の右端部)上
面に固定した軸受ハウジング22には主軸23を回転自
在に支持し、この主軸23の基端部(図4の右端部)に
固定のプーリ24に掛け渡したベルト25により、上記
主軸23を回転駆動自在としている。この主軸23の先
端部(図4の左端部)にはチャック26を固定し、この
チャック26により、被加工物である軸受箱18bの外
周面を掴んでいる。即ち、図4に示した装置は、この軸
受箱18bの内周面に凝着膜を形成すべく構成されてい
る。又、上記基台21の他端部(図4の左端部)上面に
設けた昇降台27の上面に設けた支柱36に、負荷レバ
ー28の基端部(図4の左端部)を、片持ち式に支持し
ている。又、バランサ29によって、(次述する重り3
1を装着する以前に於ける)この負荷レバー28の水平
保持を図っている。
【0016】この状態でこの負荷レバー28の先端部
(図4の右端部)は、上記軸受箱18bの内側に挿入さ
れており、この先端部に保持した凝着材料30を、この
軸受箱18bの内周面に当接させている。更に、上記負
荷レバー28の中間部には重り31を吊り下げている。
従って、上記凝着材料30は、この重り31の重量に見
合う大きさの力で、上記軸受箱18bの内周面に押し付
けられている。上記軸受箱18bの内周面に凝着膜を形
成する場合には、上述の様に凝着材料30を軸受箱18
bの内周面に押し付けた状態のまま、上記主軸23を介
してこの軸受箱18bを回転させる。この結果、上記凝
着材料30の一部が上記軸受箱18bの内周面に凝着
し、この内周面に凝着膜を形成する。
【0017】本発明者は、この図4に示す様な装置を使
用して、SUS316製の軸受箱18bの内周面に、Ta
製の凝着膜を形成した。形成時の条件は、滑り速度が
3.7m/s とした。この様にして得られる凝着膜の膜厚
は、98〜196Nの範囲で選択される上記重り31の
重量により定まる押し付け荷重と、処理時間との、一方
又は双方を変える事により調節自在である。尚、所望の
膜厚を得る為の条件を求めるべく、上記凝着材料30を
上記軸受箱18bの内周面の軸方向一部にのみ当接させ
て、この内周面の軸方向一部にのみ上記凝着膜を形成
し、残部はそのままとした。そして、凝着膜を形成した
後に、上記軸方向一部と残部との段差を触針式形状測定
器により測定して、上記凝着膜の膜厚と押し付け荷重及
び処理時間との関係を求めた。尚、上記凝着材料30を
Taに代えて黒鉛とした場合も、同様にして軸受箱18b
の内周面に凝着膜を形成できる。更に、前記チャック2
6により外輪ユニットの内周面を支持し、上記凝着材料
30をこの外輪ユニットの外周面に押し付ければ、この
外周面に凝着膜を形成する事もできる。
【0018】次に、焼き付けによる表面処理膜(焼き付
け膜)の形成方法は、次の通りである。先ず、焼き付け
による表面処理膜を形成する為の材料(Ta又は黒鉛) の
粉末と、この粉末と同容量の水ガラス粉末(黒鉛の場合
のみ。Taの場合には不要。)とを所定量計り取って混合
し、得られた混合粉末を有機溶剤に分散させて焼き付け
材料溶液とした。そして、前記図4に示した装置のチャ
ック26に被加工物(軸受箱18b又は外輪ユニット)
を保持し、この被加工物を500r.p.m.で回転させなが
ら、表面処理膜を形成すべき周面に向け、上記焼き付け
材料溶液を所定時間噴霧し、更にこの焼き付け材料中の
有機溶剤が揮発し切るまで回転させ続けた。その後、上
記周面に焼き付け材料を付着させた被加工物をチャック
26から取り外してガス置換炉に入れ、窒素雰囲気中で
480℃、3時間の加熱処理を行ない、上記周面に焼き
付けによる表面処理膜を形成した。この様にして得られ
る表面処理膜の膜厚は、上記焼き付け材料溶液の濃度
(=(表面処理膜を形成する為の材料粉末の容積/有機
溶剤容積)×100)を3〜40(%)の範囲で調整す
ると共に、この焼き付け材料溶液を噴霧する上記所定時
間を変える事により調整自在である。尚、所望の膜厚を
得る為の条件を求めるべく、表面処理膜を形成すべき周
面の一部をマスキングして、この周面に表面処理膜が形
成された部分とされない部分とを設けた。そして、焼き
付けによる表面処理膜を形成後に、上記形成した部分と
形成されていない部分との段差を触針式形状測定器によ
り測定して、上記焼き付けによる表面処理膜の膜厚と濃
度及び噴霧時間との関係を求めた。
【0019】又、溶射による表面処理膜(溶射膜)の形
成方法は、次の通りである。先ず、被加工物を回転させ
ながらその周面に上記表面処理膜を形成すべき材料(T
a)をプラズマ溶射により付着させる。次いで、この様
に周面に付着した材料の表面を研削し更に研磨して、こ
の周面を平滑にする。
【0020】上述の様な各方法により、軸受箱18bの
内周面と外輪ユニットの外周面との一方又は双方に表面
処理膜を形成した後、これら軸受箱18bと外輪ユニッ
トとを図5に示す様な試験装置に組み込んで、溶融金属
浴中で回転させた。この図5に示した回転試験装置は、
前記サポートロール8端面の軸13(図2〜3参照)に
相当する回転軸32を鉛直方向に配置し、この回転軸3
2の下端部で溶融金属5内に浸漬された部分を上記軸受
箱18bの内側に、内輪15と転動体16、16と外輪
14と調心リング17とから成る転がり軸受11により
回転自在に保持している。又、内輪15は回転軸32に
対し、ボルト38を介して、抑え板35により固定され
ている。そして、負荷レバー33により上記軸受箱18
bに、所定のラジアル荷重を付与しつつ、上記回転軸3
2を回転させる事により、回転試験を行なった。
【0021】この回転試験の条件は次の通りである。 溶融金属の種類 : 0.15重量%のAlを含むZn 溶融金属の温度 : 450℃ 回転速度 : 300r.p.m. ラジアル荷重 : 98N 回転時間 : 3時間 又、上記転がり軸受11は、呼び番号が6206である
深溝型玉軸受の外径面を球面状に修正すると共に調心リ
ング17と組み合わせて自動調心軸受としたもので、次
の諸元を有する。 外径寸法 : 62mm 内径寸法 : 30mm 幅寸法 : 16mm 調心リングの外径寸法 : 70mm 同じく幅寸法 : 16mm 更に、この転がり軸受11と組み合わされる軸受箱18
bの寸法は、次の通りである。 外径寸法 : 90mm 内径寸法 : 70mm 幅寸法 : 22mm
【0022】上記した条件で表面処理膜を形成した部材
(軸受箱18bと外輪ユニットとの一方又は双方)を含
んで構成される軸受部により支持された回転軸32を溶
融金属5中で回転させた後、これら回転軸32及び軸受
部を前記負荷レバー33ごと溶融金属5中から引き上
げ、大気中に放置して十分に冷却した。その後、図6に
示す様に、軸受箱18bの内径よりも少し大きな内径を
有する受台34上に、この軸受箱18bの内周面がこの
受台34の内周面の内側に位置する様にして、上記溶融
金属5中への浸漬状態とは上下逆にして載置する。次い
で、上記転がり軸受11の内輪15を回転軸32に固定
している抑え板35を介してこの転がり軸受11に、図
6で下向のスラスト荷重を加え(この荷重を徐々に大き
くし)、上記調心リング17及び転がり軸受11が上記
軸受箱18bの内側から引き抜けるか否かを確認した。
回転試験及び引き抜き試験は、これら両試験を組み合わ
せて2回繰り返して行った。即ち、軸受箱18bから調
心リング17を引き抜けた試験片は、再び調心リング1
7を軸受箱18b内に挿入する事で組み立て、再度溶融
金属5中に所定時間浸漬してから取り出し、再び引き抜
き試験に供した。但し、何れかの部分が破損した場合
は、以後の実験は中止した。
【0023】先ず、第一の実験は、上記軸受箱18bの
内周面と調心リング17の外周面とに膜厚が1μmであ
る黒鉛の表面処理膜を凝着により形成し、前記回転試験
の後に上記引き抜き試験が成功するか否かを確認した。
その結果を、下述する表1に示す。表1の表面処理部の
欄に記載した符号のうち、○は表面処理を施した事を、
×は施していない事を、それぞれ表している。又、比較
例2は、前記図3に示した特開平7−173593号公
報に記載された構造で、スリーブ20を厚さ4mmの黒鉛
により構成したものである。この構造が、引き抜きの円
滑化に効果がある反面、複雑でコストが嵩む事は前述の
通りである。
【0024】
【表1】
【0025】上記第一の実験の結果を表した表1から明
らかな通り、上記軸受箱18bの内周面と調心リング1
7の外周面との少なくとも一方の周面に表面処理膜であ
る黒鉛の凝着膜を形成すれば、軸受箱18bから転がり
軸受11を円滑に、しかも凝着膜の再形成作業を行なう
事なく複数回引き抜く事ができる。従って、コストを高
くする事なく、しかも保守点検作業の度に上記転がり軸
受11を交換する事なく、この転がり軸受11を複数回
使用できる。尚、表1からは明らかではないが、上記軸
受箱18bの内周面と調心リング17の外周面との双方
に表面処理膜を形成すれば、上記引き抜きに要する力を
一層低減させ、更に表面処理を繰り返し行なう事なく、
多数回の繰り返し使用が可能になる。又、この表面処理
膜を形成する為の材料を、黒鉛に代えてTaとした場合で
も、同様の結果を得られる。更に、表面処理の方法を凝
着に代えて焼き付け、溶射等、他の方法とした場合でも
同様である。
【0026】次に、表面処理膜の膜厚が引き抜き可能回
数に及ぼす影響を知る為、膜厚を各種変えた多数の試料
に就いて、上記回転試験及び引き抜き試験を行なった
(第二の実験)。その結果を図7に示す。この図7で、
丸印は凝着により上記表面処理膜を形成したもの、三角
印は同じく焼き付けによるもの、四角印は同じく溶射に
よるものである。又、各印のうち、白抜きのものは表面
処理膜の材料がTaであるもの、黒く塗りつぶしたものは
黒鉛であるものである。尚、黒鉛の場合には溶射膜を形
成できない為、凝着及び焼き付けにより表面処理膜を形
成するのみとした。
【0027】この第二の実験の結果を示す図7から、次
の〜の事が分る。 表面処理膜がTa又は黒鉛の凝着膜である場合には、
膜厚が0.5μm未満であると、繰り返し引き抜き可能
性に関して、十分な効果を得られない。従って、凝着膜
の下限値は0.5μmである。これに対して、凝着膜の
厚さが厚くなるに従い、生産性が悪くなると共に、形成
された凝着膜にクラックが発生し、このクラックから凝
着膜が剥離し易くなる。この結果、凝着膜の膜厚が10
μmを越えると、繰り返し引き抜き可能性に関して、や
はり十分な効果を得られなくなる。そして、凝着膜形成
の容易性や生産性(加工時間等)を考慮した場合、上記
凝着膜の膜厚は、膜厚の増大に伴って効果がそれ以上は
向上しなくなる、2μm以下に抑える事が好ましい。こ
れらをまとめると、表面処理膜がTa又は黒鉛の凝着膜で
ある場合には、膜厚を0.5〜10μm、より好ましく
は0.5〜2μmの範囲に規制すべきである。
【0028】 表面処理膜がTa又は黒鉛の焼き付け膜
である場合には、凝着膜の場合と同様の考えから、膜厚
を0.5〜50μmの範囲に規制する事が好ましい。
【0029】 表面処理膜がTaの溶射膜である場合に
は、膜厚を1μm未満として安定した溶射膜を得る事は
困難である。具体的には、上記溶射膜の膜厚を1μm未
満にすると、研削、研磨等の後加工を必要とする溶射膜
の場合には、この溶射膜で被覆すべき周面の一部に地金
(軸受箱18b、或は調心リング17を構成するセラミ
ックス、金属等)が露出する。そして、当該露出部分に
溶融金属が付着する為、上記繰り返し引き抜き可能性に
関する性能が悪くなる。これに対して、溶射膜の厚さが
厚くなるに従い、生産性が悪くなると共に、形成された
溶射膜にクラックが発生し、このクラックから溶射膜が
剥離し易くなる。この結果、溶射膜の膜厚が1000μ
m(=1mm)を越えると、繰り返し引き抜き可能性に関
して、やはり十分な効果を得られなくなる。これらをま
とめると、表面処理膜がTaの溶射膜である場合には、膜
厚を1μm〜1000μmの範囲に規制する事が好まし
い。
【0030】
【発明の効果】本発明の溶融金属めっき浴中のロール支
持装置は、以上に述べた通り構成され作用する為、転が
り軸受に大きなスラスト荷重が加わるのを防止して、こ
の転がり軸受の破損防止を確実に図れる。更に、部品点
数を少なくして構造を簡単にし、コスト低減を図れ、し
かも保守点検等の度に表面処理を行なう必要もないの
で、ランニングコストが嵩む事もない。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶融金属めっき装置の略縦断側面図。
【図2】図1の拡大X−X断面図。
【図3】先発明の構造を示す要部縦断面図。
【図4】凝着膜を形成する為の装置を示す部分縦断側面
図。
【図5】本発明の効果を確認する為の回転試験に使用し
た試験装置の断面図。
【図6】回転試験後に行なった引き抜き試験の実施状態
を示す断面図。
【図7】膜厚と引き抜き試験の結果との関係を示す線
図。
【符号の説明】
1、1a 金属板 2 搬送ロール 3 連続炉 4 スナウト 5 溶融金属 6 めっき槽 7 シンクロール 8 サポートロール 9 ノズル 10 支持腕 11 転がり軸受 12 円孔 13、13a 軸 14 外輪 15 内輪 16 転動体 17 調心リング 18a、18b 軸受箱 19 保持器 20 スリーブ 21 基台 22 軸受ハウジング 23 主軸 24 プーリ 25 ベルト 26 チャック 27 昇降台 28 負荷レバー 29 バランサ 30 凝着材料 31 重り 32 回転軸 33 負荷レバー 34 受台 35 抑え板 36 支柱 37 ストッパ 38 ボルト
フロントページの続き (72)発明者 矢川 敦久 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 (72)発明者 森 俊博 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 (72)発明者 但田 賢哉 茨城県鹿嶋市大字光3番地 住友金属工業 株式会社鹿島製鉄所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融金属めっき浴中に設けられるロール
    と、このロールの両端面中心部から突出した、互いに同
    心で且つ上記ロールと同心の1対の軸と、少なくともそ
    れぞれの先端部を上記溶融金属めっき浴中に浸漬した1
    対の支持腕と、各支持腕の先端部に設けられた軸受箱
    と、これら各軸受箱の内周面と上記各軸の外周面との間
    に設けられた1対の転がり軸受とを備え、少なくとも一
    方の軸受箱は転がり軸受を構成する外輪を、軸方向に亙
    る変位自在に支持している溶融金属めっき浴中のロール
    支持装置に於いて、上記少なくとも一方の軸受箱の内周
    面と当該軸受箱の内側に保持された転がり軸受を構成す
    る外輪ユニットの外周面とのうちの少なくとも一方の周
    面は、上記溶融金属に対する濡れ性が悪い材料により構
    成される表面処理膜により覆われている事を特徴とする
    溶融金属めっき浴中のロール支持装置。
JP30592195A 1995-11-24 1995-11-24 溶融金属めっき浴中のロール支持装置 Pending JPH09143665A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008063622A (ja) * 2006-09-07 2008-03-21 Sumitomo Metal Ind Ltd 溶融金属めっき浴用滑り軸受装置
JP2009013446A (ja) * 2007-07-02 2009-01-22 Nippon Steel Corp 溶融金属浴中ロール、転がり軸受及びロールセット、並びに、溶融金属浴中ロールの回転支持方法
JP2015523457A (ja) * 2012-04-12 2015-08-13 セロベア ゲーエムベーハー 熱い媒体(i)内で帯材を誘導するための装置

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