JPH09140811A - 緊急避難用降下ベルト - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 安全で軽く安価なことはもとより、手足への
負担が軽くて使い勝手のよい、極めてコンパクトな高所
より独力で避難するための緊急避難用降下具。 【解決手段】 ベルト（１）を重ね合わせ、適当な間隔
で所定の部位を必要箇所接着して一体部（３）とし、か
つ、空間部（２）と（２）の中間に位置する一体部
（３）より等間隔にあるベルト（１）の両外面におけ
る、接続部位（４）と（４）を薄くて平らなゴム（５）
を用いて接続することにより、接続部位（４）と（４）
の間隔を縮めてベルト（１）で囲まれた空間部（２）を
必要個数形成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、高所よりの緊急用
避難具に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、高所より独力で避難するための簡
便な道具としては、梯子や縄梯子があり、関連するもの
として緊急避難用降下機もある。また、ベルトを用いた
ものとして、緊急避難用降下ベルト（出願番号、特願平
６−３１００５１）を出願している。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】従来の技術で述べたと
ころの梯子や縄梯子は、携帯には極めて不便であるし、
緊急避難用降下機は高価である。また、緊急避難用降下
ベルト（出願番号、特願平 ６−３１００５１）は、ベ
ルトやベルト様のものに、腕や足が通せる穴を適当な間
隔で複数個明けたもので、穴に手や足を通してベルトや
ベルト様のものに負荷をかけると穴が変形し、平らな面
が手や足に接触することを利用して、手足への負担を軽
減しようとしている。安価で軽く極めてコンパクトなの
で、携帯には極めて便利ではあるが、それぞれの実施例
において以下に述べるような問題点を有する。

【０００４】図１に示される実施例では、ベルトの幅を
小さくし、手足を容易に通せるような長穴を複数個明け
たものであるが、長穴に足を通そうとするとベルトは軽
いので足と共に動いてしまう。したがって、手を使わ
ず、長穴に足を通すことは困難である。また、長穴を明
けているので、ベルトの幅を１００％有効に利用して手
足への負担を少なくすることが不可能である。そのう
え、手足に接触するベルト面は、左右面対称にはならな
いので変形が大きく良好な面接触とはならない。軽く、
コンパクトにするために薄いベルトを用いると、よりベ
ルトの変形は大きくなり、手足への接触面積は小さくな
るので手足への負担は大きく、特に、素手や素足で使用
すると苦痛を伴い使い勝手がよくない。

【０００５】図２に示される実施例では、ベルトの幅を
より小さくするために、図１に示される実施例の長穴を
ボタンホールにしたものであるが、図１のものに比べ
て、手を使わず、ボタンホールに足を掛けたり通すこと
は極めて困難である。手足への負担は幾分軽減はするも
のの、やはり図１における実施例と同様の理由により使
い勝手はよくない。

【０００６】図３に示される実施例では、ベルトの幅を
大きくし、手足が極めて容易に通るように穴を大きくし
たものであるが、やはり図１における実施例と同様の理
由により、手足への負担が大きく使い勝手はよくない。
また、手足を容易に穴に掛けたり通すことはできるが、
ベルトの幅が大きなるという欠点がある。

【０００７】本発明は、このような問題点に鑑みてなさ
れたものであり、その目的とするところは、より幅を小
さく、より厚みの薄いベルト又はベルト様のものを用い
た場合においても、安全で軽く、しかも安価で極めて携
帯に便利なことはもとより、特に、素手や素足で使用し
ても手足への負担を軽く、しかもベルト又はベルト様の
もので形成された空間部に、手足を容易に掛けたり通す
ことのできる使い勝手のよい緊急避難用の降下具を提供
しようとするものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の緊急避難用降下ベルト（以下単に降下ベル
トと呼ぶ）においては、ベルト又はベルト様のもの（以
下単にベルトと呼ぶ）で囲まれた空間部を、適当な間隔
で必要個数連続して形成し、かつ、空間部と空間部の中
間に位置する一体部より等間隔にある、前記ベルトの両
外面における接続部位を接着、又は接続に必要なもので
接続する。

【０００９】上記ベルトの空間部を形成している部分に
切欠き部を設けると、後記する理由により、使い勝手の
よい降下ベルトを提供できる。

【００１０】また、ベルトの空間部を形成している部分
にスリットを設けても、後記する理由により、使い勝手
のよい降下ベルトを提供できる。

【００１１】また、ベルトを片端又は両端に延長し、か
つ、延長した部分にスリットを設けると、後記する理由
により、さらに使い勝手のよい降下ベルトを提供するこ
とができる。

【００１２】上記のように構成されているので、袋や収
納ケース等より折り畳まれた降下ベルトを取り出し、片
端のスリット又は空間部を利用して適当なものに固定
し、残りの部分を下に投げ降ろすと、折り畳まれていた
降下ベルトは自重により伸長する。そのため、残りの空
間部は足を容易に通すことができる所定の形状に自動的
に形成される。以下、作用等をそれぞれの実施例にもと
づいて説明する。

【００１３】ベルトの両外面における接続部位を、弾性
体である薄くて平らなゴムで接続した実施例について説
明する。手でベルトを握りながら片足を空間部に入れ、
一体部に体重をかけると薄くて平らなゴムは伸びるの
で、その空間部は変形して小さくなり、その変形量に比
例して降下ベルトは伸びる。一段降りる毎に少しずつ伸
びるので違和感はない。体重のかかっている部分より上
部では、降下ベルトが伸びた状態になっているので空間
部はなくなっているが、下部の空間部は所定の形状が維
持されている。

【００１４】薄くて平らなゴムが縮んでいる部分におい
ては、足を容易に掛けたり通すことのできるベルトで囲
まれた空間部が形成され、縄梯子におけるロープ部とス
テップ部の機能を発生させている。ベルトに引張り力が
加えられると、薄くて平らなゴムは伸び降下ベルトも伸
びるので、縄梯子におけるステップ部はロープ部に変化
する。ベルトから引張り力を取り去ると、ゴムが縮むの
で降下ベルトも縮み空間部は所定の形状に復元する。

【００１５】また、接続部位をマジックテープやホック
等を用いて接続した実施例では、空間部内の一体部に体
重をかけてマジックテープやホック等を引き外しながら
降下する。ベルトから引張り力を取り去っても降下ベル
トは伸びたままなので、改めて使用するためには、マジ
ックテープやホック等を再接続して所定の空間部を再形
成する。

【００１６】また、接続部位を接着力の弱い接着剤等で
接着、又は糸や両面テープ等を用いて接続した実施例で
は、空間部内の一体部に体重をかけて接続部位を引き離
したり、糸を切断したり、両面テープを引き剥がしなが
ら下降するので、緊急時に一人が一度のみ使用可能であ
る。ただし、所定の接続部位を再び接着又は接続すれば
再使用可能である。

【００１７】そして、ベルトの空間部を形成している部
分に切欠き部を設けることにより、ベルトに引張り力が
加わって降下ベルトが伸び、ベルトから多少の圧力は受
けても、切欠き部から手をベルトとベルトの間に入れて
ベルトを握ったり、一体部に手を掛けることが容易にで
きる。また、スリットを設けて、これに手を掛けたり、
手を入れてベルトをしっかりと握ることができる。その
ため、握力の弱い人にとってはスリップ防止のための有
効な働きをする。

【００１８】空間部やスリットは、係止具として、さら
に、降下ベルトの片端を空間部やスリットに通すことに
より、大きな係止具を簡単に作るための有効な働きをす
る。また、ベルトを片端又は両端に延長し、かつ、延長
した部分にスリットを設けた実施例では、係止具として
の働きはもちろんのこと、ベルトの長くて平らな面を利
用して色々のものを締めたり結ぶ場合に有効な働きをす
る。

【００１９】

【発明の実施の形態】発明の実施の形態を実施例にもと
づき図面を参照して説明する。図１に示される実施例で
は、ベルト（１）を重ね合わせ、適当な間隔で所定の部
位を必要箇所縫製や接着剤等で接着して一体部（３）と
し、かつ、空間部（２）と（２）の中間に位置する一体
部（３）より等間隔にあるベルト（１）の両外面におけ
る、接続部位（４）と（４）を接続に必要なもの（５）
が、弾性体である薄くて平らなゴムを用いて接続するこ
とにより、接続部位（４）と（４）との間隔を縮めてベ
ルト（１）を変形させ、ベルト（１）で囲まれた空間部
（２）を必要個数形成したものである。

【００２０】接続に必要なもの（５）としての弾性体
は、降下ベルトをコンパクトに折り畳んだり、安定した
形状の空間部（２）を形成するために、薄くて平らなゴ
ムを用いると効果的である。コイルばねや、Ｕ字形ない
しはＶ字形の板ばねを用いることも可能ではあるが、折
り畳んで収納することに関して難点がある。

【００２１】図３に示される実施例では、色々な実施例
において、ベルト（１）を両端に延長し、かつ、延長し
た部分にスリット（７）（ボタンホールや長穴としても
よい）を設けたものである。

【００２２】図１に示される実施例においては、ベルト
（１）を変形させ、空間部（２）を形成する手段の一つ
として、弾性体である薄くて平らなゴムを用いている
が、他の実施例として、マジックテープやホック等を用
いたり、糸や両面テープを用いてもよいし、接続部位
（４）と（４）を接着力の弱い接着剤等で接着してもよ
い。

【００２３】また、色々な実施例において、使い勝手を
よくするために、図６に示される実施例では、ベルト
（１）の空間部（２）を形成している部分に切欠き部
（６）を設けたものであり、図７に示される実施例で
は、スリット（７）を設けたものである。

【００２４】以上の実施例において、連続した空間部
は、ループ状のベルトを必要個数接着してもよい。ま
た、ベルトは、降下ベルトをコンパクトに折り畳んで収
納するために、平たくて薄く柔軟性に富んだものがよ
く、強度が保証できればテープやリボン様のものでもよ
い。特に、火災現場での使用に耐えられるように防炎加
工を施したり、熱に強い材料を用いるとよい。さらに、
蛍光塗料を塗布したり、反射テープを接着すると夜間使
用時には便利である。

【００２５】そして、弾性体は、降下ベルトの自重によ
り、空間部の所定の形状が大きく変化しないような強度
が必要であるし、マジックテープや糸等を用いた場合に
おいても、容易に引き外されたり、切断されることがな
いように余裕を持った強度が必要である。また、弾性体
やマジックテープ、糸等を一段とびに設けても、足を掛
けたり通すことのできる空間部を形成することは可能で
ある。

【００２６】つぎに、使い勝手をよくするための実施例
として、ベルトの空間部を形成している部分に切欠き部
を設けているが、同様の効果を得る方法として、異なる
幅の平らなベルトを重ね合わせたり、同じ幅のものであ
れば少しずらして重ね合わせてもよい。そして、薄くて
平らなゴムをベルトに立体的に織り込んだり、降下ベル
トを立体的に織ることが可能であれば、接着や接続作業
は不必要となり大きな省力化が期待できる。

【００２７】

【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、以下に記載されるような効果を奏する。

【００２８】手足に接触するベルトは左右面対称なの
で、空間部内の一体部に足を掛けてもベルトの変形は小
さく、ベルトの幅を有効に利用できるので、厚みをより
薄く、幅をより小さくしても手足への面圧を小さくして
苦痛をなくすことができる。

【００２９】また、手足は、ベルトにより側面からの圧
力を多少うけるのでスリップしにくい。

【００３０】さらに、極めてコンパクトではあっても、
ベルトに引張り力が加わっていない部分においては、容
易に足を掛けたり通すことのできる空間部が形成されて
いるので、使い勝手がよく、そのうえ、切欠き部やスリ
ットを設けたものは縄梯子と同様、手足の力を十分に使
えるので高所より安全に降下できる。特に、空間部を形
成する手段の一つとして弾性体を用いた降下ベルトは、
短時間に多くの人が連続して使用できる。

【００３１】それに、縄梯子のような特別のステップ部
は不要なので、極めて軽くコンパクトになるし、資源の
節約にもなる。

【００３２】また、ベルトを用いているので、引き伸ば
すとロープとしての代用も可能である。特に、空間部を
形成する手段の一つとして、マジックテープやホックを
用いた降下ベルトは、マジックテープやホックを引き外
したり、接続することにより、ロープの代用としたり、
降下ベルトとすることの使い分けが簡単にできるので便
利である。

【００３３】そして、以上のような効果のみならず、緊
急避難用降下ベルト（出願番号、特願平 ６−３１００
５１）の効果をも併せ持っている。以下にその効果を記
載すると、空間部やスリットは係止具として利用できる
ので、特別の係止具は不要である。さらに、大きな係止
具も簡単に作れるので、幼児や老人や病人の体を容易に
固定して降下させることができる。特に、図３に示す実
施例の降下ベルトが効果的である。また、空間部やスリ
ットを利用して、複数の降下ベルトを容易に接続し、よ
り長いものにすることが簡単にできる。そして、緊急避
難用降下機に比べて安価であるし、簡単に制作できる。
さらに、軽くて、コンパクトに折り畳めるので携帯には
極めて便利である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を略示する正面図である。

【図２】図１に示される実施例の両側面図である。

【図３】本発明の実施例を略示する正面図である。

【図４】図３に示される実施例の両側面図である。

【図５】図１に示される実施例を引き伸ばした場合の両
側面図である。

【図６】ベルトの空間部を形成している部分に、切欠き
部を設けた実施例の側面図である。

【図７】ベルトの空間部を形成している部分に、スリッ
トを設けた実施例の側面図である。

【図８】図１に示される実施例の折り畳み要領図であ
る。（矢印の向きにベルトを折り込み、次に、降下ベル
トの長手方向を圧縮する。）

【符号の説明】

１ ベルト ２ 空間部 ３ 一体部 ４ 接続部位 ５ 接着又は接続に必要なもの ６ 切欠き部 ７ スリット

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ベルト又はベルト様のもの（１）で囲ま
   れた空間部（２）を、適当な間隔で必要個数連続して形
   成し、かつ、空間部（２）と（２）の中間に位置する一
   体部（３）より等間隔にある、前記ベルト又はベルト様
   のもの（１）の両外面における接続部位（４）と（４）
   を接着、又は接続に必要なもの（５）で接続した緊急避
   難用降下ベルト。
2. 【請求項２】 ベルト又はベルト様のもの（１）の空間
   部（２）を形成している部分に、切欠き部（６）を設け
   た請求項１記載の緊急避難用降下ベルト。
3. 【請求項３】 ベルト又はベルト様のもの（１）の空間
   部（２）を形成している部分に、スリット（７）を設け
   た請求項１記載の緊急避難用降下ベルト。
4. 【請求項４】 片端又は両端にベルト又はベルト様のも
   の（１）を延長し、かつ、延長した部分にスリット
   （７）を設けた請求項１又は２又は３記載の緊急避難用
   降下ベルト。