JPH09139361A - 薄膜電極の形成方法 - Google Patents

薄膜電極の形成方法

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JPH09139361A
JPH09139361A JP31717595A JP31717595A JPH09139361A JP H09139361 A JPH09139361 A JP H09139361A JP 31717595 A JP31717595 A JP 31717595A JP 31717595 A JP31717595 A JP 31717595A JP H09139361 A JPH09139361 A JP H09139361A
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JP
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thin film
film electrode
metal
vacuum chamber
forming
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JP31717595A
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English (en)
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Masaaki Asano
雅朗 浅野
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 0.1μm以下の膜厚をもった薄膜電極を少
工程で形成する。 【解決手段】 第1のチャンバ100内にHeガスを導
入し、第2のチャンバ200に排気系230を接続して
排気する。るつぼ130内の銀140を加熱し、発生し
た金属蒸気を第2のチャンバ200へと導く。第2のチ
ャンバ内にテルピネオール蒸気を導入し銀蒸気との混合
気を発生させ、冷却板260上にテルピネオールで被覆
された粒径0.1μm以下の銀微粒子からなる沈積物2
80を得る。この沈積物と感光性樹脂とを混合し、銀微
粒子が分散媒中に凝集することなく均一に分散した金属
ペーストを作製する。この金属ペーストを基板上に所定
の厚みで塗布してペースト層を形成し、加熱乾燥により
テルピネオールを蒸散させる。ペースト層に対して所定
のフォトマスクを用いた露光を行い、現像により露光部
を除去し、残存部に対して焼成を行うことにより、薄膜
電極を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は薄膜電極の形成方
法、特に、膜厚がサブミクロン以下の薄膜を金属ペース
トを用いて形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】種々の集積回路やディスプレイパネルに
用いる基板上には、多数の薄膜電極を形成する必要があ
る。このような薄膜電極を形成する一般的な方法は、ス
パッタ法や蒸着法により基板上に金属層を形成し、これ
をパターニングする方法である。すなわち、金属層上に
レジスト層を形成し、このレジスト層に対して所定のフ
ォトマスクを用いて露光を行い、レジスト層を現像する
ことにより金属層の一部を露出し、この露出部をエッチ
ング法等により除去した後、レジスト層を剥離すれば、
所望のパターンをもった金属層からなる薄膜電極が形成
できる。ただ、この方法では、所望のパターンをもった
薄膜電極を形成するまでに、金属層の形成工程/レジス
ト層の形成工程/レジスト層に対する露光現像工程/エ
ッチング工程/レジスト層の剥離工程と多数の工程が必
要になる。
【0003】一方、いわゆる「金属ペースト」を用いて
薄膜電極を形成する方法も知られている。すなわち、感
光性樹脂中に金属粒子を分散させた「金属ペースト」を
用意し、この「金属ペースト」を基板上に塗布し、所定
のフォトマスクを用いて露光を行い、このペースト層を
現像して部分的に除去し、残存ペースト層に対する焼成
を行うことにより樹脂を除去し、最終的に金属からなる
層を形成する方法である。この「金属ペースト」を用い
た方法は、ペースト層自身が感光性レジストとして機能
するため、ペースト層の形成工程/ペースト層に対する
露光現像工程/焼成工程という工程だけで所望のパター
ンをもった薄膜電極を形成することができるため、上述
した一般的なパターニング方法に比べて製造工程数が少
なくなるという利点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、スパ
ッタ法や蒸着法により基板上に金属層を形成し、これを
パターニングして薄膜電極を形成するという一般的な電
極形成方法に比べて、「金属ペースト」を用いて薄膜電
極を形成する方法は、製造工程数が少なくなるという利
点を有するため、製造コストを低減できるというメリッ
トがある。しかしながら、従来の「金属ペースト」を用
いた薄膜電極の形成方法では、膜厚がサブミクロン以下
の薄膜電極を形成することはできなかった。これは、従
来の「金属ペースト」に含まれている金属粒子は、金属
塊を粉砕することにより得られる粒子であり、粒径が数
μm〜数十μm程度のものにならざるを得なかったため
である。このような粒径の金属粒子を含んだ「金属ペー
スト」を用いる限り、形成できる薄膜電極の膜厚は数μ
m〜数十μm程度となる。
【0005】一方、ディスプレイパネルに用いる基板上
には、近年、サブミクロン以下の膜厚をもった薄膜電極
の形成が要求されるようになってきている。たとえば、
薄膜トランジスタ素子やFED(Field Emission Displa
y )用電子放出素子に用いる電極としては、膜厚が0.
1μm以下の薄膜電極が一般的になってきている。特
に、複数の層の積層構造体からなる素子を形成する場合
には、段差を小さくするために、できるだけ膜厚の薄い
電極を形成するのが好ましい。このようなサブミクロン
以下の膜厚をもった薄膜電極は、上述したように、従来
の「金属ペースト」を用いた方法では形成することがで
きないため、スパッタ法や蒸着法により基板上にサブミ
クロンの厚みをもった金属層を形成し、これをパターニ
ングして薄膜電極を形成するという一般的な電極形成方
法を行っているのが現状である。しかし、この方法は多
数の工程が必要になり、製造コストが高騰するという問
題がある。
【0006】そこで本発明は、サブミクロン以下の膜厚
をもった薄膜電極を少工程で形成することができる薄膜
電極の形成方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
(1) 本発明の第1の態様は、薄膜電極の形成方法にお
いて、第1の真空チャンバと第2の真空チャンバとを用
意し、両チャンバを連結部を介して連結し、第1の真空
チャンバに不活性ガスを導入するとともに、第2のチャ
ンバに排気系を接続して排気し、第1の真空チャンバか
ら連結部を介して第2の真空チャンバに至る気流を発生
させ、第1の真空チャンバ内で金属を加熱し、発生した
金属蒸気を連結部を介して第2の真空チャンバへと導入
し、第2の真空チャンバへ有機溶媒蒸気を導入して、こ
の有機溶媒蒸気と金属蒸気とを混合し、有機溶媒で被覆
された金属微粒子を生成し、第2の真空チャンバ内に冷
却板を用意し、有機溶媒で被覆された金属微粒子をこの
冷却板上に沈積させ、冷却板上の沈積物と感光性樹脂と
を混合し、金属微粒子が分散媒中に凝集することなく均
一に分散した金属ペーストを作製し、この金属ペースト
を基板上に所定の厚みで塗布してペースト層を形成し、
このペースト層を乾燥させて含まれていた有機溶媒を蒸
散させ、乾燥したペースト層に対して所定のフォトマス
クを用いた露光を行い、現像により露光部もしくは非露
光部を除去し、ペースト層の残存部に対して焼成を行う
ことにより、含まれていた樹脂を除去し、金属からなる
薄膜電極を形成するようにしたものである。
【0008】(2) 本発明の第2の態様は、上述の第1
の態様に係る薄膜電極の形成方法において、感光性樹脂
として紫外線硬化型樹脂を用い、現像工程において非露
光部を溶出除去させるようにしたものである。
【0009】(3) 本発明の第3の態様は、上述の第1
の態様に係る薄膜電極の形成方法において、感光性樹脂
として紫外線崩壊型樹脂を用い、現像工程において露光
部を溶出除去させるようにしたものである。
【0010】(4) 本発明の第4の態様は、上述の第1
〜第3の態様に係る薄膜電極の形成方法において、冷却
板上に得られる沈積物に含まれる金属微粒子の粒径が、
形成すべき薄膜電極の厚みよりも小さくなるように、不
活性ガスおよび/または有機溶媒蒸気の導入量を調節す
るようにしたものである。
【0011】(5) 本発明の第5の態様は、上述の第1
〜第4の態様に係る薄膜電極の形成方法において、金属
微粒子と感光性樹脂との重量比が、100:10〜10
0:30の範囲となるように、冷却板上の沈積物と感光
性樹脂との混合を行い、金属ペーストを作製するように
したものである。
【0012】(6) 本発明の第6の態様は、上述の第1
〜第5の態様に係る薄膜電極の形成方法において、第1
の真空チャンバ内で加熱する金属として、Ag,Au,
Cu,Pt,Ni,Alもしくはこれらの合金を用いる
ようにしたものである。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図示する実施形態
に基づいて説明する。本発明では、まず、粒径が0.1
μm以下の金属微粒子を形成するために、図1に示すよ
うな装置を用意する。この装置の主たる構成要素は、第
1の真空チャンバ100と第2の真空チャンバ200と
であり、両チャンバは連結部300を介して連結されて
いる。第1の真空チャンバ100には、バルブ110を
介してガス導入路120が設けられており、後述するよ
うに、このガス導入路120からヘリウムなどの不活性
ガスが導入される。第1の真空チャンバ100内には、
るつぼ130が設置されており、このるつぼ130内に
は、材料となる金属140が収容される。るつぼ130
は、高周波誘導加熱装置150によって加熱され、収容
されていた金属140はこの熱によって、チャンバ内に
金属蒸気となって蒸発する。
【0014】一方、第2の真空チャンバ200には、バ
ルブ210を介してガス排出路220が設けられてお
り、このガス排出路220は、真空ポンプ230に接続
されている。この真空ポンプ230を動作させて第2の
真空チャンバ200内を排気すると、連結部300を介
して連結されている第1の真空チャンバ100内も排気
され、第1の真空チャンバ100から連結部300を介
して第2の真空チャンバ200に至る気流が発生するこ
とになる。この第2の真空チャンバ200には、更に、
バルブ240を介してガス導入路250が設けられてお
り、後述するように、このガス導入路250から有機溶
媒蒸気が導入される。また、第2の真空チャンバ200
内には、冷却板260が設置されており、この冷却板2
60には冷却剤循環路270が接合されており、冷却剤
循環路270内に冷却剤を循環させることにより、冷却
板260を冷却することができ、後述するように、この
冷却板260の表面には、金属微粒子の沈積層280を
得ることができる。
【0015】本発明による薄膜電極の形成方法の前半段
階は、上述の装置を用いて、粒径が0.1μm以下の金
属微粒子を作製する段階である。ここでは、銀の微粒子
を作製する実施形態を説明する。まず、第1の真空チャ
ンバ100内のるつぼ130内に材料となる銀140を
収容する。そして、バルブ110およびバルブ240を
閉じ、バルブ210を開き、真空ポンプ230を動作さ
せて排気を行い、第1の真空チャンバ100および第2
の真空チャンバ200内の圧力を、10−6torr程
度まで下げる。続いて、バルブ110を開いて不活性ガ
ス(たとえば、ヘリウムガス)を導入しながら、真空ポ
ンプ230による排気を続ける。そして、バルブ11
0,210の開度を調節しながら、両チャンバ内に充填
されたヘリウムガス圧が1torr程度になるようにす
る。ここで、バルブ240を開き、有機溶媒蒸気を導入
する。ここでは、有機溶媒蒸気として、テルピネオール
蒸気を用いている。
【0016】続いて、高周波誘導加熱装置150によっ
てるつぼ130を加熱し、銀140の蒸気を発生させ
る。発生した銀蒸気は、チャンバ内の気流にのって、図
の矢印Aに示すように連結部300へと向かい、矢印B
に示すように、この連結部300から第2の真空チャン
バ200へと移動する。この移動行程において、銀蒸気
は凝縮して粒径0.05μm程度の超微粒子となる。一
方、第2の真空チャンバ200内では、図の矢印Cに示
すように、テルピネオール蒸気が導入されているため、
第2の真空チャンバ200へと移動した銀蒸気は、テル
ピネオール蒸気と混合することになる。この混合気は、
図の矢印Dに示すように移動し、冷却板260によって
冷却される。すると、冷却板260上には、金属微粒子
の沈積層280が形成されることになる。
【0017】以上述べた前半段階により冷却板260上
に得られる金属微粒子の沈積層280は、粒径0.05
μm程度の銀の超微粒子をテルピネオールで被覆した液
状の沈積物となる。このように、粒径の非常に小さな超
微粒子が得られるのは、銀の超微粒子がテルピネオール
蒸気と十分に混合されるため、銀粒子同士が結合する前
にテルピネオールで膜状に包まれてしまうためであると
考えられており、このような原理に基づいて金属の超微
粒子を形成する方法については、たとえば、特開平3−
291827号公報などにも開示がある。なお、作製さ
れる金属粒子の径は、導入する不活性ガスの量により制
御することができ、ガス導入量を多くすればするほど、
粒径の小さな粒子が得られることになる。
【0018】続いて、本発明による薄膜電極の形成方法
の後半段階を行う。まず、上述の前半段階の工程により
得られた金属微粒子の沈積層280と分散媒として機能
する感光性樹脂とを十分に混合し、金属微粒子が分散媒
中に凝集することなく均一に分散した金属ペーストを作
製する。そして、図2の断面図に示すように、この金属
ペーストを基板10上に所定の厚みで塗布してペースト
層20を形成した後、このペースト層20を加熱乾燥さ
せて含まれていた有機溶媒を蒸散させる。前半段階にお
いて得られた沈積層280内には、金属微粒子(銀微粒
子)と有機溶媒(テルピネオール)とが含まれていたた
め、基板10上に塗布したペースト層20にも、このテ
ルピネオールが含まれていることになる。基板10上で
ペースト層20を加熱乾燥させると、テルピネオールは
大気中に蒸散し、ペースト層20は、図2の断面図に示
すように、分散媒としての感光性樹脂21中に、粒径
0.05μm程度の銀の超微粒子22が分散した層とな
る。
【0019】続いて、この乾燥したペースト層20に対
して所定のフォトマスクを用いた露光を行う。たとえ
ば、感光性樹脂21として紫外線硬化型樹脂を用いた場
合、図3の断面図に示すように、所定のフォトマスク3
0を用いて紫外線を照射すれば、ペースト層20のう
ち、紫外線の照射を受けた部分は露光部20aとなり、
照射を受けなかった部分は非露光部20bとして残るこ
とになる。そこで、このペースト層20に対して、非露
光部20bを溶かす性質をもった現像液を用いて現像を
行えば、非露光部20bは溶出除去され、図4の断面図
に示すように、基板10上には露光部20aのみが残る
ことになる。そこで、この残存した露光部20aに対し
て焼成工程を行い、含まれていた樹脂成分を除去すれ
ば、図5の断面図に示すように、薄膜電極20cが形成
されることになる。この薄膜電極20cは、銀の超微粒
子22からなる層である。
【0020】なお、上述の実施形態では、感光性樹脂2
1として紫外線硬化型の樹脂(いわゆるネガ型レジス
ト)を用いているが、紫外線崩壊型の樹脂(いわゆるポ
ジ型レジスト)を用いてもかまわない。この場合、図3
における非露光部20bが残存部となり、露光部20a
が現像により除去されることになる。
【0021】このように、本発明による方法によれば、
図2に示す塗布段階におけるペースト層20の厚みを調
節することにより、任意の厚みの薄膜電極を形成するこ
とができる。但し、ペースト層20に含まれている銀の
超微粒子22の粒径よりも小さな厚みをもった薄膜を形
成することは物理的にできない。したがって、前半段階
において、冷却板260上に得られる沈積物280に含
まれる金属微粒子の粒径が、後半段階において形成すべ
き薄膜電極の厚みよりも小さくなるように、不活性ガス
または有機溶媒蒸気のいずれか一方、あるいは双方の導
入量を調節する必要がある。
【0022】また、上述の実施形態では、銀(Ag)か
らなる薄膜電極を形成する方法を述べたが、本発明に係
る方法は、銀だけではなく、Au,Cu,Pt,Ni,
Alもしくはこれらの合金など、種々の金属について適
用可能である。要するに、第1の真空チャンバ100内
で加熱する金属を変えることにより、本発明は種々の金
属について適用可能になる。もっとも、個々の金属によ
って、不活性ガスや有機溶媒蒸気の最適導入量などは異
なるため、細かな条件設定は用いる金属ごとに適宜定め
る必要はある。
【0023】本発明の後半段階における重要な条件は、
前半段階で得られた沈積層280と感光性樹脂との混合
比である。より正確には、ペースト層内における金属微
粒子と感光性樹脂との混合比が重要になる。本願発明者
は、金属微粒子と感光性樹脂との重量比を、100:1
0〜100:30の範囲となるようにすることが極めて
重要であることを実験により見いだした。図6はこの実
験結果を示す表である。ここでは、長さ160mm、幅
70μm、厚み0.1μmなる寸法の薄膜電極を形成し
(実際には、70μmのライン&スペースで、多数の電
極をストライプ状に形成した)、その両端における抵抗
値を測定するとともに、実際に形成されたパターンの平
均線幅を測定した。
【0024】まず、抵抗値に着目すると、樹脂割合が0
の場合はパターンを形成することができないため測定不
能であるが、樹脂割合が5〜30の場合には、600〜
650Ω程度の抵抗値の薄膜電極が得られた。ところ
が、樹脂割合が35になると、抵抗値はほぼ2倍の12
31Ωと急増し、樹脂割合が40になると、抵抗値は無
限大となった。このような抵抗値変化が生じる理由とし
て、本願発明者は次のような現象を考えている。これを
図7の概念図に基づいて説明する。まず、金属100に
対する樹脂の重量割合が30以下の場合、図7(a) に示
すように、形成された薄膜電極内には金属微粒子がかな
りの密度で充填されており、600〜650Ω程度の抵
抗値をもった薄膜電極が得られる。ところが、樹脂割合
が35程度になると、図7(b) に示すように、焼成工程
による樹脂焼失部分の空隙が多くなり、金属微粒子の充
填率が下がるため、抵抗値が急激に上昇(実験値では、
1231Ω)する。更に、樹脂割合を増やして40以上
にすると、空隙部分の増加により金属微粒子の密度は更
に低下し、図7(c) に示すように、もはや粒子間の導通
が得られなくなり、抵抗値は無限大となる。この実験結
果から、金属100に対する樹脂の重量割合の上限値は
30とすべきであることがわかる。
【0025】次に、形成パターンの平均線幅に着目して
みる。本実験では、もともと、長さ160mm、幅70
μm、厚み0.1μmなる寸法の薄膜電極を形成する目
的で、前述の工程を実施したわけであるが、実際に得ら
れた薄膜電極のパターンは、必ずしも目的とする寸法に
はならない。特に、樹脂の重量割合が低い場合には、目
的の寸法とはかなり異なる寸法値が得られる。たとえ
ば、図6の表において、樹脂の重量割合が10以上の場
合には、目的の幅70μmに対して、67μm〜69μ
m程度の幅の薄膜電極が得られているが、樹脂の重量割
合を5まで低下させると、得られる薄膜電極の幅は52
μmと極端に減少する。これは、得られる薄膜電極のエ
ッジ部分がもろくなり、エッジの一部が崩壊してしまっ
たためである。図6の表には、目的の幅70μmを10
0%としたときの各平均線幅の割合を%で示してある
が、この%値を目安にすると、樹脂の重量割合が10以
上の場合には、95%以上の値が得られているのに対
し、樹脂の重量割合を5にすると、74%に低下してい
ることがわかる。
【0026】このような現象が生じるのは、樹脂の割合
を減らし、金属微粒子の割合を増やしてゆくと、完全な
層形成が阻害されるためである。感光性樹脂は、金属微
粒子に対する分散媒として機能し、金属ペーストとして
の適当な粘性率を与える機能を有する。したがって、金
属微粒子の割合を極端に増やし、感光性樹脂の割合を極
端に減らすと、樹脂は分散媒としての機能を十分に果た
すことができなくなり、適度な粘性率をもった金属ペー
ストは得られなくなる。その結果、現像時において、露
光硬化部の剥離や溶解が起こり、最終的な薄膜電極のエ
ッジ部分などに欠陥が発生することになる。実際に形成
された薄膜電極を拡大写真で観察すると、樹脂の重量割
合を10以上にした薄膜電極のエッジ部分はほぼ直線状
であるのに対し、樹脂の重量割合を5にした薄膜電極の
エッジ部分には、多数の欠損部が観察される。この実験
結果から、金属100に対する樹脂の重量割合の下限値
は10とすべきであることがわかる。
【0027】結局、図6の実験結果によれば、金属10
0に対する樹脂の重量割合は、10〜30の範囲にすべ
きであることがわかる。
【0028】
【実施例】図1に示す装置を用いて、銀の超微粒子を作
製した。すなわち、るつぼ130内に材料となる銀14
0を収容し、チャンバ内圧力を10−6torr程度ま
で下げる。続いて、バルブ110を開いて不活性ガスと
して、ヘリウムガスを導入しながら、真空ポンプ230
による排気を続ける。そして、バルブ110,210の
開度を調節しながら、両チャンバ内に充填されたヘリウ
ムガス圧が1torr程度になるようにする。ここで、
バルブ240を開き、有機溶媒蒸気として、テルピネオ
ール蒸気を導入した。
【0029】続いて、高周波誘導加熱装置150によっ
てるつぼ130を800℃まで加熱し、銀140の蒸気
を発生させ、冷却板260上に金属微粒子の沈積層28
0を得た。沈積層280の成分を調べたところ、平均粒
径が約0.05μmの銀の超微粒子が重量比で50%ほ
ど含まれていた(残りの50%はテルピネオールであ
る)。
【0030】次に、紫外線硬化型樹脂として、ジエチレ
ングリコールやアジピン酸からなるポリエステルをアク
リル酸で変性したポリエステルアクリレートを用意し、
上述の沈積層と十分に混合させて金属ペーストを作製し
た。両者の混合比は、沈積層200重量部に対して、紫
外線硬化型樹脂20重量部とした。前述したように、沈
積層の50重量%は銀の超微粒子であるから、金属ペー
スト内には銀100重量部に対して、紫外線硬化型樹脂
20重量部が含まれていることになる。
【0031】こうして作製した金属ペーストを、フレキ
ソ印刷装置によりガラス基板10上に厚み約1μm程度
に薄く塗布し、170℃のオーブン中で20分間放置
し、乾燥させてテルピネオールを除去した(乾燥条件範
囲としては、120℃〜170℃のオーブン中に3〜3
0分間ほど放置するのが適当である)。その結果、厚み
d1=0.5μm程度のペースト層20が得られた(図
2)。続いて、このペースト層20に対して所定のフォ
トマスクを用いたフォトリソグラフィ工程を行い、線幅
70μmの電極パターンを露光した。露光条件として
は、365〜420nmの波長の光を用い、20〜10
00mJ/cm程度の照射強度で露光を行うのが好ま
しい。続いて、現像液として、アルカリ水溶液を用いた
現像を行い、非露光部を除去することにより、ほぼ線幅
70μmの良好な電極パターンを残存層として得ること
ができた。最後に、580℃の温度(450〜600℃
の温度範囲が好ましい)で空気中で1時間焼成工程を行
った結果、厚みd2=0.1μmの薄膜電極が得られた
(図5)。
【0032】なお、前半段階において導入する有機溶媒
蒸気として、上述の実施例ではテルピネオールを用いて
いるが、この他、たとえば、シトロネロール、ローズオ
イル、ゲラニオール、ネロール、フェネチルアルコール
などの炭素数が5以上のアルコール類の1種以上を含有
する溶媒を用いることもできるし、あるいは、酢酸エチ
ル、オレイン酸エチル、酢酸ブチル、グリセリドなどの
有機エステル類の1種以上を含有する溶媒を用いること
もできる。どのような有機溶媒を用いるかは、使用する
金属を考慮して適宜選択するのが好ましい。
【0033】また、紫外線硬化型樹脂としては、少なく
とも1個の不飽和結合を有するオリゴマーあるいはポリ
マーを用いればよい。具体的には、ジエチレングリコー
ルやアジピン酸などからなるポリエステルをアクリル酸
で変性したポリエステルアクリレートの他、メタクリル
酸で変性したポリエステルメタクリレートを用いること
もできるし、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンか
ら得られたエポキシ化合物を、アクリル酸で変性したエ
ポキシアクリレートや、メタクリル酸で変性したエポキ
シメタクリレートを用いることもできる。更に、ポリウ
レタンをアクリル酸で変性したポリウレタンアクリレー
トや、メタクリル酸で変性したポリウレタンメタクリレ
ートなどを用いてもよい。
【0034】一方、紫外線崩壊型樹脂としては、ポリメ
チルビニルケトン、ポリビニルフェニルケトン、ポリス
ルホン、P−ジアゾジフェニルアミン・パラホルムアル
デヒド縮重合物などのジアゾニウム塩類、1,2−ナフ
トキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸イソブチルエ
ステルなどのキノンジアジド類、ポリメチルメタクリレ
ート、ポリフェニルメチルシラン、ポリメチルイソプロ
ペニルケトンなどの公知のポジ型レジストを用いればよ
い。
【0035】
【発明の効果】以上のとおり本発明によれば、金属の超
微粒子を含んだ金属ペーストを焼成することにより電極
層を形成するようにしたため、サブミクロン以下の膜厚
をもった薄膜電極を少工程で形成することができるよう
になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る薄膜電極の形成方法の前半段階で
用いる金属超微粒子製造装置の基本構成を示す構成図で
ある。
【図2】金属ペーストを基板上に所定の厚みで塗布した
状態を示す断面図である。
【図3】図2に示すペースト層に対する露光工程を示す
断面図である。
【図4】図3に示す露光後のペースト層を現像した状態
を示す断面図である。
【図5】図4に示す現像後の残存層に対して焼成工程を
行った状態を示す断面図である。
【図6】金属微粒子と感光性樹脂との最適混合割合につ
いての実験結果を示す表である。
【図7】図6の表における抵抗値と重量割合との関係を
説明する概念図である。
【符号の説明】
10…基板 20…ペースト層 20a…露光部 20b…非露光部 20c…薄膜電極 21…感光性樹脂 22…銀の超微粒子 30…フォトマスク 100…第1の真空チャンバ 110…バルブ 120…ガス導入路 130…るつぼ 140…材料となる金属(銀) 150…高周波誘導加熱装置 200…第2の真空チャンバ 210…バルブ 220…ガス排出路 230…真空ポンプ 240…バルブ 250…ガス導入路 260…冷却板 270…冷却剤循環路 280…金属微粒子の沈積層
【手続補正書】
【提出日】平成8年2月1日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正内容】
【図6】金属微粒子と感光性樹脂との最適混合割合につ
いての実験結果を示す図表である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の真空チャンバと第2の真空チャン
    バとを用意し、両チャンバを連結部を介して連結し、前
    記第1の真空チャンバに不活性ガスを導入するととも
    に、前記第2のチャンバに排気系を接続して排気し、前
    記第1の真空チャンバから前記連結部を介して前記第2
    の真空チャンバに至る気流を発生させ、 前記第1の真空チャンバ内で金属を加熱し、発生した金
    属蒸気を前記連結部を介して前記第2の真空チャンバへ
    と導入し、 前記第2の真空チャンバへ有機溶媒蒸気を導入して、こ
    の有機溶媒蒸気と前記金属蒸気とを混合し、有機溶媒で
    被覆された金属微粒子を生成し、 前記第2の真空チャンバ内に冷却板を用意し、前記有機
    溶媒で被覆された金属微粒子をこの冷却板上に沈積さ
    せ、 前記冷却板上の沈積物と感光性樹脂とを混合し、金属微
    粒子が分散媒中に凝集することなく均一に分散した金属
    ペーストを作製し、 この金属ペーストを基板上に所定の厚みで塗布してペー
    スト層を形成し、このペースト層を乾燥させて含まれて
    いた有機溶媒を蒸散させ、 乾燥したペースト層に対して所定のフォトマスクを用い
    た露光を行い、現像により露光部もしくは非露光部を除
    去し、 前記ペースト層の残存部に対して焼成を行うことによ
    り、含まれていた樹脂を除去し、金属からなる薄膜電極
    を形成することを特徴とする薄膜電極の形成方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の薄膜電極の形成方法に
    おいて、 感光性樹脂として紫外線硬化型樹脂を用い、現像工程に
    おいて非露光部を溶出除去させることを特徴とする薄膜
    電極の形成方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の薄膜電極の形成方法に
    おいて、 感光性樹脂として紫外線崩壊型樹脂を用い、現像工程に
    おいて露光部を溶出除去させることを特徴とする薄膜電
    極の形成方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の薄膜電
    極の形成方法において、 冷却板上に得られる沈積物に含まれる金属微粒子の粒径
    が、形成すべき薄膜電極の厚みよりも小さくなるよう
    に、不活性ガスおよび/または有機溶媒蒸気の導入量を
    調節することを特徴とする薄膜電極の形成方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の薄膜電
    極の形成方法において、 金属微粒子と感光性樹脂との重量比が、100:10〜
    100:30の範囲となるように、冷却板上の沈積物と
    感光性樹脂との混合を行い、金属ペーストを作製するこ
    とを特徴とする薄膜電極の形成方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の薄膜電
    極の形成方法において、 第1の真空チャンバ内で加熱する金属として、Ag,A
    u,Cu,Pt,Ni,Alもしくはこれらの合金を用
    いることを特徴とする薄膜電極の形成方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005268686A (ja) * 2004-03-22 2005-09-29 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 金属パターン形成方法
SG145526A1 (en) * 2000-02-01 2008-09-29 Tokyo Electron Ltd Substrate processing apparatus and substrate processing method

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