JPH09136721A - ラック固定装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 Ｕラックを用いて鋼管等の長尺貨物を海上輸
送する貨物船への貨物の積み込み作業を簡単にする。 【構成】 船長方向および船側方向に所定の間隔をあけ
て多数のポスト１１，１１…を船倉内に立設する。船側
方向に並ぶ２本のポスト１１，１１の間にＵラックが支
持されるように、両側のポスト１１，１１の対向面に溝
１７，１７を設ける。Ｕラックを支持する両側のポスト
１１，１１の高さが相違するように、船側方向に並ぶポ
スト１１，１１…の長さを不揃いにする。高い方のポス
ト１１の上端にＵラックを当てて積荷を降ろす。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、鋼管等の長尺貨物
のラック輸送に使用されるＵラックの固定装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】鋼管等の長尺貨物を一般貨物船で海上輸
送する場合、従来はその長尺貨物をクレーンで１つずつ
積み降ろしていたため、積み降ろし作業が大変であっ
た。また、積載された長尺貨物が船倉内で荷崩れをおこ
す危険もあった。

【０００３】そこで、長尺貨物が大径鋼管や小径鋼管の
束のような比較的剛性のある場合を対象として、Ｕラッ
クを用いたラック輸送が最近開発された。ラック輸送に
使用される専用貨物船はラック船と呼ばれている。

【０００４】ラック輸送では、図１に示すように、正面
から見てＵ字形をした一対のＵラック１ａ，１ｂによ
り、積荷としての長尺貨物２，２…を束ねて支持する。
クレーンに吊り下げた吊具３をＵラック１ａ，１ｂに結
合し、Ｕラック１ａ，１ｂと共に積荷を吊り上げる。吊
り上げられた積荷はラック船の船倉内に降ろされ、その
船倉内に立設された４本のポスト１１，１１…によりＵ
ラック１ａ，１ｂが固定される。

【０００５】ここで、ポスト１１，１１…はラック船の
船長方向に並ぶ２本のポスト１１ａ，１１ｂを１単位と
し、これが船側方向に所定の間隔をあけて複数列並んで
１つのブロックを形成し、更にこのブロックが船長方向
に複数並んだ構成になっている。

【０００６】個々のＵラック１は船側方向に並ぶ２本の
ポスト１１，１１の間に上方から挿入されて固定され
る。従って、積荷は船長方向を向いて船側方向に横並び
し、船長方向に縦並びすることになる。また、ポスト１
１，１１の間にＵラック１を複数段に重ねることによ
り、その積荷は上下方向にも段積みされる。

【０００７】船側方向に並ぶ２本のポスト１１，１１間
にＵラック１を固定するため、ポスト１１，１１の対向
面にはＵラック１の両側の垂直部が嵌合する溝１７，１
７がポスト全長にわたって設けられている。また、各ポ
スト１１の上端には、溝１７へのＵラック１の挿入を容
易にするために、３面が外側へ傾斜したエントリガイド
１８が取り付けられている。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】Ｕラックを用いたラッ
ク輸送によると、長尺貨物の積み降ろし作業の工数が激
減し、船倉内での荷崩れの危険性も皆無となる。しか
し、ラック船に長尺貨物を積み込むとき、１対のラック
の４本の垂直部を４本のポストの各溝に同時に嵌合させ
る必要があるため、エントリガイドが設けられていると
は言え、個々の積み込み作業自体はかなり難しく、高度
のクレーン操作技術等を必要とする問題があった。

【０００９】本発明の目的は、貨物の積み込み作業を容
易にするラック固定装置を提供することにある。

【００１０】本発明の他の目的は、一般貨物船にラック
船としての機能を簡単に付与することができ、且つその
貨物船の規模や積荷の寸法および数量の影響を受けずに
効率的なラック輸送を可能にするラック固定装置を提供
することにある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明のラック固定装置
は、鋼管等の長尺貨物を束ねて支持するＵラックの固定
装置であって、直角な２方向に所定の間隔をあけて多数
本のポストを立設し、一方の方向に並ぶポスト間に上方
から前記Ｕラックが挿入され且つそのＵラックが両側の
ポスト間に固定されるように、両側のポストの対向面に
ラックの両側垂直部が嵌合する溝を設けると共に、Ｕラ
ックを支持する両側のポストの高さが相違するように、
前記一方の方向に並ぶポストの長さを不揃いにしたこと
を特徴としており、これにより上記第１の目的が達成さ
れる。

【００１２】本発明のラック固定装置は、一般貨物船の
みならず、倉庫やヤード等に陸上保管用として設置する
ことができる。

【００１３】本発明のラック固定装置においては、前記
多数本のポストのうち他方の方向に並ぶ２本のポストを
１単位としてこれを一方の方向に並べて１ブロックとな
し、１ブロックにおける複数本のポストを共通のベース
上に立設して自立式のユニット架台を構成し、そのユニ
ット架台を前記他方の方向に並べて設置することが望ま
しい。

【００１４】こうすることにより、在来の一般貨物船に
単に本装置を載せるだけでその貨物船にラック船として
の機能を与えることができ、本装置を取り外せば一般貨
物船に戻すことができる。また、貨物船の規模、積荷の
寸法および数量の変動に応じて本装置の数量調整を行う
ことにより、常時効率的なラック輸送が可能となる。

【００１５】

【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を図示
例に基づいて説明する。図２は本発明のラック固定装置
の１例を示す斜視図である。

【００１６】本ラック固定装置は鋼管等の長尺貨物を海
上輸送する一般貨物船の船倉内に、船長方向に並んで積
載された４つの自立式ユニット架台１０を具備する。各
ユニット架台１０は非固定で船倉内に設置されており、
いずれもが同じ構造で、垂直な８本のポスト１１を有す
る。８本のポスト１１は船長方向に並ぶ２本のポスト１
１ａ，１１ｂを１単位とし、これを船側方向に４列に並
べることにより、船側方向に３つの荷積み区画Ａ，Ｂ，
Ｃを形成する。

【００１７】積荷は図１に示されるように一対のＵラッ
ク１ａ，１ｂにより束ねて支持された複数の長尺貨物
２，２…である。積荷を支持するＵラック１ａ，１ｂは
一方１ａが船首側の２本のポスト１１ａ，１１ａの間に
上方から挿入され、他方１ｂが船尾側の２本のポスト１
１ｂ，１１ｂの間に上方から挿入される。これにより、
前記積荷は区画内に収容されて固定される。

【００１８】ここで８本のポスト１１は、ユニット架台
１０をＸ方向に見て左端の２本と右端の２本が同じ高さ
で最も高く、左から２番目の２本が次に高く、左から３
番目の２本が最も低くなるように長さが設定されてい
る。これにより、左側のＡ区画では左側の２本のポスト
１１が右側の２本のポスト１１より高くなる。中央のＢ
区画でも左側の２本のポスト１１が右側の２本のポスト
１１より高くなる。一方、右側のＣ区画では左側の２本
のポスト１１より右側の２本のポスト１１の方が高くな
る。

【００１９】図３は上記ユニット架台の平面図、図４は
図３のＡ−Ａ線およびＢ−Ｂ線矢視図で正面図、図５は
図３のＣ−Ｃ線矢視図で側面図、図６は図３のＤ部およ
びＥ部拡大図、図７は図６のＦ−Ｆ線およびＧ−Ｇ線矢
視図である。

【００２０】ユニット架台１０は、図３〜図５に示され
るように、複数のＨ形鋼を組み合わせて構成したベース
１２の上に前記１ブロック８本のポスト１１を立設した
構造になっている。ベース１２はブレス１３により補強
され、個々のポスト１１は船長方向前後に設けた２本の
斜材１４，１４により補強されている。また、船長方向
に並ぶ２本のポスト１１，１１は水平材１５により連結
されている。

【００２１】ここでポスト１１は、図４の正面図に示さ
れる通り、左端の２本と右端の２本については１本のＨ
形鋼を用いたシングルタイプであり、残り４本は２本の
Ｈ形鋼を連結板１６により連結したダブルタイプであ
る。いずれのＨ形鋼もウエブの表面が船側方向を向いて
おり、且つダブルタイプのポスト１１では２本のＨ形鋼
が船側方向に連結されている。

【００２２】これにより、シングルタイプのポスト１１
では、内側の側面にウエブを溝底とする溝１７が形成さ
れ、ダブルタイプのポスト１１では、両側の側面に同じ
くウエブを溝底とする溝１７，１７が形成される。

【００２３】かくして、区画Ａ，Ｂ，Ｃでは、両側の対
向する２本のポスト１１，１１の対向面に全高にわたっ
て溝１７，１７が形成されることになる。そして、両側
の溝１７，１７にはＵラック１の両側の垂直部が上方か
ら挿入され嵌合する。

【００２４】ポスト１１の高さについては、図４にも示
されるように、左側の２本と右側の２本が同じ高さで最
も高く、左から２番目の２本が次に高く、左から３番目
の２本が最も低く設定されている。

【００２５】各ポスト１１の上端にはＵラック１の垂直
部を溝１７内へ導き入れるために、エントリガイド１８
が取り付けられている。エントリガイド１８はシングル
タイプのポスト１１では１個であるが、ダブルタイプの
ポスト１１では両側の溝１７，１７に対応して２個とな
る。いずれのエントリガイド１８も図６，７に示される
ように、溝１７に連続する横断面コ字形をしており、Ｈ
形鋼のウエブに続く底面および両側のフランジに続く対
向面はいずれも外側へ傾斜している。

【００２６】図８は上記ユニット架台への貨物積み込み
方法を示す正面図である。

【００２７】ユニット架台１０においては、前述した通
り、８本のポスト１１の高さは左端の２本と右端の２本
が最も高く、左から２番目の２本が次に高く、左から３
番目の２本が最も低く設定されている。これにより、左
側のＡ区画と中央のＢ区画では左側の２本のポスト１１
が右側の２本のポスト１１より高くなり、右側のＣ区画
では右側の２本のポスト１１より右側の２本のポスト１
１の方が高くなる。

【００２８】積荷は一対のＵラック１，１に支持された
複数の長尺貨物２，２…である。

【００２９】貨物の積み込みにおいては、図８（Ａ）に
示すように、区画を挟む両側のポスト１１，１１のう
ち、高い方のポスト１１の上端に取付けられたエントリ
ガイド１８の高さに、Ｕラック１の底部の高さを合わせ
る。また、船長方向においてポスト１１とＵラック１の
位置合わせを行う。その後、図８（Ｂ）に示すように、
低いポスト１１の側から高いポスト１１の側へ向けて積
荷を船側方向へ水平移動させ、Ｕラック１の垂直部下端
をエントリガイド１８に当てる。そして、図８（Ｃ）に
示すように、積荷を降下させる。

【００３０】図８では左側の２本のポスト１１，１１が
高く、それぞれの上端に取付けたエントリガイド１８，
１８に、一対のＵラック１，１の左側の垂直部を当て、
そのままＵラック１，１を下げることになるが、Ｕラッ
ク１，１の片側の２つの垂直部を片側のエントリガイド
１８，１８に側方から当てる操作は、Ｕラック１，１の
両側の４つの垂直部を４つのエントリガイド１８，１８
…に上方から同時に挿入する操作より格段に簡単であ
る。

【００３１】上記操作後、Ｕラック１，１を下げると、
Ｕラック１，１の左側の垂直部は左側のポスト１１，１
１の溝１７，１７に挿入され、溝１７，１７によって左
側の垂直部が位置決めされながらＵラック１，１が下が
ることにより、Ｕラック１，１の右側の垂直部は左側の
エントリガイド１８，１８に上方から自然に挿入され
る。かくして積荷が区画内へ簡単に収容される。

【００３２】積荷の長さによっては、４つのＵラックを
使用し、２つのユニット架台にまたがって積荷を区画内
に収容することもある。その場合、従来は８本のポスト
にＵラックを同時に嵌め込む必要があったが、本ラック
固定装置では片側の４本のポストにＵラックを嵌め込め
ばよいので、作業簡略化の効果は一層大となる。

【００３３】また、図９に示すように、２つのＵラック
を使用して、２つのユニット架台１０，１０にまたがっ
て、長尺の積荷１９を積載するような積み方も可能であ
る。この積み方では、２つのユニット架台１０，１０に
前記クレーンで空の２つのＵラック１ａ，１ｂをそれぞ
れセットする。次いで、中間の２つのＵラック１ｂ，１
ａを前記クレーンで抜き取り、ここに長尺の積荷１９を
支持した２つのＵラック１ｂ，１ｂをセットする。両端
に空の２つのＵラック１ａ，１ｂがセットされているの
で、長尺の積荷１９の上に別の積荷１９′，１９′を通
常に積載することができる。

【００３４】本ラック固定装置では、４つのユニット架
台１０が船倉内に載置されるだけで固定されないので、
一般貨物船へのユニット架台１０の積載が容易であり、
その積載により当該貨物船にラック船としての機能を簡
単に付与することができる。また、積載したユニット架
台１０を簡単に取り外すことができ、その取り外しによ
り当該貨物船を一般貨物船に簡単に戻すことができる。
更に、貨物船の規模、積荷の寸法および数量に応じてユ
ニット架台１０の設置数を変更することにより、常時効
率的なラック輸送が可能となる。

【００３５】なお図示例では、ユニット架台を船長方向
に４つ配列しているが、その数は適宜変更でき、ユニッ
ト架台１０における区画数も適宜変更できる。また、図
示例より効率は劣るものの、ユニット架台１０を船側方
向あるいは船長・船側の両方向に配列する構成や、船長
方向に並ぶ２本のポスト間にＵラックを嵌合させる構成
も可能である。後者の場合、積荷は船側方向を向いて船
長方向に横並びすることになる。

【００３６】

【発明の効果】以上に説明した通り、本発明のラック固
定装置は、Ｕラックを支持する両側のポストの長さが相
違するように、船側方向または船長方向に並ぶポストの
長さを不均一にしたので、両側のポスト間へのＵラック
の挿入操作が簡単であり、これにより貨物の積み込み作
業の一層の効率化を図ることができる。また、自立式ユ
ニット架台の組み合わせとすることにより、一般貨物船
にラック船としての機能を簡単に付与することができ、
且つその貨物船の規模や積荷の寸法および数量の影響を
受けずに効率的なラック輸送を可能にする。

【図面の簡単な説明】

【図１】ラック輸送における荷役の方法を示す斜視図で
ある。

【図２】本発明のラック固定装置の１例を示す斜視図で
ある。

【図３】ユニット架台の平面図である。

【図４】図３のＡ−Ａ線およびＢ−Ｂ線矢視図で正面図
である。

【図５】図３のＣ−Ｃ線矢視図で側面図である。

【図６】図３のＤ部およびＥ部拡大図である。

【図７】図６のＦ−Ｆ線およびＧ−Ｇ線矢視図である。

【図８】ユニット架台への貨物積み込み方法を示す正面
図である。

【図９】貨物の積み込み形態を示す側面図である。

【符号の説明】

１ Ｕラック ２ 長尺貨物（積荷） ３ 吊具 １０ ユニット架台 １１ ポスト １７ 溝 １８ エントリガイド Ａ，Ｂ，Ｃ 荷積み区画

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 鋼管等の長尺貨物を束ねて支持するＵラ
   ックの固定装置であって、直角な２方向に所定の間隔を
   あけて多数本のポストを立設し、一方の方向に並ぶポス
   ト間に上方から前記Ｕラックが挿入され且つそのＵラッ
   クが両側のポスト間に固定されるように、両側のポスト
   の対向面にラックの両側垂直部が嵌合する溝を設けると
   共に、Ｕラックを支持する両側のポストの高さが相違す
   るように、前記一方の方向に並ぶポストの長さを不揃い
   にしたことを特徴とするラック固定装置。
2. 【請求項２】 前記多数本のポストのうち他方の方向に
   並ぶ２本のポストを１単位としてこれを一方の方向に並
   べて１ブロックとなし、１ブロックにおける複数本のポ
   ストを共通のベース上に立設して自立式のユニット架台
   を構成し、そのユニット架台を前記他方の方向に並べて
   設置することを特徴とする請求項１に記載のラック固定
   装置。