JPH09132753A - 熱硬化性塗料組成物 - Google Patents

熱硬化性塗料組成物

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JPH09132753A
JPH09132753A JP7288405A JP28840595A JPH09132753A JP H09132753 A JPH09132753 A JP H09132753A JP 7288405 A JP7288405 A JP 7288405A JP 28840595 A JP28840595 A JP 28840595A JP H09132753 A JPH09132753 A JP H09132753A
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JP
Japan
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resin
blocked isocyanate
isocyanate
hydroxyl group
resistance
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JP7288405A
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Satoshi Owada
聡 大和田
Yoshihiro Kimura
嘉宏 木村
Minoru Nagai
実 永井
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Aisin Chemical Co Ltd
Original Assignee
Aisin Chemical Co Ltd
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Publication date
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08GMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
    • C08G18/00Polymeric products of isocyanates or isothiocyanates
    • C08G18/06Polymeric products of isocyanates or isothiocyanates with compounds having active hydrogen
    • C08G18/70Polymeric products of isocyanates or isothiocyanates with compounds having active hydrogen characterised by the isocyanates or isothiocyanates used
    • C08G18/72Polyisocyanates or polyisothiocyanates
    • C08G18/80Masked polyisocyanates
    • C08G18/8003Masked polyisocyanates masked with compounds having at least two groups containing active hydrogen
    • C08G18/8006Masked polyisocyanates masked with compounds having at least two groups containing active hydrogen with compounds of C08G18/32
    • C08G18/8009Masked polyisocyanates masked with compounds having at least two groups containing active hydrogen with compounds of C08G18/32 with compounds of C08G18/3203
    • C08G18/8022Masked polyisocyanates masked with compounds having at least two groups containing active hydrogen with compounds of C08G18/32 with compounds of C08G18/3203 with polyols having at least three hydroxy groups

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特に、耐酸性及び耐スリ傷性に優れ、自動車
の上塗り塗料として適した熱硬化性塗料組成物を提供す
る。 【解決手段】 水酸基含有樹脂と、架橋樹脂としてのブ
ロックイソシアネートとを主剤として含み、そのブロッ
クイソシアネートとして、イソホロンジイソシアネート
IPDIをイソシアネート成分とするブロックイソシア
ネート(A)と、ヘキサメチレンジイソシアネートHD
Iまたはそのイソシアヌレート体と多価アルコールのラ
クトン変性体とのアダクト体をイソシアネート成分とす
るブロックイソシアネート(B)とを重量比で85:1
5〜30:70の割合で併用して使用する。光沢等の一
般的な塗膜性能が良好であると共に、特に、耐酸性(耐
酸性雨性)及び洗車時等の耐スリ傷性に優れる塗膜を形
成することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する分野】本発明は熱硬化性塗料組成物に関
するものであり、特に、耐酸性及び耐スリ傷性に優れ、
自動車の上塗り塗料等として好適な熱硬化性塗料組成物
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車の塗装仕上げは、主に防錆のため
の電着塗装による下塗り塗装、下塗り塗装塗膜と上塗り
塗装塗膜との密着性の向上、塗り肌品質(平滑性)の向
上等を目的とする中塗り塗装、及び上塗り塗装を順次施
すことによって、一般に行われている。ここで、上塗り
塗装は車体に光沢感、平滑感、肉持ち感等の美観を与
え、その商品価値を向上することを目的として行われ、
そのために、光沢、鮮映性等の塗装仕上り性において優
れていることが要求される。また、この美観は長期間に
亘って保持される必要があるため、上塗り塗装による塗
膜は耐水性、耐溶剤性、耐衝撃性等にも優れていること
が要求される。
【0003】そこで、従来から一般に、このような上塗
り塗装に使用する塗料としては、塗装仕上り性が良好で
あり、また、耐水性等の各種の塗膜性能にも優れた塗料
であるアクリル系樹脂塗料、ポリエステル系樹脂塗料等
の水酸基含有樹脂をベース(骨格樹脂)とした熱硬化性
塗料組成物が使用され、具体的には、メラミン樹脂を架
橋樹脂として配合したメラミン樹脂硬化型塗料組成物が
一般に使用されている。そして、この熱硬化性塗料組成
物によれば、これを焼付硬化した際には、骨格樹脂であ
る水酸基含有樹脂の水酸基と架橋樹脂であるメラミン樹
脂のメチロール基とがエーテル結合することによって、
骨格樹脂の分子間が架橋され、高い架橋密度の硬化塗膜
が形成される。このため、この塗料によって形成された
塗膜は光沢等の仕上がり性に優れると共に、耐水性、耐
溶剤性、及び耐衝撃性等にも優れている。
【0004】ところが、近年では、森林が枯れる等、酸
性雨による被害が社会的にも深刻な問題となっており、
風雨に晒される自動車車体等の上塗り塗装塗膜について
も、この酸性雨による劣化の恐れが問題となってきてい
る。特に、上記のメラミン樹脂硬化型塗料の塗膜は、メ
ラミン樹脂と水酸基含有樹脂との架橋結合が酸に比較的
弱いエーテル結合であるため、長期間酸性雨に触れる
と、凹み、シミ、変色等が発生したり、更には、塗膜の
破壊へと進行する可能性もある。
【0005】そのため最近では、例えば、特開平2−2
42867号公報にみられるように、水酸基含有樹脂の
架橋樹脂(硬化剤)として、そのメラミン樹脂の少なく
とも一部に代えて、ブロックイソシアネートを用いたブ
ロックイソシアネート硬化型塗料が開発されている。な
お、このブロックイソシアネートはイソシアネート成分
をブロック剤でブロックしたものであり、そのイソシア
ネート成分としては、ヘキサメチレンジイソシアネート
(HDI)等のジイソシアネート、または、そのイソシ
アヌレート体、アダクト体等が用いられ、また、ブロッ
ク剤としては、メチルエチルケトンオキシム(MEK
O)が最も普通に用いられている。そして、このような
ブロックイソシアネート硬化型塗料によれば、架橋樹脂
となるイソシアネート成分と骨格樹脂である水酸基含有
樹脂の水酸基とは、酸に強いウレタン結合を形成するた
め、耐酸性(耐酸性雨性)に優れた塗膜を形成すること
ができる。
【0006】なお、このような水酸基含有樹脂を骨格樹
脂とし、またブロックイソシアネートを架橋樹脂とする
ブロックイソシアネート硬化型塗料については、他に
も、特開平3−172638号公報、特開平4−130
168号公報、特開平4−170482号公報、特開平
4−246483号公報、特開平5−25431号公
報、特開平5−202335号公報、特開平5−295
322号公報等において、種々の態様または変形で開示
されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように、水酸基含
有樹脂に対する架橋樹脂として、メラミン樹脂に代えて
ブロックイソシアネートを用いたブロックイソシアネー
ト硬化型塗料によれば、良好な光沢、硬度等を有するだ
けでなく、水酸基含有樹脂と架橋樹脂との結合が酸に比
較的強いウレタン結合であるため、耐酸性(耐酸性雨
性)に優れた塗膜を形成することができる。
【0008】しかしながら、このようなブロックイソシ
アネート硬化型塗料であっても、使用するブロックイソ
シアネートのイソシアネート成分の種類によって、形成
される塗膜の耐酸性にも差が生じ、特に過酷な酸性条件
下では、それに対する耐性が不十分である場合もあっ
た。即ち、夏期の炎天下において車体に一時的に酸性雨
が降りかかったような場合、車体に付着した酸性雨は濃
縮されて強酸性の水滴となり、しかも、高温下で上塗り
塗装塗膜に作用することになる。そして、このような過
酷な酸性条件に対しては、例えば、最も一般的なHDI
をイソシアネート成分とするブロックイソシアネートを
用いた塗料では、その耐酸性が十分ではなく、塗膜に凹
み、変色等を生じる傾向があった。
【0009】そして、そのような過酷な酸性条件に対す
る優れた耐酸性は、イソホロンジイソシアネート(IP
DI)をイソシアネート成分とするブロックイソシアネ
ートを使用することによって得られることが分かった。
これは、このイソシアネート成分がガラス転移温度Tg
の比較的高い塗膜を形成し、それによって、高い温度下
での耐性が与えられると共に、IPDIに含まれる3個
のメチル基が撥水作用を生じるためであると考えられ
る。しかし、このIPDIをイソシアネート成分とする
ブロックイソシアネートは、耐酸性が特に優れ、また、
耐溶剤性、耐水性等のその他の塗膜性能も優れた塗膜を
形成することができるが、それと同時に、形成される塗
膜は耐スリ傷性が悪く、洗車時等においてスリ傷が付き
易い傾向にあるものであった。また、この塗膜は、耐衝
撃性に劣る傾向もあった。
【0010】ところで、このような洗車時等において生
じるスリ傷は、単に好ましくないだけでなく、特に、濃
色系の塗装仕上げの場合には、その傷が外観上目立ち易
いため、特に問題となるものである。そのため、近年の
濃色系塗装仕上げの需要の増大に伴って、上塗り塗膜に
要求される塗膜性能としては、耐酸性等だけでなく、洗
車時にスリ傷が付き難いこと、即ち、耐スリ傷性も重要
な性能の一つとなってきている。
【0011】そこで、本発明は、光沢、硬度、耐溶剤
性、耐水性、耐衝撃性等が良好であり、しかも、耐酸性
と耐スリ傷性とが共に優れた塗膜を形成することができ
る熱硬化性塗料組成物の提供を課題とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の課
題の解決のために、耐酸性に特に優れたIPDIをイソ
シアネート成分とするブロックイソシアネートと他のブ
ロックイソシアネートとの併用に着目し、その併用する
ブロックイソシアネートについて種々の模索と検討とを
重ねた。そして、その結果、HDI及び/またはそのイ
ソシアヌレート体と多価アルコールのラクトン変性体と
のアダクト体をイソシアネート成分とするブロックイソ
シアネートが、耐酸性には劣るが、耐スリ傷性と耐衝撃
性とに特に優れたものであることを見出し、そして、こ
れを、IPDIをイソシアネート成分とするブロックイ
ソシアネートと所定の割合で併用することによって、優
れた耐酸性と優れた耐スリ傷性とが共に得られることを
見出し、また確認した。
【0013】即ち、本発明にかかる熱硬化性塗料組成物
は、水酸基を分子中に含有する水酸基含有樹脂と、水酸
基含有樹脂に対する架橋樹脂としてのブロックイソシア
ネートとを主剤として含み、そのブロックイソシアネー
トが、イソホロンジイソシアネート(IPDI)をイソ
シアネート成分とするブロックイソシアネート(A)
と、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)及びそ
のイソシアヌレート体(HDIイソシアヌレート体)の
うちの1種以上と多価アルコールのラクトン変性体(ポ
リラクトン多価アルコールエステル)とのアダクト体を
イソシアネート成分とするブロックイソシアネート
(B)との併用系からなり、かつ、このブロックイソシ
アネート(A)とブロックイソシアネート(B)とは重
量比において85:15〜30:70であることを特徴
とするものである。
【0014】このように、この熱硬化性塗料組成物にお
いては、水酸基含有樹脂とブロックイソシアネートとを
主剤として含み、そのブロックイソシアネートとして、
ブロックイソシアネート(A)とブロックイソシアネー
ト(B)とを所定範囲の割合で併用しているので、後述
の試験結果からも分かるように、光沢、硬度、耐溶剤
性、耐水性、耐衝撃性等がいずれも良好であり、しか
も、特に、優れた耐酸性(耐酸性雨性)を、優れた耐ス
リ傷性と共に有する塗膜を形成することができる。つま
り、優れた耐酸性を与えることができるブロックイソシ
アネート(A)と、優れた耐スリ傷性及び耐衝撃性を与
えることができるブロックイソシアネート(B)とを併
用することによって、それらの優れた塗膜性能を他の塗
膜性能の低下を伴うことなく同時に得ることができる。
【0015】なお、ブロックイソシアネート(B)の使
用により、特に優れた耐スリ傷性が塗膜に付与される理
由は、次のように考えられる。即ち、ブロックイソシア
ネート(B)のイソシアネート成分は、HDIまたはH
DIイソシアヌレート体と多価アルコールのラクトン変
性体とのアダクト体からなるので、イソシアネート基末
端間の分子長さ、即ち、架橋点間の分子長さが比較的長
く、しかも、この架橋点間に存在する多価アルコールと
ラクトン、またはラクトン相互の結合が屈曲性に優れる
エステル結合であるため、そのイソシアネート成分が水
酸基含有樹脂の水酸基と架橋反応することによって得ら
れる網目構造は、弾性的な柔軟性に優れたものとなる。
そのため、洗浄時等に摺擦するブラシ等によって塗膜に
加わる応力は、その塗膜の弾性的な柔軟性によって集中
することなく分散され、または、緩衝され、吸収され
る。その結果、耐スリ傷性が得られ、また耐衝撃性も得
られると考えられる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、この熱硬化性塗料組成物に
ついて、更に詳細に説明する。
【0017】上記のように、この熱硬化性塗料組成物
は、水酸基含有樹脂と、これに対する架橋樹脂としての
特定のブロックイソシアネートの併用系とを主剤、即
ち、塗膜形成剤(樹脂成分)として含むものである。こ
れらの各主剤成分について詳細に説明する。
【0018】〔水酸基含有樹脂〕水酸基含有樹脂は、1
分子中に水酸基を1個または2個以上含有する樹脂であ
り、具体的には、水酸基を含有するアクリル樹脂、ポリ
エステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、フッ素系
樹脂、アミド系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエーテル系
樹脂等が挙げられる。また、焼付硬化時に水酸基を生成
する樹脂も同様に使用することができる。そして、これ
らの水酸基を含有しまたは生成する樹脂は、その任意の
1種を、または2種以上を組み合わせて使用することが
できる。しかし、これらの中でも好ましいのは、水酸基
含有のアクリル樹脂とポリエステル樹脂である。
【0019】〈水酸基含有アクリル樹脂〉水酸基含有ア
クリル樹脂は、アクリル系ビニル単量体を主成分とし、
かつ、水酸基を含有するビニル単量体を含む単量体成分
を共重合して一般に得ることができる。
【0020】ここで、アクリル系単量体としては、メチ
ルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチル
アクリレート、ラウリルアクリレート、2−エチルブチ
ルアクリレート等のアクリル酸の炭素数1〜24のアル
キルエステル類、メチルメタクリレート、n−ブチルメ
タクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチル
ヘキシルメタクリレート、デシルメタクリレート、ステ
アリルメタクリレート等のメタクリル酸の炭素数1〜2
4のアルキルエステル類を挙げることができる。そし
て、これらのアクリル系単量体は、その任意の1種を単
独で、または2種以上を適宜組み合わせて使用すること
ができる。しかし、これらの中でも、n−ブチルアクリ
レート、n−ブチルメタクリレート等、アクリル酸また
はメタクリル酸の比較的低アルキルエステルを一般に好
適に用いることができる。
【0021】また、水酸基を含有するビニル単量体とし
ては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロ
キシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリ
レート、ヒドロキシプロピルメタクリレート等のアクリ
ル酸またはメタクリル酸の炭素数2〜24のヒドロキシ
アルキルエステル類、N−メチロールアクリルアミド、
N−メチロールメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチ
ルアクリルアミド、N−ジヒドロキシエチルメタクリル
アミド等のアクリル酸またはメタクリル酸の炭素数1〜
12のヒドロキシアルキドアミド類等が挙げられる。そ
して、これらの水酸基含有ビニル単量体は、その任意の
1種を単独で、または2種以上を適宜組み合わせて使用
することができる。ただし、これらの中でも、2−ヒド
ロキシエチルメタクリレート等が最も一般的であり、ま
た好適に使用することができる。
【0022】更に、これらの単量体の他に、アクリル
酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン
酸、イタコン酸等のカルボキシル基を含有する単量体、
グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、
3,4−エポキシシクロヘキシルアクリレート、3,4
−エポキシシクロヘキシルメタクリレート、アリルグリ
シジルエーテル等のエポキシ基を含有するビニル単量
体、スチレン、ビニルトルエン等の芳香族系ビニル単量
体、アクリルニトリル、メタクリルニトリル、アクリル
アミド、酢酸ビニル等のビニル系非官能性単量体も、適
宜組み合わせて用いることができる。そして、例えば、
スチレンまたはビニルトルエンは、塗膜の耐酸性をより
高める点で好ましいものでもある。
【0023】なお、これらの単量体成分を共重合して得
られた水酸基含有アクリル樹脂は、その平均分子量(数
平均分子量)において500〜50000程度であるこ
とが好ましい。この平均分子量が余り少なく一般に50
0よりも小さいと、十分に硬化した樹脂塗膜を形成する
ことが困難となり、また逆に、その平均分子量が余り大
きく一般に50000を越えると、溶解性が低下しまた
は塗料の粘度が高くなり、塗料の調製が困難となる。そ
して、より好ましい平均分子量は、1500〜1500
0程度である。
【0024】また、この水酸基含有アクリル樹脂の水酸
基価は、一般に50〜200(mgKOH/g)程度であること
が好ましい。この水酸基価が余り少ないと、ブロックイ
ソシアネートとの架橋密度が不足する傾向となり、硬化
性等における実用上十分な塗膜性能を得ることが困難と
なる。また逆に、この水酸基価が余り多いと、ブロック
イソシアネートとの相溶性が低下し、また硬化後に水酸
基が残留する傾向となる。そのため、その水酸基価は、
一般に50〜200が好ましい。
【0025】なお、この水酸基含有アクリル樹脂が、例
えば、カルボキシル基等を更に含む場合、その酸価は一
般に5〜50(mgKOH/g)程度が好ましい。また、エポキ
シ基を含む場合は、そのエポキシ当量は250〜100
0程度が好ましい。
【0026】そして、水酸基含有アクリル樹脂として
は、それらのカルボキシル基とエポキシ基とを更にそれ
ぞれ含有するアクリル樹脂を組み合わせて用いることが
でき、それによって、酸/エポキシ/ブロックイソシア
ネート硬化型樹脂塗料を形成することができる。ただ
し、この場合には、カルボキシル基を含有するアクリル
樹脂においては酸価は30〜130程度、エポキシ基を
含有するアクリル樹脂においてはエポキシ当量は200
〜500程度であることが好ましい。
【0027】〈水酸基含有ポリエステル樹脂〉水酸基含
有ポリエステル樹脂は、多価アルコールと多塩基酸また
はその無水物とのエステル反応生成物で、分子内に残留
水酸基を有するものである。
【0028】ここで、多価アルコールとしては、エチレ
ングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコ
ール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコー
ル、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロー
ルプロパン、ペンタエリトリット、ジペンタエリトリッ
ト等を挙げることができる。そして、これらの多価アル
コールは、その任意の1種を単独で、または2種以上を
適宜組み合わせて使用することができる。
【0029】また、多塩基酸またはその無水物として
は、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタ
ル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フ
タル酸、コハク酸、無水コハク酸、アジピン酸、アゼラ
イン酸、セバシン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタ
コン酸、無水トリメリット酸等が挙げられる。そして、
これらの多塩基酸またはその無水物についても、その任
意の1種を単独で、または2種以上を適宜組み合わせて
使用することができる。
【0030】なお、これらの多価アルコールと多塩基酸
またはその無水物とは、一般に、水酸基を過剰とし、水
酸基とカルボキシル基とがモル比で1.2:1〜1.
8:1となるように反応させることができる。
【0031】そして、これらの多価アルコールと多塩基
酸またはその無水物をエステル反応させて得られた水酸
基含有ポリエステル樹脂は、その平均分子量(数平均分
子量)において200〜10000程度であることが好
ましい。この平均分子量が余り少なく一般に200より
も小さいと、十分に硬化した樹脂塗膜を形成することが
困難となり、また逆に、その平均分子量が余り大きく一
般に10000を越えると、溶解性が低下しまたは塗料
の粘度が高くなり、塗料の調製が困難となる。
【0032】また、この水酸基含有ポリエステル樹脂の
水酸基価は、一般に50〜350(mgKOH/g)程度である
ことが好ましい。この水酸基価が余り少ないと、水酸基
含有アクリル樹脂の場合と同様に、架橋密度が不足する
傾向となり、硬化性等における実用上十分な塗膜性能を
得ることが困難となる。また逆に、この水酸基価が余り
多いと、ブロックイソシアネートとの相溶性が低下する
傾向となる。そのため、その水酸基価は、一般に50〜
350が好ましい。なお、この水酸基含有ポリエステル
樹脂の酸価についても、水酸基含有アクリル樹脂と同様
に、一般に5〜50(mgKOH/g)程度であることが好まし
い。
【0033】〔ブロックイソシアネート〕このような水
酸基含有樹脂に対する架橋樹脂(硬化剤)として使用す
るブロックイソシアネートは、イソホロンジイソシアネ
ート(IPDI)をイソシアネート成分とするブロック
イソシアネート(A)と、ヘキサメチレンジイソシアネ
ート(HDI)及びそのイソアヌレート体(HDIイソ
シアヌレート体)のうちの1種以上と多価アルコールの
ラクトン変性体とのアダクト体をイソシアネート成分と
するブロックポリイソシアネート(B)との併用系から
なる。
【0034】〈ブロックイソシアネート(A)〉ブロッ
クイソシアネート(A)は、脂環式ジイソシアネートで
あるIPDI(イソホロンジイソシアネート)をイソシ
アネート成分とし、ブロック剤でブロックしたものから
なる。
【0035】ここで、このIPDIは、それ自体をその
ままブロックイソシアネートのイソシアネート成分とし
て使用することができる。しかしながら、このジイソシ
アネート化合物は、常温での飽和蒸気圧が比較的高い傾
向にある。そのため、より良い安全性等の点からも、こ
れをビューレット体、イソシアヌレート体、または、エ
チレングリコール、トリメチロールプロパン等の比較的
低分子量の多価アルコールとのアダクト体(付加体)、
更には、比較的低分子のウレタンプレポリマ等として高
分子量化し、その揮発性を無くし或いはその蒸気圧を低
下させて用いることが好ましい。そして、一般的には、
これらの中でも、IPDIのイソシアヌレート体または
トリメチロールプロパンとのアダクト体を、最も好適に
用いることができる。
【0036】また、ブロック剤、即ち、このイソシアネ
ート成分の遊離のイソシアネート基をブロックするブロ
ック剤としては、メチルエチルケトンオキシム(MEK
O)、アセトンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、
アセトフェノンオキシム、ベンゾフェノンオキシム等の
オキシム類、メタノール、エタノール、プロパノール、
イソプロピルアルコール、ブタノール、2−エチルヘキ
サノール、シクロヘキサノール等のアルコール類、ε−
カプロラクタム、γ−ブチロラクタム、β−プロピオラ
クタム等のラクタム類、フェノール類、更には、アセチ
ルアセトン、アセト酢酸エチル、マロン酸メチル、マロ
ン酸エチル等の活性メチレン化合物、等が挙げられる。
これらの中でも、MEKOは最も代表的なものであり、
一般に好適に用いることができる。
【0037】そして、このようなIPDIをイソシアネ
ート成分とするブロックイソシアネート(A)は、その
イソシアネート成分が骨格樹脂である水酸基含有樹脂の
分子間に架橋することによって、塗膜に特に優れた耐酸
性(耐酸性雨性)を与える。そのため、その優れた耐酸
性を十分に確保するために、このブロックイソシアネー
ト(A)は、ブロックイソシアネート全体に対して、一
般に30重量%以上の割合で用いることが好ましい。ま
た、より好ましいのは、40重量%以上の割合である。
【0038】〈ブロックイソシアネート(B)〉このブ
ロックイソシアネート(A)に対して、ブロックイソシ
アネート(B)は、形成される塗膜に特に優れた耐スリ
傷性を与えるものであり、HDI(ヘキサメチレンジイ
ソシアネート)またはそのイソシアヌレート体と多価ア
ルコールのラクトン変性体とのアダクト体をイソシアネ
ート成分とし、これをブロックイソシアネート(A)と
同じ、または同程度の温度で解離するブロック剤でブロ
ックしたものからなる。
【0039】具体的には、このイソシアネート成分であ
るアダクト体は、多価アルコールにラクトン類を開環付
加重合反応させてラクトン変性体(ポリラクトン多価ア
ルコールエステル)を形成し、これにHDIまたはその
イソシアヌレート体を付加したものである。つまり、こ
のアダクト体は、一般的なアダクト体における多価アル
コールの水酸基とポリイソシアネート化合物のイソシア
ネート基との間に、ラクトン類の開環重合体がエステル
結合して介在したものに相当する。なお、多価アルコー
ルに対するラクトン類の付加重合は、錫、鉛、マンガン
等の有機化合物、金属キレート化物等を触媒として行う
ことができる。
【0040】ここで、そのラクトン類としては、γ−ラ
クトン、δ−ラクトン、ε−ラクトン等の各種のラクト
ンが挙げられるが、それらの中でも、ε−カプロラクト
ンを最も好適に使用することができる。また、多価アル
コールとしては、アダクト体の形成に通常使用されてい
る比較的低分子量の多価アルコールを使用することがで
き、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチ
レングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘ
キサンジオール等の2価アルコール、或いはグリセリ
ン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン等
の3価アルコール等を挙げることができる。
【0041】そして、例えば、ラクトン類としてε−カ
プロラクトンを、多価アルコールとして2価アルコール
をそれぞれ用いて形成したラクトン変性体に、HDIを
付加したHDIアダクト体は、次の一般式[1]で表す
ことができる。なお、式中、R1 はエチレングリコール
等の2価アルコールの主鎖を形成するアルキレン基であ
り、その炭素数は一般に2〜10である。
【0042】
【化1】
【0043】また、同様に、多価アルコールとしてトリ
メチロールアルカンからなる3価アルコールを用いたH
DIアダクト体は、次の一般式[2]で表される。な
お、式中、R2 はアルキル基であり、その炭素数は一般
に1〜4である。
【0044】
【化2】
【0045】なお、これらの一般式[1]及び[2]に
示されるHDIアダクト体において、ε−カプロラクト
ンの重合度m,n,p,q,rは、共に、平均重合度で
1.0〜5.0程度であることが好ましい。即ち、この
平均重合度が1.0よりも少ないと、ラクトン類で変性
した効果が十分に得られず、また、逆にこの平均重合度
が多すぎると、分子長さが過大となって均一な架橋反応
が行われず、または架橋密度が不足し、十分に硬化した
塗膜を形成することが困難となる傾向がある。そのた
め、この平均重合度は5.0程度を限度とすることが好
ましい。
【0046】また、HDIは、これをそのまま多価アル
コールのラクトン変性体に付加することができるが、こ
れをイソシアヌレート体に形成して付加することもで
き、更には、これらのHDIとそのイソシアヌレート体
とを混合して付加することもできる。即ち、多価アルコ
ールのラクトン変性体に付加されるHDIとそのイソシ
アヌレート体とは、それらのうちの1種以上であること
ができる。そして、HDIのイソシアヌレート体を用い
た場合、イソシアネート成分の有効イソシアネート基の
数が増えるため、水酸基含有樹脂との架橋密度をより高
め、塗膜の硬化性をより高めることができる。
【0047】なお、このようなアダクト体をイソシアネ
ート成分とするブロックイソシアネート(B)は、平均
分子量においては、ラクトン類を最少限度に付加した場
合の800を下限とし、3000程度までであることが
好ましい。その分子量が余り大きい場合には、ブロック
イソシアネート(A)及び水酸基含有樹脂との均一な相
溶性を得ることが困難となる。より好ましいこのブロッ
クイソシアネート(B)の分子量は、1200〜250
0程度である。
【0048】そして、このブロックイソシアネート
(B)は、形成される塗膜に、特に優れた耐スリ傷性を
付与する。その理由については、必ずしも明確ではない
が、次のように考えられる。つまり、直鎖状のHDIの
使用とラクトン変性(ラクトン付加重合)とにより、ア
ダクト体からなるイソシアネート成分のイソシアネート
基末端間の分子長さ、即ち、架橋点間の分子長さが比較
的長いこと、及び、多価アルコールとラクトン間、また
はラクトン相互間の結合が屈曲性に優れるエステル結合
であることによって、そのイソシアネート成分が水酸基
含有樹脂の水酸基と架橋反応することによって得られる
網目構造は、弾性的な柔軟性に優れたものとなる。その
ため、洗浄時等に摺擦するブラシによって塗膜に加わる
応力は、その塗膜の弾性的な柔軟性によって分散され、
集中することが防止され、または、緩衝され、吸収され
る。ブロックイソシアネート(B)の使用によって、優
れた耐スリ傷性、耐衝撃性が塗膜に付与されるのは、こ
のような理由によるものと考えられる。
【0049】そのため、この優れた耐スリ傷性を十分に
確保することができるように、ブロックイソシアネート
(B)は、ブロックイソシアネート全体に対して、一般
に15重量%以上の割合で用いることが好ましく、20
重量%以上であることがより好ましい。ただし、このブ
ロックイソシアネート(B)の割合は、優れた耐酸性を
確保するためにブロックイソシアネート(A)の割合が
30重量%以上であることが好ましく、また、40重量
%以上であることがより好ましいため、70重量%を限
度とすることが好ましく、また、60重量%を限度とす
ることがより好ましい。
【0050】即ち、併用系からなるブロックイソシアネ
ート(A)とブロックイソシアネート(B)との相互の
配合割合(併用割合)は、重量比において85:15〜
30:70が好ましく、80:20〜40:60がより
好ましい。そして、この配合比によれば、ブロックイソ
シアネート(A)による優れた耐酸性が得られると共
に、同時に、ブロックイソシアネート(B)による優れ
た耐スリ傷性が得られ、また、耐衝撃性も改善される。
なお、この配合比において、ブロックイソシアネート
(A)とブロックイソシアネート(B)とは、主剤全体
に対して、それぞれ10重量%以上、及び4重量%以上
であることが好ましく、また、それぞれ、15重量%以
上、6重量%以上であることがより好ましい。
【0051】そして、併用系からなるこれらのブロック
イソシアネート(A)及び(B)は、上記の水酸基含有
樹脂に対して、その樹脂に含まれる水酸基と有効イソシ
アネート基(有効NCO)とのモル比(個数比)が1:
0.2〜1:2.0となるような割合で、好ましくは
1:0.4〜1:1.2となるような割合で、配合する
ことができる。なお、有効NCOとは、塗料の焼付乾燥
時にブロック剤が解離することによって反応可能となる
イソシアネート基のことである。なおまた、このモル比
を決めるに際して、その塗料組成物が、例えば、メラミ
ン樹脂を架橋樹脂とするメラミン樹脂硬化型塗料からな
るベースコートの上塗り塗料として用いられる場合、水
酸基が過剰となるようにそのモル比を定めることによっ
て、その水酸基をベースコートのメラミン樹脂と反応さ
せ、塗膜間の密着性(接着性)の向上を図ることができ
る。
【0052】また、架橋樹脂(硬化剤)としてのブロッ
クイソシアネートを主剤として含むこの熱硬化性塗料組
成物には、塗料焼付乾燥時におけるこれらのブロックイ
ソシアネートの架橋反応(硬化反応)を促進するため
に、必要に応じて、そのブロック剤の解離を促進する硬
化触媒を用いることができる。そして、そのような硬化
触媒としては任意のものを使用できるが、有機錫とカル
ボン酸との塩である有機錫系化合物を用いることが好ま
しい。ここで、有機錫としてはメチル、ブチル、オクチ
ル等のアルキル錫が好ましく、更にはジアルキル錫が好
ましい。また、カルボン酸としてはラウリン酸等の脂肪
族モノカルボン酸、マレイン酸、フタル酸、等が好まし
い。そして、特に好ましい有機錫系化合物としては、例
えば、ジ−n−ブチル錫ジラウリレート等が挙げられ
る。
【0053】なお、架橋樹脂(硬化剤)としては、ブロ
ックイソシアネート(A),(B)の併用系に加えて、
更にメラミン樹脂等のアミノ樹脂を合せて用いることが
できる。ただし、このアミノ樹脂の使用は塗膜の耐酸性
を低下させる傾向があるため、これを使用する場合であ
っても、その使用量はできるだけ少なくすることが好ま
しい。
【0054】〔塗料の調製〕これらの水酸基含有樹脂
と、ブロックイソシアネート(A)及び(B)の併用系
とを主剤とする熱硬化性塗料組成物は、そのままクリヤ
ー塗料として、或いは、有機系顔料または無機系顔料を
配合することにより、着色塗料等として具体化すること
ができる。また、これらの塗料には、その具体的用途等
に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤、或いはその他の
添加剤等を適宜配合することができる。
【0055】ここで、有機系顔料としてはアゾ系、フタ
ロシアニン系等の顔料または染料を挙げることができ、
また、無機系顔料としては、酸化チタン、酸化鉄、酸化
クロム等の一般の着色顔料、炭酸カルシウム等の体質顔
料と共に、メタリック粉末或いはマイカ顔料、更には防
錆顔料、等が挙げられる。そして、これらの顔料は、要
求に応じて、それらの任意の1種以上を適宜使用するこ
とができる。
【0056】紫外線吸収剤としては、2−(2’−ヒド
ロキシ−5’−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール
等のベンゾトリアゾール系化合物、2,4−ジヒドロキ
シベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物、ジフェ
ニルアクリレート等のアクリレート系化合物、p−オク
チル−フェニルサリシレート等のサリシレート系化合
物、2−ヒドロキシ−ナフトフェノン、ニッケル−ビス
オクチルフェニルスルフィド等のその他の化合物が挙げ
られ、これらは1種または2種以上組合わせて使用する
ことができる。
【0057】この紫外線吸収剤は単独で使用することも
できるが、好ましくは、酸化防止剤と合わせて使用する
ことができる。そして、酸化防止剤としては、ビス
(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジ
ル)セバケート等のヒンダードアミン系、フェノール
系、スルフィド系の化合物を挙げることができる。
【0058】また、シリコーンやその他の有機高分子等
の表面調整剤、シリカ微粉末等のタレ止め剤、或いはポ
リカルボン酸アミド等の増粘剤等も、必要に応じて適宜
用いることができる。更に、必要があれば、水酸基を含
有しない樹脂を主剤成分として配合することもできる。
【0059】なお、塗料組成物の調製のための溶剤とし
ては、この種の塗料組成物に一般に使用されている任意
のものを使用することができる。例えば、ブタノール、
プロパノール等のアルコール系溶剤、エチレングリコー
ルモノブチルエーテル等のエーテル系溶剤、ソルベッソ
100等の炭化水素系溶剤、酢酸エチル等のエステル系
溶剤、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、キシレ
ン、トルエン等の芳香族系溶剤等である。そして、これ
らの溶剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して
使用することができる。
【0060】そして、このように調製した熱硬化性塗料
組成物は、所望の被塗装物に適用することができ、これ
を塗布し、次いで加熱して焼付乾燥を行うことによっ
て、水酸基含有樹脂がブロックイソシアネートによって
架橋され、硬化した塗膜として形成される。なお、この
場合、焼付温度が140℃程度の比較的低い温度であっ
ても、十分に硬化した塗膜を形成することができる。
【0061】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例によって更
に具体的に説明する。
【0062】図1は本発明の実施例及び比較例の熱硬化
性塗料組成物(クリヤー塗料)の主剤の配合組成と、そ
れらの塗膜性能に関する評価試験の結果とを示す表図で
ある。
【0063】即ち、本発明の熱硬化性塗料組成物を自動
車の上塗り塗装に使用するクリヤー塗料として具体化
し、図1に示す主剤の配合組成(重量部)からなる実施
例1乃至実施例5の塗料組成物を調製した。また、これ
らの実施例との対比のために、比較例1乃至比較例4の
塗料組成物も合わせて調製した。そして、これらの実施
例及び比較例の塗料組成物(クリヤー塗料)について、
その塗膜性能に関する各種の評価試験を行った。
【0064】なお、ここで使用した水酸基含有樹脂、及
びブロックイソシアネートA,Bは、それぞれ以下の組
成または成分からなる。
【0065】〈水酸基含有樹脂〉水酸基含有樹脂として
は、水酸基を分子中に含有する水酸基含有アクリル樹
脂、即ち、アクリル系単量体を主成分とするビニル単量
体の共重合体を用いた。
【0066】具体的には、この水酸基含有アクリル樹脂
は、スチレン20重量部/n−ブチルメタクリレート3
9重量部/n−ブチルアクリレート18重量部/2−ヒ
ドロキシエチルメタクリレート21重量部/アクリル酸
2重量部からなる単量体混合物(全100重量部)から
得たものである。そして、この単量体混合物に、アゾイ
ソブチルニトリル(AIBN)2重量部を添加し、これ
を、120℃に保持した混合溶剤n−ブタノール/キシ
レン(3/7)中に4時間かけて滴下し反応させた後、
1重量部のAIBNを5分毎に均等に加えながら2時間
保持し、更に1時間保持することによって製造した。
【0067】なお、この水酸基含有アクリル樹脂の重量
平均分子量は12000であり、また、その水酸基価は
90、酸価は15である。
【0068】〈ブロックイソシアネートA〉ブロックイ
ソシアネートAは、イソホロンジイソシアネート(IP
DI)のイソシアヌレート体を、ブロック剤としてメチ
ルエチルケトンオキシム(MEKO)を用いてブロック
したブロックイソシアネート(『VESTANAT B
−1358A』ヒュルス社製)からなる。なお、このブ
ロックイソシアネートAの有効イソシアネート基の含有
量(有効NCO含有量)は12.698重量%(固形
分)である。
【0069】〈ブロックイソシアネートB〉ブロックイ
ソシアネートBは、ヘキサメチレンジイソシアネート
(HDI)と、トリメチロールプロパンにε−カプロラ
クトンを開環付加重合させて生成したトリメチロールプ
ロパンのε−カプロラクトン変性体(ポリカプロラクト
ントリメチロールプロパンエステル)とのアダクト体
(ラクトン変性HDIアダクト体)を、同様にMEKO
でブロックしたブロックイソシアネート(『デュラネー
トE402−B80』旭化成工業(株)製)からなる。
なお、このブロックイソシアネートBの有効NCO含有
量は7.625重量%(固形分)であり、ε−カプロラ
クトンの平均重合度は2.21である。
【0070】〔実施例1〜5〕上記の水酸基含有アクリ
ル樹脂、及び、IPDIをイソシアネート成分とするブ
ロックイソシアネートAと、ラクトン変性HDIアダク
ト体をイソシアネート成分とするブロックイソシアネー
トBとの併用系からなるブロックイソシアネートを用
い、これらを主剤(樹脂成分)とする実施例1乃至実施
例5のクリヤー塗料を調製した。
【0071】ここで、これらの実施例において、水酸基
含有樹脂に対して、併用系からなるブロックイソシアネ
ートAとブロックイソシアネートBとは、水酸基含有樹
脂中の水酸基とそれらのブロックイソシアネートA,B
中の合計の有効イソシアネート基(有効NCO)とのモ
ル比(個数比)が1:1となるように、つまり、水酸基
と有効NCOとの個数が等しくなるような割合で、配合
した。そして、各実施例において、そのブロックイソシ
アネートAとブロックイソシアネートBとの相互の配合
比を種々に変えて調製した。
【0072】即ち、実施例1は、ブロックイソシアネー
トAとブロックイソシアネートBとを、ブロックイソシ
アネートAの割合を比較的多くし、重量比において8
5:15の配合比で併用したものである。具体的には、
実施例1の主剤組成は、水酸基含有樹脂63.9重量
部、ブロックイソシアネートA30.7重量部、及びブ
ロックイソシアネートB5.4重量部(合計100重量
部)からなっている。
【0073】実施例2は、実施例1におけるブロックイ
ソシアネートAの割合を少し減少し、ブロックイソシア
ネートAとブロックイソシアネートBとを重量比におい
て80:20の配合比で併用したものである。具体的に
は、実施例2の主剤組成は、水酸基含有樹脂63.4重
量部、ブロックイソシアネートA29.3重量部、及び
ブロックイソシアネートB7.3重量部からなってい
る。
【0074】実施例3は、ブロックイソシアネートAと
ブロックイソシアネートBとを、重量比において等量
で、即ち50:50の配合比で併用したものである。具
体的には、実施例3の主剤組成は、水酸基含有樹脂6
0.0重量部、ブロックイソシアネートA20.0重量
部、及びブロックイソシアネートB20.0重量部から
なっている。
【0075】実施例4は、ブロックイソシアネートAと
ブロックイソシアネートBとを、ブロックイソシアネー
トAの割合を比較的少なくし、重量比において40:6
0の配合比で併用したものである。具体的には、実施例
4の主剤組成は、水酸基含有樹脂58.8重量部、ブロ
ックイソシアネートA16.5重量部、及びブロックイ
ソシアネートB24.7重量部からなっている。
【0076】実施例5は、ブロックイソシアネートAと
ブロックイソシアネートBとを、ブロックイソシアネー
トAの割合を更に少なくし、重量比において30:70
の配合比で併用したものである。具体的には、実施例5
の固形分組成は、水酸基含有アクリル樹脂57.6重量
部、ブロックイソシアネートA12.7重量部、及びブ
ロックイソシアネートB29.7重量部からなってい
る。
【0077】なお、これらの各実施例の塗料組成物に
は、ブロックイソシアネートの解離触媒として、有機錫
系化合物を2.0重量部ずつ添加した。ここで、この有
機錫系化合物としては、ジ−n−ブチル錫ジラウレート
(『SCAT−1』三共有機合成(株)製)を使用し
た。
【0078】〔比較例1〜4〕 〈比較例1,2〉これらの実施例に対して、比較例1及
び比較例2のクリヤー塗料は、上記の実施例と同様に、
水酸基含有樹脂と、架橋樹脂としてのブロックイソシア
ネートとを主剤とするものであり、そのブロックイソシ
アネートとして、上記の実施例で使用したブロックイソ
シアネートA,Bをそれぞれ単独で使用したものであ
る。なお、これらの比較例において、ブロックイソシア
ネートの配合割合は、水酸基含有樹脂中の水酸基とブロ
ックイソシアネート中の有効NCOとのモル比(個数
比)が1:1となるような割合である。
【0079】即ち、比較例1は、ブロックイソシアネー
トとしてブロックイソシアネートAのみを使用したもの
である。具体的には、比較例1の主剤組成は、水酸基含
有樹脂65.3重量部、及びブロックイソシアネートA
34.7重量部からなっている。
【0080】比較例2は、ブロックイソシアネートとし
てブロックイソシアネートBのみを用いたものである。
具体的には、比較例2の主剤組成は、水酸基含有樹脂5
3.1重量部、及びブロックイソシアネートB46.9
重量部からなっている。
【0081】なお、これらの比較例1及び比較例2のク
リヤー塗料には、実施例と同様に、有機錫系化合物を
2.0重量部ずつ添加した。
【0082】〈比較例3,4〉比較例3及び比較例4の
クリヤー塗料は、従来からの一般的なメラミン樹脂硬化
型塗料に相当するものであり、上記の水酸基含有樹脂と
架橋樹脂としてのメラミン樹脂とを主剤とするものであ
る。そして、比較例3及び比較例4では、そのメラミン
樹脂の配合割合を変えて調製した。なお、メラミン樹脂
としては、『スーパーベッカミンL−117−60』
(大日本インキ化学工業(株)製)を使用した。
【0083】即ち、比較例3の主剤組成は、水酸基含有
樹脂70.0重量部、メラミン樹脂30.0重量部から
なっている。
【0084】比較例4は、比較例3におけるメラミン樹
脂の配合割合をより多くしたものである。具体的には、
比較例4の主剤組成は、水酸基含有樹脂60.0重量
部、メラミン樹脂40.0重量部からなっている。
【0085】なお、これらの実施例及び比較例のクリヤ
ー塗料には、上記の主剤成分の他に、ベンゾトリアゾー
ル系の紫外線吸収剤(『チヌビン900』チバガイギー
社製)、ヒンダードアミン系の酸化防止剤(『チヌビン
440』チバガイギー社製)を、それぞれ1PHRずつ
添加した。また、表面調整剤として、シリコン系のレベ
リング剤(『BYK−300』BYK社製)を0.5P
HR添加した。そして、混合溶剤{酢酸エチル/トルエ
ン/ソルベッソ100(40/40/20)}を添加し
て、フォードカップ(FC#4)で30秒(室温20
℃)の粘度に調整した。
【0086】〔塗装板の作製〕上記のように主剤組成を
変えて調製した実施例1乃至実施例5及び比較例1乃至
比較例4のクリヤー塗料を上塗り塗料として用い、自動
車車体の実際の塗装の場合と同様の条件により試験用塗
装板を作成した。
【0087】まず、リン酸亜鉛化成処理を施した厚さ
0.8mmのダル鋼板にエポキシ系カチオン電着塗装を施
し、これにポリエステル−メラミン系中塗り塗料を塗装
し、これを乾燥焼付した後、水研、脱脂して上塗り塗装
の準備を行った。なお、この電着塗装塗膜の厚さは約2
0μm、中塗り塗膜の厚さは約35μmである。
【0088】そして、このように準備した試験板に、メ
タリックベース塗料を乾燥塗膜の厚さが15μmとなる
ように塗布した後、ウェットオンウェットで、実施例及
び比較例の各クリヤー塗料を乾燥塗膜の厚さが35μm
となるようにそれぞれ塗布し、次いで、セッティング
後、140℃×20分の加熱条件で塗膜の焼付乾燥を行
った。
【0089】なお、このメタリックベース塗料はメラミ
ン樹脂硬化型塗料であり、次の配合からなるものであ
る。アクリル樹脂(『アクリディック47−712』大
日本インキ化学工業(株)製)27.3重量部、メラミ
ン樹脂(『スーパーベッカミンL−117−60』大日
本インキ化学工業(株)製)5.7重量部、アルミフレ
ーク顔料(『アルペースト7160NS)』東洋アルミ
(株)製)4.5重量部、シンナー{酢酸エチル/トル
エン/ソルベッソ100(40/40/20)}62.
5重量部。
【0090】〔評価試験〕次に、このように形成した実
施例及び比較例の各クリヤー塗料の塗膜について、その
光沢、硬度、耐溶剤性、耐水性、耐酸性、耐衝撃性、及
び耐スリ傷性をそれぞれ試験し、その評価を行った。
【0091】なお、それぞれの試験方法と評価の基準は
以下の通りである。
【0092】〈光沢〉20°/20°で鏡面反射率を測
定した。
【0093】〈硬度〉JIS K5400 8.4.2
に準拠して、鉛筆硬度を測定した。
【0094】〈耐溶剤性〉キシレン・ラビングテストを
行い、キシレンをしみ込ませたガーゼで塗膜の上を10
回ラビングし、塗膜表面を観察して次の基準で評価し
た。 ○:異常なし。 □:僅かに傷がつく。 △:傷が目立ち、また僅かに変色する。 ×:塗膜が膨潤し、また白化する。
【0095】〈耐水性〉40℃の温水中に塗装板を24
0時間浸漬し、塗膜表面を観察して次の基準で評価し
た。 ○:異常なし。 □:マイクロブリスタが発生する。 △:ブリスタが発生する。 ×:白化、或いは縮み、艶退け、その他の外観不良が生
じる。
【0096】〈耐酸性〉塗膜上に10%硫酸水溶液0.
5mlをスポット状に滴下し、50℃で30分間放置し
た後、水洗、乾燥し、その塗膜表面を観察して次の基準
で評価した。 ○:異常なし。 □:変色等はないが、スポット部分に僅かな凹みが生じ
る。 △:変色し、スポット部分に凹みが生じる。 ×:著しい変色、凹み、エッチングが生じる。
【0097】〈耐衝撃性〉デュポン式衝撃試験を行い
(試験片である塗装板に、高さhの位置から重さ500
gの重錘を落下して衝突させ、試験片を衝撃変形させ
る)、塗膜表面に亀裂が生じる臨界高さを測定し、次の
基準で評価した。 ○:臨界高さが20cm以上。 ×:臨界高さが20cm未満。
【0098】〈耐スリ傷性〉実際の洗車機で洗車する場
合に塗膜が受ける擦歴と同様の擦歴条件を再現する小型
洗車スリ傷試験機を用い、塗膜表面でシャワー付きの回
転式ナイロンブラシを20往復させて塗膜を洗浄した。
この塗膜について、色差計を用いて初期と洗浄後との塗
膜表面の色差ΔLを測定し、その測定されたΔLから以
下の基準で耐スリ傷性の評価を行った。 ○:ΔLが0.3未満。 □:ΔLが0.3以上0.5未満。 △:ΔLが0.5以上1.0未満。 ×:ΔLが1.0以上。
【0099】なお、色差ΔLが0.3未満である場合、
スリ傷は外観上実質的に分からない。また、色差ΔLが
0.3以上0.5未満の場合には、スリ傷は詳細に観察
すれば分かるが、外観上はほとんど分からない。更に、
色差ΔLが0.5以上1.0未満では、スリ傷は外観上
目立つ程ではないが、容易に気付かれるものとなり、ま
た色差ΔLが1.0を越えると、スリ傷は明らかに目立
つものとなる。
【0100】これらの評価試験の結果を、配合組成と合
わせて図1に示す。
【0101】〔試験結果〕図1のように、まず比較例に
ついてみると、比較例3及び比較例4の塗料は水酸基含
有樹脂とメラミン樹脂とを主剤(樹脂成分)とするメラ
ミン樹脂硬化型塗料であるが、これにより形成された塗
膜は、光沢が僅かに低いものの、硬度、耐溶剤性、耐水
性、及び耐衝撃性のいずれも良好である。また、比較例
3では、耐スリ傷性に若干劣る傾向が見られるが、架橋
樹脂であるメラミン樹脂の配合を多くした比較例4で
は、架橋密度が高められたことによって、耐スリ傷性も
良好になっている。しかしながら、この塗料による塗膜
は、骨格樹脂としての水酸基含有樹脂と架橋樹脂(硬化
剤)としてのメラミン樹脂との結合が酸に比較的弱いエ
ーテル結合であるため、耐酸性、即ち、耐酸性雨性が悪
い。なお、図1の試験結果には表されていないが、メラ
ミン樹脂の配合量が多い比較例4は耐酸性がより悪化し
ている。
【0102】これに対して、架橋樹脂として、メラミン
樹脂に代えてブロックイソシアネートを使用した比較例
1及び比較例2の塗料では、耐酸性、即ち、耐酸性雨性
が向上している。
【0103】特に、優れた耐酸性は、イソホロンジイソ
シアネート(IPDI)をイソシアネート成分とするブ
ロックイソシアネートAを使用した比較例1によって得
られている。これは、架橋樹脂としてのIPDIからな
るイソシアネート成分が、ガラス転移温度Tgが比較的
高く、高温に対して耐性のある硬化樹脂を形成するため
であると考えられる。しかし、この塗膜は耐スリ傷性と
耐衝撃性には劣っている。
【0104】一方、ヘキサメチレンジイソシアネート
(HDI)と、トリメチロールプロパンのε−カプロラ
クトン変性体(ポリカプロラクトントリメチロールプロ
パンエステル)とのアダクト体(ラクトン変性HDIア
ダクト体)をイソシアネート成分とするブロックイソシ
アネートBを使用した比較例2によれば、逆に、優れた
耐スリ傷性が得られている。耐スリ傷性に優れる理由と
しては、このイソシアネート成分は水酸基含有樹脂との
架橋反応にあずかるイソシアネート基からイソシアネー
ト基までの分子長さが長く、かつ、この間に柔軟屈曲性
に優れるエステル結合を有するために、水酸基含有樹脂
と架橋反応することによって得られる網目構造が柔軟性
に優れたものとなり、洗車時のブラシの衝撃に対する緩
衝性が塗膜に与えられるためであると考えられる。ま
た、この塗膜は耐衝撃性も良好である。しかし、耐酸性
には劣り、硬度、耐溶剤性にも劣る傾向が見られる。
【0105】これらの比較例1及び比較例2に対して、
ブロックイソシアネートとしてIPDIをイソシアネー
ト成分とするブロックイソシアネートAと、ラクトン変
性HDIアダクト体をイソシアネート成分とするブロッ
クイソシアネートBとを併用した実施例1乃至実施例5
の塗料によれば、いずれにおいても、耐酸性に優れるだ
けでなく、耐スリ傷性にも優れ、また、硬度、耐溶剤
性、及び耐衝撃性等も良好な塗膜が得られている。即
ち、それらのブロックイソシアネートA,Bをそれぞれ
単独で使用した場合の塗膜性能上の短所が他方によって
補われ、改善されると共に、それぞれの塗膜性能上の長
所が、他方によって低下されることなく、そのまま維持
されている。
【0106】なお、これらの実施例1乃至実施例5から
すれば、ブロックイソシアネートBの配合割合が比較的
多い実施例1では耐スリ傷性が僅かに劣り、また、ブロ
ックイソシアネートBの配合割合が比較的少ない実施例
5では耐溶剤性及び耐酸性が僅かに劣る傾向が見られ
る。そのため、このブロックイソシアネートAとブロッ
クイソシアネートBとの相互の配合割合は、重量比にお
いて、実施例1の85:15から実施例5の30:70
の範囲の割合が好ましく、より好ましくは実施例2の8
0:20から実施例4の40:60となるような範囲の
割合であることが分かる。
【0107】このように、この試験結果から、水酸基含
有樹脂と、ブロックイソシアネートとから主剤を形成す
ると共に、そのブロックイソシアネートとして、IPD
Iをイソシアネート成分とするブロックイソシアネート
Aと、HDIと多価アルコールのラクトン変性体とのア
ダクト体をイソシアネート成分とするブロックイソシア
ネートBとを所定の割合で併用して用いることによっ
て、光沢、硬度、耐溶剤性、耐水性、耐衝撃性等が良好
であると共に、特に、耐酸性(耐酸性雨性)及び耐スリ
傷性に優れた塗料組成物を得ることができることが分か
る。
【0108】ところで、本発明の熱硬化性塗料組成物に
ついては、特に、自動車車体の上塗りクリヤー塗料とし
て具体化した場合について説明したが、本発明を実施す
る場合には、その熱硬化性塗料組成物はこのような使用
・用途に限定されるものではなく、例えば、ソリッドカ
ラー等の着色塗料として具体化することができ、また車
両以外の各種物品の塗装に用いることもできる。また、
本発明の熱硬化性塗料組成物は、風雨に晒される自動車
や屋外建造物の上塗り塗料として特に好適なものである
が、中塗り塗料または下塗り塗料としても適用すること
ができ、更には、必要に応じて、屋内物品用の塗料とし
ても適用することができる。
【0109】
【発明の効果】以上のように、本発明にかかる熱硬化性
塗料組成物は、水酸基を分子中に含有する水酸基含有樹
脂と、その水酸基含有樹脂に対する架橋樹脂としてのブ
ロックイソシアネートとを主剤として含み、そのブロッ
クイソシアネートが、イソホロンジイソシアネートIP
DIをイソシアネート成分とするブロックイソシアネー
ト(A)と、ヘキサメチレンジイソシアネートHDI及
びそのイソシアヌレート体のうちの1種以上と多価アル
コールのラクトン変性体とのアダクト体をイソシアネー
ト成分とするブロックイソシアネート(B)との併用系
からなり、かつ、このブロックイソシアネート(A)と
ブロックイソシアネート(B)とは重量比で85:15
〜30:70の割合からなるものである。
【0110】したがって、この熱硬化性塗料組成物によ
れば、ブロックイソシアネートとして、特に優れた耐酸
性(耐酸性雨性)を与えることができるブロックイソシ
アネート(A)と、特に優れた耐スリ傷性とを与えるこ
とができるブロックイソシアネート(B)とを所定の割
合で併用しているので、光沢、硬度、耐溶剤性、耐水
性、及び耐衝撃性等がいずれも良好であると共に、特に
耐酸性と耐スリ傷性とに優れる塗膜を形成することがで
きる。そのため、この熱硬化性塗料組成物は自動車車体
の上塗り塗料等として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の実施例及び比較例の熱硬化性
塗料組成物(クリヤー塗料)の主剤の配合組成と、それ
らの塗膜性能に関する評価試験の結果とを示す表図であ
る。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水酸基を分子中に含有する水酸基含有樹
    脂と、 前記水酸基含有樹脂に対する架橋樹脂としてのブロック
    イソシアネートとを主剤として含み、 前記ブロックイソシアネートは、イソホロンジイソシア
    ネートをイソシアネート成分とするブロックイソシアネ
    ート(A)と、ヘキサメチレンジイソシアネート及びそ
    のイソシアヌレート体のうちの1種以上と多価アルコー
    ルのラクトン変性体とのアダクト体をイソシアネート成
    分とするブロックイソシアネート(B)との併用系から
    なり、かつ、 前記ブロックイソシアネート(A)と前記ブロックイソ
    シアネート(B)とは重量比において85:15〜3
    0:70の範囲であることを特徴とする熱硬化性塗料組
    成物。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002097422A (ja) * 2000-09-26 2002-04-02 Sekisui Chem Co Ltd 粘着シート
US8138258B2 (en) 2004-12-22 2012-03-20 Nippon Paint Co., Ltd. Clear coating composition for an automobile and method of forming a multi-layer coating film using the same
JP2012107101A (ja) * 2010-11-16 2012-06-07 Nippon Polyurethane Ind Co Ltd 自己修復型形成性コーティング組成物及び塗装方法
CN113845831A (zh) * 2021-10-14 2021-12-28 Ppg涂料(天津)有限公司 清漆组合物

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