JPH09132136A - 鉄道車両用駆動装置 - Google Patents

鉄道車両用駆動装置

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Publication number
JPH09132136A
JPH09132136A JP7292515A JP29251595A JPH09132136A JP H09132136 A JPH09132136 A JP H09132136A JP 7292515 A JP7292515 A JP 7292515A JP 29251595 A JP29251595 A JP 29251595A JP H09132136 A JPH09132136 A JP H09132136A
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JP
Japan
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speed
traveling
control
engine
vehicle
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Application number
JP7292515A
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English (en)
Inventor
Katsumasa Jomen
克昌 定免
Kaoru Watanabe
馨 渡辺
Toshiyuki Midorikawa
利幸 緑川
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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    • Y02T10/76

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  • Controls For Constant Speed Travelling (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】定速走行を安定的に行えるようにする。 【解決手段】エンジン1 を主動力源として走行する鉄道
車両において、このエンジンにより駆動され、制御信号
対応に発生油圧を調整可能な油圧ポンプ3 と、該油圧ポ
ンプの発生油圧により駆動され、制御信号対応に動力を
発生する油圧モータ4 と、エンジンの回転数を検出する
エンジン回転数検出手段13と、車速を検出する車速検出
手段16と、前記エンジン出力により車両を走行駆動する
通常走行または前記油圧モータ出力により車両を走行駆
動する定低速走行のいずれかを選択する走行制御モード
選択手段11と、定速走行時の速度を設定する定低速走行
設定手段 9と、前記のエンジン回転数検出手段、車速検
出手段、走行制御モード選択手段及び定低速走行設定手
段からの入力により、前記油圧ポンプ及び油圧モータを
制御する制御手段12とを具備する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両たとえば鉄道
保全用作業車の走行用動力装置にかかわり、特に静油圧
変速機(HST)を用いて定低速走行時での定速走行を
安定して行なうことができるようにした鉄道車両用駆動
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鉄道保全用作業車は、動力源にエンジン
を搭載し、このエンジンの出力を変速機を介して車輪に
伝達して当該車輪を駆動し、走行させる。そして、鉄道
保全用作業車は、所望のように加速し、また、減速した
り停止したりする通常の走行の他、作業のための走行モ
ードがあり、この作業用の走行モードでは、定低速度で
作業車を走行させながら鉄道の保全作業にあたることに
なる。
【0003】ところで、このような鉄道用保全車両の走
行系は、トルクコンバータを有したパワーシフトタイプ
の変速機を使用したものが主流であり、作業時に使用さ
れる定速車速制御は変速クラッチとは別に設けたクラッ
チの油圧を制御してブレーキをかけながら、目標の車速
に保持するスリップ率で行なっている。
【0004】しかしながら、このような制御方式による
と、クラッチのスリップが熱損失となるとともに、油温
変化などで定速制御の安定性が良くないという問題があ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来の鉄
道保全用作業車は、エンジンと変速部の間にトルクコン
バータを有しているため、その間でのスリップにより、
熱損失を生じてその熱により油温変化が生じることなど
より、一定速度に保持することが難しい。
【0006】そのため、通常は目標車速より高めの速度
になるようエンジンをコントロールし、ブレーキを使用
して車速を目標値に保つよう、工夫している。しかし、
このような制御形態を使用すると、ブレーキ部での発熱
が大きく、そのために、ブレーキ部潤滑機構を追加する
必要があり、コストアップを招くと共に、ブレーキ部で
の耐久性に問題を残すことになる。また、車速を目標値
に保つには、その目標値以上の速度を確保できる回転速
度でエンジンを回転させながら、ブレーキで速度を抑え
る方法をとることから、燃費にも悪影響を与える。
【0007】そのため、構造的にこのようなブレーキの
併用をせずとも、一定速度を保って走行できるような走
行系の開発が嘱望されている。
【0008】そこで、この発明の目的とするところは、
燃費が良く、幅広い速度領域で所要の速度に保持して走
行できると共に、安全性も高く、非常に滑らかな加速、
減速制御が行なえるようにした鉄道車両用駆動装置を提
供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めの、本発明はつぎのように構成する。すなわち、エン
ジンを主動力源として走行する鉄道車両において、この
エンジンにより駆動され、制御信号対応に発生油圧を調
整可能な油圧ポンプと、この油圧ポンプの発生油圧によ
り駆動され、制御信号対応に動力を発生する油圧モータ
と、エンジンの回転数を検出するエンジン回転数検出手
段と、車速を検出する車速検出手段と、前進または後進
を選択する前後進選択手段と、前記エンジン出力により
車両を走行駆動する通常走行または前記油圧モータ出力
により車両を走行駆動する定低速走行のいずれかを選択
する走行制御モード選択手段と、定速走行時の速度を設
定する定低速走行設定手段と、前記エンジン回転数検出
手段、前記車速検出手段、前記前後進選択手段、前記走
行制御モード選択手段及び前記定低速走行設定手段から
の入力により、前記油圧ポンプ及び前記油圧モータを制
御する制御手段とを具備する。
【0010】このシステムにおいては、主動力源として
エンジンがあり、また、副動力源として油圧ポンプと油
圧モータとによる油圧駆動系があり、定速走行モード時
にはこのエンジンによる駆動走行を行ない、定速走行モ
ード時にはこのエンジンにて油圧ポンプを駆動すること
により発生する油圧を用いて油圧モータを駆動し、この
油圧モータによる駆動力を利用して走行する。
【0011】安定に定速走行させるには油圧ポンプの出
力が安定していることが重要であるが、主動力源として
エンジンを使用しているからそのエンジンの出力を安定
化が難しく、その影響が油圧ポンプ出力に生じる。そこ
で、エンジン回転数検出手段により、エンジンの回転数
を検出し、また、車速検出手段により車速を検出し、定
低速走行設定手段により設定された速度に保つに必要な
油圧モータの出力を得るために、エンジン回転数、車速
等とから制御手段は適正な油圧ポンプ出力を得るための
制御信号を出力して油圧ポンプを制御し、また、このと
きの油圧ポンプ出力を用いて駆動される油圧モータの出
力を制御して設定車速になるように制御する。
【0012】また、前後進選択手段により走行方向の切
換えを指令できるが、当該選択手段により走行方向の切
換え操作をすると、制御手段は現在の状態がこの切換え
の指令による走行方向と異なる時は、減速して停止する
ように油圧ポンプおよび油圧モータの出力制御を行な
い、停止した後に、指令方向に指令速度で走行するよう
に、油圧ポンプおよび油圧モータの出力制御を行なう。
【0013】このように、適正な出力となるように制御
される油圧駆動系により定速走行を行なうようにした結
果、鉄道の保守作業時等のように定低速走行を必要とす
る状況下では、油圧駆動系による安定した駆動出力を用
いての車両走行ができるので、安定した定低速走行を実
現でき、また、従来のように駆動力を高めに発生させて
ブレーキで速度を抑制させながら走行するといったこと
を行なわずに済むので、走行系や駆動系の消耗を抑制で
き、エネルギー損失も少なくて済む。
【0014】本発明システムにおいては、通常走行の場
合はエンジンにより、また、定速走行の時は油圧駆動系
を使用する。そして、エンジンの出力を車輪に伝達する
伝達機構にトルクコンバータを有したパワーシフト式変
速機を用いている。
【0015】また、油圧駆動系は、前記エンジンの出力
にて油圧を発生させる油圧ポンプと、この油圧ポンプに
よる発生油圧により回転駆動される油圧モータとからな
り、これら油圧ポンプと油圧モータは、押しのけ容積可
変制御可能なものを用いて、出力可変制御できるように
した。そして、定速走行時の制御手段としてこれら油圧
ポンプおよび油圧モータの駆動制御を行なうHST制御
手段とを設け、定速制御時には車速を検出し、設定車速
になるようにHSTの押しのけ容積を変化させるような
制御形態をとる。その結果、油圧系には安定した出力を
維持させることができ、当該油圧系を用いる定速走行の
モードでは、安定した定低速走行が実現できるようにな
り、また、油圧ポンプおよび油圧モータの押しのけ容積
を制御できるので、この制御により幅広い速度範囲で定
速走行速度を選択することができる。
【0016】また、走行時に、車速が指令値より小さい
場合に、エンジン回転数に比例して油圧ポンプ押しのけ
容積を増大し、油圧ポンプの押しのけ容積が最大値に達
した後に油圧モータ押しのけ容積を減少させる制御を行
なうことで、登坂時のトルク特性の大幅な改善を図るこ
とが可能になる。
【0017】本発明システムでは、定速制御は可変可能
で所望値に設定して与えることのできる速度指令設定値
に達するよう、速度フィードバックを行ない、油圧ポン
プ、油圧モータの押しのけ容積を制御するようにしたこ
とにより、従来、得られなかった広範囲の速度制御をス
ムースに実施できるようになる。
【0018】また、走行中に前後進切換が行なわれた場
合、これを誤操作とし、この誤操作手状態を検出し、ポ
ンプの吐出方向を急激に逆転させずに、徐々に中立位置
に戻し、車両が停止した後、逆方向に切り換えるように
する。このことにより、過大なHSTブレーキが作用す
るのを防止できる。
【0019】このように本発明では、トルクコンバータ
を有したパワーシフト式変速機とHSTを併設し、定速
制御時には車速を検出し、設定車速になる様にHSTの
押しのけ容積を変化させるような制御を実施したことに
より、操作性、耐久性、安定性、燃費等を大幅に向上さ
せることができるようなった。
【0020】
【発明の実施の態様】以下、本発明の具体例を説明す
る。
【0021】本発明の車両の走行駆動系を図1に、ま
た、走行駆動系とその制御系を含めた構成の概要を図2
に、また、制御系の構成を図3に示す。本発明は、エン
ジンを主動力源とする鉄道用の保全車両の動力装置にお
いて、公知であるパワーシフトトランスミッションのト
ランスファ(T/F)部に油圧モータをクラッチを介し
て装着し、通常走行にはエンジン出力を直に利用すると
共に、定速走行用に、前記エンジンで駆動される出力可
変制御可能な油圧ポンプからの油圧で駆動する出力可変
制御可能な油圧モータを設けて、定速走行時にはこの油
圧モータにより走行駆動するようにし、また、定速走行
時には、車輪の回転数をセンサーで計測して、油圧ポン
プと油圧モータの出力を、車速が一定になるように制御
する定速走行機能と、前後進の切り換え時にショックが
発生しないように制御するインタロック機能とを有した
制御装置により、油圧ポンプと油圧モータを制御して車
速一定走行を行なうようにし、これにより、エネルギの
無駄を抑制しつつ、幅広い速度領域で所要の速度に保持
して走行できると共に、安全性も高く、非常に滑らかな
加速、減速制御が行なえるようにしたものである。
【0022】本発明の車両の駆動系の構成は図1に示す
ように、エンジン1、歯車列2、走行用油圧ポンプ3、
走行用油圧モータ4、歯車列機構5、パワーシフト部2
1とからなる。
【0023】エンジン1は車両の主駆動源であり、歯車
列2はこのエンジン1の出力を走行用油圧ポンプ3に伝
えるための伝達系である。走行用油圧ポンプ3はエンジ
ン1にて回転駆動されることにより、油圧を発生するポ
ンプであり、走行用油圧モータ4はこの走行用油圧ポン
プ3の発生した油圧により回転駆動するモータである。
【0024】パワーシフト部21は、トルクコンバータ
を有したパワーシフト式変速機であり、エンジン1の回
転軸に取り付けられて、エンジン出力の後段への伝達回
転数を変えるものである。パワーシフト部21は、定速
走行モード時にはニュートラルに切換えられ、エンジン
1の出力の当該パワーシフト部21を介しての後段への
伝達は行なわれなくなるように制御される構成である。
【0025】歯車列機構5は、パワーシフト部21の出
力および走行用油圧モータ4の出力を車輪に伝達して車
両を走行させるための伝達機構であり、この歯車列機構
5は、歯車列の他にクラッチ5aを有していて、このク
ラッチ5aを接離操作することにより、走行用油圧モー
タ4の出力の後段への伝達を行なったり、伝達解除した
りすることができる。
【0026】このクラッチ5aの操作と、ニュートラル
状態に制御可能なパワーシフト部21の連携操作によ
り、走行用油圧モータ4の出力による走行と、エンジン
1の出力を直接利用した走行とを、選択切換えして車両
走行に供することができる構成である。
【0027】本発明においては、トルクコンバータを有
したパワーシフト式変速機と、油圧モータとを併設し、
これらをエンジン出力にて駆動すると共に、通常走行に
はパワーシフト式変速機を介してのエンジン出力による
直接駆動を行ない、作業時等に利用する定低速を含めた
定速走行には、油圧モータ出力による駆動を行なうよう
にした点に特徴がある。
【0028】このような走行モードに応じた切換え制御
と、油圧ポンプおよび油圧モータ出力による定低速を含
めた設定値対応の定速走行、そして、指令に応じて安全
かつ円滑に前後進動作を行なうようにするために、HS
T制御システムを設けている。そして、定速走行での運
転制御時には車速とエンジン出力を検出し、これとエン
ジン特性、油圧ポンプおよび油圧モータの特性に基づい
て設定車速になるような押しのけ容積変化を得る制御形
態をHST制御システムにより、とるようにする。
【0029】油圧ポンプおよび油圧モータは押しのけ容
積を可変制御できる構造のものを使用しており、当該押
しのけ容積を可変制御することで、油圧ポンプ側ではそ
の作動油の吐出量を可変でき、油圧モータ側では回転数
を変えることができる。
【0030】また、HST制御システムを使用した通常
走行もできるようにしておき、このモードでの走行時に
は、エンジン回転数に比例して油圧ポンプ押しのけ容積
を増大させ、押しのけ容積が最大値に達した後に油圧モ
ータ押しのけ容積を減少させる制御を行なうようにすれ
ば、登坂時のトルク特性の大幅な改善を図ることが可能
である。
【0031】図2は本発明システムの全体の構成を示す
概略図である。この図に従って具体例を説明する。図に
おいて、1は前述のエンジン、2は前述の歯車列、3は
前述の走行用油圧ポンプ、4は前述の走行用油圧モー
タ、5は前述の歯車列機構である。
【0032】また、6は鉄輪、7は油路、8はアクセル
ペダル、9はポテンショメータ、10は前後進切換スイ
ッチ、11は通常走行/定速走行切換スイッチ、12は
制御回路、13はエンジン回転数検出用の回転ピックア
ップ、14,15は電磁比例制御弁、16は車速検出用
の回転ピックアップ、17はパワーシフトトランスミッ
ション制御バルブ、18は変速スイッチ、19はリレー
である。
【0033】エンジン1は前述したように車両の駆動源
であり、アクセルペダル8は通常走行時において、この
エンジン1の回転を操作するための踏込みペダルであ
る。また、歯車列2はこのエンジン1の出力を走行用油
圧ポンプ3に伝えるための伝達系である。走行用油圧ポ
ンプ3はエンジン1にて回転駆動されることにより、油
圧を発生するポンプであり、走行用油圧モータ4はこの
走行用油圧ポンプ3の発生した油圧により回転駆動する
モータである。
【0034】鉄輪6は車両の走行車輪であり、この鉄輪
6は走行用油圧モータ4の回転力を歯車列機構5を介し
て伝達されるか、エンジン1の出力をパワーシフト部2
1を介して伝達されることにより、回転駆動されて車両
を走行させる。
【0035】電磁比例制御弁14は走行用油圧ポンプ3
用の、また電磁比例制御弁15は油圧モータ4用の押し
のけ容積を制御するための制御弁であり、これらは制御
回路12により制御される構成である。
【0036】すなわち、油圧ポンプ3および油圧モータ
4は、例えば、ピストンポンプ(プランジャポンプ)を
用いた場合、シリンダブロックとこのシリンダブロック
内を往復運動する複数本のピストン、これらのピストン
の一端に接して当該ピストンの往復運動を行なわせる斜
板とからなり、ポンプの場合、シリンダブロックを回転
させるか、斜板を回転させるかにより、シリンダブロッ
クに対する斜板の相対的な位置関係を変化させ、これに
より斜板に追従するピストンが、シリンダブロック内を
往復運動することで、ポンプ内に作動油を吸引し、加圧
して吐出する構成である。油圧モータは基本的にはこの
ようなポンプと同構造でよく、逆止弁がない構造であれ
ば加圧された作動油をポンプの吐出側に導入し、吸引側
から吐出させると正転し、逆にすれば逆転するをいった
モータ構造が得られる。
【0037】上記の油圧ポンプや油圧モータは、斜板の
角度を制御することにより内部の作動油の押しのけ容量
を可変することができ、押しのけ容量を可変すること
で、ポンプの側では加圧作動油の吐出量を調整でき、モ
ータの側では回転速度を調整することができる。
【0038】電磁比例制御弁14は油圧ポンプ3用の、
また電磁比例制御弁15は油圧モータ4用の斜板の角度
を制御するためのものであり、与えられる制御電流の値
対応に斜板の角度を制御する。
【0039】図11に本発明システムで用いる油圧ポン
プ3においてのポンプ斜板制御電流となるポンプ制御電
流とポンプ押しのけ容量の関係を、また、図12に、本
発明システムで用いる油圧モータ4においてのモータ斜
板制御電流となるモータ制御電流とモータの押しのけ容
量の関係を示す。
【0040】ポンプの斜板は、ポンプ制御電流値がある
値に達するまでは傾斜が零で、押しのけ容積が零であ
り、上記ある値を越えるとそれに比例して傾斜が増大
し、それに伴って押しのけ容積も比例して増大し、その
後、ある値で最大傾斜に達し(ポンプ最大電流)、この
時点が押しのけ容積最大となるといった図11に示す如
きに特性を示す。つまり、ポンプ制御電流は、増大する
と押しのけ容積も増大して、ポンプの作動油吐出量を増
大する。なお、押しのけ容積が零から増加方向に立ち上
がる開始点の位置の電流値がポンプ開始電流値である。
【0041】また、モータの斜板は、モータ斜板制御電
流値が小さいと、ある値に達するまでは傾斜が最大で、
押しのけ容積が最大であり、回転数最低で、上記ある値
を越えるとそれに比例して傾斜が減少し、それに伴って
押しのけ容積も比例して減少し、その後、ある値で傾斜
零に達し(モータ最大電流)、この時点が押しのけ容積
零となるといった図12に示す如きに特性を示す。つま
り、モータ制御電流は、増大すると押しのけ容積は減少
して、モータが少ない作動油量で動作するようになり、
同じ作動油量ならば回転数を増大させる。
【0042】本発明システムでの制御で用いるエンジン
1の回転数と、とるべきポンプ制御電流値との関係は図
13の如きであり、エンジン回転数が、零からある回転
数に達するまでの間は、ポンプ制御電流は零で、ポンプ
として機能しないようにしてあり、エンジン回転数が当
該ある値以上になるとそれに比例して、ポンプとして機
能を始める最小の押しのけ容積から最大押しのけ容積に
至る範囲でポンプ制御電流を発生する制御特性を得るよ
うにする。
【0043】また、本発明システムでの制御で用いる車
速と、とるべきモータ制御電流との関係は図14の如き
であり、車速が、零からある速度に達するまでの間は、
モータ制御電流は零で、押しのけ容積が最大の状態であ
り、モータとして回転数が小さい状態となるようにして
あり、車速が当該ある値以上になるとそれに比例して、
モータ制御電流を大きくして、押しのけ容積を小さく
し、モータとしての回転数を高めるような制御特性を得
るようにする。
【0044】本発明システムにおいては、走行用油圧ポ
ンプ3と走行用油圧モータ4との間は、油路7で接続さ
れており、この油路7を介して走行用油圧ポンプ3の油
圧が走行用油圧モータ4に伝達されると共に、送油方向
は切換弁等により切換えることができるようになってい
る。
【0045】走行用油圧ポンプ3と走行用油圧モータ4
の押しのけ容積の調整は電磁比例制御弁14および電磁
比例制御弁15により行なわれる。
【0046】また、ポテンショメータ9は、任意に設定
された定速速度指令値を電気信号に変換するためのもの
であり、前後進切換えスイッチ10は前進、後進といっ
た車両の走行方向を指令するスイッチで、“前進”,
“中立”,“後進”の3モ−ドに切換えることができる
切換え操作スイッチである。
【0047】また、通常走行/定速走行切換スイッチ1
1は走行制御モード(通常走行、定速走行)を選択切換
えするための操作スイッチであり、回転ピックアップ1
6は歯車列機構5の回転速度を検出して車速を検出する
ものである。
【0048】リレー19は制御回路12を介してオン/
オフ動作するように制御されるものであり、変速スイッ
チ18は、運転台に設けられた速度切換え操作用のスイ
ッチであって、このリレー19を介して電源供給される
ものである。
【0049】パワーシフトトランスミッション制御バル
ブ17はパワーシフト部21の制御バルブであって、変
速スイッチ18を操作することにより、パワーシフトト
ランスミッション制御バルブ17内蔵の電磁弁を動作さ
せてスイッチ状態対応に変速する。
【0050】本システムでは、通常走行/定速走行切換
スイッチ11を操作して定速走行のモードにすると、制
御回路12がリレー19をオフ状態にし、これによって
前記変速スイッチ18部への電源はしゃ断される。この
変速スイッチ18への電源しゃ断により、パワーシフト
部21がニュートラル状態になるようにパワーシフトト
ランスミッション制御バルブ17は機能する構成となっ
ている。
【0051】エンジン回転ピックアップ13はエンジン
1の回転速度を検出する検出器であり、回転ピックアッ
プ16は車速を検出するために車軸回転数を検出する検
出器である。
【0052】制御回路12は、エンジン回転ピックアッ
プ13からのエンジン回転速度情報と、回転ピックアッ
プ16からの車速情報と、ポテンショメータ9からの定
速速度指令と、前後進切換スイッチ10からの前/後進
指令、通常走行/定低速走行切換スイッチ11からの指
令とに基づき、運転制御する制御中枢であり、リレー1
9をオン/オフ制御したり、車速情報やエンジン回転数
の情報と、図11乃至図14の関係を用いて走行用油圧
ポンプ3と走行用油圧モータ4の各々の押しのけ容積を
演算し、その結果を制御信号(制御電流)に変換して電
磁比例制御弁14,15へ送るようにし、油圧ポンプ3
や油圧モータ4の押しのけ容積を調整して走行用油圧モ
ータ4の回転数を制御したり、また、パワーシフト部2
1を介したエンジン1の回転出力や、油圧モータ4の回
転方向の切換え制御をしたりする等の各種制御を行なう
ものである。
【0053】本発明システムにおいては、前記HST制
御システムは、定速速度指令を電気信号に変換するポテ
ンショメータ9、車両の走行方向を指令する前後進切換
えスイッチ10、走行制御モード(通常走行、定低速走
行)を切換える通常走行/定低速走行切換スイッチ1
1、車速を検出する回転ピックアップ16、制御回路1
2より構成している。
【0054】また、歯車列機構5におけるクラッチ5a
の接離タイミング制御は、油圧制御バルブの中で機械的
に行なわれる。
【0055】つぎにこのような構成の動作を説明する。
アクセルペダル8の踏み込み動作を調整することによ
り、エンジン1の出力は調整される。そして、エンジン
1の出力は、直接パワーシフト部21に、そして、歯車
列2を経て走行用油圧ポンプ3にそれぞれ伝えられる。
【0056】そして、走行用油圧ポンプ3からの圧油
は、油路7を介して走行用油圧モータ4に伝達され、こ
の圧油対応に走行用油圧モータ4の出力軸が回転され
る。
【0057】通常走行モードの場合、歯車列機構5のク
ラッチ5aは自動的に切られており、走行用油圧モータ
4の回転力は歯車列機構5の後段には伝達されない。
【0058】また、エンジン1の出力はパワーシフト部
21に直接与えられ、このパワーシフト部21は変速ス
イッチ18のスイッチ状態対応にパワーシフトトランス
ミッション制御バルブ17を制御されてそれ対応に変速
作用が行なわれることにより、変速スイッチ18による
指示に対応した変速を行なってエンジン1の回転を後段
に伝達する。この伝達は鉄輪6に対して行なわれるの
で、当該鉄輪6はパワーシフト部21を介してのエンジ
ン1の出力で回転駆動され、車両は走行することにな
る。
【0059】エンジン1の出力はアクセルペダル8の踏
み込みを調整することで、変えられるので、運転士は変
速スイッチ18の切換えと、アクセルペダル8の踏み込
みの加減をすることで所望の速度で車両を走行すること
ができる。
【0060】通常走行/定低速走行切換スイッチ11を
通常走行モードから定低速走行モードに切換えると、こ
れを受けて制御回路12は定低速走行モードとしての制
御に移る。
【0061】このモードでは、運転士が設定した速度指
令値対応の速度で油圧モータ4の出力により定速度運転
を行なう。すなわち、運転士により通常走行/定低速走
行切換スイッチ11が定低速走行モードに切り換えられ
たことにより、制御回路12はリレー19をオフにし、
変速スイッチ18に対する電源供給を切る。すると、こ
れにより、パワーシフト部21はニュートラルになり、
エンジン1の出力はパワーシフト部21の後段には伝え
られなくなる。
【0062】そして、前記HST制御システムを構成す
る制御回路12は、その代わりに、速度指令値対応の速
度になるように、電磁比例制御弁14,15に制御信号
を送って弁の開度を調整して、走行用油圧ポンプ3から
走行用油圧モータ4へ送られる油圧を調整し、走行用油
圧モータ4の回転力を歯車列機構5を介して鉄輪6に伝
達するようにする。
【0063】電磁比例制御弁14,15を開くように制
御する結果、歯車列機構5におけるクラッチ5aの接続
は、油圧制御バルブの中で機械的に行なわれるので、歯
車列機構5は走行用油圧ポンプ3の油圧を受けて駆動さ
れる走行用油圧モータ4の回転力を受けてその回転力
を、鉄輪6に伝達し、当該鉄輪6を回転駆動して、車両
は油圧モータ4による走行に入ることになる。
【0064】油圧モータ4による走行は、その回転数が
速度指令値対応のものとなるように、油圧ポンプ3と共
に制御されることから、設定した速度指令値対応の速度
で定速走行できることになる。なお、油圧ポンプ3を駆
動するエンジン1の回転数も最適になるように、制御回
路12はアクセル系を制御する。
【0065】油圧モータ4による定速走行を、もう少し
詳しく説明する。
【0066】本システムを搭載した車両の運転台には、
エンジン1の燃料供給量を調整するためのアクセルペダ
ル8と、定速走行運転時の走行速度設定値を与えるポテ
ンショメータ9、車両の進行方向を指定する前後進切換
スイッチ10、そして、通常走行/定低速走行の切換え
を行なうための通常走行/定低速走行切換スイッチ11
がある。運転士はこれらを操作して車両の運転を行な
う。
【0067】運転士が速度指令値をポテンショメータ9
にて設定すると、ポテンショメータ9からはこの設定さ
れた定速速度指令値がその値対応の電気信号に変換され
て制御回路12に与えられる。
【0068】一方、エンジン1の出力は、歯車列2を介
して走行用油圧ポンプ3に伝達され、この油圧ポンプ3
を回転させる。前記歯車列2の機構には回転ピックアッ
プ(エンジン1の回転速度を検出する手段)13が設け
られており、この回転ピックアップ13によりエンジン
1の回転数は検出されて電気信号に変換され、制御回路
12に伝達される。また、鉄輪6の回転数は車速検出用
の回転ピックアップ15にて検出されて電気信号に変換
され、制御回路12に伝達される。
【0069】そして、制御回路12は、エンジン回転検
出用の回転ピックアップ13からのエンジン回転速度情
報と、車速検出用の回転ピックアップ15からの車速情
報と、ポテンショメータ9からの定速速度指令と、前後
進切換スイッチ10からの前/後進指令、そして、通常
走行/定低速走行切換スイッチ11からの指令とに基づ
き、走行用油圧ポンプ3と走行用油圧モータ4の各々の
押しのけ容積を演算し、その結果を制御信号に変換して
電磁比例制御弁14,15へ送る。
【0070】電磁比例制御弁14は走行用油圧ポンプ3
に設けた押しのけ容積を比例制御するための電磁制御弁
であり、電磁比例制御弁15は油圧モータ4に設けた押
しのけ容積を比例制御するための電磁制御弁である。
【0071】制御回路12は走行用油圧ポンプ3と走行
用油圧モータ4の各々の押しのけ容積を演算し、その結
果を制御信号に変換して電磁比例制御弁14,15に与
え、これらの開度を制御することにより、指定方向に指
定速度で鉄輪6を回転駆動することができることにな
り、指示した速度での定速度走行が可能になる。
【0072】本システムの場合、走行用油圧ポンプ3と
走行用油圧モータ4の回転速度を検出して走行用油圧モ
ータ4の回転速度が指定の速度になるように電磁比例制
御弁14,15を制御するから、指定速度での走行を安
定に行なうことができ、また、ポテンショメータ9の設
定により、その設定値対応の定速速度指令を発生して、
この指令値に追従するように走行用油圧モータ4の回転
速度を制御することから、幅広い速度範囲で速度値を選
択することができ、その指定速度値による走行を安定に
行なうことができる。
【0073】[制御回路12の詳細]図3は、前記制御
回路12のブロック構成図である。
【0074】同制御回路12は、図に示すように、CP
U117と、ROM118と、RAM123と、A/D
コンバータ119と、スイッチ信号入力回路120と、
カウンタ121と、波形整形回路124と、駆動制御部
124と、電源回路125とより構成されている。
【0075】CPU117はマイクロプロセッサであ
り、ROM118はリードオンリーメモリであって、C
PU117に実行させる制御プログラムや処理に必要な
各種データが記憶されている。また、RAM123はラ
ンダムアクセスメモリで、CPU117のプログラム処
理に伴う各種データの保持や、作業領域等に使用され
る。
【0076】上記A/Dコンバータ119は、ポテンシ
ョメータ9からの定速速度指令をデジタル量に変換し
て、演算/制御の処理中枢であるCPU117へ与える
変換器であり、上記スイッチ信号入力回路120は前後
進切換えスイッチ10及び通常走行/定低速走行切換ス
イッチ11のON/OFF状態を検出して、CPU11
7へ送るためのものである。
【0077】上記波形整形回路122は、アナログ信号
で出力される回転ピックアップ13,16からの回転速
度信号の波形を、デジタル信号に変換してカウンタ12
1へ出力するものであり、上記駆動制御部124はCP
U117からの指令信号により、電磁比例制御弁14,
15への供給電流値を制御する。
【0078】上記電源回路125はバッテリ26からの
供給電力を制御回路12の各部へ適正な電力として供給
するためのものである。
【0079】上記RAM123には、各信号の状態等が
一時的に記憶され、ROM118に記憶された図4乃至
図10に示す如きの制御動作手順内容のプログラムに従
った制御処理を制御回路12が実行することにより、こ
の制御回路12を介して車両の走行を制御する。
【0080】制御回路12には、リレー19に対してオ
ンオフ制御する機能、走行用油圧ポンプ3と走行用油圧
モータ4の各々の押しのけ容積を演算し、その結果を制
御信号に変換して電磁比例制御弁14,15へ送るよう
にし、走行用油圧モータ4の回転数や回転方向を制御し
たりする等の機能の他に、走行中に逆進方向への切り換
え指令が行なわれる場合に、走行系や駆動系の破損防止
のため、直ちに応答はせず、一旦走行を停止させてから
その後に指定方向に、走行させるように、走行用油圧モ
ータ4を回転駆動させるようにしたり、また、制動をか
ける場合に、ショックが生じないように、制御したりす
るといった種々の制御を行なう機能を持たせてある。
【0081】次に前記図1,図2,図3に示す構成の装
置の作用を図4乃至図10に示すフローチャートに基づ
いて具体的に説明する。
【0082】[メインルーチン]図4は制御回路12に
実行させる制御プログラムのメインの制御フローチャー
トを示す。
【0083】図4に従って説明する。通常走行から定速
走行にモードが切換えられるとこのメインルーチンの実
行に入る。メインルーチンにおいては、まず、はじめに
ステップS1で制御に必要なエンジン回転数、車速、定
速指令値、各種スイッチ入力値を読み込み、この読み込
んだ情報はRAM123に記憶するといった処理を行な
う。つぎにステップS2でHSTの応答性に合わせ、エ
ンジン回転数の変化にタイムラグを付け、エンジン回転
数の急激な変化に伴なうショックを防止する。
【0084】つぎに車両の走行中に前後進の切換えが行
なわれたか否かを調べて、対応する処理に入る。そのた
めに、ステップS3では前後進切換スイッチ10のスイ
ッチ操作により、車両の走行中に前後進の切換えが行な
われた場合にはその際に、エラーフラグを発生させ、操
作が行なわれていない場合はエラーフラグを発生させな
いという処理を行なう。
【0085】すなわち、このエラーフラグは走行中に車
両の進行方向と逆の方向に対しての走行の指示が与えら
れた場合に、セットされるフラグであり、このエラーフ
ラグが発生したならば、RAM123に記憶した前後進
切換スイッチ10のスイッチの内容を“中立”の状態に
する。
【0086】これにより、車両の走行中に前後進の切換
えが行なわれた場合には車速が低下するまで、前後進切
換スイッチ10のスイッチ位置にかかわりなく、信号を
中立状態に保持することになる。そして、ステップS4
に進む。
【0087】ステップS4ではRAM123に記憶した
前後進切換スイッチ10の状態内容から、前後進切換ス
イッチ10の状態が“中立”状態か否かを判断する。そ
して、その判断の結果、“中立”状態である時はステッ
プS9のタイムラグ制御へと移る。しかし、“中立”状
態でない時はステップS5に移る。
【0088】ステップS5ではRAM123に記憶した
情報から、通常走行/定速走行切換スイッチ11が“定
速走行”の選択状態に切り換えられているか否かを判断
する。そして、その判断の結果、選択状態が“定速走
行”であればステップS10の処理に移り、“定速走
行”でなければステップS6の処理に移る。
【0089】ステップS6ではRAM123に記憶した
情報から、通常走行/定速走行切換スイッチ11の状態
が、“通常走行モード”であるか否かを判断する。そし
て、その判断の結果、選択状態が“通常走行モード”で
あればステップS9の処理に移り、“通常走行モード”
でなければステップS7の処理に移る。
【0090】ステップS7ではアクセルペダル8の操作
量を入力とした通常制御を行なうためのサブルーチンを
呼び、つぎにステップS8では定速走行の制御モードに
入ったかどうかを示すための制御フラグをセットしてか
らステップS1に戻る。
【0091】ステップS4での判断の結果、前後進切換
スイッチ10の状態が“中立”であったとき、また、ス
テップS6での判断の結果、通常走行/定速走行切換ス
イッチ11の状態が、“通常走行モード”でないとき、
タイムラグの制御を行なう処理ステップであるステップ
S9の処理に移る。
【0092】すなわち、このステップS9ではタイムラ
グの制御を行なうことにより、車両の速度を徐々に緩
め、停止させる。これは、通常走行の制御状態から急に
停止状態にするとショックが発生するので、これを緩和
するための制御であり、これによって油圧ポンプ3、油
圧モータ4の押しのけ容積を徐々に変化させる制御が行
なわれることになる。
【0093】また、ステップS5での判断の結果、通常
走行/定速走行切換スイッチ11のスイッチが“定速走
行”の選択状態であった時はステップS10の処理に移
るが、ステップS10からステップS15までの処理で
は、現在の車速がある車速以上の場合に、前回と同じ通
常制御モードを保持するようにし、そうでなければエン
ジン1の回転数が所定値以上である場合であって、か
つ、車両の走行中に前後進の切換えが行なわれなかった
場合に、定速制御を実施し、また、エンジン1の回転数
が所定値以下である場合であって、かつ、車両の走行中
に前後進の切換えが行なわれた場合にステップS9のタ
イムラグ制御を行ない、ステップS1に戻る。
【0094】すなわち、ステップS10では車速の判定
を行ない、その結果、車速がある値より大きい時は、前
回の制御が通常制御である場合にステップS7の処理に
移り(ステップS11)、そうでない時はステップS1
2の処理に移る。また、ステップS10での車速判定の
結果、車速がある値以下の時もステップS12の処理に
移る。ステップS12では、エンジン1の回転数がある
値より大きいか否かを調べ、大きいときはステップS1
3の処理に移り、大きくないときはステップS9の処理
に移る。
【0095】ステップS13では、前後進切換スイッチ
10のエラーフラグをチェックする。これは前後進切換
スイッチ10のスイッチ操作により、車両の走行中に前
後進の切換えが行なわれた場合にはエラーフラグが立っ
ているので、このエラーフラグをチェックを行なってエ
ラーフラグがあればステップS9の処理に移り、無いと
きはステップS14の処理に移る。ステップS14にお
いては、定速制御の処理ルーチンに入って定速処理を行
ない、これが終わると制御フラグをセットして(ステッ
プS14)からステップS1に戻る。
【0096】つまり、ステップS10以下の処理は、通
常走行モードから定速モードに切換えられた時、あまり
大きな速度差があるとショックを発生し、システムを構
成している油圧機器や歯車を破壊する恐れがあるので、
これを予防しつつ、定速制御に入る処理であり、ステッ
プS10とステップS11での処理によって、ある車速
以上で通常制御モードから定速制御モードに切り換わろ
うとした時は、前回と同じ通常制御モードを保持するよ
うにしている。
【0097】また、ステップS12での処理はエンスト
防止である。すなわち、ある走行に必要なエンジン回転
数に至っていない場合、負荷をかけるとエンスト(すな
わち、エンジン停止)するので、ステップS12ではそ
の回転数が設定数より大きいか否かを判定し、それを防
止している。
【0098】ステップS13では走行中に前後進切り換
えが発生した場合、それは逆進の指令ということになる
ので、その指令通りに制御を行なうと走行系が破損する
恐れがあることから、その時はステップS9のタイムラ
グ制御に入り、一度徐々に減速させて停止させ、その後
に指令方向に徐々に加速されるようにしている。
【0099】ステップS14は負荷変動に関係なく指令
値通りの車速を保つ制御を行なうサブルーチンである。
ステップS15では定速走行の制御モードに入ったので
制御フラグをセットする処理である。
【0100】[エンジン回転数の急激な変化に伴なうシ
ョック防止の制御]ここで、ステップS2のサブルーチ
ンであるエンジン回転数の急激な変化に伴なうショック
防止制御の詳細について説明する。
【0101】図5は、ステップS2のサブルーチンのア
ルゴリズムである。
【0102】ここでは、通常走行の時は、エンジン回転
数をパラメータとしてポンプの押しのけ容積制御を行な
う。つまり、アクセル制御に依るエンジン1の応答は比
較的早いが、油圧ポンプ3の応答は遅いため、加速時
は、油圧回路系の圧力を制限したりするために設けてあ
る弁であるリリーフバルブがリリーフするとか、減速時
はHSTブレーキによる制動力が大き過ぎるといったこ
とが生じるので、これを防ぐため、エンジン回転数の信
号にタイムラグを与えるようにする。
【0103】そのために、ステップS15では、現在の
状態が加速状態であるのか、減速状態であるのかの判断
をする。この判断のために、ここでは、今回の計測値と
前回の計測値との差を求め、その差から減速状態である
のかの判断をする。そして、その結果、加速状態である
と判断したならば、ステップS16の処理に移り、減速
状態であると判断したならば、ステップS18の処理に
移る。
【0104】ステップS16の処理においては、変化分
をある定数で割った値を変化量として、前回の値に対し
てこの変化量分の値の増加変化に今回の値を制限するこ
とにより、タイムラグを付ける。そして、このステップ
S16での求めた値をエンジン回転数の制御目標値とす
る。これにより、当該目標値にてエンジン1を回転駆動
制御する。
【0105】一方、ステップS18では、減速方向のタ
イムラグを付ける。ステップS18の処理においては、
変化分をある定数で割った値を変化量として、前回の値
に対してこの変化量分の値の減少変化に今回の値を制限
することにより、タイムラグを付ける。そして、ステッ
プS17では、このステップS18での求めた値をエン
ジン回転数の制御目標値とし、当該目標値にてエンジン
1を回転駆動制御する。
【0106】このようにして、ステップS17では、タ
イムラグを付けられた値をエンジン回転数として、以降
の制御データに使用することで、ショックの発生や油圧
系、走行系に無理な力が作用するのを防ぐようにする。
そして、ステップS3の処理に移る。
【0107】[走行中の前後進切換えスイッチ10切換
え操作適応処理]つぎにステップS3のサブルーチンで
ある走行中の前後進切換えスイッチ10切換え操作適応
処理の詳細について説明する。
【0108】走行中に前後進切換えスイッチ10の切換
え操作を行なわれていればステップS3の処理がなされ
るが、ここでの処理の内容は図6の如きとなる。図6に
沿って説明する。
【0109】車両走行中に前後進切換えスイッチ10が
切換えられたとすると、制御回路12はその状態を判断
し、エラーフラグを立てると共に、制御で使用するスイ
ッチ入力情報を“中立”状態に置き換える。
【0110】従って、このエラーフラグをチェックする
ことで、走行中での前後進切換えスイッチ10の切換え
がなされたことを知る。切換えがなされたことを知る
と、ステップS19の処理に入り、ここで車速がある定
数以下かを判断する。
【0111】そして、判断の結果、車速がある定数以上
の時はステップS20において前回の前後進切換スイッ
チ10のスイッチ状態が、前進であったか否かの判断を
行なう。
【0112】その結果、前進であった時はステップS2
1で今回の値が後進であるか否かの判断を行ない、その
結果、今回の値が後進であった時は、走行中にスイッチ
が切り換ったということを意味するので、ステップS2
2でエラーフラグを立て、このサブルーチン処理を抜け
る。今回の値が後進でなかった時もこのサブルーチン処
理を抜ける。
【0113】ステップS20でのチェックの結果、前回
が前進でなかった場合には、ステップS23の処理に移
る。
【0114】ステップS23では走行に入った時、後進
であったか否かを判断する。そして、後進であった場合
には、ステップS24の処理に入る。そして、このステ
ップS24では今回が前進の設定であるか否かを調べ
る。今回が前進であれば、走行中にスイッチの切り換え
があったことになるから、ステップS25でエラーフラ
グを立て、ステップS3のサブルーチンを抜ける。
【0115】一方、ステップS23で前回が後進であっ
たと判定すると、スイッチの設定は中立ということにな
るから、ステップS26でエラーフラグはクリアし、ス
テップS3のサブルーチンを抜ける。
【0116】また、ステップS19の判定の結果、車速
が定数以下であるときは、ステップS28に移り、ここ
でエンジン回転数の値について、今回の値で前回値を書
き替えるとともに、エラーフラグをクリアする。
【0117】このようにして、車速が定数(ある設定
値)以上であって、しかも、走行中に前後進切換スイッ
チ10の“前進”または“後進”へのスイッチ切換えが
あった場合に、エラーフラグを立て、“中立”へのスイ
ッチ切換えと、車速が定数以下となった時ではエラーフ
ラグのクリアといった処理をする。また、車速が定数以
下となった時では、ステップS2のサブルーチン処理で
求めた値で前回値を書き替え、この書き替えた値をエン
ジン1の回転数の制御目標値にする。
【0118】[通常走行制御]つぎに、ステップS7で
の制御である通常走行制御における走行について説明す
る。ここでの処理は、通常走行制御時での油圧ポンプ及
び油圧モータの押しのけ容積制御が中心となる。
【0119】すなわち、ステップS7の処理は図7に示
すように、通常走行制御における油圧ポンプ及び油圧モ
ータの押しのけ容積の制御値を計算するために、まず、
初めにステップS29の処理に入り、ここでは予め用意
した図14に示す如きの車速‐モータ制御電流の特性を
利用し、この特性にのっとり、検出車速に対してその時
のモータ制御電流値を計算する。
【0120】そして、つぎにステップS30で、車両の
現在の状態が“前進”か“後進”かの判断を行なう。こ
こでの判断は、ステップS3の結果を使用して行なわ
れ、以下の処理により、走行中に前/後進切り換えが行
なわれても停止するまでは前の状態をキープするように
して、ショック、破損を防ぐようにしている。
【0121】すなわち、ステップS30での判定の結
果、車両の現在の状態が“前進”であれば、ステップS
31に進み、ここでは予め用意した図13の如きエンジ
ン回転‐ポンプ制御電流特性のグラフを用いて、現在の
エンジン回転数を入力に、その回転数での必要なポンプ
制御電流を計算する。
【0122】ここでのエンジン回転‐ポンプ制御電流特
性は、本システムに使用しているエンジン1と油圧ポン
プ3の実際の特性から得る。
【0123】ステップS31の計算が終わると、その計
算した値を出力するようセットする(ステップS3
2)。そして、この処理ルーチンを抜けてメインルーチ
ンに戻る。
【0124】ステップS33,S34も同様である。つ
まり、ステップS30での判定の結果、車両の現在の状
態が“後進”であれば、ステップS33に進み、予め用
意した図13の如きエンジン回転‐ポンプ制御電流特性
のグラフを用いて、現在のエンジン回転数を入力に、そ
の回転数での必要なポンプ制御電流を計算する。ステッ
プS33での計算が終わると、その計算した値を出力す
るようセットする(ステップS34)。そして、この処
理ルーチンを抜けてメインルーチンに戻る。
【0125】[走行時での車両停止制御]つぎに、ステ
ップS8での制御である通常走行制御における車両停止
制御について説明する。走行時での車両停止制御はつぎ
のようにして行なう。
【0126】この制御は図8に示す如きであり、ここで
の制御の中心は走行制御中、車両を停止させるモードを
選択した時、急に停止してショックが発生しないようタ
イムラグを付ける制御であって、その制御に関するロジ
ックを図8に示してある。
【0127】走行制御中、車両を停止させるモードを選
択した時には、ステップS35の処理に入る。このステ
ップS35では、前回の制御モードと選択された制御モ
ードとが同一であるか否かを判断し、同一でなければス
テップS42の処理に入り、この処理においてポンプ,
モータ出力値を零にセットし、制御フラグをクリアして
停止(中立)モードにする。これにより、車両は停止中
の時はそのまま停止状態を維持し、走行中の時は停止で
きるようにポンプ,モータ出力値を零にするような油圧
ポンプ3,油圧モータ4の斜板傾斜角を与える制御電流
が発生されて電磁比例制御弁14,15へ与えられるこ
とになる。
【0128】一方、ステップS35での判断の結果、同
一であれば、ステップS36の処理に進む。このステッ
プS36では、モータ出力値が所定の“制御開始値”を
越えているか否かを判断し、その判断の結果、開始値以
下の時はステップS37でモータ出力値を零にセットす
る。しかし、モータ出力値が“制御開始値”を越えてい
た時はステップS41に進み、ここで前回のモータ出力
値からある定数を引いた値を今回出力値とする計算をす
る。
【0129】上記のステップS37での処理を終えると
つぎにステップS38の処理に入り、ポンプ出力値が開
始値より大きいか否かを調べる。その結果、小さい時は
ポンプ出力値を零にセットし、ステップS42の処理に
入る。
【0130】また、ステップS38の判定の結果、大き
い時はステップS39に移り、現在のポンプ出力値から
所定の数を差し引いた値をポンプ出力値として求め、ス
テップS40に移る。
【0131】ステップS40では、求めたポンプ出力値
をポンプ出力の目標値としてセットして処理を終り、メ
インルーチンに戻る。
【0132】このようにして、モータ出力がゼロになっ
た時、次いで油圧ポンプ3の押しのけ容積の状態をステ
ップS38で判断し、その結果、出力値(すなわち、油
圧ポンプ3の現在の押しのけ容積を得るために電磁比例
制御弁14に与えている制御電流値)が開始値(ポンプ
として動作する最小の斜板角を与えるに必要な制御電流
値。ポンプ開始電流値)より大きい時はステップS39
で前回ポンプ出力値から、ある定数分を引いた残りの値
を、今回出力値とし、その計算により求めた出力値をセ
ットしてその出力値対応の押しのけ容積を得ることので
きる制御電流値で電磁比例制御弁14を駆動して油圧ポ
ンプ3の斜板の傾斜角を調整し、油圧ポンプ3を運転す
るようにする。
【0133】ステップS42ではポンプ、モータの出力
値をゼロにセットするとともに、制御フラグをクリア
し、停止(中立)モードにする。
【0134】[車速一定走行制御]つぎに通常走行/定
速走行切換スイッチ11が、“定速走行”の選択状態に
切り換えられている時の制御である車速一定走行制御に
ついて説明する。この制御はステップS14での制御処
理である。
【0135】図9は、負荷変動に無関係に一定な車速で
走行できるように制御するためのルーチンであり、所望
の速度での定速走行を可能にする選択可能な速度範囲が
広範囲に亙るようにした走行制御のフローチャートであ
る。
【0136】“定速走行”が選択され、しかも、車速が
所定速度以下であり、エンジン1の出力が所定値以上
で、前後進切換スイッチ10のエラーフラグが立ってな
ければ図9の処理に入る。
【0137】ここでは、まずはじめに、ステップS43
において、現在の車速から車速の指令値を差し引いた値
が、“正”であるか否かを判断し、“正”でない時はス
テップS58に移り、“正”の時はステップS44に移
る。ステップS44では、車速から車速の指令値を差し
引いた値が不感帯より大きいか否かを判定する。その結
果、小さい場合は処理を抜けてメインルーチンに戻り、
大きければステップS45の処理に移る。
【0138】これにより、車速と車速の指令値と差分
が、システムの不感帯となる値より小さい時は前回値を
保持するようになる。
【0139】ステップS45では指示されている前後進
切換スイッチ10により指示されている走行方向が“前
進”かどうかを判断し、“前進”であった時はステップ
S46に進む。そして、ここで油圧モータ4のモータ出
力値(すなわち、油圧モータ4の現在の押しのけ容積を
得るために電磁比例制御弁15に与えている制御電流
値)が開始値(モータとして動作開始する斜板角を与え
るに必要な制御電流値。モータ開始電流値)より大きい
か否かを調べ、当該モータ出力値が開始値より大きい時
はステップS51において、前回モータ出力値から偏差
分を引き、モータ出力値とする。そして、この処理を抜
けてメインルーチンに戻る。ここで、上述の偏差とは、
車速と車速の指令値との差分の絶対値である。
【0140】ステップS46での判断の結果、モータ出
力値(すなわち、油圧モータ4の回転数で、これは油圧
モータ4の現在の押しのけ容積に対応する(=現在の制
御電流値))が開始値(モータ開始電流値)より小さい
時はステップS49でモータ出力をゼロとしてモータフ
ラグ(油圧モータが駆動中であることを示すフラグ)を
クリアする。そして、ステップS48に進み、ポンプ出
力値が開始値より大きいか否かを判断する。
【0141】その結果、ポンプ出力値が開始値より大き
い時、ステップS50で前ポンプ出力値(前進時のポン
プ出力)から偏差を引き、新たな前ポンプ出力値とす
る。そして、この処理を抜けてメインルーチンに戻る。
【0142】ステップS48での判断の結果、モータ出
力値が開始値より小さい時はステップS49で、前ポン
プ出力値をゼロにし、前ポンプ制御フラグをクリアさせ
る。そして、この処理を抜けてメインルーチンに戻る。
【0143】ステップS52からS57の後進の場合も
全く同様で、まず、ステップS52において、モータ出
力値が開始値より大きいか否かを調べ、大きければステ
ップS57において、モータ出力値と偏差との差分を新
たなモータ出力値として求め、この処理を抜けてメイン
ルーチンに戻る。
【0144】また、ステップS52において、小さけれ
ばモータ出力値を零にセットし、モータフラグをクリア
してからステップS54に移る。ステップS54では、
後進時でのポンプ出力値である後ポンプ出力値が開始値
(ポンプ動作が開始する電流値)より大きいか否かを調
べ、小さければ後ポンプ出力値を零にセットし、後ポン
プフラグをクリアしてからこの処理を抜けてメインルー
チンに戻る。
【0145】また、ステップS54で、大きいと判断さ
れれば、後ポンプ出力値から偏差分を引いた値を新たな
後ポンプ出力値として求めてからこの処理を抜けてメイ
ンルーチンに戻る。
【0146】つぎに、車速が指令値より小さく、その差
がシステムの動作の不感帯の範囲よりも大きいときは、
油圧モータ4の押しのけ容積を増やし、押しのけ容積が
最大値に達すると、当該押しのけ容積を徐々に小さくす
るといった制御をすることにより、車速一定走行制御を
行なうが、その制御を説明する。
【0147】ステップS43での判定の結果、車速が指
令値より小さいときは、ステップS58に進む。ステッ
プS58では、指令値から車速を引いた値がシステム動
作の不感帯の値より大きいか否かを判定する。その結
果、小さい時は、そのままの状態を保つ。つまり、この
処理を抜けてメインルーチンに戻る。
【0148】ステップS58での判定の結果、大きけれ
ば、ステップS59に進む。このステップS59では前
後進切換スイッチ10の状態が“前進”を選択した状態
であるか否かを調べ、その結果、“前進”が選択されて
いる場合はステップS60に進み、ポンプ出力値が最大
値(つまり、油圧ポンプ3の押しのけ容積が最大)を越
えているか判断する。
【0149】そして、その判定の結果、最大値を越えて
いる時にはステップS61で “ ポンプ出力値 = 最大値 ” とする。そして、ステップS62に進む。
【0150】ステップS62の処理は前進初回モータフ
ラグの有無の判断である。前進初回モータフラグは前進
方向に対しての走行のために油圧モータ4を駆動開始す
るとき、セットするフラグである。ステップS62での
判断の結果、前進初回モータフラグが“無”と判断され
た時は、第1回目の時なのでステップS66の処理に移
り、ここでの処理において “ モータ出力値 = 開始値 ” とし、前進初回モータフラグをセットする。そして、こ
の処理を抜けてメインルーチンに戻る。
【0151】ステップS62での判断の結果、前進初回
モータフラグが“有”であった場合にはステップS63
の処理に移り、ここでモータ出力値が最大値(つまり、
油圧モータ4の押しのけ容積が最小)を越えているか否
かを判断する。その結果、モータ出力値が最大値を越え
ている時はステップS64の処理に移り、 “ モータ出力値 = 最大値 ” とする。そして、この処理を抜けてメインルーチンに戻
る。
【0152】ステップS63の判断の結果、モータ出力
値が最大値を越えていない時はステップS65の処理に
移り、ここでの処理において、前回モータ出力値に偏差
を加えた値を今回のモータ出力値とする。そして、この
処理を抜けてメインルーチンに戻る。
【0153】ステップS60においての判断の結果、最
大値を越えている時にはステップS67に進み、前進初
回ポンプフラグの有無を判断する。
【0154】ステップS67の判断において、前進初回
ポンプフラグがあると判断した時は、ステップS68で
前回ポンプ出力値に偏差を加えた値を今回出力値とす
る。そして、この処理を抜けてメインルーチンに戻る。
【0155】一方、ステップS67の判断において、前
進初回フラグがあると判断した時はステップS69で開
始値を今回のポンプ出力値とする。また、ポンプ制御初
回フラグをセットする。そして、この処理を抜けてメイ
ンルーチンに戻る。
【0156】ステップS70からS79の処理は“後
進”の場合の処理であって、基本的には“前進”の場合
と同じであり、指令値に追従してポンプ押しのけ容積を
徐々に最大値にし、次いでモータ押しのけ容積を徐々に
最小値にするよう制御する。
【0157】つまり、ステップS59の判断において、
“後進”と判断された時は、図10に移り、このルーチ
ンにおけるステップS70において、ポンプ出力値が最
大値を越えているか判断する。
【0158】そして、その判定の結果、最大値を越えて
いる時にはステップS71で “ 後ポンプ出力値 = 最大値 ” とする。そして、ステップS72に進む。
【0159】ステップS72の処理は後進初回モータフ
ラグの有無の判断である。後進初回モータフラグは後進
のために、油圧モータ4を駆動する際の最初の段階でセ
ットされるフラグである。ステップS72での判断の結
果、初回モータフラグが“無”と判断された時は、第1
回目の時なのでステップS76の処理に移り、ここでの
処理において “ モータ出力値 = 開始値 ” とし、モータ初回フラグをセットする。そして、この処
理を抜けてメインルーチンに戻る。
【0160】ステップS72での判断の結果、後進初回
モータフラグが“有”であった場合にはステップS73
の処理に移り、ここでモータ出力値が最大値を越えてい
るか否かを判断する。その結果、モータ出力値が最大値
を越えている時はステップS74の処理に移り、 “ モータ出力値 = 最大値 ” とする。そして、この処理を抜けてメインルーチンに戻
る。
【0161】ステップS73の判断の結果、モータ出力
値が最大値を越えていない時はステップS75の処理に
移り、ここでの処理において、前回モータ出力値に偏差
を加えた値を今回のモータ出力値とする。そして、この
処理を抜けてメインルーチンに戻る。
【0162】ステップS70においての判断の結果、最
大値を越えている時にはステップS77に進み、後進初
回ポンプフラグの有無を判断する。
【0163】ステップS77の判断において、後進初回
ポンプフラグがあると判断した時は、ステップS78で
前回ポンプ出力値に偏差を加えた値を今回出力値とす
る。そして、この処理を抜けてメインルーチンに戻る。
【0164】一方、ステップS77の判断において、後
進初回フラグがあると判断した時はステップS79で開
始値を今回のポンプ出力値とする。また、ポンプ制御初
回フラグをセットする。そして、この処理を抜けてメイ
ンルーチンに戻る。
【0165】この結果、負荷変動に関係なく、車速一定
になるように制御をすることができ、油圧ポンプ3の押
しのけ容積を増やし、押しのけ容積が最大値に達する
と、当該押しのけ容積を徐々に小さくするといった制御
をし、また、油圧モータ4の押しのけ容積を最小とし、
それから徐々に増やして押しのけ容積を最大値まで増や
すといった制御を行なうことで、車速一定走行制御を行
なうことができると同時に、これは登坂時等でのトルク
特性の大幅な改善に繋がる。
【0166】以上、本発明の具体例を説明したが、要す
るに本発明は、エンジンを主動力源とする鉄道用の保全
車両の動力装置において、公知であるパワーシフトトラ
ンスミッションのトランスファ(T/F)部に油圧モー
タをクラッチを介して装着し、通常走行にはエンジン出
力を直に利用すると共に、定速走行用に、前記エンジン
で駆動される可変ポンプからの油圧で駆動する油圧モー
タを設けて、定速走行時にはこの油圧モータにより走行
駆動するようにし、また、定速走行には、車輪の回転数
をセンサーで計測して、油圧ポンプと油圧モータの吐出
量を、車速が一定になるように制御する定速走行機能
と、前後進の切り換え時にショックが発生しないように
制御するインタロック機能とを有した制御装置により、
油圧ポンプと油圧モータを制御して車速一定走行を行な
うようにすることで、エネルギの無駄を抑制しつつ、幅
広い速度領域で所要の速度に保持して走行できると共
に、安全性も高く、非常に滑らかな加速、減速制御が行
なえるようにしたものである。
【0167】鉄道保全作業車の通常走行は、トルクコン
バータ付トランスミッションを使った場合が主流であ
り、HSTを使用し、油圧ポンプ、油圧モータを制御し
て定速走行するようにすることで幅広い速度領域に対応
できるようにした例は無い。
【0168】油圧ポンプ、油圧モータを制御して定速走
行するようにした結果、初めて鉄道用保全車両で無段階
速度制御が実現できるようになった。また、モータ押し
のけ容積の制御は車速に依存するようにしたので、登坂
時の応答性も良い。
【0169】また、本システムでは、ポンプ押しのけ容
積の制御はエンジン回転数を指令値としているので、タ
イムラグ処理をするようにした。その結果、非常に滑ら
かな加速、減速制御が行なえるようになった。
【0170】また、定低速制御では幅広い速度領域をカ
バーするため、油圧ポンプ、油圧モータの各押しのけ容
積を連続で制御するようにした。その結果、少ない動力
で負荷変動に関係無く定速制御が行なえるようになっ
た。つまり、従来のクラッチを滑らせる方法の場合、大
部分が熱エネルギとなり、燃費も悪くなると同時に幅広
い速度領域での制御が行なえなかったが、これが大幅に
改善される。
【0171】また、本システムは、誤操作に依るショッ
ク、機械の破損に対しても充分配慮されており、たとえ
ば通常走行中に前後進切換を行なっても、車両が走行停
止するまで、前の状態を保持するようになっている。そ
のため、安全性が高い。
【0172】また、本システムは、ある車速以上で定低
速制御に切換えようとしても、通常走行状態が保たれる
ようになっている。すなわち、定低速走行中に前後進切
換が行なわれると自動的に滑らかに減速し、一時停止し
さらにセットされた方向に滑らかに加速が行なえる。
【0173】
【発明の効果】以上、詳述したように、本発明によれ
ば、燃費が良く、幅広い速度領域で所要の速度に保持し
て走行できると共に、安全性も高く、非常に滑らかな加
速、減速制御が行なえるようにした鉄道車両用車速制御
装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を説明するための図であって、本発明の
具体例に係る駆動系の概略構成図。
【図2】本発明を説明するための図であって、本発明の
具体例に係る制御装置の系統図。
【図3】図2に示す制御回路の構成例を示すブロック
図。
【図4】本発明システムにおける制御回路の動作例を説
明する図であって、メイン部分の動作を説明するフロー
チャート。
【図5】本発明システムにおける制御回路の動作例を説
明する図であって、エンジン回転数タイムラグ処理部分
のフローチャート。
【図6】本発明システムにおける制御回路の動作例を説
明する図であって、走行中前後進切換スイッチの切り換
えが発生した時、誤操作を防止するための制御のフロー
チャート。
【図7】本発明システムにおける制御回路の動作例を説
明する図であって、通常走行制御のためのフローチャー
ト。
【図8】本発明システムにおける制御回路の動作例を説
明する図であって、車両が急に停止しないようにするた
めのタイムラグ制御のフローチャート。
【図9】本発明システムにおける制御回路の動作例を説
明する図であって、定低速走行を含む定速走行制御を実
現する例を示す制御フローチャート。
【図10】本発明システムにおける制御回路の動作例を
説明する図であって、定低速走行を含む定速走行制御を
実現する例を示す制御フローチャート。
【図11】ポンプ斜板角制御のためのポンプ斜板制御電
流とポンプ押しのけ容積の関係を示す図。
【図12】モータ斜板角制御のためのモータ斜板制御電
流とモータ押しのけ容積の関係を示す図。
【図13】エンジン回転数とその回転数における適正な
ポンプ出力を得るためのポンプ斜板制御電流の関係を示
す図。
【図14】車速とその車速を確保するために必要なモー
タ出力を得るための適正なモータ斜板制御電流の関係を
示す図。
【符号の説明】
1…エンジン 2…歯車列 3…走行用油圧ポンプ 4…走行用油圧モータ 5…歯車列機構 5a…クラッチ 6…鉄輪 7…油路 8…アクセルペダル 9…ポテンショメータ 10…前後進切換スイッチ 11…通常走行/定速走行切換スイッチ 12…制御回路 13…エンジン回転数検出用の回転ピックアップ 14,15…電磁比例制御弁 16…車速検出用の回転ピックアップ 17…パワーシフトトランスミッション制御バルブ 18…変速スイッチ 19…リレー 21…パワーシフト部。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンを主動力源として走行する鉄道
    車両において、 このエンジンにより駆動され、制御信号対応に発生油圧
    を調整可能な油圧ポンプと、 この油圧ポンプの発生油圧により駆動され、制御信号対
    応に動力を発生する油圧モータと、 エンジンの回転数を検出するエンジン回転数検出手段
    と、 車速を検出する車速検出手段と、 前進または後進を選択する前後進選択手段と、 前記エンジン出力により車両を走行駆動する通常走行ま
    たは前記油圧モータ出力により車両を走行駆動する定低
    速走行のいずれかを選択する走行制御モード選択手段
    と、 定速走行時の速度を設定する定低速走行設定手段と、 前記エンジン回転数検出手段、前記車速検出手段、前記
    前後進選択手段、前記走行制御モード選択手段及び前記
    定低速走行設定手段からの入力により、前記油圧ポンプ
    及び前記油圧モータを制御する制御手段と、を具備した
    ことを特徴とする鉄道車両用駆動装置。
JP7292515A 1995-11-10 1995-11-10 鉄道車両用駆動装置 Pending JPH09132136A (ja)

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