JPH09131683A - 複数のロボットにトラッキング動作を行なわせるための視覚センサ・ロボットシステム - Google Patents

複数のロボットにトラッキング動作を行なわせるための視覚センサ・ロボットシステム

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JPH09131683A
JPH09131683A JP31577595A JP31577595A JPH09131683A JP H09131683 A JPH09131683 A JP H09131683A JP 31577595 A JP31577595 A JP 31577595A JP 31577595 A JP31577595 A JP 31577595A JP H09131683 A JPH09131683 A JP H09131683A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ランダムな間隔で供給されるワークについ
て、複数台のロボットにトラッキング動作を含む作業を
割り振って処理すること。 【解決手段】 ワーク供給源100からの供給ワークの
コンベア1は駆動部2で駆動され、その移動量はパルス
コーダ3で検出される。画像処理装置20と視野31を
持つカメラ30を含む視覚センサVSは、パルスコーダ
3の出力を利用して所定間隔で画像を取得し、各ワーク
W(a〜d)の基準位置からのずれを検出し、ワークキ
ューにワークデータを書込む。ロボットコントローラR
Cのロボット制御部10は、ロボットRB1またはRB
2の動作予定をチェックして、動作予約を行なう。予約
されたロボットRB1(RB2)は、、ライン60(6
0')付近に到来したワークに対してP0 (P0')から
トラッキング動作を開始する。位置補正を伴うトラッキ
ング動作による把持作業は、範囲60〜70(60'〜
70' )間で行なわれる。ロボットRB1(RB2)
は、把持したワークWを収納部200(200' )に収
納し、P0 (P0')へ戻る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数のロボットに
トラッキング動作を行なわせるための視覚センサ・ロボ
ットシステムに関し、更に詳しく言えば、ベルトコンベ
アのような搬送手段によって移動中の対象物(例えば、
組立ワーク)の位置を視覚センサを用いて認識し、その
結果に基づて補正されたトラッキング動作を複数のロボ
ットに行なわせるようにした視覚センサ・ロボットシス
テムに関する。本発明は、特に、高い供給頻度でランダ
ムにコンンベア搬送される多数の物品に対するトラッキ
ング動作が要求されるアプリケーション(例えば、部
品、食品等の物品のパッキング)に適用して有効なもの
である。
【0002】
【従来の技術】工場や流通センターの作業ラインにおい
ては、作業対象物となるワークがコンベアで次々と作業
位置に搬送されて来るシステムが幅広く採用されてい
る。このようなワーク(対象物)に対してロボットを用
いて作業を実行する方式には、コンベアを間欠駆動する
方式と連続駆動する方式とがあるが、作業効率の観点か
ら後者の方法が用いられるケースが多くなっている。
【0003】コンベアで連続搬送されるワークに対する
作業をロボットに行なわせる場合には、視覚センサとロ
ボットを組み合わせたシステムが広く利用されている。
視覚センサは、ロボットの作業位置(トラッキング範
囲)の上流側でワークの画像を取得し、これを解析して
ワーク位置(必要に応じて、ワーク姿勢を含む。以下、
同じ。)を求める。求められたワーク位置を表わすデー
タ(基準位置からのずれを表わすデータ)は、ロボット
のトラッキング動作の補正に用いられる。
【0004】図1は、このような方式を採用した視覚セ
ンサ・ロボットシステムの概略を説明するための図であ
る。同図において、符号1はワーク供給源100に接続
された直線搬送コンベアを表わしており、その駆動軸は
駆動部2に内蔵されたモータによって駆動される。この
駆動軸乃至駆動モータの回転量はパルスコーダ3によっ
てパルス列の形で出力される。符号4,4’は、ワーク
を検出するセンサであり、コンベア1上に載置されて搬
送されて来るワークWを検出位置50で検出する。セン
サ4,4’には例えば光学式のものが使用される。
【0005】符号VSは、画像処理装置20とカメラ3
0(例えば、CCDカメラ)から構成される視覚センサ
を表わしており、符号31はカメラ30の視野を表わし
ている。図中に破線で示したように、画像処理装置20
はロボットコントローラRCに内蔵された形態をとって
いる。ロボットコントローラRCは、ロボット制御部1
0を有し、このロボット制御部10は内蔵された画像処
理装置20からワークWの位置・姿勢を表わす検出信号
を得てロボットRBの制御に利用する。また、ロボット
コントローラRCはセンサ4,4’並びにパルスコーダ
3に接続されており、前者の検出信号はワークWの到来
の認識に利用され、後者の出力はワークWの搬送位置乃
至搬送量の認識に利用される。
【0006】今、ロボットRBの動作として、(1)ワ
ークWが予め設定されたトラッキング開始ライン60に
到達した時点から、P0 を初期位置とするトラッキング
動作を開始し、(2)教示位置付近のQ0 でワークWと
遭遇し、(3)ワークWがトラッキング終了ライン70
(位置Q1 )に到達するまでにワークWに対する把持作
業を完了してコンベア1から離れ、(4)ワーク収納部
200上の収納位置Q2 でワークWを放し、(5)初期
位置P0 へ戻る、という動作を考えると、この動作の実
行手順は例えば次のようなものとなる。
【0007】コンベア1上に供給されたワークWがセン
サ4,4’による検出位置に到来すると、センサ4,
4’から検出信号が出力され、その時点におけるパルス
コーダ計数出力値Ns がロボットコントローラRC内に
記憶される。ワークWが更に移動して予め教示された撮
影位置(ラインAの位置)に到来すると、カメラ30に
よる撮影が実行されてその画像が画像処理装置20に取
り込まれる。
【0008】カメラ30による撮影のタイミングは、パ
ルスコーダ計数出力値Ns からのインクリメンタル量を
監視することで決定される。このインクリメンタル量
は、スケールファクタαを媒介にして、センサ4,4’
による検出位置から撮影位置(ラインAの位置)までの
距離を表わす量となっている。
【0009】取得された画像は、画像処理装置20内で
処理され、ワークWの位置・姿勢を認識する。ワークW
の位置・姿勢の認識は、例えばワークW上の特徴点a,
b,c,dなどの位置を認識し、予め準備作業時に作成
された基準画像データと比較して基準位置からのずれ量
を求め、結果を表わすデータをロボット制御部10へ伝
達することで達成される。
【0010】次に、パルスコーダ計数出力値NのNs か
らのインクリメンタル量がワークWのトラッキング開始
位置(ライン60)への到達を表わす値となったなら
ば、トラッキング座標系Σtr(Otr-xy)の移動を開
始させ、その直後にトラッキング座標系上でロボットR
Bの移動(トラッキング動作)を開始させる。ここで、
トラッキング座標系Σtrとはコンベアと等速度で同方向
に移動するように設定された座標系のことで、その初期
位置はベース座標系Σb よりも距離L0 だけ上流側に原
点を持ち、且つ、そのx軸がベース座標系Σb のX軸と
ともに、コンベア1の走行方向と一致するように設定さ
れる。ここで、距離L0 は教示点Q0 の位置とトラッキ
ング開始ライン60までの距離とされる。
【0011】ロボットRBの移動経路は、トラッキング
座標系Σtr上で教示経路を実現する形で行なわれるが、
補間計算周期で繰り返される移動目標位置の計算にあた
っては、視覚センサVSで検出されたずれ量を補償する
ようにロボット位置(通常、姿勢も含む)の補正が行わ
れる。
【0012】移動速度を適当な値に教示しておけば、ロ
ボットRBはほぼ図1に符号90で示したような曲線軌
道に沿ってワークWに接近し、トラッキング範囲内の適
当な位置Q0 でワークWに追いつくことになる。なお、
直線軌道80は、仮にベース座標系Σb (Ob −XY)
上でロボットRBを制御した場合の移動経路の例を表わ
している。
【0013】ワークWに追いついてからは、トラッキン
グ範囲で把持作業を完了し、ライン70上の位置Q1 で
トラッキング動作を終了し、コンベア1から離れ、ワー
ク収納部200への収納位置Q2 でワークWを放し、初
期位置P0 へ復帰する。
【0014】このようなシステムの一つの問題点は、図
1中にワークW’,W”で例示したような短い間隔Dを
含むランダムな間隔でワークが供給された場合、ロボッ
トRBが1台しか配備されていないために、後続するワ
ークW”に対するトラッキング動作の実行が困難になる
ということである。この問題を回避するために従来とら
れてきた方策には、次のようなものがある。 1.ランダムな間隔で供給されるワークをなんらかの整
列手段を用いて整列(搬送方向あるいはそれに垂直な方
向について)させた後、複数のロボットでこれを処理す
る方法。この方法を用いると、整列手段、その制御手段
等が必要となり、システムを簡素化する上で好ましくな
い。 2.ランダムな間隔で供給されるワークを1台のロボッ
トで可能な限り処理し、処理出来なかったワークを1台
目のロボットの下流側で再検出し、これを1台目のロボ
ットの下流側に配備した2台目以降のロボットで処理す
る方法。この方法を用いるとワークの再検出手段が必要
となり、やはりシステムを簡素化する上で好ましくな
い。
【0015】ロボットの上流側でワークの位置を検出す
るための機構としては、上述した例のように、カメラ3
0を備えた視覚センサVSとその上流側でワークを事前
検出するセンサ4,4’を組み合わせたものの他に、こ
れを改良し、カメラ30の上流側での事前検出を不要
(従って、センサ4,4’は不要。)としたシステムも
提案されている。
【0016】この改良型のワーク位置検出方式は、ワー
クの供給頻度が高い場合に画像取得・処理を効率的に行
えるという利点を有しているが、1台のロボットの処理
能力を越えた頻度でワーク供給がなされた場合には、せ
き止め機構等の整列手段を用いたり、1台目のロボット
の下流側でワークの再検出を行なわなければならないと
いう点にかわりはない。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明の目的
は、上記従来技術の問題点を解決することにある。即
ち、本発明は、コンベア上のランダムな位置に載置さ
れ、1台のロボットの処理能力を越える可能性があるラ
ンダムな間隔で供給される対象物に対して、ロボットの
トラッキング動作を伴う作業を手際よく実行すことが出
来る視覚センサ・ロボットシステムを提供することにあ
る。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は、視覚センサに
よる対象物の検出結果に基づいて対象物毎にロボットの
動作予約を行なうロボット予約手段をシステムに組み入
れ、動作予約に従ってワーク毎に指定されているロボッ
トに当該ワークに関する作業を実行させるようにするこ
とで、上記技術課題を解決したものである。
【0019】本発明に従ったシステムで使用される視覚
センサは、搬送経路上に視野を持つカメラ手段と、カメ
ラ手段に撮影を行なわせて対象物を含む画像を取得する
手段と、取得された画像を処理して対象物の位置に関す
る情報を取得する画像処理手段を備える。
【0020】また、ロボット予約手段は、視覚センサに
よって取得された対象物の位置に関する情報と、先行し
て検出された対象物に対するロボット予約内容に関する
情報に基づいて、トラッキング動作を含む作業を実行可
能なロボットを複数のロボットの中から選んで指定する
手段を備える。
【0021】そして、ロボット制御手段は、対象物の各
々について、ロボット予約手段によって指定されたロボ
ットに、視覚センサによって取得された対象物の位置に
関する情報を用いて補正されたトラッキング動作を含む
作業を実行させる手段を備えている。
【0022】好ましい実施形態において、ロボット予約
手段は、更に、先行して検出された対象物に対するロボ
ット予約内容に関する情報の書き込みと読み出しが可能
な予約テーブルと、視覚センサによって取得された前記
対象物の位置に関する情報と複数のロボットの各々につ
いて設定された動作範囲に関する情報に基づいて、当該
対象物に対する作業について要求されるロボットの要動
作期間を複数のロボットの内の少なくとも一つについて
求める手段と、要動作期間を表わす情報と予約テーブル
に書き込まれている前記先行して検出された対象物に対
するロボット予約内容に関する情報とを対照し、前記少
なくとも一つのロボットについて予約の適否を判断する
手段と、該予約が適当であると判断された場合に、前記
要動作期間を前記予約テーブルに書き込む手段を備え、
また、ロボット制御手段は、予約されたロボットが視覚
センサによって取得された対象物の位置に関する情報を
用いて補正されたトラッキング動作を含む作業の完了時
に、予約テーブルに書き込まれた予約内容をクリアする
手段を備えている。ロボット予約手段は、更に、複数の
ロボットのいずれも指定出来なかった場合にエラー信号
を出力する手段を備えていることが好ましい。
【0023】また、視覚センサによる対象物の認識に関
しては、搬送手段が所定距離を走行したことを表わす検
出出力が走行量検出手段から与えられる毎に画像取得と
画像処理を実行する手段を用いることが出来る。すべて
のワークについて確実な認識を可能にするためには、カ
メラによる撮影間隔を表わす所定距離を、搬送経路に沿
ったカメラ視野の長さから搬送経路に沿ったに対象物の
長さを差し引いた距離を下回らず、且つ、ほぼ等しくな
るように予め定めることが適当である。
【0024】
【作用】本発明の視覚センサ・ロボットシステムの最も
重要な特徴は、視覚センサによる対象物の検出結果に基
づいて対象物毎にロボットの動作予約を行なうロボット
予約手段を導入したことにより、動作予約に従ってワー
ク毎に指定されているロボットに当該ワークに関する作
業を実行させることが可能になった点である。
【0025】視覚センサは、搬送経路上に視野を持つカ
メラ手段によって、対象物を含む画像を取得し、取得さ
れた画像を処理して対象物の位置に関する情報を取得す
る。
【0026】ロボット予約手段は、視覚センサによって
取得された対象物の位置に関する情報と、先行して検出
された対象物に対するロボット予約内容に関する情報に
基づいて、トラッキング動作を含む作業を実行可能なロ
ボットを複数のロボットの中から選んで指定する。
【0027】そして、ロボット制御手段は、対象物の各
々について、ロボット予約手段によって指定されたロボ
ットに、視覚センサによって取得された対象物の位置に
関する情報を用いて補正されたトラッキング動作を含む
作業を実行させる。
【0028】好ましい実施形態においては、先行して検
出された対象物に対するロボット予約内容に関する情報
は予約テーブルに設定されたメモリ領域に書き込まれ
る。一方、視覚センサによって取得された対象物の位置
に関する情報と複数のロボットの各々について設定され
た動作範囲に関する情報に基づいて、当該対象物に対す
る作業について要求されるロボットの要動作期間が複数
のロボットの内の少なくとも一つについて求められる。
【0029】そして、要動作期間を表わす情報と予約テ
ーブルに書き込まれている前記先行して検出された対象
物に対するロボット予約内容に関する情報とが対照さ
れ、前記少なくとも一つのロボットについて予約の適否
が判断される。該予約が適当であると判断された場合に
は、その要動作期間が予約テーブルに書き込まれる。
【0030】また、予約テーブルに書き込まれた予約内
容は、その予約で指定されたロボットが所要の作業を完
了した時点でクリアされる。更に、システムに無理があ
る場合(例えば、対象物の供給頻度が過大である場合)
に備えて、ロボット予約手段が複数のロボットのいずれ
も指定出来なかった場合にエラー信号を出力するように
しても良い。
【0031】視覚センサによる対象物の認識方式は、一
般には任意であり、視覚センサのカメラによる撮影タイ
ミング等を決定するために、視覚センサの上流側で対象
物の事前検出を行なう方式(図1で説明した方式)を用
いることが出来る。しかし、対象物の事前検出を行なわ
ない方式を採用することも出来る。この方式を採用する
場合には、搬送手段が所定距離を走行したことを表わす
検出出力が走行量検出手段から与えられる毎に画像取得
と画像処理が実行される。
【0032】その際、すべてのワークについて確実な認
識を可能にするためには、カメラによる撮影間隔を表わ
す所定距離を、搬送経路に沿ったカメラ視野の長さから
搬送経路に沿ったに対象物の長さを差し引いた距離を下
回らず、且つ、ほぼ等しくなるように予め定めることが
適当である。この方式を採用した視覚センサ・ロボット
システムは、対象物の事前検出を行なう手段が不要であ
り、また、対象物の供給頻度が高い場合に撮影と画像処
理の回数を減らすことが出来る利点がある。
【0033】
【発明の実施の形態】図2は、本発明に係る視覚センサ
・ロボットシステムの全体配置の概要を図1と同様の形
式で表わしたもので、対応し合う要素の指示には適宜共
通の符号を用いた。ここに示した本実施形態では、トラ
ッキング動作を行なうロボットは2台(RB1,RB
2)であり、また、ロボットのトラッキング動作のため
のワーク位置検出について、前述の改良型の方式(視覚
センサのカメラの撮影タイミングを定めるための事前検
出は行なわず。)が採用されている。
【0034】同図に示されているように、多数のワーク
を経時的に供給するワーク供給源100に接続された直
線搬送コンベア1の駆動軸は、駆動部2に内蔵されたモ
ータによって駆動される。この駆動軸あるいは駆動モー
タの回転量はパルスコーダ3によってパルス列の形で出
力される。
【0035】符号VSは、画像処理装置20とカメラ3
0(例えば、CCDカメラ)から構成される視覚センサ
を表わしており、符号31はカメラ30の視野を表わし
ている。図中に破線で示したように、画像処理装置20
はロボットコントローラRCに内蔵された形態をとって
いる。
【0036】ロボットコントローラRCは、2台のロボ
ットRB1,RB2のためのロボット制御部10を有し
ている。このロボット制御部10は、内蔵された画像処
理装置20からワークW,W’,W”・・・の位置を表
わすデータを得るとともに、パルスコーダ3の計数出力
値Nを利用して、2台のロボットRB1,RB2のいず
れにトラッキング動作を行なわせるかの指定(予約)を
行い、指定されたロボットのトラッキング動作を制御す
る。
【0037】図3は、ロボットコントローラRCの内部
構成の概略を要部ブロック図で示したものである。同図
において、ロボットコントローラRCに内蔵された画像
処理装置20はマイクロプロセッサからなるCPU(中
央演算処理装置)21を有しており、CPU21にはカ
メラインターフェイス22、フレームメモリ(画像メモ
リ)23、プログラムメモリ24、画像処理プロセッサ
25、データメモリ26、モニタインターフェイス27
がバスBS”を介して各々接続されている。
【0038】カメラインターフェイス22にはカメラ3
0が接続されており、カメラインターフェイス22を介
して撮影指令が送られると、カメラ30に設定された電
子シャッタ機能(シャッタスピードは、例えば1000
分の1秒)により撮影が実行され、カメラインターフェ
イス22を介して映像信号がグレイスケール信号の形で
フレームメモリ23に格納される。モニタインターフェ
イス27にはモニタCRT40が接続されており、カメ
ラ30が撮影中の画像、フレームメモリ23に格納され
た過去の画像、画像処理プロセッサ25による処理を受
けた画像等が必要に応じて表示される。
【0039】フレームメモリ23に格納されたワークW
の映像信号は、プログラムメモリ24に格納された解析
プログラムに従って画像処理プロセッサ25を利用して
解析され、ワークWの位置が求められる。ここでは、ワ
ークWは図2中に符号a,b,c,dで示したように、
4点の特徴点を有しているものとし、これら4点のすべ
てが検出された場合に、それに基づいてワークの姿勢が
計算されるものとする。
【0040】データメモリ26は、視覚センサシステム
に関連した各種の設定値を格納する領域、CPU21が
実行する各種処理に必要なデータの一時記憶に利用され
る領域の他に、求められたワークW,W’,W”・・・
の位置を表わすデータ(各ワークの代表点a〜dのデー
タ)を後述する態様で格納する領域(ワークキュー)を
含んでいる。
【0041】そして、CPU21はロボットコントロー
ラRC内部でバスBSを介して次に説明するロボット制
御部10のCPU11にバス結合されている。これによ
り、視覚センサ20全体は実質的にロボット制御部10
と一体の機器として構成される。即ち、本実施形態で
は、符号10,20を含む全体が視覚センサ内蔵型のロ
ボットコントローラRCを構成している。
【0042】ロボット制御部10は、バスBSを介して
画像処理装置20のCPU21とバス結合されたCPU
11を有している。このCPU11には、ROM12、
RAM13、不揮発性メモリ14、デジタルシグナルプ
ロセッサ(DSP)用データメモリ17、デジタルシグ
ナルプロセッサ(DSP)18が、各々バスBS’を介
して接続されている。ROM12には、システム全体を
制御する為のプログラムが格納され、RAM13はCP
U処理のためのデータの一時記憶に使用されるメモリで
ある。
【0043】不揮発性メモリ14には、各ロボットRB
1,RB2のための動作プログラム、座標系設定デー
タ、その他各種設定パラメータ等の他に、後述する態様
でロボットRB1,RB2の予約(トラッキング動作の
割り振り指定)を行うためのプログラムが格納される。
【0044】DSP18はパルスコーダ3の計数出力信
号を処理する為のプロセッサで、DSP用データメモリ
17はDSP18による諸処理データや設定パラメータ
を格納するDSP専用のメモリである。DSP18は、
CPU11の命令に従って、任意の時点においてパルス
コーダ3の計数出力を検出し、DSP用データメモリ1
7の所定エリアに書き込む機能を有している。また、画
像処理装置20のCPU21からも、CPU11を介し
てDPS用データメモリ17にアクセス可能となってい
る。
【0045】更に、本実施形態におけるロボット制御部
10は、2台のロボットRB1,RB2を制御するため
に、軸制御器以下について2系統でバスBS’に接続さ
れている。コンベア1の上流側のロボットRB1につい
ては、軸制御器15、サーボ回路16を介して、ロボッ
トRB1の機構部に接続され、同下流側のロボットRB
2については、軸制御器15’、サーボ回路16’を介
して、ロボットRB2の機構部に接続されている。
【0046】以下、このような視覚センサ・ロボットシ
ステムを用いてトラッキング動作を伴う作業を実行する
ための準備作業及び処理手順について説明する。なお、
画像処理装置20のプログラムメモリ24、データメモ
リ26及びロボット制御部10内の各メモリには、予め
必要な処理を実行する為のプログラム及び関連設定デー
タが格納済みであるものとする。
【0047】また、トラッキングの動作手順は、ロボッ
トRB1,RB2の各々について、図1の関連説明で述
べた動作と同様のものとする。即ち、上流側のロボット
RB1に関しては、(1)ワークがトラッキング開始ラ
イン60に到達した時点から、P0 を初期位置とするト
ラッキング動作を開始し、(2)教示位置付近の点Q0
でワークと遭遇し、(3)ワークがトラッキング終了ラ
イン70(位置Q1 )に到達するまでにワークに対する
把持作業を完了し、(4)コンベア1から側方に離隔し
てワーク収納部200上の収納位置Q2 でワークを放
し、(5)初期位置P0 へ戻る、という動作を考える。
【0048】同様に、下流側のロボットRB2に関して
は、(1)ワークがトラッキング開始ライン60' に到
達した時点から、P0'を初期位置とするトラッキング動
作を開始し、(2)教示位置付近の点Q0'でワークと遭
遇し、(3)ワークがトラッキング終了ライン70'
(位置Q1')に到達するまでにワークに対する把持作業
を完了し、(4)コンベア1から側方に離隔してワーク
収納部200' 上の収納位置Q2'でワークを放し、
(5)初期位置P0'へ戻る、という動作を考える。
【0049】これら動作は、視覚センサVSによって位
置を求めたワークの一つ一つのワークについて、ロボッ
ト制御部10内で作業を担当するロボット(RB1ある
いはRB2)が予約された後に、予約内容に従って実行
される。以下、システムを動作させるための準備作業か
らシステム動作時の処理までの概要を、順を追って説明
する。
【0050】[準備作業] (1)スケールファクタの決定 従来と同様の下記手順により、コンベア1の走行距離l
とパルスコーダ3の計数出力(インクリメンタル量Δ
N)との関係を表わすスケールファクタα=l/ΔNを
求める。 1.ロボットRB1(またはRB2)の動作範囲の位置
にワークWをセットし、その時のパルスコーダ3の計数
出力N1 をロボット制御部10のDSP用データメモリ
17に格納する。 2.ロボットRB1(またはRB2)を手動操作して、
ワークW上の適当な定点にタッチし、その時のロボット
位置(X1 ,Y1 ,Z1)をDSP用データメモリ17
に格納する。
【0051】3.コンベア1を適当な距離だけ走行さ
せ、ロボットRB1(またはRB2)の動作範囲内の適
当な位置にワークWを停止させ、その時のパルスコーダ
3の計数出力N2 をDSP用データメモリ17に格納す
る。 4.ロボットRB1(またはRB2)を手動操作してワ
ークW上の適当な定点にタッチし、その時のロボット位
置(X2 ,Y2 ,Z2 )をDSP用データメモリ17に
格納する。
【0052】5.ロボットコントローラRCに、α=
(X2 −X1 )/(N2 −N1 )の計算を行わせてスケ
ールファクタαを求め、ロボット制御部10の不揮発性
メモリ14と画像処理装置20のデータメモリ26に格
納する。
【0053】(2)センサ座標系Σs の設定 適当な手段により、視覚センサVSにセンサ座標系Σs
を設定する。例えば、ベース座標系Σb 上の座標値が判
っている位置に公知のキャリブレーション用治具を配置
し、画像処理装置20のプログラムメモリ24に格納さ
れたキャリブレーション用のプログラムを起動させ、カ
メラ30の画素値データをセンサ座標系Σs のデータに
換算する為のデータを画像処理装置20のデータメモリ
26に格納する。また、その結果を利用して、センサ座
標系Σs とロボットRB1のベース座標系Σb 及びロボ
ットRB2のベース座標系Σb'の関係を表わすデータを
ロボット制御部10の不揮発性メモリ14に格納する。
【0054】(3)カメラ30の視野31内のコンベア
1上にワークWをセットし、その時点におけるパルスコ
ーダ計数出力値Nvsをロボット制御部10のDSP用デ
ータメモリ17と画像処理装置20のデータメモリ26
に格納する。また、カメラ30による撮影を実行し、ワ
ークWの画像を基準画像として取り込み、フレームメモ
リ23に格納する。
【0055】(4)コンベア1を走行させ、ロボットR
B1にトラッキング動作を開始させるに適した位置(ラ
イン60上)にワークWが到達したら、コンベア1を停
止させる。そして、その時点のパルスコーダ計数出力値
N60と先に記憶したNvsとの差(インクリメンタル量)
ΔN60-vs =N60−Nvsを計算して、DSP用データメ
モリ17に格納する。
【0056】(5)コンベア1を再び更に走行させ、ロ
ボットRB1がワークWに対する作業を開始するに適し
た位置にワークWをもって来る。そして、その時点のパ
ルスコーダ計数出力値Ntcと先に記憶したNvsからΔN
tc-vs =Ntc−Nvsを計算して、DSP用データメモリ
17に格納する。
【0057】(6)ロボットRB1に把持作業の実行に
必要な動作を教示する。ここでは、その詳細は省略す
る。 (7)コンベア1を再び更に走行させ、ロボットRB1
のトラッキング動作を終了させるに適した位置(ライン
70上)にワークWをもって来て、コンベア1を停止さ
せる。そして、その時点のパルスコーダ計数出力値N70
と先に記憶したNvsからΔN70-vs=N70−Nvsを計算
し、結果をDSP用データメモリ17に格納する。
【0058】上記(4)〜(7)と同様の手続きはロボ
ットRB2についても下記(8)〜(11)の手順で実
行される。 (8)コンベア1を更に走行させ、ロボットRB2にト
ラッキング動作を開始させるに適した位置(ライン6
0' 上)にワークWが到達したら、コンベア1を停止さ
せる。そして、その時点のパルスコーダ計数出力値N6
0' と先に記憶したNvsとの差(インクリメンタル量)
ΔN60'-vs=N60' −Nvsを計算し、DSP用データメ
モリ17に格納する。
【0059】(9)コンベア1を再び更に走行させ、ロ
ボットRB2がワークWに対する作業を開始するに適し
た位置にワークWをもって来る。そして、その時点のパ
ルスコーダ計数出力値Ntc' と先に記憶したNvsからΔ
Ntc'-vs=Ntc' −Nvsを計算し、DSP用データメモ
リ17に格納する。
【0060】(10)ロボットRB2に把持作業の実行
に必要な動作を教示する(詳細は省略)。 (11)コンベア1を再び更に走行させ、ロボットRB
2のトラッキング動作を終了させるに適した位置(ライ
ン70' 上)にワークWをもって来て、コンベア1を停
止させる。そして、その時点のパルスコーダ計数出力値
N70' と先に記憶したNvsからΔN70'-vs=N70' −N
vsを計算し、結果をDSP用データメモリ17に格納す
る。
【0061】(12)ロボットRB1のためのトラッキ
ング座標系Σtrの設定 ロボットRB1とコンベア1の座標系の共有化を行なう
為に、トラッキング座標系Σtrを次の条件で設定する。
なお、ここではX軸がコンベアの走行方向と一致したベ
ース座標系Σb が設定済みであるものとする。即ち、ト
ラッキング座標系Σtrはベース座標系Σb と同姿勢で設
定され、トラッキング座標系Σtrが移動を開始するまで
の原点位置(X0 ,Y0 ,Z0 )は、 X0 =−L0 Y0 =0 Z0 =0 であり、トラッキング座標系Σtr上での座標値(x,
y,z)とベース座標系Σb 上での座標値(X,Y,
Z)の変換関係は、 x=X−L0 y=Y z=Z で表わされるものとする。但し、L0 は教示点Q0 の位
置とトラッキング開始ライン60までの距離である。そ
こで、L0 の値を確定するために、既に求められたスケ
ールファクタα、ΔN60-vs ,ΔNtc-vs を用いて、 L0 =α(ΔNtc-vs −ΔN60-vs ) を計算し、トラッキング座標系Σtrを既述するパラメー
タとして、ロボット制御部10の不揮発性メモリ14に
格納する。
【0062】トラッキング座標系Σtrをこのように設定
することで、ロボットRB1を初期位置にあるトラッキ
ング座標系Σtr上で動作させた時、教示点Q0 の位置を
トラッキング開始ライン60上の点Qtrとして認識す
る。
【0063】トラッキング座標系Σtrは、トラッキング
動作開始指令を受けてコンベア1と等速でx軸方向(=
X軸方向)へ移動を開始する。トラッキング座標系Σtr
の移動量は、後述するように、パルスコーダ計数出力値
Nの変化量とスケールファクタαに基づいてリアルタイ
ムに決定される。
【0064】ロボットRB2についても同様にトラッキ
ング座標系Σtr' の設定が下記のように実行される。 (13)ロボットRB1のためのトラッキング座標系Σ
tr' の設定 ロボットRB2とコンベア1の座標系の共有化を行なう
為に、トラッキング座標系Σtr' を次の条件で設定す
る。ロボットRB1の場合と同じく、X軸がコンベアの
走行方向と一致したベース座標系Σb'が設定済みである
ものとする。即ち、トラッキング座標系Σtr' はベース
座標系Σb'と同姿勢で設定され、トラッキング座標系Σ
tr' が移動を開始するまでの原点位置(X0',Y0',Z
0')は、 X0'=−L0' Y0'=0 Z0'=0 であり、トラッキング座標系Σtr' 上での座標値(x'
,y' ,z' )とベース座標系Σb'上での座標値(X'
,Y' ,Z' )の変換関係は、 x' =X' −L0' y' =Y' z' =Z' で表わされるものとする。但し、L0'は教示点Q0'の位
置とトラッキング開始ライン60' までの距離である。
そこで、L0'の値を確定するために、既に求められたス
ケールファクタα、ΔN60'-vs,ΔNtc'-vsを用いて、 L0'=α(ΔNtc'-vs−ΔN60'-vs) を計算し、トラッキング座標系Σtrを既述するパラメー
タとして、ロボット制御部10の不揮発性メモリ14に
格納する。
【0065】トラッキング座標系Σtr' をこのように設
定することで、ロボットRB2を初期位置にあるトラッ
キング座標系Σtr' 上で動作させた時、教示点Q0'の位
置をトラッキング開始ライン60' 上の点Qtr' として
認識する。
【0066】ロボットRB2のためのトラッキング座標
系Σtr' は、ロボットRB1のためのトラッキング座標
系Σtrと同じく、トラッキング動作開始指令を受けてコ
ンベア1と等速でx軸方向(=X軸方向)へ移動を開始
する。また、トラッキング座標系Σtr’の移動量は、パ
ルスコーダ計数出力値Nの変化量とスケールファクタα
に基づいてリアルタイムに決定される。
【0067】(14)ロボットRB1,RB2の担当を
計画し、予約するためのスケジュールダイヤグラムの関
連設定値や、ロボットRB1,RB2の動作予約のため
の予約テーブルを構成するレジスタの設定を行なう(ス
ケジュールダイヤグラム、予約テーブルの詳細は後
述)。 (15)その他、後述する処理でアクセスされるレジス
タの設定、視野31の長さ、撮影間隔を調節するパラメ
ータ、エラー信号出力の基準値などの設定を行なう
(w,f30,ε1 ,ε2 等)。
【0068】以上で、トラッキング実行の為の準備作業
が完了する。次に、図4以下を参照図に加えて、トラッ
キングによる本作業実行時のCPU処理について説明す
る。処理は視覚センサVS側の処理と、ロボット制御部
10側の処理に大別される。本実施形態では、ロボット
RB1とロボットRB2のいずれかを指定する作業割り
振りの処理は、ロボット制御部10側で行なわれる。こ
れら処理はタスク処理として並行的に実行される。先
ず、図5に示した視覚センサVS側の処理の概要を述べ
る。なお、以下の説明は次の(1)〜(3)の前提の下
で行なう。
【0069】(1)wは視覚センサVSによる位置検出
結果のデータ格納が完了し、且つ、作業担当ロボット
(RB1/RB2)が未指定であるワークの数を表わす
指標値であり、その初期値は当然w=0である。 (2)供給されるワークWの姿勢にはばらつきがあり、
図5に示したように、このばらつきを考慮してコンベア
1の搬送方向に沿って測ったワークWの長さの最大値を
s0 とする。 (3)カメラ30の視野31はコンベア1の全幅をカバ
ーし、また、ワークWがコンベア1の幅方向にはみ出し
た状態で供給されることはないものとする。従って、ワ
ーク像がコンベア1の幅方向にはみ出ることはない。
【0070】ロボット制御部10と画像処理装置20内
で行なわれる処理は、ワーク供給源100がコンベア1
上へのワーク供給を開始したことを知らせる適当な外部
信号を受けて、同時に開始される。画像処理装置20の
CPU21は先ず撮影指令を出力し、カメラ30による
撮影を実行し、取得した画像をフレームメモリに格納す
るとともに(ステップS1)、画像取得時のパルスコー
ダ計数出力値N30をDSP用メモリ17とデータメモリ
26に格納する(ステップS2)。
【0071】更に、ステップS1で取得した画像をプロ
グラムメモリ24に格納された解析プログラムを用いた
解析を行い、先ず最下流のワークの検出を試みる(ステ
ップS3)。最下流のワークの検出に成功(a,b,
c,d全点検出)しなかった場合には(ステップS4で
ノー)、ステップS5以下へ進み、次回撮影に備える態
勢に入る。即ち、ステップS5では、パルスコーダ計数
出力値Nを短周期で繰り返しチェックし、最新の画像取
得時からのコンベア移動量α(N−N30)がf30−ε1
(ε1 >0)を越えるのを待つ(ステップS5)。
【0072】ここでε1 は、相前後して取得される2つ
の画像間に撮影漏れとなる領域が生じないようにするだ
けでなく、すべてのワークについていずれかの撮影機会
においてa,b,c,dの全点が検出されることを基本
的に保証するための調整値である。従って、ε1 は上述
したワーク最大長s0 を下回らない条件で、ほぼ最小に
定められる。
【0073】例えば、視野長100.0cm、s0 =
5.0cmとした時、ε1 =5.1cm〜6.0cmと
する。ε1 を必要以上に大きくすることは、二重撮影領
域(相前後して撮影される画像に重なって含まれる領
域)が大きくなり、効率上好ましくない。尚、一つのワ
ークに対して相前後して撮影される画像から2回の検出
が行なわれる可能性があるが、このような可能性に対し
ては、後述する二重検出データ破棄の処理によって対処
する(後述、ステップS9〜S11参照)。
【0074】ステップS5でイエスの判定が出されたな
らば、コンベア移動量α(N−N30)がf30−ε1 +ε
2 を越えていないこと、及び処理終了信号が出力されて
いないことを確認した上で(ステップS6、S7)、ス
テップS1へ戻り、次回の撮影/画像取り込み、N30の
記憶(ステップS2)、画像処理(ステップS3)を順
次実行する。
【0075】ステップS5の判定式に含まれるε2 は、
次回撮影にかかろうとする時点で既にコンベア移動量が
過大となり、すべてのワークについていずれかの撮影機
会においてa,b,c,dの全点が検出されることを基
本的に保証するための二重撮影領域を形成出来ない状態
に至っていないかどうかを判定するための調整値で、本
処理では0<ε2 ≦ε1 −s0 に設定される。但し、ε
1 =s0 とした場合には、ε2 =0となるので、このス
テップS6は不要になる。
【0076】このステップS6でイエスの判定が出力さ
れるのは、コンベア速度が画像処理速度に比べて速すぎ
る場合、画像処理に異常に長い時間が費やされた場合な
どである。このようなケースは、システムが正常作動し
ていないことを意味すると考えられるので、ステップS
8へ進み、エラー信号を出力した上で処理を終了する。
また、ステップS7でイエスの判定が出力されるのは、
全ワークの撮影終了を表わす外部信号、ロボット側でエ
ラー信号等が出力された場合などである。
【0077】ワークWが次々と視野内31に到達するよ
うになると、ステップS4でイエスの判定が出力される
ようになる。その場合には、ステップS9へ進み、位置
検出の結果について、同一ワークの画像データの二重取
得のチェックを行う。同一ワークの画像データの二重取
得でないことが確認されたならば、検出結果を画像取得
時のパルスコーダ計数出力値N30と対応付けて記憶し
(ステップS10)、レジスタ値wの値を1カウントア
ップする(ステップS11)。
【0078】これに対して、同一ワークの画像データの
二重取得と判断された場合には、検出結果のワークキュ
ーへの書込とレジスタ値wの1カウントアップを行なわ
ず(検出データ破棄)、直接ステップS12へ進む。
【0079】なお、二重書込データか否かのチェック
は、今回のデータ(a,b,c,dの位置データと画像
取得時のパルスコーダ計数出力値N30)と前回検出され
てワークキューに書き込まれているデータ(a,b,
c,dの位置データと画像取得時のパルスコーダ計数出
力値N30)を比較することで達成される(後述するワー
クキューの構成を参照)。
【0080】もし、同一ワークの二重検出があれば、次
の2つの条件が成立している筈である。 1.前回検出時のパルスコーダ計数出力値N30と今回検
出時のパルスコーダ計数出力値N30の差が、撮影間隔1
回分のインクリメンタル計数値とほぼ一致しているこ
と。ステップS5から、後者の値としては、(f30−ε
1 )/αが採用出来る。 2.前回検出されたa,b,c,dの各位置と今回検出
されたa,b,c,dの各位置との差が、いずれもγ×
撮影間隔を表わすパルスコーダ計数出力値インクリメン
タル量と一致していること。即ち、前回検出されたa,
b,c,dの各位置と今回検出されたa,b,c,dの
各位置との差が、γ×(f30−ε1 )/αとほぼ一致し
ていること。ここで、γは、センサ座標系上の距離とパ
ルスコーダ計数出力値の換算計数であり、事前に設定さ
れる。
【0081】そこで、今回と前回の検出データについて
のN30の差に関する不等式、 |N30(今回)−N30(前回)−(f30−ε1 )/α|
<ε3 (但し、ε3 は小さな正の設定値)の成否をチェック
し、また、a,b,c,dの位置の少なくとも一つにつ
いて、γ×(f30−ε1 )/αとの差の絶対値に関する
不等式、例えば、 |aの位置(今回)−aの位置(前回)−γ(f30−ε
1 )/α|<ε4 (但し、ε3 ,ε4 は小さな正の設定値) の成否をチ
ェックする。これらの結果から、同一ワークの二重検出
の有無がチェック出来る。即ち、上記両不等式が同時成
立した時のみ、同一ワークの二重検出がなされたと判断
すれば良い。
【0082】さて、最下流のワークについての位置検
出、二重検出チェック、記憶などが完了したら、同画像
中の他のワーク画像の検出を試みる(ステップS1
2)。検出に成功したら(ステップS13でイエス)、
ステップS9へ戻り、ステップS10〜ステップS13
の処理を再度実行する。また、検出に成功しなかったら
(ステップS13でノー)、ステップS5以下へ進み、
次回の撮影タイミングを待つ。ステップS5〜ステップ
S8の処理については既に述べた通りである。
【0083】以上説明した処理サイクル(ステップS1
〜S13)を処理終了まで繰り返すことで、システムが
異常動作しない限り、すべてのワークについてa,b,
c,dの位置を表わすデータが順次取得される。図6
は、これらデータを記憶するワークキューの形式を説明
する図で、各コラムは左から順に、ライン番号、ロボッ
ト指定指標u、ワークの代表点a〜dの検出位置の基準
値(前述した基準画像から得た値)からの偏差(正負符
号付のずれ量)で表わしたデータ、そのデータに対応し
た画像取得時のパルスコーダ計数出力値N30を表わして
いる。
【0084】ロボット指定指標uは、ロボット指定済み
/未定を表わす指標で、ワークデータ書き込み時には0
が書き込まれる。そして、後述するロボット指定のため
の読み出しが行なわれたならば、u=1に更新される。
ワークデータの書込は、行番号(NO)が若い順に行なわ
れ最終まで書き込まれたならば、第1行に次のワークデ
ータが上書きされる。
【0085】ここに記した例では、5個のワークデータ
が書込済みで(w=5)、各ワークの位置偏差データ
(Δxa1,Δya1,Δxb1・・・・Δxd5,Δyd5)が
N30の値とともに書き込まれている。また、第1行及び
第2行のワークデータは、後述するロボット指定のため
に読出済みである。画像取得時のパルスコーダ計数出力
値N30の数値はあくまで例示であるが、1行目と2行
目、及び4行目と5行目のN30がそれぞれ一致している
のは、同一の撮影機会で得られた画像中の2つのワーク
画像について位置検出がなされたことを意味している。
【0086】次に、ロボット制御部10側で行なわれる
処理の概要を説明する。ワーク供給開始を知らせる適当
な外部信号を受けると、ロボット制御部10のCPU1
1はマルチタスク処理機能を用いて、ロボット予約処理
と各ロボットのためのロボット動作処理を開始する。先
ず、ロボット予約処理について、図7のフローチャート
を用いて概略を説明する。なお、ステップR6,R7,
R10,R11の処理については、概略説明の後で図8
のスケジュールダイヤグラムを用いて補足説明する。
【0087】図7のフローチャートにおいて、処理が開
始されると直ちにレジスタ値w=0か否かを短周期で繰
り返しチェックする態勢に入る(ステップR1)。上述
した撮影とそれに続く画像処理装置20側の処理によ
り、ワークの位置が検出されると、その結果が図6に示
した形式で記憶されるとともに、指標値wがw≠0とな
る。
【0088】そこで、u=0(未読出)のデータの存在
を確認した上で(ステップR2)、u=0のデータのう
ち最古に書き込まれたワーク1個分のデータを読み込む
(ステップR3)。図6に記した例で言えば、第3行目
のデータ[Δxa3,Δya3・・・Δyd3,3465]が読み
込まれる。読み込みが完了したら、読み出された行のu
値を0から1に更新する(ステップR4)。
【0089】次いで、読み出されたデータに基づいて、
ロボットTR1の要動作期間を計算する(ステップR
5)。ロボットTR1の要動作期間とは、もし当該ワー
クをロボットTR1で処理するとした場合にロボットT
R1が使用される期間のことである。本実施形態では、
コンベア1の搬送速度Vを既知の一定値と考え、要動作
期間をパルスコーダ計数出力値Nの範囲として計算する
(詳細後述)。
【0090】そして、ロボットRB1用に設定された予
約テーブル(詳細後述)にアクセスし、ステップR5で
計算された要動作期間と予約内容を照合し、ロボットR
B1の予約の適否を判断する(ステップR6)。もし、
予約が適当(可能)と判断したならば、ステップR5で
計算された要動作期間をロボットRB1用の予約テーブ
ルに書き込む(ステッR7)。
【0091】次いで、処理終了の必要性(運転終了指
令、エラー信号などで判断)を判断した上で(ステップ
R8)、最初のステップR1へ戻り、再度ステップR1
以下の処理を実行する。
【0092】もし、ステップR6でロボットRB1の予
約が不適当(不可能と判断したならば、ステップR9へ
進み、ステップR3で読み出されたデータに基づいて、
ステップR5と同様に、ロボットTR2の要動作期間を
計算する。ロボットTR2の要動作期間とは、もし当該
ワークをロボットTR2で処理するとした場合にロボッ
トTR2が使用される期間のことであり、その計算方法
はロボットTR1の場合と同様である(詳細後述)。
【0093】そして、ロボットRB2の予約テーブル
(詳細後述)にアクセスし、ステップR9で計算された
要動作期間と予約内容を照合し、ロボットRB2の予約
の適否を判断する(ステップR10)。もし、予約が適
当(可能)と判断したならば、ステップR9で求めた要
動作期間を予約テーブルに書き込む(ステッR11)。
ステップR11からはステップR8へ進み、処理終了の
必要性(運転終了指令、エラー信号などで判断)を判断
した上で、最初のステップR1へ戻り、再度ステップR
1以下の処理を実行する。
【0094】万一、ステップ10でロボットRB2の予
約が不適当(不可能と判断された場合には、コンベア1
の搬送速度、ワークの供給頻度などが本システムの処理
能力を越えているか、あるいはシステムの誤動作など異
常が発生しているとみなし、エラー信号を出力して(ス
テップR12)、処理を終了する。そして、コンベア1
の搬送速度やワークの供給頻度の修正、システムの誤動
作の修復等、必要な処置をとる。
【0095】以上がロボット予約処理の概略であるが、
ステップR6,R7,R10,R11の処理について、
図8(スケジュールダイヤグラム)及び図10(予約テ
ーブル)を参照図に加えて補足説明する。図8のスケジ
ュールダイヤグラムの横軸は時間経過を表わし、縦軸は
コンベア1の搬送方向に沿った位置を表わしている。横
軸、縦軸いずれも搬送コンベア1の搬送速度Vを既知の
一定値(パルスコーダ3の計数出力の変化率とスケール
ファクタαから算定可能)として、パルスコーダ計数出
力値Nを用いた目盛りでされる。
【0096】縦軸における点Bは、ロボットRB1が無
理なく動作を開始し得る限界位置を表わしており、図2
に記したトラッキング範囲の開始ライン60またはその
やや手前の位置に対応している。従って、ダイヤグラム
の原点Oと点Bの距離を計数値で表わせば、N60−N30
−δNとなる。ここで、δNはロボットRB1の動作開
始に余裕をもたせるために適当に設定される小さな計数
値(δN≧0)である。
【0097】また、点CはロボットRB1が無理なく1
サイクル分の動作を完了(P0 へ復帰)し得る時点にお
ける計数値に対応している。ダイヤグラムの原点Oと点
Cの距離を計数値で表わせば、N70−N30+N200 とな
る。ここで、N200 はロボットRB1が、トラッキング
動作完了後(ライン70の位置)を離れてから、ワーク
を収納部200に収め、初期位置P0 に復帰するまでに
要する時間内にパルスコーダ3のインクリメンタル計数
値あるいはそれより若干大きな値(動作に余裕をもたせ
るため)として設定される量である。
【0098】同様に、縦軸における点Dは、ロボットR
B2が無理なく動作を開始し得る限界位置を表わしてお
り、図2に記したトラッキング範囲の開始ライン60'
またはそのやや手前の位置に対応している。従って、ダ
イヤグラムの原点Oと点Dの距離を計数値で表わせば、
N60' −N30−δN' となる。ここで、δN' はロボッ
トRB2の動作開始に余裕をもたせるために適当に設定
される小さな計数値(δN' ≧0)である。
【0099】また、点EはロボットRB2が無理なく1
サイクル分の動作を完了(P0'へ復帰)し得る時点にお
ける計数値に対応している。ダイヤグラムの原点Oと点
Eの距離を計数値で表わせば、N70' −N30+ΔN200'
となる。ここで、ΔN200'はロボットRB2が、トラッ
キング動作完了後(ライン70' の位置)を離れてか
ら、ワークを収納部200' に収め、初期位置P0'に復
帰するまでに要する時間内にパルスコーダ3が計数する
計数値あるいはそれより若干大きな値(動作に余裕をも
たせるため)である。これらロボットRB1とRB2の
要動作範囲を規定するデータ(点B,C,D,Eを表わ
す計数値)は、前述した準備作業の(14)で実行され
る。
【0100】今、最初のワーク(W1 とする)の搬送経
過をg1 で表わすと、g1 は図示したような傾斜直線と
なる。横軸、縦軸のスケールを等しくとれば、その傾斜
は45度となる。ワークの搬送距離を撮影基準位置(図
2のラインAの位置)から測るものとすれば、直線g1
が横軸と交わる点(計数値)NA1は、ワークW1 を代表
する点(例えば、点a,b,c,dの位置から計算され
る重心位置)が、ラインAを通過する時点(計数出力
値)を表わしている。
【0101】例えば、ワークW1 について検出されたワ
ークデータが図6の第1行目に書き込まれている場合に
は、 NA1=2565+(Δxy1 /α) となる。ここで、αは設定済みのスケールファクタであ
り、Δxy1 はΔxa1,Δya1,・・・Δxd1,Δyd1か
ら計算されるワークW1 の重心位置の偏差である。も
し、Δxa1=Δya1=・・・=Δxd1=Δyd1=0なら
ば(基準画像取得時と同じ位置で撮影)、Δxy1 =0,
NA1=2565となる。
【0102】同様に、他の後続するワーク(W2 ,W3
とする)についてのワークデータが図6に示したワーク
キューに順次書き込まれれば、それらワークW2 ,W3
の搬送経過を表わすg2 ,g3 について、横軸と交わる
点(計数値)NA2,NA3を求めることが出来る。
【0103】上記したことから、ステップR6の判断の
手順は次のように行なわれる。 R6−1;ステップR3で読み出したワークデータから
NA を求める。ワークW1 については、NA1を求める。
同様に、ワークW2 のワークデータが読み出された場合
にはNA2、ワークW3 のワークデータが読み出された場
合にはNA3を求める。
【0104】R6−2;NA から、ロボットRB1の要
動作区間NB NC (NB とNC )を求める。上記した例
で言えば、区間NB1NC1,NB2NC2あるいはNB3NC3を
求める。
【0105】R6−3;当該ワークデータに関して求め
られたロボットRB1の要動作期間が、予約期間に抵触
するか否か予約テーブルにアクセスしてチェックする。
ワークW1 が最初に検出されたワークであるならば、ワ
ークテーブルはクリアされた初期状態のまま(無予約)
である。よって、判断出力はイエスである。
【0106】次のステップR7では、予約テーブル(R
B1用)に区間NB1NC1のデータが書き込まれる。
【0107】図10には、各々予約期間が書き込まれた
状態のRB1用並びにRB2用の予約テーブルを示し
た。各予約テーブルのコラムは、左から順に、ロボット
の動作の完了(=0)/未完了(=1)を表わす指標、
ワークデータ番号(図6のワークキューの行番号)、要
動作区間の端点データNB ,NC (RB1用)あるいは
ND ,NE を書き込むためのものである。
【0108】書き込まれた数値はあくまで例示的なもの
であるが、次の予約内容を表わしている。 ロボットRB1;ワークキュー番号1のワークについ
て、要動作期間[4051〜4551]が予約され、動作は未完
了(第1コラム=1)である。 ロボットRB2;ワークキュー番号2のワークについ
て、要動作期間[4130〜4630]が予約され、動作は未完
了(第1コラム=1)である。
【0109】ここで、ワークW2 がワークW1 の直後に
供給された場合(図8における直線g1 とg2 を参照)
を考えると、ワークW2 に関するステップR6で、RB
1用のワークテーブルにアクセスした時点では、上記予
約データが書き込まれており、且つ、ワークW2 につい
てステップR5で計算される要動作期間と明らかに抵触
する(図8において、直線g2 が斜線領域を通過)。よ
って、ワークW2 に関するステップR6の判断出力はノ
ーとなる。
【0110】この場合は、図7のフローチャートに従い
ステップR9からR10へ進む。ステップR9の判断の
手順は、次のように実行される。 R9−1;既に求められているNA から、ロボットRB
2の要動作区間NDNE (ND とNE )を求める。ここ
では、ワークW2 について区間NB2NC2を求める。
【0111】R9−2;ワークW2 について求めたロボ
ットRB2の要動作期間が、予約期間に抵触するか否か
予約テーブルにアクセスしてチェックする。ワークW2
が2番目に検出されたワークであるならば、RB2用の
ワークテーブルはクリアされた初期状態のまま(無予
約)である。よって、判断出力はイエスである。
【0112】そこで、次のステップR10では、予約テ
ーブル(RB2用)に区間ND2NE2のデータが書き込ま
れる。図10のRB2用の予約テーブルは、この状態を
例示している。また、図8のスケジュールダイヤグラム
中で砂地模様で描示した区間は、このワークW2 につい
て予約された期間を表わしている。
【0113】同様の考察から、直線g3 で表わされる3
番目のワークW3 については、ステップR6の判断出力
はイエスとなることが判る。何故ならば、直線g3 は砂
地模様の領域を通過しているが、斜線領域は通過してい
ないからである。
【0114】最後に、図9のフローチャートを参照し
て、ロボット動作の処理について説明する。なお、2台
のロボットRB1,RB2の動作は基本的に同じなの
で、RB2用の()書きを用いて、両者のための処理を
まとめて説明する。
【0115】先ず、教示点Q0 (またはQ0')の位置デ
ータを含む動作プログラムデータを読み込み(ステップ
H1)、予約テーブルを短周期で繰り返しチェックする
態勢に入る(ステップH2)。上述した予約処理のステ
ップR7で、ロボットRB1あるいはロボットRB2の
予約期間が書き込まれると、ステップH2でイエスの判
断出力が出され、ステップH3へ進む。
【0116】ステップH3では、ワークキューにアクセ
スし、予約テーブルで指定されている番号(行)のワー
クデータを読み込む。前述の例で言えば、ワークW1 に
関するデータ[Δxa1,Δya1・・・Δxc1,Δyd1,
2565]が読み込まれる。
【0117】次いで、パルスコーダ計数出力値Nが、N
=ΔN60-vs (ロボットRB2の場合には、ΔN60'-v
s。以下、同様。)+N30に到達するのを待つ態勢に入
る(ステップH4)。上記ワークW1 の例ではN30=25
65である。
【0118】N=ΔN60-vs (ΔN60'-vs)+N30とい
うパルスコーダ計数出力値は、ワークがトラッキング開
始ライン60(または60' )の位置に到達したことの
目安となる計数値である。もし、当該ワークの撮影位置
が基準画像を得た時のワーク位置と一致していれば、こ
の値はそのワークがトラッキング開始ライン60(また
は60' )の位置に到達したことを正確に表わすことに
なる。
【0119】ステップH4でイエスの判断出力が得られ
たならば、直ちにトラッキング座標系Σtr(または、)
上でロボットRB1(またはRB2)の移動を開始させ
るとともに、トラッキング座標系Σtr(またはΣtr' )
の移動を開始させる(ステップH5)。ロボットRB1
用(RB2用)のトラッキング座標系Σtr(Σtr' )の
移動は、トラッキングΣtr(Σtr' )の原点の位置[X
0 ,Y0 ,Z0 ]([X0',Y0',Z0'])を次式で表
わされた位置に存在するものとすることで達成される。
ここで、Nはパルスコーダ計数出力値Nの現在値であ
る。 トラッキングΣtrの移動位置; X0 =−L0 +α{N−(ΔN60-vs+N30)} Y0 =0 Z0 =0 トラッキング座標系Σtrが移動中の座標値の変換式は、 x=X−L0 +α{N−(ΔN60-vs+N30)} y=Y z=Z となる。
【0120】トラッキングΣtr' の移動位置; X0' =−L0'+α{N−(ΔN60'-vs +N30)} Y0'=0 Z0'=0 トラッキング座標系Σtr' が移動中の座標値の変換式
は、 x' =X' −L0'+α{N−(ΔN60'-vs +N30)} y' =Y' z' =Z' となる。
【0121】これにより、ロボットRB1(またはRB
2)のトラッキング動作が開始される。即ち、ロボット
RB1(またはRB2)は、トラッキング座標系Σtr
(またはΣtr' )上で教示点を目指して移動を開始す
る。但し、補間動作で作成される補間点の位置は、ステ
ップH3で読み込んだデータ(基準位置とのずれ量)に
基づいて補正される。
【0122】移動開始時点における教示点位置は、トラ
ッキング座標系Σtr(Σtr' )の初期位置の設定法から
考えて、図2中に符号Qtr(Qtr' )で示したように、
トラッキング開始ライン60(60' )上にある。そし
て、トラッキング座標系Σtr(Σtr' )の移動開始後に
は、この点Qtr(Qtr' )をコンベア1の走行と同期移
動させた点(より正確に言えば、それを視覚センサのデ
ータで補正した位置)を目指すようにロボットRB1
(RB2)の移動が行なわれる。その結果、ロボットR
B1(RB2)は、符号90,(90' )で示したよう
な曲線軌道を描いて移動する。
【0123】トラッキング範囲内でロボットRB(RB
2)がワークに追いついたことが確認されると(ステッ
プH6の判断出力がイエス)、教示済みのワーク把持作
業がトラッキング座標系Σtr(Σtr' )上で実行される
(ステップH7)。
【0124】パルスコーダ計数出力値NがN=ΔN70-v
s(ΔN70'-vs )+N30に到達したならば(ステップH
8の判断出力がイエス)、ロボットRB1(RB2)の
トラッキング座標系Σtr(Σtr' )上での動作を終了さ
せ、ワーク収納部200(200' )上の教示点Q2
(Q2')への移動を開始する(ステップH9)。
【0125】教示点Q2 (Q2')へ到達したら、ワーク
の把持を解除して、ワークをワーク収納部200(20
0' )に収納する(ステップH10)。そして、ロボッ
トRB1(RB2)をQ2 (Q2')から初期位置P0
(P0')へ移動させ(ステップH11)、ロボットRB
1(RB2)用の予約テーブルの予約データをクリアす
る(ステップH12)。例えば、ロボットRB1がワー
クW1 の処理を完了した場合であれば、図10に示した
RB1用の予約テーブルの各コラムに各々「0」を上書
きする。
【0126】以上で1つのワークに対するロボットRB
1(またはRB2)の動作サイクルが完了する。そこ
で、システムの運転中止を要求する指令が出力されてい
ない限り(ステップH13の判断出力がノー)、ステッ
プH1へ戻り、次の検出ワークに対する処理を開始す
る。以下の処理は、上述した通りであるから、繰り返し
説明は省略する。
【0127】以上、本発明をワークの把持・収納のアプ
リケーションに適用した実施形態について説明したが、
本発明が搬送手段上で移動する対象に対するトラッキン
グ動作を伴う他のアプリケーションについても用し得る
ことは明らかである。実施形態のシステム構成、データ
の処理・伝達方式についても、例えば次のような変形が
可能である。
【0128】(1)使用するロボットの台数;ロボット
の使用台数を3台以上とすることも可能である。図8に
示したスケジュールダイヤグラムの考え方は、ロボット
の使用台数が何台であっても適用出来る。例えば、3台
目のロボットRB3を使用する場合には、動作範囲B
C,DEの他に動作範囲FG、ロボットRB3用の予約
テーブルなどを新たに設定し、ロボットRB3について
の要動作期間を計算する処理、ロボットRB3用の予約
テーブルのチェック処理、書込処理、クリア処理等を追
加すれば良い。
【0129】(2)視覚センサ(画像処理装置)とロボ
ット制御手段の分離;視覚センサVSをロボットコント
ローラRCとは別構成とし、両者を共通のプロトコルで
動作する通通インターフェイスを含む通信回線で結び、
ワークデータ、指令データ等をやりとりする方式として
も良い。
【0130】(3)ロボットの予約処理を視覚センサ側
で分担;本実施形態では、ロボットの予約処理はロボッ
ト側で行なうようにしたが、これを視覚センサ側で行う
ようにしても良い。
【0131】(4)ロボット制御手段の構成;本実施形
態では、2台のロボットを一つのロボット制御手段(ロ
ボット制御部10)で制御したが、ロボット毎に1台の
ロボットコントローラを使用しても良い。この場合に
は、1台の視覚センサ(画像処理装置)と各ロボットコ
ントローラを通信回線で結ぶ方式とすることが好まし
い。また、ロボットの予約処理を視覚センサ側で行い、
その結果を必要に応じて各ロボットに伝えるうようにす
ることが好ましい。
【0132】(5)視覚センサの検出方式の変更;本実
施形態では、ワークの供給頻度が高いケースに適合した
ワーク検出方式として、上流側でワークの事前検出を行
なわない方式を採用したが、これを図1で説明した旧来
方式(上流側でワークの事前検出を行なう方式)を採用
することも出来る。旧来方式を採用した場合でも、ワー
クキューに書き込まれたワークデータと搬送手段の走行
量を表わすデータを利用して行なわれるロボットの予約
以降の処理に基本的な変更を要しないことはこれまでの
説明から明らかであろう。
【0133】
【発明の効果】本発明によれば、コンベア上のランダム
な位置に載置され、ランダムな間隔で供給される対象物
に対して、1台の視覚センサと複数台のロボットを組み
合わせて用いることにより、トラッキング動作を伴う作
業を合理的に分担して手際よく実行すことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】1台のロボットを備えた視覚センサ・ロボット
システムの概略を説明するための図である。
【図2】本発明の実施形態の全体配置を図1と類似した
形式で示したものである。
【図3】実施形態で使用されるロボットコントローラR
Cの内部構成の概略を要部ブロック図で示したものであ
る。
【図4】本発明の実施形態において、画像処理装置側で
行なわれる処理内容の概略を記したフローチャートであ
る。
【図5】供給ワークWの最大長s0 について説明する図
である。
【図6】本発明の実施形態において、ワークの検出デー
タを記憶するワークキューについて説明する図である。
【図7】本発明の実施形態におけるロボット予約処理に
ついて説明するフローチャートである。
【図8】ロボット予約処理の原理を説明するためのスケ
ジュールダイヤグラムである。
【図9】本発明の実施形態におけるロボット動作のため
の処理について説明するフローチャートである。
【図10】本発明の実施形態における2台のロボットの
ための予約テーブルを説明する図である。
【符号の説明】
1 コンベア 2 コンベア駆動部 3 パルスコーダ 4,4’ センサ(事前検出) 10 ロボット制御部 11 CPU(ロボットコントローラ) 12 ROM 13 RAM 14 不揮発性メモリ 15,15' 軸制御器 16,16' サーボ回路 17 デジタルシグナルプロセッサ(DSP)用データ
メモリ 18 デジタルシグナルプロセッサ(DSP) 19 センサインターフェイス 20 画像処理装置 21 CPU(画像処理装置) 22 カメラインターフェイス 23 フレームメモリ 24 プログラムメモリ 25 画像処理プロセッサ 26 データメモリ 27 モニタインターフェイス 30 カメラ 31 視野 40 モニタCRT 50 検出位置ライン 60,60' トラッキング開始ライン 70,70' トラッキング終了ライン 80 直線軌道 90,90' 曲線軌道 100 ワーク供給源 200,200' ワーク収納部 BS,BS’,BS” バス P0 ,P0' ロボット初期位置 RB,RB1,RB2 ロボット RC ロボットコントローラ VS 視覚センサ W,W’,W” ワーク a,b,c,d ワークの特徴点

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 経時的に供給される多数の対象物を搬送
    する手段の走行量を検出する走行量検出手段と、前記対
    象物を認識する視覚センサと、前記搬送手段の搬送路の
    近傍に配置された複数のロボットと、前記視覚センサの
    出力に基づいて前記対象物毎にロボットの動作予約を行
    なうロボット予約手段と、前記動作予約に従って前記複
    数のロボットを制御するロボット制御手段を備えた、複
    数のロボットにトラッキング動作を行なわせるための視
    覚センサ・ロボットシステムであって、 前記視覚センサは、前記搬送経路上に視野を持つカメラ
    手段と、前記カメラ手段に撮影を行なわせて前記対象物
    を含む画像を取得する手段と、前記取得された画像を処
    理して前記対象物の位置に関する情報を取得する画像処
    理手段を備え、 前記ロボット予約手段は、前記視覚センサによって取得
    された前記対象物の位置に関する情報と、先行して検出
    された対象物に対するロボット予約内容に関する情報に
    基づいて、トラッキング動作を含む作業を実行可能なロ
    ボットを前記複数のロボットの中で指定する手段を備
    え、 前記ロボット制御手段は、前記対象物の各々について、
    前記ロボット予約手段によって指定されたロボットに、
    前記視覚センサによって取得された対象物の位置に関す
    る情報を用いて補正されたトラッキング動作を含む作業
    を実行させる手段を備えている、 前記複数のロボットにトラッキング動作を行なわせるた
    めの視覚センサ・ロボットシステム。
  2. 【請求項2】 経時的に供給される多数の対象物を搬送
    する手段の走行量を検出する走行量検出手段と、前記対
    象物を認識する視覚センサと、前記搬送手段の搬送路の
    近傍に配置された複数のロボットと、前記視覚センサの
    出力に基づいて前記対象物毎にロボットの動作予約を行
    なうロボット予約手段と、前記動作予約に従って前記複
    数のロボットを制御するロボット制御手段を備えた、複
    数のロボットにトラッキング動作を行なわせるための視
    覚センサ・ロボットシステムであって、 前記視覚センサは、前記搬送経路上に視野を持つカメラ
    手段と、前記カメラ手段に撮影を行なわせて前記対象物
    を含む画像を取得する手段と、前記取得された画像を処
    理して前記対象物の位置に関する情報を取得する画像処
    理手段を備え、 前記ロボット予約手段は、前記視覚センサによって取得
    された前記対象物の位置に関する情報と、先行して検出
    された対象物に対するロボット予約内容に関する情報に
    基づいて、トラッキング動作を含む作業を実行可能なロ
    ボットを前記複数のロボットの中で指定する手段を備え
    ており、 前記ロボット制御手段は、前記対象物の各々について、
    前記ロボット予約手段によって指定されたロボットに、
    前記視覚センサによって取得された対象物の位置に関す
    る情報を用いて補正されたトラッキング動作を含む作業
    を実行させる手段を備え、 前記ロボット予約手段は、更に、 先行して検出された対象物に対するロボット予約内容に
    関する情報の書き込みと読み出しが可能な予約テーブル
    と、 前記視覚センサによって取得された前記対象物の位置に
    関する情報と前記複数のロボットの各々について設定さ
    れた動作範囲に関する情報に基づいて、当該対象物に対
    する作業について要求されるロボットの要動作期間を前
    記複数のロボットの内の少なくとも一つについて求める
    手段と、 前記要動作期間を表わす情報と前記予約テーブルに書き
    込まれている前記先行して検出された対象物に対するロ
    ボット予約内容に関する情報とを対照し、前記少なくと
    も一つのロボットについて予約の適否を判断する手段
    と、 該予約が適当であると判断された場合に、前記要動作期
    間を前記予約テーブルに書き込む手段を備え、 前記ロボット制御手段は、前記予約されたロボットが前
    記視覚センサによって取得された対象物の位置に関する
    情報を用いて補正されたトラッキング動作を含む作業の
    完了時に、予約テーブルに書き込まれた予約内容をクリ
    アする手段を備えている、 前記複数のロボットにトラッキング動作を行なわせるた
    めの視覚センサ・ロボットシステム。
  3. 【請求項3】 前記ロボット予約手段は、更に、前記複
    数のロボットのいずれも指定出来なかった場合に、エラ
    ー信号を出力する手段を備えている、請求項1または請
    求項2に記載された複数のロボットにトラッキング動作
    を行なわせるための視覚センサ・ロボットシステム。
  4. 【請求項4】 前記視覚センサは、更に、前記搬送手段
    が所定距離を走行したことを表わす検出出力が前記走行
    量検出手段から与えられる毎に前記画像取得と画像処理
    を実行する手段を備え、 前記所定距離は、前記搬送経路に沿った前記視野の長さ
    から前記搬送経路に沿ったに前記対象物の長さを差し引
    いた距離を下回らず、且つ、ほぼ等しくなるように予め
    定められている、請求項1から請求項3のいずれか1項
    に記載された複数のロボットにトラッキング動作を行な
    わせるための視覚センサ・ロボットシステム。
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