JPH09131412A - 放射線治療装置の多分割絞り装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】放射線治療装置において、絞りブロックの形状
を統一し、絞りブロックの荷重支持手段を改良すること
により、製作コストを大幅に低減した多分割絞り装置を
提供する。 【解決手段】照射野中心軸に垂直な平面内を平行移動す
る多分割絞り装置において、側面方向の傾斜面が放射線
源を向く同一形状を有する絞りブロック２１を、放射線
源を中心とする円筒状に密着配列する。各絞りブロック
にＶ字溝を設け、これと嵌合するローラー５をスペーサ
７を用いて荷重支持軸６上に配置する。 【効果】同一形状の絞りブロックを用いることで、多種
類の絞りブロックを組み合わせる場合と比較して、絞り
ブロックの製造コストを大幅に低減することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、放射線治療装置の
絞り装置（照射野限定装置）、特に多分割絞り装置にお
ける絞りブロックの形状，配列方法と、その荷重支持機
構に関する。

【０００２】

【従来の技術】放射線治療装置の絞り装置は、回転架台
先端の照射ヘッドの内部に組み込まれている。上記回転
架台と照射ヘッドは、互いに直交する回転軸の周囲を回
転するため、絞り装置の絞り動作方向に対し、重力の作
用する方向があらゆる方向に変化する。したがって、重
力の作用する方向が変化しても絞りが動作可能なよう
に、絞りの荷重を支持する機構が必要となる。

【０００３】矩形照射野を形成する単位ブロック絞りの
場合、支持する絞りは矩形状の縦横２対のみであるた
め、荷重支持は容易である。これに対し、矩形以外の不
規則な形状の照射野（不整形照射野）を形成する多分割
絞り装置では、多数個のブロックに分割された絞りの各
々のブロックが単独に動作する。そして、絞りのブロッ
ク分割数が多いほど、１個の絞りブロックの幅は狭くな
り、また、隣接する絞りブロック相互間からの放射線漏
洩を防止するため、絞りブロック同士の隙間はできるだ
け小さく、例えば０.１〜０.２mm程度にしなければなら
ない。

【０００４】ところで、従来の放射線治療装置の多分割
絞り装置の絞り形状としては、絞り動作方向が照射ヘッ
ドの回転中心軸（照射野中心軸）に対して垂直な平面内
にあり、隣接する絞りの側面傾斜方向が放射線源に向か
う平面になったものがある。すなわち、図６〜図８に示
すように形成されたものである。ここで図６は上記多分
割絞り装置を示す平面図で、図７，図８は、それぞれ図
６中の矢印方向Ａ，Ｂから見た側面図である。図中、２
は絞りブロック群を表わし、この絞りブロック群２は複
数個の絞りブロック２Ａ（２Ａ１〜２Ａｎ）と２Ｂ(２
Ｂ１〜２Ｂｎ)とからなる。絞りブロックの各々は相互
に摺動可能に側面方向に密着配列されてなり、照射野中
心軸に対して垂直方向に往復運動する。この往復運動は
平面１０，１１に沿って行われる。また、１は放射線
源、３は照射野、４はアイソセンター、１２は放射線源
１に向かう傾斜面である。また放射線源１とアイソセン
ター４を通る軸が照射野中心軸である。上記絞りブロッ
ク群２は、２群の絞りブロック（２Ａ，２Ｂ）が対向配
置され、そのうちの選択された個々の絞りブロックがそ
の軌道上を所定量移動することにより、所定の形状，絞
り量の照射野が得られるものである。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記多分割絞り装置に
おける個々の絞りブロックの形状は、照射ビーム軸から
外側に離れるほど傾斜面の傾斜角度が大きくなる。した
がって絞りブロックの個数が多くなるほど、絞りブロッ
クの形状も種類が多くなる。このことは絞りブロックの
製作上、加工工程，治工具，型等の種類が多くなること
を意味する。この結果、品質管理も困難になり、製造コ
ストが増加する。

【０００６】一方ユーザー側より、できるだけ患部形状
に近い照射野を形成するために、絞りブロック群の分割
数が多く、絞りブロック１枚の幅が薄い絞り装置が要望
されるが、これに応えるには上記理由からコスト高にな
らざるを得ない。本発明は、上記要望に鑑みてなされた
もので、低コストで製作可能な、同一形状の絞りブロッ
クを用いて構成され、改良された荷重支持機構を具備す
る。放射線治療装置の多分割絞り装置を提供することに
ある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明の目的は次の解決
手段によって達成される。本発明は、複数の絞りブロッ
クが相互に摺動可能に側面方向に密着配列されてなり、
照射野中心軸に対して垂直な平面内を直線状に往復運動
する絞りブロック群が、２群対向配置され、前記絞りブ
ロック群のうちの選択された絞りブロックがその往復運
動軌道上を所定量移動することにより、所定の形状，絞
り量の放射線照射野を得る放射線治療装置の多分割絞り
装置において、前記絞りブロックの各々が同一の形状を
有することを特徴とする（請求項１）。

【０００８】本発明はさらに、前記絞りブロックの各々
についてのスラスト荷重及びラジアル荷重の双方を支持
するスラスト・ラジアル荷重支持手段を具備することを
特徴とする（請求項２）。

【０００９】本発明はさらに、前記スラスト・ラジアル
荷重支持手段が、前記絞りブロックの配列方向に架け渡
された荷重支持軸と、該荷重支持軸に回転自在に支持さ
れ、各絞りブロック毎のスラスト荷重及びラジアル荷重
の双方を同時に支持する各絞りブロック対応のローラー
とを具備することを特徴とする（請求項３）。

【００１０】本発明ではさらに、前記絞りブロックの各
々が放射線源を中心とする円筒状に配列されていること
を特徴とする（請求項４）。

【００１１】本発明ではさらに、前記絞りブロックの各
々の上下面のいずれかを前記照射野軸に垂直な平面上に
あるように配列したことを特徴とする（請求項５）。

【００１２】本発明によれば、隣接する絞りブロックの
側面傾斜方向が、放射線源に向かう平面をなす同一形状
の絞りブロックを、相互に摺動可能に側面方向に密着配
列することで、絞りブロックの各々が単独に動作可能と
なる。これにより、半影の少ない、所定の形状，絞り量
の放射線不整形照射野を形成することができる。

【００１３】一方、スラスト，ラジアル荷重支持手段
は、絞りブロックの各々につき、それらの移動方向，位
置にかかわらずにスラスト荷重およびラジアル荷重の双
方を支持する。これにより、放射線治療装置の多分割絞
り装置において、絞り動作方向によらずに、絞りブロッ
クの荷重を常に適正に支持することが可能となる。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下図面を参照して本発明の実施
例を説明する。図１は、本発明による放射線治療装置の
多分割絞り装置における絞りブロック構成の一実施例を
示した図で、従来例の図７に対応する側面図である。図
１に示す例は、放射線源とアイソセンター間の距離が１
０００mm，最大照射野が中心から左右に２００mmずつ、
計４００mm（アイソセンター平面上で）とした場合に、
照射野３における絞りブロックを投影幅が１０mmとなる
ように、中心から２０枚ずつ、計４０枚の同一形状の絞
りブロックを、その下端側が放射線源から半径５００mm
の位置になるよう、円筒上に配列したものである。

【００１５】全照射野４００mmを４０等分するものとす
れば、全照射野に対して絞りブロック１枚当りの占める
角度は０.５６５° となる。この絞りブロックのアイソ
センター平面上への投影幅は絞りブロックの位置によっ
て幾何学的に異なる。この例の場合、中心に近い絞りブ
ロックの投影幅は約９.９mm 、最も外側のものでは約１
０.２mm となり、最大０.３m m程度の差が生じるが、実
際の使用上では、±０.３mm 程度の誤差は許容されるこ
とから、十分満足できる範囲にある。

【００１６】次に、図２，図３，図４は、本発明による
放射線治療装置の多分割絞り装置における荷重支持機構
の一実施例の要部を示す図である。図２は従来例の図８
に対応する側面図であり、図３，図４は図２中のＣ−Ｃ
断面を矢印方向から拡大して示した図である。なお各図
とも、一方の絞りブロック群のみを示したもので他方の
絞りブロック群についても同様に構成されているもので
ある（以下同様）。

【００１７】図２，図３，図４に示す実施例は、各絞り
ブロック２１の上，下面にＶ字形の溝１５を設け、この
溝と嵌合するローラー５（絞りブロック２１の上面側に
１個、下面側に２個有する）によって、絞りブロック２
１（絞りブロック群２）の荷重を支持するものである。
ローラー５の外周断面形状を円弧状にすれば、絞りブロ
ック２１のＶ字形溝１５とローラー５の外周の円弧とが
常に２点で接触するので、絞りブロック２１とローラー
５が、絞りブロック配列方向に対して互いに多少傾いた
位置にあっても、常に荷重を支持することができる。

【００１８】図３の例では、絞りブロック群の荷重支持
軸６（６１１，６１２）は、絞りブロックの円筒状配列
方向に沿って、放射線源１を中心とする円弧状に曲げて
成形された軸で、その両端は多分割絞り装置のフレーム
９に固定されている。この荷重支持軸６１１，６１２に
は、絞りブロック２１のＶ字形溝１５と各々嵌合するロ
ーラー５１が設けられ、隣接するローラー同士は、スペ
ーサ７１１，７１２により所定の間隔が保たれる。ロー
ラー５１は軸受等（図示せず）を介して荷重支持軸６１
１，６１２およびスペーサ７１１，７１２に対して回転
可能なように設置され、絞りブロック２１の移動に伴っ
て、回転しながら絞りブロック２１の荷重を荷重支持軸
６１１，６１２を通してフレーム９に伝達する。

【００１９】上記の構成においては、各ローラー５１の
回転中心と絞りブロック２１のＶ字形溝１５との距離は
全て等間隔になるため、上下の荷重支持軸とも全て同一
形状のローラーで構成することが可能である。

【００２０】図４に示す例では、絞りブロック群の荷重
支持軸６２は、絞りブロック２１の円筒状配列方向に架
け渡された、照射野中心軸に対して垂直に設置された真
直軸で、その両端は多分割絞り装置のフレーム９に固定
されている。この荷重支持軸６２には、絞りブロック２
１のＶ字形溝１５と各々嵌合するローラー５１が設けら
れ、隣接するローラー同士は、スペーサ７２１，７２２
により所定の間隔が保たれる。図３の場合と同様にロー
ラー５２は軸受等(図示せず)を介して軸６２およびスペ
ーサ７２１，７２２に対して回転可能に設置され、絞り
ブロック２１の移動に伴って回転しながら絞りブロック
２１の荷重を荷重支持軸６２を通してフレーム９に伝達
する。

【００２１】上記構成では各ローラー５２の回転中心と
各絞りブロック２１のＶ字形溝１５との距離は各々異な
っているため、各ローラー５２の大きさは絞りブロック
２１の位置によって異なる。また、各ローラー５２に対
する絞りブロック２１の傾斜角度は各々異なるが、前述
のようにローラー５２の先端の形状を円弧状にすること
で荷重支持が可能となる。

【００２２】図５に、本発明による放射線治療装置の多
分割絞り装置における荷重支持機構の他の実施例を示
す。前述の実施例は同一形状の絞りブロックを円筒状に
配列したもので、全ての絞りブロックの傾斜面は放射線
源に向かうように構成されている。これに対し、本実施
例では、同一形状の絞りブロックを側面方向に密着させ
るとともに、絞りブロックの上下面のいずれか（図５の
場合は下面側）のＶ字形溝の位置が、照射野中心軸に垂
直な平面上にあるように、絞りブロック群を構成するこ
とが可能である。

【００２３】この場合、絞りブロックの配列が円筒状で
ないため、照射野中心軸に対して外側にある絞りブロッ
クの側面方向の傾斜面は、放射線源１よりも若干ずれた
点（例えば図中の１６）に向かう。これは放射線の半影
が生じる点では不利であるが、例えば図１で示したよう
な寸法の絞りブロックに適用すれば、傾斜面のずれ量は
せいぜい数mm程度で、この結果生じる半影は実用上ほと
んど影響ない。むしろ、円筒状に絞りブロックを配列し
た場合に比べて、図１で説明したような、絞りブロック
配列方向について生じる内側と外側の絞りブロックの投
影幅の差が軽減される効果がある。

【００２４】さらに、従来の多分割絞り装置において、
隣接する絞りブロック間の隙間から漏れる漏洩線を遮蔽
するために、絞りブロックの側面方向の傾斜面に段差を
設け、絞りブロック同士が重なり合うようにしている。
しかし段差を設けることで、絞りブロックの加工工程が
増え、コスト高となる要因の一つになっている。本実施
例によれば放射線源位置と、絞りブロックの側面方向の
傾斜面の向かう点をずらすことにより、隣接する絞りブ
ロック間の隙間から漏れる漏洩線を、絞りブロック側面
に段差を設けることなく遮蔽することができる。

【００２５】本実施例における絞りブロックの荷重支持
方法は図４における方法と同様である。すなわち絞りブ
ロック群の荷重支持軸６２は、絞りブロック２１の配列
方向に架け渡された、照射野中心軸に対して垂直に設置
された真直軸で、その両端は多分割絞り装置のフレーム
９に固定されている。隣接するローラー同士は、スペー
サ７３１，７３２により所定の間隔が保たれる。ローラ
ー５３，５４は、軸受等（図示せず）を介して軸６２お
よびスペーサ７３１，７３２に対して回転可能に設置さ
れ、絞りブロック２１の移動に伴って回転しながら絞り
ブロック２１の荷重を荷重支持軸６２を通してフレーム
９に伝達する。また、各ローラー５３，５４に対する絞
りブロック２１の傾斜角度は各々異なるが、前記実施例
の場合と同様に、ローラー先端の形状を円弧状にするこ
とで絞りブロック２１の荷重の支持が可能となる。

【００２６】図５の構成では、絞りブロック群の下面側
の荷重支持軸６２と各絞りブロック２１のＶ字形溝１５
とは互いに平行な位置関係にあるので、各絞りブロック
２１に対応するローラー５４は全て同一形状のものを使
用することができる。

【００２７】一方、絞りブロック群の上面側では、各絞
りブロック２１のＶ字形溝１５と荷重支持軸６２との距
離は各々異なるため、各ローラー５３の大きさは絞りブ
ロック２１の位置によって異なる。しかし図４の実施例
と比較すると各ローラーの大きさの差は小さくなり、絞
り装置全体をよりコンパクトなものにすることが可能で
ある。

【００２８】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、同
一形状の絞りブロックを用いて放射線治療装置の多分割
絞り装置を低コストで構成できるという効果がある。ま
た、図３に図示した構成によれば、同一形状のローラー
を用いて、絞りブロック動作方向によらずに、絞りブロ
ックに荷重を常に適正に支持することができるという効
果がある。

【００２９】さらに図４に例示の構成によれば、荷重支
持軸に真直軸を用いることで、荷重支持手段の占める空
間をコンパクトなものにできるという効果がある。ま
た、図５に例示した構成によれば、絞り装置全体の構成
を更にコンパクトなものにできるとともに、絞りブロッ
クの側面方向の傾斜面に放射線の漏洩を防止する段差を
設ける必要がなくなり、さらに低コスト化することがで
きるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による放射線治療装置の多分割絞り装置
における絞りブロック構成の一実施例を示す図。

【図２】本発明による多分割絞り装置における荷重支持
機構の一実施例の要部を示す側面図。

【図３】同一形状のローラーを円弧状の軸上に配列した
実施例を示す図（図２のＣ−Ｃ断面図）。

【図４】真直軸上に大きさの異なるローラーを配列した
実施例を示す図（図２のＣ−Ｃ断面図）。

【図５】絞りブロック群の下面側のＶ字形溝の位置が同
一平面上にあるように配列した場合の実施例を示す図。

【図６】多分割絞り装置の従来の例を示す平面図。

【図７】図６のＡ視図。

【図８】図６のＢ視図。

【符号の説明】

１ 放射線源 ２，２Ａ，２Ｂ 絞りブロック群 ３ 照射野 ４ アイソセンター ５ ５１，５２，５３，５７ ローラー ６，６２，６１１，６１２ 荷重支持軸 ９ フレーム １０，１１ 平面 １２ 傾斜面 １５ Ｖ字形溝 ２１ 絞りブロック ７１１，７１２，７２１，７２２，７３１，７３２ ス
ペーサ

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】複数の絞りブロックが相互に摺動可能に側
   面方向に密着配列されてなり、照射野中心軸に対して垂
   直な平面内を直線状に往復運動する絞りブロック群が、
   ２群対向配置され、前記絞りブロック群のうちの選択さ
   れた絞りブロックがその往復運動軌道上を所定量移動す
   ることにより、所定の形状，絞り量の放射線照射野を得
   る放射線治療装置の多分割絞り装置において、前記絞り
   ブロックの各々が同一の形状を有することを特徴とする
   放射線治療装置の多分割絞り装置。
2. 【請求項２】請求項１記載の放射線治療装置の多分割絞
   り装置において、前記絞りブロックの各々についてのス
   ラスト荷重及びラジアル荷重の双方を支持するスラスト
   ・ラジアル荷重支持手段を具備することを特徴とする放
   射線治療装置の多分割絞り装置。
3. 【請求項３】請求項２記載の放射線治療装置の多分割絞
   り装置において、前記スラスト・ラジアル荷重支持手段
   が、前記絞りブロックの配列方向に架け渡された荷重支
   持軸と、該荷重支持軸に回転自在に支持され、各絞りブ
   ロック毎のスラスト荷重及びラジアル荷重の双方を同時
   に支持する各絞りブロック対応のローラーとを具備する
   ことを特徴とする放射線治療装置の多分割絞り装置。
4. 【請求項４】請求項１記載の放射線治療装置の多分割絞
   り装置において、前記絞りブロックの各々が放射線源を
   中心とする円筒状に配列されていることを特徴とする放
   射線治療装置の多分割絞り装置。
5. 【請求項５】請求項１記載の放射線治療装置の多分割絞
   り装置において、前記絞りブロックの各々の上下面のい
   ずれかを前記照射野軸に垂直な平面上にあるように配列
   したことを特徴とする放射線治療装置の多分割絞り装
   置。