JPH09129243A - 低温型燃料電池 - Google Patents
低温型燃料電池Info
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- JPH09129243A JPH09129243A JP7309832A JP30983295A JPH09129243A JP H09129243 A JPH09129243 A JP H09129243A JP 7309832 A JP7309832 A JP 7309832A JP 30983295 A JP30983295 A JP 30983295A JP H09129243 A JPH09129243 A JP H09129243A
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Abstract
パクト化及び低コスト化を図ることができる低温型燃料
電池を提供する。 【解決手段】 電解質膜5を挟むように配置した燃料極
1及び酸素極2と,燃料極1に対面して設けた燃料ガス
供給路31を有する負極集電体3と,酸素極2に対面し
て設けた酸素ガス供給路21を有する正極集電体4とを
有する。燃料極1は,電解質膜5に対面して設けた負極
触媒層12と,該負極触媒層12と燃料ガス供給路31
との間に設けた燃料ガス拡散層11とを有する。燃料ガ
ス拡散層には,COを選択的に酸化するCO選択酸化触
媒が担持されている。
Description
得た水素ガスと空気等酸素を含有するガスとを供給する
ことにより電気を発生させる,低温型燃料電池に関す
る。
を利用して電気を発生させる燃料電池が提案されてい
る。この中で,常温に近い温度で作動可能な低温型燃料
電池は,車載動力源として注目されつつある。低温型燃
料電池に供給される水素ガスは,図6に示すごとく,メ
タノールと水とを,改質器90に導いて,ここで水素を
発生させることにより得られる。この改質器90は,改
質部91と,シフト反応部92と,CO酸化部93とよ
りなる(特開平3−203165号公報)。
−Zn系触媒の存在下で,図7(a)に示すごとく,メ
タノールと水とを反応させて,電池燃料としての水素を
得る。この反応は平衡反応である。また,このとき副生
成物として,発電作用の障害となるCOが生成する。
tを被毒して,不活性化させる。また,CO濃度が10
ppm程度の場合には,発電電圧は通常の使用電流範囲
で数%低下する。そして,CO濃度が更に高い100p
pmの場合には,発電電圧は通常の使用電流範囲で半分
以下にまで低下してしまう。従って,上記のごとき電池
作用障害を低減するためには,可能な限りCO濃度の低
い水素ガスを,燃料極に供給する必要がある。
に,以下のシフト反応及びCO酸化反応を行う。即ち,
シフト反応部92において,150〜200℃,Cu−
Zn系触媒の存在下で,図7(b)に示すごとく,改質
部91で未反応の水蒸気又は更に付加した水蒸気を利用
して,上記のCOを,平衡反応により水素とCO2 とに
変換する。これにより,CO濃度を0.1〜0.3%ま
で低減させることができる。
93において,Pt系又はAu系の触媒の存在下で少量
の空気の導入により,図7(c)に示すごとく,残存す
るCOをCO2 に酸化する。Pt系触媒を用いる場合に
は,120〜180℃において,PtにCOを選択的に
吸着させて,非平衡反応によりCO2 に変換する。Au
系触媒を用いる場合には,50〜100℃において,P
t系触媒と同様に非平衡反応によりCOをCO2 に変換
する。
量が極く少ない燃料ガスとして,図6,図8に示すごと
く,低温型燃料電池に供給される(特開平7−1350
15号公報)。上記低温型燃料電池7は,図6,図8に
示すごとく,固体高分子よりなる電解質膜5を挟んでそ
の両側に燃料極1と酸素極2とを有している。燃料極1
及び酸素極2の片面側には,負極集電体3および正極集
電体4が対面,配置されている。負極集電体3は,水素
ガスを燃料極1に供給する燃料ガス供給路31を有して
いる。また,正極集電体4は,酸素ガスを酸素極2に供
給する酸素ガス供給路41を有している。
された水素ガスを拡散させるための,通気性の燃料ガス
拡散層11と,水素ガスをプロトン及び電子に変換させ
る負極触媒層12とからなる。酸素極2は,酸素ガス供
給路41より導入された酸素ガスを拡散させるための,
通気性の酸素ガス拡散層21と,酸素ガス及びプロトン
から水を生成させる正極触媒層22とからなる。
解質膜5の両側に対面,配置されて,一組の電気セル7
0を構成している。そして,一方の電池セルの負極集電
体3と他方の電池セルの正極集電体4との間には,電気
絶縁性のセパレータ6を設けて,上記の各電池セル70
を電気的に区画している。
に示すごとく,水素ガスは,燃料極(負極)1で酸化さ
れ,プロトンと電子とを生成する。これらは,酸素極
(正極)2に供給されて酸素を還元して,水を生成す
る。このとき,プロトンは電解質膜5を,電子は外部回
路8を通って,酸素極2に移動する。このようにして,
電気エネルギーが外部に取り出される。尚,低温型燃料
電池で使用されなかった水素ガスは,戻しパイプ79に
より再度改質器90へ戻される。
温型燃料電池においては,上述のようにCO濃度を低減
させるために,改質部91,シフト反応部92及びCO
酸化部93からなる各種の触媒反応部を設けている。そ
のため,改質器9が大型となる。また,図7に示すごと
く,各種の反応を連携して行っているため,各々の反応
の制御が複雑となり,燃料電池のコスト高をもたらす。
t)12は,酸素を作用させると活性が戻る。そこで,
CO濃度100ppm(乾きガス基準)の場合には水素
ガスの中に約2%のクリーニング用空気を導入すること
が考えられる。また,クリーニング用の純水素を通じる
ことによっても,負極触媒層を活性化させることができ
る。しかし,この場合には,負極触媒層12に対して,
上記クリーニング用空気を導入するため,クリーニング
制御系が必要となる。
酸化と同時に一部の水素も酸化されてしまい,燃料電池
での水素利用率が低下する。また,この酸化反応の際に
生ずる発熱によって,CO酸化部93の温度が高くなる
と,水素の消費量も高くなる。そのため,COを酸化す
るための空気を大量に導入する必要を生じてしまう。
ppm以上(乾きガス基準;水蒸気/メタノール(モル
比)=1.1〜3)である。そのため,CO酸化部93
を冷却して,CO酸化反応の平衡をCO2 生成側に移動
させる必要がある。従って,空気量制御システム及び温
度制御システム(空冷,水冷又は油冷等)が必要とな
る。更に,均一に反応させるため,少量の空気を均一に
分散させなければならない。
を用いる場合には,酸化反応が不均一となり,一部に水
が発生する。そのため,水漏れが発生するおそれがあ
る。水がAu系触媒を覆うと,反応すべきガスがAu系
触媒に到達しないか,または,非常に到達しにくくな
る。また,Au系触媒の一部に水漏れが生ずると,その
周囲の水蒸気圧が高くなりやすく,また,毛細管現象の
ごとく除々に水漏れ領域が拡大することが多い。このた
め,Au系触媒の活性領域の減少又は消滅をもたらす。
さらには,空間速度が小さくなり,多量のAuを使用す
る必要があり,コスト高となる。
ガス中のCO濃度を極少とし,かつコンパクト化及び低
コスト化を図ることができる低温型燃料電池を提供しよ
うとするものである。
子よりなる電解質膜と,該電解質膜を挟むように配置し
た燃料極及び酸素極と,上記燃料極に対面して設けた燃
料ガス供給路を有する負極集電体と,上記酸素極に対面
して設けた酸素ガス供給路を有する正極集電体とを有す
る低温型燃料電池において,上記燃料極は,上記電解質
膜に対面して設けた負極触媒層と,該負極触媒層と上記
燃料ガス供給路との間に設けた燃料ガス拡散層とを有
し,かつ該燃料ガス拡散層には,COを選択的に酸化す
るCO選択酸化触媒が含有されていることを特徴とする
低温型燃料電池である。
極触媒層と上記燃料ガス供給路との間に,CO選択酸化
触媒を含有した燃料ガス拡散層を設けたことである。
る。本発明において,上記燃料ガス拡散層に設けたCO
選択酸化触媒は,改質器で副生成物として生成したCO
をCO2 に変換することによって,水素ガス中のCO濃
度を,乾きガス中で10ppm以下まで低減させること
ができる。そのため,従来の改質器に装備していたシフ
ト反応及びCO酸化部が不要となり,改質器のコンパク
ト化を図ることができる(図2と図6とを比較)。
化用空気を,また負極触媒層にはクリーニング用空気を
それぞれ別個に導入していたが,本発明においては,ク
リーニング用空気が不要となり,燃料ガス拡散層に対し
てCO選択酸化用空気を導入するだけでよい。従って,
空気導入システムを簡素化して低温型燃料電池のコスト
の低減化を図ることができる。
め,水冷または空冷の温度制御が行われている。そのた
め,CO選択酸化触媒も冷却されて,COの酸化反応に
より発生する熱も効率的に除去され,COの酸化が一層
促進される。そのため,負極触媒層へ導入する水素ガス
中のCO濃度を極少化することができる。また,CO選
択酸化触媒の冷却のためだけの特別な温度制御が不要と
なり,燃料電池のコンパクト化を図ることができる。
ある水素ガスを負極触媒層に均一に拡散させる性質を有
する。そのため,均一に発電反応が起こり,一定の電圧
を安定して供給することができる。また,改質部におい
て改質ガスの流量変化又は温度変化が生じてCO濃度が
変化しても,CO酸化のために導入する空気量は改質ガ
ス量の約5〜20%の定率で良い。また,CO及び水素
の酸化に伴う発熱量の変化も燃料電池の温度制御システ
ムで吸収できる。そのため,発電システムの負荷追従性
を向上させることができる。
温〜90℃と比較的低温で作動する。また,スタートア
ップの際に,改質ガスを本発明のガス拡散層に導入する
と,主にCOの酸化反応熱で,燃料電池本体の最適温度
までの昇温を早めることができる。そのため,スタート
アップ時の燃料ガス拡散層の余熱が不要である。
ば,請求項2に記載のように,触媒成分と,該触媒成分
を担持する担体とよりなる。上記触媒成分としては,例
えば,請求項3に記載のように,金超微粒子,金とVIII
属貴金属との合金,金とVIII属貴金属との混合物,金と
銀との合金,金と銀との混合物,金と卑金属との合金,
又は金と卑金属との混合物の少なくともいずれかを用い
ることが好ましい。これらは,金(Au)を含有してい
るため,優れたCO選択酸化性能を発揮することができ
る。上記VIII属貴金属としては,例えば,Pt,Pd,
Ru,Rh,Irを用いることができる。上記卑金属と
しては,Fe,Mn,CO,Ni,Ti,Zr等のCO
選択酸化能を有する金属を用いることができる。
記載のように,AuとFe2 O3 との混合物を用いるこ
とができる。更に,上記触媒成分としては,請求項5に
記載のように,Pt,Pd,Ru,Rh等のVIII属貴金
属と,Fe,Mn,Co等の遷移金属酸化物とからなる
合金又は混合物を用いることもできる。また,担体とし
ては,例えば,請求項6に記載のように,Fe2 O3 ,
CoO,NiO,Al2 O3 ,TiO2 ,ZrO2 及び
SiO2 のグループから選ばれる1種又は2種以上を用
いる。
選択酸化触媒において,触媒成分としてはAuを,担体
としてはFe2 O3 を用いることが好ましい。これによ
り,CO選択酸化触媒の上記CO選択酸化性能を最大限
に発揮させることができる。
酸化触媒が金を含有しており,かつ,CO選択酸化触媒
中における金の含有率は0.1〜50重量%であること
が好ましい。0.1重量%未満の場合には,CO選択酸
化作用が低下するおそれがある。一方,50重量%を越
える場合には,触媒の分散性が悪化し,活性低下のおそ
れがあるとともに,全体として,非常に高価になるおそ
れがある。
率は,1〜10重量%であることがより一層好ましい。
1重量%未満の場合には,燃料ガス拡散層の出口ガスに
おけるCO濃度が10ppmを越えるおそれがある。一
方,10重量%を越える場合には,触媒の高分散性が損
なわれ,十分な触媒活性が得られないおそれがある。ま
た,水素の酸化が進行しやすくなるおそれがある。
ガス拡散層は,例えば,上記CO選択酸化触媒に加え
て,更に導電物質と撥水性物質とを混合してなる成形体
であることが好ましい。これにより,燃料極における水
濡れを防止することができ,常に高い発電活性を維持す
ることができる。
ブラック,黒鉛粉,カーボンペーパー,カーボンクロ
ス,カーボンフェルト等の炭素系物質,及び導電性を有
する金属粉末のグループから選ばれる1種又は2種以上
のを用いることができる。上記撥水性物質としては,例
えば,PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフ
ッ化炭素系ポリマー,フッ素系界面活性剤,ポリエチレ
ン及びポリプロピレンのグループから選ばれる1種又は
2種以上のを用いることができる。
えば,以下の配合比により混合されている。「CO選択
酸化触媒」と「導電物質及び撥水性物質の混合物」との
配合割合は,重量比で,10:1〜1:10の範囲にあ
ることが好ましい。CO選択酸化触媒の重量比が上記の
下限よりも少ない場合には,燃料ガス拡散層のCO選択
酸化性能が低下するおそれがある。一方,CO選択酸化
触媒の重量比が上記の上限よりも多くなる場合には,ガ
スの拡散を損なうとともに電気抵抗増大による発熱,撥
水性低下による水漏れが発生するおそれがある。
配合割合は重量比で,1:3〜5:1であることがより
一層好ましい。CO選択酸化触媒の重量比が上記の下限
よりも少ない場合には,燃料ガス拡散層の出口ガスにお
けるCO濃度が10ppmを越えるおそれがある。一
方,CO選択酸化触媒の重量比が上記の上限よりも多く
なる場合には,電気抵抗増大による発熱,撥水性低下に
よる水漏れが発生するおそれがある。また,ガスの拡散
がやや損なわれ均一な発電反応が妨げられる。
は重量比で20:1〜1:4であることが好ましい。導
電物質が上記の下限よりも少ない場合には,燃料電池の
内部抵抗が増大して,電池電圧が低下するおそれがあ
る。一方,導電物質が上記の上限よりも多い場合には,
撥水性物質の量が少なくなり,反応ガスの通路が水によ
り塞がるおそれがある。塞がった場合には,COの酸化
反応のみならず,水素のイオン化反応も停止し,電池電
圧が急激に低下してしまう。更に,導電物質と撥水性物
質との配合割合は重量比で10:1〜1:1であること
が好ましい。これにより,電池電圧が高く,反応ガス通
過のための十分な通路空間を確保することができる。
料ガス拡散層の厚みは,0.1〜1mmであることが好
ましい。0.1mm未満の場合には,燃料ガスである水
素ガスが電極表面全体に拡散しにくく,COの吹き抜け
により,電池電圧が低下してしまうおそれがある。一
方,1mmを越える場合には,燃料電池全体が大きくな
る場合があり,燃料電池の内部抵抗も増加するおそれが
ある。
2〜0.6mmであることがより一層好ましい。これに
より,水素ガスが電極表面全体に均一に拡散し,また,
COの殆どが酸化されて高い電池電圧が得られる。ま
た,燃料電池のコンパクト化,内部抵抗の抑制を図るこ
とができる。
料ガス拡散層と負極触媒層との間には,燃料ガスを負極
触媒層の表面全体に拡散させるための第2拡散層を設け
ることが好ましい。第2拡散層は,水素ガスを負極触媒
層表面に均一に拡散させることができるものであり,例
えば,上記燃料ガス拡散層の構成要素である導電物質又
は撥水性物質の少なくともいずれかにより形成される。
上記第2拡散層を設けることにより,水素ガスの拡散性
を更に向上させることができる。
図1〜図3を用いて説明する。本例の低温型燃料電池7
の基本構成は,従来例と同様である(図8参照)。
触媒層12と燃料ガス供給路31との間に設けた燃料ガ
ス拡散層11に,COを選択的に酸化するCO選択酸化
触媒を含有させた点で,従来例と異なる。CO選択酸化
触媒は,触媒成分であるAuを,Fe2 O3 からなる担
体に担持したAu/Fe2 O3 触媒である。CO選択酸
化触媒におけるAuの含有率は,0.1〜50重量%で
ある。
触媒に加えて,導電物質と撥水性物質とを混合してなる
成形体である。導電物質としてはカーボンブラックを,
撥水性物質としてはPTFEを用いる。「CO選択酸化
触媒」と「導電物質及び撥水性物質の混合物」との配合
割合は,重量比で,10:1〜1:10である。導電物
質と撥水性物質との配合割合は重量比で20:1〜1:
4である。燃料ガス拡散層の厚みは,0.1〜1mmで
ある。負極集電体3としては,カーボンブラックを用い
る。負極触媒層12としては,Ptを多孔質体に担持し
成形したものを用いる。
正極集電体4として,カーボンブラックを用いる(図8
参照)。酸素ガス拡散層21の厚みは,0.2〜0.5
mmである。正極触媒層22としては,Ptを多孔質体
に担持し成形したものを用いる。電解質膜5としては,
固体高分子であるパーフルオロスルフォン酸ポリマーを
用いる。
制御が行われている。水冷温度制御の具体的構成は,循
環水ポンプ,ラジエーター,燃料電池入口出口における
温度検出器,コントローラから成る。入口出口の水温デ
ータに基づいて循環水流量を制御し,ラジエーターでの
放熱量を最適に保つことにより,燃料電池の温度制御を
行う。通常は,60〜80℃に制御する。
に,水素ガスを含む改質ガスを供給した。改質ガスは,
図2に示すごとく,メタノールと水蒸気とからなる原料
ガス(水蒸気/メタノール(モル比)=1.5)を改質
器9に導入して,改質温度300℃の改質反応(図7
(a)参照)により生成したガスである。
る。以下,同様。)が改質された。この改質ガスの組成
は,H2 :66%,CO2 :22%,H2 O:10%,
CO:1.5%,CH3 OH:1%である。
するための熱交換器を経て,60℃まで冷却する。冷却
した改質ガスには,図2に示すように,CO選択酸化用
空気導入する。CO選択酸化用空気の導入量は,乾き状
態の上記改質ガス(H2 Oを除く。)に対して,5〜2
0%とする。そして,このCO選択酸化用空気を混入し
た燃料ガスを,低温型燃料電池の燃料極1の燃料ガス供
給路31に供給する(図2)。
く,燃料極1における燃料ガス拡散層11に到達し,こ
こで,CO選択酸化触媒によって上記の混入した空気と
COとが反応する。これにより,COは酸化されてCO
2 となる。燃料ガス拡散層11を通過した出口ガスの組
成は,CO選択酸化空気が乾き状態の改質ガスに対して
10%であるとき,おおよそH2 :60%,CO2 :2
0%,H2 O:11%,CO:<10ppm,CH3 O
H<0.1%,O2 <0.2%,N2 :8%である。
濃度もH2 のイオン化を阻害するほど大きくはない。ま
た,微量のO2 は負極触媒層12のクリーニング作用に
有効である。このように,上記CO選択酸化触媒を有す
る燃料ガス拡散層11を設けることにより,CO濃度を
10ppm以下にすることができ,良好な発電反応を継
続して行うことができる。
O選択酸化触媒(Au/Fe2 O3触媒)の触媒活性を
測定した。燃料極に供給する燃料ガスは,改質ガスに空
気を10%混入し,負極触媒層の温度よりも10℃低い
バブリング層,つまり加湿器に通すことにより,加湿し
て得た。
成がH2 :75%,CO2 :24.9%,CO:0.1
%のガスと,組成がH2 :75%,CO2 :24%,C
O:1%のガスとの2種類を用いる。加湿した上記燃料
ガスは,空気を混入したメタノール水蒸気改質ガスを模
したものである。
ペレット触媒(東洋CCI社製の商品名AUS,直径約
3mm)を,直径10mmのステンレス管に充填し,大
気圧下で測定した。ペレット触媒のAuとFeとの原子
比は,5:95である。その結果を図3に示した。
の温度を示し,図中の右下がり斜線領域は,CO濃度が
1.0%の燃料ガスを供給した場合に,CO濃度を10
ppm以下にすることができる範囲である。一方,左下
がり斜線領域は,CO濃度が0.1%の燃料ガスを供給
した場合に,CO濃度を10ppm以下にすることがで
きる範囲である。
濃度が1.0%,0.1%のいずれの場合にも,負極触
媒層の温度が35〜85℃と低温で,素早くCOを酸化
した。CO濃度が0.1%と薄い場合には,CO濃度が
1.0%の場合に比べて,更に素早くCOを酸化した。
この2〜3×103 h-1という空間速度(乾きガス基
準)は,低温型燃料電池の通常の使用状態での燃料ガス
拡散層を通過する燃料ガスの通過速度と同程度,また
は,やや遅い。
質ガス全体の水素利用率分,すなわち,通常の燃料電池
で80%以下でよい。また,CO2 は発電反応にもCO
選択酸化にも寄与しない。そのため,CO2 のように分
子量の大きなガス成分はガス通過路を流れればよく,ガ
ス拡散層を通過させる必要はない。このため,CO2ガ
ス組成分にあたる全改質ガスの約25%,空間速度算出
時には除いてもよいと考える。すると,空間速度は全改
質ガスを処理する場合に比べて,(1/0.8)×(1
/0.75)=1.67倍と考えてよいことになる。た
だし,CO2 ガス組成分すべてがガス通過路のみを流れ
ることはありえないので,この1.67倍という値は,
理想的な最大値である。よって,実際には,(1/0.
8)=1.25倍から1.67倍の間の値となるものと
推察される。
ち,みかけ上,多孔質の膜の形態で,CO選択酸化触媒
を用いていることになる。このため,この膜を通過した
ガスのみが発電反応にかかわる。この直径3mmのペレ
ット形状では触媒はペレットの比較的表層近傍部分でし
か反応に寄与しないのに比べて,膜を通過させる形態で
は,実質的に反応にかかわる比表面積は大きくなる。こ
のため,反応ガスが未反応のままで通過してしまう吹き
抜け現象は非常に起こりにくい。
ガスに含まれるCOを実使用状態で10ppm以下に低
減させることができるものである。そのため,高い発電
効率を長期間維持することができる。
化触媒は,燃料ガス中のCO濃度を10ppm以下まで
低減させることができる。そのため,本発明を示す図2
と従来例を示す図6との比較より知られるように,本発
明の低温型燃料電池においては,従来改質器に装備して
いたシフト反応及びCO酸化部が不要となり,装置のコ
ンパクト化を図ることができる。
部とクリーニング用空気導入部とを別個に設けていた
が,本発明によれば燃料ガス拡散層に対してCO選択酸
化用空気を一ヶ所の導入部より導入すればよい。そのた
め,空気導入システムの簡素化,更には低温型燃料電池
の低コスト化を図ることができる。
水冷又は空冷の温度制御が行われているため,CO選択
酸化触媒も冷却される。そのため,COの酸化が一層促
進される。従って,CO選択酸化触媒の冷却のためだけ
の特別な温度制御が不要となり,燃料電池のコンパクト
化を図ることができる。また,上記燃料ガス拡散層は,
燃料ガスである水素ガスを負極触媒層に均一に拡散させ
る性質を有する。そのため,均一に発電反応が起こり,
一定の電圧を得ることができる。
燃料ガス拡散層11の一部を,燃料ガス供給路31の中
に0.05〜0.6mm突出させている。負極集電体3
と負極触媒層12との間における燃料ガス拡散層11の
厚みは,0.1〜0.6mmである。その他は,実施形
態例1と同様である。
部を燃料ガス供給路31内に突出させているため,反応
ガスのCO選択酸化層の通過時間が長くなり,電極触媒
部に到達するCO濃度を減少させ易い。また,反応に寄
与しないガスは速やかにガス供給路を通過し,拡散層表
面の余分な水分を早急に運び去るという効果を発揮する
ことができる。その他は,本例においても実施形態例1
と同様の効果を得ることができる。
燃料ガス拡散層11と負極触媒層12との間に,第2拡
散層13を設けている。第2拡散層13は,水素ガスを
負極触媒層表面に均一に拡散させるためのものである。
第2拡散層13は,導電物質及び撥水性物質からなる成
形体であり,これらは実施形態例1において燃料ガス拡
散層に用いたものと同様である。但し,CO選択酸化触
媒は含有していない。第2拡散層13の厚みは,0.1
〜0.6mmである。その他は,実施形態例2と同様で
ある。
極触媒層12との間に,ガス拡散用の第2拡散層13を
設けているため,水素ガスの拡散性を更に向上させるこ
とができる。その他は,本例においても実施形態例2と
同様の効果を得ることができる。
を極少とし,かつコンパクト化及び低コスト化を図るこ
とができる低温型燃料電池を提供することができる。
図。
電池の関連説明図。
よってCO濃度10ppm以下まで低減することができ
る空間速度を示す特性図。
図。
図。
関連説明図。
おいて行なわれる反応を示す説明図。
Claims (11)
- 【請求項1】 固体高分子よりなる電解質膜と,該電解
質膜を挟むように配置した燃料極及び酸素極と,上記燃
料極に対面して設けた燃料ガス供給路を有する負極集電
体と,上記酸素極に対面して設けた酸素ガス供給路を有
する正極集電体とを有する低温型燃料電池において,上
記燃料極は,上記電解質膜に対面して設けた負極触媒層
と,該負極触媒層と上記燃料ガス供給路との間に設けた
燃料ガス拡散層とを有し,かつ該燃料ガス拡散層には,
COを選択的に酸化するCO選択酸化触媒が含有されて
いることを特徴とする低温型燃料電池。 - 【請求項2】 請求項1において,上記CO選択酸化触
媒は,触媒成分と,該触媒成分を担持する担体とよりな
ることを特徴とする低温型燃料電池。 - 【請求項3】 請求項1又は2において,上記触媒成分
としては,金超微粒子,金とVIII属貴金属との合金,金
とVIII属貴金属との混合物,金と銀との合金,金と銀と
の混合物,金と卑金属との合金,又は金と卑金属との混
合物の少なくともいずれかを用いることを特徴とする低
温型燃料電池。 - 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか一項において,
上記触媒成分としては,AuとFe2 O3 との混合物を
用いることを特徴とする低温型燃料電池。 - 【請求項5】 請求項1〜3のいずれか一項において,
上記触媒成分としては,Pt,Pd,Ru,Rh等のVI
II属貴金属と,Fe,Mn,Co等の遷移金属酸化物と
からなる合金又は混合物を用いることを特徴とする低温
型燃料電池。 - 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか一項において,
上記担体としては,Fe2 O3 ,CoO,NiO,Al
2 O3 ,TiO2 ,ZrO2 及びSiO2 のグループか
ら選ばれる1種又は2種以上を用いることを特徴とする
低温型燃料電池。 - 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか一項において,
上記触媒成分としてはAuを,上記担体としてはFe2
O3 を用いることを特徴とする低温型燃料電池。 - 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか一項において,
上記CO選択酸化触媒は金を含有しており,かつ,CO
選択酸化触媒中における金の含有率は0.1〜50重量
%であることを特徴とする低温型燃料電池。 - 【請求項9】 請求項1〜8のいずれか一項において,
上記燃料ガス拡散層は,上記CO選択酸化触媒に加え
て,更に導電物質と撥水性物質とを混合してなる成形体
であることを特徴とする低温型燃料電池。 - 【請求項10】 請求項1〜9のいずれか一項におい
て,上記燃料ガス拡散層の厚みは,0.1〜1mmであ
ることを特徴とする低温型燃料電池。 - 【請求項11】 請求項1〜10のいずれか一項におい
て,上記燃料ガス拡散層と負極触媒層との間には,燃料
ガスを負極触媒層の表面全体に拡散させるための第2拡
散層を設けることを特徴とする低温型燃料電池。
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