JPH09127952A - 音響効果装置 - Google Patents

音響効果装置

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JPH09127952A
JPH09127952A JP30196695A JP30196695A JPH09127952A JP H09127952 A JPH09127952 A JP H09127952A JP 30196695 A JP30196695 A JP 30196695A JP 30196695 A JP30196695 A JP 30196695A JP H09127952 A JPH09127952 A JP H09127952A
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waveform
spring
vibration
weight
damping
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JP30196695A
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Hirotake Sato
博毅 佐藤
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Casio Computer Co Ltd
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Casio Computer Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来には無い新規な楽器形態を実現しながら
も、発音遅れが起こらず豊かな音楽表現力や演奏効果を
得ることができる音響効果装置を実現する。 【解決手段】 一端が固定されたスプリングSPと、こ
のスプリングSPの他端に装着される重りMと、その重
りMの振動を吸収するダンパDPとからなる減衰振動モ
デルを、入力波形に応じて励振させて減衰振動を生成
し、これを出力波形とする。これにより、原音にはない
周波数成分の出力波形を発音遅れなく、かつ、連続的に
発生でき、しかも入力波形の変化のニュアンスを出力波
形に付与し得るようになる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、電子楽器
の音源や、効果音を付与するエフェクタ等に用いて好適
な装置に関し、特に、減衰振動をシミュレートする力学
モデルに従って入力波形を楽音出力に変換する音響効果
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、外部から供給される入力信号に応
じて楽音パラメータを発生し、発生した楽音パラメータ
に基づき波形発生する外部制御方式の音響効果装置が案
出されている。この種の装置としては、例えば、「ギタ
ーシンセサイザ」と呼ばれるものが開発されており、こ
の装置では、通常の電気楽器と同様に、撥弦により生じ
る弦振動を、ピックアップコイル等でアナログ入力信号
に変換した後、このアナログ入力信号のピッチ(音高周
波数)および音量レベルを検出し、検出したピッチおよ
び音量に応じて所定の音色の楽音波形を発生するように
構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】さて、上述した外部制
御方式による音響効果装置では、演奏操作に従って発生
する入力波形に基づき楽音出力を生成するので、例え
ば、自然楽器であるギターにピックアップコイル等を設
けて、このコイル出力に基づき楽音波形を発生すれば、
ギター演奏しながらもギターとは異なる音色の楽音を生
成でき、従来には無い新規な楽器形態を実現することが
可能となっている。
【0004】しかしながら、こうした音響効果装置で
は、次のような問題が生じている。 (a)演奏操作に応じて発生する入力波形のピッチ(音高
周波数)を検出するには、その信号波形を複数周期にわ
たってサンプリングしなければならない。このため、演
奏操作を行ってから楽音が発生されるまで時間を要する
から、発音遅れが起きるという弊害がある。
【0005】(b)また、入力波形が急激に変化するよう
な演奏操作、例えば、ギターの場合にはチョーキングな
どの演奏操作が行われると、入力波形の正確なピッチを
検出することができず、演奏者が意図しない音高で発音
してしまう虞もある。このため、演奏操作に制約が生じ
てしまい、結果的に音楽表現力に欠けてしまうという問
題がある。
【0006】(c)入力波形から検出したピッチと音量と
に応じて楽音発生されるから、例えばギターの場合、ピ
ッキングの仕方(撥弦強さ、角度および位置)やピック
の材質などを変えて撥弦態様を変化させて入力波形のニ
ュアンスを変えても、音色変化を与えることができず、
これ故、発生する楽音が単調で演奏効果を付与できない
という問題もある。
【0007】結局、上述した外部制御方式による音響効
果装置では、従来には無い新規な楽器形態を実現するも
のの、その反面、発音遅れが生じたり、演奏操作に応じ
て音色を微妙に変化させる等の音楽表現力や演奏効果に
欠けるといった欠点を備えている。そこで、本発明は、
上述した事情に鑑みてなされたもので、従来には無い新
規な楽器形態を実現しながらも、発音遅れが起こらず豊
かな音楽表現力や演奏効果を得ることができる音響効果
装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明では、入力波形に応じて励振
される減衰振動モデルの挙動をシミュレートして減衰振
動を発生し、その振動波形を出力する波形発生手段と、
この波形発生手段が備える減衰振動モデルの挙動を決定
するパラメータを発生するパラメータ発生手段とを具備
することを特徴とする。
【0009】上記請求項1に従属する請求項2に記載の
発明によれば、前記減衰振動モデルは、一端が固定され
たスプリングSPと、このスプリングSPの他端に装着
される重りMと、その重りMの振動を吸収するダンパD
Pとからなることを特徴としている。また、請求項1に
従属する請求項3に記載の発明によれば、前記パラメー
タ発生手段は、減衰振動モデルを構成するスプリングS
Pのバネ定数、重りMの質量およびダンパDPの減衰率
を発生すると共に、重りMの速度に応じて非線形に変化
するダンパDPの減衰特性と重りMの振動変位に応じて
非線形に変化するスプリングSPの反発特性とを設定す
ることを特徴としている。
【0010】上記請求項2に従属する請求項4に記載の
発明によれば、前記減衰振動モデルは、入力波形を励振
力fiに変換する励振手段と、この励振手段が発生する
励振力fiと前記スプリングSPの反発力fdと前記ダ
ンパDPの減衰力frとを加算して重りMに加わる合成
力fを発生する加算手段と、前記合成力fに基づき重り
Mの速度Vを発生する速度発生手段と、この速度発生手
段が発生する重りMの速度Vに応じた前記ダンパDPの
減衰力frを発生して前記加算手段にフィードバック入
力する減衰力発生手段と、前記重りMの速度Vを積分し
て振動変位dを発生する振動変位発生手段と、この振動
変位dに応じた前記スプリングSPの反発力fdを発生
して前記加算手段にフィードバック入力する反発力発生
手段とを具備することを特徴とする。
【0011】上記請求項4に従属する請求項5に記載の
発明では、前記減衰力発生手段は、自己の入力信号を最
大nサンプル遅延して出力する遅延手段を備え、ダンパ
DPの固有振動をシミュレートすることを特徴とする。
請求項6に記載の発明では、前記反発力発生手段は、自
己の入力信号を最大nサンプル遅延して出力する遅延手
段を備え、スプリングSPの固有振動をシミュレートす
ることを特徴とする。
【0012】本発明では、パラメータ発生手段が減衰振
動モデルの挙動を決定するパラメータを発生すると、波
形発生手段はそのパラメータに基づき、入力波形に応じ
て励振される減衰振動モデルの挙動をシミュレートして
減衰振動を発生し、その振動波形を出力する。これによ
り、原音にはない周波数成分の出力波形を発音遅れな
く、かつ、連続的に発生し、しかも入力波形の変化のニ
ュアンスを出力波形に付与し得るようになるため、従来
には無い新規な楽器形態を実現しながらも、発音遅れが
起こらず豊かな音楽表現力や演奏効果を得ることが可能
になる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明による音響効果装置は、例
えば、楽音発生装置やエフェクタ等に適用され得る。以
下、図面を参照して本発明の実施の形態である楽音制御
装置を実施例として説明する。
【0014】A.実施例の構成 (1)全体構成 図1は、本発明による音響効果装置が適用された楽音発
生装置の全体構成を示すブロック図である。この図にお
いて、1は設定操作に応じた各種パラメータを発生して
音源部6(後述する)側に供給する制御部であり、構成
要素2〜5からなる。この制御部1において、2はCP
Uであり、制御部1の各部を制御する一方、後述するデ
ィジタル・シグナル・プロセッサ9(以下、DSPと記
す)に対して発生すべき楽音波形を指定するコントロー
ル情報を発生して送出する。3はCPU2のワークエリ
アとして使用されるRAMであり、各種レジスタ/フラ
グデータが一時記憶される。4はROMであり、CPU
2にロードされる制御プログラムや制御データ等が記憶
される。5はLCDパネルや各種操作スイッチなどから
構成される操作部であり、設定操作に応じた操作信号を
発生すると共に、これに応じてCPU2側から供給され
る表示制御信号に基づき設定状態をLCDパネルに表示
する。
【0015】音源部6は、構成要素7〜12から構成さ
れ、入力端T1に供給される入力信号を、上記制御部1
から送出されてくるコントロール情報に基づいて所定の
波形に変換した楽音波形を出力端T2から出力する。入
力端T1には、例えば、マイクロフォンなどで電気信号
に変換された入力波形が供給される。この音源部6にお
いて、7はバンドパスフィルタ(BPF)であり、入力
波形の所要周波数成分のみを抽出すべくバンドパスフィ
ルタリングを施してなる波形信号を出力する。8はBP
F7の出力をA/D変換して波形データを発生するA/
D変換器である。
【0016】DSP9は、CPU2から供給されるコン
トロール情報に従って自身に内蔵されるマイクロプログ
ラムを実行して、上記A/D変換器8から出力される波
形データに力学モデル・シミュレーションを施して楽音
波形(波形データ)を発生する。10はDSP9の演算
結果などが一時記憶されるワークRAM、11はDSP
9から出力される楽音波形(波形データ)をアナログ信
号に変換するD/A変換器である。12はこのアナログ
信号にノイズ除去等のフィルタリングを施した後、増幅
して出力端T2に供給する出力回路である。
【0017】上記構成によれば、操作部5においてなさ
れる設定操作に応じてCPU2が発生すべき楽音波形を
指定するコントロール情報を生成してDSP9に与え
る。そうすると、DSP9では、バンドパスフィルタリ
ングされた入力信号を、上記コントロール情報に従って
所定の減衰振動波形に変換すべく、力学モデル・シミュ
レーションを実行し、これにより得られた減衰振動波形
を楽音信号として出力する。
【0018】(2)DSP9の構成 次に、DSP9が形成する力学モデルの概念および構成
について順次説明する。 モデル概念 まず、DSP9が形成する力学モデルは、減衰振動系を
最も単純な形で表現したものであって、図2に図示する
通り、一端が固定されたバネSPの他端に重りMを装着
すると共に、その重りMに対して振動を吸収するダンパ
DPを設けたものである。こうした力学モデルに対して
入力波形を振動入力として与えた時、このモデルがシミ
ュレートする減衰振動を出力波形とするものである。
【0019】モデル構成 次に、力学モデル・シミュレーションによって、入力波
形を減衰振動波形に変換するユニット100と、このユ
ニット100に対してシミュレーションに必要な諸条
件、すなわち、上述したCPU2から供給されるコント
ロール情報に応じて重りMの質量や、振動変位に対応し
て非線形に変化するバネSPのバネ定数およびダンパD
Pのダンピング定数(減衰率)等の各種パラメータを発
生するモジュール200とからなる。
【0020】a.ユニット100の構成 まず、上述の力学モデルに基づき減衰振動をシミュレー
トするユニット100の構成について図3を参照して説
明する。この図において、20は乗算器であり、入力端
INから供給される入力波形に入力ゲインG1を乗算し
て励振力fiを発生する。21は加算器であり、前段か
ら供給される励振力fiと、ダンパ・フィードバックル
ープ(後述する)から供給されるダンパDPの減衰力−
frと、スプリング・フィードバックループ(後述す
る)から供給されるバネSPの反発力fdとを加算して
重りMに印加される合成力fを発生する。
【0021】22は乗算器であり、上記加算器21から
出力される合成力fに重りMの質量mの逆数を乗算して
加速度信号aを発生する。23は後述する遅延回路24
の出力と乗算器22が出力する加速度信号aとを加算し
て出力する加算器である。遅延回路24は、入力される
信号を1サンプル遅延して出力する。ここで、加算器2
3と遅延回路24とは第1の積分器を構成し、加速度信
号aを積分して重りMの速度に相当する速度信号Vを発
生する。
【0022】こうして生成された速度信号Vは、遅延回
路25およびダンパシミュレート部26から形成される
ダンパ・フィードバックループに注入され、ダンパDP
の減衰力−frに変換される。ここで、遅延回路25は
入力信号を最大nサンプル遅延して出力するものであ
り、ディレイフリーループの形成を防止すべく介装され
ているが、最大nサンプル遅延を生じさせることでダン
パDPの固有振動をシミュレートすることも可能として
いる。ダンパシミュレート部26は、構成要素26a〜
26cからなる。26aはnサンプル遅延された速度信
号Vに減衰率−dr2を乗算する乗算器である。26b
は、この乗算器26aの出力に応じたダンパ特性を付与
するダンパ特性テーブルである。
【0023】このテーブル26bは、例えば、複数の記
憶エリアを有するROM等で構成され、各記憶エリアに
それぞれ各種のダンパ特性が格納されており、これら各
種ダンパ特性のいずれかがCPU2から供給されるエリ
ア指定アドレスADDPによって指定される。各ダンパ特
性は、それぞれ速度Vに応じて非線形に変化する減衰力
値をデータテーブル化したものである。したがって、ダ
ンパ特性テーブル26bでは、CPU2から供給される
エリア指定アドレスADDPによって、まず所望のダンパ
特性が選択された後、この選択されたダンパ特性の内か
ら乗算器26aの出力を読み出しアドレスとして対応す
る減衰力値が読み出され、これが次段の乗算器26cに
入力される。乗算器26cでは、上記テーブル26bの
出力に減衰率−dr1を乗算してダンパDP(図2参
照)の減衰力−frを発生し、これを上述した加算器2
1にフィードバック入力する。
【0024】さて、速度信号Vは、上述したダンパ・フ
ィードバックループに注入される一方、加算器27およ
び遅延回路28からなる第2の積分器に入力されて変位
信号dに変換される。すなわち、この第2の積分器で
は、現在の速度信号Vと1サンプル前の速度信号Vとを
逐次累算して速度積分を施すことによって変位信号dを
発生する。生成された変位信号dは、出力波形として出
力端OUTに供給されると共に、構成要素29,30か
ら形成されるスプリング・フィードバックループへ入力
される。
【0025】29は変位信号dを最大mサンプル遅延し
て出力する遅延回路である。この遅延回路29は、ディ
レイフリーループの形成を防止すべく介装されている
が、最大mサンプル遅延を生じさせることでバネSPの
固有振動をシミュレートすることも可能としている。3
0はスプリグシミュレート部であり、構成要素30a〜
30cからなる。30aはnサンプル遅延された速度信
号Vにスプリングレートsr2を乗算する乗算器であ
る。30bは、この乗算器30aの出力に応じたスプリ
ング特性を発生するスプリング特性テーブルである。
【0026】このテーブル30bは、前述したダンパ特
性テーブル26bと同様、複数の記憶エリアを有するR
OM等で構成され、各記憶エリアにそれぞれ各種のスプ
リング特性が格納されており、これら各種スプリング特
性のいずれかがCPU2から供給されるエリア指定アド
レスADSPによって指定される。各スプリング特性は、
変位dに応じて非線形に変化する反発力値をデータテー
ブル化したものである。つまり、スプリング特性テーブ
ル30bでは、CPU2から供給されるエリア指定アド
レスADSPによって、まず所望のスプリング特性が選択
された後、この選択されたスプリング特性の内から乗算
器30aの出力を読み出しアドレスとして対応する反発
力値が読み出され、これが次段の乗算器30cに入力さ
れる。乗算器30cは、上記テーブル30bの出力にス
プリングレートsr1を乗算してスプリングSP(図2
参照)の反発力fdを発生し、上述した加算器21にフ
ィードバック入力する。
【0027】以上のように、ユニット100では、入力
波形に入力ゲインG1を乗算してなる励振力fiと、ダ
ンパDPの減衰力−frと、バネSPの反発力fdとを
加算して重りMに印加される合成力fを求め、これに重
りMの質量mの逆数を乗算してなる加速度信号aを積分
して速度信号Vを発生する。速度信号Vは上述のダンパ
・フィードバックループを経て減衰力−frに変換され
る一方、積分されて変位信号dに変換される。この変位
信号dは、出力波形として出力端OUTから出力される
一方、上述のスプリング・フィードバックループを経て
反発力fdに変換される。
【0028】b.モジュール200の構成 次に、上述したユニット100に対して各パラメータ
(重りMの質量m、スプリングレートsr1,sr2お
よび減衰率dr1,dr2等)を与えるモジュール20
0の構成について説明する。モジュール200は、1つ
のユニット100を内包し、当該ユニット100に対し
て付与する各パラメータの値を制御するモジュレータ群
から構成されており、その一例を図4に示す。
【0029】図4において、M1〜M8はモジュレータ
であり、CPU2から供給されるコントロール情報に応
じた各種のパラメータを発生する。すなわち、モジュレ
ータM1は入力ゲインG1を、モジュレータM2は重り
Mの質量mを、モジュレータM3は減衰率dr1を、モ
ジュレータM4は減衰率dr2をそれぞれ発生する。ま
た、モジュレータM5は遅延回路25の最大遅延サンプ
ル数nを、モジュレータM6はスプリングレート(バネ
定数)sr1を、モジュレータM7はスプリングレート
(バネ定数)sr2を、モジュレータM8は遅延回路2
9の最大遅延サンプル数mをそれぞれ発生する。
【0030】CNT1,CNT2はそれぞれオフセット
コントローラであり、コントローラCNT1の操作に応
じて所定のダンパ特性テーブルを選択指定するエリア指
定アドレスADDPが生成され、コントローラCNT2の
操作に応じて所定のスプリング特性テーブルを選択指定
するエリア指定アドレスADSPが生成される。モジュレ
ータM1〜M8により生成されるパラメータ、あるいは
オフセットコントローラCNT1,CNT2により選択
される特性テーブルは、上述したユニット100の対応
各部に供給される。
【0031】各パラメータを発生するモジュレータM1
〜M8は、図5に示すように、構成要素40〜44から
形成されている。この図において、40は操作量に応じ
て出力レベルをオフセットコントロールする操作子であ
る。41は低周波信号を発生するLFO(低周波発振
器)である。42は周知のADSR型で波形制御するエ
ンベロープジェネレータである。43は信号エンベロー
プレベルを検出して出力するエンベロープフォロワであ
る。44はこれら構成要素40〜43の出力を加算する
加算器である。
【0032】このような構成によるモジュレータM1〜
M8では、CPU2から供給されるコントロール情報に
応じて各構成要素40〜43を制御して経時変化するパ
ラメータを生成可能としている。例えば、ユニット10
0に入力波形が供給される当初には、操作子40で設定
される固定的なパラメータを発生し、以後、時間経過に
応じてパラメータ値をLFO41で周期的に変化させた
り、パラメータ値の変化レート/レベルを構成要素4
2,43の出力に応じて経時変化させたりすることが可
能になっている。この結果、ユニット100に対して複
雑に変化する各様なパラメータを与えることが可能にな
る。
【0033】システム構成 次に、DSP9において構築される力学モデル・シミュ
レーション・システムの構成について説明する。前述し
たように、ユニット100とモジュール200とは一組
になって入力波形を所望の減衰振動波形に変換する力学
モデル・シミュレーションを行うが、DSP9ではこれ
を複数組設けてシミュレーション・システムを構築して
いる。本実施例の場合、図6に図示するように、ユニッ
ト100を内包するモジュール200を2段縦続した系
統を並列2系統備える。
【0034】以下、図6を参照してシステム構成につい
て説明する。2段縦続した並列2系統のモジュール20
0−1〜200−4は、加算器101〜105および乗
算器106〜111が介装される信号伝搬路にて接続さ
れ、モジュール相互間で信号循環するようになってい
る。すなわち、加算器101は、入力波形に乗算器11
1の出力を加算してモジュール200−1に供給する。
加算器102は、モジュール200−1の出力と、乗算
器109の出力と、乗算器110の出力とを加算してモ
ジュール200−2に供給する。加算器103は、入力
波形に乗算器108の出力を加算してモジュール200
−3に供給する。加算器104は、モジュール200−
3の出力と、乗算器106の出力と、乗算器107の出
力とを加算してモジュール200−4に供給する。加算
器105は、モジュール200−2およびモジュール2
00−4の各出力を加算して最終的に得られる出力波形
を発生する。
【0035】各乗算器106〜111は、図中の要部拡
大図として示すように、入力信号を少なくとも1サンプ
ル遅延して出力する遅延回路DELAYと、この回路D
ELAYの出力に係数乗算する乗算回路MULTと、こ
れら回路DELAY,MULTに遅延時間、乗算係数を
与えるモジュレータMとを有している。つまり、モジュ
ール200−1〜200−4内のモジュレータM1〜M
8と同様に乗算係数を経時変化させる一方、ディレイフ
リーループを防止すべく遅延回路DELAYを設けてい
る。
【0036】112はエンベロープ検出部であり、入力
波形のエンベロープレベルを検出し、検出したエンベロ
ープレベルの変化態様から、例えばギター演奏時におけ
るピッキング等の演奏開始タイミングを発生する。この
エンベロープ検出部112が出力する演奏開始タイミン
グは、各モジュール200−1〜200−4に供給さ
れ、内部モジュレータに各パラメータ発生を指示するト
リガ信号として扱われる。113はシリアルインタフェ
ース回路であり、CPU2から供給されるコントロール
情報を各モジュール200−1〜200−4の内部モジ
ュレータに供給する。
【0037】上記システムによれば、シリアルインタフ
ェース回路113を介してCPU2からのコントロール
情報が各モジュール200−1〜200−4の内部モジ
ュレータに供給され、かつ、エンベロープ検出部112
が演奏開始タイミングを発生すると、各モジュール20
0−1〜200−4では与えられたパラメータに基づき
個々独立して前述した力学モデル・シミュレーションを
実行し、入力波形を所定の減衰振動に変換してなる出力
波形を発生する。そして、この出力波形が上述した加算
器101〜105および乗算器106〜111が介装さ
れる信号伝搬路を経て各モジュール200−1〜200
−4相互間を循環しながら入力波形に重畳され、最終的
に入力波形には存在しない周波数成分を持つ減衰振動波
形が形成されて出力される。
【0038】こうした動作の一例を図7および図8を参
照して説明する。なお、この動作例では、ユニット10
0を内包するモジュール200を単体で動作させた一例
を挙げている。図7は入力波形の一例であり、これをユ
ニット100を内包するモジュール200に入力する
と、モジュール200は図8に図示する出力波形を発生
する。これら入力波形と出力波形との対比から明らかな
ように、力学モデル・シミュレーションによる波形形成
は、入力振動に対応した減衰振動を励起させる訳だか
ら、入力波形に対する出力波形の遅延がなく、これ故、
発音遅れを起こすことが無い。また、出力波形は入力波
形が不連続となった時でも、不連続にならず、これによ
り、例えば、出力波形にフィルタリングを施す際の波形
連続に起因するノイズ発生を防止し得るという2次的な
効果もある。
【0039】また、力学モデル・シミュレーションによ
る波形形成では、入力波形には存在しない周波数成分が
出力波形に現われる。つまり、重りMの減衰振動に共振
する周波数や、バネSPやダンパDPの固有振動に共振
する周波数の他、図6に図示したシステム構成では、モ
ジュール間同士の干渉による共振なども考えられる。し
たがって、楽音として倍音成分が入力波形とは全く異な
る複雑な出力波形となることが予想され、しかも入力波
形を演奏操作に応じて微妙に変化させたりすると、その
変化が倍音成分に影響を与えるから、従来には無い新規
な音楽表現力や演奏効果を達成することができる。
【0040】結局、本実施例によれば、入力波形に応じ
て減衰振動する力学モデル・シミュレーションを行うた
め、原音にはない周波数成分の出力波形を発音遅れな
く、かつ、連続的に発生し、しかも入力波形の変化のニ
ュアンスを出力波形に付与し得る。これにより、従来に
は無い新規な楽器形態を実現しながらも、発音遅れが起
こらず豊かな音楽表現力や演奏効果を得ることができる
訳である。
【0041】なお、上述した実施例では、2段縦続した
並列2系統のモジュール200−1〜200−4を、加
算器101〜105および乗算器106〜111が介装
される信号伝搬路にて接続する態様を示したが、モジュ
ール段数や接続経路はこれに限定されず、様々なバリエ
ーションを取り得る。つまり、上述の実施例において
は、DSP9が具現する力学モデル・シミュレーション
・システムをハードウェアイメージとして説明したが、
実際にはマイクロプログラムによって各モジュールや信
号伝搬路の機能が定義されているので、シミュレーショ
ン・アルゴリズムを替えるだけで、容易に機能構成を変
化させ得るようになっている。
【0042】また、本実施例による力学モデル・シミュ
レーションは、入力波形以外の外力が作用しない系を想
定しているが、これに替えて、一方向に重力が加わる系
をモデリングして波形形成するようにしても良い。さら
に、本実施例では、入力波形が重りMに作用する外力と
しているが、これに限定されず、重りMに作用するファ
クターを入力波形の速度などに置き換えても良い。上述
した実施例では、重りMの速度に応じてダンパDPの減
衰力を発生しているが、これに加えて重りMの変位に応
じて減衰力を発生するように静止摩擦や動摩擦による影
響をシミュレートすることも可能である。また、予めバ
ネSPに一定変位を与えておき、入力波形が印加された
時点でそのバネSPを解放し、波形入力当初の振動レベ
ルを所定値以上にして特殊な効果を付与するなどのエフ
ェクタとして使用することも可能である。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、パラメータ発生手段が
減衰振動モデルの挙動を決定するパラメータを発生する
と、波形発生手段はそのパラメータに基づき、入力波形
に応じて励振される減衰振動モデルの挙動をシミュレー
トして減衰振動を発生し、その振動波形を出力するの
で、原音にはない周波数成分の出力波形を発音遅れな
く、かつ、連続的に発生し、しかも入力波形の変化のニ
ュアンスを出力波形に付与し得るようになり、従来には
無い新規な楽器形態を実現しながらも、発音遅れが起こ
らず豊かな音楽表現力や演奏効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による音響効果装置が適用された一実施
例の全体構成を示すブロック図である。
【図2】同実施例における力学モデルの概念を説明する
ための図である。
【図3】同実施例におけるユニット100の構成を示す
ブロック図である。
【図4】同実施例におけるモジュール200の構成を示
すブロック図である。
【図5】同実施例におけるモジュレータの一構成例を示
すブロック図である。
【図6】同実施例における力学モデル・シミュレーショ
ン・システムの構成を示すブロック図である。
【図7】入力波形の一例を示す波形図である。
【図8】図7に図示した入力波形に力学モデル・シミュ
レーションを施して得られた出力波形の一例を示す波形
図である。
【符号の説明】
2 CPU(パラメータ発生手段) 3 RAM 4 ROM 5 操作部(パラメータ発生手段) 7 BPF 8 A/D変換器 9 DSP(波形発生手段) 10 ワークRAM 11 D/A変換器 12 出力回路

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力波形に応じて励振される減衰振動モ
    デルの挙動をシミュレートして減衰振動を発生し、その
    振動波形を出力する波形発生手段と、 この波形発生手段が備える減衰振動モデルの挙動を決定
    するパラメータを発生するパラメータ発生手段とを具備
    することを特徴とする音響効果装置。
  2. 【請求項2】 前記減衰振動モデルは、一端が固定され
    たスプリングSPと、このスプリングSPの他端に装着
    される重りMと、その重りMの振動を吸収するダンパD
    Pとからなることを特徴とする請求項1記載の音響効果
    装置。
  3. 【請求項3】 前記パラメータ発生手段は、減衰振動モ
    デルを構成するスプリングSPのバネ定数、重りMの質
    量およびダンパDPの減衰率を発生すると共に、重りM
    の速度に応じて非線形に変化するダンパDPの減衰特性
    と重りMの振動変位に応じて非線形に変化するスプリン
    グSPの反発特性とを設定することを特徴とする請求項
    1記載の音響効果装置。
  4. 【請求項4】 前記減衰振動モデルは、 入力波形を励振力fiに変換する励振手段と、 この励振手段が発生する励振力fiと前記スプリングS
    Pの反発力fdと前記ダンパDPの減衰力frとを加算
    して重りMに加わる合成力fを発生する加算手段と、 前記合成力fに基づき重りMの速度Vを発生する速度発
    生手段と、 この速度発生手段が発生する重りMの速度Vに応じた前
    記ダンパDPの減衰力frを発生して前記加算手段にフ
    ィードバック入力する減衰力発生手段と、 前記重りMの速度Vを積分して振動変位dを発生する振
    動変位発生手段と、 この振動変位dに応じた前記スプリングSPの反発力f
    dを発生して前記加算手段にフィードバック入力する反
    発力発生手段とを具備することを特徴とする請求項2記
    載の音響効果装置。
  5. 【請求項5】 前記減衰力発生手段は、自己の入力信号
    を最大nサンプル遅延して出力する遅延手段を備え、ダ
    ンパDPの固有振動をシミュレートすることを特徴とす
    る請求項4記載の音響効果装置。
  6. 【請求項6】 前記反発力発生手段は、自己の入力信号
    を最大nサンプル遅延して出力する遅延手段を備え、ス
    プリングSPの固有振動をシミュレートすることを特徴
    とする請求項4記載の音響効果装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014137419A (ja) * 2013-01-15 2014-07-28 Yamaha Corp 電気弦楽器
JP2014137418A (ja) * 2013-01-15 2014-07-28 Yamaha Corp 電気弦楽器

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