JPH04301890A - 電子楽器 - Google Patents

電子楽器

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JPH04301890A
JPH04301890A JP3091565A JP9156591A JPH04301890A JP H04301890 A JPH04301890 A JP H04301890A JP 3091565 A JP3091565 A JP 3091565A JP 9156591 A JP9156591 A JP 9156591A JP H04301890 A JPH04301890 A JP H04301890A
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、電子楽器に係り、特
に鍵盤電子楽器に関する。
【0002】
【従来の技術】鍵盤は、電子楽器の操作手段としては最
も一般的であり、演奏者にとって取り扱い易いものであ
ると同時に感情表現のし易い優れた操作手段である。従
来より、鍵盤の鍵が押下される時のタッチに応じた検出
信号を発生し、この検出信号によって楽音の強さを制御
するようにした鍵盤電子楽器が知られている。
【0003】また、自然楽器の発音メカニズムをシミュ
レートした電気的モデルあるいはソフトゥェアモデルを
有し、これらのモデルを動作させるようにした楽音合成
装置が各種提案されている。この種の楽音合成装置に対
して鍵盤の押下によって発生する検出信号を入力するよ
うにすれば、さらにリアリティに富んだ演奏を行うこと
が可能な鍵盤電子楽器が実現され得る。
【0004】さて、楽器としての表現力を高めるために
は、演奏者が鍵を押下する時のタッチが忠実に楽音に反
映されるようにする必要がある。図41は、従来の鍵盤
電子楽器における押鍵検出に係る概略構成を鍵1個分に
ついて示したものである。この図に示すように、鍵盤に
は各鍵KEYに対し、押鍵されたことを検出するための
2個のスイッチSW1およびSW2が取り付けられてい
る。ここで、スイッチSW1は鍵KEYが第1の深さま
で押下されるとオン状態になり、スイッチSW2は第1
の深さよりもさらに深い第2の深さまで鍵KEYが押下
されるとオン状態になる。鍵KEYが押下されることに
より、スイッチSW1、SW2が時間的に前後して順次
オン状態に切り換わると、各スイッチのオン状態への切
り換わりタイミングの時間差が時間差検出回路DETに
よってカウントされ、該カウント結果に基づいて鍵KE
Yの押鍵速度に対応した鍵速度信号が発生される。そし
て、CPU(中央処理ユニット)1により、鍵速度信号
に基づいて、音源TGにおける発音の強さの制御が行わ
れる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、実際のピア
ノのアクションは、演奏者によって鍵に与えられる力積
をハンマ速度に変換する仕組みとなっている。従って、
上述のように鍵KEYが2点間を通過するのに要する時
間に応じてタッチの制御を行う方法では、実際のピアノ
を弾いたときのようなタッチによる微妙な表現力が得ら
れないという問題があった。また、上述の方法の場合、
実際の押鍵速度を正確に測定することができず、演奏者
が音の強さを調整することが困難であるという問題があ
った。このことを、図42を参照して説明する。図42
において、横軸は時間軸であり、縦軸は鍵KEYの押下
の深さdを示している。そして、縦軸におけるd1はス
イッチSW1がオン状態になる鍵KEYの深さを示して
おり、d2はスイッチSW2がオン状態になる鍵KEY
の深さを示している。この図において、曲線P1は押鍵
操作の際の鍵KEYの深さの実際の時間的変化を例示し
たものである。直線P2は、曲線P1上においてd=d
1となる点とd=d2となる点の2点間を結んだもので
あり、その勾配が上述した従来の方法によって測定され
る鍵速度VELに対応している。この図に示すように、
鍵KEYの最終的な速度(d=d2付近における曲線P
1の勾配)と鍵速度信号VELとの間には明らかに誤差
が生じてしまう。また、上述した従来の方法の場合、押
鍵操作の強さを変えた場合であっても、スイッチSW1
、SW2が各々オン状態に切り換わるタイミングの時間
差に変化がない限り、全く同じタッチで楽音が発音され
てしまうという問題がある。このため、実際のピアノに
おいて速く弱く押鍵を行った時には弱い音が発音される
のに対し、従来の鍵盤電子楽器では速く弾くと強いタッ
チであると認識されてしまうため、あたかも強いタッチ
で弾かれたように発音されてしまう。また逆に、ゆっく
りと、力強く弾いた場合には、実際のタッチに較べて弱
く発音されてしまう。
【0006】この発明は上述した事情に鑑みてなされた
ものであり、演奏の際のタッチが忠実に楽音に反映され
る電子楽器を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明は、演奏者によ
って操作される操作子と、前記操作子に作用する加速度
に応じた加速度信号を出力する加速度検出手段と、前記
加速度信号を時間積分した速度信号を出力する積分手段
と、前記速度信号に基づいて楽音を合成する楽音合成手
段とを具備することを特徴とする。
【0008】
【作用】上記構成によれば、操作子に対して与えられる
力積に応じた楽音が発生されるので、演奏における表現
力を高めることができる。
【0009】
【実施例】以下、図面を参照し、本発明の実施例を説明
する。図1は本発明の一実施例による鍵盤電子楽器の概
略構成を示すブロック図である。CPU1は必要に応じ
てパラメータメモリ2から制御用のパラメータを読み出
し、この電子楽器の各部に制御情報を供給する。KEY
1〜KEY2は、各々鍵盤に配備された鍵であり、各先
端部に加速度ピックアップ24が各々取り付けられてい
る。TG1〜TGnは、各鍵KEY1〜KEYnに対す
る押鍵操作に応答し楽音を形成する押鍵検出/楽音合成
部である。これらの押鍵検出/楽音合成部TG1〜TG
nは、半波整流回路11および12、積分回路13、A
/D(アナログ/デジタル)変換器14、楽音合成部1
5を有する。半波整流回路11は、加速度ピックアップ
24から出力される加速度検出信号が入力され、その正
成分のみを選択して出力する。この正成分は、積分回路
13によって積分され、その積分結果がA/D変換器1
4によってデジタル信号に変換される。A/D変換器1
4の出力デジタル信号は、ピアノにおけるハンマの速度
に対応したハンマ速度信号HVとして楽音合成部15に
供給される。楽音合成部15においては、ハンマ速度信
号HVに基づいて楽音信号が合成される。押鍵検出/楽
音合成部TG1〜TGnの各楽音合成部15から出力さ
れる各楽音信号は加算器A2〜Anによって加算され、
加算器5の一方の入力端に入力される。
【0010】一方、押鍵検出/楽音合成部TG1〜TG
nの各半波整流回路12は加速度検出信号における負成
分のみを選択し、鍵が台座(いわゆる“どんずまり”で
あり、鍵盤の下の木の部分のことである)にあたったと
きに鍵盤が受ける加速度(台座が受ける加速度ともいえ
る)に対応した信号として出力する。各半波整流回路1
2の出力は、加算器B2〜Bnによって加算され、A/
D変換器3によってデジタル信号に変換される。そして
、A/D変換器3の出力信号は、ピアノのフレーム等を
近似したフィルタ4に入力される。そして、フィルタ4
から、いわゆるメカ雑音に相当する信号が出力され、加
算器5の他方の入力端に入力される。そして、加算器5
により、各楽音合成部15の出力の総和とフィルタ4の
出力とが加算される。この加算結果は、ピアノのフレー
ム、響板などをシュミレートした共鳴回路6を通過した
後、D/A(デジタル/アナログ)変換器7によってア
ナログ信号に変換されてスピーカSPに供給され、楽音
が発音される。
【0011】以下、この鍵盤電子楽器の各部の詳細な構
成およびその動作を順に説明する。 [押鍵検出に係る回路構成]この鍵盤電子楽器における
鍵KEYj(j=1〜n)の取り付け構造を図2に示す
。同図に示すように、鍵KEYjは支点22廻りに回動
し得るように鍵盤に取り付けられている。鍵KEYjに
おける演奏者によって押下される側の先端部は加速度ピ
ックアップ24が取り付けられている。また、鍵KEY
jにおける演奏者が押下する側とは反対側の先端部には
バネ23が取り付けられており、このバネ23により、
演奏者によって押下される側の先端部を上向きに持上げ
るモーメントが与えられる。なお、バネ23の代わりに
錘を取り付けてもよい。加速度ピックアップ24の取り
付け位置は鍵の支点22からある程度離れた位置であれ
ばどこでも良く、支点22からの距離に応じた重み付け
を行うことにより、各取り付け位置共、等価な加速度検
出信号ACCを得ることができる。しかし、加速度を正
確に検出するためには、加速度ピックアップ24をなる
べく先端の方に取り付けることが好ましい。また、鍵K
EYjの先端部の下方にはスイッチ25が設けられてい
る。このスイッチ25は鍵KEYjが所定量押し込まれ
た場合にオン状態となるものであり、このスイッチ25
のオン/オフ状態に対応した信号値のキースイッチ信号
KON/KOFFが発生される。キースイッチ信号KO
N/KOFFは、積分器13における加速度検出信号A
CCの取り込みおよび積分動作の開始の指示、楽音合成
部15における楽音合成処理のトリガとして用いられる
。従って、キースイッチ信号KON/KOFFは、押鍵
操作に対して遅れることなく出力される必要があり、そ
のためにはスイッチ25をできるだけ浅い位置に取り付
けた方がよい。
【0012】図3は加速度ピックアップ24が出力する
加速度検出信号ACCを処理する回路の詳細な構成例を
示すものである。同図には、図1において図示が省略さ
れていた減算器16、スイッチ17および微分器18が
示されている。加速度検出信号ACCは、半波整流器1
1を通過することによってその正成分POS(鍵KEY
jが下方に動く場合に対応)のみが取り出され、積分器
13に入力される。また、鍵KEYjが押下されると、
スイッチ25がオン状態となってキースイッチ信号KO
N/KOFFが立ち上がる。このキースイッチ信号KO
N/KOFFの立ち上がりが、微分器18によって検出
され、微分器18から積分器13にトリガ信号が送られ
、積分器13における積分動作が開始される。そして、
積分器13の積分波形KWがA/D変換器14によって
逐次デジタル信号に変換され、ハンマ速度信号HVとし
て楽音合成部15に供給される。押下されていた鍵KE
Yjが離鍵されると、スイッチ25がオフ状態になって
キースイッチ信号KON/KOFFが立ち下がる。 このキースイッチ信号KON/KOFFの立ち下がりが
微分器18によって検出され、微分器18により積分器
18がリセットされ、次の押鍵操作を待機する状態とな
る。図4に加速度ピックアップ24が出力する加速度検
出信号ACCと、積分器13の出力波形KWを示す。
【0013】一方、加速度信号ACCは、半波整流器1
2にを通過することにより、負成分NEGのみが取り出
される。そして、減算器16により、負成分NEGから
バネ(または重り)によるモーメント分相当のオフセッ
トOFFSETが減じられ、スイッチ17、加算器B2
〜Bn(図1)およびA/D変換器3を介し、メカ雑音
発生用のフィルタ4(図1)に入力される。鍵KEYj
が離鍵され、キースイッチ信号KON/KOFFが立ち
下がると、スイッチ17が切断され、フィルタ4への信
号の供給、すなわち、メカ雑音の発生が終了する。
【0014】なお、図1および図3において、A/D変
換器14は、あまり高精度である必要はない。従って、
図1に示すように各鍵に対応して設けるのではなく、1
個のA/D変換器を用い、各鍵に対応した積分波形KW
を時分割でA/D変換してもよい。例えば鍵盤が88鍵
の場合、A/D変換器14のサンプリング周波数を88
kHzとし、サンプリング周期を88分割した各タイム
スロットにおいて、各鍵に対応した積分波形KWのA/
D変換を行う。このようにすることで、各鍵について、
1kHzのサンプリング周波数のハンマ速度信号HMが
得られる。
【0015】以上説明した構成によれば、押鍵の際のタ
ッチに対して忠実なハンマ速度信号HMが得られる。図
5(a)〜(d)に代表的なタッチの時の半波整流器1
1の出力POSと積分器13における積分波形KWを示
す。図5(a)は、速く強く弾いた場合の各波形を示す
ものである。この場合、押下されてから台座に衝突する
までの間、終始、鍵KEYjに対して大きな加速度が作
用する。従って、積分機13の積分波形KWは大きく立
ち上がり、大きなハンマ速度信号HVが楽音合成部15
に供給される。図5(b)は速く弱く弾いた場合の各波
形を示すものである。この場合、加速度信号ACCは大
きな信号値に立ち上がるが、鍵KEYjに与えられる力
積が小さく、立ち上がり以後における加速度信号ACC
は小さな信号値に立ち下がる。このため、積分波形KW
の最終値は小さくなり、ハンマ速度信号HVは小さくな
る。図5(c)は遅く強く弾いた場合の各波形を示すも
のである。この場合、立ち上がりにおける加速度信号A
CCは小さいが、鍵KEYjに与えられる力積が大きい
ので、積分波形KWは大きな値に立ち上がり、ハンマ速
度信号HVは大きくなる。図5(d)は遅く弱く弾いた
場合の各波形を示すものである。この場合、加速度信号
ACCは終始小さな値であるので、ハンマ速度信号HV
は小さくなる。このように、演奏者の意図したハンマ速
度を鍵盤から入力することができる。
【0016】[楽音合成部]図6は楽音合成部15の第
1の構成例を示すブロック図である。この図において、
30はピアノにおける弦の挙動をシミュレートしたルー
プ回路、50はハンマの挙動をシミュレートした励振回
路である。また、楽音合成部15は、励振回路50から
ループ回路30に注入される信号を媒介する乗算器43
と、ループ回路30から励振回路50に帰還される信号
を媒介する加算器41および乗算器42とを有する。
【0017】ループ回路30は遅延回路31、加算器3
2、フィルタ33、位相反転回路34、遅延回路35、
加算器36、フィルタ37および位相反転回路38が閉
ループ状に接続されることによって構成されている。そ
して、遅延回路31および35の各出力が取り出されて
加算器41によって加算され、乗算器42を介して励振
回路50に帰還されるようになっている。ループ回路3
0におけるこれらの各出力の取り出し点は、図12にお
いてハンマHMが弦STRを打弦する打弦点Pに対応し
ている。すなわち、ループ回路30において、加算器3
6の入力から遅延回路31の出力に至るまでの経路の遅
延時間は、弦STRにおける打弦点Pと一方の固定端T
1との間の部分(長さL1)を振動が往復するのに要す
る遅延時間に一致しており、加算器33の入力から遅延
回路35の出力に至るまでの経路の遅延時間は、打弦点
Pと他方の固定端T2との間の部分(長さL2)を振動
が往復するのに要する遅延時間に一致している。位相反
転回路38および34は、固定端T1およびT2におい
て振動波の位相が反転する現象をシミュレートするため
に設けられたものである。また、フィルタ37および3
3は、弦STRの振動が直接空気中へ放射される際、お
よび弦STRの振動が固定端T1およびT2を介してピ
アノの響板等に伝播する際の音響損失をシミュレートす
るために設けられたものである。通常、この種の音響損
失は、周波数が高い程大きいので、フィルタ37および
33はローパスフィルタが用いられる。
【0018】次に励振回路50について説明する。加算
器55は、一方の入力端にA/D変換器14(図1参照
)が出力するハンマ速度信号HVが入力される。また、
加算器55の他方の入力端には積分器56における積分
値が入力される。この積分値は、ハンマHMおよび弦S
TR間の相互作用によってハンマHMに生じる速度変化
分に相当する。なお、この速度変化分の演算の詳細につ
いては後述する。加算器55からはハンマ速度信号HV
を前記速度変化分によって修正した信号、すなわち、現
時点のハンマHMの速度に対応した信号が得られる。そ
して、加算器55の出力信号は積分器57によって積分
され、ハンマHMの変位に相当するハンマ変位信号HD
が出力される。
【0019】一方、加算器52は乗算器42および53
の各出力信号が入力される。ここで、乗算器42の出力
信号は図12において打弦点Pにおける弦STRの速度
に相当し、乗算器53の出力信号はハンマHMによって
弦STRにもたらされる速度修正分に相当する。従って
、加算器52から弦STRの現時点における弦STRの
速度に対応した信号SVが出力される。そして、信号S
Vが積分器54によって積分されることにより、弦ST
Rの変位に相当する弦変位信号SVが得られる。そして
、減算器58により、ハンマ変位信号HDから弦変位信
号SDが減算され、ハンマHMに対する弦STRの食込
み量に応じた相対変位信号SHDが得られる。
【0020】相対変位信号SHDは乗算器61、非線形
回路62および微分器64に入力される。非線形回路6
2は例えばROMによって実現され、図7に例示するよ
うに非線形な入出力応答特性を有している。この図に示
すように、非線形回路62の出力は入力信号値の増大に
伴って増大するが、その勾配は入力信号値が大きくなる
に従って小さくなる。乗算器61は、相対変位信号SH
Dに対しハンマHMの弾性に応じた乗算係数Sを乗算し
て出力する。そして、乗算器63により、乗算器61の
出力に対し、非線形回路62の出力信号が乗算される。 この結果、ハンマHMの弾性特性に起因してハンマHM
および弦STR間に生じる反撥力に相当する信号が乗算
器63から出力される。この乗算器63の出力は、相対
変位信号SHDの増大に伴って増大するが、相対変位信
号SHDが大きくなると非線形回路62の出力が飽和す
るので、乗算器63の出力も飽和することとなる。この
ように、実際のハンマHMにおける弾性に起因する挙動
に忠実な動作が得られる。一方、相対変位信号SHDを
微分器64によって微分した信号に対し、乗算器65に
より、ハンマHMの粘性に応じた乗算係数Rが乗算され
る。そして、乗算器65の出力信号に対し、乗算器66
および67により、2回に亙って非線形回路62の出力
が乗算される。この2回乗算が行われることにより、実
効的に、相対変位信号SHDに図8に示す非線形変換を
施した信号が乗算器65の出力信号に乗算される。この
結果、ハンマHMの粘性に起因してハンマHMおよび弦
STR間に生じる反撥力に相当する信号が乗算器65か
ら出力される。この乗算器65の出力信号の信号値は、
相対変位信号SHDの時間的変化の大きい程、大きな値
となる。また、相対変位信号SHDの時間的変化率が同
じであっても、相対変位信号SHDが大きくなる程、す
なわち、ハンマHMに弦STRがより深く食込む程、乗
算器67の出力信号値は大きなものとなる。このように
して、実際のハンマHMにおける粘性に起因した挙動に
忠実な動作が得られる。乗算器63および67の各出力
は、加算器68によって加算され、ハンマHMと弦ST
Rとの間の反撥力に相当する信号Fが加算器68から出
力される。
【0021】加算器68の出力信号Fは乗算器43に入
力されて乗算係数1/2が乗算される。この結果、図1
2において、弦STRの打弦点Pの両側に各々伝播する
振動波の速度成分が乗算器43から出力される。乗算器
43の出力信号は、ループ回路30の加算器32および
36に帰還される一方、乗算器53によって所定の乗算
係数FADMが乗算され、ハンマHMによって弦STR
に与えられる速度変化分に相当する信号が乗算器53か
ら出力される。また、加算器68の出力信号Fは、乗算
器69によって乗算係数−1/M(ただし、Mはハンマ
HMの質量)が乗算され、ハンマHMに作用する加速度
に相当する信号HAが出力される。この信号HAは積分
器56によって積分され、上述したハンマHMの速度変
化分に相当する信号が得られる。
【0022】以下、この楽音合成部15の動作を説明す
る。この楽音合成部15に対応する鍵KEYjが押下さ
れ、それに対応するキースイッチ信号KON/KOFF
が立ち上がると、積分器56および57に初期値0がプ
リセットされ、弦STRに対してハンマHMが衝突した
状態からシミュレーションが開始される。そして、押鍵
操作に対応したハンマ速度信号HVがA/D変換器14
から出力される。このハンマ速度信号HVが、加算器5
5を介して積分器57に入力されて積分され、ハンマ変
位信号HDが出力される。そして、ハンマ変位信号HD
は減算器58に入力され、相対変位信号SHDが出力さ
れる。そして、上述のようにして、相対変位信号SHD
に応じた信号Fが発生され、この信号Fに基づいて、ハ
ンマHMの加速度に相当する信号HAおよびハンマHM
の速度変化分に相当する信号が順次演算され、ハンマH
Mの現時点における速度に相当する信号(加算器55出
力)が修正される。一方、信号Fは乗算器43を介して
ループ回路30に帰還されると共にさらに乗算器53、
52および加算器52を介して積分器54に入力されて
積分される。この結果、積分器54の積分値、すなわち
、弦STRの変位に相当する信号が修正される。励振回
路50からループ回路30内の加算器36に入力された
信号は、フィルタ37、位相反転回路38および遅延回
路31を介してループ回路30から再び取り出され、他
方、加算器32に入力された信号は、フィルタ33、位
相反転回路34および遅延回路35を介してループ回路
30から再び取り出され、加算器41によって総合され
、乗算器42を介し、励振回路50に帰還される。この
結果、弦STRの速度に相当する信号SVが修正される
と共に弦STRの変位に相当する信号SDが修正される
。以後、同様に、励振回路50およびループ回路30に
より、ハンマHMおよび弦STRの相互作用のシミュレ
ーションと、弦STR内における振動の伝播のシミュレ
ーションが行われる。そして、ループ回路30における
任意のノードから弦STRの振動速度成分に相当する信
号が取り出され、楽音信号として出力される。
【0023】以上においては、ハンマHMが弦STRに
衝突した瞬間からシユレーションを開始する場合を説明
したが、初期状態においてハンマHMが弦SPから離れ
ており、押鍵によってハンマHMが弦STRに向って移
動し始める様子を含めてシミュレーションを行うように
すると、さらに実際のピアノ音を忠実に再現することが
できる。この場合、キースイッチ信号KON/KOFF
の立ち上がり時に、楽音合成部15(図6)の積分器5
7にハンマHMおよび弦STR間の距離を表わす初期変
位をプリセットするように構成を変更する。また、この
変更と共に、図3において示した押鍵検出に係る回路の
構成を図9に示すものに変更する。すなわち、図3の構
成に対し、半波整流回路11の出力から重力加速度に相
当する信号gを減算して積分器13に供給する減算器1
9を追加する。これにより、タッチがかなり弱い時には
ハンマHMが弦STRに達しないで戻ってくる様子をシ
ミュレートすることができる。また、ピアニシモの際、
ハンマHMが辛うじて弦STRに衝突する様子を再現す
ることができる。
【0024】[楽音合成部の他の構成例]図6に示す楽
音合成部のフィルタ33および37は、FIR(有限イ
ンパルス応答)フィルタ、IIR(無限インパルス応答
)フィルタ、オールパスフィルタなどによって構成する
ことが可能である。しかし、これらのフィルタとして、
低次のフィルタを用いた場合、時間方向の自由度が少な
くなる。従って、この場合、弦STRを振動が往復伝播
する周波数は、遅延回路31および35の遅延時間によ
って調整することとなる。このため、弦STRの振動の
様子を、周波数軸上においてある程度近似することは可
能であるが、弦STRにおける振動の位相特性を近似す
ることが殆どできない。一方、現実のピアノの弦STR
には弾性があり、高い周波数の振動ほど速く伝搬すると
いった分散性を持つ。図10に弦のインパルスレスポン
スの一例を示す。同図に示すように、実際のピアノにお
いては、打弦が行われてから弦にメインパルスが現れる
までの期間τ0内に、高い周波数の前駆波が現れる。こ
のため、弦の振動は非調和性を帯び、この非調和性がピ
アノらしい音を発生する一つの要因となっている。また
、ハンマHMと弦STRとの相互作用に着目すると、ハ
ンマHMが弦STRに接触している間に固定端T1およ
びT2で各々反射され打弦点Pにフィールドバックされ
た波がハンマHMに与える力を正確に再現することが必
要である。ハンマHMは粘性、弾性を持っているため、
ハンマHMと弦STRは微少時間内接触したまま運動す
る。この間に弦STRからの前駆波がハンマHMに及ぼ
す力を忠実にシュミレートすることができれば、ハンマ
HMの弦STRとの相互作用が正確に記述され、リアル
なピアノ音が実現される。
【0025】以下、上記のことを考慮し、実際のピアノ
音に忠実な楽音を合成することを可能にした楽音合成部
の各種モデルを述べる。まず、高次のFIRフィルタに
よって正確に弦STRの位相特性を含めたインパルス応
答を近似したモデル〈1〉を説明する。次いでオールパ
スフィルタにより弦の位相特性を近似したモデル〈2〉
を説明する。さらに、モデル<1>においてはFIRフ
ィルタの係数を求める際に生じる誤差によってディケィ
が短くなるといった不都合が生じるが、この不都合をモ
デル<1>および<2>を組み合わせることによって改
善したモデル〈3〉を述べる。加えて、楽音合成部の改
良例として、ひなり音の合成を可能にしたモデル<4>
、複数弦による発音をシミュレートしたモデル<5>、
および連続発音に対応したモデル<6>を順次説明する
。さらに、ハンマによる打弦のみならずダンパによるミ
ュートをも考慮したモデル<7>について説明する。
【0026】モデル<1>:高次のFIRフィルタを用
いた楽音合成部 本モデル<1>による楽音合成部の構成例のブロック図
を図11に示す。この楽音合成部は、図6におけるフィ
ルタ33および37として高次のFIRフィルタを用い
たものである。これらのFIRフィルタは、下記数1に
よって示されるピアノ弦の伝達関数を実現するものであ
る。
【数1】 ここで、τ0は打弦が行われてからメインパルスが弦S
TRに現れるまでの遅延時間、γは弦STRの振動の非
調和性に関与する係数、aは弦STRに作用する空気摩
擦に応じた係数、bは弦STRの振動が空気中に放射す
る時の放射特性に応じた係数である。なお、上記伝達関
数については、The University of 
Electro−Communications “P
iano Tone Synthesis Using
 Digital Filters By compu
ter Simulation”(中村  著)および
日本音響学会講演論文集「相互作用を持つ複数ピアノ弦
の振動に対するディジタルフィルタ法の適用」(中村 
 著)においてその説明がなされている。上記数1の伝
達関数を逆フーリエ変換することによりピアノ弦のイン
パルスレスポンスが求められる。このインパルスレスポ
ンスをサンプリングすることにより、各FIRフィルタ
の各乗算係数a0〜anおよびb0〜bnを得る。弦の
伝達関数はおもに音程、非調和度によって決定され、こ
れによりFIRフィルタの段数および係数が決定される
。励振回路50からの信号F(ハンマHMが弦STRに
衝突する際の力に対応)は、立ち上がりが鋭いため、高
い周波数成分を持つ。図11の構成によれば、この高周
波成分を多く含んだ信号が高次のFIRフィルタ33お
よび37を通過するので、ループ回路30を循環する信
号波形にはかなりの前駆波が現れ、これがループ回路3
0から取り出されて励振回路50に帰還される。この結
果、楽音合成部から取り出される楽音信号波形は、実際
のピアノ音に極めて近いものになる。
【0027】なお、図11の構成の楽音合成部の処理を
ソフトウェアによって実現する場合、ループ回路30の
総遅延時間をすべてFIRフィルタ演算によって実現す
るとかなりの演算量が必要となる。そこで、演算量軽減
のため、インパルスレスポンスがかなり減衰した場合に
は、複数段の遅延演算でFIRフィルタ演算を代用して
もよい。また、遅延、低次のフィルタなどを組み合わせ
、音色の自由度を向上させることもできる。低次のフィ
ルタとしては、FIRローパスフィルタ、FIRハイパ
スフィルタ、IIRローパスフィルタ、オールパスフィ
ルタ等を用いることができる。
【0028】モデル<2>:オールパスフィルタを用い
た楽音合成部 本モデル<2>について説明する前に、一般的な1次の
オールパスフィルタについて説明する。図13および1
4に1次のオールパスフィルタの構成例を示す。ここで
、オールパスフィルタとは、入力信号周波数によらずゲ
インが常に正確に1であり、位相遅延のみが周波数に依
存するフィルタである。オールパスフィルタの位相遅延
量はフィルタ内の乗算器の乗算係数Cによって決定され
る。1次のオールパスフィルタの伝達関数の例を数1に
示す。また、数1の伝達関数に基づく位相特性式を数3
に示す。さらに、数3の位相特性式において係数Cを[
−1<C<1]の間で変化させたときの遅延量(位相遅
延)の周波数特性を図15に示す。
【数2】
【数3】 上記において、Tは1サンプル遅延回路の遅延時間であ
る。図15に示す通り、Cが−1に近づくにつれて低い
周波数での遅延量が急激に増加する。しかし、高い周波
数の遅延量は殆ど1サンプル周期しかない。
【0029】さて、図16は実際のピアノ弦の位相特性
をプロットしたものである。この図に示すように、ピア
ノ弦においては、周波数の高い振動ほど遅延量が少なく
、弦を速く伝搬する。従って、楽音の基本ピッチに対応
した遅延量(サンプル数)相当の位相遅延を実現し得る
ように、オールパスフィルタを多段接続してループ回路
30を構成すると、ピアノ弦の位相特性をシミュレート
することができる。しかし、基本ピッチに対応した遅延
量は目的とする音高の楽音波形の周期をサンプリング周
期で割ったものであるから、通常、数百サンプル分の遅
延となるが、1次のオールパスフィルタ1つの遅延量は
たかだか数サンプルである。そこで、数百キロヘルツ以
下の周波数成分に対しては、数十段程度のオールパスフ
ィルタによって位相遅延を与え、残りの周波数成分の信
号に対しては遅延回路によって位相遅延を与えるという
手法が考えられる。
【0030】また、1次のオールパスフィルタの代りに
高次のオールパスフィルタを用いる手法もある。図17
は2次のオールパスフィルタの構成例、図18は多次の
オールパスフィルタの一般形である。また、図19はL
attice形構成によるオールパスフィルタであり、
図20はそのm番目の要素の構成を示すものである。な
お。1次、2次のオールパスフィルタの他の構成例は、
「ディジタル信号処理の基礎(辻井重雄監修:電子情報
通信学会)」等に記載されている。多次のオールパスフ
ィルタは、遅延量のピーク周波数、およびその急峻さを
設定することができるため、1次のものと組み合わせる
ことによってかなり正確なピアノの打弦動作のシミュレ
ーションを行うことができる。
【0031】以下、本モデル<2>による楽音合成部の
構成例を説明する。本モデル<2>は上述した図11の
構成において、高次のFIRフィルタ33および37を
、多段のオールパスフィルタと遅延回路とを縦続接続し
たものに置き換えることによって構成される。励振回路
50からの信号F(ハンマHMから弦STRに与えられ
る力に相当)は、立ち上がりが鋭く高い周波数成分を有
する。この信号Fがオールパスフィルタを通過すること
によって各周波数成分の各位相遅延に差が生じ、高い周
波数成分ほど時間的に早くループ回路30内を循環する
。このため、ループ回路30を一巡して取り出される楽
音波形において、メインパルスよりも先にかなりの前駆
波が現れる。これによってループ回路30を循環する信
号波形に細かいしわ(高周波成分)が生じ、これが励振
回路50に帰還される。この結果、ハンマHMに対し、
弦STRから特定の高い周波数成分による力が帰還され
る動作がシミュレートされる。このような動作が行われ
る結果、実際のピアノ音により忠実な楽音が合成される
【0032】モデル〈3〉:ディケイを改善した楽音合
成部 上記モデル<1>のように弦STRの伝達特性をFIR
フィルタによって実現する場合、これらのフィルタは全
域通過性(オールパス)であることが好ましい。また、
楽音合成部における弦STRの振動の減衰に対応した動
作は、駒に対応した位相反転回路34および38の乗算
係数を−1よりわずかに大きい値にすることによって実
現されることが理想的である。しかし、弦STRのイン
パルスレスポンスから求められたFIRフィルタの各乗
算係数は誤差を含んでいるので、全域通過性を実現する
のは困難であり、周波数によって振幅応答に誤差が生じ
る。この場合、高音域に対応した上記モデル<1>はF
IRフィルタの次数が低いので、図22に示すように振
幅応答の誤差が大きくなり、かつ、大きな周期で変動す
る。逆に低音域に対応した上記モデル<1>のFIRフ
ィルタは、次数が高くなるので、図21に示すように振
幅応答の誤差の周期は小さくなる。しかし、弦を打弦位
置を境に二分割し、各々の分割された部分の動作をシミ
ュレーションするモデル<1>(図11の構成)におい
ては、1本の弦のインパルスレスポンスを2個のFIR
フィルタによって実現することとなる。このため、1個
のFIRフィルタの次数は低くなり、結局、振幅応答で
の誤差は大きくなる。従って、振幅応答が大きく1を割
った周波数ではディケイが短くなり、倍音のエンヴェロ
ープも実際のピアノ音とは違ったものとなってしまう。
【0033】以下、この問題を解決するための手段につ
いて述べる。上記モデル<1>において弦STRを2分
割してシミュレーションを行う理由は、ハンマHMと弦
STRとが衝突している期間における相互作用を正確に
シミュレーションするためである。従って、弦STRか
らハンマHMが離れ、両者間の相互作用が終ってしまえ
ば2分割してシミュレーションを行う必要はなく、弦1
本分の挙動を1個のフィルタによってシミュレーション
することができる。この考え方に基づき、以下説明する
ように上記モデル<1>の構成を変形し、弦STRとハ
ンマHMとの相互作用をシミュレーションする部分と、
弦STRにおける振動の伝播をシミュレーションする部
分との分離を行う。
【0034】図23は上記モデル<1>(図11)と全
く等価な構成を示すブロック図である。図23と図11
とでは、弦STRの長さL1相当の部分に対応したFI
Rフィルタ37と位相反転回路38との位置関係、およ
び長さL2相当の部分に対応したFIRフィルタ33と
位相反転回路38との位置関係が逆になっているが、両
者においては全く同じ動作が行われる。まず、図23に
示す構成において、加算器32を3入力の加算器32a
に置き換えると共に加算器36を省略する。そして、F
IRフィルタ37および位相反転回路38と全く同様な
構成のFIRフィルタ37aおよび位相反転回路38a
からなる直列回路を追加し、FIRフィルタ37aに乗
算器43の出力を入力する。そして、乗算器43の出力
、FIRフィルタ37の出力および位相反展開路38a
の出力を加算器32aによって加算して位相反転回路3
4に供給するようにする。この変更により、図24に示
す構成が得られる。図23および図24のいずれの構成
においても、乗算器43の出力信号と、この出力信号が
長さL1相当のFIRフィルタおよび位相反転回路を通
過することによって得られる信号とを加算したものが、
位相反転回路34に入力される。従って、図24の構成
においては、図23の構成において得られた動作と全く
等価な動作が得られる。次に図24の構成において、F
IRフィルタ33の出力の加算器41に対する供給をな
くすと共に、位相反転回路34およびFIRフィルタ3
3と全く同様な構成の位相反転回路34aおよびFIR
フィルタ33aからなる直列回路を加算器32aの出力
端に接続し、FIRフィルタ33aの出力を加算器41
に供給するように変更する。この変更により、図25に
示す構成が得られる。図24および図25のいずれの構
成においても、FIRフィルタ37の出力信号と、加算
器32aの出力信号が位相反転回路および長さL2相当
のFIRフィルタを通過することによって得られる信号
とを加算した信号が乗算器42を介して励振回路50に
帰還される。従って、図25の構成によれば、図24お
よび23の各構成における動作と全く等価な動作が得ら
れる。このようにして、弦STRとハンマHMとの相互
作用に係る要素をすべてループの外に集めることができ
、最終的にループ内には、1本の弦STRに対応した高
次のFIRフィルタを設けることができる。この結果、
上記振幅応答の誤差の軽減を図ることができる。
【0035】そして、図25の構成におけるFIRフィ
ルタ33および37と位相反転回路34および38を多
段のオールパスフィルタ300−1〜300−nに置き
換えることにより、図26にその構成を示すモデル<3
>が得られる。このモデル<3>によれば、ハンマHM
と弦STRとの相互作用は高次のFIRフィルタ37a
および33aによってシミュレートされ、弦STRの挙
動はループ内のオールパスフィルタ300−1〜300
−nによってシミュレートされる。このように振幅特性
が重要であるループ回路内にはオールパスフィルタを介
挿し、位相応答が重要なハンマHMと弦STRとの相互
作用に係る部分にはFIRフィルタを介挿したので、弦
STRの振動波形を正確に再現すること、およびハンマ
HMと弦STRとの相互作用を正確に再現することを両
立させることができる。
【0036】モデル〈4〉:ひなり音合成を可能にした
楽音合成部 弦STRを伝播する振動には、弦に対して垂直な方向の
振幅を有する横振動と、弦の水平方向(軸方向)の振幅
を有する縦振動とがある。ここで、縦振動は、ハンマH
Mが弦STRに衝突した際に弦STRが縦方向に伸びる
ことに起因して生じる粗密波であり、横振動に比べて十
数倍の速さで伝搬する。実際、ピアノを強く弾いてみる
と、基音の十数倍あたりの高さの特徴的な音を聴くこと
ができるが、これが弦の縦振動によるひなり音と呼ばれ
ているものである。ひなり音は弱いタッチの時には殆ど
聞こえないが、強いタッチになると急激に大きくなる(
ひなり音の強さはタッチの二乗、もしくは横方向振幅の
二乗の大きさとなる)。これまでに説明した各モデルは
いずれも横振動のみをシミュレートしたものであるが、
本モデル<4>は横振動に加えて縦振動をもシミュレー
トし、ひなり音を含んだ、より実際のピアノ音に近い楽
音を合成するものである。ただし、厳密にひなり音を合
成することは演算量の膨大化を招き現実的でないため、
本モデル<4>においては、図27に示すように、実際
の弦STRに対応したループ回路30とは別に、ひなり
音合成のためのループ回路30Hを図6の構成に対して
追加する。このひなり音合成のためのループ回路30H
は、遅延回路31H、加算器32H、フィルタ33H、
加算器39H、位相反転回路34H、遅延回路35H、
加算器36Hおよび位相反転回路38Hがループ状に接
続されてなるものであり、遅延回路31Hおよび35H
は遅延回路31および35に比べて遅延段数が少なく、
フィルタ33Hは低次のフィルタである。乗算器43の
出力信号F/2(ハンマHMによって弦STRに及ぼさ
れる力に対応)は、ループ回路30に注入される一方、
乗算器81によって二乗され、その結果に対し、乗算器
82によって入力ゲインg1が乗算され、加算器32H
および36Hからループ回路30Hに注入される。 また、ブリッジT2に対応した位相反転回路34の入力
端の信号が、弦STRの横振動に対応した信号が採り出
され、この信号が乗算器83によって二乗され、その結
果に対し、乗算器84によってゲインg2が乗算され、
加算器39Hからループ回路30Hに注入される。そし
て、ループ回路30を伝播する横振動に対応した信号と
、ループ回路30Hを伝播する縦振動(ひなり音)に対
応した信号が各々取り出され、加算器85によって加算
され、楽音信号として出力される。なお、弦STRを複
数弦に拡張した場合、ひなり音合成用のループ回路もそ
れぞれの弦に対応し用意した方がよいであろう。
【0037】モデル〈5〉:複数弦による発音をシミュ
レートした楽音合成部 実際のピアノは1つの音高に対応し、複数の弦を有して
おり、これらの各弦の特性は微妙にずれているのが普通
である。従って、楽音合成部においても、これら各弦を
シミュレートした回路を各々用意し、各回路のパラメー
タを微妙にずらすことが好ましい。このようにすること
で、楽音にコーラス感、うねりが生じ、実際のピアノ音
らしさが増す。また、各弦をシミュレートした回路間で
信号の授受を行うように構成することで、複数弦間の共
鳴を実現することができる。図28に複数弦による発音
をシミュレートした本モデル<5>による楽音合成部の
構成例を示す。この図において、91および92は2本
の弦の各々をシミュレートしたウェーブガイド(双方向
伝送回路)、93はピアノのフレームもしくは響板等の
共鳴系をシミュレートしたウェーブガイドである。ここ
で、ウェーブガイド91および92は伝達特性が微妙に
ずれている。なお、ウェーブガイドについては特開昭6
3−40199号公報において説明されている。図28
において、各ウェーブガイド91〜93の出力は、各々
乗算器94〜96によって係数α1〜α3が乗算され、
各乗算結果は加算器97によって加算される。ここで、
各係数α1、α2、α3には次の関係がある。
【数4】
【0038】そして、加算器202により、加算器97
の出力信号と、ウェーブガイド91の出力信号を位相反
転回路201によって反転した信号とが加算され、その
加算結果がウェーブガイド91に帰還される。また、加
算器204により、加算器97の出力信号と、ウェーブ
ガイド92の出力信号を位相反転回路203によって反
転した信号とが加算され、その加算結果がウェーブガイ
ド92に帰還される。さらに加算器206により、加算
器97の出力信号と、ウェーブガイド93の出力信号を
位相反転回路205によって反転した信号とが加算され
、その加算結果がウェーブガイド93に帰還される。 このような構成によれば、各ウェーブガイド間の信号の
授受が行われ、2本の弦および響板等における共鳴がシ
ミュレートされる。以上、2本弦の場合の例を説明した
が、3本弦、4本弦の場合に本モデルを適用することが
可能であることは言うまでもない。また、本モデルを拡
張し、88鍵分の弦の間の相互作用をシミュレーション
してもよい。
【0039】モデル〈6〉:連続発音に対応した楽音合
成部 本モデル<6>は、連続的に押鍵操作がなされる場合に
対応し、発音制御を行う手段を、図6の構成に付加する
ことによって実現される。すなわち、本モデル<6>に
おいては、 a.ハンマHMの先端部が弦STRから離れ、静止状態
における位置まで戻った時、 b.離鍵の検出が行われた時、 c.ハンマHMの先端部が上記静止状態における位置に
なる戻る前に、次の押鍵操作がなされた時、の各時点に
おいて、ハンマHMの変位を演算する積分器57、ハン
マHMの速度を演算する積分器56がリセットされる。 また、上記a〜cの各時点において、図1における積分
器13もリセットされることにより、ハンマ速度信号H
Vがリセットされ、次の押鍵操作を待機する状態となる
。弦STRの変位を演算する積分器54は上記a〜cの
各場合にリセットしてもよい。しかし、このリセットを
敢えて行わないことにより、弦STRの振動が充分に減
衰しないうちに、次の押鍵操作によってハンマHMが接
触する場合をシミュレーションすることができる。この
場合、積分器54には入力信号の誤差やDC成分が蓄積
し出力されてしまう。そこで、積分器54として、図2
9に示すゲイン付きの積分器を用いる。図30にゲイン
付き積分器の周波数特性S1および通常の積分器の周波
数特性S2を例示する。図30に示すように、ゲイン付
き積分器は、通常の積分器に比べ、低周波領域における
利得が低くなる。従って、積分器54として、ゲイン付
き積分器を用いることにより、上記誤差あるいはDC成
分の蓄積を低減することができる。この場合、ゲインg
はピアノの最低音、人が連続打鍵しうる周期などを考慮
して適当に選ぶ。また、上記a〜cの各場合にではなく
、加速度ピックアップ24(図2)の出力レベルを判断
することにより、各積分器の初期化を行ってもより。例
えば、図31は連続して鍵盤が叩かれたときの加速度ピ
ックアップ24の出力信号波形であるが、この出力信号
波形におけるゼロクロス点P0(負→正に移行するタイ
ミング)を検出した時点で上記リセット動作を行っても
よい。
【0040】モデル<7>:ダンパを考慮した楽音合成
部 実際のピアノにおいて、ハンマによる打弦とダンパによ
るミュートが同時に起こることはない。このため、図6
の構成において、各パラメータ、すなわち、各乗算器の
乗算係数−1/M,S,R等の切り換え等簡単な操作を
行うことにより、同一の構成を用いて、ハンマによる打
弦のシミュレーションとダンパによるミュートのシミュ
レーションを行うことができる。その第1の具体的を図
32に示す。図32に示す構成によれば、電源を投入し
た時、もしくはパラメータを操作し登録した時等に、ハ
ンマおよびダンパに対応した各パラメータが一旦係数レ
ジスタREG1およびREG2に各々格納される。そし
て、押鍵操作がなされてキースイッチ信号KON/KO
FFが立ち上がると、係数レジスタREG1からハンマ
用パラメータが読み出され、励振回路50の各部に設定
され、打弦のシミュレーションが行われる。次いで押下
中の鍵が離鍵されてキースイッチ信号KON/KOFF
が立ち下がると、係数レジスタREG2からダンパ用パ
ラメータが読み出されて励振回路50の各部に設定され
、ダンパによるミュートのシミュレーションが行われる
【0041】ダンパを考慮した第2の具体例を図33に
示す。この第2の具体例は、上記第1の具体例に加え、
ループ回路30内に通過特性を制御することが可能なロ
ーパスフィルタ33Dを介挿したものである。ミュート
を行わない場合のシミュレーションを行う際には、ロー
パスフィルタ33Dは無効とされ、加算器32の出力は
そのままフィルタ33に供給される。一方、ミュートを
行いながらピアノを弾く場合のシミュレーションを行う
際にはローパスフィルタ33Dに所定のフィルタ係数が
与えられ、ダンパによって弦STRに与えられる音響損
失がシミュレーションされる。なお、離鍵操作がなされ
たことは上記のようにキースイッチ信号KON/KOF
Fによって判断する他、加速度ピックアップ24から負
のパルスが発生されるのを検出することによって判断す
ることができる。この場合、ダンパ用のパラメータの設
定が完了した後、加速度ピックアップ24からの負のパ
ルスをそのままダンパの加速度に相当する信号として、
図6における積分器56に入力してもよい。また、負の
パルスを積分したものをハンマ速度信号HVの代りに入
力してもよい。このようにすることで、リリースタッチ
に応じてミュートが制御され、多彩なリリース感が実現
される。
【0042】[メカ雑音の生成に係る構成]ピアノを弾
いた場合、弦の振動による音、および弦の振動が響板あ
るいはフレーム等の共鳴系に伝播することによって発生
される音が聞こえるが、それ以外に、いわゆるメカ雑音
(メカノイズ)が聞こえてくる。このメカ雑音とは鍵が
台座にあたったりアクションがこすれたりすることによ
って発せられるもので、これらは多かれ少なかれピアノ
音を特徴づけている。従って、メカ雑音をシュミレーシ
ョンすることによってリアリティ(特にアタック部)を
向上させることができる。このメカ雑音もいわゆる直接
音とそれが共鳴系を通りフィルタリングされた音、さら
に駒から弦に注入されて放音される音等かなり複雑な経
路をたどって我々の耳に聞こえてくる。
【0043】このメカ雑音の発生をシミュレートするた
め、鍵に取り付けた加速度ピックアップ24の出力を利
用する。鍵が台座にあたった時に台座に与える加速度に
対応した信号MKは、図34に示す加速度ピックアップ
24の出力波形における負の領域に相当する部分からオ
フセットOFFSETを減じた部分を、上述した図3あ
るいは図9に示す構成によって抽出することにより得ら
れる。このようにして得られた信号MKをA/D変換し
、フレームや響板の特性を近似したフィルタ4(図1)
に通し、楽音合成部15からの出力と加算する。この場
合、図35に示すように、各鍵に対応した信号MK、M
K、…を加算した後でA/D変換するのが経済的に見て
現実的である。しかし、より実際のピアノに近いメカ雑
音を発生する必要がある場合には、図36に示す構成を
用いる。この構成においては、各オクターブ単位で信号
MK、MK、…が加算されて出力される。そして、各オ
クターブ毎の信号MK、MK、…の加算結果を各々A/
D変換器3−1〜3−m(mはオクターブ数)によって
A/D変換され、各々特性の異なったフィルタ4−1〜
4−mを通過し、楽音合成部からの楽音信号と加算され
る。
【0044】さて、上記メカ雑音の他、ピアノ本体に衝
撃を与えた時に弦に発生する弦なりがある。これは駒、
もしくはブリッジよりフレームの揺れが弦に注入される
ことにより発生するものである。この弦なりも、メカ雑
音発生のためのフィルタ4の出力を、楽音合成部15に
おける駒、またはブリッジに対応する位置(例えば図6
における位相反転回路34の入力端)に注入することで
再現することができる。なお、上記のように加速度ピッ
クアップ24から得られる信号をフィルタ4に入力する
以外に、ハンマの衝撃に相当する波形をメモリに記憶し
ておき、この波形を読み出してフィルタ4に与えるよう
にしてもよい。その他、加速度ピックアップ24を利用
せず、台座に圧力センサを取り付けその出力を利用して
もよく、また、メカ雑音の波形そのものをメモリに記憶
しておき、出力段において楽音信号と加算してもよい。
【0045】[共鳴系]一般に聴取されるピアノ音は、
純粋な弦の振動に基づくもののみではなく、弦の振動が
響盤、フレーム等によって畳み込まれた結果得られる合
成音を含む。従って、楽音合成部15によって得られた
楽音信号を共鳴系に入力することが考えられる。共鳴系
は、ウェーブガイド、あるいはコムフィルタとオールパ
スフィルタとを組合せた構成等によって実現することが
できる。ところで、ピアノの共鳴特性は発音する弦の位
置によってかなりの差がある。そこで、各弦に対応した
楽音合成部毎に共鳴系を設けるのが理想的であるが、演
算量からみて現実的ではない。従って、88鍵分の楽音
信号を加算し共鳴系の入力とする方法と、1オクターブ
に一つ程度の割合で共鳴系を用意する構成が現実的であ
る。この場合、各共鳴系の特性はその音域に準じたもの
を用いる。また、弦と響板の結合をシュミレートするた
めに共鳴系出力を楽音合成部15にフィードバックして
もよい。
【0046】[全音発音でない鍵盤電子楽器への応用]
以上説明した鍵盤電子楽器は、基本的に全音発音のモデ
ル(例えば88鍵、88音源)である。しかし、本発明
は、例えば88鍵で16音源、88鍵で32音源等、鍵
の数と音源の数とが異なる鍵盤電子楽器にも適用するこ
とができる。ただし、全音発音のモデルであれば、CP
U1がキーコード、発音数の認識、音源の割当等をする
必要がないが、全音発音モデルでないときにはCPU1
がキーアサインを行う必要がある。また、全音発音モデ
ルでない場合、音高の異なった楽音を同一の音源によっ
て発音することとなるが、この場合、音高に応じて高次
FIRフィルタの係数を切り換える必要が生じる。この
ことを可能にするため、各キーコードに対応したフィル
タ係数を計算した結果を予め係数レジスタに格納してお
き、キーオンイベントがあった場合にCPU1がキーコ
ードに対応したフィルタ係数を係数レジスタから読み出
し発音を行う音源に供給するように構成する。この場合
、低音弦ほどフィルタの次数が高く、高音弦に対し数十
倍もの差があるので、係数レジスタの容量をキーコード
毎によって変えると、メモリ容量を節約することができ
る。
【0047】[一般的な音源を有する鍵盤電子楽器への
応用例]本発明は、FM音源、波形読み出し方式の音源
等を備えた鍵盤電子楽器に適用することが可能である。 その場合の構成例を図37に示す。この構成によれば、
加速度ピックアップ24から出力される加速度検出信号
は減算器19によって重力加速度相当の信号gが減じら
れ、積分器13によって積分される。そして、積分器1
3の出力がA/D変換器14に入力され、図38に示す
ハンマHMの速度を示す信号VがA/D変換器14から
出力され、積分器27およびラッチ29に入力される。 ここで、積分器27は、押鍵の開始によりスイッチ25
がオン状態になることにより、図38におけるハンマH
Mと弦STRとの初期変位に相当する信号値X0が初期
設定される。そして、積分器27によって信号Vが積分
され、該積分結果、すなわち、ハンマHMの変位を示す
信号Xが比較器28に与えられる。そして、図39およ
び40に示すように、信号Xが弦STRの静止位置に対
応した値X0に達すると(すなわち、ハンマHMが弦S
TRに衝突すると)、比較器28の出力が立ち上がり、
その時点における信号Vがラッチ29に取り込まれ、F
M音源等にヴィロシティ信号として供給される。なお、
このヴィロシティ信号をMIDI音源に供給することが
可能であることは言うまでもない。
【0048】以下、図39および40を参照し、鍵をゆ
っくり深く押した場合、および素早く鍵を押した場合の
各場合について、本構成の動作と、従来のスイッチSW
1およびSW2を用いた構成(図41)における動作と
を比較する。まず、鍵をゆっくり深く押した場合は、図
39に示すように、スイッチSW2が確実にオン状態に
なるため、スイッチSW1およびSW2がオン状態にな
る時間差を検出することによって鍵速度を検出すること
ができる。しかし、鍵を素早く押した場合は、スイッチ
SW2がオン状態になる前に鍵が返ってしまったりする
ため、スイッチSW1のオン状態を検出することができ
ても、スイッチSW2のオン状態を検出することができ
ないことがある。また、スイッチSW2がオン状態にな
ったとしても、図40に示すようにスイッチSW2のオ
ン状態になるタイミングが不安定になったり、非常に遅
れたりする。本構成によれば、押鍵によるハンマHMの
挙動が忠実にシミュレーションされるため、押鍵タッチ
を正確にヴィロシティ信号に反映させることができる。 また、本構成によれば、押鍵速度が速い場合には、図4
0に示すように信号Xが極めて早く立ち上がるので、鍵
が押込まれる(従来の構成におけるスイッチSW2がオ
ン状態になる時点に対応)前にヴィロシテイ信号を発生
することができ、速い押鍵に対する応答性がよいという
利点が得られる。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
演奏者によって操作される操作子と、前記操作子に作用
する加速度に応じた加速度信号を出力する加速度検出手
段と、前記加速度信号を時間積分した速度信号を出力す
る積分手段と、前記速度信号に基づいて楽音を合成する
楽音合成手段とを設けたので、演奏者が操作子を操作す
るときのタッチが忠実に楽音に反映され、演奏における
表現力を向上させることができるという効果が得られる
【図面の簡単な説明】
【図1】  この発明の一実施例による鍵盤電子楽器の
基本構成を説明するブロック図である。
【図2】  同実施例における鍵KEYjの構成を説明
する図である。
【図3】  同実施例における押鍵検出に係る部分の構
成を示すブロック図である。
【図4】  図3における各部の信号波形を示す波形図
である。
【図5】  同実施例において各種タッチによる押鍵が
なされた場合の各信号波形を示す波形図である。
【図6】  同実施例における楽音合成部15の構成例
を示すブロック図である。
【図7】  同楽音合成部15において行われる非線形
変換を説明する図である。
【図8】  同楽音合成部15において行われる非線形
変換を説明する図である。
【図9】  同実施例において押鍵検出に係る部分の別
の構成例を示すブロック図である。
【図10】  ピアノの弦に現れる振動波形を示す波形
図である。
【図11】  楽音合成部15の他の構成例であるモデ
ル<1>の構成を示すブロック図である。
【図12】  楽音合成部15がシミュレートするピア
ノの弦STRおよびハンマHMを示す図である。
【図13】  1次オールパスフィルタを構成例を示す
ブロック図である。
【図14】  1次オールパスフィルタの構成例を示す
ブロック図である。
【図15】  1次オールパスフィルタの位相特性を例
示する図である。
【図16】  ピアノ弦における位相特性を例示する図
である。
【図17】  2オールパスフィルタの構成例を示すブ
ロック図である。
【図18】  多次オールパスフィルタの構成例を示す
ブロック図である。
【図19】  格子型オールパスフィルタの構成例を示
すブロック図である。
【図20】  図19における第n段目の構成を示すブ
ロック図である。
【図21】  楽音合成部15のループ回路30に高次
FIRフィルタを介挿した場合における振幅応答を例示
する図である。
【図22】  楽音合成部15のループ回路30に低次
FIRフィルタを介挿した場合における振幅応答を例示
する図である。
【図23】  楽音合成部15の変形例を示すブロック
図である。
【図24】  楽音合成部15の変形例を示すブロック
図である。
【図25】  楽音合成部15の変形例を示すブロック
図である。
【図26】  楽音合成部15の他の構成例であるモデ
ル<3>の構成を示すブロック図である。
【図27】  楽音合成部15の他の構成例であるモデ
ル<4>の構成を示すブロック図である。
【図28】  楽音合成部15の他の構成例であるモデ
ル<5>の構成を示すブロック図である。
【図29】  楽音合成部15の他の構成例であるモデ
ル<6>に使用するゲイン付積分器の構成を示すブロッ
ク図である。
【図30】  図29に示すゲインツ付積分器の周波数
特性を例示する図である。
【図31】  モデル<6>の動作を示す波形図である
【図32】  楽音合成部15の他の構成例であるモデ
ル<7>の構成を示すブロック図である。
【図33】  モデル<7>の他の構成例を示すブロッ
ク図である。
【図34】  同実施例においてメカ雑音を発生する動
作を説明する波形図である。
【図35】  同実施例におけるメカ雑音の発生に係る
部分の構成を示すブロック図である。
【図36】  同実施例におけるメカ雑音の発生に係る
部分の他の構成を示すブロック図である。
【図37】  この発明を一般的な音源を備えた鍵盤電
子楽器、あるいはMIDI音源に応用する場合の構成例
を示すブロック図である。
【図38】  図37の構成においてシミュレートされ
るピアノのハンマHMを示す図である。
【図39】  図37の構成の動作および従来の構成の
動作を比較説明する波形図である。
【図40】  図37の構成の動作および従来の構成の
動作を比較説明する波形図である。
【図41】  従来の鍵盤電子楽器の構成を示すブロッ
ク図である。
【図42】  従来の鍵盤電子楽器の問題点を説明する
図である。
【符号の説明】
KEYj……鍵、24……加速度ピックアップ、13…
…積分器、15……楽音合成部。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  演奏者によって操作される操作子と、
    前記操作子に作用する加速度に応じた加速度信号を出力
    する加速度検出手段と、前記加速度信号を時間積分した
    速度信号を出力する積分手段と、前記速度信号に基づい
    て楽音を合成する楽音合成手段とを具備することを特徴
    とする電子楽器。
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