JPH1063270A - 楽音合成装置 - Google Patents

楽音合成装置

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JPH1063270A
JPH1063270A JP8229408A JP22940896A JPH1063270A JP H1063270 A JPH1063270 A JP H1063270A JP 8229408 A JP8229408 A JP 8229408A JP 22940896 A JP22940896 A JP 22940896A JP H1063270 A JPH1063270 A JP H1063270A
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string
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signal
adder
loop
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JP8229408A
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Inventor
Hideyuki Masuda
英之 増田
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Original Assignee
Yamaha Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 物理モデル音源における楽音のリアリティを
向上する。 【解決手段】 101 〜10n は、弦における振動の伝
搬遅延をシミュレートする遅延回路11〜14および弦
における音響損失をシミュレートする終端フィルタ15
を有するループ回路により構成された弦モデルであり、
これらループ回路に励振波形発生部4から打弦または撥
弦の励振振動に相当する励起信号が入力される。また、
加算器31、乗算器32、33、伝達関数Fの響板30
からなるループ回路により響板系がシミュレートされて
いる。前記弦モデルと響板系とはウェーブガイドジャン
クション部により結合され、各ループ回路の出力は所定
の重み付けをされて加算器35において合成され、再び
各ループ回路に入力される。これにより、響板から放射
される音までを含めた忠実なシミュレーションが可能と
なる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、楽音合成装置に関
し、特に、ピアノ音等の打弦楽器音やギター音等の撥弦
楽器音の合成に用いて好適な楽音合成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】自然楽器の発音メカニズムをシミュレー
トすることにより得られたモデル(物理モデル)を動作
させ、これにより、自然楽器の楽音を合成する装置が知
られている。打弦楽器あるいは撥弦楽器の楽音合成装置
としては、弦における振動の伝播遅延をシミュレートし
た遅延回路および弦における音響損失をシミュレートし
たフィルタを含んだループ回路(ウェーブガイド)と、
このループ回路に打弦あるいは撥弦の励振振動に相当す
る励起信号を入力する励振回路とからなる構成のものが
知られている(例えば、特公平7−74955号公報、
特公平7−74958号公報あるいは特公平7−926
68号公報などを参照されたい)。
【0003】このような従来の楽音合成装置の構成の一
例を図8に示す。この図において、81は鍵盤等の演奏
操作子、82は発生すべき音色を指定する音色指定部で
ある。83は、前記演奏操作子81から出力される音高
データとタッチ情報および前記音色指定部82から出力
される音色指定情報に基づいて、励振波形発生部84に
対し制御信号を出力するとともに、弦モデル部等に各種
のパラメータデータを出力する制御部である。84は前
記制御部から入力される制御情報に基づいて弦モデル部
に対して励振波形を供給する励振波形発生部である。
【0004】901 〜90n はそれぞれピアノ等の打弦
楽器における1本の弦をシミュレートする弦モデルであ
り、それぞれ、遅延回路91、92、93、94、加算
器99、100、乗算器96、97、98、終端フィル
タ95からなる閉ループ回路とされている。ここで遅延
回路91、92、93、94は弦における振動の伝播遅
延をシミュレートするものであり、また、終端フィルタ
95は弦における音響損失をシミュレートするものであ
る。加算器99および100は前記励振波形発生部84
から出力される励振波形をこの閉ループ回路に入力する
ためのものであり、この弦を駆動する駆動点となる。
【0005】遅延回路92および93には、それらの遅
延時間の和が、弦が駆動点99において駆動されたとき
に図の右向きに伝播する振動波が右側の固定端において
反射されて駆動点100に戻ってくるまでの時間と等し
くなるように、それぞれの遅延時間が設定されている。
また、遅延回路94および91には、その遅延時間の和
が、弦が駆動点100において打鍵されたときに図の左
向きに伝播する振動波が左側の固定端において反射され
て駆動点99に戻ってくるまでの時間と等しくなるよう
にそれぞれの遅延時間が設定されている。なお、これら
の各遅延時間はその弦に対応する音高に応じて決定され
るものであり、また、駆動点99および100を境にし
て左右に分けられる部分、すなわち、遅延回路91と9
2および遅延回路93と94の遅延時間の比は音色ある
いはそれに加えて音高に応じて決定される。
【0006】乗算器98において、この閉ループ回路を
流れる信号に「−1」が乗算され、これにより弦の一方
の固定端において振動波の位相が反転する現象がシミュ
レートされている。また、乗算器96においてループゲ
インLG1に「−1」が乗算され、該乗算器96の出力
は乗算器97において終端フィルタ95の出力と乗算さ
れている。これにより、弦の他方の固定端における振動
波の位相反転がシミュレートされるとともに、この弦の
ループゲインLG1が設定されている。また、終端フィ
ルタ95の特性はパラメータTF1により設定されてい
る。これらループゲインLG1〜nおよびフィルタ特性
TF1〜nは、それぞれの弦モデルにより発生すべき音
色や音高に応じて前記制御部83により設定される。
【0007】このような構成において、演奏情報に応じ
て前記励振波形発生部84から励振波形が出力され、前
記加算器99および100に入力されると、各弦モデル
901 〜90n の閉ループ回路には各弦における振動を
シミュレートした信号が循環される。各弦モデルにおけ
るこの信号はミキサ110においてそれぞれ対応する係
数kiと乗算された後積算され、楽音信号として出力さ
れることとなる。
【0008】なお、上記においては、閉ループ回路を構
成する遅延回路を4つに分割して設けているものとした
が、遅延回路の配置はこれに限られることはなく、例え
ば、駆動点の左右に1つずつ集中的に配置してもよい。
また、前記弦モデルにおいて、閉ループ回路を巡回する
信号として、力、速度あるいは変位のいずれの次元の信
号を用いても、シミュレーションを行なうことができ
る。
【0009】前記励振波形発生部84の構成の一例を図
9に示す。この図に示した励振波形発生部84は、弦と
それに対して励振エネルギーを与えるハンマーなどとの
物理的関係をシミュレートするものである。この図にお
いて、111、117、121および125は乗算器、
112、115、118および122は加算器、11
3、119、123および126は入力データを1サン
プリング周期だけ遅延して出力する遅延回路、116は
入力データに対して非線形関数の関係にある出力信号を
出力する非線形回路である。また、前記加算器112と
遅延回路113により積分回路114が構成されてお
り、同様に、加算器118と遅延回路119とで積分回
路120が、加算器122と遅延回路123とで積分回
路124がそれぞれ構成されている。
【0010】このように構成された励振波形発生回路8
4において、前記弦モデルより乗算器111に当該弦に
おける振動に対応した信号(例えば、弦の速度に対応し
た信号)が入力される。この信号は前記図8における右
向き振動波信号と左向き振動波信号とが加算される加算
器101からの出力信号である。この弦速度信号は乗算
器111において係数sadmが乗算されたのち、加算
器112と遅延回路113からなる積分回路114に入
力される。これにより、前記弦速度信号が積分されて弦
の基準位置からの変位に対応する弦変位信号xが得られ
る。この弦変位信号xは加算器115の負側の入力端に
入力される。加算器115の正側の入力端には後述する
積分器124から出力されるハンマの変位に相当するハ
ンマ変位信号yが入力されており、該減算器115から
はハンマと弦との相対変位に相当する相対変位信号z
(=y−x)が出力される。
【0011】ここで、弦がハンマに食い込んでいる場
合、zは正となり、弦とハンマとの間にはその食い込み
量に応じた反撥力が働く。一方、弦とハンマとが軽く触
れているだけの場合あるいは弦からハンマが離れている
場合には、zは0あるいは負となり、反撥力は0であ
る。非線形回路116は相対変位信号zに基づいてこの
ような弦とハンマとの反撥力に相当する反撥力信号Fを
出力するものであり、例えば2次曲線等の非線形関数の
テーブルを記憶したROMにより構成されている。前記
相対変位信号zはこの非線形回路16に入力され、該非
線形回路16から出力される反撥力信号Fは、前記弦モ
デルの駆動点である加算器99および100に印加され
る。なお、本来ならば、反撥力信号Fに対し、弦の速度
変化に対する抵抗に相当する係数を乗じて弦の速度変化
分を算出し、この速度変化分を前記各弦モデルに入力す
べきであるが、この例では、前述した乗算係数sadm
に上記抵抗に相当する係数を含ませることにより、同等
のシミュレーション効果を得ている。
【0012】また、前記反撥力信号Fは乗算器125に
おいて係数fadmと乗算され、ハンマによって弦に与
えられる速度変化分に相当する弦速度信号が得られ、こ
の弦速度信号が遅延回路126において1サンプリング
周期遅延されて、前記積分器114に入力されている。
これにより、弦がハンマによってたたかれることによっ
て変位する現象がシミュレートされる。
【0013】前記反撥力信号Fはさらに乗算器117に
も入力され、ここでハンマの慣性質量Mの逆数−1/M
と乗算される。この結果、乗算器117からハンマの加
速度に相当する加速度信号が出力され、この加速度信号
は積分回路120において積分されて、積分回路120
からはハンマの速度変化分に相当するハンマ速度信号が
出力される。このハンマ速度信号は乗算器121におい
て所定の減衰係数dが乗算されたのち、ハンマ初速度信
号Voとともに、積分回路124に入力される。これに
より、積分回路124からは前述したハンマ変位信号y
が出力される。このようにして、図9に示した励振波形
発生部84から前記弦モデル901 〜90n の閉ループ
回路にハンマによる打鍵をシミュレートした励振波形が
供給される。
【0014】なお、励振波形発生部84としては、図9
に示したような弦とハンマとの物理的関係をシミュレー
トするもののほか、波形メモリに記憶した励振波形を読
み出す方式など、通常の楽音波形発生装置において採用
されている各種の方式により励振波形を供給するもので
あってもよい。このような単純に演奏操作に応じて励振
波形を発生する方式の場合においては、前述した図9の
場合のように弦モデル部を巡回する信号を励振波形発生
部に取り込むことは必ずしも必要ではない。但し、この
巡回する信号を使って、励振波形あるいはその発生に係
わる信号(例えば、メモリアドレス)を変調するように
することもできる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】前述したような従来の
楽音合成装置は、弦楽器における各弦の動作をシミュレ
ートして、自然楽器が発生する楽音を再現することがで
きるものである。しかしながら、現実のピアノにおいて
はハンマーにより弦を叩いたときに、弦だけではなく楽
器全体が響いて楽音が発生されている。すなわち、響板
や弦の終端に設けられている駒など(以下、単に「響
板」という)が、弦の振動とともに振動し、それにより
ピアノらしい音が引き出されている。また、バイオリン
やギターなどの擦弦楽器においても、共鳴胴による共鳴
により、それらしい楽音となっている。
【0016】このような響板や共鳴胴などの共鳴体によ
る効果を付加するために、従来の楽音合成装置において
は、合成された楽音に残響効果を付加することなどが行
なわれているが、これだけでは、響板等からの弦への干
渉については考慮されていない。
【0017】そこで本発明は、響板や共鳴胴などの共鳴
体による作用までを含めた忠実なシミュレーションを行
なうことにより、より忠実な楽音を再現することのでき
る楽音合成装置を提供することを目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の楽音合成装置は、少なくとも遅延手段を含
む少なくとも1つの第1のループ手段と、共鳴体をシミ
ュレートするためのフィルタを含む第2のループ手段
と、前記第1および第2の各ループ手段から取り出した
信号を合成し、該合成された信号を前記第1および第2
の各ループ手段に入力する結合手段と、発音指示に応じ
て励振信号を前記第1のループ手段のうちの少なくとも
1つのループ手段に入力する励振手段とを有するもので
ある。
【0019】このように、響板や共鳴胴などの共鳴体を
シミュレートするフィルタを含むループ手段を結合手段
により結合させているので、響板や共鳴胴の作用を忠実
にシミュレーションすることが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の楽音合成装置の全体構成
を説明する前に、まず、響板や共鳴胴などの共鳴体の作
用のシミュレーションをどのように行なうかについて説
明する。なお、ここではピアノを例にとって、響板の作
用をどのようにシミュレーションするかについて検討す
るが、擦弦楽器における共鳴胴についても同様に適用す
ることができる。
【0021】響板を含めたシミュレーションを行なうた
めに、まず考えられる方法は、前述した弦モデルの終端
に響板の有する音響特性に相当する伝達関数を有するフ
ィルタを設けることである。この構成を図2に示す。こ
の図において、18は弦の一方の固定端における振動波
の位相反転をシミュレートするための乗算器であり、前
述した図8における乗算器98に相当する。また、36
は響板の有する音響特性に相当する伝達関数Hを有する
フィルタであり、このフィルタの出力Jは乗算器23に
おいて前記乗算器18からの出力と加算され、左向きの
振動波S1bとなる。
【0022】しかしながら、このような構成では、弦と
響板のアドミタンスを考慮した接続形式とされていない
ために、響板から弦へ与えられる信号Jはある程度正確
にシミュレートすることができたとしても、響板から放
射される音に対応する信号はシミュレートされておら
ず、取り出すことができない。また、複数の弦との相互
作用(インタラクション)をシミュレートすることもで
きない。
【0023】そこで、本発明においては、響板を1つの
質量を有するウェーブガイド(閉ループ回路)として取
り扱い、前記弦モデル部と該響板系とをウェーブガイド
ジャンクション部により接続した回路構成とする。この
ようにすることにより、響板から放射される音に対応す
る信号を取り出すことができるようになり、さらに複数
弦と響板とのインタラクションのシミュレーションも実
現することができるようになる。
【0024】このように響板系をウェーブガイドジャン
クションにより結合した構成を図3に示す。この図にお
いて、30は響板であり、その伝達関数はFとされてい
る。Rbは響板30に入力される入力信号であり、これ
は力の次元の信号とされている。32は、入力信号Rb
に応じて響板30から放射される音に対応する信号をシ
ミュレートするために、信号の位相を反転させるための
乗算器である。また、乗算器33は響板系の終端におけ
る信号の位相反転をシミュレートするための乗算器であ
り、この乗算器33の出力信号は、加算器31の一方の
入力となる。加算器31の他方の入力にはウェーブガイ
ドジャンクション部の加算器35の出力Jが印加されて
おり、前記乗算器33の出力と加算されて響板への入力
信号Rbが出力される。前記乗算器32の出力Rfはま
た、響板系の出力信号としてウェーブガイドジャンクシ
ョン部の乗算器34に入力され、この乗算器34におい
て響板側のウェーブガイド係数αr と乗算されてウェー
ブガイドジャンクション部の加算器35の一方の入力と
される。
【0025】加算器35の他方の入力には、前記弦モデ
ル部の弦1の終端部における信号S1fと弦側のウェー
ブガイド係数αs とが乗算される乗算器22の出力が入
力されている。また、前記加算器35の出力信号Jは加
算器23の一方の入力とされており、前記弦における終
端部における反転信号と加算されている。すなわち、ウ
ェーブガイドジャンクション部において、前記響板系の
出力信号Rfと前記弦モデルにおけるループ信号S1f
とが、それぞれ所定のウェーブガイド係数αrおよびαs
をもって合成されている。そして、この合成出力J
は、加算器23において弦モデルのループ信号に加算さ
れ、また、加算器31において響板系のループ信号に加
算される。
【0026】このように響板系をウェーブガイドとして
構成したときに、弦から響板系をみたときの伝達関数
が、前記図2における伝達関数Hと同一でなければなら
ない。したがって、そのように前記Fを決定することが
必要である。
【0027】前記図2より、 H=J/S1f (1) である。また、前記図3より、 F=−Rf/Rb (2) J=αs ×S1f+αr ×Rf (3) Rb=J−Rf (4) であるから、Hは、次の式(5)のように表わすことが
できる。
【数1】
【0028】一方、響板の伝達関数Hは実測することが
でき、これを実測すると、図4に示すような、その大き
さ等により定まる比較的低い周波数でピークを有する低
域通過特性が得られる。このような形の周波数特性は2
次のローパスフィルタ(LPF)により近似することが
可能である。したがって、例えば、Bi−Quad型の
デジタルフィルタで近似することとし、実測結果である
図4の特性曲線から、カットオフ周波数Fhおよびピー
クのQ値Qhを求めると、その伝達関数Hは次の式
(6)のように表わすことができる。ただし、本シミュ
レーションではHの入出力は同一次元なので、通過帯域
のゲイン(Ch)は”1”と正規化した。
【数2】 但し、z-1=exp(−i2πfT)、Tはサンプリン
グ周波数Fsの逆数である。
【0029】この式(6)を前記式(5)に代入し、F
を求めると、次の式(7)が得られる。
【数3】 但し、αs +αr =2を利用した。
【0030】前記式(7)を、F=1−G とおく。こ
のとき、このGもまた、LPFの形式となっていること
が分かる。すなわち、前記式(7)の右辺第2項(G)
において、 Fh=√αs ×Fg、 Qh=√αs ×Qg、 αr =Cg と置き換えると、次の式(8)が得られ、これはLPF
を表わす前記式(6)と全く同型となっている。
【数4】
【0031】すなわち、元の伝達関数Hから測定される
カットオフ周波数の1/√αs 倍のカットオフ周波数、
もとのQの1/√αs 倍のQ、および、通過帯域のゲイ
ンαr を有する2次のLPFを前記Gとして、F=1−
Gを響板側のウェーブガイドのループに入れることによ
り、前記図3の構成を実現することができる。
【0032】このようにした響板側のウェーブガイドの
構成を図5(a)に示す。この図において、前記図3と
同一の構成要素には同一の番号を付してその説明は省略
する。破線30で囲まれたFの内部に、破線40で囲ま
れたGと加算器51とが設けられている。この加算器5
1の正側の入力端には前記加算器31からの出力Rbが
入力され、負側には破線40で囲まれたGが入力されて
いる。これにより、前記F=1−Gが実現されている。
【0033】破線40の内部には、前記加算器31の出
力Rbと定数Cgとが入力される乗算器41、該乗算器
41の出力と加算器47の出力との差を出力する加算器
42、該加算器42の出力と定数agとを乗算する乗算
器43、該乗算器43の出力と遅延回路45の出力とを
加算する加算器44、該加算器44の出力を遅延する遅
延回路45、該遅延回路46の出力と定数qgとを乗算
する乗算器46、該乗算器46の出力と遅延回路50の
出力とを加算する加算器47、前記加算器44の出力と
定数agとを乗算する乗算器48、該乗算器48の出力
と遅延回路50の出力とを加算する加算器49、該加算
器49の出力を遅延する遅延回路50が設けられてお
り、前記遅延回路50の出力がGの出力として前記加算
器51に入力されている。また、前記加算器42の出力
はこの響板系を巡回している力波形出力Frとして、後
述する音響信号出力のために取り出されている。ここ
で、前記定数ag、qg、Cgは、ag=2πFgT=
2πFhT/√αS 、qg=1/Qg=√αs /Qh、
Cg=αr である。
【0034】図5の(b)に、この各定数Cg、ag、
qgを算出するための構成を示す。この図において、5
2は弦モデルのジャンクション係数αs を入力として√
αsを出力する平方根演算回路であり、その出力√αs
は乗算器54の一方の入力に供給されている。乗算器5
4の他方の入力にはQhの逆数1/Qhが入力されてお
り、該乗算器54から前記qg=1/Qgが得られる。
また、前記平方根演算回路52の出力は逆数演算回路5
3にも入力されており、該逆数演算回路53の出力1/
√αs は乗算器55の一方の入力に供給されている。該
乗算器55の他方の入力にはah=2πFhTが入力さ
れており、該乗算器55からはag=2πFhT/√α
s =2πFgTが出力される。さらに、Cgにはαr
同一の値が与えられる。このようにして、前記破線40
で囲まれたLPF部の演算に用いられる各定数を得るこ
とができる。このようにして、響板をシミュレートした
ウェーブガイドを2次のディジタルフィルタを用いて構
成することができる。
【0035】さて、楽音を発生させるときには音響信号
を速度の次元で出力することが必要であるため、前述の
ように構成された響板系のウェーブガイドに流れる力の
次元のループ信号を速度の次元に変換することが必要で
ある。そのためには、まずこのループ信号を響板の質量
mrで割って加速度の次元に変換し、これを積分して速
度の次元の信号に変換すればよい。また、弦に流れるル
ープ信号についても、力の次元とされているので同様の
処理をして出力することが必要である。
【0036】このような音響信号出力を取り出すための
構成を図6に示す。この図に示すように、弦を巡回する
力波形出力Fs1は乗算器61において弦の質量の逆数
に対応する係数Asと乗算され加算器63の一方の入力
に入力される。また、響板系を巡回する力波形出力Fr
は乗算器62において前記響板の質量の逆数に対応する
係数Arと乗算され加算器63に入力される。加算器6
3において前記乗算器61および62からの出力信号が
合成され、その出力は積分器64に入力される。積分器
64内において、前記合成出力は乗算器65においてサ
ンプリング周期Tと乗算された後、加算器66と遅延回
路67により積分され、この出力が音響信号出力として
サウンドシステム等に出力される。
【0037】また、以上の説明においては、弦が1本で
あるものとして説明してきたが、前述したように、本発
明のようにウェーブガイドジャンクションを用いる構成
とすることにより、複数弦の場合にも、弦と響板とのイ
ンタラクションをシミュレートすることができる。
【0038】図7(a)は、このような複数弦の場合の
構成を示す図であり、前記図3と同一の構成要素には同
一の番号を付して詳細な説明は省略する。この図に示す
ように、この場合には、1〜nの複数個の弦モデルが設
けられている。そして、各弦モデルのループ信号がそれ
ぞれ対応するウェーブガイド係数αs1〜αsnと乗算され
て、前記ウェーブガイドジャンクション部の加算器35
に入力されている。また、響板系のウェーブガイドは前
述した図3の場合と同様の構成とされている。
【0039】また、図7(b)はこのような複数弦の場
合における音響出力の取り出し方を示す図であり、前述
した図6と同一の構成要素には同一の番号が付されてい
る。この図に示すように、複数弦の場合においては、各
弦モデルを巡回する力波形Fs1〜Fsnは、それぞれ
対応する乗算器611 〜61n においてそれぞれに対応
する係数As1〜Asnを乗算された後、前記係数Ar
が乗算された響板系の力信号Frとともに加算器63に
おいて合成され、積分器64において積分され、音響信
号として出力されることとなる。
【0040】図1に本発明の楽音合成装置の全体構成図
を示す。この図において、演奏操作子1、音色指定部
2、制御部3および励振波形発生部4は、いずれも、図
8に関して説明した演奏操作子81、音色指定部82、
制御部83および励振波形発生部84と同一のものであ
るので、その詳細な説明は省略する。また、弦モデル1
1 〜10n は前記図8における弦モデル901 〜90
n と同様のものであり、また、各弦モデルに設けられて
いる遅延回路11、12、13、14、加算器19、2
0、21、乗算器16、17、18、終端フィルタ15
の構成も前記図8における対応する遅延回路91、9
2、93、94、加算器99、100、101、乗算器
96、97、98、終端フィルタ95と同一のものであ
り、その詳細な説明は省略する。
【0041】また、ウェーブガイドジャンクション部に
おける乗算器22〜2n、34および加算器35、響板
系における乗算器32、33、加算器31、響板30に
ついては、前記図3、図5および図7に関して説明した
ものと同一であり、その詳細な説明は省略する。このよ
うな本発明の楽音合成装置の動作は、前述した説明と重
複することとなるのでその詳細な説明は省略することと
する。
【0042】なお、以上の説明においては、ウェーブガ
イドジャンクション部は単一の加算器35を有する構成
とされていたが、ウェーブガイドジャンクション部の構
成はこれに限られることはない。例えば、各ループ部か
らの出力をそれぞれ他のループ部に供給するように構成
し、各ループ部内に他のループ部からの信号と自己のル
ープ信号とを合成する結合回路を設けるようにしてもよ
い。この場合には、各ループ部において、ウェーブガイ
ド係数αs1snおよびαr を独立して設定することが可
能となる。
【0043】なお、以上の説明においては響板を有する
打弦楽器、特にピアノをシミュレートする場合を例にと
って説明したが、本発明はこれに限られることはなく、
ギターやバイオリン等の擦弦楽器をシミュレートする楽
音合成装置において、共鳴胴による影響をシミュレート
する場合に適用することができる。
【0044】
【発明の効果】このように、本発明の楽音合成装置にお
いては、共鳴体、例えば響板系をウェーブガイドとして
シミュレートし、弦モデルと、ウェーブガイドジャンク
ションにより結合しているために、響板の影響を忠実に
シミュレートすることが可能となり、よりリアルな楽音
を再現することが可能となる。例えば、ピアノ音合成に
適用した場合には、アタックにピアノ特有のスペクトラ
ムを含んだリアルなアタック感を付けることができるよ
うになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の楽音合成装置の全体構成図である。
【図2】 響板をシミュレートするためのLPFを付加
した構成を示す図である。
【図3】 響板をシミュレートするウェーブガイドおよ
びジャンクション部を付加した構成を示す図である。
【図4】 響板の伝達関数Hの周波数特性を示す図であ
る。
【図5】 響板系におけるフィルタの構成を示す図であ
る。
【図6】 音響出力を取り出すための構成を示す図であ
る。
【図7】 複数弦を有する場合の構成を示す図である。
【図8】 従来の楽音合成装置の構成例を示す図であ
る。
【図9】 励振波形発生部の構成例を示す図である。
【符号の説明】
1、81 演奏操作子、2、82 音色指定部、3、8
3 制御部、4、84励振波形発生部、101 〜10
n 、901 〜90n 弦モデル、11、12、13、1
4 遅延回路、15、95 終端フィルタ、16〜1
8、22、32〜34、41、43、46、48、5
4、55、61、62、65、96〜98乗算器、19
〜21、23、31、35、42、44、47、49、
51、63、66 99〜101 加算器、30 響
板、36、40 フィルタ、45、50、67 1サン
プリング周期遅延回路、52 平方根演算回路、53
逆数演算回路、64 積分器、110 ミキサ、

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも遅延手段を含む少なくとも
    1つの第1のループ手段と、 少なくとも共鳴体をシミュレートするためのフィルタを
    含む第2のループ手段と、 前記第1および第2の各ループ手段から取り出した信号
    を合成し、該合成された信号を前記第1および第2の各
    ループ手段に入力する結合手段と、 発音指示に応じて励振信号を前記第1のループ手段のう
    ちの少なくとも1つのループ手段に入力する励振手段と
    を有することを特徴とする楽音合成装置。
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