JPH09127307A - 反射防止フィルター及び表示装置 - Google Patents

反射防止フィルター及び表示装置

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JPH09127307A
JPH09127307A JP8200164A JP20016496A JPH09127307A JP H09127307 A JPH09127307 A JP H09127307A JP 8200164 A JP8200164 A JP 8200164A JP 20016496 A JP20016496 A JP 20016496A JP H09127307 A JPH09127307 A JP H09127307A
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antireflection
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Hirofumi Kondo
洋文 近藤
Hideaki Hanaoka
英章 花岡
Mitsunori Ueda
充紀 植田
Tomio Kobayashi
富夫 小林
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 手垢、水垢等の汚染防止効果があり、かつ上
記潤滑剤の効果により、滑り性、耐摩耗性に優れた反射
防止フィルターおよび表示装置を提供する。 【解決手段】 本発明の反射防止フィルターは、透明基
材上に二酸化珪素を主体とする単層または多層の反射防
止膜が設けられ、この反射防止膜に末端に極性基を持つ
パーフルオロポリエーテル、末端に極性基を持つ部分フ
ッ素化炭化水素あるいは末端に極性基を持つパーフルオ
ロ炭素の少なくともいずれかが被覆されてなる。また、
本発明の表示装置1は、表示画面2及び/又はその前面
板の表面に二酸化珪素を主体とする単層または多層の反
射防止膜が設けられ、この反射防止膜に末端に極性基を
持つパーフルオロポリエーテル、末端に極性基を持つ部
分フッ素化炭化水素あるいは末端に極性基を持つパーフ
ルオロ炭素の少なくともいずれかが被覆されてなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐久性、耐熱性、
耐衝撃性の反射防止膜を有する反射防止フィルター、お
よび、表示画面及び/又はその前面板の表面に反射防止
膜が形成される表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】透明材料を通して物を見る場合、反射光
が強く、反射像が明瞭であることはわずらわしく、例え
ば眼鏡用レンズではゴースト、フレアなどと呼ばれる反
射像を生じて眼に不快感を与えたりする。また、ルッキ
ンググラスなどではガラス面上の反射した光のために内
容物が判然としない問題が生じる。
【0003】従来より反射防止のために屈折率が基材と
異なる物質を、真空蒸着法などにより基材上に被覆形成
する方法が行われていた。この場合反射防止効果をもっ
とも高らしめるためには、基材を被覆する物質の厚みの
選択が重要であることが知られている。
【0004】例えば、単層被膜においては、基材より低
屈折率の物質を光学的薄膜を対象とする光波長の1/4
ないしはその奇数倍に選択することが極小の反射率すな
わち極大の透過率を与えることが知られている。
【0005】ここで、光学的薄膜とは被膜形成材料の屈
折率と該皮膜の膜厚の積で与えられているものである。
さらに複層の反射防止層の形成が可能であり、この場合
の膜厚の選択に関していくつかの提案がなされている
(光学技術コンタクトVol.9,No.8,pp17
〔1971〕)。
【0006】一方、特開昭58−46301号公報、特
開昭59−49501号公報、特開昭59−50401
号公報には前記光学的薄膜の条件を満足させる複層から
なる反射防止膜を液状組成物を用いて形成する方法につ
いて記載されている。
【0007】近年になって、軽量安全性、取扱い易さな
どの長所を活かして、プラスチックを基材とした反射防
止性を有する光学物品が考案され、実用化されており、
そしてその多くは、表層膜に二酸化珪素を有する膜の構
成が採用されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】蒸着法により形成され
た反射防止膜は、被膜形成材料が主として無機酸化物あ
るいは無機ハロゲン化物であり、プラステック基材にお
いて、反射防止膜は本質的には高い表面硬度を有する反
面、手垢、指紋、汗、ヘアーリキッド、ヘアースプレー
などによる汚れが目立ちやすく、また、とれにくいとい
う欠点があった。さらには、表面のすべりが悪いために
傷が太くなるなどの問題点を有している。
【0009】また、水に対する濡れ性が大きいために雨
滴、水の飛沫が付着すると大きく広がり、眼鏡レンズ等
においては大面積にわたって物体がゆがんで見えるなど
の問題点があった。
【0010】特開昭58−46301号公報、特開昭5
9−49501号公報、特開昭59−50401号公報
に記載の反射防止膜においても、硬い表面硬度を付与す
るためには、最表層膜中にシリカ微粒子などに代表され
る無機物を30重量%以上含まれることが必要である
が、このような膜組成から得られる反射防止膜には表面
のすべりが悪く、布などの摩耗によって傷つき易いなど
の問題点を有している。
【0011】これらの問題点を解消する目的で各種の表
面処理剤が提案され、市販されているが、いずれも水や
各種の溶剤によって溶解するために一時的に機能を付与
するものであり、永続性がなく耐久性に乏しいものであ
った。
【0012】また、特開平3−266801号公報には
撥水性を付与するために、フッ素系樹脂を形成させる報
告がある。
【0013】しかしながら、これらのフッ素系樹脂で表
面を処理すると、確かに撥水性は高まるものの十分であ
るとは言えない。また、耐摩擦性あるいは耐摩耗性に対
しても不足している。
【0014】そこで、本発明は、手垢、水垢等の汚染防
止効果があり、潤滑剤の効果により、滑り性、耐摩耗性
に優れた反射防止フィルターおよび表示装置を提供する
ことを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の目
的を達成するために鋭意研究の結果、透明基材上に二酸
化珪素を主体とする単層または多層の反射防止膜を設
け、さらに、この反射防止膜表面に、末端に極性基を持
つパーフルオロポリエーテル、末端に極性基を持つパー
フルオロ炭素あるいは末端に極性基を持つ部分フッ素化
炭化水素を被覆させると、手垢、水垢等に対する汚染防
止効果が付与されるとともに、これら化合物の潤滑効果
により、滑り性、耐摩耗性が改善されるとの知見を得る
に至った。
【0016】本発明の反射防止フィルターおよび表示装
置はこのような知見に基づいて完成されたものである。
【0017】すなわち、本発明にかかる反射防止フィル
ターは、透明基材上に二酸化珪素を主体とする単層また
は多層の反射防止膜が設けられ、この反射防止膜に末端
に極性基を持つパーフルオロポリエーテル、末端に極性
基を持つパーフルオロ炭素あるいは末端に極性基を持つ
部分フッ素化炭化水素の少なくともいずれかが被覆され
ていることを特徴とする。
【0018】他方、本発明にかかる表示装置は、表示画
面及び/又はその前面板の表面に二酸化珪素を主体とす
る単層または多層の反射防止膜が設けられ、この反射防
止膜に末端に極性基を持つパーフルオロポリエーテル、
末端に極性基を持つパーフルオロ炭素あるいは末端に極
性基を持つ部分フッ素化炭化水素の少なくともいずれか
が被覆されていることを特徴とする。
【0019】ここで、反射防止フィルターあるいは表示
装置に被覆される反射防止膜は、SiO2の単層膜であ
っても、SiO2膜と他の無機物膜を組み合わせた多層
膜であっても良い。
【0020】多層膜とする場合、表層膜より下層を形成
する物質の膜構成は、要求される性能、例えば耐熱性、
反射防止性、反射光色、耐久性、表面硬度などによって
実験的に定められるべきものである。
【0021】また、これらの反射防止膜を形成する二酸
化珪素を含めた各無機物の被膜化方法としては、真空蒸
着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等、
いわゆるPVD(Physical Vapor Deposition)技術に
よればよい。
【0022】このPVD技術に適した無機物としては、
SiO2以外にAl23,ZrO2,TiO2,Ta
23,SiO,HfO2、ZnO,TiO,Ti23
23,Sb23,MgO,CeO2、さらにはIn2
3/SnO2混成材料等の無機酸化物が好ましく適用され
る。
【0023】反射防止膜をSiO2膜とこれら無機物膜
の多層構造とする場合、反射防止膜の最も外表層膜はS
iO2膜であることが好ましい。SiO2膜以外の場合に
は充分な表面硬度が得られないばかりか、本発明の目的
である耐汚染性、耐擦傷性の向上、さらにはこれら性能
の耐久性が顕著に現れない。
【0024】また、表層膜の膜厚は、反射防止効果以外
の要求性能によってそれぞれ決められるべきものである
が、特に、反射防止効果を最大限に発揮させる目的には
表層膜の光学的薄膜を対象とする光波長の1/4ないし
はその奇数倍に選択することが極小の反射率すなわち極
大の透過率を与えるという点から好ましい。
【0025】一方、前記表層膜の下層部については特に
限定されない。すなわち、表層膜を直接基材上に被膜形
成させることも可能であるが、反射防止効果をより顕著
なものにするためには、基材上に表層膜より屈折率の高
い被膜を1層以上被覆することが有効である。これら複
層の反射防止膜の膜厚及び屈折率の選択に関してもいく
つかの提案がなされている(光学技術コンタクトVo.
9,No.8,pp17,〔1971〕)。
【0026】本発明はこれらの実質的に表層膜が二酸化
珪素からなる単層または多層の反射防止膜の表面に末端
に極性基を持つパーフルオロポリエーテル、末端に極性
基を持つパーフルオロ炭素あるいは末端に極性基を持つ
部分フッ素化炭化水素が被覆されるものである。
【0027】このうち末端に極性基を持つパーフルオロ
ポリエーテルとは、末端に長鎖アミノ基を有するカルボ
ン酸塩が好ましいが、特にこれに限定されるものではな
い。また、かかる末端に極性基を持つパーフルオロポリ
エーテルの分子量は、特に限定されないが、安定性、取
扱い易さの点から、数平均分子量で500から1万、更
に好ましくは600から5000のものが使用される。
【0028】本発明のパーフルオロポリエーテルの繰り
返し単位構造を以下の構造式に示すが、これに必ずしも
限定されるものではない。
【0029】すなわち、単官能パーフルオロポリエーテ
ルとしては、化3〜化5等で表されるものが挙げられ
る。
【0030】
【化3】
【0031】
【化4】
【0032】
【化5】
【0033】また、多官能パーフルオロポリエーテルと
しては、化6等で表されるものが挙げられる。
【0034】
【化6】
【0035】但し、化3〜化6においてl,m,n,
k,p,qは1以上の整数である。
【0036】一方、末端に極性基を持つパーフルオロ炭
素あるいは末端に極性基を持つ部分フッ素化炭化水素は
化7で表される。
【0037】
【化7】
【0038】この化7において極性基Xとしては、例え
ば、アミノ基、アミン、アミド基、イミド基、カルボキ
シル基、メルカプト基、ヒドロキシル基、アルコキシカ
ルボニル基、カルボン酸無水物、エーテル基、カルボン
酸アミン塩、エステル基、水酸基、アルコキシシラノ
基、アルコキシチタノ基等が挙げられる。このうち末端
に長鎖アミノ基を有するカルボン酸塩あるいはアミン
が、SiO2膜との吸着特性の点から好ましい。但し、
パーフルオロ炭素(m=0)の場合には、メルカプト
基、アミン、水酸基といった水素結合を生ずるものは不
安定であるため避けることが望ましい。
【0039】疎水基であるパーフルオロ炭素部分あるい
は部分フッ素化炭化水素部分は、フッ素を含有している
ことによって反射防止膜の表面エネルギーを減少させ、
撥水性を高めるように作用する。
【0040】この疎水基部分においてフッ素化炭素の鎖
数nは1〜12に規制される。このフッ素化炭素の鎖数
nが小さいと表面エネルギーを低める効果が小さく、反
射防止膜の撥水性を十分に改善することができない。ま
た、この数nが大きいものは合成が難しく、実際上入手
が困難である。なお、フッ素化炭素の鎖数nのより好ま
しい範囲は、3〜12である。
【0041】また、特に疎水基が部分フッ素化炭化水素
である場合、炭化水素鎖の炭素数mは、安定性、溶剤へ
の溶解性、取り扱い易さ等の点から6〜30であるのが
好ましく、さらに12〜22であるのが好ましい。ま
た、合成の容易さを考えると、12〜20であるのが好
ましい。炭化水素鎖の炭素数mをこの範囲とすると、当
該部分フッ素化炭化水素が、トリフルオロ炭素を最表面
に存在せしめるように配向する。これによって反射防止
膜の表面エネルギーがさらに減少し、撥水性が改善され
ることになる。なお、従来、反射防止膜の表面処理に用
いられていたフッ素樹脂には配向性が見られず、このよ
うな作用を得ることができない。
【0042】これらパーフルオロポリエーテル、部分フ
ッ素化炭化水素、パーフルオロ炭素からなる被膜の膜厚
については、特に、限定されるものではないが、反射防
止性と水に対する静止接触角とのバランスおよび表面硬
度との関係から0.5nmから10nmが好ましい。
【0043】次に、塗布方法としては通常のコーティン
グ作業で用いられる方法が適用可能であるが、反射防止
効果の均一性、さらには反射干渉色のコントロールとい
う観点からスピン塗布、浸漬塗布、カーテンフロー塗
布、スプレー塗布などが好ましく用いられる。また、作
業性の点から紙、布などの材料に液を含浸させて塗布流
延させる方法も好ましく使用される。
【0044】これらの有機含有硬化性物質は、通常揮発
性溶剤に希釈して塗布される。溶媒として用いられるも
のは、特に限定されないが、使用にあたっては組成物の
安定性、SiO2膜に対する濡れ性、揮発性などを考慮
して決められるべきである。長鎖炭化水素を含有しない
パーフルオロポリエーテルあるいはパーフルオロ炭素の
場合には、フロンあるいはパーフルオロアルカン系の溶
剤に限られる。長鎖炭化水素を含有する部分フッ素化炭
化水素では、炭化水素系溶剤等を含めた通常の有機溶剤
を1種単独あるいは2種以上を混合して使用することが
できる。
【0045】本発明においてプラスチック基材とは、有
機高分子からなる基材であればいかなるものでも良い、
透明性、屈折率、分散などの光学特性、さらには耐衝撃
性、耐熱性、耐久性などの諸物性からみて特にポリメチ
ルメタクリレートおよびその共重合体、ポリカーボネー
ト、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート(C
R−39)、(臭素化)ビスノールフェノールAのジ
(メタ)アクリレート重合体およびおよびその共重合
体、(臭素化)ビスフェノールAのモノ(メタ)アクリ
レートのウレタン変性モノマーの重合体およびおよびそ
の共重合体、ポリエステル特にポリエチレンテレフタレ
ート、ポリエチレンナフタレートおよび不飽和ポリエス
テル、アクリロニトリル−スチレン共重合体、塩化ビニ
ル、ポリウレタン、エポキシ樹脂などが好ましい。ま
た、アラミド(芳香族ポリアミド)系樹脂の使用も可能
である。
【0046】さらにハードコートなどの被膜材料で被覆
された上記のプラステック基材とした反射防止膜にも好
ましく適用できる。
【0047】特に、本発明の無機物からなる反射防止膜
の下層にある被膜材料によって付着性、硬度、耐薬品
性、耐久性、染色性等の諸物性を向上させることが可能
である。
【0048】また、硬度向上のためにはこれまでプラス
テックの表面高硬度化被膜として知られる各種の材料を
適用したものを用いることができる(特公昭50−28
092号公報、特公昭50−28446号公報、特公昭
50−39449号公報、特公昭51−24368号公
報、特開昭52−112698号公報、特公昭57−2
735号公報)。さらには、(メタ)アクリル酸とペン
タエリスリトールなどから得られるアクリル系架橋物で
あっても良い。
【0049】なお、上記パーフルオロポリエーテル、パ
ーフルオロ炭素あるいは部分フッ素化炭化水素を塗布す
るに際しては、塗布されるべき反射防止膜の表面は清浄
化されていることが好ましく、清浄化に際しては界面活
性剤による汚れ除去、さらには有機溶剤による脱脂、フ
レオンによる蒸気洗浄などが適用される。また、密着
性、耐久性の向上を目的として各種の前処理を施すこと
も有効な手段である。特に、好ましく用いられる方法と
しては、活性化ガス処理、酸、アルカリなどによる薬品
処理などが挙げられる。
【0050】本発明によって得られる反射防止フィルタ
ーは通常の反射防止膜より汚れにくく、汚れが目立たな
い。さらには、汚れがとれやすい。あるいは、表面のす
べりが良好なために傷がつきにくいなどの長所を有し、
かつこれらの性能に加えて摩耗に関しても耐久性がある
ということから、表示素子用として使用される。
【0051】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的な実施の形
態について図面に基づいて説明するが、本発明はこの実
施例に限定されるものではない。
【0052】本実施の形態は、陰極線管(以下CRTと
呼ぶ)を備えた表示装置に適用したものである。このよ
うなCRTを用いた表示装置として、例えばモノクロー
ムCRTを用いた表示装置の要部の基本的構成は、図1
に示すようになっている。この図1において、CRT1
は、内部が真空に保たれ、内面に蛍光体が塗布されたパ
ネル部2と、内面に設けられた導電膜により電子ビーム
走行空間を等電位に保つと共に外面の導電膜との間で高
耐電圧の平滑コンデンサを形成するファンネル部3と、
電子銃6が内部に設けられたネック部5とを有してな
る。
【0053】端子12を介して供給されたビデオ信号V
Dは、ビデオ増幅器10にて増幅され、電子銃6に送ら
れる。当該電子銃6からはビデオ信号VDに応じた電子
ビームedが発射される。また、偏向回路11は、ビデ
オ増幅器10においてビデオ信号VDから取り出された
水平、垂直同期信号に応じて偏向ヨーク4を駆動する。
上記電子銃6から発射された電子ビームedは、上記偏
向回路11により駆動される偏向ヨーク4から発生する
磁界によって軌道を曲げられ、上記パネル部2内面の蛍
光面を走査しながら、当該蛍光面の蛍光体を発光させ
る。なお、この図1の場合の電子ビームedの走査方向
は、紙面に対し垂直方向となる。
【0054】このような表示装置において、表示画面及
び/又はその前面板の表面に二酸化珪素を主体とする単
層または多層の反射防止膜が設けられ、前記反射防止膜
の表面に末端に極性基を持つパーフルオロポリエーテ
ル、末端に極性基を持つパーフ1ルオロ炭素あるいは末
端に極性基を持つ部分フッ素化炭化水素の少なくともい
ずれかが被覆されてなる。
【0055】具体的には以下の実施例の場合のように製
造した。
【0056】なお、本実施の形態は、CRT1のパネル
部である上記表示画面2に上記被膜を形成したが、本発
明は、上記表示画面2の前面板に被膜を形成するもので
あってもよく、さらに、上記表示画面2と上記前面板の
両方に被膜するものでもよい。また、本発明は、CRT
を有する表示装置の他、液晶ディスプレイ、プラズマデ
ィスプレイ、発光ダイオードディスプレイなどのOA機
器に広く適用されるものである。
【0057】
【実施例】以下、反射防止フィルターの製造方法の一実
施例を具体的に説明する。なお、実施例中の部数は重量
部を表す。
【0058】まず、次のようにして反射防止膜を形成し
た。
【0059】<反射防止膜の作製>基材として厚さ10
0μmの透明なポリエチレンテレフタレート(PET)
フィルムを用いた。このポリエチレンテレフタレート
(PET)の片面に反射防止膜として真空蒸着法によ
り、厚さ120nmのITOをプレ蒸着し、その上にS
iO2膜を20nmの厚さで蒸着形成した。
【0060】そして、このようにして形成した反射防止
膜に対する表面処理の効果を検討した。
【0061】実施例1 表1に示すパーフルオロポリエーテル(潤滑剤1:数平
均分子量2000)0.4部に、ヘキサン380部、ア
ルコール20部をそれぞれ添加混合し、均一な溶液とし
たのち、さらにメンブランフィルターでろ過を行ってコ
ーティング組成物を得た。
【0062】このコーティング組成物を、反射防止膜の
表面に5cm/min引き上げ速度でディップコーティ
ングし、反射防止性を有する光学部品を得た。
【0063】実施例2〜実施例10 潤滑剤1の代わりに表1に示す潤滑剤2〜潤滑剤10を
使用すること以外は実施例1と同様にして反射防止膜に
コーティング処理を行った。
【0064】実施例11〜実施例20 潤滑剤1の代わりに表2に示す潤滑剤11〜潤滑剤20
を使用すること以外は実施例1と同様にして反射防止膜
にコーティング処理を行った。
【0065】比較例1 反射防止膜にコーティング処理を行わなかった例であ
る。
【0066】比較例2〜比較例5 潤滑剤1の代わりに表3に示す化合物を使用すること以
外は実施例1と同様にして反射防止膜にコーティング処
理を行った。
【0067】そして、これらのコーティング処理を行っ
た反射防止膜について以下の評価を行った。
【0068】(a)耐汚染性試験 水道水5mlをフィルター面にしたたらせ、室温雰囲気
下で48時間放置した後、布で拭いた時の水垢の残存状
態を観察した。水垢が除去できた時を良好とし、除去で
きなかった時を不良とした。
【0069】(b)表面すべり性 鉛筆で表面を引っかいたときの引っかかり具合を評価し
た。判定方法は次の通りである。後述する表1〜表3に
おいて、○、△、×は、各々以下の意味内容を示す。○
=まったく引っかからない;△=強くすると引っかか
る;×=弱くしても引っかかる
【0070】(c)耐摩耗性試験 防止膜表面をスチールウール10000、200g荷重
下で30回擦った後傷が付くかどうかで確認した。○=
まったく付かない;△=細かく傷が付く;×=傷が著し
【0071】(d)手垢の付きにくさ 手垢の付きにくさについて、目視で評価した。
【0072】○=手垢が付いてもめだたない;△=付く
が簡単に除去できる;×=付いた跡が目立つ 以上の評価結果を、潤滑剤の構造と併せて表1〜表3に
示す。なお、表1中の潤滑剤1〜潤滑剤10の数平均分
子量はいずれも2000である。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】
【表3】
【0076】このように実施例1〜実施例10では末端
に極性基を持つパーフルオロポリエーテルを使用してお
り、実施例11〜実施例16では末端に極性基を持つ部
分フッ化炭化水素を使用している。また、実施例17〜
実施例20では末端に極性基を持つパーフルオロ炭素を
使用している。これら化合物で処理した実施例1〜実施
例20の反射防止膜は、いずれも耐汚染性、耐すべり
性、耐摩耗性試験、手垢の付きにくさのすべてについ
て、優れた結果が得られた。
【0077】これに対して、比較例1〜比較例5では、
耐汚染性、耐すべり性、耐摩耗性試験、手垢の付きにく
さのすべてを満たすものは得られなかった。
【0078】このことから、末端に極性基を持つパーフ
ルオロポリエーテル、末端に極性基を持つ部分フッ素化
炭化水素あるいは末端に極性基を持つパーフルオロ炭素
は、手垢、水垢等による反射防止膜の汚染を防止する効
果があり、また反射防止膜に潤滑剤性を付与し、滑り
性、耐摩耗性が改善できることがわかった。
【0079】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
にかかる反射防止フィルターは、透明基材上に二酸化珪
素を主体とする単層または多層の反射防止膜が設けら
れ、この反射防止膜に末端に極性基を持つパーフルオロ
ポリエーテル、が被覆されてなることから、以下のよう
な効果が得られる。
【0080】(1)指紋手垢などによる汚れがつきにく
く、又、目立ちにくい。 (2)水垢などが付着して、乾燥されても容易に除去す
ることが可能である。 (3)表面すべり性が良好である。 (4)ほこりなどの汚れがつきにくく、使用性が良い。 (5)摩擦あるいは摩耗に対する耐久性がある。
【0081】他方、本発明にかかる表示装置は、表示画
面及び/又はその前面板の表面に上記被膜が形成されて
なるものであるから、上記(1)から(5)までの各効
果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した表示装置の一構成例を示す図
である。
【符号の説明】
1 CRT(陰極線管)、2 パネル部(表示画面)
フロントページの続き (72)発明者 小林 富夫 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明基材上に二酸化珪素を主体とする単
    層または多層の反射防止膜が設けられ、この反射防止膜
    に末端に極性基を持つパーフルオロポリエーテルが被覆
    されてなることを特徴とする反射防止フィルター。
  2. 【請求項2】 透明基材上に二酸化珪素を主体とする単
    層または多層の反射防止膜が設けられ、この反射防止膜
    に化1で表される化合物が被覆されてなることを特徴と
    する反射防止フィルター。 【化1】
  3. 【請求項3】 表示画面及び/又はその前面板の表面に
    二酸化珪素を主体とする単層または多層の反射防止膜が
    設けられ、この反射防止膜に末端に極性基を持つパーフ
    ルオロポリエーテルが被覆されてなることを特徴とする
    表示装置。
  4. 【請求項4】 表示画面及び/又はその前面板の表面に
    二酸化珪素を主体とする単層または多層の反射防止膜が
    設けられ、この反射防止膜に化2で表される化合物が被
    覆されてなることを特徴とする表示装置。 【化2】
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