JPH09126252A - 車両用ブレーキ - Google Patents

車両用ブレーキ

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JPH09126252A
JPH09126252A JP4633496A JP4633496A JPH09126252A JP H09126252 A JPH09126252 A JP H09126252A JP 4633496 A JP4633496 A JP 4633496A JP 4633496 A JP4633496 A JP 4633496A JP H09126252 A JPH09126252 A JP H09126252A
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brake
braking
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 保守作業が容易で、かつ、走行時の回転抵抗
が小さい車両用ブレーキを提供することを課題とする。 【解決手段】 ドラム44は、大略、鉄鋼材料により構
成されており、鉄鋼材料の内面に焼結金属摩擦材を焼結
形成することにより、制動内壁44aを形成している。
焼結金属摩擦材の原料として、銅または鉄を主成分とし
た合金粉を用いている。ドラム44の制動内壁44a
を、熱伝導率が溶製鉄鋼材料より大きい焼結金属摩擦材
により形成することで、ドラム44とブレーキシュー4
2との焼付きが生じにくくなる。したがって、冷却用の
グリスを充填する必要がない。このため、走行時におい
て、制動体と摩擦体との間に存するグリスの粘性抵抗に
基づく回転抵抗が生ずることはない。また、グリスの補
充等の必要がなく、ブレーキの保守作業が容易となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は車両用ブレーキに
関し、特に、自転車等に用いられるローラーブレーキに
関する。
【0002】
【従来の技術】自転車等に用いられるブレーキとして、
ローラーブレーキが知られている。従来の自転車のロー
ラーブレーキ2の構成を図5に示す。自転車の走行時に
おいては、図5Aに示すように、自転車の車輪(図示せ
ず)に直結されたドラム4は、ブレーキシュー6による
押圧力を受けておらず、自由に回転し得る。
【0003】図5Bに示すように、操作ワイヤ8をP1
方向に操作すると、カム10はP2方向に回動する。カ
ム10のP2方向への回動にともない、ローラー12を
介してブレーキシュー6が、ドラム4の内面4aに押し
つけられる。一方、ブレーキシュー6は、ブレーキアー
ム14に設けられたシューストッパー(図示せず)によ
り、回転を阻止されている。
【0004】したがって、ドラム4はブレーキシュー6
との間に作用する摩擦力により、回転を抑制される。こ
のように、操作ワイヤ8をP1方向に操作することによ
り、自転車にブレーキをかけることができる。
【0005】しかしながら、ドラム4およびブレーキシ
ュー6は、強度の確保等の理由から、ともに鉄鋼材料に
より形成されている。このため、摩擦係数が比較的小さ
い。したがって、大きい摩擦力を得るために、ドラム4
に対するブレーキシュー6の押圧力を大きくする必要が
ある。この結果、制動時に過大な摩擦熱が発生し、ドラ
ム4の内面4aとブレーキシュー6との焼付き等が生ず
る。
【0006】このため、ローラーブレーキ2の内部空間
16には、冷却を主目的としてグリスが充填されてい
る。このように、グリスを充填することにより、焼付き
等の発生を防止することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような
従来のローラーブレーキ2には、次のような問題点があ
った。上述のように、従来のローラーブレーキ2におい
ては、グリスが消耗した場合は、これを補充することが
不可欠となる。このため、特に一般ユーザーにとって、
保守作業が煩雑であった。
【0008】また、ドラム4の内面4aとブレーキシュ
ー6との間にグリスが介在するため、自転車の走行時、
特に、グリスの温度が低い走行初期に、グリスの粘性抵
抗に基づく車輪の回転抵抗が生ずる。この回転抵抗は、
グリスの粘度が増大する冬期や、寒冷地において顕著に
あらわれる。このため、自転車の走行時におけるパワー
ロスが生じていた。
【0009】さらに、ドラム4に対するブレーキシュー
6の押圧力を大きくするために、カム10のカム面の傾
斜を小さくする必要がある。このため、制動状態から、
ブレーキレバー(図示せず)を釈放することによりカム
10がP2方向と逆の方向に戻った状態においても、ブ
レーキシュー6が十分戻りきらず、ドラム4の内面4a
とブレーキシュー6とが接触しがちであった。この結
果、自転車の走行時に、この接触抵抗に基づく車輪の回
転抵抗が生じていた。
【0010】この発明は、このような従来のローラーブ
レーキ2等車両用ブレーキの問題点を解決し、保守作業
が容易で、かつ、走行時の回転抵抗が小さい車両用ブレ
ーキを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1の車両用ブレー
キは、車両に対し固定的に設けられた固定部材、固定部
材に対し回動可能に支持されるとともに、固定部材に対
する回動軸を中心とする略円筒状の制動内壁を有する制
動体、制動体の制動内壁の内側に前記回動軸を中心とす
る略同一円周上に複数配置され、固定部材に対し回動不
能にかつ前記回動軸の半径方向に移動可能に支持される
とともに、制動内壁に対し当接し得る摩擦面と摩擦面の
裏側に設けられた押圧面とを有する摩擦体、摩擦体の押
圧面の内側に前記回動軸を中心とする略同一円周上に複
数配置され、押圧面を押圧し得る転動体、転動体の内側
に配置され、固定部材に対し回動可能に支持されるとと
もに、回動に伴い転動体を前記回動軸の半径方向に移動
させ得るカム面を有するカム体、を備えた車両用ブレー
キにおいて、制動体の制動内壁または摩擦体の摩擦面の
一方または双方の、一部または全体を、熱伝導率が溶製
鉄鋼材料より大きい摩擦材により形成したこと、を特徴
とする。
【0012】請求項2の車両用ブレーキは、請求項1の
車両用ブレーキにおいて、制動体および摩擦体の、摩擦
材により形成すべき部分以外の部分を、鉄鋼材料により
形成し、摩擦材を、鉄鋼材料の表面に焼結形成した焼結
金属としたこと、を特徴とする。
【0013】請求項3の車両用ブレーキは、請求項2の
車両用ブレーキにおいて、摩擦材を、銅または鉄を主成
分とする焼結金属としたこと、を特徴とする。
【0014】請求項4の車両用ブレーキは、請求項1か
ら請求項3のいずれかの請求項に記載の車両用ブレーキ
において、制動体の制動内壁の一部または全体を、前記
摩擦材により形成したこと、を特徴とする。
【0015】請求項5の車両用ブレーキは、請求項1か
ら請求項4のいずれかの請求項に記載の車両用ブレーキ
において、固定部材と摩擦体との間または摩擦体相互間
に弾性体を介装し、制動体の制動内壁と摩擦体の摩擦面
とが離間するよう摩擦体を付勢したこと、を特徴とす
る。
【0016】請求項6の車両用ブレーキは、車両に対し
固定的に設けられた固定部材、固定部材に対し回動可能
に支持されるとともに、固定部材に対する回動軸を中心
とする略円筒状の制動内壁を有する制動体、制動体の制
動内壁の内側に前記回動軸を中心とする略同一円周上に
複数配置され、固定部材に対し回動不能にかつ前記回動
軸の半径方向に移動可能に支持されるとともに、制動内
壁に対向する方向に形成された摩擦面と摩擦面の裏側に
設けられた押圧面とを有する摩擦体、摩擦体の押圧面の
内側に前記回動軸を中心とする略同一円周上に複数配置
され、押圧面を押圧し得る転動体、転動体の内側に配置
され、固定部材に対し回動可能に支持されるとともに、
回動に伴い転動体を前記回動軸の半径方向に移動させ得
るカム面を有するカム体、を備えた車両用ブレーキにお
いて、制動体の制動内壁と摩擦体の摩擦面との間に、前
記回動軸を中心とする略同一円周上に配置され、かつ、
固定部材に対し回動可能にかつ前記回動軸の半径方向に
変位可能に設けられるとともに、制動内壁に対し当接し
得る外側摩擦面と外側摩擦面の裏側に設けられ摩擦体の
摩擦面に対し当接し得る内側摩擦面とを有する補助摩擦
体を備えたこと、を特徴とする。
【0017】請求項7の車両用ブレーキは、請求項6の
車両用ブレーキにおいて、前記補助摩擦体を、略円筒状
に形成したこと、を特徴とする。
【0018】請求項8の車両用ブレーキは、請求項6の
車両用ブレーキにおいて、前記補助摩擦体を、略C字状
に形成したこと、を特徴とする。
【0019】請求項9の車両用ブレーキは、請求項6の
車両用ブレーキにおいて、前記補助摩擦体を複数の補助
摩擦体片に分割し、各補助摩擦体片を前記回動軸を中心
とする略同一円周上に配置するよう構成したこと、を特
徴とする。
【0020】請求項10の車両用ブレーキは、請求項6
ないし請求項9のいずれかの車両用ブレーキにおいて、
前記補助摩擦体の外側摩擦面または内側摩擦面の一方ま
たは双方の、一部または全体を、熱伝導率が溶製鉄鋼材
料より大きい摩擦材により形成したこと、を特徴とす
る。
【0021】請求項11の車両用ブレーキは、請求項1
0の車両用ブレーキにおいて、前記制動体の制動内壁お
よび前記摩擦体の摩擦面を鉄鋼材料により形成し、前記
摩擦材を、焼結形成した焼結金属としたこと、を特徴と
する。
【0022】請求項12の車両用ブレーキは、請求項1
1の車両用ブレーキにおいて、摩擦材を、銅または鉄を
主成分とする焼結金属としたこと、を特徴とする。
【0023】
【発明の効果】請求項1の車両用ブレーキは、制動体の
制動内壁または摩擦体の摩擦面を、熱伝導率が溶製鉄鋼
材料より大きい摩擦材により形成したことを特徴とす
る。
【0024】したがって、制動体と摩擦体との焼付きが
生じにくい。このため、ブレーキの内部空間に、冷却用
のグリスを充填する必要がない。すなわち、走行時にお
いて、制動体と摩擦体との間に存するグリスの粘性抵抗
に基づく回転抵抗が生ずることはない。また、グリスの
補充等の必要がなく、ブレーキの保守作業が容易とな
る。
【0025】さらに、制動体と摩擦体との摩擦係数が大
きいから、制動体に対する摩擦体の押圧力を大きくする
必要がない。したがって、カム体のカム面の傾斜を大き
くすることができる。このため、非制動時における制動
体と摩擦体との間隔を十分確保することができる。この
結果、自転車の走行時に、制動体と摩擦体との接触抵抗
に基づく回転抵抗が生ずることはない。
【0026】また、非制動時における制動体と摩擦体と
の間隔を十分確保することができるため、カム体を駆動
する操作ワイヤ等の取り付け調整の余裕度が大きくな
る。したがって、自転車へのブレーキの取り付け調整作
業を容易に行なうことができる。さらに、操作ワイヤ
が、使用等により多少伸びた場合であっても、ブレーキ
性能が低下することはない。したがって、ブレーキの信
頼性が極めて高い。
【0027】請求項2および請求項3の車両用ブレーキ
は、さらに、摩擦材を、鉄鋼材料の表面に焼結形成した
焼結金属としたことを特徴とし、また、摩擦材は銅また
は鉄を主成分とする焼結金属としたことを特徴とする。
【0028】したがって、摩擦材により摺動面の熱伝導
率を溶製鉄鋼材料より大きくすることができるととも
に、鉄鋼材料により制動体および摩擦体の強度を確保す
ることができる。すなわち、強度を維持しつつ、走行時
の回転抵抗が小さく保守作業が容易な車両用ブレーキを
実現することができる。
【0029】請求項4の車両用ブレーキは、さらに、制
動体の制動内壁を前記摩擦材により形成したことを特徴
とする。
【0030】したがって、一の制動体の略円筒状の制動
内壁に摩擦材を形成すればよい。このため、複数個ある
摩擦体の摩擦面にそれぞれ摩擦材を形成する場合に比
べ、摩擦材の形成が容易である。また、形成した摩擦材
の修正作業も容易である。この結果、、摩擦材を形成す
るコストを抑えることができる。すなわち、走行時の回
転抵抗が小さく保守作業が容易な車両用ブレーキを、低
コストで実現することができる。
【0031】請求項5の車両用ブレーキは、さらに、弾
性体を介装し、制動体の制動内壁と摩擦体の摩擦面とが
離間するよう摩擦体を付勢したことを特徴とする。
【0032】したがって、走行時における制動体と摩擦
体との接触を確実に防止することができる。すなわち、
走行時の回転抵抗を、より小さくすることができる。ま
た、走行時における、摩擦体のガタツキ音の発生を防止
することができる。
【0033】請求項6の車両用ブレーキは、制動体の制
動内壁と摩擦体の摩擦面との間に、固定部材に対し回動
可能でかつ半径方向に変位可能な、補助摩擦体を備えた
ことを特徴とする。
【0034】したがって、制動体と補助摩擦体との間で
焼付きが生じた場合でも、補助摩擦体と摩擦体との間で
は焼付きが生じていないため、制動機能が確保される。
逆に、摩擦体と補助摩擦体との間で焼付きが生じた場合
でも、補助摩擦体と制動体との間では焼付きが生じてい
ないため、制動機能が確保される。
【0035】このため、ブレーキの内部空間に、冷却用
のグリスを充填する必要がない。すなわち、走行時にお
いて、制動体と摩擦体との間に存するグリスの粘性抵抗
に基づく回転抵抗が生ずることはない。また、グリスの
補充等の必要がなく、ブレーキの保守作業が容易とな
る。
【0036】請求項7の車両用ブレーキは、補助摩擦体
を略円筒状に形成したことを特徴とする。肉厚の薄い補
助摩擦体を用いる場合には、略円筒状であっても、半径
方向にある程度変位可能であるため、制動機能を損うこ
とがない。このような場合には、切れ目のない略円筒状
の補助摩擦体を用いることで、補助摩擦体と摩擦体等と
の引っ掛かりの発生を防止することができる。
【0037】請求項8の車両用ブレーキは、補助摩擦体
を略C字状に形成したことを特徴とする。したがって、
肉厚の厚い補助摩擦体を用いた場合であっても、半径方
向に変位可能であるため、制動機能を確保することがで
きる。このため、製作の比較的容易な肉厚の厚い材料を
用いることができる。この結果、製造コストの低減を図
ることができる。
【0038】請求項9の車両用ブレーキは、補助摩擦体
を複数の補助摩擦体片に分割し、各補助摩擦体片を前記
回動軸を中心とする略同一円周上に配置するよう構成し
たことを特徴とする。
【0039】したがって、補助摩擦体を一体的に形成す
るのが困難な場合等においては、複数の補助摩擦体片に
分割して形成することができる。また、複数の補助摩擦
体片に分割することにより、一体的に形成した場合に比
べ、補助摩擦体の半径方向への変位が容易になる。この
ため、制動能力が向上する。
【0040】請求項10の車両用ブレーキは、補助摩擦
体の一部または全体を、熱伝導率が溶製鉄鋼材料より大
きい摩擦材により形成したことを特徴とする。したがっ
て、さらに、制動体、補助摩擦体、摩擦体間における焼
付きが生じにくい。
【0041】また、制動体、補助摩擦体、摩擦体間の摩
擦係数が大きいから、摩擦体の押圧力を大きくする必要
がない。したがって、カム体のカム面の傾斜を大きくす
ることができる。このため、非制動時における制動体、
補助摩擦体、摩擦体間の間隔を十分確保することができ
る。この結果、自転車の走行時に、これらの接触抵抗に
基づく回転抵抗が生ずることはない。
【0042】また、非制動時における制動体、補助摩擦
体、摩擦体間の間隔を十分確保することができるため、
カム体を駆動する操作ワイヤ等の取り付け調整の余裕度
が大きくなる。したがって、自転車へのブレーキの取り
付け調整作業を容易に行なうことができる。さらに、操
作ワイヤが、使用等により多少伸びた場合であっても、
ブレーキ性能が低下することはない。したがって、ブレ
ーキの信頼性が極めて高い。
【0043】また、摩擦材が摩耗した場合等において
は、補助摩擦体のみを交換すれば済むから、保守作業が
容易である。さらに、補助摩擦体全体を摩擦材により形
成する場合には、制動体の制動内壁または摩擦体の摩擦
面を、摩擦材により形成する場合に比し、製造が容易で
あり、製造コストも低減することができる。
【0044】請求項11および請求項12の車両用ブレ
ーキは、制動体の制動内壁および摩擦体の摩擦面を鉄鋼
材料により形成し、摩擦材を、焼結形成した焼結金属と
したことを特徴とし、また、摩擦材は銅または鉄を主成
分とする焼結金属としたことを特徴とする。
【0045】したがって、摩擦材により摺動面の熱伝導
率を溶製鉄鋼材料より大きくすることができるととも
に、鉄鋼材料により制動体および摩擦体の強度を確保す
ることができる。すなわち、強度を維持しつつ、走行時
の回転抵抗が小さく保守作業が容易な車両用ブレーキを
実現することができる。
【0046】
【発明の実施の形態】図2に、この発明の一の実施形態
による車両用ブレーキであるローラーブレーキ22を用
いた自転車の後車輪のハブ部を、自転車の後方からみた
図(半断面図)を示す。
【0047】図2に示すように、車両である自転車のフ
レーム(図示せず)に固定されたハブ軸24に、回動可
能にハブ26が支持されている。ハブ26は、ハブ胴2
6cと、その両端に形成された円板状の一対のハブ鍔2
6a、26bとを備えている。ハブ鍔26a、26bか
ら略放射状に張られたスポーク(図示せず)を介して、
リム(図示せず)、タイヤ(図示せず)等が保持され
る。ハブ26、スポーク、リム、タイヤ等により後車輪
が構成される。
【0048】ハブ26の左(X1方向)外方に、ローラ
ーブレーキ22が配置されている。なお、ハブ26の右
(X2方向)外方には、チェーン(図示せず)の駆動力
を一方向にのみハブ26に伝達するフリーホイール28
が配置されている。
【0049】図1に、ローラーブレーキ22を、図2の
V1から見た図(部分断面図)を示す。図2を参照しつ
つ、図1に基づきローラーブレーキ22の構造を説明す
る。ハブ軸24に螺合された玉押し30の外周に、カム
体である駆動カム32が回動可能に支持されている。
【0050】駆動カム32の外周には、後述するローラ
ー38を、ハブ軸24を中心とする半径方向に進退させ
るべく、同一形状に形成された複数のカム面32aが設
けられている。カム面32aは、駆動カム32のQ2方
向への回動にしたがって、ローラー38を半径方向外方
へ押し出すよう形成されている。
【0051】駆動カム32と操作アーム34とは、セレ
ーションS1により、相対回転不能に結合されている。
操作アーム34の先端にはワイヤ止め金具36を介して
ワイヤWが接続されている。また、ワイヤ止め金具36
には、操作アーム34を、Q2方向と反対の方向に付勢
するブレーキ戻しバネ56の一端が接続されている。
【0052】駆動カム32に設けられた複数のカム面3
2aに対向する位置に、それぞれ転動体であるローラー
38が配置されている。ローラー38の、円周方向(ハ
ブ軸24を中心とした円周方向)の位置をほぼ一定に維
持するために、リテーナ40が設けられている。
【0053】ローラー38の、半径方向(ハブ軸24を
中心とした半径方向)外方には、摩擦体であるブレーキ
シュー42が配設されている。ブレーキシュー42は、
ローラー38により押圧される押圧面42aと、押圧面
42aの反対側に設けられ後述するドラム44の制動内
壁44aに当接する摩擦面42bとを備えている。ブレ
ーキシュー42の押圧面42aと摩擦面42bとは、ハ
ブ軸24を中心とする同心の円弧状に形成されている。
【0054】ブレーキシュー42のほぼ中央には、摩擦
面42bに対して段落ち状に形成されたバネ座42cと
係止面42dとからなる切欠き42eが設けられてい
る。
【0055】なお、この実施形態においては、同一形状
のブレーキシュー42を3個設け、これらを円弧状に配
置することで、円周を3分割する形に構成している。ま
た、ブレーキシュー42は、鉄鋼材料により形成されて
いる。
【0056】切欠き42eに嵌入するように、摩擦体回
動阻止片であるシューストッパ46が配設されている。
シューストッパ46は、後述する固定部材であるブレー
キアーム48の一部を、図2に示すX2方向に立設して
形成する。シューストッパ46のバネ当接部46aと、
ブレーキシュー42のバネ座42cとの間には、「く」
の字に形成された弾性体である板バネ50が配置されて
いる。
【0057】ブレーキシュー42の半径方向外方には、
制動体である円筒状のドラム44が配置されている。ド
ラム44は、大略、鉄鋼材料により構成されており、鉄
鋼材料の内面に焼結金属摩擦材を焼結形成することによ
り、制動内壁44aを形成している。この実施形態にお
いては、焼結金属摩擦材の原料として、たとえば銅を主
成分とし、錫、鉄、鉛、亜鉛、黒鉛、シリカなどを含有
する合金粉を用いることができる。制動内壁44aと、
ブレーキシュー42の摩擦面42bとの摩擦係数は、好
ましくは0.2〜1.0程度、さらに好ましくは0.5
〜0.8程度である。また、この実施形態においては、
焼結金属摩擦材の厚さを、約0.5mmとしている。
【0058】図2に示すように、ドラム44の基部44
bと、ハブ26のハブ鍔26aの左外方に形成された円
筒部26dとは、セレーションS2により、相対回転不
能に結合されている。すなわち、ローラーブレーキ22
のドラム44はハブ26と一体となって、ハブ軸24に
回動可能に支持される。
【0059】また、図2に示すように、ブレーキアーム
48とカバー52とは、ハブ軸24に螺合された玉押し
30の左外方端面30aとロックナット54とにより、
X1方向およびX2方向に移動不能に挾着されている。
ブレーキアーム48は、さらに、自転車のフレーム(図
示せず)に固定されており、これにより、ブレーキアー
ム48のハブ軸24に対する回動が完全に阻止されてい
る。
【0060】つぎに、ローラーブレーキ22の動作を説
明する。図1は、制動時の状態を示す図である。ワイヤ
Wが、ブレーキレバー(図示せず)の操作により、Q1
方向に牽引される。これにより、ワイヤ止め金具36を
介して、操作アーム34および駆動カム32がQ2方向
に回動する。
【0061】駆動カム32がQ2方向に回動すると、駆
動カム32の外周に形成されたカム面32aの作用によ
り、ローラー38が、カム面32a上を転動しながら、
半径方向(ハブ軸24を中心とする半径方向)外方へ押
し出される。
【0062】押し出されたローラー38は、ブレーキシ
ュー42の押圧面42a上を転動しながら、ブレーキシ
ュー42を半径方向外方へ押し出す。押し出されたブレ
ーキシュー42の摩擦面42bは、ハブ26(図2参
照)と一体的に回転しているドラム44の制動内壁44
aに、所定の力で押しつけられる。したがって、ブレー
キシュー42の摩擦面42bと、ドラム44の制動内壁
44aとの間には、押圧力に応じた摩擦力が発生する。
【0063】一方、ブレーキシュー42は、係止面42
dとシューストッパ46との係合により、ハブ軸24回
りの回動が阻止されている。このため、上述の摩擦力
が、ドラム44を制動する制動力となる。
【0064】ドラム44に発生する制動トルクT
outは、次式により表わされる(図3参照)、 Tout=μdrm×Ddrm/(Dcam×(sinα+μr×cos
α))×Tin
【0065】ただし、 Tout:ドラム44に発生する制動トルク μdrm:ブレーキシュー42の摩擦面42bと、ドラム
44の制動内壁44aとの摩擦係数 Ddrm:ドラム44の内径 Dcam:駆動カム32とローラー38との接触径 α:カム角度 μr:ローラー38の転がり摩擦係数 Tin:駆動カム32に与えられる入力トルク である。
【0066】なお、上述のように、ドラム44の制動内
壁44aを、摩擦係数および熱伝導率が鉄鋼材料より大
きい銅を主成分とする焼結金属摩擦材により形成すると
ともに、ブレーキシューを鉄鋼材料により形成すること
で、ドラム44とブレーキシュー42との焼付きが生じ
にくい理由は、必ずしも明らかではないが、出願人は以
下のように考える。
【0067】すなわち、第1に、焼結金属摩擦材の熱伝
導率が大きいため、ドラム44とブレーキシュー42と
の間で発生した摩擦熱が他の部分に素速く伝導されて拡
散する。このため、ドラム44およびブレーキシュー4
2の温度が、それほど高くならない。
【0068】第2に、ドラム44の制動内壁44aとブ
レーキシュー42との材質が異なる。つまり、摩擦面相
互が異質金属である。このため、仮に、ドラム44およ
びブレーキシュー42の温度が高くなったとしても、同
質金属間で摩擦する場合に比べ、焼付きが生じにくいと
考えられるからである。
【0069】つぎに、図1に示す制動状態から、ブレー
キレバー(図示せず)を釈放すると、ワイヤWのQ1方
向への張力も開放される。このため、ワイヤ止め金具3
6を介して伝達されるブレーキ戻しバネ56の復元力に
より、操作アーム34および駆動カム32が、Q2方向
と反対の方向に強制的に回動させられる。
【0070】駆動カム32の、Q2方向と反対の方向へ
の回動にともない、ローラー38を介して、ブレーキシ
ュー42によりドラム44に付与されていた押圧力が0
となる。したがって、押圧力に基づく両者間の摩擦力も
0となる。この結果、ドラム44に対する制動が解除さ
れる。
【0071】また、駆動カム32の、Q2方向と反対の
方向への回動にともない、ローラー38およびブレーキ
シュー42の半径方向内方への移動が可能になる。一
方、シューストッパ46のバネ当接部46aと、ブレー
キシュー42のバネ座42cとの間に配置された板バネ
50の復元力により、ブレーキシュー42は、ローラー
38ともども、半径方向内方へ強制的に移動させられ、
ローラー38が駆動カム32のカム面32aに当接す
る。
【0072】したがって、制動が解除されると同時に、
ブレーキシュー42とドラム44との接触は完全に断た
れる。また、ブレーキシュー42およびローラー38の
ガタツキが防止される。
【0073】つぎに、図4に、この発明の他の実施形態
によるローラーブレーキ62の構成の一部を示す。この
ローラーブレーキ62は、ブレーキシュー64に設けら
れたバネ座64cがブレーキシュー64の端部に設けら
れている点で、バネ座42cがブレーキシュー42のほ
ぼ中央に設けられているローラーブレーキ22(図1参
照)と異なる。
【0074】すなわち、図4に示すローラーブレーキ6
2においては、ブレーキシュー64の端部に、摩擦面6
4bに対して段落ち状に形成されたバネ座64cと係止
面64dとからなる、L字状の切欠き64eが設けられ
ている。なお、ブレーキシュー64のほぼ中央には、ブ
レーキシュー64を撓み易くしてドラム44の制動内壁
44aに対する沿いをよくするために、切欠き64fが
設けられている。
【0075】シューストッパ46を挟むように、相互に
隣接するブレーキシュー64が配置されている。また、
隣接するブレーキシュー64の隣接するバネ座64c
と、シューストッパ46のバネ当接部46aとの間に
は、板バネ50が配置されている。その他の点は、図1
に示すローラーブレーキ22と同様である。
【0076】なお、上述の各実施形態においては、制動
内壁44aと、ブレーキシュー42の摩擦面42b等と
の摩擦係数は、好ましくは0.2〜1.0程度、さらに
好ましくは0.5〜0.8程度であるとし、焼結金属摩
擦材の厚さを、約0.5mmとしたが、この発明はこれ
に限定されるものではない。
【0077】また、ドラム44の制動内壁44aのみを
焼結金属摩擦材とし、ドラム44の他の部分を鉄鋼材料
としたが、強度上の問題が解決すれば、ドラム44の全
体を焼結金属摩擦材により形成することもできる。一
方、ドラム44の制動内壁44a全体を焼結金属摩擦材
としたが、ドラム44の制動内壁44aの一部のみを、
焼結金属摩擦材とすることもできる。
【0078】また、ドラム44の制動内壁44aを焼結
金属摩擦材により形成したが、ブレーキシュー42の一
部または全体を、焼結金属摩擦材により形成することも
できる。さらに、ドラム44およびブレーキシュー42
の双方の、一部または全体を、焼結金属摩擦材により形
成することもできる。
【0079】また、上述の各実施形態においては、弾性
体として、「く」の字に形成した板バネ50を用いた
が、弾性体としては、例えば「く」の字に形成した線材
バネ、コイルバネ等を用いることもできる。さらに、弾
性を有する合成樹脂、ゴム等を用いてもよい。
【0080】また、シューストッパ46に、バネ当接部
46aを設けるよう構成したが、シューストッパとバネ
当接部とを別個独立に設けることもできる。
【0081】また、固定部材に設けたバネ当接部とブレ
ーキシュー42との間に弾性体を介装するよう構成した
が、隣接するブレーキシュー42相互間に、例えば、引
っ張りコイルバネ等を介装することもできる。
【0082】また、シューストッパ46(ブレーキアー
ム48)とブレーキシュー42等との間またはブレーキ
シュー42等相互間に、弾性体を介装しないよう構成す
ることもできる。ただし、弾性体を介装することによ
り、走行時におけるブレーキシュー42等のガタツキ
を、防止することができる。
【0083】つぎに、図6〜図10に、この発明のさら
に他の実施形態によるローラーブレーキ122の構成を
示す。上述の各実施形態においては、制動時に、ドラム
44(制動体)とブレーキシュー42等(摩擦体)と
が、直接、接触するよう構成した。しかし、後述する実
施形態においては、制動体と摩擦体との間に補助摩擦体
を介在させ、制動時に、制動体と摩擦体とが、直接、接
触しないよう構成した。以下、この実施形態によるロー
ラーブレーキ122について説明する。
【0084】図7に、ローラーブレーキ122を用いた
自転車の後車輪のハブ部の一部を、自転車の後方からみ
た図(半断面図)を示す。
【0085】図7に示すように、自転車のフレーム(図
示せず)に固定されたハブ軸124に、回動可能にハブ
126が支持されている。ハブ126は、ハブ胴126
cと、その両端に形成された円板状の一対のハブ鍔(片
側のハブ鍔126aのみ図示)とを備えている。ハブ鍔
から略放射状に張られたスポーク(図示せず)を介し
て、リム(図示せず)、タイヤ(図示せず)等が保持さ
れる。ハブ126、スポーク、リム、タイヤ等により後
車輪が構成される。
【0086】ハブ126の左(X1方向)外方に、ロー
ラーブレーキ122が配置されている。なお、ハブ12
6の右(X2方向)外方には、チェーン(図示せず)の
駆動力を一方向にのみハブ126に伝達するフリーホイ
ール(図示せず)が配置されている。
【0087】図6に、ローラーブレーキ122を、図7
のV1から見た図(部分断面図)を示す。図7を参照し
つつ、図6に基づきローラーブレーキ122の構造を説
明する。ハブ軸124に螺合された玉押し130(図7
参照)およびロックナット133の外周に、カム体であ
る駆動カム132が回動可能に支持されている。
【0088】駆動カム132の外周には、後述するロー
ラー138を、ハブ軸124を中心とする半径方向に進
退させるべく、同一形状に形成された複数のカム面13
2aが設けられている。カム面132aは、駆動カム1
32のQ2方向への回動にしたがって、ローラー138
を半径方向外方へ押し出すよう形成されている。
【0089】駆動カム132と操作アーム134とは、
セレーションS11により、相対回転不能に結合されて
いる。操作アーム134の先端にはワイヤ止め金具13
6を介してワイヤWが接続されている。また、ワイヤ止
め金具136には、操作アーム134を、Q2方向と反
対の方向に付勢するブレーキ戻しバネ156の一端が接
続されている。
【0090】駆動カム132に設けられた複数のカム面
132aに対向する位置に、それぞれ転動体であるロー
ラー138が配置されている。ローラー138の、円周
方向(ハブ軸124を中心とした円周方向)の位置をほ
ぼ一定に維持するために、リテーナ140が設けられて
いる。
【0091】リテーナ140の一部には、紙面手前方向
(図7におけるX1方向)に係止部140aが突設され
ている。係止部140aは、後述するブレーキアーム1
48に設けられた、やや大きめの係合孔(図示せず)に
挿入されている。このため、リテーナ140は、ブレー
キアーム148に対して、円周方向にわずかに回動し得
る。
【0092】係止部140aとブレーキアーム148と
の間に、リテーナ戻しバネ141が設けられている。リ
テーナ140は、リテーナ戻しバネ141により、ブレ
ーキアーム148に対してQ2方向と逆の方向に付勢さ
れている。これは、制動時に、Q2方向にわずかに回動
したリテーナ140を、非制動時に、元の位置に戻すた
めである。
【0093】ローラー138の、半径方向(ハブ軸12
4を中心とした半径方向)外方には、摩擦体であるブレ
ーキシュー142が配設されている。ブレーキシュー1
42は、ローラー138により押圧される押圧面142
aと、押圧面142aの反対側に設けられ、後述する摩
擦リング143の内側摩擦面143aに当接する摩擦面
142bとを備えている。ブレーキシュー142の押圧
面142aと摩擦面142bとは、ハブ軸124を中心
とする同心の円弧状に形成されている。
【0094】ブレーキシュー142のほぼ中央には、押
圧面142aに対して段落ち状に形成された切欠き14
2eが設けられている。切欠き142eは、係止面14
2dを備えている。
【0095】なお、この実施形態においては、同一形状
のブレーキシュー142を3個設け、これらを円弧状に
配置することで、円周を3分割する形に構成している。
また、ブレーキシュー142は、鉄鋼材料により形成さ
れている。
【0096】切欠き142eに嵌入するように、摩擦体
回動阻止片であるシューストッパ146が配設されてい
る。シューストッパ146は、後述する固定部材である
ブレーキアーム148の一部を、図7に示すX2方向に
立設して形成する。
【0097】ブレーキシュー142の半径方向外方に
は、補助摩擦体である摩擦リング143が配置されてい
る。摩擦リング143は、図8Aに示すように、円筒の
一部を切り欠いた略C字状に形成されている。摩擦リン
グ143は、焼結金属摩擦材を焼結形成することにより
得られる。
【0098】この実施形態においては、焼結金属摩擦材
の原料として、たとえば銅を主成分とし、錫、鉄、鉛、
亜鉛、黒鉛、シリカなどを含有する合金粉を用いること
ができる。摩擦リング143の内側摩擦面143aとブ
レーキシュー142の摩擦面142bとの摩擦係数、お
よび、摩擦リング143の外側摩擦面143bと後述す
るドラム144の制動内壁144aとの摩擦係数は、と
もに、0.2〜1.0程度が好ましく、さらに好ましく
は0.5〜0.8程度である。また、摩擦リング143
の厚さを約2mm、幅(図7におけるX1方向寸法)を
約9mm、図8Aに示す切欠き寸法dを約1mmとして
いる。ただし、この発明は、このような摩擦係数、寸法
等に限定されるものではない。
【0099】また、この実施形態においては、摩擦リン
グ143の外側摩擦面143bの直径とドラム144の
制動内壁144aの直径とが、ほぼ等しくなるよう設定
している。したがって、ドラム144内に摩擦リング1
43を配置したとき、摩擦リング143の外側摩擦面1
43bがドラム144の制動内壁144aに内接するか
または、わずかに離間する状態になっている。ただし、
この発明は、上記寸法設定に限定されるものではない。
摩擦リング143の外側摩擦面143bの直径とドラム
144の制動内壁144aの直径とが、異なるよう設定
することもできる。
【0100】摩擦リング143の半径方向外方には、制
動体である円筒状のドラム144が配置されている。ド
ラム144は、鉄鋼材料により構成されている。図7に
示すように、ドラム144の基部144bと、ハブ12
6のハブ鍔126aの左外方に形成された円筒部126
dとは、セレーションS12により、相対回転不能に結
合されている。すなわち、ローラーブレーキ122のド
ラム144はハブ126と一体となって、ハブ軸124
に回動可能に支持される。なお、ドラム144の基部1
44b近傍には、水等がセレーションS12を介してド
ラム144の内部に侵入することを防止するためのラバ
ーシール145が取り付けられている。
【0101】なお、図7に示すように、ともにハブ軸1
24に螺合されたロックナット133と玉押し130と
のダブルナット効果により、玉押し130をハブ軸12
4に固定している。また、ブレーキアーム148とカバ
ー152とは、ともにハブ軸124に螺合されたロック
ナット133とロックナット154とにより、X1方向
およびX2方向に移動不能に挾着されている。ブレーキ
アーム148は、さらに、自転車のフレーム(図示せ
ず)に固定されており、これにより、ブレーキアーム1
48のハブ軸124に対する回動が完全に阻止されてい
る。
【0102】つぎに、ローラーブレーキ122の動作を
説明する。図6は、制動時の状態を示す図である。ワイ
ヤWが、ブレーキレバー(図示せず)の操作により、Q
1方向に牽引される。これにより、ワイヤ止め金具13
6を介して、操作アーム134および駆動カム132が
Q2方向に回動する。
【0103】駆動カム132がQ2方向に回動すると、
駆動カム132の外周に形成されたカム面132aの作
用により、ローラー138が、カム面132a上を転動
しながら、半径方向(ハブ軸124を中心とする半径方
向)外方へ押し出される。
【0104】押し出されたローラー138は、ブレーキ
シュー142の押圧面142a上を転動しながら、ブレ
ーキシュー142を半径方向外方へ押し出す。押し出さ
れたブレーキシュー142の摩擦面142bは、摩擦リ
ング143の内側摩擦面143aに当接し、C字状の摩
擦リング143を押し広げる。押し広げられた摩擦リン
グ143の外側摩擦面143bは、ハブ126(図7参
照)と一体的に回転しているドラム144の制動内壁1
44aに、所定の力で押しつけられる。したがって、ブ
レーキシュー142の摩擦面142bと、ドラム144
の制動内壁144aとの間には、摩擦リング143を介
して、押圧力に応じた摩擦力が発生する。
【0105】一方、ブレーキシュー142は、係止面1
42dとシューストッパ146との係合により、ハブ軸
124回りの回動が阻止されている。このため、上述の
摩擦力が、ドラム144を制動する制動力となる。
【0106】この場合、摩擦リング143は、ブレーキ
シュー142との間の摩擦力に起因する回転モーメン
ト、またはドラム144との間の摩擦力に起因する回転
モーメントのうち、大きい回転モーメントを生ずる部材
と、共回りする。したがって、なんらかの理由で、摩擦
リング143と上記部材の一方との間で焼付きが生じた
としても、摩擦リング143と上記部材の他方との間で
は、相対回転可能となっている。このため、焼付きによ
るブレーキのロック状態を回避することができる。な
お、出願人の実験によれば、摩擦リング143は、制動
初期においては、ドラム144に対して固定状態とな
り、制動後期においては、ブレーキシュー142に対し
て固定状態となる傾向を示した。
【0107】つぎに、図6に示す制動状態から、ブレー
キレバー(図示せず)を釈放すると、ワイヤWのQ1方
向への張力も開放される。このため、ワイヤ止め金具1
36を介して伝達されるブレーキ戻しバネ156の復元
力により、操作アーム134および駆動カム132が、
Q2方向と反対の方向に強制的に回動させられる。
【0108】駆動カム132の、Q2方向と反対の方向
への回動にともない、ローラー138を介して、ブレー
キシュー142、摩擦リング143、ドラム144間に
付与されていた押圧力が0となる。したがって、押圧力
に基づく上記部材間の摩擦力も0となる。この結果、ド
ラム144に対する制動が解除される。
【0109】この実施形態においては、図10に示すよ
うに、駆動カム132のカム面132aの傾斜を大きく
設定している。これは、上述のように、摩擦リング14
3と、ドラム144およびブレーキシュー142との間
の摩擦係数が大きいため、従来のローラーブレーキ2
(図5参照)の場合と異なり、上記部材間に与える押圧
力がそれほど大きくなくとも、大きい制動力が発生する
からである。
【0110】したがって、制動状態から、ブレーキレバ
ー(図示せず)を釈放して駆動カム132が非制動状態
に戻ったとき、摩擦リング143とブレーキシュー14
2との間隔が、十分大きくなる。すなわち、制動時には
十分な制動力が得られるとともに、走行時には、上記部
材間の摩擦に起因する車輪の回転抵抗はほとんど生じな
い。
【0111】また、このため、ワイヤWの取り付け調整
をある程度ラフに行なっても、あるいは、ワイヤWが、
使用により多少伸びた場合であっても、ブレーキ性能が
低下することはない。このため、自転車へのローラーブ
レーキ122の取り付け調整作業が容易であり、かつ、
ブレーキの信頼性も極めて高い。なお、前述の実施形態
(図1、図4参照)においても、図10に示すような、
カム面の傾斜の大きい駆動カムを用いることができる。
【0112】なお、この実施形態においては、摩擦リン
グ143全体を焼結金属摩擦材としたが、摩擦リング1
43の一部を焼結金属摩擦材とすることができる。たと
えば、内側摩擦面143aの全部または一部のみを焼結
金属摩擦材とすることもできる。逆に、外側摩擦面14
3bの全部または一部のみを焼結金属摩擦材とすること
もできる。さらに、摩擦リング143を鉄鋼材料により
形成することもできる。この場合、ドラム144および
ブレーキシュー142のうち、少なくとも一方の、一部
または全体を、焼結金属摩擦材により形成してもよい。
【0113】また、この実施形態においては、ブレーキ
シュー142とブレーキアーム148との間、またはブ
レーキシュー142相互間に、ブレーキシュー142を
強制的に摩擦リング143から離間するための弾性体
(図1参照、板バネ50)を設けなかったが、該弾性体
を設けるよう構成することもできる。
【0114】なお、この実施形態においては、略C字状
の摩擦リング143を用いたが、厚さtをある程度薄く
できる場合には、図8Bに示す、切欠きのない円筒状の
摩擦リング200を用いることができる。また、図9に
示すように、2分割の摩擦リング202、3分割の摩擦
リング204、あるいは4分割以上の摩擦リング(図示
せず)を用いることもできる。
【0115】なお、上述の各実施形態においては、ブレ
ーキシュー、ドラム、摩擦リングの各摺動面を、凹凸の
ない円筒面状に形成したが、ブレーキシュー、ドラム、
摩擦リングの各摺動面のうち少なくとも一つの摺動面の
全部または一部に、凹凸を有するパターンを設けること
もできる。たとえば、摺動面に、摺動方向に平行な、ま
たは、摺動方向に交差する方向の溝を形成することもで
きる。また、摺動面に、格子状の溝を設けることもでき
る。
【0116】また、上述の各実施形態においては、焼結
金属摩擦材の原料として、銅を主成分とし、錫、鉄、
鉛、亜鉛、黒鉛、シリカなどを含有する合金粉を用いた
が、焼結金属摩擦材の原料としては、これ以外のもの、
たとえば鉄を主成分とする焼結金属摩擦材であっても良
い。また、摩擦材として、焼結金属摩擦材以外の材料を
用いることもできる。また、焼結金属に油、樹脂等を含
浸し、焼結形成によることなく溶製材にコーティングす
る等、他の方法により摩擦材を形成することもできる。
【0117】また、この発明は、ドラムとブレーキシュ
ーとの間等に防錆オイル等を介在させる湿式、介在させ
ない乾式の別を問わず適用することができる。
【0118】また、転動体としてローラー38を用いた
が、転動体としては、ボール、樽状転動体、テーパ状転
動体等を用いることもできる。
【0119】また、摩擦体として、円周を3分割したブ
レーキシュー42等を用いたが、摩擦体はこれに限るも
のではない。たとえば、2分割、あるいは、4分割以上
の摩擦体を用いることもできる。
【0120】また、上述の各実施形態においては、自転
車の後車輪にこの発明を適用した場合を例に説明した
が、この発明は、自転車の前車輪にも適用することがで
きる。また、自転車以外にも、オートバイ、自動車等、
車両一般に適用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一の実施形態によるローラーブレー
キを、図2のV1から見た部分断面図である。
【図2】この発明の一の実施形態によるローラーブレー
キを用いた自転車の後車輪のハブ部を、自転車の後方か
らみた半断面図である。
【図3】この発明の一の実施形態によるローラーブレー
キの、制動動作における力学的関係を示す図面である。
【図4】この発明の他の実施形態によるローラーブレー
キの構成の一部を示す図面である。
【図5】従来のローラーブレーキの構成および動作を示
す図面である。
【図6】この発明のさらに他の実施形態によるローラー
ブレーキを、図7のV1から見た部分断面図である。
【図7】この発明のさらに他の実施形態によるローラー
ブレーキを用いた自転車の後車輪のハブ部の一部を、自
転車の後方からみた半断面図である。
【図8】この発明のさらに他の実施形態によるローラー
ブレーキに用いる摩擦リングの一例を示す図面である。
【図9】この発明のさらに他の実施形態によるローラー
ブレーキに用いる摩擦リングの一例を示す図面である。
【図10】この発明のさらに他の実施形態によるローラ
ーブレーキに用いる駆動カムの形状の一例を示す図面で
ある。
【符号の説明】
42・・・・・・・・ブレーキシュー 44・・・・・・・・ドラム 44a・・・・・・・制動内壁

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車両に対し固定的に設けられた固定部材、 固定部材に対し回動可能に支持されるとともに、固定部
    材に対する回動軸を中心とする略円筒状の制動内壁を有
    する制動体、 制動体の制動内壁の内側に前記回動軸を中心とする略同
    一円周上に複数配置され、固定部材に対し回動不能にか
    つ前記回動軸の半径方向に移動可能に支持されるととも
    に、制動内壁に対し当接し得る摩擦面と摩擦面の裏側に
    設けられた押圧面とを有する摩擦体、 摩擦体の押圧面の内側に前記回動軸を中心とする略同一
    円周上に複数配置され、押圧面を押圧し得る転動体、 転動体の内側に配置され、固定部材に対し回動可能に支
    持されるとともに、回動に伴い転動体を前記回動軸の半
    径方向に移動させ得るカム面を有するカム体、 を備えた車両用ブレーキにおいて、 制動体の制動内壁または摩擦体の摩擦面の一方または双
    方の、一部または全体を、熱伝導率が溶製鉄鋼材料より
    大きい摩擦材により形成したこと、 を特徴とする車両用ブレーキ。
  2. 【請求項2】請求項1の車両用ブレーキにおいて、 制動体および摩擦体の、摩擦材により形成すべき部分以
    外の部分を、鉄鋼材料により形成し、 摩擦材を、鉄鋼材料の表面に焼結形成した焼結金属とし
    たこと、 を特徴とするもの。
  3. 【請求項3】請求項2の車両用ブレーキにおいて、 摩擦材を、銅または鉄を主成分とする焼結金属としたこ
    と、 を特徴とするもの。
  4. 【請求項4】請求項1から請求項3のいずれかの請求項
    に記載の車両用ブレーキにおいて、 制動体の制動内壁の一部または全体を、前記摩擦材によ
    り形成したこと、 を特徴とするもの。
  5. 【請求項5】請求項1から請求項4のいずれかの請求項
    に記載の車両用ブレーキにおいて、 固定部材と摩擦体との間または摩擦体相互間に弾性体を
    介装し、制動体の制動内壁と摩擦体の摩擦面とが離間す
    るよう摩擦体を付勢したこと、 を特徴とするもの。
  6. 【請求項6】車両に対し固定的に設けられた固定部材、 固定部材に対し回動可能に支持されるとともに、固定部
    材に対する回動軸を中心とする略円筒状の制動内壁を有
    する制動体、 制動体の制動内壁の内側に前記回動軸を中心とする略同
    一円周上に複数配置され、固定部材に対し回動不能にか
    つ前記回動軸の半径方向に移動可能に支持されるととも
    に、制動内壁に対向する方向に形成された摩擦面と摩擦
    面の裏側に設けられた押圧面とを有する摩擦体、 摩擦体の押圧面の内側に前記回動軸を中心とする略同一
    円周上に複数配置され、押圧面を押圧し得る転動体、 転動体の内側に配置され、固定部材に対し回動可能に支
    持されるとともに、回動に伴い転動体を前記回動軸の半
    径方向に移動させ得るカム面を有するカム体、 を備えた車両用ブレーキにおいて、 制動体の制動内壁と摩擦体の摩擦面との間に、前記回動
    軸を中心とする略同一円周上に配置され、かつ、固定部
    材に対し回動可能にかつ前記回動軸の半径方向に変位可
    能に設けられるとともに、制動内壁に対し当接し得る外
    側摩擦面と外側摩擦面の裏側に設けられ摩擦体の摩擦面
    に対し当接し得る内側摩擦面とを有する補助摩擦体を備
    えたこと、 を特徴とする車両用ブレーキ。
  7. 【請求項7】請求項6の車両用ブレーキにおいて、 前記補助摩擦体を、略円筒状に形成したこと、 を特徴とするもの。
  8. 【請求項8】請求項6の車両用ブレーキにおいて、 前記補助摩擦体を、略C字状に形成したこと、 を特徴とするもの。
  9. 【請求項9】請求項6の車両用ブレーキにおいて、 前記補助摩擦体を複数の補助摩擦体片に分割し、各補助
    摩擦体片を前記回動軸を中心とする略同一円周上に配置
    するよう構成したこと、 を特徴とするもの。
  10. 【請求項10】請求項6ないし請求項9のいずれかの車
    両用ブレーキにおいて、 前記補助摩擦体の外側摩擦面または内側摩擦面の一方ま
    たは双方の、一部または全体を、熱伝導率が溶製鉄鋼材
    料より大きい摩擦材により形成したこと、 を特徴とするもの。
  11. 【請求項11】請求項10の車両用ブレーキにおいて、 前記制動体の制動内壁および前記摩擦体の摩擦面を鉄鋼
    材料により形成し、 前記摩擦材を、焼結形成した焼結金属としたこと、 を特徴とするもの。
  12. 【請求項12】請求項11の車両用ブレーキにおいて、 摩擦材を、銅または鉄を主成分とする焼結金属としたこ
    と、 を特徴とするもの。
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