JPH09124754A - 吸水性樹脂およびその製造方法 - Google Patents

吸水性樹脂およびその製造方法

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JPH09124754A
JPH09124754A JP28581795A JP28581795A JPH09124754A JP H09124754 A JPH09124754 A JP H09124754A JP 28581795 A JP28581795 A JP 28581795A JP 28581795 A JP28581795 A JP 28581795A JP H09124754 A JPH09124754 A JP H09124754A
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JP
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water
absorbent resin
polyacetal carboxylate
cross
formula
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JP28581795A
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English (en)
Inventor
Koichi Yonemura
耕一 米村
Takuya Saeki
卓哉 佐伯
Takaya Hayashi
隆哉 林
Hideyuki Nishibayashi
秀幸 西林
Nobuyuki Harada
信幸 原田
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)
  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)
  • Biological Depolymerization Polymers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 吸水能力および生分解性の両方に優れた吸水
性樹脂を提供する。 【解決手段】 吸水性樹脂は、ポリアセタールカルボキ
シレートを架橋させることにより得られる。吸水性樹脂
は、生理食塩水の吸水倍率が10g/g以上、かつ生分
解率が10%以上である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、吸水性樹脂および
その製造方法に関するものである。さらに詳しくは、水
性液体の吸水能力に優れ、かつ、生分解性を備える吸水
性樹脂およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、吸水性樹脂は、紙オムツや生理用
品等の衛生材料としての利用のみならず、体液吸収材な
どの医療分野、シーリング材(止水材)や結露防止剤な
どの土木・建築分野、鮮度保持材等の食品分野、溶剤か
ら水を除去する脱水材などの工業分野、緑化などの農業
・園芸分野など、非常に多種多様な分野に利用されてい
る。そしてこれらの用途に応じた吸水性樹脂が種々提案
されている。
【0003】これら提案されている種々の吸水性樹脂の
うち、一般に、ポリアクリル酸(塩)系の化合物が吸水
能力に優れ、かつ、安価であるため、幅広く用いられて
いる。ところが、ポリアクリル酸(塩)系の吸水性樹脂
は、吸水状態では光分解性を若干備えるものの、生分解
性をほとんど備えていない。したがって、該吸水性樹脂
を廃棄物として処理する際に、例えば、埋め立て処分を
行うと、土中の細菌や微生物などにより分解されないの
で廃棄処分に難点を有している。
【0004】一方、生分解性を有する吸水材としては、
パルプや紙などのセルロース、デンプン、カルボキシメ
チルセルロース塩などの天然物が知られている。しか
し、これらの天然物の吸水材は、水に対する毛細管現象
を利用したり増粘性を利用するため、外部から圧力がか
かると吸水性が低下するものであった。
【0005】そこで、生分解性を有し、かつ吸水性に優
れた材料として、多糖類をグラフトしたり、架橋するこ
とが多く試みられており、例えば、多糖類に親水性モノ
マーをグラフト重合する方法(特開昭56−76419
号)、多糖類そのものを架橋する方法(特開昭56−5
137号、特開昭60−58443号)などが知られて
いる。また、後者の方法では、多糖類としてセルロース
誘導体を使用し架橋する方法(特開昭49−12898
7号、特開昭50−85689号、特開昭54−163
981号、特公昭55−500785号、特開昭56−
28755号、特開昭57−137301号、特開昭5
8−1701号、特開昭60−94401号、特開昭6
1−89364号、特開平4−161431号、特開平
5−49925号、特開平5−123573号)も数多
く検討されている。
【0006】しかし、これらの多糖類やセルロース誘導
体を使用しグラフトあるいは架橋処理する従来の方法で
は、出発原料である多糖類やセルロース誘導体よりも生
分解性の劣ったものしか得られず、生分解性を高水準に
維持しようとすれば吸水力の低下は避けられなかった。
また、天然物を利用するため、出発原料の品質や生産量
の安全性に大きな問題を有し、多量に使用される吸水性
樹脂には不適であった。
【0007】したがって、ポリアクリル酸塩系程度の吸
水力を有し、しかも生分解性が天然物と同等またはそれ
以上である合成高分子の吸水材の出現が嘱望されてい
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、吸水性に優
れ、かつ高度に生分解性を有する吸水性樹脂を提供する
ことを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決できる新規な吸水性樹脂を見いだし本発明に到達
した。
【0010】すなわち、本発明の目的は、(1) 一般
式(A)
【0011】
【化3】
【0012】(式中、Mは水素原子、アルカリ金属、ア
ンモニウム、テトラアルキルアンモニウム基およびアル
キル鎖中に1〜4個の炭素原子を有するアルカノールア
ミン基よりなる群から選ばれてなる1種である)で表さ
れる繰り返し単位を持ったポリアセタールカルボキシレ
ートを架橋することを特徴とする吸水性樹脂の製造方法
により達成される。
【0013】また、本発明の他の目的は、(2) 架橋
を行う際に、上記一般式(A)のCOOM基と反応しう
る少なくとも2個の官能基を有する化合物を架橋剤とし
て用いることを特徴とする上記(1)に示す吸水性樹脂
の製造方法によっても達成される。
【0014】さらに、本発明の他の目的は、(3) 上
記架橋剤が、少なくとも2個のエポキシ基を有するエポ
キシ化合物である上記(2)に示す吸水性樹脂の製造方
法によっても達成される。
【0015】さらにまた、本発明の他の目的は、(4)
上記架橋剤が、多価アミンとハロエポキシ化合物との
縮合物である上記(2)に示す吸水性樹脂の製造方法に
よっても達成される。
【0016】なお、本発明の他の目的は、(5) 一般
式(A)
【0017】
【化4】
【0018】(式中、Mは水素原子、アルカリ金属、ア
ンモニウム、テトラアルキルアンモニウム基およびアル
キル鎖中に1〜4個の炭素原子を有するアルカノールア
ミン基よりなる群から選ばれてなる1種である)で表さ
れる繰り返し単位を持ったポリアセタールカルボキシレ
ートの架橋体よりなることを特徴とする吸水性樹脂によ
っても達成される。
【0019】またなお、本発明の他の目的は、(6)
上記架橋体が、上記(2)に示す架橋剤で架橋させたも
のである上記(5)に示す吸水性樹脂によっても達成さ
れる。
【0020】さらになお、本発明の他の目的は、(7)
主鎖に炭素−酸素結合を有する合成高分子からなる吸
水性樹脂であって、かつ生理食塩水の吸水倍率が10g
/g以上、生分解率が10%以上である吸水性樹脂によ
っても達成される。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態をさら
に詳しく説明する。
【0022】本発明の吸水性樹脂は、下記の一般式
(B)
【0023】
【化5】
【0024】(式中、nは平均鎖長を表し、Mは水素原
子、アルカリ金属、アンモニウム、テトラアルキルアン
モニウム基およびアルキル鎖中に1〜4個の炭素原子を
有するアルカノールアミン基よりなる群から選ばれてな
る1種である)で表されるポリアセタールカルボキシレ
ートを架橋することにより得られるものであれば特に制
限はない。高い吸水性能の吸水性樹脂を得るためには、
上記一般式(B)のMがアルカリ金属であるポリアセタ
ールカルボキシレート、例えば、ポリグリオキシル酸ナ
トリウムなどを架橋することが好ましい。
【0025】本発明に用いられるポリアセタールカルボ
キシレートを得る方法としては、例えば、米国特許第
4,140,676号明細書に開示されたグリオキシル
酸エステルを重合後けん化する方法などが挙げられる。
【0026】上記ポリアセタールカルボキシレートの分
子量は、1×103 〜1×106 の範囲内であることが
好ましく、分子量が1×103 より小さい場合には、吸
水倍率の高い吸水性樹脂が得られにくく、1×106
りも大きい場合には、溶液の粘度が高くなりすぎて作業
性に問題を生じるので好ましくない。
【0027】上記ポリアセタールカルボキシレートの中
和率は、75%以上であることが好ましい。75%より
も小さい場合にはポリアセタールカルボキシレートが分
解するため、当該ポリアセタールカルボキシレートの架
橋体が得られず好ましくない。
【0028】本発明における架橋方法としては、例え
ば、上記ポリアセタールカルボキシレート(ないしその
水溶液など)にγ線などの放射線を照射して架橋させる
方法や上記ポリアセタールカルボキシレートにラジカル
開始剤を添加して架橋を行う方法など、特に制限はない
が、上述の一般式(B)のCOOM基と反応しうる少な
くとも2個以上の官能基を有する化合物を架橋剤として
用いて架橋を行うことが好ましい。かかる架橋剤として
は、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、
テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、
1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオール、ポ
リプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリ
ン、2−ブテン−1,4−ジオール、1,4−ブタンジ
オール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサン
ジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,
2−シクロヘキサノール、トリメチロールプロパン、ジ
エタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシ
プロピレン、オキシエチレノキシプロピレンブロック共
重合体、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどの多
価アルコール化合物;エチレングリコールジグリシジル
エーテル、ポリエチレンジグリシジルエーテル、グリセ
ロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグ
リシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエ
ーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、
ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリ
シドール、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ンなどのエポキシ化合物;エチレンジアミン、ジエチレ
ントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレ
ンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリアミド
ポリアミン、ポリエチレンイミンなどの多価アミン化合
物、並びに、それら多価アミンとハロエポキシ化合物と
の縮合物;2,4−トリレンジイソシアネート、ヘキサ
メチレンジイソシアネートなどの多価イソシアネート化
合物;1,2−エチレンビスオキサゾリンなどの多価オ
キサゾリン化合物;γ−グリシドキシプロピルトリメト
キシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランな
どのシランカップリング剤;1,3−ジオキソラン−2
−オン、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オ
ン、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オ
ン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オ
ン、4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4
−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オ
ン、1,3−ジオキサン−2−オン、4−メチル−1,
3−ジオキサン−2−オン、4,6−ジメチル−1,3
−ジオキサン−2−オン、1,3−ジオキソパン−2−
オンなどのアルキレンカーボネート化合物、エピクロロ
ヒドリン、エピブロムヒドリン、α−メチルエピクロロ
ヒドリンなどのハロエポキシ化合物、亜鉛、カルシウ
ム、マグネシウム、アルミニウム、鉄、ジルコニウムな
どの水酸化物および塩化物などの多価金属化合物;など
より選ばれる1種または2種以上のものが例示できる。
そして、これらの架橋剤の内では、エポキシ化合物、多
価アミン化合物やそのエピハロヒドリン縮合物から選ば
れた1種以上が好ましい。
【0029】上記ポリアセタールカルボキシレートに対
する上記架橋剤の使用量は、特に限定されるものではな
く、該ポリアセタールカルボキシレートの種類、あるい
は用いる該架橋剤の種類に応じて、適宜設定すればよ
い。具体的には、例えば、ポリアセタールカルボキシレ
ート100重量部に対して、架橋剤は、通常0.01〜
30重量部、好ましくは0.1〜10重量部、より好ま
しくは0.1〜5重量部の範囲内で用いればよい。架橋
剤の使用量が0.01重量部より少ない場合には、得ら
れる吸水性樹脂の保水力などの性能が所望の値に達しな
いため好ましくない。また架橋剤の使用量が30重量部
よりも多い場合には、不経済となるばかりか、得られる
吸水性樹脂の吸水能力などの性能が劣るため好ましくな
い。
【0030】上記ポリアセタールカルボキシレートを上
記架橋剤によって架橋させる際には、均一な架橋反応が
行われるように、両者を均一にかつ充分に混合すること
が好ましい。上記ポリアセタールカルボキシレートと上
記架橋剤との混合方法は、特に限定されるものでなく、
例えば、両者を固体同士で混合する方法(乾式混合方
法)、両者をスラリー状態で混合する方法、いずれか一
方をスラリー状態とし、これに他方を添加して混合する
方法、両者を溶液状態で混合する方法、いずれか一方を
溶液状態とし、これに他方を添加して混合する方法な
ど、種々の方法を採用することができる。これら混合方
法のうち、両者を溶液状態で混合する方法が好ましい。
【0031】上記の混合方法、つまり、吸水性樹脂の製
造方法において、溶媒は、必要に応じて使用される。
【0032】そして、溶媒を使用する場合には、以下に
示す化合物が好適である。すなわち、該溶媒としては、
例えば、水、またはメチルアルコール、エチルアルコー
ル、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブ
チルアルコールなどの低級アルコールなどの水と均一に
混合する親水性有機溶媒が挙げられる。親水性有機溶媒
は、沸点が比較的低いものが好ましい。なお、溶媒とし
て水と親水性有機溶媒とを併用する場合の両者の混合比
率は、ポリアセタールカルボキシレートや架橋剤の種類
や溶解度を考慮に入れて適宜設定すればよいが、具体的
には、水100重量部に対して、親水性有機溶媒は通常
300〜2000重量部の範囲内で用いればよい。ま
た、上記の製造方法における溶媒の使用量は、ポリアセ
タールカルボキシレートや架橋剤の種類や溶解度を考慮
に入れて適宜設定すればよい。
【0033】そして、上記の混合方法のうち、溶媒を使
用する場合には、上記ポリアセタールカルボキシレート
と上記架橋剤の両者を溶液状態で混合する方法がより好
ましく、ポリアセタールカルボキシレートを水溶液と
し、この水溶液に架橋剤の溶液を添加して混合する方法
が最も好ましい。
【0034】上記ポリアセタールカルボキシレートを水
溶液とする場合には、ポリアセタールカルボキシレート
水溶液の濃度は、好ましくは0.1〜20重量%、より
好ましくは0.5〜10重量%の範囲内である。濃度が
0.1重量%より低い場合には、該水溶液の量が多くな
ると共に、水を除去するために、例えば、水溶液を長時
間加熱しなければならないので、製造効率が低下する。
また、濃度が20重量%よりも高い場合には、該水溶液
の粘度が高くなり、水溶液、つまり、ポリアセタールカ
ルボキシレートと架橋剤とを均一にかつ充分に混合する
ことが困難となるため好ましくない。
【0035】上記架橋剤を溶液とする場合には、架橋剤
溶液の濃度は、好ましくは0.1〜80重量%、より好
ましくは1.0〜50重量%の範囲内である。濃度が
0.1重量%より低い場合には、該溶液の量が多くなる
と共に溶媒を除去するために、例えば、溶液を長時間加
熱しなければならないので、製造効率が低下する。ま
た、80重量%よりも高い場合には、該溶液の粘度が高
くなり、溶液、つまり、ポリアセタールカルボキシレー
トと架橋剤とを均一にかつ充分に混合することが困難と
なるため好ましくない。
【0036】本発明における架橋反応の温度は、好まし
く30〜170℃、より好ましくは40〜150℃の範
囲内である。温度が30℃よりも低い場合には、架橋反
応がほとんど進行しないため好ましくない。また温度が
170℃よりも高い場合には、ポリアセタールカルボキ
シレートが分解し、着色(変色)するため好ましくな
い。なお、架橋反応温度を得るための加熱方法は、特に
限定されるものでなく、例えば、遠赤外線を照射する方
法、マイクロ波を照射する方法、あるいは熱風乾燥機、
減圧乾燥機を用いる方法など、種々の方法を採用するこ
とができる。
【0037】本発明における架橋反応の反応時間は、特
に限定されるものではなく、ポリアセタールカルボキシ
レートの分子量、架橋剤の種類、溶媒の種類や量、反応
温度、所望する吸水性樹脂の物性に応じて、適宜設定す
ればよい。具体的には、例えば、反応温度が50℃であ
る場合には、反応時間は通常1分〜5時間、好ましくは
5〜200分間とすればよい。
【0038】そして、本発明にかかる吸水性樹脂の製造
方法としては、ポリアセタールカルボキシレートを水溶
液とし、この水溶液に架橋剤溶液を添加して均一にかつ
充分に混合した後、この混合物を加熱して架橋反応を行
うと共に、該混合物から水を除去して混合物を乾燥させ
ることにより固形物たる架橋体、すなわち、吸水性樹脂
を得る方法が好ましい。また、混合物を乾燥させる際に
は、水が5重量%以下となるように、つまり、吸水性樹
脂の含水率が5重量%以下にすることにより、加圧下の
吸水倍率に優れた吸水性樹脂を得ることができる。な
お、上記の混合物から水を除去する際には、例えば、吸
引濾過などの固液分離操作を行ってもよい。
【0039】上記の製造方法によって得られる吸水性樹
脂は、例えば、繊維状の構造を有しており、自重の10
〜50倍程度の水性液体(生理食塩水)を吸水可能であ
り、また、10%以上の生分解率を備えている。つま
り、本発明の製造方法により得られる吸水性樹脂、すな
わち本発明の吸水性樹脂は、主鎖に炭素−酸素結合を有
するポリマーからなる吸水性樹脂であって、かつ水性液
体の吸水倍率が10g/g以上、生分解率が10%以上
である。なお、本発明の吸水性樹脂のこれらの諸性能の
測定方法は、後段の実施例にて詳述する。
【0040】なお、本発明の吸水性樹脂は、上述の繊維
状構造のほかに、所定形状に造粒されていてもよく、ま
た、不定形破砕状、球状、鱗片状、棒状、塊状など、種
々の形状であってもよい。
【0041】さらに、本発明の吸水性樹脂は、1次粒子
であってもよく、また、1次粒子の造粒体であってもよ
い。該吸水性樹脂を所定形状に造粒する場合の粒径およ
び造粒方法は、特に限定されるものではない。また、上
記吸水性樹脂に、その吸水特性、例えば、水性液体の浸
透性や分散性、吸水速度などを向上させるために、種々
の加工や修飾(モディファイ)などを施してもよい。
【0042】上記製造方法によって得られる吸水性樹
脂、すなわち、本発明の吸水性樹脂は、上述のごとく吸
水能力および生分解性の両方に優れている。したがっ
て、紙オムツや生理用品、各種清浄用具などの衛生材料
などの衛生分野としての利用のみならず、以下に示すよ
うな非常に多種多様な分野に利用することができる。
【0043】すなわち、本発明の吸水性樹脂は、外科手
術時の体液吸収材、創傷保護材などの医療分野;シール
ド工法時のシーリング材(止水材)、コンクリート養生
材、ゲル水嚢、結露防止材などの土木・建築分野;肉や
魚などのドリップ吸収材や鮮度保持材、野菜などの鮮度
保持材などの食品分野;溶剤から水を除去する脱水剤な
どの工業分野;緑化などを行う際の土壌保水材や植物栽
培用保水材、種子コーティング材などの農業・園芸分野
など、さらには、油水分離材、廃液吸収材、防振材、防
音材、家庭用雑貨品、玩具、人工雪など、非常に多種多
様な分野に利用することができる。
【0044】
【実施例】以下、実施例および比較例により、本発明を
さらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限
定されるものでない。なお、吸水性樹脂の諸性能は、以
下の方法で測定した。また、実施例および比較例に記載
の「部」は、「重量部」を示している。
【0045】(a)吸水倍率 吸水性樹脂0.2gを不織布製のティーバッグ式袋(4
0mm×150mm)に均一に入れ、0.9重量%塩化
ナトリウム水溶液(生理食塩水)中に浸漬した。60分
後にティーバッグ式袋を引き上げ、一定時間水を切った
後に、ティーバッグ式袋の重量W1 (g)を測定した。ま
た、同様の操作を吸水性樹脂を用いないで行い、そのと
きのティーバック式袋の重量W0 (g)を測定した。そし
て、これら重量W1 およびW0 から、次式、 吸水倍率(g/g)=(重量W1 (g)−重量W0 (g))/吸
水性樹脂重量(g) にしたがって吸水倍率(g/g)を算出した。
【0046】(b)生分解率 生分解試験は、修正MITI(Ministry of Internation
al Trade and Industry)試験にしたがって実施した。す
なわち、JIS K−0102における生物化学酸素消
費量の項に規定されている組成液としての基礎培養液2
00mlに、試験物質としての吸水性樹脂を100pp
mとなるように添加すると共に、下水汚泥を30ppm
となるように添加した。その後、この基礎培養液を暗所
下で25℃に保ち、撹拌しながら28日間にわたって培
養した。そして、上記培養期間中、活性汚泥により消費
された酸素量を定期的に測定し、生物化学的酸素要求量
(BOD:Biochemical Oxygen Demand)曲線を求めた。
生分解率(%)は、上記のBOD曲線から得られる試験
物質(吸水性樹脂)の生物化学的酸素要求量A(mg)
と、BOD曲線から得られたブランク、つまり、基礎培
養液の酸素消費量B(mg)と、試験物質を完全酸化さ
せる場合に必要な全酸素要求量(TOD:Total Oxygen
Demand)C(mg)とから、次式、 生分解率(%)={(A−B)/C}×100 にしたがって算出した。
【0047】〔実施例1〕溶媒としての蒸留水479部
に、100%中和ポリグリオキシル酸ナトリウム(分子
量20万)43部を溶解させることにより、8.2重量
%ポリアセタールカルボキシレート水溶液522部を調
製した。また、溶媒としての蒸留水98.7部に、架橋
剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル
(長瀬化成株式会社製:商品名 デナコールEX−81
0)1.3部を溶解させることにより、1.3重量%エ
チレングリコールジグリシジルエーテル水溶液100部
を調製した。
【0048】次いで、上記ポリアセタールカルボキシレ
ート水溶液に上記エチレングリコールジグリシジルエー
テル水溶液を混合し充分に撹拌した。次いで、得られた
混合物を減圧乾燥機を用いて、50℃、30mmHgの
減圧度で5時間加熱することにより、乾燥物とした。こ
の乾燥物を振動ミルを用いて粉砕し、吸水性樹脂を得
た。得られた吸水性樹脂の吸水倍率および生分解率(以
下、諸性能と記す)を測定した。これらの値(以下、単
に結果と記す)を表1に合わせて記載した。
【0049】〔実施例2〕実施例1における1.3重量
%デナコール100部に代えて、3.8重量%ポリアミ
ドアミンエピクロロヒドリン(ディックハーキュレス社
製:商品名 カイメン557H)水溶液57.2部を調
製した以外は、実施例1と同様の反応および操作を行
い、吸水性樹脂を得た。得られた吸水性樹脂の諸性能を
測定した。結果を表1に合わせて記載した。
【0050】〔比較例1〕撹拌機、還流冷却器、滴下ロ
ート、および窒素ガス吹き込み管を取り付けた2リット
ルの四つ口丸底フラスコを反応器とした。この反応器
に、シクロヘキサン1150ml、およびエチルセルロ
ース(ハーキュリーズ社製:商品名 エチルセルロース
N−200)9.0gを仕込んだ。次いで、反応系に窒
素ガスを吹き込んで溶存酸素を追い出した後、反応液を
75℃に昇温させた。
【0051】一方、98重量%水酸化ナトリウム65.
8gをイオン交換水200gに溶解させて水酸化ナトリ
ウム水溶液を調製した。そして、別のフラスコに入った
アクリル酸150gを、フラスコを冷却しながら、上記
の水酸化ナトリウム水溶液を用いて中和した。アクリル
酸ナトリウム水溶液の濃度は45重量%であった。次い
で、この水溶液に、重合開始剤である過硫酸カリウム
0.5gおよびN,N′−メチレンビスアクリルアミド
0.25gを添加した。アクリル酸に対する重合開始剤
の割合は、0.1重量%であった。そして、水溶液に窒
素ガスを吹き込んで溶存酸素を追い出した。
【0052】この水溶液を上記の滴下ロートに入れ、1
時間かけて該水溶液を反応液に滴下した。滴下終了後、
反応液を75℃に保ちながら、1時間反応を続けた。そ
して、反応終了後、シクロヘキサンを減圧下に留去し、
膨潤ポリマーを取り出した。得られた膨潤ポリマーを、
80〜100℃で減圧乾燥することにより、比較用の吸
水性樹脂を得た。得られた比較用吸水性樹脂の諸性能を
測定した。結果を表1に合わせて記載した。
【0053】〔比較例2〕撹拌機、温度計および窒素ガ
ス吹き込み管を取り付けた反応器に、トウモロコシデン
プン50部および水300部を仕込んだ。この反応液
を、窒素気流下、50℃で1時間撹拌した。続いて、反
応液を30℃に冷却した後、アクリル酸20部、アクリ
ル酸ナトリウム80部、N,N′−メチレンビスアクリ
ルアミド0.04部、および重合開始剤としての過硫酸
アンモニウム0.1部および亜硫酸水素ナトリウム0.
01部を添加して重合を開始した。そして、反応温度3
0〜80℃で4時間反応させた後、含水ゲル重合体を取
り出した。
【0054】得られた含水ゲル重合体を、120℃で熱
風乾燥した。次いで、乾燥物を粉砕して、デンプングラ
フト重合体からなる比較用の吸水性樹脂を得た。得れた
比較用吸水性樹脂の諸性能を測定した。結果を表1に合
わせて記載した。
【0055】
【表1】
【0056】実施例1〜2および比較例1〜2の結果か
ら明らかなように、本実施例にかかる吸水性樹脂は、従
来の吸水性樹脂(比較例1〜2の比較用の吸水性樹脂)
と比較して、吸水能力である吸水倍率および生分解性の
両方に優れていることがわかった。
【0057】
【発明の効果】本発明に係る吸水性樹脂は、ポリアセタ
ールカルボキシレートの架橋体よりなるため、主鎖に炭
素−酸素結合を有するポリマーからなる吸水性樹脂であ
って、かつ生理食塩水の吸収倍率が10g/g以上、生
分解率が10%以上である。したがって、本発明の吸水
性樹脂は、吸水能力および生分解性の両方に優れるとい
う効果を奏する。すなわち、本発明に係る吸水性樹脂
は、従来のポリアクリル酸塩系程度の吸水能力を有する
と共に、新たに土中の細菌や微生物などにより分解可能
な優れた生分解性を有しているので、土中に埋めるだけ
で分解される。このため、廃棄処分が簡単であり、かつ
安全性に優れ、環境汚染などの環境衛生問題を引き起こ
すこともないという効果を奏する。よって本発明の吸水
性樹脂は、紙オムツや生理用品などの衛生材料などの衛
生分野としての利用のみならず、例えば、医療分野、土
木・建築分野、食品分野、工業分野、農業・園芸分野な
ど、さらには、油水分離材、廃液吸収材、防振材、防音
材、家庭用雑貨品、玩具、人工雪など、非常に多種多様
な分野に利用することができる。
【0058】また、本発明に係る吸水性樹脂の製造方法
によれば、原材料にポリアセタールカルボキシレートを
用いて、例えば、該原材料のカルボキシル基またはその
塩等と反応しうる少なくとも2個の官能基を有する化合
物の架橋剤を溶液の状態で混合して架橋することができ
るなど均一な架橋構造を形成でき高品質な架橋体を製造
することができ、かつ製造上の操作も比較的簡便であり
生産効率にも優れており、本製法により上述した優れた
性能を備えた吸水性樹脂を得ることができる。従って、
本発明の製法方法は、吸水性樹脂の製造方法として好適
に使用されるという効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西林 秀幸 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地の 1 株式会社日本触媒内 (72)発明者 原田 信幸 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地の 1 株式会社日本触媒内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(A) 【化1】 (式中、Mは水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、
    テトラアルキルアンモニウム基およびアルキル鎖中に1
    〜4個の炭素原子を有するアルカノールアミン基よりな
    る群から選ばれてなる1種である)で表される繰り返し
    単位を持ったポリアセタールカルボキシレートを架橋す
    ることを特徴とする吸水性樹脂の製造方法。
  2. 【請求項2】 架橋を行う際に、前記一般式(A)のC
    OOM基と反応しうる少なくとも2個の官能基を有する
    化合物を架橋剤として用いることを特徴とする請求項1
    に記載の吸水性樹脂の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記架橋剤が、少なくとも2個のエポキ
    シ基を有するエポキシ化合物である請求項2に記載の吸
    水性樹脂の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記架橋剤が、多価アミンとハロエポキ
    シ化合物との縮合物である請求項2に記載の吸水性樹脂
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 一般式(A) 【化2】 (式中、Mは水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、
    テトラアルキルアンモニウム基およびアルキル鎖中に1
    〜4個の炭素原子を有するアルカノールアミン基よりな
    る群から選ばれてなる1種である)で表される繰り返し
    単位を持ったポリアセタールカルボキシレートの架橋体
    よりなることを特徴とする吸水性樹脂。
  6. 【請求項6】 前記架橋体が、前記ポリアセタールカル
    ボキシレートを請求項2に記載の架橋剤で架橋させたも
    のである請求項5に記載の吸水性樹脂。
  7. 【請求項7】 主鎖に炭素−酸素結合を有する合成高分
    子からなる吸水性樹脂であって、かつ生理食塩水の吸水
    倍率が10g/g以上、生分解率が10%以上である吸
    水性樹脂。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2206733A1 (en) 2000-08-03 2010-07-14 Nippon Shokubai Co., Ltd. Water-absorbent resin, hydropolymer, process for producing them, and uses of them

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP2206733A1 (en) 2000-08-03 2010-07-14 Nippon Shokubai Co., Ltd. Water-absorbent resin, hydropolymer, process for producing them, and uses of them

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