JP3580932B2 - 吸水性樹脂 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生分解性を有する吸水性樹脂に関するものである。さらに詳しくは、水性液体の吸水性能に優れ、かつ優れた生分解性を備える吸水性樹脂に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、吸水性樹脂は、紙オムツや生理用品等の衛生材料としての利用のみならず、体液吸収材等の医療分野、シーリング材(止水材)や結露防止剤等の土木・建築分野、鮮度保持材等の食品分野、溶剤から水を除去する脱水材等の工業分野、緑化等の農業・園芸分野等、非常に多種多様な分野に利用されている。そしてこれらの用途に応じた吸水性樹脂が種々提案されている。
【0003】
これら提案されている種々の吸水性樹脂のうち、一般に、ポリアクリル酸(塩)系の化合物が吸水性能に優れ、かつ、安価であるため、幅広く用いられている。ところが、ポリアクリル酸(塩)系の吸水性樹脂は、吸水状態では光分解性を若干備えるものの、生分解性を殆ど備えていない。従って、該吸水性樹脂を廃棄物として処理する際に、例えば埋め立て処分を行うと、土中の細菌や微生物等により分解されないので廃棄処分に難点を有している。
【0004】
一方、生分解性を有する吸水材としては、パルプや紙等のセルロース、デンプン、カルボキシメチルセルロース塩等の天然物が知られている。しかし、これらの天然物の吸水材は、水に対する毛細管現象を利用したり増粘性を利用するため、外部から圧力がかかると吸水力が低下するものであった。
【0005】
そこで、生分解性を有し、かつ吸水力に優れた吸水性樹脂を製造する方法として、多糖類をグラフト重合したり、架橋処理する方法が多く試みられている。例えば、多糖類に親水性単量体をグラフト重合する方法(例えば、特開昭56−76419号公報に記載)、多糖類そのものを架橋させる方法(例えば、特開昭56−5137号公報等に記載)等が知られている。また、後者の方法においては、多糖類としてセルロース誘導体を使用する方法も数多く検討されている(例えば、特開昭54−163981号公報等に記載)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの多糖類やセルロース誘導体をグラフト重合或いは架橋処理する従来の製造方法では、出発原料である多糖類やセルロース誘導体よりも生分解性の劣った吸水性樹脂しか得られず、生分解性を高水準に維持しようとすれば吸水力の低下は避けられなかった。また、天然物を利用するため、出発原料の品質や生産量の安定性に大きな問題を有し、多量に使用される吸水性樹脂には不適であった。
【0007】
従って、ポリアクリル酸(塩)系の吸水性樹脂と同程度の優れた吸水力を有し、しかも天然物と同等またはそれ以上の優れた生分解性を有する合成高分子の吸水性樹脂の出現が嘱望されている。
【0008】
本発明は、上記従来の課題を解決すべくなされたものであり、その目的は、吸水性能に優れ、かつ優れた生分解性を有する吸水性樹脂を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決できる新規な吸水性樹脂を見いだし、本発明に到達した。即ち、本発明者らは、糖残基を有するアクリル酸誘導体を含む単量体組成物を重合させてなる架橋重合体からなる吸水性樹脂が、高い吸水性能を保持し、かつ優れた生分解性を有することを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、請求項1記載の発明の吸水性樹脂は、上記の課題を解決するために、一般式(1)
【0011】
【化2】
【0012】
(式中、R1 は水素原子または炭素数1〜18の直鎖状アルキル基、炭素数1〜18の枝分かれ鎖状アルキル基、炭素数1〜18の環状アルキル基、炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基、炭素数2〜20のアルコキシアルキル基、炭素数1〜8のハロゲン化アルキル基、またはアリール基を表し、R2 は水素原子、対イオン、またはメチル基、エチル基、n−ブチル基、2−エチルヘキシル基からなる群より選ばれるアルキル基を表し、Gは糖残基を表す。)
で表される構造単位を含む架橋重合体からなることを特徴としている。
【0013】
請求項2記載の発明の吸水性樹脂は、上記の課題を解決するために、請求項1記載の吸水性樹脂において、上記架橋重合体は、アクリル酸系単量体と共重合可能な二重結合を2個以上有する化合物、または、アクリル酸系単量体のカルボキシル基と反応しうる官能基を少なくとも2個以上有する化合物によって架橋されていることを特徴としている。
また、請求項3記載の発明の吸水性樹脂は、粉粒状であることを特徴としている。
【0014】
以下に本発明を詳しく説明する。
本発明にかかる吸水性樹脂は、前記一般式(1)で表される構造単位(以下、構造単位(1)と記す)を含む架橋重合体からなっている。構造単位(1)は、一般式(1)中、R1 で示される置換基が水素原子または有機残基で構成され、R2 で示される置換基が水素原子、対イオン、または有機残基で構成され、Gで示される置換基が糖残基で構成される構造単位である。そして、上記吸水性樹脂のうちでも、R1 で示される置換基が水素原子であり、R2 で示される置換基が水素原子、アルカリ金属、アンモニウム基、または有機残基である構造単位(1)を含む吸水性樹脂がより好ましい。
【0015】
本発明にかかる構造単位(1)を含む吸水性樹脂は、一般式(2)
【0016】
【化3】
【0017】
で表されるアクリル酸誘導体(以下、単にアクリル酸誘導体と称する)を含んでなる単量体組成物を重合させることにより得られる。
【0018】
R1 で示される置換基のうち、有機残基とは、具体的には、炭素数1〜18の直鎖状、枝分かれ鎖状、若しくは環状のアルキル基;炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基;炭素数2〜20のアルコキシアルキル基;炭素数1〜8のハロゲン化アルキル基;アリール基を示す。
【0019】
上記R2 で示される置換基のうち、対イオンとしては、アルカリ金属またはアンモニウム基が好ましい。具体的には、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム等のアルカリ金属;アンモニア、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン等をプロトン化してなるアンモニウム基等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0020】
また、上記Gで示される置換基とは、具体的には、全ての糖類、即ち、単糖やオリゴ糖、多糖等の糖類を基本骨格とする末端にヘミアセタール水酸基を含有する全ての糖類から1位の水酸基の水素原子が脱離した基、或いは、アルキル基とグリコシド結合した全ての糖類から1位のアセタール基のアルキル基が脱離した基を示す。尚、上記糖類が有する1位の水酸基以外の水酸基(またはアセタール基)は、その一部または全部がアセチル基等のエステル結合、イソプロピリデン基等のアセタール結合、ブロモ基等のハロゲン原子等により保護されていてもよい。
【0021】
上記糖類のうち、単糖としては、具体的には、例えば、グルコース、ガラクトース、マンノース、グルコサミン、ガラクトサミン、マンノサミン、N−アセチルグルコサミン、Nーアセチルガラクトサミン、Nーアセチルマンノサミン等の六炭糖類;キシロース、リボース、アラビノース等の五炭糖類等が挙げられる。また、オリゴ糖としては、具体的には、例えば、マルトース、ラクトース、セロビオース、トレハロース、イソマルトース、ゲンチオビオース、メリビオース、ラミナリビオース、キトビオース、キシロビオース、マンノビオース、ソロホース等の2糖類;マルトトリオース、イソマルトトリオース、マンノトリオース、マンニノトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース等が挙げられる。さらに、多糖としては、具体的には、例えば、セルロース、アミロース(デンプン)、キチン、キトサン(chitosan)等が挙げられる。
【0022】
本発明にかかるアクリル酸誘導体は、一般式(3)
【0023】
【化4】
【0024】
(式中、R1 は水素原子または有機残基を表し、R2 は水素原子、対イオン、または有機残基を表す。)
で表されるアクリル酸エステル類と、上記ヘミアセタール水酸基を有する糖類、および/または、糖残基を有する化合物であるアルキルグリコシドとを反応させることによって、容易に得ることができる。
【0025】
前記一般式(3)で表されるアクリル酸エステル類(以下、単にアクリル酸エステル類と記す)は、特に限定されるものではないが、α−ヒドロキシアルキルアクリル酸エステルであり、具体的には、例えば、メチル−α−ヒドロキシメチルアクリレート、エチル−α−ヒドロキシメチルアクリレート、n−ブチル−α−ヒドロキシメチルアクリレート、2−エチルヘキシル−α−ヒドロキシメチルアクリレート、メチル−α−(1−ヒドロキシエチル)アクリレート、エチル−α−(1−ヒドロキシエチル)アクリレート、n−ブチル−α−(1−ヒドロキシエチル)アクリレート、2−エチルヘキシル−α−(1−ヒドロキシエチル)アクリレート等のアルキル−α−ヒドロキシアルキルアクリレート類が挙げられる。これらアクリル酸エステル類は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0026】
上記アクリル酸エステル類の製造方法は、特に限定されるものではない。上記アクリル酸エステル類は、従来公知の方法、例えば、相当するアクリレート化合物とアルデヒド化合物とを塩基性イオン交換樹脂等の触媒の存在下で反応させる(特開平6−135896号公報等)ことにより、容易に得ることができる。
【0027】
ヘミアセタール水酸基を有する糖類は、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、上記の糖類、即ち、単糖やオリゴ糖、多糖等の糖類を基本骨格とする末端にヘミアセタール水酸基を含有する全ての糖類が挙げられる。該糖類は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0028】
尚、本発明に使用される糖残基を持つアクリル酸誘導体の製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、上記アクリル酸エステル類と、ヘミアセタール水酸基を有する糖類および/またはアルキルグリコシドとを酸触媒の存在下で反応させることにより容易に得ることができる。
【0029】
本発明にかかる吸水性樹脂は、構造単位(1)に加えて、一般式(4)
【0030】
【化5】
【0031】
(式中、R3 は水素原子またはメチル基を表し、R4 は水素原子、アルカリ金属またはアンモニウム基を表す。)
で表される構造単位(以下、構造単位(4)と記す)をさらに含んでいてもよい。これにより、吸水性樹脂の吸水性能をさらに向上させることができる。
【0032】
吸水性樹脂が構造単位(4)を含む場合、構造単位(1)および構造単位(4)の合計量に対する構造単位(4)の量は、99.9モル%未満であるのが好ましい。構造単位(4)の量が99.9モル%以上、即ち、構造単位(1)の量が0.1モル%未満であると、吸水性樹脂に充分な生分解性を付与することができなくなる恐れがある。
【0033】
また、吸水性樹脂は、さらに他の構造単位を含んでいてもよいが、構造単位(1)および構造単位(4)の合計量は、吸水性樹脂の全構造単位に対して、90モル%以上であるのが好ましい。構造単位(1)および構造単位(4)の合計量が90モル%未満であると、吸水性樹脂に充分な生分解性を付与することができなくなったり、吸水性能が低下する恐れがある。
【0034】
構造単位(4)をさらに含む吸水性樹脂は、一般式(5)
【0035】
【化6】
【0036】
(式中、R3 は水素原子またはメチル基を表し、R4 は水素原子、アルカリ金属またはアンモニウム基を表す。)
で表されるアクリル酸系単量体(以下、単にアクリル酸系単量体と記す)を前記アクリル酸誘導体と共重合させることによって得られる。
【0037】
即ち、構造単位(1)と構造単位(4)とを含む吸水性樹脂は、構造単位(1)を形成すべきアクリル酸誘導体と、構造単位(4)を形成すべきアクリル酸系単量体とを含む単量体組成物を重合させることにより製造することができる。
【0038】
上記アクリル酸系単量体としては、(メタ)アクリル酸を部分中和してなる部分中和物が好ましい。尚、「(メタ)アクリル」とは、メタクリルおよび/またはアクリルを指すものであり、以下の説明においても同様である。
【0039】
(メタ)アクリル酸の部分中和物は、(メタ)アクリル酸が有するカルボキシル基の一部が、アルカリ金属塩またはアンモニウム塩に中和されているものである。上記部分中和物の中和率、即ち、全カルボキシル基に対するアルカリ金属塩またはアンモニウム塩に中和されたカルボキシル基の割合は、50〜95モル%の範囲内であることが好ましく、60〜90モル%の範囲内であることがより好ましい。従って、好ましい(メタ)アクリル酸の部分中和物は、5〜50モル%の(メタ)アクリル酸と、50〜95モル%の(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩(R4 =アルカリ金属)および/またはアンモニウム塩(R4 =アンモニウム基)とからなる混合物である。(メタ)アクリル酸の部分中和物の中和度は、上記範囲内に限定されることはないが、中和度が50モル%未満であると、得られる吸水性樹脂の吸水性能が低下する恐れがある。
【0040】
(メタ)アクリル酸の中和に用いるアルカリ金属塩としては、具体的には、アルカリ金属水酸化物や重炭酸塩等が使用可能であるが、アルカリ金属水酸化物が特に好ましい。アルカリ金属水酸化物の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等が挙げられる。これら例示のうちでも、得られる吸水性樹脂の性能や価格等の面から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。
【0041】
本発明にかかる吸水性樹脂の製造方法においては、単量体組成物を重合させるとともに架橋させるが、その方法については、特に制限はない。架橋の方法としては、例えば、前記の単量体組成物を重合させることで水溶性樹脂を生成させた後、さらに重合中や重合後に架橋剤を添加して水溶性樹脂を架橋させる方法;ラジカル重合開始剤を添加して上記水溶性樹脂を架橋させるラジカル架橋;電子線等を照射して上記水溶性樹脂を架橋させる放射線架橋等が挙げられる。
【0042】
架橋剤を添加する方法については、予め架橋剤を単量体組成物に添加して重合反応を行う方法;単量体組成物の重合反応を開始した後、重合反応中に架橋剤を添加する方法;単量体組成物の重合反応を行った後、反応系に架橋剤を添加し、引き続いて架橋反応を行う方法;単量体組成物の重合反応を行った後、得られた水溶性樹脂を取り出して、水溶性樹脂と架橋剤とを混合する方法等が挙げられる。性能の優れた吸水性樹脂を生産性良く得るためには、予め所定量の架橋剤を単量体組成物に添加して重合を行い、重合と同時または重合後に架橋反応させて架橋させる方法が、最も好ましい。
【0043】
架橋に用いられる架橋剤としては、単量体組成物に含まれるアクリル酸誘導体、アクリル酸系単量体等と共重合可能な二重結合を2個以上有する化合物;カルボキシル基と反応しうる官能基を少なくとも2個以上有する化合物等を用いることができる。
【0044】
上記架橋剤のうち、アクリル酸誘導体等と共重合可能な二重結合を2個以上有する化合物としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、N,N'−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジアリルテレフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート等が挙げられる。
【0045】
上記架橋剤のうち、カルボキシル基と反応しうる官能基を少なくとも2個以上有する化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、2−ブテン−1,4−ジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサノール、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレンオキシプロピレンブロック共重合体、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレンジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリシドール等のエポキシ化合物;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリアミドポリアミンポリエチレンイミン等の多価アミン化合物、並びに、それら多価アミンとハロエポキシ化合物との縮合物;2,4−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の多価イソシアネート化合物;1,2−エチレンビスオキサゾリン等の多価オキサゾリン化合物;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤;1,3−ジオキソラン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,3−ジオキサン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキサン−2−オン、4,6−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−オン、1,3−ジオキソパン−2−オン等のアルキレンカーボネート化合物;エピクロロヒドリン、エピブロムヒドリン、α−メチルエピクロロヒドリン等のハロエポキシ化合物;亜鉛、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄、ジルコニウム等の多価金属の水酸化物あるいは塩化物等が挙げられる。これら架橋剤は、それぞれ単独で用いてもよく、二種以上の混合物として用いてもよい。
【0046】
架橋剤の使用量については、特に限定されるものではなく、架橋剤の種類、アクリル酸誘導体の種類や量等に応じて適宜選択すればよい。
【0047】
本発明にかかる単量体組成物は、さらに他の単量体として親水性の共重合性単量体や疎水性の共重合性単量体を含んでいてもよい。
【0048】
親水性の共重合性単量体としては、分子内に重合性の二重結合を有する親水性の単量体を用いることができる。具体的には、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−メチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルピロリジン等のノニオン性の親水性単量体;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドおよびその四級塩等のカチオン性の親水性単量体等が挙げられる。これら例示の親水性単量体の中でも、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよびその四級塩、(メタ)アクリルアミドが好ましい。尚、親水性単量体として、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル等のように、重合後に官能基の加水分解によって親水性官能基を生成する単量体を用いて吸水性樹脂を形成してもよい。これら親水性単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、二種以上の混合物として用いてもよい。
【0049】
疎水性の共重合性単量体としては、例えば、スチレン、塩化ビニル、ブタジエン、イソブテン、エチレン、プロピレン、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これら疎水性単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、二種以上の混合物として用いてもよい。
【0050】
また、本発明にかかる吸水性樹脂の製造方法においては、単量体組成物を重合させる際に、水溶性連鎖移動剤、親水性高分子等の他の化合物を共存させてもよい。
【0051】
上記水溶性連鎖移動剤としては、例えば、次亜燐酸塩、チオール類、チオール酸類等が挙げられる。上記親水性高分子としては、例えば、澱粉、セルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩架橋体等が挙げられる。
【0052】
本発明において、単量体組成物の重合を行うに際して、バルク重合や沈殿重合を行うことも可能であるが、性能面や重合の制御の容易さから、単量体組成物を溶媒に溶解し、溶液として重合を行うことが好ましい。重合に用いる溶媒としては、単量体組成物が溶解する液体ならば特に制限がなく、例えば、水、メタノール、エタノール、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられるが、水または水性溶媒が特に好ましい。尚、単量体組成物の濃度は飽和濃度を超えてもかまわないが、通常、20重量%〜飽和濃度の範囲内が好ましく、25〜50重量%の範囲内がさらに好ましい。単量体組成物の濃度が高すぎると、吸水性樹脂の諸物性の低下等がみられる場合がある。また、単量体組成物の溶液のpHは、特に限定されないが、4以上に調節されていることが、好ましい。単量体組成物の溶液のpHが4未満であると、得られる吸水性樹脂の生分解性が低下する場合がある。
【0053】
本発明における単量体組成物の重合方法としては、例えば、ラジカル重合開始剤を用いるラジカル重合、放射線重合、電子線重合、光増感剤による紫外線重合等を挙げることができるが、性能のより一層優れた吸水性樹脂を得るためには、ラジカル重合開始剤を用いるラジカル重合が好ましい。ラジカル重合の方法としては、例えば、型枠の中で行う鋳型重合、ベルトコンベアー上での重合、含水ゲル状重合体を細分化しながら行う重合等の各種水溶液重合、逆相懸濁重合、逆相乳化重合、沈殿重合、バルク重合等の公知の重合方法が挙げられるが、逆相懸濁重合または水溶液重合が、特に好ましい。
【0054】
単量体組成物の重合反応は、連続重合で行ってもよく、回分式重合で行ってもよい。重合温度は、重合初期およびピークを除けば、実質的に0〜100℃の範囲に保たれることが好ましい。また、重合時の圧力は、減圧、加圧、常圧のいずれであってもよい。
【0055】
ラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩;t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物;過酸化水素;2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等のアゾ化合物;亜塩素酸塩、次亜塩素酸塩、第二セリウム塩、過マンガン酸塩等公知の重合開始剤が挙げられる。これらの中でも、過硫酸塩、過酸化水素、アゾ化合物が好ましい。また、過硫酸塩、過酸化水素、アゾ化合物等の酸化性ラジカル重合開始剤を用いる場合、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、L−アスコルビン酸等の還元剤を併用してもよい。さらに、アゾ化合物等を用いる場合には、紫外線を併用して紫外線重合を同時に行ってもよい。
【0056】
尚、これらラジカル重合開始剤は、重合反応系に一括添加してもよいし、逐次添加してもよい。また、ラジカル重合開始剤の使用量は、単量体組成物に対して、通常0.001〜2モル%であることが好ましく、0.01〜1モル%であることがより好ましい。
【0057】
本発明において、含水ゲル状重合体を乾燥する方法としては、従来公知の方法を採用することができる。例えば、減圧乾燥機、箱形乾燥機、通気型乾燥機、通気バンド乾燥機、通気堅型乾燥機、回転乾燥機等の乾燥機を用いて乾燥すればよい。
【0058】
含水ゲル状重合体を乾燥する際の乾燥温度は、従来公知の乾燥方法と同様の温度でよいが、50℃〜250℃の範囲内が好ましく、80℃〜200℃の範囲内がより好ましい。250℃を越える温度では、吸水性樹脂の劣化、分解が起こることがある。50℃よりも低い温度では、乾燥に長時間を要するため生産性が低下するので好ましくない。
【0059】
本発明にかかる製造方法において、粉粒状の吸水性樹脂を製造する場合には、上記含水ゲル状重合体を乾燥した後、得られた乾燥物を粉砕すればよい。上記乾燥物を粉砕する方法としては、従来公知の粉砕方法を採用することができる。例えば、高速回転式粉砕機(ピンミル、ハンマーミル等)、スクリューミル(コーヒーミル)、ロールミル等の粉砕機を用いて粉砕すればよい。
【0060】
以上のように、本発明にかかる吸水性樹脂は、糖残基を持つ構造単位(1)を含む架橋重合体からなっている。
【0061】
上記構成によれば、吸水性樹脂は、吸水性能に優れるとともに、糖残基を持つことにより、土中の細菌や微生物等により容易に分解され、優れた生分解性を有している。このため、上記吸水性樹脂は、土中に埋めるだけで分解されるので、廃棄処分が簡単であり、環境汚染等を防止することができる。
【0062】
【実施例】
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。尚、吸水性樹脂の諸性能は、以下の方法で測定した。また、実施例および比較例に記載の「部」は、「重量部」を示し、「%」は、「重量%」を示している。
(a)吸水倍率
吸水性樹脂 0.2gを不織布製のティーバッグ式袋(40mm×150 mm)に均一に入れ、 0.9%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)中に浸漬した。60分後にティーバッグ式袋を引き上げ、一定時間水切りを行った後、ティーバッグ式袋の重量W1 (g) を測定した。また、同様の操作を吸水性樹脂を用いないで行い、そのときのティーバッグ式袋の重量W0 (g) を測定した。そして、これら重量W1 、W0 から、次式、
吸水倍率 (g/g)=(重量W1(g) −重量W0(g) )/吸水性樹脂重量(g)
に従って吸水倍率 (g/g)を算出した。
(b)生分解率
生分解試験は、修正MITI(Ministry of International Trade and Industry)試験に従って実施した。即ち、JIS K−0102における生物化学酸素消費量の項に規定されている組成液である基礎培養液 300mlに、試験物質としての吸水性樹脂を 100 ppmとなるように添加すると共に、化学品検査協会の標準汚泥を30 ppmとなるように添加した。その後、この基礎培養液を暗所下で25℃に保ち、撹拌しながら28日間にわたって培養した。そして、上記培養期間中、活性汚泥により消費された酸素量を定期的に測定し、生物化学的酸素要求量(BOD:Biochemical Oxygen Demand)曲線を求めた。生分解率(%)は、上記のBOD曲線から得られる試験物質(吸水性樹脂)の生物化学的酸素要求量A(mg)と、BOD曲線から得られるブランク、つまり、基礎培養液の酸素消費量B(mg)と、試験物質を完全酸化させる場合に必要な全酸素要求量(TOD:Total Oxygen Demand)C(mg)とから、次式、
生分解率(%)={(A−B)/C}× 100
に従って算出した。
【0063】
〔実施例1〕
溶媒としての蒸留水 146部に、糖残基を持つアクリル酸誘導体としてのエチル−α−グルコシドメチルアクリレート50%水溶液 186部、架橋剤としてのポリエチレングリコールジアクリレート0.01部を溶解させることにより、単量体組成物の溶液としてのモノマー水溶液 332部を調製した。モノマー水溶液中の全モノマー濃度(単量体組成物の濃度)は、28%であった。
【0064】
このモノマー水溶液に、重合開始剤としての過硫酸ナトリウム10%水溶液 2.3部およびL−アスコルビン酸1%水溶液 2.3部を添加し、窒素雰囲気中、30℃で静置重合させてゲル状含水ポリマーを得た。この含水ポリマーを、減圧乾燥機を用いて30mmHgの減圧度、50℃で5時間加熱することにより、乾燥物とした。この乾燥物を、振動ミルを用いて粉砕し、吸水性樹脂を得た。得られた吸水性樹脂の吸水倍率、および、生分解率(以下、諸性能と記す)を測定した。これらの値(以下、単に結果と記す)を表1に合わせて記載した。
〔実施例2〕
糖残基を持つアクリル酸誘導体として、エチル−α−グルコシドメチルアクリレート50%水溶液の代わりにα−グルコシドメチルアクリル酸ナトリウム50%水溶液を用いる以外は実施例1と同様の反応を行って、吸水性樹脂を得た。得られた吸水性樹脂の諸性能を測定した結果を表1に合わせて記載した。
【0065】
〔実施例3〕
溶媒としての蒸留水 618部に、アクリル酸系単量体としてのアクリル酸15部およびアクリル酸ナトリウム37%水溶液 160部、糖残基を持つアクリル酸誘導体としてのエチル−α−グルコシドメチルアクリレート50%水溶液16部、架橋剤としてのポリエチレングリコールジアクリレート0.03部を溶解させることにより、モノマー水溶液 809部を調製した。モノマー水溶液中の全モノマー濃度は、10%であった。
【0066】
この水溶液に、重合開始剤としての2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド(和光純薬工業株式会社製:商品名「V−50」)10%水溶液 1.7部を添加し、窒素雰囲気中、30℃で静置重合させてゲル状含水ポリマーを得た。この含水ポリマーを、減圧乾燥機を用いて30mmHgの減圧度、50℃で5時間加熱することにより、乾燥物とした。この乾燥物を振動ミルを用いて粉砕し、吸水性樹脂を得た。得られた吸水性樹脂の諸性能を測定した結果を表1に合わせて記載した。
【0067】
〔実施例4〕
溶媒としての蒸留水の量を 618部から 264部に変更し、エチル−α−グルコシドメチルアクリレート50%水溶液の量を16部から37部に変更する以外は実施例3と同様の反応を行って吸水性樹脂を得た。得られた吸水性樹脂の諸性能を測定した結果を表1に合わせて記載した。
【0068】
〔実施例5〕
糖残基を持つアクリル酸誘導体としてエチル−α−グルコシドメチルアクリレート50%水溶液の代わりにα−グルコシドメチルアクリル酸ナトリウム50%水溶液を用いる以外は実施例3と同様にして、吸水性樹脂を得た。得られた吸水性樹脂の諸性能を測定した結果を表1に合わせて記載した。
【0069】
〔実施例6〕
糖残基を持つアクリル酸誘導体としてエチル−α−グルコシドメチルアクリレート50%水溶液の代わりにα−グルコシドメチルアクリル酸ナトリウム50%水溶液を用いる以外は実施例4と同様にして吸水性樹脂を得た。得られた吸水性樹脂の諸性能を測定した結果を表1に合わせて記載した。
【0070】
〔比較例1〕
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート、および窒素ガス吹き込み管を取り付けた2Lの四ツ口丸底フラスコを反応器とした。この反応器に、シクロヘキサン1150ml、および、エチルセルロース(ハーキュリーズ社製:商品名「エチルセルロースN−200」) 9.0gを仕込んだ。次いで、反応系に窒素ガスを吹き込んで溶存酸素を追い出した後、反応液を75℃に昇温させた。
【0071】
一方、別の容器中で、98%水酸化ナトリウム65.8gをイオン交換水 200gに溶解させて水酸化ナトリウム水溶液を調製した。そして、さらに別のフラスコにアクリル酸 150gを入れ、フラスコを冷却しながら、上記の水酸化ナトリウム水溶液を添加してアクリル酸を中和し、アクリル酸ナトリウム水溶液を得た。アクリル酸ナトリウム水溶液の濃度は45%であった。次いで、このアクリル酸ナトリウム水溶液に、重合開始剤である過硫酸カリウム 0.5gおよび架橋剤であるN,N’−メチレンビスアクリルアミド0.25gを添加した。アクリル酸に対する重合開始剤の割合は、 0.1%であった。そして、水溶液に、窒素ガスを吹き込んで溶存酸素を追い出した。
【0072】
この水溶液を上記の滴下ロートに入れ、1時間かけて該水溶液を、75℃に昇温させた反応液に滴下して重合反応を行った。滴下終了後、反応液を75℃に保ちながら、1時間反応を続けた。そして、反応終了後、シクロヘキサンを減圧下に留去し、膨潤ポリマーを取り出した。さらに、得られた膨潤ポリマーを、80℃〜 100℃で減圧乾燥することにより、比較用の吸水性樹脂を得た。得られた比較用吸水性樹脂の諸性能を測定した。結果を表1に合わせて記載した。
【0073】
〔比較例2〕
撹拌機、温度計、および窒素ガス吹き込み管を取り付けた反応器に、トウモロコシデンプン50部および水 300部を仕込んだ。この反応液を、窒素気流下、50℃で1時間撹拌した。続いて、反応液を30℃に冷却した後、アクリル酸20部、アクリル酸ナトリウム80部、架橋剤であるN,N’−メチレンビスアクリルアミド0.04部、および、重合開始剤である過硫酸アンモニウム 0.1部および亜硫酸水素ナトリウム0.01部を添加して重合を開始した。そして、反応温度30℃〜80℃で4時間反応させた後、含水ゲル重合体を取り出した。
【0074】
得られた含水ゲル重合体を、 120℃で熱風乾燥した。次いで、乾燥物を粉砕して、デンプングラフト重合体からなる比較用の吸水性樹脂を得た。得られた比較用吸水性樹脂の諸性能を測定した。結果を表1に合わせて記載した。
【0075】
【表1】
【0076】
実施例1〜実施例6および比較例1〜比較例2の結果から明らかなように、本実施例にかかる吸水性樹脂は、従来の吸水性樹脂と比較して、吸水性能である吸水倍率、および、生分解性の両方に優れていることがわかった。
【0077】
【発明の効果】
本発明の構成によれば、吸水性樹脂は、糖残基を持つことにより、吸水性能および生分解性の両方に優れるという効果を奏する。このため、上記吸水性樹脂は、廃棄処分が簡単であり、かつ、安全性に優れ、環境汚染等の環境衛生問題を引き起こすことを防止することができるという効果を奏する。さらに、上記の吸水性樹脂から得られる吸水性物品は、土中の細菌や微生物等により分解可能な生分解性を有しているので、土中に埋めるだけで分解されるという効果を奏する。
【0078】
本発明の吸水性樹脂は、紙オムツや生理用品等の衛生材料等の衛生分野としての利用のみならず、例えば、医療分野、土木・建築分野、食品分野、工業分野、農業・園芸分野等、非常に多種多様な分野に利用することができ、油水分離材、廃液吸収材、防振材、防音材、家庭用雑貨品、玩具、人工雪等として利用することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、生分解性を有する吸水性樹脂に関するものである。さらに詳しくは、水性液体の吸水性能に優れ、かつ優れた生分解性を備える吸水性樹脂に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、吸水性樹脂は、紙オムツや生理用品等の衛生材料としての利用のみならず、体液吸収材等の医療分野、シーリング材(止水材)や結露防止剤等の土木・建築分野、鮮度保持材等の食品分野、溶剤から水を除去する脱水材等の工業分野、緑化等の農業・園芸分野等、非常に多種多様な分野に利用されている。そしてこれらの用途に応じた吸水性樹脂が種々提案されている。
【0003】
これら提案されている種々の吸水性樹脂のうち、一般に、ポリアクリル酸(塩)系の化合物が吸水性能に優れ、かつ、安価であるため、幅広く用いられている。ところが、ポリアクリル酸(塩)系の吸水性樹脂は、吸水状態では光分解性を若干備えるものの、生分解性を殆ど備えていない。従って、該吸水性樹脂を廃棄物として処理する際に、例えば埋め立て処分を行うと、土中の細菌や微生物等により分解されないので廃棄処分に難点を有している。
【0004】
一方、生分解性を有する吸水材としては、パルプや紙等のセルロース、デンプン、カルボキシメチルセルロース塩等の天然物が知られている。しかし、これらの天然物の吸水材は、水に対する毛細管現象を利用したり増粘性を利用するため、外部から圧力がかかると吸水力が低下するものであった。
【0005】
そこで、生分解性を有し、かつ吸水力に優れた吸水性樹脂を製造する方法として、多糖類をグラフト重合したり、架橋処理する方法が多く試みられている。例えば、多糖類に親水性単量体をグラフト重合する方法(例えば、特開昭56−76419号公報に記載)、多糖類そのものを架橋させる方法(例えば、特開昭56−5137号公報等に記載)等が知られている。また、後者の方法においては、多糖類としてセルロース誘導体を使用する方法も数多く検討されている(例えば、特開昭54−163981号公報等に記載)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの多糖類やセルロース誘導体をグラフト重合或いは架橋処理する従来の製造方法では、出発原料である多糖類やセルロース誘導体よりも生分解性の劣った吸水性樹脂しか得られず、生分解性を高水準に維持しようとすれば吸水力の低下は避けられなかった。また、天然物を利用するため、出発原料の品質や生産量の安定性に大きな問題を有し、多量に使用される吸水性樹脂には不適であった。
【0007】
従って、ポリアクリル酸(塩)系の吸水性樹脂と同程度の優れた吸水力を有し、しかも天然物と同等またはそれ以上の優れた生分解性を有する合成高分子の吸水性樹脂の出現が嘱望されている。
【0008】
本発明は、上記従来の課題を解決すべくなされたものであり、その目的は、吸水性能に優れ、かつ優れた生分解性を有する吸水性樹脂を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決できる新規な吸水性樹脂を見いだし、本発明に到達した。即ち、本発明者らは、糖残基を有するアクリル酸誘導体を含む単量体組成物を重合させてなる架橋重合体からなる吸水性樹脂が、高い吸水性能を保持し、かつ優れた生分解性を有することを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、請求項1記載の発明の吸水性樹脂は、上記の課題を解決するために、一般式(1)
【0011】
【化2】
【0012】
(式中、R1 は水素原子または炭素数1〜18の直鎖状アルキル基、炭素数1〜18の枝分かれ鎖状アルキル基、炭素数1〜18の環状アルキル基、炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基、炭素数2〜20のアルコキシアルキル基、炭素数1〜8のハロゲン化アルキル基、またはアリール基を表し、R2 は水素原子、対イオン、またはメチル基、エチル基、n−ブチル基、2−エチルヘキシル基からなる群より選ばれるアルキル基を表し、Gは糖残基を表す。)
で表される構造単位を含む架橋重合体からなることを特徴としている。
【0013】
請求項2記載の発明の吸水性樹脂は、上記の課題を解決するために、請求項1記載の吸水性樹脂において、上記架橋重合体は、アクリル酸系単量体と共重合可能な二重結合を2個以上有する化合物、または、アクリル酸系単量体のカルボキシル基と反応しうる官能基を少なくとも2個以上有する化合物によって架橋されていることを特徴としている。
また、請求項3記載の発明の吸水性樹脂は、粉粒状であることを特徴としている。
【0014】
以下に本発明を詳しく説明する。
本発明にかかる吸水性樹脂は、前記一般式(1)で表される構造単位(以下、構造単位(1)と記す)を含む架橋重合体からなっている。構造単位(1)は、一般式(1)中、R1 で示される置換基が水素原子または有機残基で構成され、R2 で示される置換基が水素原子、対イオン、または有機残基で構成され、Gで示される置換基が糖残基で構成される構造単位である。そして、上記吸水性樹脂のうちでも、R1 で示される置換基が水素原子であり、R2 で示される置換基が水素原子、アルカリ金属、アンモニウム基、または有機残基である構造単位(1)を含む吸水性樹脂がより好ましい。
【0015】
本発明にかかる構造単位(1)を含む吸水性樹脂は、一般式(2)
【0016】
【化3】
【0017】
で表されるアクリル酸誘導体(以下、単にアクリル酸誘導体と称する)を含んでなる単量体組成物を重合させることにより得られる。
【0018】
R1 で示される置換基のうち、有機残基とは、具体的には、炭素数1〜18の直鎖状、枝分かれ鎖状、若しくは環状のアルキル基;炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基;炭素数2〜20のアルコキシアルキル基;炭素数1〜8のハロゲン化アルキル基;アリール基を示す。
【0019】
上記R2 で示される置換基のうち、対イオンとしては、アルカリ金属またはアンモニウム基が好ましい。具体的には、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム等のアルカリ金属;アンモニア、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン等をプロトン化してなるアンモニウム基等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0020】
また、上記Gで示される置換基とは、具体的には、全ての糖類、即ち、単糖やオリゴ糖、多糖等の糖類を基本骨格とする末端にヘミアセタール水酸基を含有する全ての糖類から1位の水酸基の水素原子が脱離した基、或いは、アルキル基とグリコシド結合した全ての糖類から1位のアセタール基のアルキル基が脱離した基を示す。尚、上記糖類が有する1位の水酸基以外の水酸基(またはアセタール基)は、その一部または全部がアセチル基等のエステル結合、イソプロピリデン基等のアセタール結合、ブロモ基等のハロゲン原子等により保護されていてもよい。
【0021】
上記糖類のうち、単糖としては、具体的には、例えば、グルコース、ガラクトース、マンノース、グルコサミン、ガラクトサミン、マンノサミン、N−アセチルグルコサミン、Nーアセチルガラクトサミン、Nーアセチルマンノサミン等の六炭糖類;キシロース、リボース、アラビノース等の五炭糖類等が挙げられる。また、オリゴ糖としては、具体的には、例えば、マルトース、ラクトース、セロビオース、トレハロース、イソマルトース、ゲンチオビオース、メリビオース、ラミナリビオース、キトビオース、キシロビオース、マンノビオース、ソロホース等の2糖類;マルトトリオース、イソマルトトリオース、マンノトリオース、マンニノトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース等が挙げられる。さらに、多糖としては、具体的には、例えば、セルロース、アミロース(デンプン)、キチン、キトサン(chitosan)等が挙げられる。
【0022】
本発明にかかるアクリル酸誘導体は、一般式(3)
【0023】
【化4】
【0024】
(式中、R1 は水素原子または有機残基を表し、R2 は水素原子、対イオン、または有機残基を表す。)
で表されるアクリル酸エステル類と、上記ヘミアセタール水酸基を有する糖類、および/または、糖残基を有する化合物であるアルキルグリコシドとを反応させることによって、容易に得ることができる。
【0025】
前記一般式(3)で表されるアクリル酸エステル類(以下、単にアクリル酸エステル類と記す)は、特に限定されるものではないが、α−ヒドロキシアルキルアクリル酸エステルであり、具体的には、例えば、メチル−α−ヒドロキシメチルアクリレート、エチル−α−ヒドロキシメチルアクリレート、n−ブチル−α−ヒドロキシメチルアクリレート、2−エチルヘキシル−α−ヒドロキシメチルアクリレート、メチル−α−(1−ヒドロキシエチル)アクリレート、エチル−α−(1−ヒドロキシエチル)アクリレート、n−ブチル−α−(1−ヒドロキシエチル)アクリレート、2−エチルヘキシル−α−(1−ヒドロキシエチル)アクリレート等のアルキル−α−ヒドロキシアルキルアクリレート類が挙げられる。これらアクリル酸エステル類は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0026】
上記アクリル酸エステル類の製造方法は、特に限定されるものではない。上記アクリル酸エステル類は、従来公知の方法、例えば、相当するアクリレート化合物とアルデヒド化合物とを塩基性イオン交換樹脂等の触媒の存在下で反応させる(特開平6−135896号公報等)ことにより、容易に得ることができる。
【0027】
ヘミアセタール水酸基を有する糖類は、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、上記の糖類、即ち、単糖やオリゴ糖、多糖等の糖類を基本骨格とする末端にヘミアセタール水酸基を含有する全ての糖類が挙げられる。該糖類は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0028】
尚、本発明に使用される糖残基を持つアクリル酸誘導体の製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、上記アクリル酸エステル類と、ヘミアセタール水酸基を有する糖類および/またはアルキルグリコシドとを酸触媒の存在下で反応させることにより容易に得ることができる。
【0029】
本発明にかかる吸水性樹脂は、構造単位(1)に加えて、一般式(4)
【0030】
【化5】
【0031】
(式中、R3 は水素原子またはメチル基を表し、R4 は水素原子、アルカリ金属またはアンモニウム基を表す。)
で表される構造単位(以下、構造単位(4)と記す)をさらに含んでいてもよい。これにより、吸水性樹脂の吸水性能をさらに向上させることができる。
【0032】
吸水性樹脂が構造単位(4)を含む場合、構造単位(1)および構造単位(4)の合計量に対する構造単位(4)の量は、99.9モル%未満であるのが好ましい。構造単位(4)の量が99.9モル%以上、即ち、構造単位(1)の量が0.1モル%未満であると、吸水性樹脂に充分な生分解性を付与することができなくなる恐れがある。
【0033】
また、吸水性樹脂は、さらに他の構造単位を含んでいてもよいが、構造単位(1)および構造単位(4)の合計量は、吸水性樹脂の全構造単位に対して、90モル%以上であるのが好ましい。構造単位(1)および構造単位(4)の合計量が90モル%未満であると、吸水性樹脂に充分な生分解性を付与することができなくなったり、吸水性能が低下する恐れがある。
【0034】
構造単位(4)をさらに含む吸水性樹脂は、一般式(5)
【0035】
【化6】
【0036】
(式中、R3 は水素原子またはメチル基を表し、R4 は水素原子、アルカリ金属またはアンモニウム基を表す。)
で表されるアクリル酸系単量体(以下、単にアクリル酸系単量体と記す)を前記アクリル酸誘導体と共重合させることによって得られる。
【0037】
即ち、構造単位(1)と構造単位(4)とを含む吸水性樹脂は、構造単位(1)を形成すべきアクリル酸誘導体と、構造単位(4)を形成すべきアクリル酸系単量体とを含む単量体組成物を重合させることにより製造することができる。
【0038】
上記アクリル酸系単量体としては、(メタ)アクリル酸を部分中和してなる部分中和物が好ましい。尚、「(メタ)アクリル」とは、メタクリルおよび/またはアクリルを指すものであり、以下の説明においても同様である。
【0039】
(メタ)アクリル酸の部分中和物は、(メタ)アクリル酸が有するカルボキシル基の一部が、アルカリ金属塩またはアンモニウム塩に中和されているものである。上記部分中和物の中和率、即ち、全カルボキシル基に対するアルカリ金属塩またはアンモニウム塩に中和されたカルボキシル基の割合は、50〜95モル%の範囲内であることが好ましく、60〜90モル%の範囲内であることがより好ましい。従って、好ましい(メタ)アクリル酸の部分中和物は、5〜50モル%の(メタ)アクリル酸と、50〜95モル%の(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩(R4 =アルカリ金属)および/またはアンモニウム塩(R4 =アンモニウム基)とからなる混合物である。(メタ)アクリル酸の部分中和物の中和度は、上記範囲内に限定されることはないが、中和度が50モル%未満であると、得られる吸水性樹脂の吸水性能が低下する恐れがある。
【0040】
(メタ)アクリル酸の中和に用いるアルカリ金属塩としては、具体的には、アルカリ金属水酸化物や重炭酸塩等が使用可能であるが、アルカリ金属水酸化物が特に好ましい。アルカリ金属水酸化物の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等が挙げられる。これら例示のうちでも、得られる吸水性樹脂の性能や価格等の面から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。
【0041】
本発明にかかる吸水性樹脂の製造方法においては、単量体組成物を重合させるとともに架橋させるが、その方法については、特に制限はない。架橋の方法としては、例えば、前記の単量体組成物を重合させることで水溶性樹脂を生成させた後、さらに重合中や重合後に架橋剤を添加して水溶性樹脂を架橋させる方法;ラジカル重合開始剤を添加して上記水溶性樹脂を架橋させるラジカル架橋;電子線等を照射して上記水溶性樹脂を架橋させる放射線架橋等が挙げられる。
【0042】
架橋剤を添加する方法については、予め架橋剤を単量体組成物に添加して重合反応を行う方法;単量体組成物の重合反応を開始した後、重合反応中に架橋剤を添加する方法;単量体組成物の重合反応を行った後、反応系に架橋剤を添加し、引き続いて架橋反応を行う方法;単量体組成物の重合反応を行った後、得られた水溶性樹脂を取り出して、水溶性樹脂と架橋剤とを混合する方法等が挙げられる。性能の優れた吸水性樹脂を生産性良く得るためには、予め所定量の架橋剤を単量体組成物に添加して重合を行い、重合と同時または重合後に架橋反応させて架橋させる方法が、最も好ましい。
【0043】
架橋に用いられる架橋剤としては、単量体組成物に含まれるアクリル酸誘導体、アクリル酸系単量体等と共重合可能な二重結合を2個以上有する化合物;カルボキシル基と反応しうる官能基を少なくとも2個以上有する化合物等を用いることができる。
【0044】
上記架橋剤のうち、アクリル酸誘導体等と共重合可能な二重結合を2個以上有する化合物としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、N,N'−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジアリルテレフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート等が挙げられる。
【0045】
上記架橋剤のうち、カルボキシル基と反応しうる官能基を少なくとも2個以上有する化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、2−ブテン−1,4−ジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサノール、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレンオキシプロピレンブロック共重合体、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレンジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリシドール等のエポキシ化合物;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリアミドポリアミンポリエチレンイミン等の多価アミン化合物、並びに、それら多価アミンとハロエポキシ化合物との縮合物;2,4−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の多価イソシアネート化合物;1,2−エチレンビスオキサゾリン等の多価オキサゾリン化合物;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤;1,3−ジオキソラン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,3−ジオキサン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキサン−2−オン、4,6−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−オン、1,3−ジオキソパン−2−オン等のアルキレンカーボネート化合物;エピクロロヒドリン、エピブロムヒドリン、α−メチルエピクロロヒドリン等のハロエポキシ化合物;亜鉛、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄、ジルコニウム等の多価金属の水酸化物あるいは塩化物等が挙げられる。これら架橋剤は、それぞれ単独で用いてもよく、二種以上の混合物として用いてもよい。
【0046】
架橋剤の使用量については、特に限定されるものではなく、架橋剤の種類、アクリル酸誘導体の種類や量等に応じて適宜選択すればよい。
【0047】
本発明にかかる単量体組成物は、さらに他の単量体として親水性の共重合性単量体や疎水性の共重合性単量体を含んでいてもよい。
【0048】
親水性の共重合性単量体としては、分子内に重合性の二重結合を有する親水性の単量体を用いることができる。具体的には、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−メチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルピロリジン等のノニオン性の親水性単量体;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドおよびその四級塩等のカチオン性の親水性単量体等が挙げられる。これら例示の親水性単量体の中でも、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよびその四級塩、(メタ)アクリルアミドが好ましい。尚、親水性単量体として、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル等のように、重合後に官能基の加水分解によって親水性官能基を生成する単量体を用いて吸水性樹脂を形成してもよい。これら親水性単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、二種以上の混合物として用いてもよい。
【0049】
疎水性の共重合性単量体としては、例えば、スチレン、塩化ビニル、ブタジエン、イソブテン、エチレン、プロピレン、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これら疎水性単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、二種以上の混合物として用いてもよい。
【0050】
また、本発明にかかる吸水性樹脂の製造方法においては、単量体組成物を重合させる際に、水溶性連鎖移動剤、親水性高分子等の他の化合物を共存させてもよい。
【0051】
上記水溶性連鎖移動剤としては、例えば、次亜燐酸塩、チオール類、チオール酸類等が挙げられる。上記親水性高分子としては、例えば、澱粉、セルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩架橋体等が挙げられる。
【0052】
本発明において、単量体組成物の重合を行うに際して、バルク重合や沈殿重合を行うことも可能であるが、性能面や重合の制御の容易さから、単量体組成物を溶媒に溶解し、溶液として重合を行うことが好ましい。重合に用いる溶媒としては、単量体組成物が溶解する液体ならば特に制限がなく、例えば、水、メタノール、エタノール、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられるが、水または水性溶媒が特に好ましい。尚、単量体組成物の濃度は飽和濃度を超えてもかまわないが、通常、20重量%〜飽和濃度の範囲内が好ましく、25〜50重量%の範囲内がさらに好ましい。単量体組成物の濃度が高すぎると、吸水性樹脂の諸物性の低下等がみられる場合がある。また、単量体組成物の溶液のpHは、特に限定されないが、4以上に調節されていることが、好ましい。単量体組成物の溶液のpHが4未満であると、得られる吸水性樹脂の生分解性が低下する場合がある。
【0053】
本発明における単量体組成物の重合方法としては、例えば、ラジカル重合開始剤を用いるラジカル重合、放射線重合、電子線重合、光増感剤による紫外線重合等を挙げることができるが、性能のより一層優れた吸水性樹脂を得るためには、ラジカル重合開始剤を用いるラジカル重合が好ましい。ラジカル重合の方法としては、例えば、型枠の中で行う鋳型重合、ベルトコンベアー上での重合、含水ゲル状重合体を細分化しながら行う重合等の各種水溶液重合、逆相懸濁重合、逆相乳化重合、沈殿重合、バルク重合等の公知の重合方法が挙げられるが、逆相懸濁重合または水溶液重合が、特に好ましい。
【0054】
単量体組成物の重合反応は、連続重合で行ってもよく、回分式重合で行ってもよい。重合温度は、重合初期およびピークを除けば、実質的に0〜100℃の範囲に保たれることが好ましい。また、重合時の圧力は、減圧、加圧、常圧のいずれであってもよい。
【0055】
ラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩;t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物;過酸化水素;2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等のアゾ化合物;亜塩素酸塩、次亜塩素酸塩、第二セリウム塩、過マンガン酸塩等公知の重合開始剤が挙げられる。これらの中でも、過硫酸塩、過酸化水素、アゾ化合物が好ましい。また、過硫酸塩、過酸化水素、アゾ化合物等の酸化性ラジカル重合開始剤を用いる場合、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、L−アスコルビン酸等の還元剤を併用してもよい。さらに、アゾ化合物等を用いる場合には、紫外線を併用して紫外線重合を同時に行ってもよい。
【0056】
尚、これらラジカル重合開始剤は、重合反応系に一括添加してもよいし、逐次添加してもよい。また、ラジカル重合開始剤の使用量は、単量体組成物に対して、通常0.001〜2モル%であることが好ましく、0.01〜1モル%であることがより好ましい。
【0057】
本発明において、含水ゲル状重合体を乾燥する方法としては、従来公知の方法を採用することができる。例えば、減圧乾燥機、箱形乾燥機、通気型乾燥機、通気バンド乾燥機、通気堅型乾燥機、回転乾燥機等の乾燥機を用いて乾燥すればよい。
【0058】
含水ゲル状重合体を乾燥する際の乾燥温度は、従来公知の乾燥方法と同様の温度でよいが、50℃〜250℃の範囲内が好ましく、80℃〜200℃の範囲内がより好ましい。250℃を越える温度では、吸水性樹脂の劣化、分解が起こることがある。50℃よりも低い温度では、乾燥に長時間を要するため生産性が低下するので好ましくない。
【0059】
本発明にかかる製造方法において、粉粒状の吸水性樹脂を製造する場合には、上記含水ゲル状重合体を乾燥した後、得られた乾燥物を粉砕すればよい。上記乾燥物を粉砕する方法としては、従来公知の粉砕方法を採用することができる。例えば、高速回転式粉砕機(ピンミル、ハンマーミル等)、スクリューミル(コーヒーミル)、ロールミル等の粉砕機を用いて粉砕すればよい。
【0060】
以上のように、本発明にかかる吸水性樹脂は、糖残基を持つ構造単位(1)を含む架橋重合体からなっている。
【0061】
上記構成によれば、吸水性樹脂は、吸水性能に優れるとともに、糖残基を持つことにより、土中の細菌や微生物等により容易に分解され、優れた生分解性を有している。このため、上記吸水性樹脂は、土中に埋めるだけで分解されるので、廃棄処分が簡単であり、環境汚染等を防止することができる。
【0062】
【実施例】
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。尚、吸水性樹脂の諸性能は、以下の方法で測定した。また、実施例および比較例に記載の「部」は、「重量部」を示し、「%」は、「重量%」を示している。
(a)吸水倍率
吸水性樹脂 0.2gを不織布製のティーバッグ式袋(40mm×150 mm)に均一に入れ、 0.9%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)中に浸漬した。60分後にティーバッグ式袋を引き上げ、一定時間水切りを行った後、ティーバッグ式袋の重量W1 (g) を測定した。また、同様の操作を吸水性樹脂を用いないで行い、そのときのティーバッグ式袋の重量W0 (g) を測定した。そして、これら重量W1 、W0 から、次式、
吸水倍率 (g/g)=(重量W1(g) −重量W0(g) )/吸水性樹脂重量(g)
に従って吸水倍率 (g/g)を算出した。
(b)生分解率
生分解試験は、修正MITI(Ministry of International Trade and Industry)試験に従って実施した。即ち、JIS K−0102における生物化学酸素消費量の項に規定されている組成液である基礎培養液 300mlに、試験物質としての吸水性樹脂を 100 ppmとなるように添加すると共に、化学品検査協会の標準汚泥を30 ppmとなるように添加した。その後、この基礎培養液を暗所下で25℃に保ち、撹拌しながら28日間にわたって培養した。そして、上記培養期間中、活性汚泥により消費された酸素量を定期的に測定し、生物化学的酸素要求量(BOD:Biochemical Oxygen Demand)曲線を求めた。生分解率(%)は、上記のBOD曲線から得られる試験物質(吸水性樹脂)の生物化学的酸素要求量A(mg)と、BOD曲線から得られるブランク、つまり、基礎培養液の酸素消費量B(mg)と、試験物質を完全酸化させる場合に必要な全酸素要求量(TOD:Total Oxygen Demand)C(mg)とから、次式、
生分解率(%)={(A−B)/C}× 100
に従って算出した。
【0063】
〔実施例1〕
溶媒としての蒸留水 146部に、糖残基を持つアクリル酸誘導体としてのエチル−α−グルコシドメチルアクリレート50%水溶液 186部、架橋剤としてのポリエチレングリコールジアクリレート0.01部を溶解させることにより、単量体組成物の溶液としてのモノマー水溶液 332部を調製した。モノマー水溶液中の全モノマー濃度(単量体組成物の濃度)は、28%であった。
【0064】
このモノマー水溶液に、重合開始剤としての過硫酸ナトリウム10%水溶液 2.3部およびL−アスコルビン酸1%水溶液 2.3部を添加し、窒素雰囲気中、30℃で静置重合させてゲル状含水ポリマーを得た。この含水ポリマーを、減圧乾燥機を用いて30mmHgの減圧度、50℃で5時間加熱することにより、乾燥物とした。この乾燥物を、振動ミルを用いて粉砕し、吸水性樹脂を得た。得られた吸水性樹脂の吸水倍率、および、生分解率(以下、諸性能と記す)を測定した。これらの値(以下、単に結果と記す)を表1に合わせて記載した。
〔実施例2〕
糖残基を持つアクリル酸誘導体として、エチル−α−グルコシドメチルアクリレート50%水溶液の代わりにα−グルコシドメチルアクリル酸ナトリウム50%水溶液を用いる以外は実施例1と同様の反応を行って、吸水性樹脂を得た。得られた吸水性樹脂の諸性能を測定した結果を表1に合わせて記載した。
【0065】
〔実施例3〕
溶媒としての蒸留水 618部に、アクリル酸系単量体としてのアクリル酸15部およびアクリル酸ナトリウム37%水溶液 160部、糖残基を持つアクリル酸誘導体としてのエチル−α−グルコシドメチルアクリレート50%水溶液16部、架橋剤としてのポリエチレングリコールジアクリレート0.03部を溶解させることにより、モノマー水溶液 809部を調製した。モノマー水溶液中の全モノマー濃度は、10%であった。
【0066】
この水溶液に、重合開始剤としての2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド(和光純薬工業株式会社製:商品名「V−50」)10%水溶液 1.7部を添加し、窒素雰囲気中、30℃で静置重合させてゲル状含水ポリマーを得た。この含水ポリマーを、減圧乾燥機を用いて30mmHgの減圧度、50℃で5時間加熱することにより、乾燥物とした。この乾燥物を振動ミルを用いて粉砕し、吸水性樹脂を得た。得られた吸水性樹脂の諸性能を測定した結果を表1に合わせて記載した。
【0067】
〔実施例4〕
溶媒としての蒸留水の量を 618部から 264部に変更し、エチル−α−グルコシドメチルアクリレート50%水溶液の量を16部から37部に変更する以外は実施例3と同様の反応を行って吸水性樹脂を得た。得られた吸水性樹脂の諸性能を測定した結果を表1に合わせて記載した。
【0068】
〔実施例5〕
糖残基を持つアクリル酸誘導体としてエチル−α−グルコシドメチルアクリレート50%水溶液の代わりにα−グルコシドメチルアクリル酸ナトリウム50%水溶液を用いる以外は実施例3と同様にして、吸水性樹脂を得た。得られた吸水性樹脂の諸性能を測定した結果を表1に合わせて記載した。
【0069】
〔実施例6〕
糖残基を持つアクリル酸誘導体としてエチル−α−グルコシドメチルアクリレート50%水溶液の代わりにα−グルコシドメチルアクリル酸ナトリウム50%水溶液を用いる以外は実施例4と同様にして吸水性樹脂を得た。得られた吸水性樹脂の諸性能を測定した結果を表1に合わせて記載した。
【0070】
〔比較例1〕
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート、および窒素ガス吹き込み管を取り付けた2Lの四ツ口丸底フラスコを反応器とした。この反応器に、シクロヘキサン1150ml、および、エチルセルロース(ハーキュリーズ社製:商品名「エチルセルロースN−200」) 9.0gを仕込んだ。次いで、反応系に窒素ガスを吹き込んで溶存酸素を追い出した後、反応液を75℃に昇温させた。
【0071】
一方、別の容器中で、98%水酸化ナトリウム65.8gをイオン交換水 200gに溶解させて水酸化ナトリウム水溶液を調製した。そして、さらに別のフラスコにアクリル酸 150gを入れ、フラスコを冷却しながら、上記の水酸化ナトリウム水溶液を添加してアクリル酸を中和し、アクリル酸ナトリウム水溶液を得た。アクリル酸ナトリウム水溶液の濃度は45%であった。次いで、このアクリル酸ナトリウム水溶液に、重合開始剤である過硫酸カリウム 0.5gおよび架橋剤であるN,N’−メチレンビスアクリルアミド0.25gを添加した。アクリル酸に対する重合開始剤の割合は、 0.1%であった。そして、水溶液に、窒素ガスを吹き込んで溶存酸素を追い出した。
【0072】
この水溶液を上記の滴下ロートに入れ、1時間かけて該水溶液を、75℃に昇温させた反応液に滴下して重合反応を行った。滴下終了後、反応液を75℃に保ちながら、1時間反応を続けた。そして、反応終了後、シクロヘキサンを減圧下に留去し、膨潤ポリマーを取り出した。さらに、得られた膨潤ポリマーを、80℃〜 100℃で減圧乾燥することにより、比較用の吸水性樹脂を得た。得られた比較用吸水性樹脂の諸性能を測定した。結果を表1に合わせて記載した。
【0073】
〔比較例2〕
撹拌機、温度計、および窒素ガス吹き込み管を取り付けた反応器に、トウモロコシデンプン50部および水 300部を仕込んだ。この反応液を、窒素気流下、50℃で1時間撹拌した。続いて、反応液を30℃に冷却した後、アクリル酸20部、アクリル酸ナトリウム80部、架橋剤であるN,N’−メチレンビスアクリルアミド0.04部、および、重合開始剤である過硫酸アンモニウム 0.1部および亜硫酸水素ナトリウム0.01部を添加して重合を開始した。そして、反応温度30℃〜80℃で4時間反応させた後、含水ゲル重合体を取り出した。
【0074】
得られた含水ゲル重合体を、 120℃で熱風乾燥した。次いで、乾燥物を粉砕して、デンプングラフト重合体からなる比較用の吸水性樹脂を得た。得られた比較用吸水性樹脂の諸性能を測定した。結果を表1に合わせて記載した。
【0075】
【表1】
【0076】
実施例1〜実施例6および比較例1〜比較例2の結果から明らかなように、本実施例にかかる吸水性樹脂は、従来の吸水性樹脂と比較して、吸水性能である吸水倍率、および、生分解性の両方に優れていることがわかった。
【0077】
【発明の効果】
本発明の構成によれば、吸水性樹脂は、糖残基を持つことにより、吸水性能および生分解性の両方に優れるという効果を奏する。このため、上記吸水性樹脂は、廃棄処分が簡単であり、かつ、安全性に優れ、環境汚染等の環境衛生問題を引き起こすことを防止することができるという効果を奏する。さらに、上記の吸水性樹脂から得られる吸水性物品は、土中の細菌や微生物等により分解可能な生分解性を有しているので、土中に埋めるだけで分解されるという効果を奏する。
【0078】
本発明の吸水性樹脂は、紙オムツや生理用品等の衛生材料等の衛生分野としての利用のみならず、例えば、医療分野、土木・建築分野、食品分野、工業分野、農業・園芸分野等、非常に多種多様な分野に利用することができ、油水分離材、廃液吸収材、防振材、防音材、家庭用雑貨品、玩具、人工雪等として利用することができる。
Claims (3)
- 上記架橋重合体は、アクリル酸系単量体と共重合可能な二重結合を2個以上有する化合物、
または、アクリル酸系単量体のカルボキシル基と反応しうる官能基を少なくとも2個以上有する化合物
によって架橋されていることを特徴とする請求項1に記載の吸水性樹脂。 - 粉粒状であることを特徴とする請求項1または2に記載の吸水性樹脂。
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