JP4613155B2 - 吸水性樹脂及び吸水性樹脂の製造方法 - Google Patents

吸水性樹脂及び吸水性樹脂の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は吸水性樹脂及び吸水性樹脂の製造方法に関する。
生分解性を有する吸水性樹脂としては、多糖類をアミノ酸類により架橋させた吸水性樹脂(特許文献1等)、カルボキシアルキルセルロースアルカリ金属塩及び多価カルボン酸を架橋反応させて得た吸水性樹脂(特許文献2等)が提案されている。
特許第3720084号公報 特許第3274550号公報
しかしながら、従来の生分解性を有する吸水性樹脂は、通常の吸水性樹脂と比較して、吸水性能が著しく劣るという問題点がある。
したがって、本発明は、吸水性能に優れ、かつ生分解性に優れた吸水性樹脂を得ることを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべき鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明の吸水性樹脂の特徴は、水溶性ビニルモノマー(a)、(メタ)アクリル酸ビニル(b)及び内部架橋剤(c)を必須構成単位としてなり、
水溶性ビニルモノマー(a)が(メタ)アクリル酸(塩)であり、
内部架橋剤(c)が炭素数2〜10のポリオールのポリ(メタ)アリルエーテル又はエチレングリコールジグリシジルエーテルであり、
(メタ)アクリル酸ビニル(b)単位の含有量が水溶性ビニルモノマー(a)単位のモル数に基づいて1〜40モル%であり、
内部架橋剤(c)単位の含有量が水溶性ビニルモノマー(a)単位のモル数に基づいて0.001〜5モル%であり、
生分解率が30〜80%、保水量が30〜60g/g、荷重下吸収量が15〜30g/gである点を要旨とする。
本発明の吸水性樹脂は、吸水性能及び生分解性に優れる。したがって、本発明の吸水性樹脂を吸収性物品{紙おむつや生理用ナプキン等}に適用した場合、従来の吸水性樹脂を使用した吸収性物品に比較して著しく優れた吸収性能を有し、かつ吸収性物品の廃棄に際しても環境汚染の問題が発生しない。すなわち、吸収性物品を埋め立てしても容易に分解されるため、廃棄が容易となる。
本発明の吸水性樹脂の生分解率(%)は、30〜80が好ましく、さらに好ましくは35〜75、特に好ましくは40〜70である。この範囲であると、本発明の吸水性樹脂を吸収性物品に適用したとき、環境汚染の問題が発生しにくい。
<生分解率の測定法>
JIS K6951:2000に準拠して、28日後の生分解率を測定する。
なお、測定試料は、150μm及び250μmのふるい(JIS Z8801−1:2000)を用いて、150〜250μmの粒子経範囲にふるい分けした吸水性樹脂を用いる。
本発明の吸水性樹脂の保水量(g/g)は、30〜60が好ましく、さらに好ましくは35〜55、特に好ましくは40〜50である。この範囲であると、本発明の吸水剤を吸収性物品に適用したときに吸収性能がさらに良好となる。
<保水量の測定法>
目開き63μm(JIS Z8801−1:2000に準拠)のナイロン網で作成したティーバッグ(縦20cm、横10cm)に測定試料1.00gを入れ、生理食塩水(食塩濃度0.9重量%)1,000cc中に無撹拌下、1時間浸漬した後、15分間吊るして水切りする。その後、ティーバッグごと、遠心分離器にいれ、150Gで90秒間遠心脱水して余剰の生理食塩水を取り除き、ティーバックを含めた重量(h1)を測定し次式から保水量を求める。なお、使用する生理食塩水及び測定雰囲気の温度は25℃±2℃である。
Figure 0004613155

(h2)は、測定試料の無い場合について上記と同様の操作により計測したティーバックの重量である。
本発明の吸水性樹脂の荷重下吸収量(g/g)は、15〜30が好ましく、さらに好ましくは18〜28、特に好ましくは20〜25(g/g)である。この範囲であると、本発明の吸水性樹脂を吸収性物品に適用したときに吸収性能がさらに良好となる。
<荷重下吸収量の測定法>
目開き63μm(JIS Z8801−1:2000に準拠)のナイロン網を底面に貼った円筒型プラスチックチューブ(内径30mm、高さ60mm)内に試料0.1gを秤量し、プラスチックチューブを垂直にしてナイロン網上に試料がほぼ均一厚さになるように整え、この試料の上に20g/cm2の荷重となるように外径29.5mm×22mmの分銅を乗せる。生理食塩水(食塩濃度0.9%)60mlの入ったシャーレ(直径:12cm)の中に試料及び分銅の入ったプラスチックチューブをナイロン網側を下面にして浸し、放置する。60分後に試料及び分銅の入ったプラスチックチューブを計量し、試料が生理食塩水を吸収して増加した重量を算出し、この増加した重量の10倍値を加圧下吸収量(g/g)とする。
生分解率が30〜80%、保水量が30〜60g/g、荷重下吸収量が15〜30g/gである吸水性樹脂としては、水溶性ビニルモノマー(a)、(メタ)アクリル酸ビニル(b)及び内部架橋剤(c)を必須構成単位としてなる吸水性樹脂が好適である。
水溶性ビニルモノマー(a)としては特に限定はなく公知{たとえば、特許第3648553号公報、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報、特開2005−95759号公報}のモノマー等が使用できる。
これらのうち、保水量及び加重下吸収量の観点等から、アニオン性ビニルモノマーが好ましく、さらに好ましくはカルボキシル(塩)基、スルホ(塩)基、アミノ基、カルバモイル基、アンモニオ基又はモノ−、ジ−若しくはトリ−アルキルアンモニオ基を有するビニルモノマー、次に好ましくはカルボキシル(塩)基又はカルバモイル基を有するビニルモノマー、さらに特に好ましくは(メタ)アクリル酸(塩)及び(メタ)アクリルアミド、次に特に好ましくは(メタ)アクリル酸(塩)、最も好ましくはアクリル酸(塩)である。
なお、塩としては、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム及びカリウム等)塩、アルカリ土類金属(マグネシウム及びカルシウム等)塩又はアンモニウム(NH4)塩等が含まれる。これらの塩のうち、保水量及び加重下吸収量の観点等から、アルカリ金属塩及びアンモニウム塩が好ましく、さらに好ましくはアルカリ金属塩、特に好ましくはナトリウム塩である。
(メタ)アクリル酸ビニル(b)とは、アクリル酸ビニル又はメタクリル酸ビニルを意味する{これらは、たとえば、日本酢ビポバール株式会社から容易に入手できる。}。これらのうち、生分解率の観点等から、アクリル酸ビニルが好ましい。
内部架橋剤(c)としては特に限定はなく公知{たとえば、特許第3648553号公報、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報、特開2005−95759号公報}の内部架橋剤等が使用できる。
これらのうち、保水量及び加重下吸収量の観点等から、エチレン性不飽和基を2個以上有する内部架橋剤が好ましく、さらに好ましくは炭素数2〜10のポリオールのポリ(メタ)アリルエーテル、特に好ましくはトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、テトラアリロキシエタン及びペンタエリスリトールトリアリルエーテル、最も好ましくはペンタエリスリトールトリアリルエーテルである。
(メタ)アクリル酸ビニル(b)単位の含有量(モル%)は、水溶性ビニルモノマー(a)単位のモル数に基づいて、1〜40が好ましく、さらに好ましくは5〜35、特に好ましくは10〜30である。この範囲であると、吸水性樹脂の保水量、荷重下吸収量及び生分解率がさらに良好となる。
内部架橋剤(c)単位の含有量(モル%)は、水溶性ビニルモノマー(a)単位のモル数に基づいて、0.001〜5が好ましく、さらに好ましくは0.005〜3、特に好ましくは0.01〜1である。この範囲であると、吸水性樹脂の保水量及び荷重下吸収量がさらに良好となる。
本発明の吸水性樹脂には、本発明の目的を逸脱しない範囲内で、その他の共重合単量体を構成単位として含んでもよい。その他の共重合単量体としては特に限定はなく公知{たとえば、特許第3648553号公報、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報、特開2005−95759号公報}のモノマー等が使用できる。
本発明の吸水性樹脂は、公知の方法{水溶液重合(断熱重合、薄膜重合及び噴霧重合法等;特開昭55−133413号公報等)及び逆相懸濁重合{特公昭54−30710号公報、特開昭56−26909号公報及び特開平1−5808号公報等}と同様にして容易に得られる。すなわち、本発明の吸水性樹脂が、水溶性ビニルモノマー(a)、(メタ)アクリル酸ビニル(b)及び内部架橋剤(c)を必須構成単位としてなる吸水性樹脂である場合、従来の重合モノマーに換えて、これらの必須構成単位(必要に応じて他の共重合単量体も用いる。)を用いて重合することにより得られる。
重合には、重合開始剤や連鎖移動剤を用いてもよい。
重合開始剤や連鎖移動剤としては、公知{特開2003−225565号公報、特開2006−131767号公報及び特開2005−097569号公報等}のものが使用できる。
本発明の吸水性樹脂は、上記のようにして得られるポリマーをアルカリと混合することにより生分解性がさらに良好となる。これは、(メタ)アクリル酸ビニル(b)単位のエステル結合がアルカリ加水分解により切れて、ポリマー中に2級水酸基が生成し、この部分が生分解のスタートポイントとなりやすいためと考えられる。もちろん、アルカリを混合しなくても生分解性に優れるが、アルカリを混合しておくと生分解スピードがさらに早くなる。
なお、このアルカリとの混合は、通常の吸水性樹脂の製造工程においてアルカリとの中和とは区別されるが、この中和工程と同様にして行うことができる。したがって、中和を行う場合、中和とアルカリ加水分解とを同時行ってもよい。
アルカリを混合する装置としては、ニーダー、万能混合機、一軸あるいは双軸の混練押出し機、ミンチ機及びミートチョッパー等が挙げられる。これらうち、万能混合機、一軸あるいは双軸の混練押出し機及びミンチ機が好ましく、さらに好ましくは一軸あるいは双軸の混練押出し機及びミンチ機である。
アルカリは、公知{特許第3205168号公報等}のものが使用できる。これらのうち、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが好ましく、さらに好ましくは水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム、特に好ましくは水酸化ナトリウムである。
アルカリを混合する場合、この使用量(モル%)は、(メタ)アクリル酸ビニル(b)単位のモル数に基づいて、1〜100が好ましく、さらに好ましくは5〜90、特に好ましくは10〜80である。この範囲であると、生分解性がさらに良好となる。なお、中和工程における中和する場合、アルカリ加水分解のために追加する量(モル%)としては、水溶性ビニルモノマー(a)単位及び(メタ)アクリル酸ビニル(b)単位のモル数に基づいて、1〜100が好ましく、さらに好ましくは5〜90、特に好ましくは10〜80である。
アルカリは、アルカリ水溶液にして添加してもよい。この場合、アルカリの濃度は、10〜50重量%が好ましく、さらに好ましくは15〜30重量%である。この範囲であると、さらに均一混合しやすく、吸水性能及び生分解性がさらに良好となる。
本発明の吸水性樹脂には、さらに必要に応じて、表面架橋剤により表面架橋処理を行うことができる。表面架橋剤としては、公知{特開昭59−189103号公報等に記載の多価グリシジル、特開昭58−180233号公報及び特開昭61−16903号公報等に記載の多価アルコール、多価アミン、多価アジリジン及び多価イソシアネート、特開昭61−211305号公報及び特開昭61−252212号公報等に記載のシランカップリング剤、並びに特開昭51−136588号公報及び特開昭61−257235号公報等に記載の多価金属等}のものが使用できる。これらのうち、吸水性能の観点等から、多価グリシジル、多価アミン及びシランカップリング剤が好ましく、さらに好ましくは多価グリシジル及びシランカップリング剤、特に好ましくは多価グリシジルである。
表面架橋処理をする場合、表面架橋剤の使用量(重量%)は、吸水性能及び生分解性の観点等から、表面架橋前のポリマーの重量に基づいて、0.001〜3が好ましく、さらに好ましくは0.005〜2、特に好ましくは0.01〜1である。
本発明の吸水性樹脂には、公知{特開2003−225565号公報、特開2006−131767号公報等}の添加剤{防腐剤、防かび剤、抗菌剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、芳香剤、消臭剤、無機質粉末及び有機質繊維状物等}を添加することができる。
また、本発明の吸水性樹脂は、公知の方法で乾燥・粉砕・粒度調整等することができる。
本発明の吸水性樹脂は、各種の吸収体に適用することにより、吸収性能に優れた吸収性物品を製造し得る。吸収体、吸収性物品への適用方法については公知{特開2003−225565号公報、特開2006−131767号公報及び特開2005−097569号公報等}の方法と同様である。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特に定めない限り、部は重量部、%は重量%を示す。また、吸水倍率及び紙おむつの性能評価は次の方法により行った。
<吸水倍率の測定法>
目開き63μmのナイロン網で作成したティーバッグ(縦20cm、横10cm)に測定試料1.00gを入れ、生理食塩水(食塩濃度0.9重量%)1,000cc中に無撹拌下、1時間浸漬した後、15分間吊るして水切りしてから重量(X1)を測定し、次式から吸水倍率を測定した。なお、使用する生理食塩水及び測定雰囲気の温度は25℃±2℃である。
Figure 0004613155

(X2)は、測定試料の無い場合について上記と同様の操作により計測したティーバックの重量である。
<紙おむつの性能評価>
特開2003−225565号公報の実施例25に記載の方法と同様にして、紙おむつを調製し、また、同記載の方法と同様にして、SDME法による紙おむつの表面ドライネス値(SDME値)を得た。
<実施例1>
アクリル酸79.2部(1.1モル部)、アクリル酸ビニル43.1部(0.44モル部)、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.0028部(0.011ミリモル部)及び脱イオン水241部を攪拌・混合しながら、3℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液0.3部、0.2%アスコルビン酸水溶液0.8部及び2%の2,2’−アゾビスアミジノプロパンジハイドロクロライド水溶液0.8部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が80度に達した後、80±2℃で約5時間重合することにより重合体を得た。
次にこの重合体をミンチ機(ROYAL社製 12VR−400K)で細断しながら、30%水酸化ナトリウム水溶液152.5部を添加して混合・中和し、中和重合体を得た。
さらに中和重合体を140℃、風速2.0m/秒の条件の通気型バンド乾燥機で乾燥し、乾燥体を得た。
乾燥物を市販のジューサーミキサー(Oster社製 OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、ふるい分けして目開き590〜150μmの粒子径範囲に調整し、乾燥粒子を得た。
ついで、乾燥粒子100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、表面架橋剤{エチレングリコールジグリシジルエーテルを濃度10%で含有する水/メタノール混合溶液(水/メタノール=70/30);以下同じ。}2部を乾燥粒子に添加し均一混合した後、140℃で30分間静置して本発明の吸水性樹脂(1)を得た。
<実施例2>
アクリル酸ビニル43.1部(0.44モル部)を1.08部(0.011モル部)に変更したこと、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.0028部(0.011ミリモル部)をエチレングリコールジグリシジルエーテル9.57部(0.055モル部)に変更したこと、ミンチ機(ROYAL社製 12VR−400K)を一軸の混練押出機(株式会社 井元製作所製 1192)に変更したこと、及び乾燥粒子と表面架橋剤とを均一混合・加熱しなかったこと以外、実施例1と同様にして本発明の吸水性樹脂(2)を得た。
<実施例3>
実施例2において得られた吸水性樹脂(2)100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、表面架橋剤2部を2流体式スプレー機(スプレーイングシステムジャパン社製 VAU)でスプレー噴霧しながら加えて、均一混合した後、140℃で30分間静置して本発明の吸水性樹脂(3)を得た。
<実施例4>
アクリル酸79.2部(1.1モル部)をアクリル酸ナトリウム74.64部(0.8モル部)及びアクリル酸22.15部(0.3モル部)に変更したこと、アクリル酸ビニル43.12部(0.44モル部)を32.34部(0.33モル部)に変更したこと、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.0028部(0.011ミリモル部)をエチレングリコールジグリシジルエーテル0.019部(0.11ミリモル部)に変更したこと、脱イオン水241部を293部に変更したこと、重合体をミンチ機(ROYAL社製 12VR−400K)で細断しなかったこと、30%水酸化ナトリウム水溶液を添加・混合・中和しなかったこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸水性樹脂(4)を得た。
<実施例5>
シクロヘキサン121.2部及びソルビタンモノステアレート0.9部を均一溶解させた後、窒素ガスを吹き込んで、溶存酸素量を1ppm以下として、反応溶媒を調整した。
一方、アクリル酸43.2部(0.6モル部)及び水6.4部の混合液に、氷冷下、25%水酸化ナトリウム水溶液70部を加えて、カルボキシ基の70モル%を中和した。次いで、アクリル酸ビニル2.94部(0.03モル部)、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.0052部(0.03ミリモル部)及び2,2‘−アゾビスアミジノプロパンジハイドロクロライド0.031部を加えて溶解させて、モノマー溶液を調整した。
反応溶媒中を攪拌しながら、これにモノマー溶液を分散させた後、窒素をバブリングしながら、分散液の温度を60℃に加熱して、引き続き60℃に保ちながら2時間重合させて、膨潤ゲル粒子を得た。
ついで、60℃から80℃に加熱して、シクロヘキサンと水との共沸により水を留去することにより、膨潤ゲル粒子中の水分が20%になるまで脱水した。
脱水後攪拌を停止して、沈降した膨潤ゲル粒子をデカンテーションによりシクロヘキサン相から分離した。分離した膨潤ゲル粒子を減圧乾燥(80〜90℃、0.01MPa)して乾燥粒子を得た。
この乾燥粒子30部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、表面架橋剤0.6部を2流体式スプレー機でスプレー噴霧しながら加えて均一混合した後、140℃で30分間静置して本発明の吸水性樹脂(5)を得た。
<実施例6>
アクリル酸ビニル1.08部(0.011モル部)を37.73部(0.385モル部)に変更したこと、エチレングリコールジグリシジルエーテル9.57部(0.055モル部)を5.74部(0.033モル部)に変更したこと以外、実施例2と同様にして、本発明の給水性樹脂(6)を得た。
<実施例7>
アクリル酸ビニル1.08部(0.011モル部)を10.78部(0.11モル部)に変更したこと、エチレングリコールジグリシジルエーテル9.57部(0.055モル部)を1.91部(0.011モル部)に変更したこと以外、実施例2と同様にして、本発明の給水性樹脂(7)を得た。
<比較例1>
アクリル酸ビニルを使用しかったこと以外、実施例1と同様にして比較用の吸水性樹脂(H1)を得た。
<比較例2>
アクリル酸ビニルを使用しなかったこと以外、実施例2と同様にして比較用の吸水性樹脂(H2)を得た。
<比較例3>
アクリル酸ビニルを使用しなかったこと以外、実施例3と同様にして比較用の吸水性樹脂(H3)を得た。
<比較例4>
イオン交換水480部及びカルボキシメチルセルロース20部を溶解させ、カルボキシメチルセルロース水溶液を調整した。
一方、イオン交換水99.9部及びアスパラギン酸0.1部を溶解させ、アスパラギン酸水溶液を調整した。
次に、カルボキシメチルセルロース水溶液500部とアスパラギンサン水溶液100部とを均一混合した後、120℃、70分間乾燥して、乾燥樹脂を得た。
乾燥樹脂を市販のジューサーミキサーにて粉砕した後、ふるい分けして目開き590〜150μmの粒子範囲に調整した比較用の吸水性樹脂(H4)を得た。
実施例1〜7及び比較例1〜4で得た吸水性樹脂の性能評価結果を表1に示す。
Figure 0004613155
表1から判るように、本発明の吸水性樹脂(実施例1〜5)は、比較例1〜4の吸水性樹脂に比べ、吸水性能{保水量、加重下吸収量及び吸水倍率}、生分解性及び吸収性物品の吸収性能{紙おむつのSDME値}に著しく優れていた。
本発明の吸水性樹脂は、吸水性能{保水量、加重下吸収量及び吸水倍率等}及び生分解性に著しく優れるので、本発明の吸水性樹脂を吸収性物品{紙おむつや生理用ナプキン等}に適用した場合、従来の吸水性樹脂を使用した吸収性物品に比較して著しく優れた吸収性能を有し、かつ吸収性物品の廃棄に際しても環境汚染の問題が発生しない{埋め立て処理等が容易となる。}。
本発明の吸水性樹脂は、吸水性樹脂と繊維状物とを含有してなる吸収体に適用でき、この吸収体を備えてなる吸収性物品{紙おむつ、生理用ナプキン及び医療用保血剤等の衛生用品等}に有用である。また、ペット尿吸収剤、携帯トイレ用尿ゲル化剤、青果物用鮮度保持剤、肉類・魚介類用ドリップ吸収剤、保冷剤、使い捨てカイロ、電池用ゲル化剤、植物・土壌用保水剤、結露防止剤、止水剤、パッキング剤、及び人工雪等の種々の用途にも使用できる。

Claims (4)

  1. 水溶性ビニルモノマー(a)、(メタ)アクリル酸ビニル(b)及び内部架橋剤(c)を必須構成単位としてなり、
    水溶性ビニルモノマー(a)が(メタ)アクリル酸(塩)であり、
    内部架橋剤(c)が炭素数2〜10のポリオールのポリ(メタ)アリルエーテル又はエチレングリコールジグリシジルエーテルであり、
    (メタ)アクリル酸ビニル(b)単位の含有量が水溶性ビニルモノマー(a)単位のモル数に基づいて1〜40モル%であり、
    内部架橋剤(c)単位の含有量が水溶性ビニルモノマー(a)単位のモル数に基づいて0.001〜5モル%であり、
    生分解率が30〜80%、保水量が30〜60g/g、荷重下吸収量が15〜30g/gであることを特徴とする吸水性樹脂。
  2. 請求項1に記載の吸水性樹脂を製造する方法であって、
    水の存在下で水溶性ビニルモノマー(a)、(メタ)アクリル酸ビニル(b)及び内部架橋剤(c)を重合して重合体を得る重合工程と、得られた重合体とアルカリとを混合・中和する混合・中和工程とを含む吸水性樹脂の製造方法。
  3. 請求項1に記載の吸水性樹脂と繊維状物とを含有してなる吸収体。
  4. 請求項に記載の吸収体を備えてなる吸収性物品。
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