JPH09123937A - 車両におけるヨーモーメント制御方法 - Google Patents

車両におけるヨーモーメント制御方法

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JPH09123937A
JPH09123937A JP7286206A JP28620695A JPH09123937A JP H09123937 A JPH09123937 A JP H09123937A JP 7286206 A JP7286206 A JP 7286206A JP 28620695 A JP28620695 A JP 28620695A JP H09123937 A JPH09123937 A JP H09123937A
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vehicle
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wheels
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哲郎 浜田
Yoshihiro Kanamaru
善博 金丸
Yoshikazu Konishi
良和 小西
Ryuichi Kawanaka
竜一 川中
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 接地荷重が大きい前輪(駆動輪)と接地荷重
が小さい後輪(従動輪)とを備えた車両において、定常
旋回中の限界横加速度を増加させて旋回性能を向上させ
る。 【解決手段】 横加速度の大きさに応じて後輪の旋回外
輪に駆動力を発生させるとともに旋回内輪に制動力を発
生させることにより、後輪及び前輪のトータルのコーナ
リングフォースを確保しながら、前輪が負担するコーナ
リングフォースをCFfからCFf′に減少させ、後輪
が負担するコーナリングフォースをCFrからCFr′
に増加させる。その結果、接地荷重が大きいために限界
点の近くにある前輪のコーナリングフォースに余裕を持
たせ、その余裕分を使用して限界横加速度を増加させる
ことができる。また前輪及び後輪のスリップアングルの
差がβf−βrからβf′−βr′に減少するため、操
舵特性をニュートラルステアに近づけることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、左右の車輪の一方
に制動力を発生させ、他方に駆動力を発生させることに
よりヨーモーメントを制御する車両におけるヨーモーメ
ント制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】車両の左右の車輪を変速機及びトルク伝
達クラッチで相互に連結し、前記トルク伝達クラッチの
トルク伝達容量を変化させることにより車両のヨーモー
メントを制御するものが、本出願人により既に提案され
ている(特願平7−247336号参照)。
【0003】このものは、旋回中の車両が加速或いは減
速するときに発生する望ましくないヨーモーメントを、
左右の車輪に制動力及び駆動力を発生させることにより
打ち消すもので、その際に前記制動力及び駆動力の値を
車両の前後加速度及び横加速度の積の関数として設定す
ることにより、旋回性能及び高速安定性能を確保するよ
うになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで上記従来のも
のは、車両が旋回中に加速或いは減速するとき、即ち前
後加速度及び横加速度が共に発生しているときに有効な
制御を行うことができるが、車両が定常旋回をしていて
前後加速度が発生していないときには、前記制動力及び
駆動力の値がゼロになって制御が行われなくなる問題が
ある。
【0005】本発明は前述の事情に鑑みてなされたもの
で、車両が定常旋回中にある場合においても、左右の非
駆動輪に制動力及び駆動力を発生させてヨーモーメント
を適切に制御することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載された発明は、駆動輪よりも小さい
接地荷重を有する左右の非駆動輪の一方に制動力を発生
させ、他方に駆動力を発生させることによりヨーモーメ
ントを制御する車両において、前記駆動力及び制動力の
値を車両の横加速度の増加に応じて増加させることを特
徴とする。
【0007】また請求項2に記載された発明は、請求項
1の構成に加えて、車両の前後加速度が発生していない
ときに、前記駆動力及び制動力の値を車両の横加速度の
増加に応じて増加させることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、添
付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0009】図1〜図6は本発明の一実施例を示すもの
で、図1はトルク配分制御装置を備えたフロントエンジ
ン・フロントドライブ車の全体構成図、図2は旋回中の
車両に発生するヨーモーメントを説明する図、図3は油
圧クラッチの係合に基づいて発生するヨーモーメントを
説明する図、図4はスリップアングルとコーナリングフ
ォースとの関係を示すグラフ、図5は後輪の摩擦円を示
す図、図6は横加速度と最小旋回半径との関係を示すグ
ラフである。
【0010】図1に示すように、車体前部に横置きに搭
載したエンジンEの右端にトランスミッションMが接続
されており、これらエンジンE及びトランスミッション
Mにより駆動輪である左前輪WFL及び右前輪WFRが駆動
される。
【0011】従動輪である左後輪WRL及び右後輪RRの車
軸1L ,1R 間に、左右の後輪WRL,後輪RRをそれらが
相互に異なる回転数で回転するように接続する変速機2
が設けられる。変速機2には第1油圧クラッチ3L 及び
第2油圧クラッチ3R が設けられており、第1油圧クラ
ッチ3L を係合させると、左後輪WRLの回転数が減速さ
れて右後輪RRの回転数が増速され、第2油圧クラッチ3
R を係合させると、右後輪RRの回転数が減速されて左後
輪WRL回転数が増速される。
【0012】即ち、変速機2は左右の車軸1L ,1R
同軸上に配置された第1軸4と、左右の車軸1L ,1R
と平行であり且つ相互に同軸上に配置された第2軸5及
び第3軸6を備えており、第2軸5と第3軸6との間に
前記第1油圧クラッチ3L が配置されとともに、右車軸
R と第1軸4との間に前記第2油圧クラッチ3R が配
置される。右車軸1R に設けた小径の第1ギヤ7が第2
軸5に設けた大径の第2ギヤ8に噛合するとともに、第
3軸6に設けた小径の第3ギヤ9が第1軸4に設けた大
径の第4ギヤ10に噛合する。左車軸1L に設けた第5
ギヤ11が第3軸6に設けた第6ギヤ12に噛合する。
【0013】第1ギヤ7及び第3ギヤ9の歯数は互いに
同一であり、また第2ギヤ8及び第4ギヤ10の歯数は
互いに同一であって前記第1ギヤ7及び第3ギヤ9の歯
数よりも多くなるように設定される。また第5ギヤ11
及び第6ギヤ12の歯数は互いに同一になるように設定
される。
【0014】従って、第1油圧クラッチ3L を係合させ
ると、右後輪RRは右車軸1R 、第1ギヤ7、第2ギヤ
8、第2軸5、第1油圧クラッチ3L 、第3軸6、第6
ギヤ12、第5ギヤ11及び左車軸1L を介して左後輪
RLに連結される。このとき、第1ギヤ7及び第2ギヤ
8の歯数比に応じて、右後輪RRの回転数に対して左後輪
RLの回転数が減速される。即ち、左右後輪WRL,WRR
が同速度で回転している状態から第1油圧クラッチ3L
を係合させると、右後輪RRの回転数が増速されて左後輪
RLの回転数が減速される。
【0015】また、第2油圧クラッチ3R を係合させる
と、右後輪RRは右車軸1R 、第2油圧クラッチ3R 、第
1軸4、第4ギヤ10、第3ギヤ9、第3軸6、第6ギ
ヤ12、第5ギヤ11及び左車軸1L を介して左後輪W
RLに連結される。このとき、第4ギヤ10及び第3ギヤ
9に歯数比に応じて、右後輪RRの回転数に対して左後輪
RLの回転数が増速される。即ち、左右後輪WRL,WRR
が同速度で回転している状態から第2油圧クラッチ3R
を係合させると、右後輪RRの回転数が減速されて左後輪
RLの回転数が増速される。
【0016】第1油圧クラッチ3L 及び第2油圧クラッ
チ3R の係合力は、それらに加えられる油圧の大きさを
調整することにより無段階に制御することが可能であ
り、従って左右後輪WRL,WRRの回転数比も、前記第1
〜第4ギヤ7,8,9,10の歯数比によって決まる範
囲内で無段階に制御することが可能である。
【0017】第1油圧クラッチ3L 及び第2油圧クラッ
チ3R が接続された電子制御ユニットUには、車体の横
加速度を検出する横加速度センサS1 、ステアリングホ
イール13の回転角を検出する舵角センサS2 、エンジ
ンEの吸気管内絶対圧を検出する吸気管内絶対圧センサ
3 、エンジンEの回転数を検出するエンジン回転数セ
ンサS4 及び車速を演算すべく4輪の回転数をそれぞれ
検出する車輪速センサS5 〜S8 からの信号が入力され
る。
【0018】電子制御ユニットUは、横加速度センサS
1 で検出した車体の実横加速度を、舵角センサS2 で検
出したステアリングホイール13の回転角及び車輪速セ
ンサS5 〜S8 で検出した車輪速から演算した推定横加
速度に基づいて補正し、時間遅れの無い車両の横加速度
Ygを演算する。また電子制御ユニットUは、吸気管内
絶対圧センサS3 及びエンジン回転数センサS4 の出力
から演算したエンジントルクにトランスミッションギヤ
比を乗算して駆動輪トルクを演算し、この駆動輪トルク
に基づいて車両の前後加速度Xgを演算する。そして、
電子制御ユニットUは、前記横加速度Yg及び前後加速
度Xgに基づいて第1油圧クラッチ3L及び第2油圧ク
ラッチ3R の係合力を制御する。
【0019】次に、前述の構成を備えた本発明の実施例
の作用について説明する。
【0020】図2は重量Wの車両が横加速度Ygで左旋
回している状態を示すもので、車両の重心位置には遠心
力W×Ygが作用しており、この遠心力W×Ygは前輪
と路面との間に作用するコーナリングフォースCFf及
び後輪と路面との間に作用するコーナリングフォースC
Frの和に釣り合っている。
【0021】 W×Yg=CFf+CFr …(1) 車両の重心位置と前輪との距離をaとし、重心位置と後
輪との距離をbとすると、前記コーナリングフォースC
Ff,CFrによるヨー軸回りのモーメントM 1 は、 M1 =a×CFf−b×CFr …(2) で与えられる。
【0022】ところで、車両が直進走行しているときに
左右両輪の接地荷重は同一であるが、車両が旋回すると
旋回内輪と旋回外輪とで接地荷重が変化する。即ち、旋
回時には車体の重心に旋回方向外側に向かう遠心力が作
用するため、車体が旋回方向外側に倒れようとする。そ
の結果、旋回内輪に路面から浮き上がる傾向が生じて該
旋回内輪の接地荷重が減少するとともに、旋回外輪に路
面に押し付けられる傾向が生じて該旋回外輪の接地荷重
が増加する。
【0023】また、車両が定速走行しているときに前後
輪の接地荷重は一定であるが、車両が加速又は減速する
と前後輪の接地荷重が変化する。即ち、加速時には車体
の重心に車体後方に向かう慣性力が作用するため、車体
がテールダイブしようとして後輪の接地荷重が増加し、
その結果後輪のコーナリングフォースが増加して旋回方
向と逆方向のモーメントM1 が作用し、また減速時には
車体の重心に車体前方に向かう慣性力が作用するため、
車体がノーズダイブしようとして前輪の接地荷重が増加
し、その結果前輪のコーナリングフォースが増加して旋
回方向と同方向のモーメントM1 が作用する(図2の実
線矢印及び破線矢印参照)。
【0024】車両が定速直線走行しているとき、左右の
前輪の接地荷重の和をWfとすると各前輪の接地荷重は
それぞれWf/2であるが、車両が横加速度Ygで旋回
しながら前後加速度Xgで加減速しているとき、旋回内
側の前輪の接地荷重WFI及び旋回外側の前輪の接地荷重
FOは、 WFI=Wf/2−Kf×Yg−Kh×Xg …(3) WFO=Wf/2+Kf×Yg−Kh×Xg …(4) で与えられ、また左右の後輪の接地荷重の和をWrとす
ると旋回内側の後輪の接地荷重WRI及び旋回外側の後輪
の接地荷重WROは、 WRI=Wr/2−Kr×Yg+Kh×Xg …(5) WRO=Wr/2+Kr×Yg+Kh×Xg …(6) で与えられる。(3)式〜(6)式において、係数K
f,Kr,Khは次式で与えられる。
【0025】 Kf=(Gf′×hg′×W+hf×Wf)/tf …(7) Kr=(Gr′×hg′×W+hr×Wr)/tr …(8) Kh=hg×W/(2×L) …(9) ここで使用されている記号は以下の通りである。
【0026】 Gf,Gr;前輪、後輪ロール剛性 Gf′,Gr′;前輪、後輪ロール剛性配分 Gf′=Gf/(Gf+Gr) Gr′=Gr/(Gf+Gr) hf,hr;前輪、後輪ロールセンター高さ hg;重心高さ hg′;重心〜ロール軸間距離 hg′=hg−(hf×Wf+hr×Wr)/W tf,tr;前輪、後輪トレッド L;ホイールベース L=a+b タイヤのコーナリングフォースが該タイヤの接地荷重に
比例すると仮定すると、前輪のコーナリングフォースC
Ffは、(3)式で与えられる旋回内側の前輪の接地荷
重WFIと、(4)式で与えられる旋回外側の前輪の接地
荷重WFOと、横加速度Ygとにより、次式で与えられ
る。
【0027】 CFf=WFI×Yg+WFO×Yg =Wf×Yg−2×kh×Xg×Yg …(10) また、後輪のコーナリングフォースCFrは、(5)式
で与えられる旋回内側の後輪の接地荷重WRIと、(6)
式で与えられる旋回外側の後輪の接地荷重WROと、横加
速度Ygとにより、次式で与えられる。
【0028】 CFr=WRI×Yg+WRO×Yg =Wr×Yg+2×kh×Xg×Yg …(11) (10)式及び(11)式を(2)式に代入すると、 M1 =a×(Wf×Yg−2×Kh×Xg×Yg) −b×(Wr×Yg+2×Kh×Xg×Yg) =(a×Wf−b×Wr)×Yg −2×Kh×L×Xg×Yg …(12) ここで、a×Wf−b×Wr=0であり、また(9)式
からKh=hg×W/(2×L)であるから、前記(1
2)式は、 M1 =−hg×W×Xg×Yg …(13) となり、ヨー軸回りのモーメントM1 は前後加速度Xg
と横加速度Ygとの積に比例することが分かる。従っ
て、(13)式で与えられるヨー軸回りのモーメントM
1 を打ち消すように旋回内輪及び旋回外輪に駆動力及び
制動力を配分すれば、旋回中における加速時或いは減速
時の旋回安定性及び高速安定性の向上を図ることができ
る。
【0029】一方、図3に示すように、例えば旋回内輪
に制動力Fを発生させたとき、変速機2のギヤ比をiと
すると旋回外輪には駆動力はF/iが発生する。これら
制動力F及び駆動力F/iにより車両に発生するヨー軸
回りのモーメントM2 は、 M2 =(tr/2)×F×κ =(tr/2)×(T/R)×κ …(14) で与えられる。ここでκ=1+(1/i)、T;クラッ
チトルク、R;タイヤ半径である。
【0030】従って、モーメントM2 でモーメントM1
を打ち消すために必要なクラッチトルクTは、M1 =M
2 と置くことにより、 T={2R/(tr×κ)}×hg×W×Xg×Yg …(15) で与えられる。(15)式から明らかなように、クラッ
チトルクTは前後加速度Xg及び横加速度Ygの積に比
例した値となる。尚、以上の説明ではタイヤのコーナリ
ングフォースが該タイヤの接地荷重に比例すると仮定し
たので、クラッチトルクTが前後加速度Xg及び横加速
度Ygの積Xg×Ygに比例した値となるが、厳密には
コーナリングフォースは接地荷重に比例しないため、実
際にはクラッチトルクTを前後加速度Xg及び横加速度
Ygの積Xg×Ygの関数として取り扱うと良い。
【0031】而して、表1に示すように、車両が左旋回
中に加速するとき、第1油圧クラッチ3L を(15)式
で与えられるクラッチトルクTで係合させると、旋回内
輪の回転数が減速されて制動力Fが発生するとともに、
旋回外輪の回転数が増速されて駆動力F/iが発生する
ことにより、コーナリングフォースに基づく旋回方向と
逆方向のモーメントM1 が打ち消されて旋回性能が向上
する。同様に、車両が右旋回中に加速するときに第2油
圧クラッチ3R を前記クラッチトルクTで係合させれ
ば、前述と同様にコーナリングフォースに基づくモーメ
ントM1 が打ち消されて旋回性能が向上する。
【0032】また、車両が左旋回中に減速するとき、第
2油圧クラッチ3R を(15)式で与えられるクラッチ
トルクTで係合させると、旋回内輪の回転数が増速され
て駆動力F/iが発生するとともに、旋回外輪の回転数
が減速されて制動力Fが発生することにより、コーナリ
ングフォースに基づく旋回方向と同方向のモーメントM
1 が打ち消されて高速安定性能が向上する。同様に、車
両が右旋回中に減速するときに第1油圧クラッチ3L
前記クラッチトルクTで係合させれば、前述と同様にコ
ーナリングフォースに基づくモーメントM1 が打ち消さ
れて高速安定性能が向上する。
【0033】
【表1】 尚、車両の直進走行中に加速或いは減速を行っても、車
両のヨーモーメントは変化しないため、第1油圧クラッ
チ3L 及び第2油圧クラッチ3R は非係合状態に保たれ
る。
【0034】以上説明したように、旋回中の車両が加速
或いは減速する際に発生するヨーモーメントの大きさは
前後加速度Xg及び横加速度Ygの積Xg×Ygに比例
した値となるが、加速或いは減速を行わない定常旋回中
の車両には前後加速度Xgが作用しないために前記ヨー
モーメントも発生せず、従って定常旋回中には第1油圧
クラッチ3L 及び第2油圧クラッチ3R は非係合状態に
保たれる。しかしながら、車両の定常旋回中にも第1油
圧クラッチ3L 或いは第2油圧クラッチ3R を係合さ
せ、左右の後輪WRL,WRRに積極的にトルクを配分して
ヨーモーメントを発生させることにより、車両の限界横
加速度Ygを増加させて旋回性能を向上させることがで
きる。
【0035】図4は、前輪のスリップアングルβfに対
するコーナリングフォースCFfの関係と、後輪のスリ
ップアングルβrに対するコーナリングフォースCFr
の関係とを示すものである。コーナリングフォースCF
f,CFrの大きさはスリップアングルβf,βrがゼ
ロから増加するのに応じてゼロから増加し、やがてスリ
ップアングルβf,βrが限界点に達すると減少し始め
る。また、エンジンEから近い位置にあって接地荷重が
大きい前輪のコーナリングフォースCFfは、エンジン
Eから遠い位置にあって接地荷重が小さい後輪のコーナ
リングフォースCFrよりも大きくなっている。
【0036】さて、旋回中に前輪及び後輪が負担すべき
コーナリングフォースCFf,CFrの値は横加速度Y
gの値に依存し、(1)式の関係を保ちながら変化す
る。横加速度Ygが増加すると前輪及び後輪のスリップ
アングルβf,βrは共に増加し、それに伴って前輪及
び後輪のコーナリングフォースCFf,CFrも共に増
加する。そして、前輪のスリップアングルβf及びコー
ナリングフォースCFfが図4のA点に達したとき、即
ち前輪のコーナリングフォースCFfがそれ以上増加で
きない限界点に達したときの横加速度Ygが、その車両
の限界横加速度Ygとなる。このとき、後輪のスリップ
アングルβr及びコーナリングフォースCFrは図4の
B点にあり、従って後輪のコーナリングフォースCFr
は未だマージンm1 を残している。
【0037】仮に、図4において前輪のスリップアング
ルβf及びコーナリングフォースCFfをA点に設定
し、後輪のスリップアングルβr及びコーナリングフォ
ースCFrをB0 点に設定することができれば、前輪及
び後輪のコーナリングフォースCFf,Cfrを最大限
に利用して限界横加速度Ygを増加させることができる
が、前述したように前輪及び後輪が負担すべきコーナリ
ングフォースCFf,CFrの比率が(1)式に依存し
て決定されるため、それは不可能である。
【0038】しかしながら、後輪の旋回内輪及び旋回外
輪にトルクを配分することにより、前輪及び後輪が負担
すべきコーナリングフォースCFf,CFrの比率を任
意のコントロールし、それらコーナリングフォースCF
f,Cfrを無駄なく利用して限界横加速度Ygを増加
させることができる。
【0039】定常旋回中の車両の旋回内輪に制動力を与
え、旋回外輪に駆動力を与えることにより旋回方向にヨ
ーモーメントM3 を発生させると、前記(2)式は次の
ようになる。
【0040】 M1 =a×CFf−b×CFr+M3 …(16) (16)式及び(1)式から、前輪のコーナリングフォ
ースCFf及び後輪のコーナリングフォースCFrは、 CFf={b/(a+b)}×W×Yg−M3 /(a+b) …(17) CFr={a/(a+b)}×W×Yg+M3 /(a+b) …(18) で与えられる。(17)式及び(18)式は、車両の定
常旋回中に第1、第2油圧クラッチ3L ,3R を係合さ
せてヨーモーメントM3 を発生させれば、右辺第2項±
3 /(a+b)により前輪及び後輪のコーナリングフ
ォースCFf,CFrの比率を任意にコントロールでき
ることを示している。
【0041】而して、図4において車両が限界横加速度
Ygで定常旋回しているとき(つまり、前輪のコーナリ
ングフォースCFfがA点にあり、後輪のコーナリング
フォースCFrがB点にあるとき)、前記(17)式及
び(18)に基づいて前輪のコーナリングフォースCF
fをΔCF[ΔCF=M3 /(a+b)]だけ減少させ
てCFf′(A′点)とし、後輪のコーナリングフォー
スCFrをΔCF[ΔCF=M3 /(a+b)]だけ増
加させてCFr′(B′点)とすることができる。その
結果、前輪のコーナリングフォースCFfには新たにマ
ージンm2 が発生し、後輪のコーナリングフォースCF
rには依然としてマージンm3 が残ることになり、前記
マージンm2 ,m3 の分だけ車両の速度を増加させ、或
いは車両の旋回半径を減少させて限界横加速度Ygを増
加させることができる。
【0042】図5は図4のB点に対応する後輪の摩擦円
を示すものである。旋回性能に対して支配的な影響力を
持つ旋回外輪について考えると、旋回外輪の接地荷重は
横加速度Ygの増加に応じて増加するため、その駆動力
の余裕分も横加速度Ygの増加に応じて増加する。従っ
て、横加速度Ygの増加に応じて第1、第2油圧クラッ
チ3L ,3R のクラッチトルクTを増加させれば、旋回
外輪に最大限のコーナリングフォースCFf,CFrを
発生させて旋回性能を向上させることができる。
【0043】このように横加速度Ygに応じて後輪
RL,WRRに駆動力及び制動力を発生させているので、
前後加速度Xgがゼロである定常旋回中においても前記
駆動力及び制動力を発生させて旋回性能を向上させるこ
とができる。
【0044】図6は横加速度と最小旋回半径との関係を
示すもので、破線は前記ヨーモーメントM3 を与えない
従来の車両の最小旋回半径を、実線は前記ヨーモーメン
トM 3 を与えた本発明の車両の最小旋回半径を示してい
る。同図から明らかなように、本発明のものは横加速度
Ygが一定の場合には最小旋回半径が減少し、また最小
旋回半径が一定の場合には横加速度(即ち、車速)が増
加して旋回性能が向上する。
【0045】更に、図4に示すように、前記ヨーモーメ
ントM3 を与えることにより前輪のスリップアングルβ
fがβf′に減少し、後輪のスリップアングルβrがβ
r′に増加するため、前輪及び後輪のスリップアングル
βf′,βr′の差を減少させてニュートラルステアに
近づけることができる。
【0046】以上、本発明の実施例を詳述したが、本発
明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行う
ことが可能である。
【0047】例えば、第1油圧クラッチ3L 及び第2油
圧クラッチ3R に代えて、電磁クラッチや流体カップリ
ング等の他のクラッチを用いることができる。
【0048】
【発明の効果】以上のように請求項1に記載された発明
によれば、駆動輪よりも小さい接地荷重を有する左右の
非駆動輪の一方及び他方に横加速度の増加に応じて増加
する制動力及び駆動力を発生させることにより、接地荷
重が大きいために限界点の近くにある駆動輪のコーナリ
ングフォースを減少させることができる。これにより、
駆動輪のコーナリングフォースに余裕を持たせ、その余
裕分を使用して横加速度が更に大きい旋回を行わせるこ
とが可能となり、車両の旋回性能の向上に寄与すること
ができる。しかも、駆動輪及び従動輪のスリップアング
ルの差を減少させ、操舵特性をニュートラルステアに近
づけることができる。
【0049】また請求項2に記載された発明によれば、
車両の前後加速度が発生していないときに駆動力及び制
動力の値を増加させるので、定常旋回中の車両の旋回性
能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】トルク配分制御装置を備えたフロントエンジン
・フロントドライブ車の全体構成図
【図2】旋回中の車両に発生するヨーモーメントを説明
する図
【図3】油圧クラッチの係合に基づいて発生するヨーモ
ーメントを説明する図
【図4】スリップアングルとコーナリングフォースとの
関係を示すグラフ
【図5】後輪の摩擦円を示す図
【図6】横加速度と最小旋回半径との関係を示すグラフ
【符号の説明】
FL 左前輪(駆動輪) WFR 右前輪(駆動輪) WRL 左後輪(非駆動輪) WRR 右後輪(非駆動輪) Xg 前後加速度 Yg 横加速度
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川中 竜一 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動輪(WFL,WFR)よりも小さい接地
    荷重を有する左右の非駆動輪(WRL,WRR)の一方に制
    動力を発生させ、他方に駆動力を発生させることにより
    ヨーモーメントを制御する車両において、前記駆動力及
    び制動力の値を車両の横加速度(Yg)の増加に応じて
    増加させることを特徴とする車両におけるヨーモーメン
    ト制御方法。
  2. 【請求項2】 車両の前後加速度(Xg)が発生してい
    ないときに、前記駆動力及び制動力の値を車両の横加速
    度(Yg)の増加に応じて増加させることを特徴とす
    る、請求項1記載の車両におけるヨーモーメント制御方
    法。
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