JPH09122847A - タンディッシュ内溶鋼の清浄化方法 - Google Patents

タンディッシュ内溶鋼の清浄化方法

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JPH09122847A
JPH09122847A JP28519295A JP28519295A JPH09122847A JP H09122847 A JPH09122847 A JP H09122847A JP 28519295 A JP28519295 A JP 28519295A JP 28519295 A JP28519295 A JP 28519295A JP H09122847 A JPH09122847 A JP H09122847A
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tundish
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blowing
argon gas
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JP28519295A
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Noriko Kubo
典子 久保
Toshio Ishii
俊夫 石井
Makoto Suzuki
真 鈴木
Masayuki Nakada
正之 中田
Hiroshi Shimizu
宏 清水
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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  • Casting Support Devices, Ladles, And Melt Control Thereby (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 タンディッシュへの溶鋼注入初期において、
介在物の浮上分離を促進させる溶鋼流動に制御する。 【解決手段】 鋼浴深さが一定にならない底部形状を有
するタンディッシュ1を使用し、鋼浴深さがより深い位
置の底部にガス吹き込み体7を設け、不活性ガスを底吹
きする。望ましくは、アルゴンガスを使用し、ガス吹き
込み体占有領域の面積を0.1〜2.0m2 、吹き込み
量を80〜800Nl/min、吹き込み時間を2〜1
0分とする。 【効果】 鋳造開始時の非定常鋳造作業時に対応する鋳
片部分の清浄性を向上させることができ、製品品質の向
上をもたらす。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、鋼の連続鋳造に
おいて、鋳造開始初期のタンディッシュ内に注入した溶
鋼の清浄性を向上させる方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鋼の連続鋳造において、溶鋼は取鍋から
一度タンディッシュに溜められた後、鋳型に鋳造され
る。このタンディッシュの主な機能には、多数の鋳型
に分湯する、溶鋼中のスラグや脱酸生成物のアルミナ
等の介在物を浮上分離させる、溶鋼温度や溶鋼成分を
調整する、がある。この機能の内、を促進する方法が
従来技術として多数提案されている。例えば、タンディ
ッシュ内に堰を設置して溶鋼に上昇流を強制的に形成さ
せて介在物を浮上分離させる方法や、多重堰あるいは種
々の形態の堰を用いることにより短絡流を防止し、溶鋼
のタンディッシュ内滞留時間を均一化させて介在物を浮
上分離させる方法が提案されている。
【0003】また、溶鋼中へのガス吹き込みによる方法
では、特開昭57−154357号公報は、タンディッ
シュ内の溶鋼にガスを底吹きすることにより介在物を捕
捉し浮上分離を促進させる方法(以下、「先行技術1」
という)を、特開平3−285007号公報は、タンデ
ィッシュ内の堰に設けた吹き込み細孔から溶鋼中に不活
性ガスを吹き込み介在物を低減させる方法(以下、「先
行技術2」という)を、また、特開平5−277676
号公報は、タンディッシュ底からのガス吹き込みと堰の
組み合わせにより介在物の除去を行う方法(以下、「先
行技術3」という)を開示している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た技術にはいくつかの問題点がある。従来技術によるタ
ンディッシュ内の堰を用いた場合は、微少な介在物は浮
上するのに長い時間を要するために浮上分離する効果は
小さく、しかも、堰の設置は耐火物コストを上昇させ
る。また、高温状態のタンディッシュを循環使用する場
合には、鋳造後におけるタンディッシュからの排滓作業
を効率よく行なうために、堰形状が制限される。
【0005】一方、先行技術1、2および3におけるよ
うなガス吹き込みにより介在物を捕捉して浮上させる場
合、微細気泡を得ることが重要であるが、そのためのガ
ス流量の上限を制限されるので、ガス吹き込みの効果が
十分に発揮されない場合がある。
【0006】また、上述した従来技術は定常鋳込み時、
即ち、タンディッシュ内へ注入される溶鋼量とタンディ
ッシュから鋳型へ鋳造される溶鋼量とがほぼ等量であっ
て、タンディッシュ内溶鋼が十分確保された状態で鋳造
が継続している時期における効果を期待したものであ
る。従って、従来技術に対して、定常鋳込み時とはタン
ディッシュ内の溶鋼の流動パターンが異なる非定常鋳込
み時、特にタンディッシュへの溶鋼注入開始の初期に介
在物を除去して溶鋼を清浄化する効果を期待することは
できず、別途の技術が必要である。
【0007】通常、溶鋼の連続鋳造開始の初期に、介在
物を浮上分離させる方法としては、溶鋼をタンディッシ
ュに注入後、鋳造を開始せずに所定量の溶鋼を溜め置き
(以下、「溜め置き」という)、溜め置かれた溶鋼を静
置することにより介在物と溶鋼との比重差で介在物が自
然に溶鋼から浮上分離するのを待つ方法が考えられる。
しかし、比重差による介在物の浮上分離速度は遅いた
め、介在物の浮上分離に充分な時間溜め置くことが必要
であり、時間の経過に伴い、タンディッシュ内の溶鋼温
度が低下し、タンディッシュ出口のノズル内で溶鋼が凝
固し、タンディッシュから鋳型に供給できない状態にな
るトラブルが多発する。また、溜め置きで温度が低下す
る分だけ、予め昇温された初期温度の溶鋼をタンディッ
シュに注入しようとすれば、上工程である精錬工程での
耐火物溶損等の副次的な問題を引き起こし、更には、定
常鋳込み中にタンディッシュ内溶鋼温度が管理上限を超
えるという問題も発生するので、溜め置きにより溶鋼の
清浄性を向上させることは困難である。
【0008】従って、この発明の目的は、溶鋼の連続鋳
造における上述した問題を解決するために、タンディッ
シュへの溶鋼の注入開始初期に、タンディッシュ内溶鋼
の流動を制御することにより介在物の浮上分離性を向上
させ、鋳造開始時の非定常鋳込み時においても高品質の
鋳片を製造し、製品歩留りを向上させるタンディッシュ
内溶鋼の清浄化方法を提案することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述した
観点からタンディッシュに注入を開始された溶鋼を清浄
化するための技術を開発すべく鋭意研究を重ねた。その
結果、つぎの知見を得た。即ち、鋳造開始初期の非定常
鋳込み時においても、タンディッシュ内の鋼浴深さの分
布、および、タンディッシュ底面からの溶鋼へのガス吹
き込み条件を適正化することにより、溶鋼中の介在物が
容易に浮上分離することができるような溶鋼流動パター
ンに、早期に制御することができ、しかも、タンディッ
シュノズルまわりの凝固地金によるノズル閉塞を抑制す
ることができることがわかった。
【0010】この発明は、上述した知見に基づいてなさ
れたものであって、この発明のタンディッシュ内溶鋼の
清浄化方法は、タンディッシュから鋳型に溶鋼を鋳造す
るに先立って、タンディッシュ内に注入中の溶鋼および
/または注入後の溶鋼中に、タンディッシュの底部から
不活性ガスの吹き込みを行なうことによりタンディッシ
ュ内に注入された溶鋼を清浄化する方法である。ここで
使用するタンディッシュとしては、このタンディッシュ
内の鋼浴深さが一定にならない底部形状を有するタンデ
ィッシュを使用する。しかも、タンディッシュ内の鋼浴
深さがより深い位置の底部に、複数のガス吹き込み口を
設けるか、または、多孔質レンガを埋め込み、そして、
ここから、不活性ガスを溶鋼内に吹き込む。このように
して、タンディッシュ内溶鋼の流動を制御することによ
り、溶鋼中の介在物を速やかに浮上分離させることがで
きることに特徴を有するものである。
【0011】ここで、望ましくは、不活性ガスとしてア
ルゴンガスを用い、ガス吹き込み口の面積の総和、およ
び、前記多孔質レンガのガス吹き出し口の面積の総和を
いずれも、0.1〜2.0m2 の範囲内に調整し、アル
ゴンガス吹き込み量を80〜800Nl/minの範囲
内にし、且つ、その吹き込み時間を2〜10分の範囲内
にすることに特徴を有するものである。
【0012】先ず、タンディッシュ内への溶鋼溜め置き
初期には、注入に伴う自然対流により、いたるところに
渦が発生する。しかし、時間経過と共に、タンディッシ
ュの浅い部分(以下、「浅み」という)での温度低下が
大きく、溶鋼は浅みからタンディッシュの深い部分(以
下、「深み」という)に向かって底を這って流れ、そし
て、深みから浅みに向かっては表層部を流れるというマ
クロな対流が形成される。
【0013】図1は、タンディッシュ内への溶鋼溜め置
き初期における溶鋼の流動パターンを示し、図2は、溜
め置き後、所定時間経過後の流動パターンを示す。介在
物の浮上分離には、図1のような流動パターンよりも上
下方向の撹拌の弱い図2のような流動パターンの方が有
利である。そこで、浴深の深い側のタンディッシュ底部
から不活性ガスを吹き込むことにより、溶鋼流動を強制
的に変化させ、図1の流動パターンから図2の流動パタ
ーンに変化する時期を早めることができる。
【0014】図3は、ガスを底吹きしない場合における
溶鋼の溜め置き時間と、タンディッシュからの溶鋼出口
でのノズルが溶鋼の凝固により閉塞することなく自然開
口した比率(以下、「自然開口率」という)を示す。同
図によれば、10分経過後に急激に自然開口率が低下す
る。従って、溜め置き時間は10分以内が望ましい。そ
の理由はつぎの通りである。タンディッシュ内に溶鋼を
注入中および/または注入後、タンディッシュの底部か
ら不活性ガスの吹き込みを行なう場合には、新しい溶鋼
がノズルの出口近傍に流動してくるのでノズルまわりで
溶鋼が凝固することはなく、従って、10分経過後に急
激にノズルが閉塞する傾向を示すことはない。しかしな
がら、タンディッシュ内に溶鋼を注入後、ある程度の時
間経過後に不活性ガスの吹き込みを開始する場合には、
同図に類似した自然開口率になる。従って、不活性ガス
を吹き込む場合であっても、ガス吹き込み時間を10分
以下にするのが望ましい。一方、ガス吹き込み時間が2
分未満では、溶鋼の流動を図1から図2のパターンに早
期に変化させることが困難である。従って、タンディッ
シュ内溶鋼へのガス吹き込み時間は、2〜10分の範囲
内とするのが望ましい。
【0015】また、底吹きガスの吹き込み流量は80〜
800Nl/minとするのが望ましい。その理由は、
吹き込み流量が80Nl/min未満では、溶鋼の流動
を強制的に図1から図2のパターンに変化させるのに不
十分であるが、一方、800Nl/minを超えると、
撹拌エネルギーが大きくなり過ぎて溶鋼表面を撹乱させ
て、いわゆるスプラッシュを発生させ、空気酸化等によ
り溶鋼の清浄性が低下するからである。
【0016】この発明では、複数の不活性ガス吹き込み
口、もしくは多孔質レンガを用いてタンディッシュ内の
溶鋼中にアルゴンガスを吹き込み、且つ、アルゴンガス
吹き込み面積を0.1m2 以上2.0m2 以下とするこ
とが望ましい。このように、不活性ガスを広範囲に低流
密度でもってタンディッシュ内に供給することにより、
多量の不活性ガス流量に対しても微細な気泡を得ること
が可能となるので、不活性ガス浮上による溶鋼表面での
湯暴れは抑制される。また多量の不活性ガス吹き込みに
より溶鋼の流動が活発になるため、溶鋼の温度と成分の
均一化を図ることも可能である。即ち、吹き込み面積が
0.1m2 未満では、狭い面積から不活性ガスが高密度
で吹き込まれるため微細な気泡が得られない。一方、吹
き込み面積が2.0m2 を超えると、吹き込み位置が広
すぎるため、図2に示す流れを強制的に形成させること
が困難となるからである。
【0017】
【発明の実施の形態】次に、この発明の実施態様を、図
を参照しながら説明する。図4は、この発明の1実施態
様を説明するタンディッシュを主体とした概略縦断面図
である。1はタンディッシュ、2は取鍋5底部に取り付
けられた溶鋼注入用のエアシールパイプ、3はタンディ
ッシュ1から鋳型へ溶鋼を鋳造するための浸漬ノズル、
4は溶鋼、そして、7はガス吹き込み体占有領域であ
る。同図に示すように、取鍋5からエアシールパイプ2
を通してタンディッシュ1に溶鋼4を注入する。タンデ
ィッシュ1への溶鋼注入開始時点、乃至はタンディッシ
ュ1内に所定量の溶鋼4が注入された時点から、タンデ
ィッシュ1底部に取り付けたガス吹き込み体占有領域7
から不活性ガス6を溶鋼4中に吹き込む。タンディッシ
ュ1としては、溶鋼4が注入される側の鋼浴深さ
(h1 )の方が、タンディッシュ1から鋳型(図示せ
ず)へ溶鋼4を鋳造する側の鋼浴深さ(h2 )より浅く
なるものを使用する。そして、不活性ガス6は、鋼浴深
さが深い側に取り付けられた浸漬ノズル3の周囲に取り
付けたガス吹き込み体占有領域7から吹き込む。
【0018】このようにして、タンディッシュ内1の溶
鋼4が所定量に達したら、取鍋5からタンディッシュ1
への溶鋼4の注入を停止し、その後は不活性ガス6の吹
き込みのみを行う。次いで、タンディッシュから鋳型に
溶鋼を鋳造する。なお、図4では、浸漬ノズルを1つ有
する1ストランド用のタンディッシュを例示したが、浸
漬ノズルを複数有する複数ストランド用のタンディッシ
ュの場合には、鋼浴深さの深い位置に浸漬ノズルおよび
不活性ガスの吹き込み口を当該複数個ずつ設け、上記実
施態様に準じた方法をとる。また、ガス吹き込み口を設
ける替わりに、多孔質レンガを埋め込んでもよい。
【0019】
【実施例】この発明を実施例により、更に、詳細に説明
する。 (実施例1)図4に示したように、取鍋5からエアシー
ルパイプ2を通して、溶鋼をタンディッシュ1に注入を
開始した時点から溶鋼中にアルゴンガスの底吹きを開始
し、タンディッシュ1に溶鋼4を45トン注入し終わっ
た後、引き続き溜め置き、その間、溶鋼の清浄化試験を
行った。使用したタンディッシュは、定常鋳込み時にお
いて、溶鋼を注入する側の鋼浴深さ(h1 )が1.2
m、鋳型への溶鋼出側の鋼浴深さ(h2 )が2.0mと
なるものであり、45トンの溶鋼を溜め置いた場合の鋼
浴深さは、溶鋼出側で約1.2mである。図5は、この
実施例で使用したタンディッシュの概略平面図であっ
て、タンディッシュ1から鋳型への溶鋼出口、即ち、浸
漬ノズル3の設置位置を含む800mm幅×450mm
長さの範囲内に30箇のガス吹き込み口8を埋め込み、
ここからアルゴンガスを溶鋼中に吹き込んだ。アルゴン
ガス吹き込み量は、80および200Nl/minの2
水準とし、また、アルゴンガスを吹き込まない場合につ
いても試験した。
【0020】タンディッシュ1に45トンの溶鋼の注入
を完了した後もアルゴンガスの吹き込みを継続した。タ
ンディッシュ1への45トンの溶鋼注入完了時点を基準
にして、基準時、即ち、溜め置き時間0分、2分および
5分の各時点に、タンディッシュの溶鋼出側からディス
クサンプラーを溶鋼中に浸漬することにより溶鋼試料を
採取した。溶鋼の清浄性の評価は、凝固後のディスクサ
ンプルの断面研磨面を顕微鏡観察し、20μ以上の介在
物のカウント数で行なった。
【0021】図7は、上記試験結果であって、タンディ
ッシュ内溶鋼の溜め置き時間と、介在物カウント数の指
数(以下、「介在物指数」という)との関係を、アルゴ
ンガス吹き込み量で層別したグラフである。同図から下
記事項が明らかである。 45トン注ぎ上げた時点(溜め置き時間0分)での介
在物指数には、アルゴンガスの吹き込み量による大きな
差は見られない。 アルゴンガスを吹き込まない場合に2分および5分溜
め置くと、介在物指数は溜め置かない場合に比べてそれ
ぞれ、5%および27%だけ減少する。 これに対して、アルゴンガスを吹き込んだ場合の溜め
置きの効果は著しく、アルゴンガスを80Nl/min
吹き込むと、2分で12%減、5分で37%減になり、
そして、アルゴンガスを200Nl/min吹き込む
と、2分で15%減、5分で50%減になり、アルゴン
ガス吹き込み効果が大きい。
【0022】(実施例2)図4に示したように、取鍋5
からエアシールパイプ2を通して、溶鋼をタンディッシ
ュ1に注入し始め、45トンの溶鋼注入を完了した時点
から溶鋼中にアルゴンガスの底吹きを開始し、引き続き
タンディッシュ1に溶鋼4を溜め置き、その間、溶鋼の
清浄化試験を行った。使用したタンディッシュは、定常
鋳込み時において、溶鋼を注入する側の鋼浴深さ
(h1 )が1.2m、鋳型への溶鋼出側の鋼浴深さ(h
2 )が2.0mとなるものであり、45トンの溶鋼を溜
め置いた場合の鋼浴深さは、溶鋼出側で約1.2mであ
る。図6は、この実施例で使用したタンディッシュの概
略平面図であって、タンディッシュ1から鋳型への溶鋼
出口、即ち、浸漬ノズル3の設置位置を含む500mm
幅×500mm長さの範囲内に、8枚の多孔質レンガ9
を8枚設置し、ここからアルゴンガスを溶鋼中に吹き込
んだ。アルゴンガス吹き込み量は、400、800およ
び1200Nl/minの3水準とし、また、アルゴン
ガスを吹き込まない場合についても試験した。
【0023】タンディッシュ1への45トンの溶鋼注入
完了時点を基準にして、基準時、即ち、溜め置き時間0
分、5分および10分の各時点に、タンディッシュの溶
鋼出側からディスクサンプラーを溶鋼中に浸漬すること
により溶鋼試料を採取した。溶鋼の清浄性の評価は、凝
固後のディスクサンプルの断面研磨面を顕微鏡観察し、
20μ以上の介在物のカウント数で行なった。
【0024】図8は、上記試験結果であって、タンディ
ッシュ内溶鋼の溜め置き時間と、介在物指数との関係
を、アルゴンガス吹き込み量で層別したグラフである。
同図から下記事項が明らかである。 45トン注ぎ上げた時点(溜め置き時間0分)は、ア
ルゴンガスの吹き込み開始時点であるから、この時点に
おける介在物指数の差は、試験チャージ間における溶鋼
の清浄性の差であり、その値は小さいことがわかる。 アルゴンガスを吹き込まない場合に5分および10分
溜め置くと、介在物指数は溜め置かない場合に比べてそ
れぞれ、27%および40%だけ減少する。 これに対して、アルゴンガスを吹き込んだ場合の溜め
置きの効果は著しく、アルゴンガスを400Nl/mi
n吹き込むと、5分で50%減、10分で70%減にな
り、そして、アルゴンガスを800Nl/min吹き込
むと、5分で62%減、10分で76%減になり、アル
ゴンガス吹き込み効果の大きいことがわかる。 しかしながら、アルゴンガス吹き込み量を更に増やし
て1200Nl/minにした場合には、介在物指数は
5分で28%減、10分で40%減に留まった。これ
は、アルゴンガス1200Nl/minをタンディッシ
ュに吹込んだ場合には、溶鋼表面で大気に開放されるア
ルゴンガスが溶鋼表面を撹乱させて、いわゆるスプラッ
シュを発生させたために、アルゴンガスを800Nl/
min吹き込んだ場合よりも品質が劣化したものであ
る。
【0025】(実施例3)図4に示したように、取鍋5
からエアシールパイプ2を通して、溶鋼をタンディッシ
ュ1に注入し始め、45トンの溶鋼注入を完了した時点
から溶鋼中にアルゴンガスの底吹きを開始し、引き続き
タンディッシュ1に溶鋼4を溜め置き、その間、溶鋼の
清浄化試験を行った。使用したタンディッシュは、定常
鋳込み時において、溶鋼を注入する側の鋼浴深さ
(h1 )が1.2m、鋳型への溶鋼出側の鋼浴深さ(h
2 )が2.0mとなるものであり、45トンの溶鋼を溜
め置いた場合の鋼浴深さは、溶鋼出側で約1.2mであ
る。タンディッシュ1から鋳型への溶鋼出口、即ち、浸
漬ノズル3の設置位置の周辺部に多孔質レンガ8を設置
し、ここからアルゴンガスを溶鋼中に吹き込んだ。多孔
質レンガ9の埋め込み面積を、0.1〜2.2m2 の範
囲内の種々の広さの場合について試験した。なお、多孔
質レンガ8を埋め込まない場合についても試験した。そ
して、アルゴンガス吹込み量は400Nl/min、溜
め置き時間は5分で一定とした。
【0026】タンディッシュ1への45トンの溶鋼注入
完了時点を基準にして、5分の時点に、タンディッシュ
の溶鋼出側からディスクサンプラーを溶鋼中に浸漬する
ことにより溶鋼試料を採取した。溶鋼の清浄性の評価
は、凝固後のディスクサンプルの断面研磨面を顕微鏡観
察し、20μ以上の介在物のカウント数で行なった。
【0027】図9は、上記試験結果であって、アルゴン
ガス吹き込み面積と、介在物指数との関係を示すグラフ
である。同図から下記事項が明らかである。アルゴンガ
スを吹き込まない場合に比べ、20%以上の清浄化効果
が顕れたのは、アルゴンガス吹き込み面積が0.1〜
2.0m2 の範囲内の場合であった。アルゴンガス吹き
込み面積が2.0m2 を超えると、ガスが浮上する水平
断面積が大きくなるため、図2に示した流れを形成させ
ることができなくなり、タンディッシュ内溶鋼の品質改
善効果は低減することがわかった。
【0028】
【発明の効果】この発明では、上述したように構成した
ので、連続鋳造作業における非定常鋳込み時、特にタン
ディッシュへの溶鋼注入の開始初期に、タンディッシュ
内溶鋼の流動が早期に適正化され、タンディッシュ内に
注入された溶鋼から介在物が短時間で浮上分離する。そ
の結果、鋳造開始時の非定常鋳造作業時に対応する鋳片
部分の清浄性を向上させることができるタンディッシュ
内溶鋼の清浄化方法を提供することができ、工業上有益
な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】タンディッシュ内への溶鋼溜め置き初期におけ
る溶鋼の流動パターンを示す図である。
【図2】タンディッシュ内への溶鋼溜め置き後、所定時
間経過後の溶鋼の流動パターンを示す図である。
【図3】ガスを底吹きしない場合の、タンディッシュ内
溶鋼の溜め置き時間とタンディッシュノズルの自然開口
率との関係を示すグラフである。
【図4】この発明の1実施態様を説明するタンディッシ
ュを主体とした概略縦断面図である。
【図5】この発明の実施例1で使用した、ガス吹き込み
口を設置したタンディッシュの概略平面図である。
【図6】この発明の実施例2で使用した、多孔質レンガ
を埋め込んだタンディッシュの概略平面図である。
【図7】この発明の実施例1におけるアルゴンガス流量
と溶鋼試料の介在物指数との関係を示すグラフである。
【図8】この発明の実施例2におけるアルゴンガス流量
と溶鋼試料の介在物指数との関係を示すグラフである。
【図9】この発明の実施例3におけるアルゴンガス吹き
込み面積と溶鋼試料の介在物指数との関係を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 タンディッシュ 2 エアシールパイプ 3 浸漬ノズル 4 溶鋼 5 取鍋 6 不活性ガス 7 ガス吹き込み体占有領域 8 ガス吹き込み口 9 多孔質レンガ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中田 正之 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 清水 宏 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タンディッシュから鋳型に溶鋼を鋳造す
    るに先立って、前記タンディッシュ内に注入中および/
    または注入後の前記溶鋼中に、前記タンディッシュの底
    部から不活性ガスの吹き込みを行なうことによりタンデ
    ィッシュ内に注入された溶鋼を清浄化する方法であっ
    て、 前記タンディッシュとして、前記タンディッシュ内の鋼
    浴深さが一定にならない底部形状を有するタンディッシ
    ュを使用し、 前記タンディッシュ内で前記鋼浴深さがより深い位置の
    底部に、複数のガス吹き込み口を設けるか、または、多
    孔質レンガを埋め込み、そして、 前記ガス吹き込み口、または、前記多孔質レンガから不
    活性ガスを前記溶鋼内に吹き込むことにより前記溶鋼の
    流動を制御することにより、前記溶鋼中の介在物を浮上
    分離させることを特徴とする、タンディッシュ内溶鋼の
    清浄化方法。
  2. 【請求項2】 前記不活性ガスとしてアルゴンガスを使
    用し、前記ガス吹き込み口の面積の総和、および、前記
    多孔質レンガのガス吹き出し口の面積の総和をいずれ
    も、0.1〜2.0m2 の範囲内に調整し、前記アルゴ
    ンガスの吹き込み量を80〜800Nl/minの範囲
    内にし、且つ、その吹き込み時間を2〜10分の範囲内
    にする、請求項1記載のタンディッシュ内溶鋼の清浄化
    方法。
JP28519295A 1995-11-01 1995-11-01 タンディッシュ内溶鋼の清浄化方法 Pending JPH09122847A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN107838388A (zh) * 2017-12-25 2018-03-27 山东钢铁股份有限公司 一种连铸中间包吹氩冶金装置及氩气控制方法
CN113549733A (zh) * 2021-06-11 2021-10-26 中国科学院金属研究所 一种用于高温合金母合金纯净化冶炼的底吹氩方法

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