JPH09122739A - 複合ダイヤモンド線引きダイス - Google Patents

複合ダイヤモンド線引きダイス

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JPH09122739A
JPH09122739A JP8168072A JP16807296A JPH09122739A JP H09122739 A JPH09122739 A JP H09122739A JP 8168072 A JP8168072 A JP 8168072A JP 16807296 A JP16807296 A JP 16807296A JP H09122739 A JPH09122739 A JP H09122739A
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diamond
drawing die
wire
layer
wire drawing
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JP8168072A
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Thomas R Anthony
トーマス・リチャード・アンソニー
Bradley Earl Williams
ブラッドリー・アール・ウィリアムズ
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General Electric Co
Original Assignee
General Electric Co
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B21MECHANICAL METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21CMANUFACTURE OF METAL SHEETS, WIRE, RODS, TUBES OR PROFILES, OTHERWISE THAN BY ROLLING; AUXILIARY OPERATIONS USED IN CONNECTION WITH METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL
    • B21C3/00Profiling tools for metal drawing; Combinations of dies and mandrels
    • B21C3/02Dies; Selection of material therefor; Cleaning thereof
    • B21C3/025Dies; Selection of material therefor; Cleaning thereof comprising diamond parts

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Metal Extraction Processes (AREA)
  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)
  • Chemical Vapour Deposition (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 線引きダイス開口内におけるボイドの形成又
は結晶粒の脱落を受け難く、CVDダイヤモンド製の線
引きダイスを使用した場合よりも大きい降伏強さを持っ
た線を引抜くこができ、天然の単結晶ダイヤモンドのみ
から製造されるダイスに比べてより安価な材料で製造さ
れるダイヤモンド線引きダイスを提供すること。 【解決手段】 本発明の複合ダイヤモンド線引きダイス
は、単結晶ダイヤモンド又は高温高圧法ダイヤモンドか
ら成る基体と、その上に蒸着されたCVDダイヤモンド
層とを含んでいる。線引きダイス開口は基体を貫通して
設けられており、かつ基体はCVDダイヤモンド層によ
って包囲されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の分野】本発明は線引き用のダイヤモンドダイス
に関するものである。更に詳しく言えば、本発明はCV
Dダイヤモンドから成る部分と天然ダイヤモンド又は高
温高圧法ダイヤモンドから成る部分とを有する複合ダイ
ヤモンドダイスに関する。
【0002】
【発明の背景】タングステン、銅、鉄、モリブデンおよ
びステンレス鋼のごとき金属の線は、ダイヤモンド線引
きダイスを通して金属を引抜くことによって製造され
る。ダイヤモンド線引きダイスは単結晶ダイヤモンドを
用いて製造されてきたが、かかるダイスは製造が困難で
あり、チッピングを受け易く、容易に劈開を起こし、し
かも線引きに際して受ける極度の高圧のため使用中に突
発的に破損することが多い。
【0003】単結晶ダイヤモンド製の線引きダイスに関
しては、ウィルクス(Wilks)等の著書「プロパティーズ
・アンド・アプリケーションズ・オブ・ダイヤモンド(P
roperties and Applications of Diamond)」(バターワ
ース・ハイネマン社、1991年)の505〜507頁
に次のような報告が見られる。「結晶方向の最良の選択
は全く明白というわけではない。なぜなら、線がダイス
を通過する際にはそれの外周が360°の全範囲にわた
る面に沿ってダイヤモンドを摩擦するが、それらの面の
摩耗度は多少異なるからである。そのため、元来は円形
であった穴はより大きくなるばかりでなく、その形状を
も失うことになる。とは言え、線が摩擦する穴の側面内
において{001}および{011}結晶面が耐摩耗性
の方向に沿って配置されるという点から見て〈110〉
方向が有利である。」 低品質の天然ダイヤモンドに付随する問題点の幾つかを
回避し得るようなダイヤモンド線引きダイスは、天然ま
たは合成ダイヤモンドの微小な結晶あるいは立方晶窒化
ホウ素の結晶から成形された微孔質の塊状体から成るも
のである。かかる多結晶質の硬質塊状体は、キャリソン
(Carrison)等の米国特許第4016736号明細書中に
記載されているごとく、微小なボイドまたは気孔および
軟質の介在物の存在に原因する欠点を有している。これ
らのボイドおよび介在物は直径10ミクロン以上にも達
することがある。キャリソン等の特許に対する改良は、
微孔質の線引きダイス中に潤滑剤を含浸させると共に、
金属焼結炭化物製のジャケットを用いてダイスを包囲す
るというものである。
【0004】欧州特許出願第0494799A1号明細
書中には、貫通穴を有しかつ支持体に取付けられた多結
晶質のCVDダイヤモンド層が記載されている。第2欄
26〜28行目に記載されているごとく、「かかるCV
Dダイヤモンド中において結晶方向が比較的ランダムに
分布している結果、インサートの使用に際してより均等
な摩耗が生じることになる。」また、第3欄50〜54
行目に記載されているごとく、「多結晶質のCVDダイ
ヤモンド層10中におけるダイヤモンドの配列状態は、
大部分の微結晶の(111)結晶軸が平面内に位置する
(すなわち、層10の表面14および16に平行にな
る)ようなものであればよい。」 CVDダイヤモンドフィルムに関しては、その他の結晶
配列状態も知られている。アンソニー(Anthony) 等の米
国特許第5110579号明細書中には、該特許明細書
の図3に示されているごとく、底面に対して垂直な〈1
10〉方向を有するダイヤモンド結晶の実質的に透明な
柱体から成る多結晶質ダイヤモンドフィルムが記載され
ている。
【0005】たとえば米国特許第5361621、53
63687及び5377522号明細書中に記載されて
いるごとく、線引きダイス用途にとっては高い純度及び
優れた一様性を有するCVDダイヤモンドが好まれてき
た。通例、天然ダイヤモンドは組成の点であまり純粋で
なく、また形態学的な一様性の点でも劣っている。ま
た、CVDダイヤモンドはボイドを伴うことなしに製造
し得るのが通例であるから、高温高圧法(HPHT法)
によって製造された多結晶質ダイヤモンド又は単結晶ダ
イヤモンドよりもCVDダイヤモンドが望ましいことが
多い。しかるに、線引きダイス用として使用されるCV
Dダイヤモンドの表面は、ダイス表面を形成するための
研磨作業後又は線引き作業後においてピットや気孔を含
む場合のあることが認められた。これらのピットや気孔
は、CVD操作から生じることもあれば、上記のごとき
作業時における微細な結晶粒の脱落から生じることもあ
る。結晶粒の脱落は比較的小さい結晶粒界強度から生じ
ることがあり、後者はまたCVD法に関係することがあ
る。CVD法によって形成された炭素フィルムは炭素に
結合した水素を(特に結晶粒界に)含有することが知ら
れているが、これは結晶粒界を横切る炭素−炭素結合の
数を減少させ、従って結晶粒界強度の低下をもたらす。
CVDダイヤモンドにおいて認められるピット生成の程
度は、天然ダイヤモンドに同じダイス加工作業を施した
場合よりも大きい。
【0006】ピットや気孔は、線引きダイスの最大強度
を制限し、従って形成することのできる線の種類を(た
とえば、ほとんどのタングステン合金のごとき延性の小
さい合金ではなく多くの銅合金のごとき延性の比較的大
きい合金のみに)制限するものと予想される点で重要で
ある。ピットや気孔はまた、特に線の変形の大部分が起
こる線支持部分にそれらが生じた場合には、引抜かれる
線に対して欠陥を引起こすこともある。
【0007】それ故、単結晶ダイヤモンドとCVDダイ
ヤモンドとを組合わせることにより、両者の性質及び特
性を利用した複合ダイヤモンド線引きダイスを製造する
ことは望ましいのである。
【0008】
【発明の概要】複合ダイヤモンド線引きダイスは、天然
ダイヤモンド又は高温高圧法ダイヤモンドの利点とCV
Dダイヤモンドの利点とを兼備するものである。天然ダ
イヤモンド又は高温高圧法ダイヤモンドから成る比較的
小さな部材が、CVDダイヤモンドの層を蒸着するため
の基体として使用される。かかるCVDダイヤモンド
は、ダイヤモンド線引きダイスの製造を可能にするため
に十分なだけの材料を基体に追加するために使用され
る。
【0009】本発明に従って簡単に述べれば、(a) 天然
ダイヤモンド又は高温高圧ダイヤモンドから成り、かつ
上面、下面及びそれらの間に位置する側面を有する基
体、(b) 前記基体の前記側面上に蒸着されたCVDダイ
ヤモンドの側壁層、並びに(c)実質的に円形横断面の線
支持部分及び開口軸線を有すると共に、前記上面から前
記下面まで前記基体を貫通して延びかつ前記CVDダイ
ヤモンドの側壁層によって包囲された線引きダイス開口
であって、前記線支持部分の円形横断面が前記線引きダ
イス開口を通して引抜かれる線の直径を決定するような
線引きダイス開口を具備することを特徴とする、所定直
径の線を引抜くための複合ダイヤモンド線引きダイスが
提供される。
【0010】好適な実施の態様に従えば、本発明の線引
きダイスは開口軸線に沿ってダイスを完全に貫通して延
びる線引きダイス開口を有すると共に、基体は開口軸線
と実質的に平行に延びる〈110〉方向を有している。
本発明の目的の1つは、線引きダイス開口内におけるボ
イドの形成又は結晶粒の脱落を受け難いダイヤモンド線
引きダイスを提供することにある。本発明のもう1つの
目的は、CVDダイヤモンド製の線引きダイスを使用し
た場合よりも大きい降伏強さを持った線を引抜くことの
できるダイヤモンド線引きダイスを提供することにあ
る。本発明の更にもう1つの目的は、天然の単結晶ダイ
ヤモンドのみから製造されるダイスに比べてより安価な
材料で製造されるダイヤモンド線引きダイスを提供する
ことにある。
【0011】
【好適な実施の態様の詳細な説明】図1〜3は、本発明
の複合ダイヤモンド線引きダイス10の幾つかの具体例
を示す断面図及び上面図である。線引きダイス10は所
定直径の線(図示せず)を引抜くためのものであって、
(a) 天然ダイヤモンド又は高温高圧ダイヤモンドから成
り、かつ上面14、下面16及び側面18を有する基体
12、(b) 化学蒸着法(CVD法)によって基体12の
側面18上に蒸着されたダイヤモンドの側壁層20、並
びに(c) 実質的に円形横断面の線支持部分24及び開口
軸線26を有する線引きダイス開口22を具備してい
る。線引きダイス開口22は、上面14から下面16ま
で基体12を貫通して延びている。線支持部分24は完
全に基体12の内部に位置しており、また線支持部分2
4の円形横断面は線引きダイス開口22を通して引抜か
れる線の直径を決定する。好適な実施の態様において
は、線支持部分24は円形の横断面を有する直線内腔部
分28から成っている。線引きダイス開口22はまた、
通例、直線内腔部分28から上面14に向かう一方向に
沿って外方に広がる第1のテーパ部30、及び直線内腔
部分28から下面16に向かう反対方向に沿って外方に
広がる第2のテーパ部32をも有している。図1〜3に
示されている通り、第1のテーパ部30及び第2のテー
パ部32はそれぞれ入口側テーパ部30及び出口側テー
パ部32とも呼ばれる。引抜かれるべき線は最初に入口
側テーパ部30を通過し、そこにおいて初期減径を受け
た後に直線内腔部分28及び出口側テーパ部32を通過
する。一般に、ダイヤモンド線引きダイスは4つの主要
内面を有するが、それらは図1に示されるごとく入口面
34、アプローチ面36、支持面38及び出口面40と
呼ばれるのが普通である。このように表現した場合、ア
プローチ面36、支持面38及び出口面40はそれぞれ
入口側テーパ部30、線支持部分24及び出口側テーパ
部32に対応している。入口側テーパ部30は、通例、
出口側テーパ部32よりも大きい距離にわたり開口軸線
26に沿って延びている。その結果、直線内腔部分28
は線引きダイス10の上面14よりも下面16に近接し
ている。また、上面14に開きかつ入口側テーパ部30
に向かって細くなる幅の広いテーパ部44も存在してい
る。図4に示されるごとく、線引きダイス10は化学蒸
着法(CVD法)によって基体12の第1の表面14及
び第2の表面16上にそれぞれ蒸着されたダイヤモンド
の上層46及び下層48を含むこともできる。かかる実
施の態様においては、線引きダイス開口22は上層46
及び下層48を貫通して延びることになる。
【0012】典型的な線引きダイスは円板状を成してい
るが、正方形、六角形、八角形又はその他の多角形の形
状を使用することもできる。多角形の場合における長さ
(L)、又は円形の場合における直径は、約1〜20m
mであることが好ましい。厚さは約0.3〜10mmの
範囲内にあるが、1〜5mmであることが好ましい。線
引きのために適した線支持部分24は、0.030〜
5.0mmの直径を有するのが通例である。本明細書中
に記載されるような線引きダイス10を使用すれば、望
ましい一様な性質を有する線を引抜くことができる。ま
た、線引きダイス10は複数の線引きダイス開口22を
有することもできるが、それらの開口の直径は同じであ
っても異なっていてもよい。
【0013】複合ダイヤモンド線引きダイス10は、C
VD法によって被覆された基体12から切出されるのが
通例である。好ましくは、導電性のCVDダイヤモンド
層は放電加工によって切断し、また絶縁性のCVDダイ
ヤモンド層はレーザを用いて切断することにより、円
板、正方形又はその他の対称形状の素材が形成される。
線引きダイス10はまた、好適な厚さにまで薄くした
り、平面化したり、あるいは特定の表面仕上状態に研磨
したりすることもできる。これらの操作は、任意適宜の
方法(たとえば、機械的研磨、レーザ研磨、イオン薄層
化又は化学的方法)によって実施することができる。線
引きに先立ち、使用に際して線引きダイス10を保持す
ると共に、線引きに際して生じる軸方向の力に耐えるよ
うにするため、線引きダイス10は当業界において公知
の種類の機械的支持体(図示せず)中に取付けられる。
【0014】基体12は、天然ダイヤモンドあるいは商
業的に入手可能な高温高圧法ダイヤモンド〔たとえば、
ゼネラル・エレクトリック・カンパニー(General Elect
ricCompany)製のコンパックス(Compax)又はデビアス・
カンパニー(DeBeers Company) 製のシンダイト(Syndit
e) 〕から成っていればよい。基体12は約0.6〜1
0mmの幅(W)を有することが好ましいが、これは開
口22の約2倍である。なお、基体12の幅及び厚さは
開口22を含むのに十分なものでなければならない。基
体12は、直円柱又は直角柱をはじめとする任意適宜の
形状を有していればよい。基体12は、線引きに際して
線支持部分24に結晶粒の脱落をもたらすことのあるボ
イド又はその他の欠陥を含まないことが好ましい。ま
た、多結晶質の高温高圧法ダイヤモンドから形成された
基体12の場合には、結晶粒界強度は引抜かれるべき線
の降伏強さよりも大きいことが必要である。これは、使
用時における結晶粒の脱落やダイスの破損を回避するた
めのものである。なお、基体12は天然ダイヤモンド又
は高温高圧法ダイヤモンドの単結晶から成ることが好ま
しい。また、かかる単結晶の〈110〉方向が開口軸線
26と平行に配置されていることも好ましい。なぜな
ら、この方向は最も望ましい耐摩耗性を与えることが知
られているからである。高温高圧法ダイヤモンドの場合
には、純粋な同位体(すなわち、単一の同位体)から成
る炭素を用いて基体12を形成することが望ましいこと
もある。純粋な同位体から成る炭素を使用すれば、33
W/cm・°K程度の高い熱伝導率を有する高温高圧法
ダイヤモンドが製造されることが知られている。線支持
部分24の動作温度は線引きダイスの寿命を決定する最
も重要な因子の1つであるから、純粋な炭素同位体から
成る基体の高い熱伝導率はそうでない場合に本発明の線
引きダイスに関して予想されるよりも長い寿命をもたら
すはずである。基体12はまた、ダイヤモンド双晶から
形成することもできる。ダイヤモンド双晶は天然に産す
るダイヤモンドの薄板であって、(111)双晶面が薄
板の両主面の中間をそれらと平行に走っているようなも
のである。それらは沖積鉱床中に多量に見出される。被
覆されないダイヤモンド双晶は従来も線引きダイス製造
のために使用されてきた。しかしながら、ダイヤモンド
双晶の厚さ(たとえば、0.1〜0.5mm)に起因す
る不十分な機械的強度のため、かかる線引きダイスは延
性の比較的大きい材料から成る極めて細い線(たとえ
ば、直径0.03〜0.5mmの線)を引抜くためにし
か適さなかった。基体12としての使用にとって、ダイ
ヤモンド双晶は単結晶よりも有利であると考えられる。
なぜなら、単結晶が3つの〈110〉方向を有するのに
対し、ダイヤモンド双晶は6つの〈110〉方向を有す
るからである。従って、ダイヤモンド双晶から形成され
た線支持部分24は、三重ではなく六重の対称性を有す
るのである。その結果、線支持部分24の摩耗はより一
様なものになり、従って開口の再研磨までの使用期間が
長くなることが期待される。
【0015】本発明の基体12の厚さは、約0.1〜1
0mmの範囲内にある。それ故、単結晶又は双晶の原価
は、線引きダイス10の全体を形成するために十分な品
質及び厚さを有するダイヤモンドの原価に比べて顕著に
低減させることができる。側壁層20の厚さの合計量
は、線引きダイス10の長さ(L)の残部を成すのに十
分な値である約0.4〜10mmの範囲内にあることが
必要である。CVDダイヤモンドの側壁層20を形成す
るための好適な技術は、米国特許第5110579及び
5387447号明細書中に記載されている。米国特許
第5387447号明細書中に記載された方法に従え
ば、(本発明の場合にはやはりダイヤモンドから成る)
基体上にフィラメント法によってダイヤモンドが化学蒸
着される。この方法に従えば、実施例中に記載されたご
とくに炭素質ガス(たとえば、メタンガス)を含有する
適当な混合ガスを加熱されたフィラメントに沿って流す
操作を十分な流量、温度及び時間条件の下で継続するこ
とにより、所望の厚さを有するダイヤモンド層が形成さ
れる。該特許明細書中に記載されているごとく、好適な
ダイヤモンド層は(開口軸線26と平行な)基体の平面
に対して垂直に配置された〈110〉方向を有するダイ
ヤモンド結晶から成る実質的に透明な柱体によって構成
されたものである。かかる方法はまた、上層46及び下
層48を形成するためにも使用することができる。米国
特許第5387447号明細書中に記載されているごと
く、基体の側面上に一様な外周CVDダイヤモンド被膜
を形成することができる。実際、かかる方法を使用する
ことによって側壁層20を形成することができた。互い
に隣接したダイヤモンド結晶粒間の粒界はダングリング
状態の炭素結合を飽和させる水素原子を含有することが
好ましいのであって、その場合にはラマン分光分析、赤
外線分析およびX線分析に基づけばかかる炭素原子の少
なくとも50%が四面体結合を成すものと考えられる。
なお、H、F、Cl、Oまたはその他の原子もダングリ
ング状態の炭素結合を飽和させ得ることを理解すべきで
ある。
【0016】また、公知の技術を用いてCVDダイヤモ
ンド層の形態を変化させることもできる。特に、たとえ
ばピー・ケイ・バックマン、アイ・エム・ゴールデン、
ジェイ・ティー・グラス及びエム・カモ(P.K. Bachman
n, I.M. Golden, J.T. Glass& M. Kamo)編「ダイヤモン
ド、ダイヤモンド様物質及び関連物質に関する第4回ヨ
ーロッパ会議(ポルトガル国アルブフェイラ、1993
年9月)の議事録」(エルゼヴィア・ラウザンネ社発
行)中の「ダイヤモンド・フィルム93」に記載されて
いるごとく、CVDダイヤモンド層の蒸着中において基
体12の温度を調節することによってそれを達成するこ
とができる。実現可能な形態としては、エピタキシャル
又はエピタキシャル類似の単結晶層、50ミクロン程度
又はそれ以上の結晶粒度を有する多数の大きい柱状結晶
粒から成る層、及び層の厚さ方向に沿って粒度の変化す
る層(たとえば、側面18付近において結晶粒度のより
小さい領域を有しかつ線引きダイス10の外面付近にお
いて結晶粒度のより大きい領域を有するような層)が挙
げられる。より大きい結晶粒度(たとえば、50ミクロ
ン)又はエピタキシャル層を得るためには、蒸着に際し
て基体12の温度を比較的高く(すなわち、870〜1
050℃程度に)すればよい。それに対し、より小さい
結晶粒度(たとえば、<25ミクロン)を得るためには
600〜850℃程度の温度が必要とされる。
【0017】CVDダイヤモンド層を形成するための好
適な方法は、本明細書中に記載されるフィラメント法で
ある。かかるCVDダイヤモンド層に関する追加の好適
な性質としては、約4W/cm・°Kより高い熱伝導率
が挙げられる。かかるCVDダイヤモンド層の熱伝導率
はまた、バンホルザー(Banholzer) 等の米国特許第53
60479号明細書中に記載されているごとく、純粋な
同位体から成る炭素質ガスをCVD法において使用する
ことによって一層向上させることができる。線引きダイ
ス10の耐摩耗性及び耐亀裂性は、熱伝導率の増大と共
に向上する。CVDダイヤモンド層は非不透明、透明又
は亜透明であり、かつ約1ppmより高い濃度で水素及
び酸素を含有することが好ましい。また、CVDダイヤ
モンド層は不純物及び目的添加剤を含有していてもよ
い。かかる不純物は、鉄、ニッケル又はコバルトのごと
き触媒物質から成ることがある。
【0018】Si、Ge、Nb、V、Ta、Mo、W、
Ti、Zr又はHfから成る基体上にダイヤモンドを蒸
着すれば、他の基体を使用した場合よりも亀裂のごとき
欠陥の少ないCVDダイヤモンド層が得られる。中性子
放射化分析によれば、これらの基体上において形成され
たCVDダイヤモンド層中には少量の基体材料が混入し
ていることが判明した。それ故、本明細書中に記載され
るCVD法は、10ppbよく多くかつ10ppmより
少ない量のSi、Ge、Nb、V、Ta、Mo、W、T
i、Zr又はHfを含有するCVDダイヤモンド層を蒸
着し得るように変更されたものであることが望ましい場
合がある。更にまた、かかるCVDダイヤモンド層は1
ppmより多い量のハロゲン(すなわち、フッ素、塩
素、臭素又はヨウ素)を含有することもある。その他の
添加剤としては、目的添加剤として存在することのある
N、B、O及びPが挙げられる。なお、本発明のCVD
ダイヤモンド層はその他公知のCVD法(たとえば、マ
イクロ波CVD法)によっても製造し得るものと予想さ
れる。
【0019】上記のごとき好適な熱伝導性を有するCV
Dダイヤモンド層は、その他の技術(たとえば、マイク
ロ波CVD法及びDCジェットCVD法)によっても製
造し得ることを理解すべきである。目的添加剤としては
N、S、Ge、AlおよびPが挙げられるが、それらの
各々は100ppm未満の濃度で存在する。なお、それ
より高い濃度においても適当なCVDダイヤモンド層を
製造し得ることを理解すべきである。より低い濃度で存
在する不純物は、線引きダイスにとって極めて望ましい
性質である靱性および耐摩耗性を向上させる傾向があ
る。最も好適なCVDダイヤモンド層は、5ppm未満
(好ましくは1ppm未満)の不純物および目的添加剤
を含有するものである。
【0020】本発明のCVDダイヤモンド層はまた、固
有の引張応力をはじめとする固有の応力を含むように蒸
着し得ることも公知である。本明細書中に記載された蒸
着方法の場合、蒸着に際して約740℃より高い基体温
度を使用すれば固有の引張応力を生み出すことができ
る。このような応力の大きさは、温度の上昇と共に増大
することも知られている。CVDダイヤモンド層中の引
張応力は基体を圧縮状態に維持するものと予想される
が、これは線引きダイスの内部(特に線支持部分24)
における破壊の可能性を低減させる目的にとって望まし
いことが知られている。
【0021】線引きダイス開口22を形成するために
は、先ず最初にレーザを用いてパイロット穴を設け、次
いで超音波振動ピン及びダイヤモンドグリットスラリー
を使用しながら当業界において公知の技術によって開口
を研磨成形すればよい。上記のごとき実施の態様は本発
明を例示する目的で開示されたものに過ぎないのであっ
て、本発明の可能な実施の態様の全てが余す所なく示さ
れているとは解すべきでない。開示された実施の態様に
対して様々な変形や変更を加え得ることは、ダイヤモン
ド線引きダイス技術に精通した当業者にとって自明であ
ろう。前記特許請求の範囲はかかる変形や変更の全てを
包括するものであることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一態様に基づく複合ダイヤモン
ド線引きダイスの断面図である。
【図2】図1の線引きダイスの第1の具体例を示す上面
図である。
【図3】図1の線引きダイスの第2の具体例を示す上面
図である。
【図4】本発明の別の実施一態様に基づく複合ダイヤモ
ンド線引きダイスの断面図である。
【符号の説明】
10 複合ダイヤモンド線引きダイス 12 基体 14 上面 16 下面 18 側面 20 側壁層 22 線引きダイス開口 24 線支持部分 26 開口軸線 28 直線内腔部分 30 第1のテーパ部 32 第2のテーパ部 34 入口面 36 アプローチ面 38 支持面 40 出口面 44 幅の広いテーパ部 46 上層 48 下層

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a) 天然ダイヤモンド又は高温高圧法ダ
    イヤモンドから成り、かつ上面、下面及びそれらの間に
    位置する側面を有する基体、(b) 前記基体の前記側面上
    に蒸着されたCVDダイヤモンドの側壁層、並びに(c)
    実質的に円形横断面の線支持部分及び開口軸線を有する
    と共に、前記上面から前記下面まで前記基体を貫通して
    延びかつ前記CVDダイヤモンドの側壁層によって包囲
    された線引きダイス開口であって、前記線支持部分の円
    形横断面が前記線引きダイス開口を通して引抜かれる線
    の直径を決定するような線引きダイス開口を具備するこ
    とを特徴とする、所定直径の線を引抜くための複合ダイ
    ヤモンド線引きダイス。
  2. 【請求項2】 前記CVDダイヤモンドの側壁層の形態
    が、(1) 前記基体に隣接した結晶粒度のより小さい領域
    及び前記側壁層の外面に隣接した結晶粒度のより大きい
    領域、(2) 多数の大きい柱状結晶粒、又は(3) エピタキ
    シャル層から成るようなものである請求項1記載の線引
    きダイス。
  3. 【請求項3】 前記CVDダイヤモンドの側壁層が、透
    明、半透明、亜透明又は非不透明であるような多数の大
    きい柱状結晶粒から成る請求項1記載の線引きダイス。
  4. 【請求項4】 前記CVDダイヤモンドの側壁層が固有
    の引張応力を有する請求項1記載の線引きダイス。
  5. 【請求項5】 前記基体の前記上面及び前記下面の上に
    それぞれ蒸着されたCVDダイヤモンドの上層及び下層
    が追加包含されていて、前記線引きダイス開口の一部が
    前記CVDダイヤモンドの上層及び下層の両者を貫通し
    て延びる請求項1記載の線引きダイス。
  6. 【請求項6】 前記CVDダイヤモンドの上層及び下層
    の両者が固有の引張応力を有する請求項5記載の線引き
    ダイス。
  7. 【請求項7】 前記基体、前記CVDダイヤモンドの側
    壁層又はそれらの両者が純粋な炭素同位体を含有する炭
    素質材料から形成される請求項1記載の線引きダイス。
  8. 【請求項8】 前記CVDダイヤモンドの側壁層が透
    明、亜透明又は非不透明であり、かつ約1ppmより高
    い濃度で水素及び酸素を含有する請求項1記載の線引き
    ダイス。
  9. 【請求項9】 前記CVDダイヤモンドの側壁層が1p
    pm未満の不純物及び目的添加剤を含有する請求項1記
    載の線引きダイス。
  10. 【請求項10】 前記CVDダイヤモンドの側壁層がフ
    ッ素、塩素、臭素又はヨウ素から成るハロゲンを1pp
    mより高い濃度で含有する請求項1記載の線引きダイ
    ス。
  11. 【請求項11】 前記CVDダイヤモンドの側壁層が結
    晶粒界を有する顕微鏡組織を示すと共に、前記結晶粒界
    が水素で飽和されたダングリング状態の炭素原子を含有
    する請求項1記載の線引きダイス。
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